公務員試験用参考書

【経験者採用】知らなきゃ損する!基礎能力検査(SPI,SCOA,GABなど)の最短攻略法

1.「基礎能力検査」とは何か?

基礎能力検査は、受験者の基礎学力や性格特性を測定するために実施される検査です。
言語理解力、数的処理能力、論理的思考力などの基礎的な能力や、性格傾向を評価することを目的としています。

もともと公務員試験では「教養試験」がありますが、それに近い内容です。

一般に就職・転職活動をする人には馴染みがあるSPIも基礎能力検査の1種。
SPIなどを導入することで、より多くの受験者を呼びこもうとする自治体が増えています。

基礎能力検査を課す自治体【けっこうあります】

基礎能力検査の種類 主な実施自治体
SPI 横浜市、国分寺市、一部の県庁等
SCOA 市原市、柏市、一部の県庁等
GAB 武蔵野市、町田市、一部の県庁等

※実施科目は、年度によって変わる可能性があります。必ず、各自治体の最新の「募集要項」を確認してください。

上の表に示した通り、基礎能力検査を経験者採用で実施している自治体は少なくありません。
従来の教養試験のかわりに実施している自治体が多いようです。

実施タイミングは1次試験が多いですね。

面接や論文といった人物試験を丁寧に実施するため、事前に受験者をある程度絞りこみたいという自治体側の意図もありそうです。

【注意】面接や論文ほど重要ではないが対策ゼロは危険

「SPIとか大学時代にやったなぁ。」
「ほとんど対策しなくてもいけた気がするけど。」

こんなふうに思われる方もいるかもしれません。
たしかに、基礎能力検査は「足切り」の要素が強く、面接や論文ほど最終合格に直結しないです。

ただ、まったく対策しないのは危険です。
たとえば横浜市(社会人採用・R6春試験)では、SPIを実施した1次試験の合格者は、246人中155人でした

実に4割近くの受験生がSPIで落ちてしまっているんです。
この中には、その後の試験対策をしっかりしていた受験生もいたはず…。

基礎能力検査が課される自治体を受験する方は、努力がしっかり報われるように、基礎能力検査もキチッと対策しておきましょう。

2.「基礎能力検査」の種類別解説

では、基礎能力検査にはどのようなものがあるのでしょうか。
現状、公務員試験の経験者採用でよく使われている基礎能力検査は次の3つです。

・SPI(リクルートマネジメントソリューションズ)
・SCOA(日本経営協会総合研究所)
・GAB(日本エス・エイチ・エル)

これらの基礎能力検査、全体として、

✓問題自体は、一般的な教養試験よりもカンタン
✓その分、解答時間が短く、処理スピードが試される
✓Webテスト形式もある(採用自治体も多い)

以上のような傾向があります。

教養試験と同じスピード感で解くと時間切れになり、本来の実力が発揮できないかもしれません。

実際に、各テストの問題数や試験時間を確認してみましょう。

検査名 問題数 試験時間
SPI 60問程度

※Webテストやテストセンター方式の場合、受験者の回答状況により問題数が変わる

35分

※Webテストやテストセンター方式の場合、1問ごとに制限時間あり

SCOA 120問 60分
GAB 92問 60分

大体、1問1分で解かないといけない計算ですね。
SPIの言語分野やSCOAはさらに厳しく、1問20~30秒で解答することが必要です。

ですから、本番に近い問題で練習しておくことが大切です。
(本記事後半で、具体的な練習法を解説します!)

では続けて、それぞれのテストの特徴を紹介していきますね。

SPI(リクルートマネジメントソリューションズ)

検査名 問題数 出題分野/試験時間
SPI 言語40問、非言語20問程度

※Webテストやテストセンター方式の場合、受験者の回答状況により問題数が変わる

言語,非言語/35分

※Webテストやテストセンター方式の場合、1問ごとに制限時間あり

SPIは、リクルートマネジメントソリューションズが提供する検査です。

SPIでは、言語能力及び非言語能力を問う問題が出題されます。

ペーパーテストよりもWebテストやテストセンター方式(決まった会場でPCを使って回答する)が主流で、その場合、1問ごとに制限時間があります

また、回答状況により、問題数や問題の難易度が変わっていきます
序盤に間違いが多いとその後の問題が簡単になり過ぎて、最終的にたくさん正解しても評価されづらいということもあるので注意が必要です。

参考書のオススメは、『これが本当のSPI3だ! 』です。


解説が分かりやすく、問題も本番に近いものになっています。

SCOA(日本経営協会総合研究所)

検査名 問題数 出題分野/試験時間
SCOA 120問 言語,数理,論理,常識,英語/60分

SCOAは、もともと1985年に開発された歴史ある適性検査です。
「言語,数理,論理,常識,英語」の5分野の問題で構成されています。

SCOAの特徴はなんといっても問題数の多さです。
60分で120問解くということで、常に1問30秒の解答速度が求められ、試験終了後にはかなり疲れを感じる人が多いはず

問題の難易度は高くないので、処理能力を問われている試験といっても良いでしょう。

試験前に、60分取り組む”スタミナ”をつけておく必要がありますね。

参考書は、『公務員試験で出る SPI・SCOA[早わかり]問題集』などが良いでしょう。


SPIと一緒に対策できる優れもので、どちらも対策しなければいけない方には特にオススメの一冊です。

GAB(日本エス・エイチ・エル)

検査名 問題数 出題分野/試験時間
GAB 言語理解52問

計数理解40問

言語理解/25分

計数理解/35分

GABは日本エス・エイチ・エル社が開発した検査です。

GABは適性検査の中では比較的、問題の難易度が高いと言われています。

特に図表を多く用いた資料問題に、多くの受験生が時間を取られるでしょう。
そのため、試験全体の時間配分も難しく、事前の練習が必須です。

これが本当のCAB・GABだ! 』などの本で、本番と同じ試験時間で練習してください。

※この本はけっこう分厚いですが、CAB(GABと似た試験でIT企業などで良く使われるもの)についての対策ページが半分を占めているので、実際に勉強するのは残り半分だけで大丈夫です。

3.タイパを意識した「基礎能力検査」対策のコツ

「試しに解いてみたら、たしかに時間が足りない…」
「論文や面接の対策もあるし、困ったなぁ…」

「基礎能力検査」に向けて対策するとしても、使える時間は限られていますよね。
そこで、本記事では短期間で「基礎能力検査」対策を仕上げていくコツを4つお伝えします。

結論、次の4点を意識して勉強してみてください

①いきなり実践形式で、時間を測って解くこと
②「少し勉強すればできる」ところを狙って勉強
③「少し勉強すれば早くなる」ところを狙って勉強
④(Webテストの場合)パソコンで解答する練習をする

以下、1つずつ解説します。

【対策のコツ①】いきなり実践形式で、時間を測って解くこと

先ほど、各種問題集を紹介しました。
それぞれの問題集は【分野ごとの練習問題→1,2回分の本番模擬問題】という順番で作られています。

短期間で実力アップを目指すなら、「1,2回分の本番模擬問題」から解きましょう。
つまり、”問題集を後ろから使う”ということです。

本番通りに時間を測って、どんどん解きます。
このとき、問題ごとにかかった時間をメモしておくと、あとで自己分析しやすいのでオススメです。

先に紹介したように、「基礎能力検査」は問題それぞれの難易度は高くありません。
ただ、それぞれの問題にどれくらい時間がかかるかは、人によってけっこう違いがあります。

そこを把握することで、最も効率よく得点力を伸ばせるのです。

【対策のコツ②】「少し勉強すればできる」ところを狙って勉強

ステップ1で1回分の問題を解いたら、すかさず答え合わせをします。
この時、〇と×をつけるだけでは伸びません

たとえば、次のような4種類の印をつけます。

途中の解法も含めてばっちり
途中の解法は不完全だが結果的に正解
途中の解法は合っていたが結果的に不正解
× まったく見当外れのバツ

ずばり、〇△の分野の対策が伸びるポイントです。

〇は、途中の解答根拠も含めて、ばっちり◎になるように。
△は誤答になってしまった分岐点を確認し、同種の問題が出たら確実に正答できるように練習します。

模擬問題の解き直しだけでは練習量が足りません。
そこで、このタイミングで問題集の前半部分の「練習問題」を使います。

ただ、これも最初から全ページを解くのではありません。
〇や△のような、「あと少しで得点が安定する・伸びる」分野のページを集中的に解くのです

※試験までに余裕があれば他のページにも取り組んでよいでしょう。
ただ、このような苦手分野は対策に時間がかかるので、優先度としては低くなります。
また、◎のような得意分野は、基本的に対策する必要はありません。
(後述するような「時短解法」を探す場合は除きます。)

【対策のコツ③】「少し勉強すれば速くなる」ところを狙って勉強

また、「1問ごとの解答にかけた時間」を確認し、そこから戦略を練ることも大切です。

まず、自分が得意で、より早く解けそうな分野は”時短”を目指します。

たとえば数的処理が得意な人は、問題を見た瞬間に、ある程度「答えはこの選択肢じゃないかな?」と予想できるときがあります。
そんなとき、実際にその選択肢の数値を”代入”してみて正答であることができれば、かなり短時間で解答できます。

このような時短の積み重ねで、得点力はアップしていきます。

逆に、自分にとって大の苦手分野、得点できない分野については、「深追いしないこと」も戦略の一つです

つまり、時間をかけ過ぎないようにするんです。
場合によっては、「30秒で自信がもてなかったら勘で解いて次へ進む」というようにマイルールを作ってもいいでしょう。

ただし、もちろんのことですが、そんな”特例”は1分野、一回のテストで1,2問程度に留めましょう。

※もし、全般的に得点が振るわず、それでも「基礎能力検査」を使う自治体の志望度が高い場合には、じっくり時間をかけて対策する必要があるでしょう。
その際は、問題集を2,3か月かけて、「最初から1ページずつ解く」勉強法も必要です。

【対策のコツ④】(Webテストの場合)パソコンで解答する練習をする

また、Webテストの場合、本番同様にPC画面に問題を表示して解く練習をした方がよいです。

実はWebテストは、カンタンな計算なら暗算してしまうのがコツです。
というのも、途中計算などを手元の紙にメモすると、視線が手元のメモとPC画面を往復することになり、時間を大きくロスしてしまうからです

ですから、Webテストでは手元にメモ用紙は用意しておきつつ、基本的にはディスプレイをずっと見ながら解答する癖をつけると良いです。

ただ、ここで問題になるのは、Webテストを対策するにしても情報が充実しているのは紙の書籍だということです。
電子書籍化されている参考書を使うか、自分で紙の書籍をPDF化して、PC画面に表示して学習する必要があります

ちなみに私はかつて、スマホのスキャンアプリを用いて参考書の写真をPCに取り込み、ディスプレイに表示して解く練習をしていました。

おかげで本番では緊張することもなく、無事、選考を通過しました。
手間はかかりますが、それだけの成果が出る学習法です。

4.まとめ

本記事のまとめです。

✓基礎能力検査で”対策ゼロ”は危険

✓希望自治体の基礎能力検査の種類を調べておくこと

✓SPI、SCOA、GABは、教養試験以上に「スピード勝負」

検査名 問題数 試験時間
SPI 60問程度

※Webテストやテストセンター方式の場合、受験者の回答状況により問題数が変わる

35分

※Webテストやテストセンター方式の場合、1問ごとに制限時間あり

SCOA 120問 60分
GAB 92問 60分

✓効率の良い勉強法のコツ4選
①いきなり実践形式で、時間を測って解くこと
②「少し勉強すればできる」ところを狙って勉強
③「少し勉強すれば早くなる」ところを狙って勉強
④(Webテストの場合)パソコンで解答する練習をする

以上です。

本記事が、あなたの学習のお役に立てば幸いです。

ASK公務員では「経験者採用」に関する情報提供を積極的に行っています。
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憲法、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

新年度がスタートすると、大学3年生を中心に来年に公務員試験を受けようとされる方が対策を考え出します。特に、塾・予備校で学習をするのか、独学をするのかという学習手段の検討をすることが多いように思います。

そして、このとき、重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば独学で行えば良くなり、難しそうであれば、塾・予備校を使うことになるからです。

そこで本記事では、行政事務に携わる試験種の専門科目として出題される「憲法」の攻略法をお伝えします。

ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、憲法を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。

2.憲法の学習方法

(1)大前提

学習方法に具体的に言及する前に、以下の3点を踏まえます。

第1に、憲法は、その後に続く、民法や行政法などの法律系科目の学習における土台となります。したがって、法律系科目の一番最初に学習をします。したがって、学習方法のアドバイスをする際には、法律初学者の視点でお伝えします。

第2に、公務員試験における憲法の難易度はそこまで高くありません(あくまでも、試験で得点するうえではということです)。高校時代の公民系科目の学習で、基本的人権や日本の政治システムを学んでいると思いますが、この基礎知識を活用しながら学ぶとかなりスピーディーに理解できると言えます。

第3に、他の専門科目の学習もあることを念頭に置きましょう。憲法だけを完璧にすれば合格するわけではありません。例えば、国家一般職においては、40問中5問のウェイトです。民法や経済学が40問中の10というのと比較すればわかるように、他に出題数の多い科目が多い点を忘れないようにしましょう。

(2)学習の仕方

直前期は「3」に譲りまして、ここでは、学習開始時点の行い方を述べます。

結論からいいますと、①判例集が手元にある上で、②「解説がしっかりした問題集にいきなりトライし、2回転以上回す」か、③「参考書と問題集が一体となった本で、参考書読んですぐ該当問題を解くを繰り返しながら1冊を仕上げる」のどちらかが望ましいといえます。

順番に解説していきましょう。

①判例集を手元に置く

①は民法や行政法でも判例は重要であり、今後の学習で使うためです。また、後述する②・③の学習をする際のサポートとなるからです。

おすすめの参考書は、行政書士試験用の

みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2024年度 [行政書士の教科書に準拠](TAC出版) (みんなが欲しかった!行政書士シリーズ)』です。これの、憲法、民法、行政法部分を使う感じです。

公務員試験用のものを使わないのは、行政書士用は毎年改訂された新しい判例集が出版され、公務員試験と範囲も多く重なるためです。

なお、判例集は、1ページ目から読んでいくという形ではなく、後述する②や③の学習をする中で、必ずしも言及がされていない事柄を知るために使います。いわば、辞書代わりということです。

②いきなり問題集からも可能(ただし、問題集の解説は十分なものを選ぶ)

本項の「1.大前提」で憲法の難易度があまり高くないことを伝えました。また、高校までの知識を踏まえると取り組みやすい点にも言及しました。

このため、いきなり問題集を読み物のように使って学習する方法は有効です。すなわち、いきなり問題集の問題を解くのではなく、問題を読んだらすぐに解答解説を読んで中身を理解していくということです。このとき、事件名などしか書いていない判例については上述の判例集を読みながら知識を増やしていくわけです。

高校が文系で、受験で公民系科目を使っていたり、現在の学部学科が社会科学系の方だったりすると、この「いきなり問題集」を2・3回転させるだけで、8割の得点化に大きく近づきます。

さて、このときにおすすめの問題集を2つ紹介しておきます。

ア:公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7(実務教育出版)

イ:2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【9】憲法

アは、いわゆる公務員試験の定番と言われる「スー過去」です。豊富な問題演習ができ、レジュメ風のポイントもありますので、これと①で言及した判例集などを使いながら取り組むことで、大きな力を得ることでしょう。

イは、スーパー過去問よりもやや丁寧なまとめがあったり、内容を隠せるシートがついていたりと、親切な設計となっています。

②の学習方法の場合、どちらか1冊を用いて学習を進めていくことになります。

③テキストと問題集一体型を使うのもOK

②の学習においては、いきなり問題をみてわからない言葉ばかりだと挫折してしまう!と感じる場合は、テキストを読んでから問題集に取り組むことになります。

しかし、繰り返しますが、公務員試験の選択式の憲法の難易度はそこまで高くありません。出題がレアな論点まで詳しく書いてある分厚いテキストは不要といえます。特に、他の科目の学習にも時間を割かねばならないことを考えれば、なるべく早く憲法の学習を終えた方が望ましいです。

また、すぐに問題を解いて定着を図ることが望ましい学習方法です。以上を考えますと、参考書と問題集が一体となったものを活用することをお勧めします。この観点で良いと感じる参考書は、以下です。

みんなが欲しかった! 公務員 憲法の教科書&問題集

この本は、テキストと問題集の両方があります。そしてテキスト部分と問題集部分をわけることができ使いやすいです。

②のいきなり問題集型か、③のテキストと問題集一体型でやるかは、自分にあったほうを選びましょう。

3.直前期

2の(2)の①+②か、①+③の学習をしたあとは、民法や行政法などの他の法律系科目や、その他専門、教養の科目を学習していくことになります。

そして、直前期に再び、学習内容を思い出す取り組みが憲法には必要です。このとき、やみくもに全範囲を復習するのは大変です。そこで、外部模試などを購入して、そこで問われている内容から、テキストや問題集など使用教材に立ち戻って学習することをお勧めします。やはり、模擬試験は、実施団体が、当ててやろう!と意気込んで作っていますので、その部分をしっかりおさえるということですね。

ただ、模試も1回数千円で、何回も購入するとなると、お財布的に苦しい方もいると思います。その場合は、実務教育出版が毎年出している直前予想問題の雑誌を模試代わりに利用するのもよいでしょう(2024年度はこちら)。ここで、重要な判例変更や新判例もおさえられますので、お勧めです。

4.おわりに

本記事では、憲法についての学習方法をお伝えしました。

具体的には、

(ⅰ)法律系科目学習の一番目として学習をする

(ⅱ)解説が詳しめに書いてある問題集でいきなり学習をしていくか、テキストと問題集が一体となっているものを用いて学習をしていくかを選んで行う

(ⅲ)判例集は(ⅱ)の学習を通じ詳しく理解したい点を中心に読み込む辞書的な使い方をする

(ⅳ)直前期は外部模試や受験ジャーナルで出題予想順に復習する

というものです。

参考にしていただければ幸いです。
なお、憲法を記述試験でも使うにはどうすれば良いのか、国家総合職なども受験予定だがこの学習方法で良いのだろうかといった疑問点から、言われたやり方をしても難しくてわからず挫折しそうだなどの不安点まで、個々の状況では色々聞きたいことが生じるかと思います。

究進塾では、こうした受験相談にのったうえで、必要な対策を個別指導しています。興味ありましたら、一度お問い合わせください。

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「行政5科目まるごとパスワードneo2、インストールneo2」レビュー

1.はじめに

2019年に実務教育出版から出版された、
高瀬淳一著「行政5科目まるごとパスワードneo2」(本記事では単に「パスワード」と以下で書きます)

「行政5科目まるごとインストールneo2」(同じく、単に「インストール」とします)

上記2冊についてご紹介します。

レビューをする前に、本書が対象としている行政5科目の公務員試験上での位置づけを確認しておきましょう。

そもそも行政5科目とは、政治学・行政学・社会学・国際関係・社会政策のことを指します。
出題される試験種を簡単にまとめておきます。

国家一般職 政治学・行政学・社会学・国際関係を選択することが可能です。いずれも1科目5題出題されます。
国税専門官等 政治学・社会学・社会事情を1科目6題として選択式試験で選択可能です。また、社会学を記述式試験で活用することができます。

※国税専門官と同一日に試験実施される財務専門官でも政治学・社会学が、労働基準監督官であれば社会学がそれぞれ使えます。そして、同じく同一日に実施される法務省専門職(法務教官・保護観察官)では社会学が選択式で必須回答、記述でも選択可となっています。

地方上級全国型 政治学2、行政学2、社会政策3、国際関係2が必須としてあります。
※中部北陸型、関東型はこれらの科目が選択となります。
東京都庁(一般方式) 記述式の問題を3題選ぶ際に、政治学・行政学・社会学を選ぶことができます。
特別区 11科目×5問の計55題中40題を問題選択する際、政治学・行政学・社会学を選ぶことができます。

以上から読み取れることは、地方上級全国型を除き概ね選択科目だということです(法務省専門職の法務教官や保護観察官は社会学のみ必須ですが)。

そして、公務員試験で専門科目を行う場合、ほとんど捨てることが難しい(=どの公務員試験種でも一定のボリュームが課される)法律系科目である憲法・民法・行政法と、経済系科目であるマクロ経済学・ミクロ経済学・財政学をしっかり学習します。

となると、学部で行政5科目に関連した学習をしていない人は選択をそもそもしないか、するとしても5科目中の1、2科目を選ぶことになります。そして、行政5科目は、どうしても主要専門科目と数的処理をはじめとする教養試験の学習を優先したいので、短時間で効率よく得点化したいものになります

ということで、本レビューは、行政5科目を短期間にそれなりに合格圏内の得点ができるかという観点を重要視してお伝えします。

2.行政5科目まるごとパスワードneo2、インストールneo2のお薦め度は5段階中2

(1)本の構成

パスワードはいわば、キーワードの解説型のテキストです。本編180ページほどで、政治学・行政学・社会学を中心に、国際関係や社会政策にも触れたものになります。公務員の試験傾向を踏まえ、頻出のキーワード解説をしています。

インストールは、演習本です。本編のページ数はパスワードとほぼ同じです。選択肢の切り方や、取り上げた問題への解説を通じ、パスワードを補完していきます。その意味で、パスワードとインストールはセットで効果を発揮するといえます。

(2)お薦めの点

タイトルにお薦め度を2としました。厳しい評価ですが、内容が拙いというわけではありません。

頻出単元をしっかりと分析し、そこの得点が取れるように紹介順番を工夫しています。
例えば、政治学は、近年、政治思想家の考えたことや理論よりも、実態としての政治制度などがでていますが、これをしっかり反映した内容になっています。

内容を厳選しているので、コンパクトであり、やる気にもなります。
1科目が多い科目でも数十ページですので、その気になれば1日で読めることは、学習者の心理的な負担を減らします。

(3)留意点

では、なぜ、そこまでお勧めしないかというと、
結局は、スーパー過去問で演習をしなければならない点です。パスワードとインストールだけでは、流石に安定的にこの科目を使えるほどにはなりません。

言い換えますと、特別区など問題選択ができる試験種で、勉強してきた専門科目において当日分からない問題に出会ったとき、行政5科目の何かで逃げられるように数問解けるようにするならばこの本だけで良いでしょうということです。

つまり、国家一般職などでしっかり5問を選択したときに、「まぁ6割以上大抵は取れるでしょう」とするには、スーパー過去問の政治学・行政学・社会学などの学習が必要です。

そして、行政5科目がいきなりスーパー過去問から学習したときに、ついていけないかというとそうではないかなと思うわけです。概念や制度の暗記であり、そこまで丁寧な解説が不要だからです。ならば、いきなりスーパー過去問から学習をすれば良いかなと思います。

となると、説明・編集がそれなりに良いこの本を「使うチャンスがない」ことになるため、お薦め度が2となります。

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 政治学(実務教育出版)

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 行政学(実務教育出版)

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 社会学(実務教育出版)

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 国際関係(実務教育出版)

なお、スーパー過去問には「社会政策」がありませんが、この科目は時事の社会保障や労働のところをおさえつつ、過去問にあたれば良いといえます。

それから、どうしても行政5科目を高得点化したいが、学者・思想家の言っていることや理論が難しいとお考えの受験生には、スーパー過去問よりも砕けた表現の本を探すことになりますが、パスワードはそもそも学者・思想家の部分をかなり精選していますので、別の本となります。

例えば、エクシア出版から出ている『寺本康之のザ・ベストシリーズの政治学・行政学・社会学』などを通読すると良いでしょう。

寺本康之の政治学ザ・ベストプラス(エクシア出版)

寺本康之の行政学ザ・ベストプラス(エクシア出版)

寺本康之の社会学ザ・ベストプラス(エクシア出版)

3.おわりに~まとめ~

ということで、パスワードとインストールの本自体は、コンパクトに頻出単元をまとめています。他方、これだけだと、これらの科目を選択する予定ではないけど、選択する予定の科目に万が一分からないものがあったときの逃げ道にしたいという位の得点力といえます。

その使い方で良いならパスワードとインストールはお勧めです。

他方、行政5科目のうち何かをしっかり選択するつもりであれば、その科目のスーパー過去問にいきなり取り掛かりましょう。また、学者理解が難しい方は、寺本康之のザ・ベストシリーズを読むと良いでしょう。

これからもテキストの選定と利用方法について色々とお伝えしていきますので、参考になれば幸いです。

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、自然科学の傾向と対策(物理、化学、生物、地学)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験に合格し、希望の区に有利な採用を得るためには

「特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策」の記事に載せたとおり、高得点での合格が求められます。

高得点のためには、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。

本記事では、教養試験のうち、自然科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年=令和6年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.自然科学の過去問分析

自然科学は例年、物理2問、化学2問、生物2問、地学2問の出題です。合計は8問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう(「/」で問題の境目となります)。

(1)物理

令和元(2019)年……張力/ファラデーの電磁誘導の法則
令和2(2020)年……トップラー効果/電気回路
令和3(2021)年……周期的な運動と慣性力/電気回路
令和4(2022)年……波の速さと波長/電気と磁気
令和5(2023)年……反発係数/電圧

(2)化学

令和元(2019)年……アルミニウム/結晶
令和2(2020)年……アルコール/ボイル・シャルルの法則
令和3(2021)年……糖類/金属結晶の構造
令和4(2022)年……金属/物質の三態と熱運動
令和5(2023)年……周期表と元素/炎色反応

(3)生物

令和元(2019)年……細胞の分化/視覚器
令和2(2020)年……DNAの構造/生態系の物質収支
令和3(2021)年……動物の発生/植物ホルモン
令和4(2022)年……細胞の構造/ヒトのホルモン
令和5(2023)年……ハーデイ・ワインベルグの法則/ヒトの脳

(4)地学

令和元(2019)年……太陽系の惑星/大気の大循環
令和2(2020)年……太陽系/地球の内部構造
令和3(2021)年……宇宙の膨張/海洋
令和4(2022)年……太陽の表面/日本の四季の天気
令和5(2023)年……太陽系の惑星/地層

3.対策方法

続いて、対策方法を、上記の過去問の傾向からお伝えしていきます。

まず、高校時代に上記科目を受験用に履修している方—例えば、理系の方で、物理と化学を学習してきたとか、文系の方でも、共通テストなどのために、化学と生物をしてきたというような方—は、一度過去問をさらっと見てみましょう。問題のレベルが非常に基本的な内容だと分かると思います。

そのような方は、以下の本でさらっと全体を復習したら、過去問をやっておきましょう。それで恐らく、解答ができるかと思います。

公務員試験-自然科学ザ・ベストプラス-ザ・ベストプラス-シリーズ-荒井義明

なお、過去問としては、以下が有名です。

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 自然科学

そのため、次に、高校時代に、受験用として物理・化学・生物・地学を学習してきていない方に絞って、対処方法を3つお伝えします。

【(1)対処方法1;自然科学を選択しないつもりで臨む】
特別区の教養試験は、自然科学・人文科学・社会科学で20問の出題中、12問を選択できれば大丈夫です。

もしも、自然科学に苦手意識があって今までも勉強してきていないなら、社会科学や人文科学での選択を増やし、時事をしっかり学習するという手もあります。なぜなら、時事を含めた社会科学・人文科学で合計12問あるからです。

つまり、極論を言えば、全部文系科目で固めて挑むこともできるわけです。もちろん、繰り返しとなりますが、その分、社会科学・人文科学・時事の3つの学習を熱心にしないとこの手は使えません

【(2)対処方法2;頻出分野だけをおさえる(一番お勧め)】
とはいえ、全ての文系科目を熱心に学習するのもしんどいものですよね。日本史は大学受験でも使ったから自信があるけれど、世界史や地理はほぼ一から……などのケースがあるからです。できれば、時事・社会科学・人文科学のうち3,4問が選択できなかったとき用に、自然科学も対策しておくことがお勧めです。

この3つの対処法の中で最もお勧めするものとしては、自然科学の頻出分野だけをおさえるというものです。

上記の過去問の出題傾向から、物理では電気分野、地学では太陽系を中心とした惑星は、ほぼ毎年出題されています生物の人体にまつわるもの、化学の物質の性質も頻出といえるでしょう。

こうした頻出の分野だけを学習するということです。このとき、かみ砕かれた説明本が望ましいので、テキストは以下が良いといえます。

公務員要点整理問題集 ポイントマスター 自然科学 (公務員試験 国家一般職(高卒者)・地方初級)

高卒程度となっていますが、この内容を踏まえて過去問を解けば大丈夫です。過去問もより解説が詳しいものとして、以下を選びましょう。問題集は分厚いですが、自身が学習した単元だけを学習することになります。

2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【7】自然科学I

2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【8】自然科学Ⅱ

【(3)対処法3ー科目を絞る(対処法2よりは勧めません)】
さて、時事・社会科学・人文科学のうち3,4問が選択できなかったとき用に、自然科学も対策するなら、自然科学の4科目中2科目程度を学習しておくという対処法もあります。これが、対処法3です。

これについては、対処法2よりあまりお勧めしません

理由は、ここで選択しようとする科目が、多くの人にとって、化学と生物ではないかと思うからです。そもそも、こうした対処法を考えたのは、自然科学に今までの学習キャリア上、自信がない人を想定していましたよね。そういう人は、高校1・2年次に一応履修した科目が、生物や化学という可能性が高いと思われ、一応触れたことがあるから、この科目に絞ろうか……となりやすいわけです。

ただ、特別区は、生物と化学という2科目の出題範囲が、物理や地学より広めとなっています(過去問傾向より)。そうなると、生物・化学の得点をとろうと、広範囲の学習に臨むこととなり、それなりの時間がかかります。

であれば、対処法2の方が、素早く3・4問の得点ができるように準備ができるというわけです。

なお、では、範囲が狭い、物理と地学だけをやるのはどうかという質問がでそうですが、物理の力関係の問題は、数学の処理に抵抗がある方にはしんどいでしょうし、地学の天体分野以外のもう一問は範囲が広いです。

となると、やはり対処法2が妥当となるわけです。

4.おわりに

本記事では、大学受験でも自然科学科目を使っていたり、抵抗がない方には、ザ・ベストシリーズで概要を復習しながら、スーパー過去問をすれば特別区の自然科学は点数が取りやすいことをお伝えしました。

一方で、自然科学に抵抗ある方は、特別区の場合、物理の電気、地学の天体、生物の人体、化学の物質の性質あたりを中心に学習をすることで、人文科学・社会科学・時事で解けない問題があるときに、代わりの役割を果たせることを伝えました。

この学習戦術を駆使して、ぜひ、高得点合格を目指してください。応援しています。

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、人文科学の傾向と対策(倫理・哲学、歴史、地理)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験に合格し、希望の区に有利な採用を得るためには「特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策」の記事に載せたとおり、高得点での合格が求められます。

高得点のためには、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。

本記事では、教養試験のうち、人文科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年=令和6年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.人文科学の過去問分析

人文科学は例年

■倫理・哲学1問
■歴史2問
■地理1問

の出題です。合計は4問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう。

(1)倫理・哲学

令和元(2019)年……実存主義の思想家
令和2(2020)年……生命倫理
令和3(2021)年……古代インドの思想
令和4(2022)年……江戸時代の儒学者
令和5(2023)年……中国の思想家

(2)歴史

歴史は、日本史、世界史から1問ずつ出題される傾向があります。以下は、日本史、世界史に分けて述べます。

【①日本史】
令和元(2019)年……鎌倉時代の仏教
令和2(2020)年……元禄文化
令和3(2021)年……日清戦争と日露戦争
令和4(2022)年……室町幕府
令和5(2023)年……国風文化

【②世界史】
令和元(2019)年……スペイン内戦
令和2(2020)年……オスマン帝国
令和3(2021)年……ローマ帝国
令和4(2022)年……大航海時代
令和5(2023)年……イギリスの産業革命

(3)地理

令和元(2019)年……世界の人口
令和2(2020)年……温帯の気候
令和3(2021)年……世界の地形
令和4(2022)年……世界の交通
令和5(2023)年……ラテンアメリカ

3.対策方法

続いて、科目ごとの対策方法を、上記の過去問を踏まえてお伝えしていきます。

(1)倫理・哲学

王道といえる西洋哲学史があまり出題されないという印象です。ただ、中国の思想家は平成30年度(令和元年度試験の前年度)に5年ぶりという形で令和5年度に出ましたので、令和6年度は、同じく5年ぶりに西洋哲学史が問われてもおかしくないかなと思われます。

後は、日本近代の思想家などが問われる可能性があるでしょう。インド哲学は元々がレアな単元なので、令和3年度からそこまで年数が経っていないので、無理に学習をしなくて良いかと考えます。

共通テスト 倫理 集中講義 (大学受験SUPER LECTURE)

もちろん、政治で紹介した畠山氏には、倫理も入っている以下の本もあります。説明の仕方が肌にあっている方には、そちらも良いかと思います(ただし、政治経済は最新版を得る方が望ましいです)。
こうした出題可能性の高い単元を中心に、大学受験の倫理の参考書を利用して読み込み学習すると良いでしょう。下記の本は、解説と問題が一緒についていて取り組みやすいと言えます。

大学入学共通テスト 畠山のスッキリわかる 倫理、政治・経済 完成講義

(2)歴史

【①日本史】については、数年に1回文化史が出るのですが、これが令和5年度に出題されました。したがって、令和6年度は政治史と思われます。最近問われていない、江戸期や明治・大正期の内政などは問われやすいのではないかと予測されます。

さて、対策本ですが、日本史を全く学習したことがない人は少ないと思います(小学校や中学社会で触れている部分があるため)。
そのため、日本史学習は、LECの解きまくりのポイントを読み、問題を解いていっても良いかと思います。

ただ、そのポイントでは載っていない用語や流れのために、以下の本を持っていて、辞書的に活用することはお勧めです。

新・美しい日本史ノート〔第2版〕

【②世界史】については、他の公務員試験種で定番といえる近現代(18世紀以降)のヨーロッパ史や中国史がここ最近ほとんど出ていません。ただ、それ以外の出題傾向は絞りにくいといえます。また、近現代が、政治において国際関係史が問われやすいことを踏まえると、今後も19世紀後半以降は世界史では問われにくいのかもしれませんが、政治のことを考えると学習はしておいた方が良さそうです。

対策本としては、大学受験の本格的なもので学習しますとボリュームが多すぎて、公務員試験の他科目学習に悪影響を覚えるといえます。他方、世界史は高校生から本格的に学び、受験で使わない場合は深く学んでいないので忘れているというケースがよく起こると思います。

そこで、
(ア)まずはざっくりとした本をサラッと読み
(イ)その後、用語集を時系列に並べたもので行うこと をおすすめします。

この際ですが、(イ)は全部をやったり用語を覚えようとするというより、流れを意識するつもりで学習しましょう。
あるいは、本格的な問題演習中の辞書的な形です。そして、(イ)が多少心許ない状態でも、上記でご紹介したLEC解きまくりで過去問演習をしましょう。

(ア)の本;今さら聞けない! 世界史のキホンが2時間で全部頭に入る

(イ)の本;時代と流れで覚える! 世界史B用語

(3)地理

令和5年度を除いて、いわゆる系統地理の範囲(気候、地形等)からの出題がされていました。令和5年のラテンアメリカは意表をつかれた形だったわけです。

令和6年以降が地誌になるのか、系統地理に戻るのかは分かりません。そのため、時間があれば両方の準備するのが望ましいわけですが、それが難しい人は、過去の割合からいって系統地理の学習をしましょう。

対策本としては、以下のように
(ア)を電子書籍で読んで素養を入れたらLEC解きまくりで演習しながら覚えましょう。

また、地誌まで手が周りそうならば
(イ)の地誌部分を読んでおく と良いでしょう!

(ア)の本;マンガでわかる高校地理: ケッペンちゃんと学ぶ高等学校地理 自然地理、農業、資源編

(イ)の本;カリスマ講師の 日本一成績が上がる魔法の地理総合ノート

なお、特別区の地理は難易度の低い問題が多いので、苦手意識を持たずに読むと、一般常識で答えられる問題も多いので諦めないようにしましょう。

4.おわりに

特別区の人文科学は、令和6年度受験において、まず、倫理・哲学においては、西洋哲学史と日本の思想を大学受験対策本を利用して学習しましょう。

次に、日本史は各時代の政治史を中心に学習しましょう。基本的にはいきなりLEC解きまくりの過去問題演習で良いかと思います。辞書的に整理された日本史の本を持っていることが望ましいです。世界史は、深入りしすぎないように流れなどを「ふわっと理解」した後は、過去問演習を通じ、知らなかったことを積み増すことが望ましいです。

最後に、地理は、ビジュアル的に分かりやすい参考書(時に漫画本)を利用して、系統地理→地誌の順番に学習することが望ましいと言えます。

ちなみに、究進塾は大学受験の対策も豊富な個別指導塾です。もしも、上記の参考書を読んでも頭にさっぱり入ってこないときは、個別指導で覚え方や、覚えられるような印象に残る教えを受けるのもいいかもしれません。

皆さんが、傾向にあった対策をすることで、高得点合格できることを願っています。

公務員試験の数的処理が苦手な人のための対策法

1.はじめに

公務員試験の教養試験で最重要科目とされているのが数的処理です。他方、苦手とする受験生も大変多いのがこの科目です。

長年指導をしてきて、数的処理が得意という人はあまりいた記憶がありせん。しかし、数的処理はどこを受験するにしても出題数が多く、全分野を捨てることはできないといえます。是非とも得意分野を1つでも多く作って本試験に臨むことが求められます。

これは、言い換えますと、得意「科目」にまで昇華する必要はなく、あくまで「この単元はできる」という部分を積み増していけば、公務員試験には十分に合格することができます。本記事では、その心構えの大切さや具体的に得意分野を増やす方法についてお話します。

したがって、苦手な人の対策法として参考にして欲しいと思います。

なお、数的処理とは通常「数的推理」「判断推理」「資料解釈」の3つを言いますが、対策の部分については、前者2つについて触れています。

資料解釈については「資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説」を参考にしていただければと思います。

2.公務員試験における数的処理の出題数

まず、いかに数的処理が重要な科目なのかを確認しておきましょう。以下の出題数をみると、多い試験種(国家一般職・国家専門職)では約47%、少ないところ(地方上級関東型)では30%となっています。

 国家総合職 16問/40問(院卒向けは、令和6年以降30問中14問になる予定)
 国家一般職 14問/30問の予定(令和5年度実施分までは40問中16問)
 国家専門職 14問/30問の予定(令和5年度実施分までは40問中16問)
 裁判所一般職 17問/40問
 地方上級(全国型) 17問/50問
 地方上級(関東型) 12問/40問
 東京都Ⅰ類B 16問/40問
 特別区 19問/40問

公務員試験の教養試験は、その年の倍率や試験種、専門試験がある場合はその成績にもよりますが、63~65%程度を取っていれば合格ライン到達となることが多いです。したがって、仮に数的処理以外が80%ほど正答できるとしても、出題数の多い試験種では45%ほどの解答を、少ない試験種でも、30%ほどの解答をしなければなりません。

(計算根拠)
国家一般職…数的処理以外16問中80%正答(=12.8問)+数的処理14問中45%正答(=6.3問)
     =19.1問が正解しているので、30問中でいうと正答率63.6%
地方上級関東型…数的処理以外28問中80%正答(=22.4問)+数的処理12問中30%正答(=3.6問)
     =26問が正解しているので、40問中でいうと正答率65%

ただ、正直、数的処理以外の問題で80%正答は苦しいといえます。
そのため、数的処理を苦手としている人でも出題の少ないところで40%程度、多いところで55%程度になるくらいの正答率があると望ましいでしょう。

3.苦手な人は「頻出分野に集中」しよう

「2」の議論から、数的処理については、教養試験の合格ライン(63~65%)を下回る水準で構わないものの、ある程度の正答率(40~55%)は確保しないといけないことが分かります。

では、この正答率を得るためにはどうしたら良いでしょうか。
結論から述べますと、頻出分野を丁寧に学習することが重要です。

理由は、頻出分野+資料解釈だけで、苦手な人が目標とする40~55%に届きやすいからです。
なお、頻出分野については、過去記事「直前期!数的処理の得点を伸ばす学習方法3選~数的・判断頻出単元ベスト10付き~」にあります。
そして、資料解釈については、「資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説」を参照ください。

さて、頻出分野が分かって、その箇所を公務員試験対策本で取り組むだけでは「集中=丁寧に学習した」ことになりません。なぜなら、公務員試験対策本には、数的処理の全単元が掲載されている本がほとんどだからです。換言すると、頻出分野の単元における演習量が十分ではないということです。もちろん、数的推理・判断推理・資料解釈と分冊化はされていますが、それでも足りないです。

数的処理あるいは数学に抵抗がない人は、その掲載されている問題量から新規性のある問題にも対応できる力を養えるでしょう。しかし、苦手な人はその対応力をつけるまでに、もっと多くの問題に触れないといけません。

とはいえ、ただやみくもに、複数の公務員試験対策本を買い沢山問題にあたればいいわけでもありません。

重要なのは、数的思考力が身につくように配列された教材を用いて学習することです。

具体例として、数的推理分野で出題数1位の「場合の数・確率」を取り上げましょう。この単元に取り組む際には、優しめの大学受験本などを用いて、きちんと「場合の数・確率」の考え方を思い出す(はじめて本格的に学習する人にとっては習得する)わけです。

優しめの大学受験本とは、例えば、沖田一希「数学I・Aをはじめからていねいに [場合の数と確率][データの分析][整数の性質]編」などです。大手予備校講師の講義調の本などを用いて、理解するわけですね。

当然、公務員試験の全単元をこのような学習していたら間に合わないでしょう。しかし、頻出単元だけを確実にものにし、数的処理を合格ライン到達の「足手まとい」にしないためには、大切にしたい戦略です。

こうした数的思考力が身につく教材を頻出単元分行った上で、公務員試験対策本のうちの過去問集(スーパー過去問など)に取り組みます。すると、この分野が完成されます。これを、数的推理と判断推理の頻出分野において多く行えば、資料解釈と組合せて求める得点ラインとなります。

4.苦手な人は「とにかく考える」ことを大事にしよう

「3」の対策方法は、数的推理のうちの「場合の数・確率」「数と計算」「約数・倍数」「方程式(速さ)」、判断推理のうちの「命題」「集合」、両科目にまたがる「平面図形(三角形含む)」「立体図形」などで使えるものです。なぜなら、中学校や高校の数学単元にあるからです。

対して、特に判断推理の頻出単元には、数学分野には存在しないものが多いです。例えば、「対応関係」「順序関係」「位置関係」などが挙げられます。

この分野はどうすればいいでしょうか。

実は、この分野は先に挙げたスーパー過去問などでも収録問題が大変多いです。そして、こうした分野には、覚えなければならない公式があるというわけでもありません。

したがって、いきなり問題集に取り組んでOKです。

ただ、このとき、重要な取り組み方があります。それは、いきなり解説などを読んで解き方を覚えるやり方を「しない」ということです。まずは、特段の公式がいらないわけなので、試行錯誤してみてくださいということです。

自分で考えて解いてみると、最初は1問20分かかるときもあると思います。それで良いのです。そうして時間をかけて取り組んだ後、じっくり解説を読みます。そこには、要領の良い解き方が載っていることでしょう。そのとき、「あぁ、なるほど、こう解くとスムーズなのか」と悔しい気持ちも混じった感じで納得すると思います。

その後(できれば次の日)に、今度は解説を思い出しながら要領の良い解き方で解いてみます。このように、「試行錯誤→要領の良い解き方」の習得をすると、いきなり要領の良い解き方に行くより、素早く考え解くコツが身につきやすくなります

なぜなら、自分が問題に向き合った思考過程が何もないと、「自分がどう考えて遠回りしてしまったか」や「自分がどういう思考をしがちなのか」、「多少遠回りでも解ききるな経験」などが乏しいため、本試験でつまづくことが多くなるからです。

やはり、本試験は過去問を少しアレンジしてきますので、アレンジへの対応をする意味でも「考える」ことを大事にしましょう。

5.まとめ

本記事では、数的処理が苦手な人には、合格ラインと呼ばれる6割強を数的処理科目で取れなくても良いものの、4~5割強は取れるようにすることをまずお伝えしました。

その後、中学・高校の数学で扱う頻出単元については、その教材に立ち戻って(はじめての方は利用して)、きちんとその単元に相応しい思考力を身につけることを推奨しました。

最後に、扱われていない単元は、いきなり過去問をやって良いのですが、きちんと考えながら臨み、解説を有効活用することを述べました。

こうした学習を、頻出単元に対し丁寧に行いつつ、資料解釈をこつこつトレーニングすれば、必要とされる正答率を得られます

参考にして、励んでみていただければ幸いです。

なお、「中学・高校の数学で扱う頻出単元については、その教材に立ち戻って(はじめての方は利用して)」の部分が、本の教材ではどうにも進まないという方には、個別指導という手もあります。究進塾ではこの手伝いができますので、悩まれている方は体験授業に一度ご参加ください。お待ちしています。

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苦手な人必見!公務員試験の経済学を得点するための勉強法

1.はじめに

経済学は、得点が安定的にとれるまでの勉強量が多く、また計算を要する問題が出題されるため、苦手としている人が多いという科目です。
しかし、経済学はいずれの試験においても出題数が多いため、捨て科目にしてしまうのはリスクが大きいといえます。もちろん、苦手なままで本試験に挑むと、合否に大きな影響を与えます。

この記事では、苦手の克服法として使える入門書を紹介しています。参考にしていただき、是非とも得点できる科目にしてください。

2.公務員試験における経済学の特徴

2−1.出題数

まず、出題数を確認しておきましょう。

経済学(ミクロ経済学+マクロ経済学+経済政策)の出題数
・国家一般職 40問解答中の10問分あり(※科目選択した場合)
・国税専門官 選択24問解答中の6問(※科目選択した場合)
・財務専門官 必須28問解答中の6問
・裁判所事務官 選択した場合10問(全体の3分の1となる)
・地方上級(関東型) 必須40問中の12問
・地方上級(中部・北陸型) 50問中40問を選択解答できるうち、14問出題
・東京都特別区 55問中40問を選択解答できるうち、10問出題
このように、出題数の25~35%ほどを占めるのが経済学です。しっかり取り組み、得点源にすると、合格へ大きく近づくことがお分かりになるかと思います。

2−2.出題傾向

〇マクロ経済学

どの試験種でも、乗数理論、IS-LM分析、消費関数、フリップス曲線、新古典派成長理論が頻出です。地方上級は国民経済計算が、裁判所は開放経済が、国家系は貨幣供給、AD-AS分析がよく出ます。

〇ミクロ経済学

試験種を問わず、消費者理論・生産者理論・完全競争市場・不完全競争市場・市場の失敗・ゲーム理論・国際貿易がバランスよく出題されます。

また、学習すると分かるのですが、数学的科目と同じで、前の分野が分からないと後の分野が分からない構造になっています。このことと、満遍なく出ている出題傾向からは、公務員試験の経済学テキストは全単元取り組まないと安定的な得点は厳しいといえます。

2−3.出題形式

問題形式としては、ミクロ経済学、マクロ経済学どちらにおいても、文章題(理論を問う)、計算問題、グラフを絡めた問題の、大きく三つに分かれます。それぞれについては以下のような問題が出題されます(いずれも平成27年度特別区試験より抜粋)。

文章題
経済学(文章題)

計算問題
経済学(計算)

グラフを絡めた問題
経済学(グラフ)

3.苦手な人の経済学学習方法

それでは、いよいよ苦手な人向けの学習方法をお伝えします。
結論から述べると、

「軽めの内容のテキスト(入門書)を1周してから、対策本に入る」というものです。

まず、軽めの内容から入る理由を述べます。それは、学習の初期は、文章題とグラフの問題をクリアすることに注力して欲しいからです。言い換えますと、経済学の概念を言葉とグラフで理解して欲しいということです。

ただ、大抵の公務員試験の本は、その1冊で全てを理解させようとしますので、計算も詳しく説明されています。そこで、入門書で、注力すべき点を最初におさえましょうということです。

そして、お奨めの入門書を紹介する前に、どうして、文章題とグラフ問題に注力した方がいいのかについて、説明しておきます。

具体例として、「デフレ・ギャップ」を取り上げます。これは、計算問題ですと、下図の「デフレ・ギャップ」となっている部分を求めればいいので、横軸Yfのところでの青軸の縦値から赤軸の縦値を引けば求まることになります。ある横軸の値における縦軸の値を一次関数において出すだけなので、計算自体は四則演算が分かればできます。

しかし、そもそも「デフレ・ギャップ」が何なのかも分からずに、ここを「求めればいいのだ」と覚えて計算できるようにしても応用がききません。また、そもそも、経済学の全単元でそのような学習をして頭の中に覚えていくことは、恐らく不可能でしょう。断片的に覚えることが多くなりすぎてしまうからです。
やはり、「デフレ・ギャップ」という概念を理解し、グラフでの表現がどうなるか(=上図になる理由)を理解した上で計算処理に入らないと遠回りになります。

ということで、文章題とグラフの問題を最初にクリアする重要性が分かったところで、お奨めの入門書を3冊紹介します。

【1】経済学のエッセンス100第3版(多和田眞、近藤健児著、中央経済社)
この本は、見開きで左側に概念、右側にグラフなどの図解という体裁で、ミクロとマクロの頻出概念を合計100個紹介しています。これ以外の概念も公務員試験では出ますが、初学者には後々つまづかないものがセレクトされており、本格的に公務員用テキストを学習する前に一読するのにうってつけと言えます。

【2】みんなが欲しかった! 中小企業診断士の教科書(下) 2024年度 [経済学・経済政策 経営情報システム 経営法務 中小企業経営・政策](TAC出版)
この本はタイトル通り、中小企業診断士用の対策本です。実は、中小企業診断士の経済学(経済政策含む)は、計算問題が少なく、その分、言葉とグラフの対策を念頭に置いた記述となっています。こちらも、本格的に公務員用テキストを行う前に読むと、習得が早くなるでしょう。
なお、経済学は、この本に収録されている4科目中1科目しか該当しません。また、経済学の時事性はあまりないといえます。したがって、ヤフ―オークションやメルカリなどで過年度(中古品)を購入すると、経済的と言えるでしょう。

【3】1項目3分でわかる 石川秀樹の経済学入門ゼミ(石川秀樹著、日本実業出版社)
2010年発売と古いですが、定評のある本です。こちらは上記1.2よりも扱っている範囲は狭いのですが、所々に公務員試験過去問が掲載されています。また、本格的に公務員用テキストとして、同一著者の本(速習!マクロ経済学速習!ミクロ経済学)を使う時には移行しやすいという利点があります。もちろん、言葉とグラフの理解が中心で、仮に数式を使うとしても大変丁寧に説明してあります。

以上の3冊のどれかに取り組んでから、本格的な公務員試験対策の経済学テキストにいきましょう。この際のテキストは、上記の石川秀樹著の速習シリーズか、最初からつまづかないシリーズが良いでしょう(リンクはミクロ経済学にしていますが、マクロ経済学もあります)。
また、問題集は、LEC出版の「解きまくりシリーズ」の最新版が良いでしょう((リンクはミクロ経済学にしていますが、マクロ経済学もあります)。

4.まとめ

以上お伝えしたとおり、出題量が多く、知識の積み重ねが求められ、言葉とグラフ、数式で問われる科目である経済学は、公務員試験の中で難関と位置付けられます。これを苦手科目としないよう、本記事では、「急がば回れ」の精神で、言葉とグラフが理解できやすい入門書を最初に行ってから、公務員試験対策本&問題集に取り組むことをアドバイスしました。
もちろん、究進塾では、経済学の個別指導をしておりますので、「本ではなかなか頭に入ってこない!」、「動画や集団講義だと自分の疑問が氷解せず先へ進めない!!」といったことに悩んでいる方にはうってつけです。無料体験もありますので、そうしたご活用もご検討ください。

【公務員試験】経済学(ミクロ・マクロ経済学)講座のご案内

「畑中敦子の資料解釈ザ・ベストプラス」のレビュー

畑中敦子の資料解釈ザ・ベストプラス【第2版】

本書の大きな特徴は、インプット編とアウトプット編に分かれている点です。

インプット編では、基本的な解き方や出題頻度が高いデータ、時短テクニックなどを、比較的易しい問題で確認していきます。

そしてアウトプット編ではインプット編で学んだ解き方やテクニックを使い問題演習を行います。レベル順になっていたり目標時間が設定されていたりと、自分の力量に応じて無理なく学習できる作りになっています。

また本書は全体を通して、非常に解説が丁寧な点も大きな特徴です。
この一冊で資料解釈の対策は十分でしょう。特に資料解釈を苦手とする人やこれから取り組む人に最適です。また、資料解釈を得意としている人でも、問題演習として取り組むことで、より力をつけることができる一冊でしょう。

使い方としては、まずはインプット編でしっかりと資料解釈に対する必要な知識を身に着け、アウトプット編で実践的に解いていくのが良いでしょう。アウトプット編では4問1セットとなっており、設定されている目標時間内に解くことを目指して頑張ってください。

注意点としては、解説が非常に丁寧なので、ある程度資料解釈が得意な人は少し使いづらさを感じるかもしれません。また本書は「なるべく計算を省く」スタンスなので、地道に計算して答えを導くスタイルの人向けの解説にはなっていない部分があります。

資料解釈は都庁・特別区では4問、国家一般職では3問と多く出題されます。1点の重みが非常に大きい公務員試験では重要な科目の一つと言えます。資料解釈が苦手だけど点数を稼ぎたい方にはぜひおススメしたい教材です。

「数的推理(判断推理)が面白いほどわかる本」のレビュー

1.はじめに

2018年にKADOKAWAから出版された、柴崎直孝「数的推理が面白いほどわかる本」「判断推理が面白いほどわかる本」を紹介します。

公務員試験「数的推理」が面白いほどわかる本

公務員試験「判断推理」が面白いほどわかる本

公務員試験における数的処理は、合否を左右する重要な科目です。

そのため過去問をとにかく解くことは欠かせません。ただ、数的処理を苦手としている人の場合、いきなり過去問に向かっても挫折する可能性が高いです。このとき、予備校や市販のテキストを併用することが一般的です。

そして、市販テキストで有名なものといえば、畑中敦子氏の「畑中敦子のゼ・ベスト」シリーズ(令和6年時点でNEOが最新版)であり、予備校を使わない独学組に愛用されています。

畑中敦子の数的推理ザ・ベストNEO

畑中敦子の判断推理ザ・ベストNEO

一方、大手予備校講師として畑中敦子講師に匹敵するほどの人気講師だった柴崎直孝講師が書いた「数的推理(判断推理)が面白いほどわかる本」も使っている方がいる、ロングセラー商品といえます。

「面白いほどわかる本シリーズ」自体、大学受験の参考書としても多く出版されているシリーズであり、こうしたシリーズのラインナップをされること自体、信頼性の高い本だと感じます。

今回は、この「数的推理(判断推理)が面白いほどわかる本」が本当に面白いほどわかる本なのか、他のテキスト関係の本との比較などもしながら検証してみたいと思います。

2.全体のレビュー

本書は、「数的推理が面白いほどわかる本」と「判断推理が面白いほどわかる本」の2分冊になっています。

各項目(分野)について見開き2〜3ページ程度にまとまっており、黒・赤の2色刷りのためにとても読みやすいです(テキストによっては色を多用して、かえって読みづらいものもあるので)。

また、各項目(分野)ごとに、

①重要度(ABC)
②到達目標(「〇〇できるようになる」という表記がある)
③問題と解説
④出典(どの試験で出題されたか)
⑤難易度(5段階)
が書かれています。

このうち、①重要度と⑤難易度は、受験生にとって学習の指針になります。著書は長年にわたり公務員試験の数的処理を研究してきた講師なので信頼がおけます。とはいえ、2024年時点で6年ほど著書出版から経過していますので、公務員試験ジャーナルなどを読んで、最新傾向を補う必要があります。

全体のボリュームは薄いです。例えば、上述の畑中敦子著、それから公務員試験対策本で定評ある実務教育出版から出ている「玉手箱」シリーズと比較すると、以下となります。

公務員試験 数的推理がわかる!新・解法の玉手箱

公務員試験 判断推理がわかる!新・解法の玉手箱

柴崎氏の面白いほど分かる本 畑中氏のザ・ベストシリーズ 実務教育出版の玉手箱シリーズ
数的推理 240ページ 384ページ 315ページ
判断推理 240ページ 400ページ 326ぺージ

こうして比べると、「面白いほどわかる本」の薄さが分かると思います。ただ、著者も述べていますが、本書は「問題集というより、参考書」です。

「ザ・ベストシリーズ」が、単元を貫く知識の伝授という知識面だけでなく、問題集として各単元にまつわる様々な問題を収録している「テキストと問題集一体本」であるのに対し、「面白いほど分かる本」は単元にまつわる考え方に特化した本であるといえます。

なお、「玉手箱シリーズ」は、特に数的等では、算数・数学のおさらいなどがあり、苦手層にフォーカスしたテキスト本の体裁となっています。

これに比べると、「面白いほどわかる本」は、そこまで苦手層にフォーカスしている感じとは言い難いです。とはいえ、受験生と講師(多分、柴崎講師と思われるイラスト)の対話形式で解説が進むので、難解な印象はありません。

なお、Amazonの口コミレビューにもありますが、ASK編集部としてもハマったポイントは、ところどころに挿入されている「コラム」です。ここに、大手予備校で人気講師だった著書からの熱いメッセージや、ちょっとしたプライベートが垣間見られ、学習に良いアクセントが生まれています。

もちろん、どれも受験に役立つ内容になっています。しかも、コラムの数がけっこうあるので、次のコラムを楽しみに読み進めることができます。

3.数的推理のレビュー

全16章84項目を扱っており、頻出単元で扱われていないというところはないといえます。そして、「場合の数」「図形の計量」「速さ」という数的推理3大出題は、これを踏まえかなりの項目数を割いて典型出題に基づく必要知識を述べています。

ただ、上述のページ数と会話調という影響を受けていますので全84項目共に、1項目につき1問です。本来は、単元の知識を吸収後、その知識に基づいて何題か解きたいところですが、そのような構成にはなっていません。

加えて、数的推理に必要な数学力について、「分数の四則演算」「方程式の途中計算」「平方根」「図形の面積」などが数的処理を解きながら覚えないけれど「知っておいて欲しい」との言及をしつつ、その数学的知識を解説するページを特別に設けているわけではありません。算数や数学の基礎に大きな不安のある人は、別書などで補う部分が必要といえます。

とはいえ、その知識伝授については、圧倒的な分かりやすさを誇ります。また、会話調の部分だけでなく、問題を解くのに必要十分な図を与えてくれますので、視覚的な理解促進もなされています。さくさくとスピーディーに知識を得ることには向いています。

また、冒頭の2項目は、数的推理という科目の特徴である「推理」の大切さを教えてくれます。上述したコラムと合わせると、どのように数的推理を学習していけば良いかが見通せる本になっているといえるでしょう。

4.判断推理のレビュー

全20章71項目を扱っており、数的推理と同様に、頻出単元に重きをおいて、その他の単元も含めて過不足なく扱っています。そして、判断推理も、単元知識を吸収後に、その知識に基づいて何題か解ける訳ではないところも同様となります。

判断推理では、表や図を自分で書いて解く必要がありますが、どのようなものを書けばよいのかを前半の単元で、しっかりと示してくれています。

そのため、苦手な人はもちろん、特に得意というわけでなければ、本書をただ目で見て読むだけではなく、実際に手を動かして、表や図をそっくりそのままマネして書いてみると効果的になるかと思います。

後半の単元は、図形についてたくさんの問題・解説ですが、ここはコンパクトで会話調という本書の特徴が少し課題に感じる要素になってしまっているかもしれません。

例えば「ザ・ベストシリーズ」ですと、図を多く掲載しています。これに対し、一つの図で複数を本書では説明していますので、図形問題を苦手としている人には読みづらいかもしれません。

とはいえ、予備校で講義を聞くとなると、理解が追いつかないときでも次へと進んでしまいますが、本だとじっくり向き合えるため、大きなデメリットとはならないでしょう。

5.まとめ~「面白いほどわかる本」がお勧めな方~

『面白いほどわかる本」は、著者が述べているように「参考書」です。この意味を十分理解して使用するのであれば、効果の大きい本といえます。

具体的には、必ずこの本だけで対策を終わらせないことです。この本で知識を得たら、市販の問題集で演習をする必要があるということです。

これを踏まえると、「面白いほどわかる本」をお勧めする人は以下となります。

・数的処理に関して、知識を得る本と問題演習の本を分けたい人で、知識をスピーディーに得たい人
・数的処理の学習方法や公務員試験の突破に関する心構えなどを得たい人
・計算の仕方や図形の公式など、算数や数学の基礎と思われる部分への不安が少ない人

一方、テキストと問題集を一体的に使いたかったり、図形問題で丁寧に図を何個も使って説明してもらいたい方には、「ザ・ベストシリーズ」がお勧めとなります。また、算数や数学の基礎を補ってもらってから数的処理の学習をしたい場合は「玉手箱シリーズ」がお勧めです。

レビューを参考に、ご自身に合った参考書で合格を掴み取ってください。応援しています。

大手予備校講師おすすめ!公務員試験で使える参考書まとめ

公務員試験用の参考書や問題集ってたくさんあってどれを選べばいいかわからないという人は多いのではないでしょうか。

勉強を進めていくうえで自分のレベルに合わない参考書や問題集を選んでしまうと内容を理解するのに時間がかかり、学習に余計な時間がかかってしまいます。

そのため、評判がいいからとか売れているという理由で選ぶことはおすすめしません。大事なことは、あなたに合ったものを選ぶということなのです。

ここでは、これから公務員試験の学習を始める人、またすでに勉強を始めている人で参考書選びに迷っている人に向けて、どのような参考書を選べばいいかを大手予備校講師にヒアリングしてまとめましたので参考にしていただければと思います。

※問題集や参考書は最新版であることを確認し購入するようにしましょう。

1.教養科目の参考書・問題集

教養科目はどの試験でもそれほど難しい問題が出題されないので、基本的な問題を確実に解けることが重要です。

初学者は過去問に入る前に必ず基礎を身につける必要があります。 ここでは定番ですが分かりやすさを重視したものを紹介していきますので、ここで紹介するものは何度も繰り返し、必ずマスターするようにしてください。

1-1.数的処理・判断推理・資料解釈

どの試験でも数的処理・判断推理・資料解釈は必須問題であり問題数も多く、試験を大きく左右する科目となっています。 一般的に数的系の問題集は易問+標準問+難問(奇問)で構成されますが、公務員試験は満点を目指す試験でありませんで、難問(奇問)手をつけずに、易問+標準問で着実に得点して行くだけで上位合格が見えてきます。

■畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス
畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス
畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス

数的系の参考書の定番といえばこの畑中シリーズで、判断推理・資料解釈も同シリーズでおすすめです。

畑中敦子の数的処理系の書籍は受験生に非常に人気があり過大評価ともいえる面もありましたが、本書はそのリニューアル版として2015年に発行されたものであり、さすがの畑中敦子ともいえるような出来になっています。

一つの例題につきその解き方について懇切丁寧に解説が書かれており、基本問題について書籍の中ではこれ以上にない分かりやすさになっています。

基本問題とは別に練習問題もついているため、一通り基本を身につけたら練習問題を解くことで確実に実力アップができます。

判断推理と資料解釈も同じシリーズが出版されているので、まずはこれらをマスターすることから始めるといいでしょう。これだけでは問題数としては少ないので、一通り学習を終えたら過去問を解いていき問題を数多くこなすようにしていきましょう。

ちなみに、本誌は「超わかりやすい」ことがウリのため、解説が長くなっていることから、ある程度わかっている人にとってはまどろっこしいものとなるので、自分のレベルを見極めて使うのがいいでしょう。

■数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱
数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱 改訂第2版 (公務員試験)
数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱

上記の畑中シリーズは定番と言えますが、本書もわかりやすさで言えば群を抜いています。

本書の大きな特徴としては、算数のおさらいから始まっている点です。
足し算や引き算の方法など、「そんなレベルから?!」と目を疑いたくなるような内容が解説されているので算数や数学が本当に苦手な人にとっては最初に手をつける問題集としてはよいかもしれません。

問題ごとの解説も解き方をステップごとに書いており、つまずきそうなポイントも補足として説明されているので「これから数的を始めるけれど算数や数学は苦手」という人にはとてもおすすめできる一冊です。

1-2.英文読解

どの試験でも英文読解は4〜5題出題されます。

単純な長文読解(内容把握)だけでなく、空欄補充や会話文が出題されることもありますが、基本的な勉強方法はまずは基本レベル英単語を理解し、そして英文を読む事に慣れることです。

なお、書店に多く英語問題集がありますが、現在自分レベルにあった問題集をま ず1冊だけ見つけ、それをボロボロになるまで使う事が大事です。ボロボロになったら次レベ ル本を買いましょう。また、TOEIC 用問題集、TOEIC 出題傾向にやや偏っているで、できれば様々な分野文章が読める大学受験用テキスト方がよりおすすめです。

■速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]
速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]
速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]

大学受験では定番の速読英単語ですが、公務員試験でも使えます。 速読英単語の特徴はなんといっても長文の中で英単語を覚えられるため、長文を読む力を身につけると同時に単語も覚えられるという利点があります。

公務員試験の英文読解では基本的に短い時間で文章の大意をつかむことが求められるため、長文読解型の本書は非常によいトレーニングとなりおすすめです。

同様の単語帳として「DUO」がありますが、こちらは短い例文の中で詳しい解説が載っているというものであるため、公務員試験においてはより長文である速読英単語がおすすめです。

使い方としては文章を読んでいきとにかく英文のまま内容を理解できるようにしてくだい。 途中でわからない単語や文章があるかもしれませんが、公務員試験ではとにかく要点さえつかめれば解答できる問題が多いので、一通り読んだ後に単語や構文の確認をする、という方法でやっていけば必ず長文の読解力はついていくでしょう。

本書は英語の初心者〜中級者向きであるので、簡単に感じられるのであれば過去問を解いていくか次に紹介する「リンガメタリカ」を使うことをおすすめします。 英語が苦手で難しいなと思われる人は次で紹介する速読速聴・英単語 Basic 2400がおすすめです。

■速読速聴・英単語 Basic 2400
速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3
速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3

英語が本当に苦手でアレルギーがある方は本書から始めることをおすすめします。

本書も英文中で単語を覚えていく形式ですが、2段落程度短い英文から始まります。しかも、本書は「中学英語」 という分野から始まり、every day や find out など超基礎単語について赤字で示し、同じペ ージ下に単語解説が掲載され、訳右ページに掲載されています。

every day くらい知っ ているよ、という方でも、苦手な人はそのような簡単な単語混じった文章を読む事が難しいことが多いので、英文に慣れるという意味で本書はおすすめです。

■話題別英単語 リンガメタリカ
話題別英単語 リンガメタリカ [改訂版]
話題別英単語 リンガメタリカ [改訂版]

こちらも大学受験で使われる参考書ですが、環境や科学、経済など現代の重要テーマをピックアップしており、他の参考書と異なり各重要テーマの解説が日本語で解説しながら、さらにその文中で英単語を紹介しているので公務員試験で問われる様々な教養英文に対応できます。

ある程度基本ができている人でさらにレベルアップしたい人や、とにかく分量をこなしていき英語を得点源としたい人にはおすすめの参考書といえるでしょう。

1-3.時事

■速攻の時事
公務員試験 速攻の時事 平成27年度試験完全対応
公務員試験 速攻の時事 平成27年度試験完全対応

公務員試験の時事対策の定番ともいえる本書ですが、出題される内容についての基本事項を非常にわかりやすくまとめられています。 時事の勉強を進める上で本書に書いてあることは最低限覚えておくといいでしょう。

しかし、本試験では本書に記載されていない分野も多く出題されるので、これ1冊だけで挑むのは危険です。あくまで基本事項を一通り理解するためのものと心得ておき、模試などと併用することで幅広い知識を身につけるようにしましょう。

2.専門科目の参考書・問題集

行政職の試験では、憲法、民法、行政法、経済原論(ミクロ経済、マクロ経済)のウェイトが重 く主要科目となっています。出題分野には傾向があるので、勉強次第では専門科目全体で8 〜10 割を得点することも可能ですが、問題䛾レベルは決して簡単ではありません。

大学で使用した基本書をもとに過去問集を解いて行けば独学でも合格可能ですが、大学で 履修していない科目(たとえば、法学部・文学部系であれば経済原論)については公務員試験対策用の参考書等で基本的な内容を理解することが必要になります。

以下では知識が全くない状態の方が基本的な知識を身につけるのに適した参考書を紹介します。

2−1.経済原論

■公務員試験 最初でつまずかない経済学(ミクロ/マクロ)
公務員試験 最初でつまずかない経済学 ミクロ編
公務員試験 最初でつまずかない経済学 ミクロ編

公務員試験 最初でつまずかない経済学 マクロ編
公務員試験 最初でつまずかない経済学 マクロ編

大学で経済学を学んでいる人でも経済原論を苦手とする人は多いのが現状です。 経済原論は市販の参考書で分かりやすいものは非常に少ないのですが、中でも初心者にとって最も分かりやすいのは本書ではないでしょうか。

前半が教養レベル、後半が専門レベルという構成になっていて、全くの初学者でも難しい理屈を抜きにした内容から入っていくので理解が進みます。 経済学に出てくるややこしいグラフや論点についてもわかりやすく解説されており欄外のコメントも理解を手助けしてくれるものとなっています。

よっぽど経済原論が得意だという人以外はまずは本書をしっかりと通読し、過去問に取りかかれば本試験に対応できる力を身につけることができるでしょう。

2−2.民法

■郷原豊茂の民法まるごと講義生中継
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈1〉総則・物権編 第6版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈1〉総則・物権編 第6版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)

郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈2〉債権編 第5版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈2〉債権編 第5版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)

民法は事例が複雑であったり専門用語が多かったりするため苦手とする受験生は非常に多く、市販の参考書ではほぼ間違いなく挫折してしまいます。 その中でも本書は初学者でも難しい民法をしっかりと理解できる唯一の参考書ではないでしょうか。

本書は講義口調で書かれている点で読みやすく、民法を理解する上で欠かせない具体例や図も多く掲載されているので入門書としては最適な一冊でしょう。

まずは一通り通読し論点を理解するように努めましょう。ざっと理解したら過去問に取り掛かり、その都度不明な点は本書に立つ戻り理解をしくという流れでいいでしょう。

本書だけではカバーできない判例が多くありますので、基本は本書で理解し過去問を解きながら判例を覚えていくという方法で学習していくことで本試験に必要な学力を身につけることができます。

2−3.行政法

■国家試験受験のためのよくわかる行政法
国家試験受験のためのよくわかる行政法
国家試験受験のためのよくわかる行政法

理解しにくい行政法について、事例を織り交ぜながらわかりやすく説明されており入門書に最適な一冊です。

行政法は民法等と異なり、抽象的な事項が多いのでイメージがしづらく苦手とする受験生が多くいます。本書は行政法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法等、行政法全体について重要ポイントを、事例を織り交ぜながらわかりやすく説明しており、入門書として、また、基本書や過去問集を解く際は補助教材としておすすめの一冊です。

用語索引もついているので迷った時にすぐに調べられるのでとても重宝します。(基本書と異なり予備校等出版のテキストには索引がついていないことが多く不便なこともありますが、索引付きは本書は受験生の勉強に優しい1冊です。)

※行政法は平成26年改正が反映されているか必ず確認しましょう!

2−4.憲法(記述対策)

■公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ
公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ
公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ

なかなか記述対策の良書はないのですが、憲法の記述対策については本書が評判です。
理由としては、
・公務員試験の過去問題を載せている
・覚えるべきポイントや判例が分かりやすく示されている
・過去問題を載せつつ、オリジナル問題も載せている
・おさえるべき論点がもれなく掲載されている
という点です。

本書を読み込み、掲載されている問題をしっかりとこなせば裁判所事務官一般職や国税専門官・財務専門官の問題には対応できるでしょう。

ちなみに、本書の民放・行政法版もありますが、論点が少ないといった声もあるため購入するかどうかは実際に手にとって見て判断したほうが良いかと思われます。

3.過去問集(全科目対応)

■新スーパー過去問ゼミ
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ4 憲法
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ4 憲法

いわゆる「スー過去」のことであり、公務員試験の定番の過去問集です。

問題として良問がセレクトされており、網羅性もありながら問題数もちょうどよく、頻出度の表示もあるので用途に応じて使うといった方法もでき汎用性が高いのが特徴です。

基本的な参考書で一通り学習したあとは本書を繰り返し解くことで本試験に対応できる力を身につけることができます。

しかし、解説がそれほど詳しくないため苦手科目だと理解に苦しむ可能性がありますので、本書に手をつける前に解説が詳しい問題集で基礎力を身につけたほうがよいでしょう。また、解説が後ろにまとめて掲載されているので、1問ずつ答え合わせをするのがやや不便だと感じるかもしれません。

ただ、学習が進んでいる人や得意科目を伸ばしている人にとっては解説の短さは時間の短縮につなげることができるので、自分の科目ごとのレベルに応じて使うことをおすすめします。

■過去問新クイックマスター
公務員試験 過去問新クイックマスター 判断推理・図形 <第5版>
公務員試験 過去問新クイックマスター 判断推理・図形 <第5版>

近年、評判をあげてきた過去問集であり、過去10年の各試験種の出題状況を示した表はとても役立ちます、 また、解説も詳しく、問題と解説が見開き1ページになっているので、上記のスー過去が難しいと感じる人や苦手科目について問題を解くことでしっかりと理解したいという人にはおすすめです。

注意点としては問題数が非常に多く解説も充実しているので1周するのに相当な時間がかかるということです。 頭から解いていくと途中で挫折する可能性もあるので、頻出の分野や重要な部分だけ解くなどポイントポイントで解くという方法から始めるといいでしょう。

時間をかけて一冊すべてマスターすれば相当な力がつきますので、本試験まで時間がある人は取り組んでみてもいいでしょう。

■国立大学法人等職員採用試験攻略ブック (別冊受験ジャーナル)
国立大学法人等 職員採用試験攻略ブック 28年度 (別冊受験ジャーナル)
国立大学法人等 職員採用試験攻略ブック 28年度 (別冊受験ジャーナル)

国立大学法人の過去問が掲載されているだけでなく、試験制度や仕事内容についても掲載されているので、一通り学習し直前期に過去問をざっと確認したい人にはおすすめの一冊です。

本書はあくまで国立大学法人の出題がどのようなものかを確認するものであるため問題数はそれほど多くないので基本を学んだあとは上記のスー過去やクイックマスターなどで別途問題演習をこなしていく必要があります。

4.まとめ

公務員試験の参考書は数多くありますが、初学者でも使えるものは意外と少ないのが現状です。 特に独学者は参考書選びは非常に重要であり、それにより合否が決まると言っても過言ではありません。 この記事を参考に、自分に合った参考書を選び合格を勝ち取りましょう!