公務員試験情報

公務員試験(教養型)の直前対策、効果を生みやすい学習3選!!

1.はじめに

公務員試験の直前期となると、焦ってくる心理状況と、覚えなくてはならないことが多いことが重なって学習が手につかなくなってきませんか。

本記事は、3点に絞って、直前期の筆記試験対策に関して、何をどうすべきかをアドバイスします。

なお、試験対策の筆記は、SPIなどの民間筆記試験型ではなく、公務員特有の教養試験を想定しています(民間筆記試験型については、こちらの記事を確認ください)。

【経験者採用】知らなきゃ損する!基礎能力検査(SPI,SCOA,GABなど)の最短攻略法

2.直前期対策方法①ー暗記科目を重視して学習を

直前期対策の1点目は、暗記科目を重視するということです。暗記科目とは、社会科学に分類される政治・経済・社会・時事、人文科学に分類される日本史・世界史・地理・倫理(思想)、自然科学に分類される物理・地学・生物・化学を指します。

なぜ、暗記科目を重視した方が良いかというと、それは、そもそも暗記という行為自体、直前期にやったほうが試験まで覚えていられるからです。皆さんの中にも、一夜漬けで中高の定期考査を乗り切った方がいると思います。そのように、直前期に、短期記憶力に賭けて頭に叩き込むわけですね。

なお、直前期ですから科目は絞りましょう。何の科目を学習した方が良いかについては、「自身の学習経験」と「出題数」の掛け合わせで考えていきます。

「自身の学習経験」とは、中高時代や公務員試験で学習してきたことを意味します。やはり、学習してきた場合は飲み込みが早いので、素早い暗記が期待できるからです。

そして、「出題数」はそのままですが、自身の受験する公務員試験種をきちんと調べて、その出題数の多寡によって決めるわけです。

ただ、その科目に絞って学習するにしても、知識系の出題数の7割程度に届かない場合は、「科目の重さ」に注目して、学習する科目を追加しましょう。「科目の重さ」とは、大学受験における暗記量(参考書の分厚さ)を比べて薄いものを実施するということです。

科目系統ごとにその点をお伝えしていきましょう。

社会科学は、暗記項目が少ない順が社会→経済→政治です。社会は時事も絡み、時事の出題数はいろいろな試験種で多いので、社会は学習すると良いでしょう。なお、経済は確かに政治よりは覚える量は少ないですが、グラフだったり、やや数学的な思考力が問われるもので苦手意識がある方は、暗記量にとらわれず、政治をしても良いでしょう。

人文科学の暗記項目が少ない順は、倫理(思想)→地理→日本史→世界史です。この順が負担としても小さくなるでしょう。

自然科学の暗記項目が少ない順は、地学→生物→物理→化学です。ただ、物理は計算などが多く苦手意識の強い方は化学と入れ替えて考えても良いかなと思います。

以上の考えを、実際に、具体例で当てはめてみましょう。
例えば、警視庁一類を受験するとします。50%以上とれれば筆記は通過できるといわれる試験です。教養科目の出題数は、政治4問、経済2問、社会3問、日本史2問、世界史2問、地理2問、思想1問、国語3問、英語2問、物理1問、地学1問、生物1問、化学1問です。全部で25問あるわけですね。

そして、受験する方が、高校時代文系、社会科目が日本史と政治経済(公共)、理科系科目が生物を主に学習してきたとします。

この場合、政治・経済・社会・日本史・生物はした方が良いことになります。学習経験をしているからです。

ただ、これですと、先の出題数25問中12問ですから、7割以上にあたる18問まで増やしていきましょう。まず、国語の出題数が多いので、国語を選びます(これで15問となります)。

では、残り3問のために、考慮するのが「科目の重さ」です。
具体的には、世界史と地理が同じ2問となっていますが、地理となります。そして、残り1問は、思想か、理科系で最も軽い地学かは、参考書を読んで好みで選びましょう。
つまり、地理+思想か、地理+地学で3問ということです。

こうなれば、25問中18問の学習をしていることになります。集中している分、正答率は期待できるでしょうが、仮に7割正解しているとすると、18問×0.7=12.6問です。残りの7問中1問くらいは勘であたるでしょうから13問正解としましょう。

これに、数的・文章の習得(25問中15問正答の6割)と合わせれば50問中28問正答で56%となり、50%を超えられます。

以上は、警視庁Ⅰ類試験を例に考えましたが、何を暗記学習して悩む方は、「自身の学習経験」と「出題数」から考えて、重視して学習する暗記科目を絞ってみてください。ただ、それでは、合格に届きそうな問題数に至らないときは、「科目の重さ」を考慮して学習科目を判断しましょう。

究進塾では、個別相談で学習計画もつくっていますので、悩む方はご利用ください。

3.直前期対策方法②ー継続的な知能科目学習に励む!

直前期対策の2点目は、継続的な知能科目学習に励むことです。

知能科目とは、数的推理・判断推理・資料解釈・文章理解を指します。

これらの科目は、解法のコツというか、知らないと短時間には解けないものというのが数多くあります。そのため、学習の初期や中期はそれに触れている方が多いと思います。直前期は、これを忘れないように、コツコツ学習することが望ましいです。

言い換えると、たくさんの時間をかけなくても良いので、1日数問ずつコツコツ解きましょう。特に、文章理解と資料解釈は、徐々に早く文が読めたり、各選択肢の計算手順が分かるようにもなるので、さぼらず行いましょう。

また、数的推理と判断推理は、出題されやすい単元というのがはっきりしています。こちらの記事にもありますが、この単元の問題から取り掛かると良いでしょう。

直前期!数的処理の得点を伸ばす学習方法3選~数的・判断頻出単元ベスト10付き~

4.直前期対策方法③ー模試の有効活用を心がける!!

直前期対策の3点目は、模試の有効活用を心がけることです。

模試の有効活用とは、次の3つです。

第1は、本番を意識して解くということです。これは、解く順番、解けなさそうだったり時間がかかったりする科目・問題は後回しにするなど工夫しながら解くということです。この訓練をすると、実力を得点にしっかり反映できるようになります。

ちなみに、最近は自宅受験できるサービスが多いですが、その場合も、きちんと時間を測ってくださいね。

第2は、復習は全問題やりこむということです。模試は、販売している予備校や会社が、「本試験問題を当てよう!」と思って作っています。したがって、選択肢の一つ一つが本当に分かっているか確認をしたり、本番みたいに取り組んでいたときには時間的に解いていない問題をしっかり解いたりすることで、本番に似た観点が問われたときに功を奏します。また、時事は、なかなか過去問がありません。時事本を読んでいるとどうしても自分が覚えているのか分からなくなりますが、模試を通じて、出会った時事問題を活かしましょう。

第3は、関連分野の復習を即座に行うことです。例えば、模試で日本史の鎌倉時代が出た際に、解けていなかったら、鎌倉時代全体を復習するなどを行うということです。出題をきっかけに広く復習すると大いに知識が定着します。

ちなみに、模試は5回分くらい取り組むと良いでしょう。

5.おわりに

本記事では、公務員試験型(教養)の試験直前にどのように学習をしていくべきかについてアドバイスをしました。

これをまとめると、日々、暗記科目を絞って比重を傾けつつも、知能科目はコツコツと継続して問題に取り組む学習をすることと、模試を受けるときは本番のように解き、模試後は全問復習と関連分野の復習をたっぷり行うことになります。

参考にしていただき、皆さんの学習が進むことを願っています(なお、究進塾では、復習していても中々、問題が解けないなどの悩みに12時間短期集中の数的コースがあります。ご検討ください)。

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「令和7年度 都庁職員に新方式試験」が一部変更!~受験戦略は変えるべき!?~

1.はじめに

東京都職員試験は、1類A方式、1類B方式、新1類B方式がありました。このうち、新1類B方式(以下、「1類B新試験方式」といいます)は、令和7年度から1ヶ月早まるなど試験の実施が一部変更されます。これにより、受験のしやすさが高まると予見されます。

本記事では、この1類B新試験方式を紹介した上で、受験戦略はどのように考えたら良いのかについてお伝えします。

すでに学習をしている人も、これから都庁受験を考える人にもオススメです。

2.「1類B新試験方式」の概要

それでは、1類B新試験方式の概要を説明していきます。

(1)試験スケジュール

①申し込み時期→インターネット申込みで2月14日(金)午前10時〜2月28日(金)午後3時まで
②一次試験→3月12(水)〜25日(火)の中で受験生が選択
③一次合格発表日4月11日(金)
③二次試験→5月8日(木)〜20日(火)の中で指定される日
④最終合格発表→5月30日(金)

②が昨年は会場で指定された日だったのが、受験生選択になりました。また、③も、第2次試験で実施していた「面接(プレゼンテーション含む)」と、第3次試験で実施していた「面接(グループワーク含む)」を1日にまとめる形になりました。

このようなスケジュールは、受験生の受験日に対する制約を緩める意味で効果的でしょう。また、民間企業と同時期になっているといえるでしょう。

したがって、民間企業を中心に活動をしている人にとっては、受験先の1つとして使えるかもしれませんね。

(2)試験内容

①一次試験→SPI3ーU試験
②二次試験→職種によって下記の通りです

▶「行政・ICT」職は、プレゼンテーション及び人物についての個別面接と、グループワーク及び人物についての個別面接です。

▶「土木・建築・機械・電気」職は、プレゼンテーションを含む、研究内容、職務経験及び専門知識並びに人物についての個別面接、グループワーク及び人物についての個別面接です。

つまり、聞く観点が異なるものの、個別面接が2回ということですね。また、プレゼンテーショングループワークもあります。

SPI3ーU試験ということですので、公務員試験用の特別な筆記試験は不要ということになります。また、テストセンター受験ですので、スケジュールが組みやすいといえるでしょう。

その後のプレゼンテーションとグループワークは、1日にまとめただけですので、過去の形式を参考にすれば、傾向と対策は練りやすいかなと思います。

(3)その他

1類B新試験は秋採用も実施されていましたが、土木・建築・機械・電気に加え、行政(事務)を実施予定とのことです。

詳細は2025年2月公表ですが、秋にも再チャレンジができる(あるいは、民間でしっかり活動してみて納得できなかったらチャレンジしてみるという)安心材料があるかもしれませんね。

3.1類B新試験試験との向き合い方

それでは、次に、この早期枠との向き合い方をお伝えしていきます。

結論としては、試験種による倍率差があまりないため、自身が準備していた受験方法を貫こうということです。最終倍率を行政職で比べてみましょう。

倍率は、いずれも、一次試験受験者分の最終合格人数で計算しています(なぜなら、都庁試験は申込者のうち、実際に受験をする人が概ね1類A採用試験が4割台、1類B&新1類Bが7割前後であり、最終合格者数も採用予定数を大幅に上回るため、受験申し込みに占める採用予定者の数字では、正確な実態がつかめないためです)。

1類A採用試験事務職の過去3年の最終倍率
令和6年度 2.2倍
令和5年度 5.6倍
令和4年度 4.4倍

1類B採用試験事務職の過去3年の最終倍率
令和6年度 1.5倍
令和5年度 2.4倍
令和4年度 3.1倍

新1類B採用試験事務職の過去3年の最終倍率
令和6年度 1.7倍
令和5年度 1.9倍
令和4年度 3.7倍

このように、倍率が低下してきており、それが、どの試験方式でもおこっています。新方式は受験自体はしやすくなるため、多少は倍率が上昇するかもしれませんが、急上昇するとは思えないことと、1類A採用試験や1類B採用試験もかなりの低倍率であるため、自身の受けたい試験種に向けた学習で良いでしょう。

一方、これから受験を考える人もいるかと思います。その方は、新1類B採用試験が望ましくなります。なぜなら、1類Aと1類Bは、公務員試験型の教養試験かつ記述式の専門試験が問われるからです。

公務員試験型の教養試験というのは、数的処理と文章理解、自然科学・社会科学・人文科学があり、多岐に渡ります。また、事前に学習した経験がないと専門試験の記述準備は選択式試験より大変です。さらに、1類Aですと、大学院卒やその分野の社会人経験があるような人が受ける内容を記述するため難易度が上がります。

これらを考慮すると、今からの都庁試験を考えるなら、SPIで済む新1類B採用試験かなと考えます。もちろん、個人差はありますので、気になる方は、都庁HPには、一年前の過去問が載っていますので、ご確認ください。

☆試験・選考情報(東京都職員採用ホームページ)

なお、都庁のHPには、過去の採用試験実施状況が載っています。本記事では、行政職の倍率だけを取り上げましたが、他の職種も似た状態ですので、自身の試験種を見比べておくと良いでしょう。

☆過去の実施状況実施状況のURL(東京都職員採用ホームページ)

4.おわりに

本記事では、東京都庁職員試験のうち、新1類B採用試験の試験変更について解説しました。具体的には、試験が受けやすくなった観点をお伝えしました。

そして、他の試験方式と比べて、倍率などを勘案すると、新1類B採用試験の受けやすさを意識して、今までの受験準備をしていた方式を放棄する必要がないという受験戦略をお伝えしました。したがって、公務員型の学習をしてきた方はそれを続けて、1類Aなり1類Bなりを受ければ良いですし、SPI型を狙ってきたのであれば、それで大丈夫だということです。

もちろん、今から受験をする場合は、筆記負担が軽いSPI方式となります。

本記事を踏まえつつ、ご自身の受験計画を立てて頂ければと存じます。なお、究進塾では、公務員の受験計画や学習方法の相談などに載っています。公務員試験であれば、従来から行われてきた公務員試験型であろうが、SPI方式であろうが相談も学習指導も可能です(もちろん、二次試験の人物試験として課される論作文や面接、プレゼンテーションなどのアドバイスもできます)。

悩んだら、ぜひ相談から。お待ちしています。

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「令和7年度 特別区に早期枠」ができます!~受験戦略はどうすべきか~

1.はじめに

大学卒業程度試験の特別区試験(以下、「春試験」といいます)は、4月下旬に一次試験として筆記試験(教養・専門・論作文)を行い、合格者には7月上旬に面接試験を二次試験で実施するのが一般的でした。しかし、来年からは、「早期枠」が実施されます。
本記事では、この「早期枠」を紹介した上で、受験戦略はどのように考えたら良いのかについてお伝えします。

2.「特別区の早期枠試験」の概要

それでは、特別区の早期枠試験の概要を説明していきます。

(1)試験スケジュール

①申し込み時期→2月前半
②一次試験→3月前半
③二次試験→4月中旬と5月前半
④最終合格発表→5月下旬
上記のようなスケジュールですので、民間企業と同時期になっているといえるでしょう。
したがって、民間企業を中心に活動をしている人にとっては、受験先の1つとして使えるかもしれませんね。

(2)試験内容

①一次試験→SPI試験
②二次試験(4月中旬)→プレゼンテーションシート作成(行政課題に関するテーマで行うようです)
③二次試験(5月前半)→作成したシートに基づくプレゼンテーション&個別面接

SPI試験ということですので、公務員試験用の特別な筆記試験は不要ということになります。また、テストセンター受験ですので、スケジュールが組みやすいといえるでしょう。

その後にはプレゼンテーションがあります。これは行政課題ですので、民間企業で出されやすいプレゼンテーマやグループディスカッションテーマとは異なるようです。つまり、公的な分野が携わる事項への興味関心を有していないといけないという意味では、民間企業の業界研究に類する準備は必要といえます。

(3)注意事項

この試験と、春試験(従来の公務員試験型の4月下旬に一次試験、7月に二次試験型)は併願が不可だということです。
つまり、「どうしても特別区で働きたい!」と考えている方にとって、受験回数が増えるわけではない点は注意しましょう。

3.「特別区の早期枠」試験との向き合い方

それでは、次に、この早期枠との向き合い方をお伝えしていきます。
結論としては、特別区の志望度が高い方は、従来の公務員試験型を受けておいた方が良いということです。理由は次の3点です。

(1)早期枠は民間志望者を振り向かせる役所側の作戦だから

1点目は、以前の記事でもご紹介しましたが、「民間筆記試験型公務員試験」は、そもそも公務員受験者数増加を目的としているからです。
受験負担が少ないのに公務員の魅力は変わらずあるわけですので、「受験をそこまで考えていなかったけど、SPIで良いなら受けてみるか」と受験対象者を拡大させられるのではないかと思って採用側はこの試験を行い、倍率上昇をねらっています。あまりに、倍率が低いと、質の低下を懸念されてしまうためですね。

「民間筆記試験型公務員試験」受験、3つの留意事項!

これに対し、特別区をはじめとした公務員になりたい方は、公務員型の学習を既にしていることでしょう。あまり対策していない試験内容、かつ倍率が上昇を狙っているだけの試験形式に応募するメリットは少ないと思います。

(2)春試験型の一次試験通過倍率はものすごく下がっているから

2点目は、特別区の一次試験通過倍率がしやすくなっている点です。以下は、特別区の一次試験受験者とその通過者、そして倍率(小数点第3位を四捨五入)です。
令和6年度(2024) 一次受験者6,868人 通過者6,323人 倍率約1.09
令和5年度(2023) 一次受験者7,668人 通過者5,955人 倍率約1.29
令和4年度(2022) 一次受験者8,417人 通過者4,246人 倍率約1.98
これが、8~10年前ですと、以下でした。
平成28年度(2016) 一次受験者11,795人 通過者3,433人 倍率約3.44
平成27年度(2015) 一次受験者 9,712人 通過者3,263人 倍率約2.98
平成26年度(2014) 一次受験者12,906人 通過者3,031人 倍率約4.26

いかがでしょうか。近年は2倍を切っており、ここ2年は限りなく1倍に近い状態です。つまり、ほぼ通過するといえるような試験になっているわけです。

したがって、最低限の一次試験突破に向け、公務員型の学習にいそしんだ方が、良い結果(=合格)が得られやすいといえるでしょう。

ちなみに、極論をいうと、この記事公開段階の2024年12月から4月下旬の5か月弱でも、きちんとした受験戦術で1日5~6時間くらいの学習時間を費やせるのであるならば、特別区の公務員試験一次突破も夢ではないといえるでしょう(気になる方は是非受講相談しにきてください)。

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(3)プレゼンテーション試験が未知数だから

3点目は、プレゼンテーション試験がどのように行われるのか未知数だからです。
シートの作成も都内会場で行うと記載があります(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/hodo/r6/documents/0912_hodo.pdf)ので、在宅で作業ができない(=調べながら行えるわけではなさそうです)はずです。

ということは、事前に、行政課題の研究が求められます。もちろん、行政課題は多岐に渡る(そのため、役所にはたくさんの部署があるわけです)ので、それなりに色々想定して学習をしておかなくてはなりません。が、そうした対策本なども未整備なのが、試験初年度です。

加えて、例えば私が受験生の場合、絵心やデザインセンスが乏しいため、シートにセンス良く(ビジュアル的に良い感じにすること)には自信が全くありません。ただ、内容だけを書く論作文が課されているわけではないということは、恐らく、その辺りも採点されるはずです。このような悩みを抱く人は多いのではないでしょうか。

したがって、対策がSPIで容易でも、二次試験の部分で負担が大きいといえます。それでしたら、過去の試験蓄積があり、傾向と対策がしやすい公務員試験型(すなわち、春試験)の方が良いと言えます。

4.おわりに

もちろん、「急に最近、公務員に興味が出てきた」、けれど「民間企業も受験するし、その関係であまり勉強に時間が取れないよ」という方にとっては朗報といえる試験形式の創設です。

あるいは、法・経済・政策系の学部に所属し、普段から大学等の講義・ゼミで政策を学んでいる人だったり、人前で話すのが得意だといった人ならば、プレゼンテーション対応はしやすく、ありがたい試験制度かもしれません。

そうした方は、SPIの対策とプレゼン練習で受けられる特別区の早期枠に向いているでしょう(ちなみに、究進塾ではSPI対策や面接・論文・プレゼンテーション対策なども対応していますので、お手伝いも可能です)。

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公務員試験

しかし、それ以外の方、特に今まで公務員試験の勉強をしてきた方は、安易に「早期枠」を目指すのは得策ではありません。公務員が本命なのであれば、倍率、負担感・併願可能性も考慮するのが望ましく、そうすると、従来型の公務員試験で臨む方が得策となる方が多いはずです。もしも、公務員試験勉強をコツコツ頑張られた方は、焦らず初志貫徹で良いのではというのが、私の見解です。
本記事を踏まえつつ、ご自身の受験計画を立てて頂ければと存じます。

公務員試験情報をリアルタイムで得るお勧め方法4選!

1.はじめに

公務員試験と一口にいっても、国家公務員、地方公務員に大別され、そこからさらに機関や職種、自治体ごとなど多岐に渡っています。その1つ1つの試験情報を得る際に、もっとも大事なのは、募集している機関のホームページを見ることです。

ただこの場合、「自分が知らなかっただけで、近隣の自治体も募集していた!」や、「こういった公務員試験種もあるのか。この職種ならチャレンジしたかった」など、自身の知見を広げる形で、試験情報を得ることは難しいかなと思います。

そこで、本記事では、公務員試験情報のポータルサイトでお勧めなものを4つ紹介します。これを通じて、リアルタイムで公務員試験情報を得られるようにしましょう。

なお、試験科目や勉強法のアドバイスなどは、本ブログ(ASK公務員)などで色々言及していますので是非、いろいろな記事をご覧ください。

2.お勧めポータルサイト1~「KoumuWIN!」~

お勧めのポータルサイトの1つ目は、「KoumuWIN!」https://koumuwin.com/)です。このサイトでは、国家公務員※1・地方公務員※2・準公務員※3の採用試験日程や、各求人に関する募集職種などを一覧表にまとめています。

(※1)府省庁、国会、裁判所などの正職員
(※2)都道府県、市町村、一部事務組合などの正職員
(※3)独立行政法人、国公立大学法人など外郭団体の正職員

お勧めの理由は次の3つです。

■1つ目は、トップ画面は締め切り順に公務員試験募集をお知らせしてくれており、一次試験日も載せてくれていることです。応募を急ぐべき試験種がこれによって分かるため、スケジュールが立てやすいです。

■2つ目は、検索能力が非常に高いことです。ブラウザ画面でいうと、右上に虫眼鏡があり、クリックすると詳細検索ができます。このとき、「組織種」「職種」「学力/学歴」「経験者/障害者」「特徴」などを、直接入力せず、タブから選ぶだけで、色々検索できます。そのため、多様な公務員試験を見つけることが容易です。

実際、私が指導した受講生さんも、とにかく心理職に就きたいという方でしたが、これを使うことで、日本全国の心理職募集の公務員試験を探せて、併願戦略を容易に立てられたと言っていました。

■3つ目は、関係するURLに直接飛んでくれるという点です。公務員試験のポータルサイトは色々ありますが、募集機関のトップページにしか飛ばないものも割と多くありますが、「KoumuWIN!」は、募集情報のページにいきます(ただし、興味ある組織をクリックし、そこの「要項」と書いてあるところをクリックした場合という意味です)。

ということで、素早く、色々な条件で募集中の公務員試験を探せて、その詳しい情報も機関の採用ページのリンクがあることで容易に得られるというのが、「KoumuWIN!」です。以下に紹介する「公務in」や「公務comcom」のように採用先の情報がここのページでそこまで分からないところはありますが、網羅性でいうと2024年12月現在一番といえるかなとは感じます。

3.お勧めのポータルサイト2~「公務in」~

お勧めのポータルサイトの2つ目は、「公務in」https://koumu-in.jp/)です。

「公務in」は、地方自治体の公務員情報を探す上で向いています。トップ画面からスクロールしますと、「都道府県から探す」や「資格から探す」がありますので、どちらかを用いて具体的な自治体の募集状況を知りましょう。

「公務in」のお勧めポイントは2つあります。

■1つ目は、求人サイトのような作りで、募集自治体のことが「公務in」内で詳しく分かることです。具体的には、「試験・求人の募集情報」「応募方法」「メッセージ」の他に、「自治体・団体様の情報」まで、一括で掲載されています。さらに、従業員数や平均年齢、女性職員の比率や前年の採用人数や競争倍率などが可視化されている場合もあり、募集状況だけでなくその募集期間自体が分かる点はありがたいでしょう。

■2つ目は、登録なしで「お気に入り・閲覧履歴」をクリックすれば、自身が興味を持ったり、見てきたりした求人を振りかえることができる点です。いろいろ検索した後で、「さっきの良いなと思ったの、どこだっけ?」とならないのはお勧めと言えるでしょう。

なお、「公務in」は自治体が費用を出して求人広告を出しています。つまり、リクナビとかマイナビ、DoDAの公務員版のような形ということです。そのため、ここに出稿していない自治体は載っていないといえますので、上に挙げた「KoumuWIN!」よりも、募集掲載件数は少ない点は注意しましょう。

4.お勧めのポータルサイト3~公務comcom~

お勧めのポータルサイトの3つ目は、「公務comcom」https://koumucomcom.com/index.php)です。

こちらも、2で取り上げた「公務in」と同様、地方自治体募集に特化したポータルサイトといえます(一応、検索欄に国家もついていますが、ほとんど検索が出てきません)。

「公務comcom」のおすすめポイントとしては、次の2つです。

■1つ目は、「一次試験内容」で絞ったり、自身の年齢で絞ったりといった検索も可能ということです。自分が対策していることで併願できるところを探したり、社会人の方で転職で探したりするときには楽でしょう。もちろん、募集試験種やエリアでも検索できるのですが、それに加えてということです。

■2つ目は、検索した自治体をしっかり知ることができるページがあるということです。まず、検索した一覧を見ると、一次試験で何が問われる自治体なのかが一目瞭然です。そして、自治体名をクリックすると基本情報と採用のURLがあります。そのため、「公務in」のような自治体情報と、「KoumuWIN!」のような採用のURLがここから得られるというわけです。

ただ、「公務comcom」も、基本的には自治体がこのサイトに登録する形で情報が発信されるため、「KoumuWIN!」のような網羅性はなく、23年から運用されたサイトのためか「公務in」よりも掲載数が少ないという短所があります。

長所短所を理解して使いましょう。

5.お勧めのポータルサイト4~公務員試験情報こむいん~

お勧めのポータルサイトの4つ目は、「公務員試験情報こむいん」https://comin.tank.jp/)です。

「公務員試験情報こむいん」のお勧めポイントは次の2つです。

■1つ目は、検索が細かくできることです。トップページの上部に虫眼鏡で「国家 検索」「地方 検索」というところがあり、クリックすると、自身の年齢・職種・経験者か・障害者か・任期付きかなどを選べます(地方の検索は地方自体を選べます)。

■2つ目は、掲示板機能があることです。掲示板の書き込みによって、リアルタイム性が向上している点です。

ただ、「公務員試験情報こむいん」はダイレクトに採用先のURLへいくだけで、このサイト内で、募集時期や一次試験日や内容が分かるわけではないところが難点と言えます。とはいえ、「公務in」や「公務comcom」よりは検索数が多いことは、たくさんの募集状況を知りたい人には良いでしょう。

6.おわりに

今回は、公務員試験情報を検索できるポータルサイトのお勧めを4つ紹介しました。とにかく、募集を今現在しているものを知りたい場合は、「KoumuWIN!」か「公務員試験情報こむいん」が望ましくなり、求人サイトのように自治体情報を得たい場合は「公務in」、「課す試験内容から判断したい」の観点なら「公務comcom」といった形になります。

使用目的を考えながら、効果的に利用し、受けたい公務員種に色々チャレンジするようにしましょう。

究進塾では、公務員試験の受験相談を随時受けつけています。ポータルサイトを検索し、受験計画を立てようと思っても迷うことなどがあればお気軽にご相談ください。

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レアな公務員試験種紹介③~警視庁行政職員~

1.はじめに

公務員試験は、民間企業と同じ筆記試験を課すことも増えてきました。しかし、この試験方法による選抜は、倍率が高めですから、やはり公務員試験用の筆記試験を勉強しなくてはと考えている人も多い事でしょう(詳しくは、下記の記事です)。

「民間筆記試験型公務員試験」受験、3つの留意事項!

そのとき、たくさんの時間を公務員試験に割いたのであれば、多くの試験種を併願しようかなと思われる人も多いのではないでしょうか。

本シリーズでは、そのような方に向けてあまり知られていない公務員試験職種をいろいろ紹介していこうと思います。第三弾は、警視庁警察行政職員です。

警視庁警察行政職員は、「事務」と「技術・技能・専門」に大別されます。後者は、通訳・土木・建築・機械・電気・心理・交通技術・鑑識技術・自動車運転免許試験官・自動車整備・保健師・臨床検査技師・体育指導などを指します。

記事の趣旨(色々な試験を公務員試験の学習で受けるため)を考えると、「事務」が叶うため、本記事は「事務」について解説をしていきます。

2.警察庁と間違えないようにしましょう

具体的に、警視庁警察行政職員の事務職について話す前に、よく間違えてしまう点を説明しておきます。具体的には、「警察庁」の事務と何が違うのかということです。

「警察庁」は、国の行政機関で、日本全国の警察を管理・運営している機関です。ここでの職員は、国家総合職や国家一般職で合格後に、官庁訪問して、警察庁から合格をもらうのが、採用の一般ルートです。

一方、本記事の「警視庁」は、東京都内の警察署を束ねる「東京警察本部」のことを指しています。したがって、愛知県なら愛知県警、京都府だったら京都府警と対応するものが警視庁といえるわけです。そして、警視庁警察行政職員は、身分としては東京都の地方公務員というわけですね。

3.仕事内容

警視庁警察行政職員の具体的な業務は、次の3部門があります。

(1)警務のお仕事

来署者や電話での問合せへの対応、犯罪統計資料の作成、表彰、行事の運営や署員への各種手当支給のための手続き事務などを行います。警察署での業務ということで、いわば民間企業における総務の役割を担う仕事です。

(2)会計のお仕事

警察署の予算執行や設備・備品の管理、遺失届・拾得届の取扱い、車庫証明などの警察手数料の徴収、署員の給与支給、福利厚生に関する事務を行います。

(3)本部でのお仕事

警視庁本部において、総務部・警務部をはじめ各部門の所属で活躍します。一般行政に関する知識・経験に基づいて、企画・経理・予算管理・情報管理・福利厚生・広報などの事務のほか、鑑定や自動車運転免許事務など様々な警察業務を担当します。

4.給料・働き方・福利厚生など

(1)給料

給料については、令和6年1月1日情報によると、大卒程度のレベルに合格して採用されたⅠ類の初任給は235,400円、高卒程度のレベルに合格されて採用されたⅢ類の初任給は192,100円です。

令和6年3月「新規学校卒業者の求人初任給調査結果」(東京労働局)によると、大卒が216,500円、高卒が189,200円ですので、それを上回っています。

また、Ⅰ類の実務2年目の年収が4,445,000円です。日本の令和5年の給与所得者の平均値が460万円ですから、もう2年目でこの額にいくのは大変恵まれているといえるでしょう。

【出典】

警視庁HP

東京労働局

令和5年分民間給与実態統計調査結果について(国税庁)

もちろん、「主事」→「主任」→「副主査」→「係長職」→「副参事」→「参事」とキャリアアップをしていくことで、給与も上がっていきます。

(2)働き方

最初は、警察官と同じように警察学校へ入校し研修を受けます。ただ、警察官は、Ⅰ類の場合は6か月、Ⅲ類の場合は10か月と長期ですが、行政職員は1か月です。

その後は警察署に配属され、警務や会計の実務につきます。実務をしながらも、ときどき警察学校で研修を受けスキルアップをしながら、自身の任された業務のプロフェッショナル化に励むことになります。ちなみに、1000を超える研修が用意されているため、研修は大変充実しているといえるでしょう。

(3)福利厚生

ワークライフバランスを考えて、福利厚生も充実しています。まず、休暇については、育児や介護のための休暇や年次有給休暇など約20種類もの休暇制度があります。例えば、記念日休暇が5日あったり、永年継続休暇で10年や15年永年となると3日ずつもらえたりします。

次に、警察共済組合に入ることで、いろいろな福利厚生を得られます。例えば、組合直営の「ホテルグランドアーク半蔵門」での結婚式や宿泊、各種パーティーなどを格安な組合員料金で使用できるほか、直営保養施設の「シャレー奥多摩」を格安で利用できます。その他、全国に100以上ある宿泊施設も割引価格で利用することができます。

また、警視庁職員信用組合が用意している共済・団体保険、「住宅資金」「教育資金」の貸付、財形年金貯蓄などが使えます。

5.試験内容

(1)Ⅰ類の試験内容

例年、3月上旬に申し込みがあり、4月3週目の日曜日に筆記試験があります。そして、5月末~6月最初の週に、筆記試験合格者に面接試験・身体検査・適性検査があります。

筆記試験については、一般教養試験、専門試験、論文試験で構成されます。

一般教養試験は、五肢択一式40題必答です(捨て科目などは作れないということですね)。出題科目は、文章理解、英文理解、判断推理、数的処理、資料解釈、空間概念、人文科学系(文化、歴史、地理)、社会科学系(法律、政治、経済)、自然科学系(物理、化学、生物、地学)、社会事情です。

専門試験は、10題から3題選んで書く記述式です。10題とは、憲法、行政法、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学のことを指します。

論文試験は、課題式(1,000字以上1,500字程度)です。出題例は、「あなたが困難に直面したとき、解決に向けて、どのように取り組んでいくか。これまでの経験を踏まえて具体的に述べなさい」ですので、社会的な内容というよりは、自分の知識・経験と職務につくことの関連を答える形となりそうです。

面接試験は個別面接となります。

令和4年から6年の倍率ですが、7.6→5.2→9.2ということで、なかなかの難関と言えます。しっかり準備をして臨みましょう。

(2)Ⅲ類の試験内容

例年、7月下旬に申し込みがあり、9月1週目の日曜日に筆記試験があります。合格すると、10月の2週目には、面接試験・身体検査・適性検査があります。

筆記試験については、教養試験と作文試験で構成されています。

教養試験は五肢択一45題必答ですので、Ⅰ類と同様に捨て科目はつくれません。Ⅰ類と科目はほぼ変わりません。Ⅰ類が社会事情となっているところが生活常識となっている違いがあるだけです。この科目の出題例は、情報通信技術だったので、高校の科目「情報」を大事にすると良いかもしれませんね。

作文試験も課題が与えられる方式です。字数はⅠ類より減って、600字以上1,000字程度です。出題例は、「物事を継続することの大切さについて触れ、あなたが警察行政職員としてどのように仕事をしていきたいか述べなさい」ですので、Ⅰ類と同じく、自分の知識・経験と職務につくことの関連を答える形となりそうです。

面接試験は個別面接となります。

令和4年から6年の倍率ですが、15.8→19.1→14.6ということで、かなりの難関と言えます。しっかり準備をして臨みましょう。

6.おわりに~目指すなら~

本記事では、警視庁の警察官を支え、警察行政をまわす警視庁警察行政職員を取り上げました。国家系の公務員と日程がずれていることが多いので、受験自体の併願はしやすいものの、最終合格までには、なかなかのハードルがあります。

筆記試験ではできれば7割近くとるつもりで準備しましょう。捨て科目が作りづらい構成となっていますので、早めから取りかかり、万遍なく学習しましょう。また、2次試験では、論作文の練習をきちんとして差が出る評価をもらったり、個別面接で確実に高評価となるよう仕上げたりすることが求められます。

こうした対策に向けて、具体的な動きを知りたい方は、是非、究進塾の個別相談などをご利用ください。

【公務員試験対策】個別指導講座のご案内

【公務員試験】捨て科目の数と選び方を徹底解説

1.はじめに

公務員試験を難しくしている大きな要因として「科目数の多さ」が挙げられます。受験先によっては約30科目が必要とされ、それを1年前後で勉強しなければいけません。

そこで、ほとんどの受験生に必要となるのが「捨て科目を作る」ことです。公務員試験ではボーダーが6割前後になることが多いため、優先順位の低い科目を捨てて、残りの科目に勉強時間を割いて合格を目指します。

では、その捨て科目はいくつくらい作るのでしょうか。そして、どんな基準で選べば良いのでしょうか。本記事では、私の受験生としての実体験や、講師としての知見から、この2点について解説します。

2.捨て科目の数(目安)

結論としては、一つの目安ですが、「4~6科目程度」の捨て科目を作る受験生が多い印象です。ただ、少数派ですが10科目以上捨てているケースや、1科目も捨てないケースもあります。

では、捨て科目の数はどのように決まるのでしょうか。主に以下の基準が考えられます。

・勉強期間
・苦手科目の数、どれくらい苦手か
・受験先の合計科目数
・受験先の出題数の偏り(1科目しか出題されない科目がある等)

他にも要因はありますが、上記4点は特に重要な要素なので、捨て科目の数を決める際は、最低限この4つは考えながら決める必要があるでしょう。例えば、教養試験のみ(専門試験無し)の受験先の場合、合計の科目数が減るため捨て科目の数も少なくなります。

3.捨て科目の選び方

次に、捨て科目の選び方の中で、特に考えるべき4つの基準を押さえておきましょう。

(1)出題数

特に重要な要素です。もし勉強を始めたばかりであっても、各科目の出題数や、教養試験と専門試験の配点は、目安として第三志望前後の受験先まで把握しておくようにしましょう。

出題数について、多くの受験先に共通していることとして、教養試験では文章理解や数的処理は出題数が多い科目です。他にも、特別区では、自然科学の出題数が比較的多く、それに対して、地方上級では人文科学の出題数が比較的多いといえます。このことから、例えば「特別区と地方上級の2つの受験先を志望している受験生」について、以下のように第一志望に応じて捨て科目を作ることが考えられます。

・特別区が第1志望→自然科学から1科目、人文科学から2科目を捨てる
・地方上級が第1志望→自然科学から2科目、人文科学から1科目を捨てる

上記は一例なので、実際は第三志望以降の受験先のことも含めて考えるようにしましょう。

(2)配点

受験先によって、教養試験と専門試験の配点が異なる場合があります。例えば、国家一般職や国税専門官などでは専門試験の配点が高くなっています。特に、国家一般職では専門試験の配点比率が教養試験の2倍となっており、専門試験が非常に重要と言えます。

このように、専門試験の方が配点が高い場合、専門よりも教養で捨て科目を多く作ると、より効率的なプランが立てやすくなります。

(3)学習範囲・学習時間

科目によって、学習範囲や学習にかかる時間は大きく異なります。

例えば、教養の地学、専門の社会政策などは比較的少ない時間で全体を学習することができます。他にも、社会科学については、専門試験の勉強をしている方であれば、専門と範囲がかぶっている部分が多いことから、勉強時間は少なく済みます。

それに対し、教養の日本史や世界史、専門の国際関係などは範囲が広く、多くの勉強時間が必要となります。もちろん勉強時間が多いという理由だけで捨てることはできませんが、一つの重要な指標にはなるでしょう。

民法や憲法、ミクロ・マクロ経済学などは、範囲は広いですが、出題数の関係で、多くの受験先で捨てにくい科目といえます。

(4)苦手科目・学習したことがない科目

当然、苦手科目は得点が期待しにくいので、捨て科目の候補になります。

また、高校で選択していた等、学習経験があるかという点も重要です。例えば人文科学が全体的に苦手な場合、日本史のみ高校で学習したことがあるのであれば、日本史だけは学習してみるという選択肢もあります。「もう覚えていない」と思うかもしれませんが、キーワードに聞き馴染みがあるだけでも学習は多少進めやすくなります。

4.一部の分野だけ学習するのも効果的

ここまで、捨て科目の選び方を解説してきました。
公務員試験の膨大な学習範囲に対応するために、捨て科目を作ることは効果的ですが、「科目単位」ではなく「分野単位」で考えることも重要です。基準については、上記で挙げたものと概ね同じと考えてOKですが、分野を選ぶ際は特に「頻出分野」という要素は重要です。

例えば、日本史について「室町時代~第二次世界大戦あたりが第一志望でよく出ているからそれ以外は捨てる」、物理について「力学の分野は、頻出だし少ない時間で身につけられるから学習する」などです。

特に特別区の専門科目は、各科目5問ずつ出題され、科目単位で捨てていくと5問ずつ捨てることになります。特別区では、選択科目は科目単位ではなく問題単位なので、例えば「政治学から1問、行政法から4問」という形で選択して回答することも可能です。基礎~標準問題が多く出題されることからも、完全に捨てる科目を減らし、分野単位で基礎だけを抑えておくのも有効でしょう。

ただ、受験先ごとに頻出分野は異なるため、勉強する分野を選ぶにあたり、過去の出題傾向の分析は必須になります。「新スーパー過去問ゼミ」など、問題集によっては過去の出題傾向がわかるものもあるので、うまく活用していくと良いでしょう。

5.おわりに

本記事では、捨て科目について、目安となる数と選び方について解説しました。公務員試験の勉強方針を決定するにあたって、捨て科目は重要な要素の一つです。

私の体験談として、「日本史を中途半端に学習して、結局身につかずに捨て科目にした」というのがあります。これは今振り返ると大きな反省点であり、学習方針を適切に立てられていれば避けることができました。

受験生の方には、ご自身の状況や受験先などから考えて、適切な捨て科目を決定してもらえればと思います。

レアな公務員試験種紹介①~国立国会図書館職員~

1.はじめに

公務員試験は、民間企業と同じ筆記試験を課すことも増えてきました。しかし、倍率が高めですから、やはり公務員試験用の筆記試験を勉強しなくてはと考えている人も多い事でしょう(詳しくは、下記の記事です)。

「民間筆記試験型公務員試験」受験、3つの留意事項!

そのとき、どうせ勉強するならいろいろな公務員試験を受けておこうとも思われる方も多いのではないでしょうか。

本シリーズでは、そのような方に向けてレアな公務員試験職種をいろいろ紹介していこうと思います。第一段は、国立国会図書館です。

仕事内容や試験内容をご紹介していきます。

2.仕事内容

国立国会図書館は立法府に属していますそして、国会、行政・司法の各部門及び一般公衆に対して幅広いサービスを提供しています。勤務場所は、東京本館(東京都千代田区永田町)、関西館(京都府相楽郡精華町)又は国際子ども図書館(東京都台東区上野公園)です。

国立国会図書館の業務は調査業務・司書業務・一般事務に分けられ、総合職試験、一般職試験等での採用者はこれら 3 つの業務の様々な仕事を担います。

■例えば、「調査及び立法考査局」では、国会の立法活動を補佐するため、国会議員やその他の国会関係者に対して、法案等の分析・評価、国政審議に係る政治、経済、社会等各分野の調査及び情報提供を行います。また、国会情報・立法情報への国民のアクセスを容易にし、国会と国民とをつなぐ役割も果たします。

つまり、国会議員等から調査の依頼を受けて、所蔵資料や データベースを使って調査を行い、報告書にまとめたり、国会議員に直接説明したりするわけですね。加えて、国会で論点になりそうな国政課題に関する調査研究を行い、その結果をレポートに取りまとめ、刊行物として国会議員等に提供をしています。

■それから、「収集書誌部」では、国内で刊行された全ての出版物は、納本制度に基づき、国立国会図書館に納入することが義務づけられていますので、図書・雑誌・新聞のほか、CD・DVD 等の電子出版物、地図や楽譜などを収集します。これ以外に、購入・寄贈等の手段も活用し、広く収集し、収集した資料のタイトルや著者名、主題を表すキーワード等、資料を探す手がかりとなる情報を記録し
書誌データを作成しています。外国の出版物は、購入・国際交換等により、国会活動の補佐や学術的な調査・研究に役立つ資料、日本関係資料等を選択して収集しているそうです。

ありとあらゆる著作物に出会える意味で、刺激的な職場環境ですよね。

■もちろん、図書館ですから、利用者サービスもあります。これは、「利用者サービス部」といって、資料の閲覧、複写、レファレンスといった来館サービスの提供と、遠隔複写やデジタル化資料の送信といった来館せずに利用できる遠隔サービスの提供を担っています。専門知識をいかして膨大な資料・情報を整理し、効果的な調べ方のガイドの作成や、特色ある資料を紹介する展示会の開催等もあり、色々な角度から我々の調べものを手助けしてくれます。

以上に加え、関西館や国際子ども図書館での仕事もあるわけですので、本当にいろいろなステージが用意されている職場ですね。

3.働き方・福利厚生など

身分は特別職の国家公務員ですが、一般職の国家公務員と待遇に遜色はありません。つまり、国立国会図書館の総合職であれば国家公務員総合職並みの、一般職であれば国家公務員一般職並みの待遇ということですね。

設置場所としては主に東京都と京都府なので、この2場所が勤務場所になります。なお、東京都渋谷区に代々木上原寮(独身者用)が、京都府相楽郡精華町に京都宿舎がありますので、その地域にお住まいでない方も合格後はそれらを利用するなどして働くことができるようです。

勤務時間は、午前 9 時から午後 5 時 45 分まで(休憩60 分を含む)を原則としつつ、育児短時間勤務、保育時間、育児時間、早出遅出勤務、時差通勤、フレックスタイム制等の制度を利用できるようです。福利厚生も手厚く、働きやすい環境が作られていますね。

そのためか、職員の男女比は、女性が51.8%と女性が多く、管理職の女性割合も35.2%となっています(令和4年度)。

キャリアパスは、調査業務・司書業務・一般事務をジョブローテーションしながら経験を積み、係員級→係長級→課長補佐級→管理職へと昇進していくようです。先輩職員のキャリアなどをみると、衆議院法制局など他の国家機関へ出張したり、海外の大学院に派遣があったりするようです(調査部門・図書館部門から若干名の職員を、シカゴ大学、アベリストウィス大学、ルクセンブルク大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ニューヨーク大学等へ)。

4.試験内容

国立国会図書館は狭き門です。というのも、総職員数が約900名と少ないことから、毎年の採用試験人数が僅かとなっているためです。

例えば、令和6年度の採用人数は総合職では4人で、応募数は406人ですから、倍率100倍以上です。一般職でも、応募数593人に対し、16人採用ですので、約37倍の倍率です。

ということで、目指すのであれば、しっかり準備をして臨まなければなりません。では、試験内容はどうなっているのでしょうか。

【第一次試験】

総合職・一般職ともに、1次試験が教養試験(多肢選択式120分)です
総合職は3月3~4週目の日曜日に、一般職は4月3~4週目の日曜日にそれぞれありますので、申込も2月上旬と、早いので注意しましょう(あくまで、令和6年ベースですので、興味ある方は国立国会図書館のHPで確認して下さい)。
国立国会図書館ホームページ: https://www.ndl.go.jp/

【第二次試験】

2次試験として、総合職・一般職ともに、学力をみられる試験として、

①専門記述
②英語 があります。
そして、
総合職だけ③小論文があります。
①専門記述

総合職は120分試験(90分+30分、90分のところは一般教養と同じ)が課され、一般職は90分試験のみが課されます。

なお、受験者は「あらかじめ選択する1科目」についての筆記試験です。科目は、法学(憲法、民法、行政法、国際法から受験時に2分野選択)、政治学、経済学、社会学、文学、史学(日本史、世界史から受験時に1分野選択)、図書館情報学、物理学、化学、数学、工学・情報工学(工学全般、情報工学から受験時に1分野選択)、生物学となります。

②英語試験

60分の長文読解で、総合職試験・一般職試験共通です。

③小論文(総合職のみ)

与えられた課題文を読み、1200字以内で書くものです。

そして、第二次試験には、人物試験(質問紙法による性格検査含む)が総合職・一般職ともに課されます。令和6年度はオンライン面接でした。

【第三次試験】

総合職・一般職共に個別面接試験が対面で課されます。この最終試験においての倍率も2.5~4倍くらいで推移していますので手を抜けません。

5.おわりに~目指すなら~

国立国会図書館では、一次試験の教養試験は、他の公務員種と同様です。一次の通過は、例年の傾向をみると、総合職も一般職も受験者(応募者ではなく)の3分の1に入れれば通過しています。

一方、二次試験は絞り込みが強まります。二次試験の内容は、記述式の専門試験と、英語試験ですから、ここはかなり高めておく必要があります。

また、面接は2・3次試験で2回ありますので、しっかり対策をする必要があるでしょう。さらに、総合職を目指される場合は、小論文対策も必要です。

合格のためには、この2次試験の関門が必要です。ただ、大手予備校ですと一次試験対策や、選択肢を選ぶ上での専門試験対策は優れていますが、2次試験対策となると少し心許ないところが多いでしょう。

その点、究進塾のような個別指導塾では、英語、経済学、面接、小論文などの指導ができまるスタッフがいますので、自身がアウトプットしたものがどう採点されるかを知るためには、こうした個別指導を受けると良いでしょう。

【個別指導の究進塾】英語や日本史・世界史などを学習されたい方向け

【ASK公務員】経済学・数的処理・論文・面接対策などをしたい方向け

本記事では、職域が広くやりがいがあり、待遇も良い国立国会図書館職員について解説をしました。参考になれば幸いです。

集団討論の様子は、あなたの来年の公務員姿。だからこんなところを見られる

1.集団討論試験の実状

実際に公務員として働いてみて、よく分かったことがあります。

それは、公務員の2次試験で課される集団討論が公務員組織のある一場面にとても似ている、ということです。

具体的には、職場の同僚複数人で問題に対する施策や対策を議論する場面です。

このような場では、予算がかなり限定的で絶対的な正解や解決策がない状況で、より効果的で費用対効果の高い案を模索しなければなりません。

晴れて公務員に採用された方には、そのような日常が待ち構えています。

だからこそ面接官は、受験者に対して「リアルに働ける姿」を見極めようとしているのです。

新型コロナウイルス感染の影響により一斉になりを潜めた集団討論ですが、いつ復活するかは不明です。

しかしこの集団討論は、公務員の実務能力を測るうえで有効な方法です。

大きな都道府県で集団討論の試験が再開されれば、他の自治体でも芋づる式に再開されていく可能性が大いにあります。
いつ再開されても困らないように、この情報が受験者のみなさまに役立つことを願っています。

2.集団討論で好まれる姿勢

そもそも面接官は受験者に対して、行政が抱える問題の具体的な解決を期待していません

私が実際に討論したテーマは「越境入学の是非」でしたが、受験者で明確な解決策が出るはずもありません

しかし、未来の公務員として制限時間内に方向性と一定の結論を導き出す必要があります。

ではそのような状況で、どのような姿勢が面接官に好まれるのでしょうか。

×これはNG
・何も話さない
・批判やネガティブ発言のみ行なう
・非現実的な理想論ばかり語る

面接官が集団討論の中で受験者に見出したいのは、公務員として様々な制約下で現実的に合意形成していくスキルです。
そのようなスキルをアピールするためにも、具体的には以下のことに気をつけましょう。

■「俺が!私が!」という逸る気持ちをぐっと抑える。

試験では自らのスキルや存在をアピールしたい気持ちが勝り、前面に出過ぎる受験者がいます。
こうした姿勢は、「積極性」という面では、評価できるかもしれません。

しかし面接官からは、「このような方が公務員になると、同僚との協調性がなく住民も置いてけぼりにされてしまう」という懸念を持たれてしまいます。
他の受験者からも、いわゆるクラッシャー(場の雰囲気や合意形成を損なう人)と認識されてしまいます。

■ほかの参加者の意見をしっかり聞くことで、「傾聴力」をアピール

公務員組織、とりわけ地方自治体は、傾聴という言葉を好んで使います。
討論中に他の受験者の発言をメモにとったり、自らの発言に引用するなどして、しっかり聴けていることをアピールしましょう。
そのうえで自らも筋の通った意見を述べると、面接官が好印象を抱くことでしょう。

3.集団討論によくある疑問点について

3-1 司会・ファシリテーターを引き受けるべきかどうか

司会やファシリテーターは、実力があれば最も目立つことができるポジションと言えるでしょう。
しかしながら、参加者全員の意見をしっかり聞き自らの意見も考え最後にまとめる、という難役でもあります。
今までにそのような経験・スキルがないと、本番当日に成功することは難しいでしょう。
自信がなければいちメンバーとしてしっかり聞き役に徹し、ポイントで的確な意見を述べた方が無難といえます。

3-2 受験者グループ全体で合否が決まるのか

私は実際に6人グループの集団討論に参加したところ、私を含め3人が最終合格していました。
他の個別面接などもあるので、集団討論だけで「全員受かるか、全員落ちるか」という明確な基準はなさそうです。

しかしグループ全体が上手く討論できているとグループ全員の評価が上がるので、同じグループからの合格者が多くなるのかもしれません。

4.当日使えるテクニック

4-1 いわゆる「クラッシャー」がいた場合

「俺が!私が!」と積極的すぎる受験者や、現実離れした理想論ばかり語る受験者がいた場合、グループ全体の評価が下がらぬよう注意が必要です。
あなたはクラッシャーを制しつつ、グループ全体を建設的な議論に誘導していく必要があります。
このような扱いに困る公務員も実在するため、うまくコントロールできると面接官からの印象は良くなるでしょう。
もしクラッシャーの意見を批判する際は、「Aさんの意見はごもっともですが、こういう懸念があります。そこで、次のような行政フォローを行なうと、とても現実的です」などと、建設的な言い回しにするとよいでしょう。

4-2 地方自治体が大好きな「傾聴力」をアピール

集団討論では、まずは与えられたテーマに順番に意見を述べることが主流です。
その際、他の受験者の発言はメモなどでしっかり覚えておきましょう
もし他の受験者と意見が同じであっても、
「先ほどの〇〇さんの意見と概ね同じですが、こういうところが異なります」
と、前の発言者の意見をしっかり傾聴アピールしたうえで、自分なりの味付けをすると面接官から好感を抱かれるでしょう。
さらに中盤以降で議論が煮詰まってきた頃に、あなたと意見の異なる参加者に対して、
「あなたは先ほどこう仰いましたが、今までの議論を受けて変化はありますか?」
と問いかけると、これも効果的な傾聴アピールになりえます。

4-3 メモ用紙の取り扱い

集団討論にはメモ用紙が机上に用意されており、討論終了後に置いて帰るように言われることがあります。
その場合、必ずメモ用紙を裏返し、メモ内容が見られないように帰ってください。
このマナーは、情報漏洩に敏感な地方自治体では重視されます。
学生の受験者が多い場合には、このマナーに慣れていないことが多いので忘れないようにしてください。
逆に社会人経験者にこのマナーが身についていないと、残念な印象を与えてしまいます。
なお、面接官がメモ用紙のメモ内容を確認している可能性もありますので、迅速かつ丁寧に記入しておく必要があります。
そこで、一般的な「メモのとり方」を練習しておくことも望ましいです。
討論がまとめに入った段階でも気を緩めず、あなたのメモを見返しておくこともお忘れなく。

5.まとめ  「こんな人と働きたい」が分かる集団討論

新型コロナウイルス感染の影響を受けて、集団討論の実施は少数になっています。
しかし今まで述べてきたように、集団討論は受験者の「働く様子」がよく分かる有効な試験です。
優秀な人事課や採用部門を擁する地方自治体では、いつ再開の動きが出てきても不思議ではありません。
新型コロナウイルスへの警戒が弱まる中で、頃合いを見計らっている地方自治体もあるでしょう。
いきなり集団討論が再開されても焦ることがないよう、今回述べたポイントをしっかりお留め置きください。

地方自治体の2次試験で、面接官は受験者のこんなところを見ている

1.地方自治体2次試験の重要性

就職・転職は、多くの方の人生にとって重大な節目となります。
そんな大イベントにおいて、近年ますます面接試験が重要視されています。
これは、日本国内においても転職がより身近になったことに関係し、民間企業・公務員のどちらにも共通する傾向です。
そのような状況で、採用側は「辞めずに続けてもらいたい」という目的で人柄を判定するため、面接をより重視するわけです。

公務員業界においても、若手職員の離職率が増加傾向にあります。
公務員の場合は欠員が出てもすぐに補充ができないため、採用時の審査がより重要になるのです。
そのため、公務員の2次試験では受験者とのミスマッチを減らすべく、面接官は受験者のさまざまな面を審査しています。
具体的には、受験者の人間性を深堀りし、その組織で一緒に働いていける人物かどうかを判定しています。
だからこそ、投げかけられる各質問に的確な回答をするべく、その回答を自らで研ぎ澄ませておく必要があります。

この記事のポイントは、以下のとおりです。

・地方自治体の2次試験の対策
・2次試験で、面接官が確認したい人物像&スキル
・面接で使うのは注意して、地方自治体が用いる独特な言葉
・「趣味」の質問を侮らないで

こちらの記事をお読みいただき、ぜひご自身の2次試験対策にお役立てください。

2.面接において、面接官が確認したい人物像&スキル

地方自治体の2次試験において、面接官が確認したい人物像やスキルは、民間企業とやや異なるところがあります。
地方自治体では、民間企業ほど個性を評価しない傾向があります。
半面、その受験者がどれだけ自治体組織になじむことができるかを重視しています。
一般的な社会人としてのマナー・振る舞いを抑えたうえで、具体的に公務員特有の次の2点を抑えてください。

2-1 求められる人物像 「和をもって尊ぶ人物」

これは地方自治体だけでなく、公務員組織に顕著な傾向ともいえるでしょう。
地方自治体の業務は、厄介な住民対応など外部圧力に晒されることが多くなります。
そんな毎日押し寄せてくる荒波を乗り越えるためには、組織内で職員同士の協力が不可欠です。
「個性が大事」という風潮を気にしながらも、公務員の業務内容が変わらない限り、この特有の文化は変わらないでしょう。

しかし、注意が必要な点がひとつあります。
それは「和をもって尊ぶ」と言いつつも、「自分の意見がなく、周りの意見を伺っているだけの人物」と取られないように注意する必要があります。
採用側の面接官は、受験者自身のこだわりや、業務を前向きに改善していく姿勢も見ています。
受験生の中でとがりすぎるのはNGですし、特に自治体組織を根底から覆すような人物は敬遠されることでしょう。
あくまでも組織の業務や課題に対して、職場の同僚と協力・相談して和をもって穏便に改善していけるくらいが望ましいと言えます。

2-2 求められるスキル 文章・言語化能力

地方自治体の業務は公金を取り扱うので、地元住民に対する説明が必須です。
特に予算や施策の中枢を担う職員は、議会への説明や企画業務において、説得力を伴う文章や言語化能力が常に求められます。
採用側は、「そんなスキルを持ち、将来的に自治体の中枢を担う人物を見つけたい」と思っています。
そのため、2次試験の職務経歴書の記述では、こんなところも採用側から見られています。

例:職務経歴書の「志望動機」
職務経歴書でよく受験生が書きがちなのが、「地元が好きだから」という志望動機。
そもそも面接官の中にも、この理由で入庁した職員が一定数いることでしょう。
そこで受験者は、「なぜ好きなのか」を自治体独自の施策や自らの経験で深堀りします。
しかし、多数の受験者と接する面接官からすると、どんな理由も似たものに感じます。
受験者が選ぶ施策や体験などの「素材」はどうしても限られるので、受験者の文章・言語化能力が見られるのです。
「この自治体にはAという施策がある。これは県内を見回してもここでしか実施していない。だからこそ、この自治体で働きたい」
というように文章・言語化能力を駆使し、いかに自分なりの説得力を持たせられるかどうかが重要になります。

3.面接時に気を付けたい言葉

地方自治体が好んで使う言葉は、その自治体のホームページで頻繁に掲載されます。
受験者はその言葉を深く考察せずに使いがちですが、そこには注意が必要です。

例:地方自治体でよく使われる言葉 「協働」
共同、協同よりも、より住民に寄り添う意図をもって使われます。
地方自治体は住民サービスをアピールするあまり、このような「言葉の差別化」をする傾向があります。
特に自治体の首長がインテリだと、その傾向も顕著です。
そこで自治体のホームページに掲載されている言葉を受験者が安易に使うと、面接官から深く突っ込まれてしまいます
そのような言葉を使う際は、受験者自らの体験に落とし込んだうえで語ると、面接官から「しっかり考えて言語化できている」と評価されるでしょう。

また最近の自治体は住民サービスをアピールするため、「傾聴」という言葉を常用しますが、この「聴く」という言葉にも注意が必要です。

「聞く」 一般的に使われるが、公務員の世界では雑な印象を与える。
聴く」 心を傾けて丁寧にきくこと。

職務経歴書などに「住民の意見をしっかり聴く」と記載する際は、「聞く」との違いを説明できるようにしておくとよいです。

4.「趣味」に隠された大きな意味

多くの受験者にとって、緊張する質問が続く2次試験の個人面接。
面接官から、「あなたの趣味は?」と聞かれてもホッとしてはいけません。
単なる趣味の質問でも、面接官は受験者のことをしっかり見ています。

4-1 趣味を尋ねる理由はさまざま

民間・公務員試験に共通していますが、ストレスをしっかり発散できるような趣味があるか、その趣味が受験者の人格形成にどう影響しているかなども見ています。
公務員や地方自治体では、未だにスポーツをしている受験者が好まれる傾向があります。
なぜなら、その職場でスポーツクラブやイベントがあるからです。
また自治体の職員労働組合においても、組合員のスポーツ大会がよく行なわれます。
もし過去に球技などの経験があれば、記載しておくと好印象を残せるかもしれません。

4-2 SNSアピールはほどほどに

近年の公務員によるSNSでの情報漏洩について、地方自治体は気を揉んでいます。
受験者はSNSの趣味を輝かしい実績としてアピールしても良いかもしれませんが、面接官に組織の情報漏洩の懸念を抱かせると逆効果になります。
またSNSの運営で収益が発生していると、「公務員の副業禁止」規定にも抵触しますので、ほどほどの運営に留めることが無難です。
SNSの運用実績により自治体の観光系の部局などに「有力な情報発信者」として引っ張られるとお考えの方がみえるかもしれませんが、その可能性はわずかでしょう。
そもそも観光部局は、地元ゆかりの有力なインフルエンサーに自治体のプロモーションを業務委託することが多いので、新規採用職員から一本釣りすることは稀です。
そんな自治体の花形である観光部局は、総合成績の上位者が優先的に配属される傾向が強いので、SNS運営だけをアピールしても効果的ではありません。
「一般行政」枠の受験者が必要以上に情報発信力をアピールしても、情報漏洩の面から逆効果になる恐れがありますので、ご注意ください。

4-3 「特になし」は、もったいない

よく言われることですが、趣味の欄に「特になし」と記述することは自らの可能性を自ら閉ざしてしまいます
一般的な「読書」といっても、読書のジャンルを特定したり、その自治体の図書館をよく利用していることをアピールしたりしてはどうでしょうか。
これで面接官の興味を引き、プラスに繋げることもできます。
また、最近流行りの「古寺や城跡めぐり散策」についても、地元の魅力を再発見できるという点で、好印象を残せることでしょう。

5.まとめ 公務員の2次試験には、公務員特有の事情あり

公務員や地方自治体には特有の事情があることから、2次試験の面接では民間企業と異なるポイントも審査されます。
面接官もその地方自治体のいち公務員ですから、まずは「一緒に長く働けそうだ」と思ってもらえることが大事です。
加えてその自治体にマッチした協調性や、組織を前向きに改善できる自主性が重要視されます。

地元以外の自治体受験のポイントは?志望動機に書くべき内容も紹介!(心構え編)

1.はじめに

地元以外の地方自治体を志望するとき、「地元出身でないことが不利に働くのではないか」「地元でない自治体を志望する理由をどう説明するか」と悩む人も多いのではないでしょうか。
地方公務員の仕事内容は地域に密着しているため、生まれ育った土地で働き、貢献したいという理由で地元の自治体を志望するのは自然な流れです。

しかし、「生まれ育った土地だから」という理由だけでは志望動機に厚みがなく、説得力は十分とは言えません。

地元でも、地元でなくても、具体的な志望動機と自分の魅力をしっかり伝え、採用側を納得させられる説明をすることが大切です。

本記事では、地元以外の自治体を志望する人に向けて、自治体を選ぶポイントや志望動機に書きたい内容について解説します。
ぜひ参考にしてください。

2.地元以外の自治体を検討するときのポイント

まずは地元以外の自治体を選ぶときに気をつけたいポイントを3つ紹介します。

その自治体を訪れた経験があるか

訪問したことがある自治体であれば、街並みや自然環境を実際に見ているため、地域の特徴や課題が目につきやすいです。地域の特徴や課題を知れば志望動機に結びつけられたり、自分の携わりたい仕事をイメージしやすくなります

また、地域によって生活スタイルや風習は大きく異なります。ひとつの地域にしか住んだことがない人は、他の地域に行くとその違いに驚くことも多いかもしれません。文化や雰囲気などを体感しておけば、地元以外の自治体で公務員として働くときの心構えができるはずです。

その自治体に魅力を感じられるか

「ここで働きたい」という強いモチベーションを感じられるかどうかは、志望する自治体を決めるうえで大きなポイントです。

自治体や地域に愛着を持つことができれば、自然と住民のために尽くそうという気持ちが起こり、良質な行政サービスの提供につながります。社会人になると1日の大部分を仕事に費やすことになるので、前向きな気持ちで仕事に取り組めるかは人生の質(QOL:Quality Of Life)にも関わってきます

充実した公務員生活や私生活を送るためにも、意欲を持って働ける場所かどうか見極めましょう。

そこで実際に生活できるか

地元ではない土地に就職する場合、物理的に実家から通うのが難しい人が多いはずです。そうなると就職した自治体やその周辺に引っ越して暮らすことになるので、その土地での生活をイメージしておく必要があります。

なかでも家賃や食費などの生活費を見積もっておくことは重要です。家賃補助や交通費などがどの程度支給されるのか、官舎(職員住宅)はあるのか。そして収入と支出のバランスはどうかなど、具体的な金額で計算してみることをおすすめします。

また、移動に車が必要な地域か、自分の趣味やリフレッシュをする場があるかなど、プライベートについても想像してみてください。実際に住みはじめてから、「こんなはずじゃなかった」といったギャップを小さく抑えることができます。

3.志望動機に書きたい4つのポイント

ここからは地元以外の自治体を受験する際の志望動機について、4つに分けて解説します。
具体性のある説明をしつつ、熱意が伝わるような志望動機を作成しましょう。

その自治体に興味を持ったきっかけ

「興味を持ったきっかけ」は、地元以外の自治体を受験するときに、特にしっかりとした説明を用意しておきたいところです。

例えば、観光で訪れた際のよい思い出、地域の文化や伝統に惹かれた経緯など、実際にその自治体に足を運んで得た経験を具体的に書きましょう。

「地域社会に貢献できる」「仕事の規模が大きい」といった公務員全般に当てはまる理由ではなく、自分の体験をもとにした「オリジナルのきっかけ」を説明すると、採用側の印象に残りやすいです。

その自治体を志望する理由

興味を持ったきっかけを述べたあとは、なぜ志望するに至ったか理由を説明しましょう。
このとき、自分が注目している自治体の特徴や課題を具体的に挙げることを意識してください。具体例を出すことで、その自治体に関心を持って調べていることや課題解決への意識が伝わり、志望動機の説得力が増します。

もし、仕事内容だけでなく新しい環境で働くこと自体が志望理由のひとつであれば、腰を据えて長く勤めたい意志があることを伝えておくのもいいでしょう。

携わりたい仕事

行政の仕事は多岐にわたります。自分の強みを生かせるような仕事や関心のある分野を具体的に述べて、携わりたい仕事内容を明確に伝えましょう。

もちろん希望通りの配属先となるとは限りません。特に行政職はさまざまな部署に配属される可能性があるので、特定の業務や分野に固執し過ぎた志望動機は好ましくありません。

しかし、携わりたい仕事を具体的に述べることで、仕事への熱意や真剣に向き合う気持ちを伝えることができます

仕事に活かせる自分の強み

長所や得意分野を具体的に示し、どのように役立てるかをしっかりアピールしましょう。

自分の強みと仕事がどのようにマッチするか説明することで、その自治体を志望する理由にも厚みが増しますし、熱意やモチベーションも伝わりやすいはずです。

また、採用側が応募者の長所や得意分野を事前に把握できれば、仕事の適性を判断する材料になります。配属先などでのミスマッチが起こりにくくなり、スムーズな公務員生活のスタートが期待できます。

4.まとめ

公務員採用試験において地元出身でないことが不利に働くことはなく、基本的には能力や人物像で公平に判断されると考えられます。

採用側に納得感を与えられる筋の通った志望動機であれば、地元出身でなくても問題はありません。

説得力のある志望動機を作成するためにも、募集要項やホームページを読み込む、説明会やインターンシップに参加する、実際に街を歩いて観察するなど、自治体への知識を深めることが大切です。

自分の経験から得た気づきを盛り込み、説得力のあるオリジナルの志望動機をぜひ作成してみてください。