面接対策

【超重要】市役所の志望動機を作るポイントをどこよりも詳しく解説

市役所試験も他の公務員や民間企業の就職試験と同じく、面接で聞かれる3大必須項目があります。それが以下の3つです。

(1)志望動機(志望理由)
(2)自己PR
(3)学生時代に一番力を入れてきたこと
(民間企業経験者は民間企業での経験)

この3つの中でも、特に志望動機に頭を抱える受験生が多いようです。

そこで、公務員の中でも特に、市役所の志望動機(志望理由)の作り方をどこよりも詳しく解説します。

1.市役所は特に面接が重要

まず、志望動機のつくり方の説明の前に、市役所がどれくらい面接を重視しているかを確認してみます。
重要度を知ることで、「志望動機を適当につくっても受かるでしょ!」という甘い認識を変えてほしいからです。

市は、(政令)指定都市・中核市・施行時特例市・その他の市という分類がされますが、規模が小さくなるほど市役所の採用者数は少なくなるうえ、面接が重視される傾向があります(もちろん例外も多くありますが)。

(参考)
東京都三鷹市(H29実施結果)
一般事務: 1次受験者 1252 → 1次合格者385 → 最終試験合格者25

三鷹市は1次試験である程度しぼるものの、その後、集団面接、集団討論、個別面接、理事者面接と数回の面接を経てやっと最終合格となります。
しかも、1252人の受験者に対してたったの25人。いかに面接が重要かが分かります。

三鷹市が一見特別のようにも思えますが、一般の市役所は国家公務員や東京都の特別区などと異なり受験者数は少ないものの、合格者数も若干名〜数十名と、非常に少なくなります。
受験者自体が少ないということは、面接官は一人一人をじっくり品定めする余裕もあるということです。

また、多くの市役所では、複数回の面接を実施します。市長が自ら面接することもあれば、民間企業の人事担当者に依頼して面接官になってもらうこともあります。

それだけ、優秀な人材を採用して、その市のために尽力してもらいたいと思っているあらわれでしょう。

このように、一般に言われているように市役所の面接はとても重要なものです。自己PRだけではなく、志望動機も力を入れて準備しておく必要があります。

2.志望動機(志望理由)で求めているもの

面接官が志望動機で求めているものは「熱意」です。

精神論のような話ですが、本当に「熱意」を求めています。
実際に市役所で採用面接官をしていた方からも「熱意」と伺いました。

市役所の仕事は、多種多様です。希望の部署に配属されるとは限りません。
市役所の仕事は、地味です。淡々と、ミスなく、日々の業務をこなしていく必要があります。
市役所の仕事は、住民相手です。高圧的な住民、うそをつく住民、話を聞いてくれない住民、困った住民が窓口に訪れ、また、電話にクレームをいれてきます。

このような市役所で、定年までしっかりと働いてくれるのか。志望動機(志望理由)を聞くことで確かめていると思って下さい。

民間企業では転職が当たり前の時代になりましたが、公務員では定年まで勤めを果たすことが前提です。

なぜなら、採用にも採用後の人材育成にも莫大なコストがかかっており、そのコストは全て税金から出ているからです。優秀でもすぐにやめてしまう人材は採用者としては非常に困るのです。

そしてもう一つ。熱意のある人は、実際に採用された後も、主体的・積極的に行動できる人です。

受験にあたって様々なことを足をつかって調べ、頭を考え、そのうえで志望することを伝えられる受験生は、やはり採用後も同じ様に行動することができます。そういう人材がほしいのです。

ただ、「熱意がからまわり」している人も困ります。

「市役所に入ったら、〇〇や〇〇や〇〇をして、素晴らしい魅力ある市にしたい!」と熱意あふれる受験生がたまにいますが、その市の現状を全く把握できていないことがあります。

地に足をつけて、でも、その市を全力で良い市にしていきたいということを、志望動機(志望理由)にしてほしいです。

3.志望動機(志望理由)のつくりかた手順〜総論〜

いよいよ、どのように志望動機(志望理由)を作っていくのかをみていきます。

これからお伝えすることは、市販の面接対策本にのっているものと同じ部分もあるかと思います。

しかし、これが「王道」であり、面接をパスするための一番の近道になります。

「こんなこと知っているよー」と思うのではなく、志望動機(志望理由)をつくるにあたって抜けなく、しっかり自分で掘り下げらているのかを確認してください。

まず、志望動機の作り方はの以下の手順となります。

①志望するようになったきっかけを考える
(1)本音   (2)具体的なきっかけ(説明会・OBOG訪問など)
②なぜ、その市なのかを考える
③市役所でやってみたい仕事(調べ方/まちあるき)を知る
④なぜ民間ではなく公務員なのか(都道府県、国家公務員ではないのか)を考える
⑤自分には市役所職員としての適性があるかを考える

市販の面接対策本のほとんどが、最初に、上記④なぜ民間ではなく公務員なのか、を考えさせ、
次に、なぜ国家公務員/都道府県ではないのか、を考えさせたあとで、上記①②③⑤と考えさせています。

ただ、最初に「なぜ公務員なのか?」という質問は、簡単なようで難しい質問ではないかと思います。なぜ公務員か・・・安定している、ノルマがなさそう、有給がとれる、という発想になってしまいがちです。

それよりもまず

  • なぜ市役所を受けるのか
  • その市で何ができるのか
  • 何をしたいのか

を考えていくうちに自ずと、「自分のやりたいことは民間でも国家公務員でもできない仕事だ」という答えが出るのではないかと考え、上記のような手順になっています。

4.志望動機(志望理由)のつくりかた手順〜各論〜

ここからは志望動機の具体的な作り方について解説していきます。

4-1.①志望するようになったきっかけを考える

(1)本音をうまく言い換えるようにする

みなさんが、その市を受験するきっかけはなんでしょうか?まずは本音を書き出してみましょう。

本音はもちろん本番の面接では使えません。ただ、本音が、面接に使えるきっかけとなることもあります。

たとえば、C日程の市役所を受験する人には、
「国家公務員の試験やA日程の地上の試験に全滅した」
という人も多いでしょう。

就職しなければならないから、仕方なくC日程の市役所、というのが本音。さすがに、面接では言ってはいけない志望のきっかけです。

ただ、

「たしかにA日程で他の市役所を受けたが不合格でした。でも、私はどうしても基礎自治体で住民のために働きたいので、この市を受験しました。」

このように言い方を変えれば、十分に面接で使えるフレーズになります。

特に、7月以降に採用試験を行う市役所の面接官は、「A日程で合格できなかったんだな」というのは承知です。そのうえで志望理由などを聞くわけですから、見え透いたうそをつくのではなく、「本音」を面接で使えるフレーズに変える作業をしておきましょう。

本音の中には、

「将来、親の面倒をみることになっている」
「婚約者が〇〇市で働くことを希望している」

など家族に関することもあると思います。

こちらも物は言い様です。

「私は長男で、〇〇市に住む親の面倒をみることになっているが、親はもちろん〇〇市民が安心して老後を過ごせるようなまちづくりに携わりたい」

などと言い換えることもできるでしょう。

市役所では面接を複数回実施するところも多いです。

しかも、最終面接の面接官は、50〜60代の仕事もバリバリ、人生も充実して送って来た方々です。

本音をかくして下手なウソをつけば見破られますので、その本音をうまく言い換えられるようにしておくことが得策です。

(2)具体的なきっかけから考える

いろいろな本音があるとは思いますが、実際に受験するにあたっては、「説明会」に出席したり「OBOG訪問」で直接、市役所職員から「生の声」を聞くことがとても重要です。

「A日程の試験が全部落ちたからとりあえず〇〇市を受験した」としても、その市役所職員の生の声を聞かなければ、職場の雰囲気も分からないですし、自分が働いたときのイメージももてません。

その結果どうなるか。

「こんな仕事やってられない…」と思うようになり、毎日渋々勤務し続けるか、退職の道を選ぶハメになってしまいます。それでは、採用者側にもみなさん自身にもよいことはありません。

また、職員の生の声を聞いて、自分が感じ、考えた事が、そのまま独自の(オリジナルの)志望理由になっていきます。これが面接では最も大事なことです。

たとえば、

「こちらに勤務する大学の先輩から話しを伺った際、・・・・・・という仕事の話を聞き、是非わたしもそのような姿勢で働きたいと思ったのが志望したきっかけです。」

このように答えれば、受験にあたってわざわざOB(OG)に連絡をとって話を聞いているんだな、仕事のイメージができていてそれをやってみたいんだな、などと受験生の熱意を感じてくれるでしょう。

また、このことをきっかけに、「どんな話をしたのか」とか「どんなことを思ったか、具体的に」などと話が広がっていきます。

4-2.「②なぜ、その市なのか」「③市役所でやってみたい仕事」を考える

市役所を受験するきっかけが整理できたら、次に

  • なぜ、その市なのか
  • なぜ、その市でなければダメなのか


を考えていきます。

その際、「③その市役所でやってみたい仕事」と関連させながら考えるのがよいでしょう。

さて、市役所というと住民課の窓口くらいしか想像できないかもしれません。

学生なら、引越や年金の手続。結婚していれば入籍届け、社会人なら税金関係。

このくらいでしか市役所を使わないかもしれませんが、人生を歩むに連れて、さまざまな部署にお世話になる機会が訪れたりします(妊娠・出産・子の就学・介護・死亡など)。

住民の生活を支えるのが市の仕事になりますが、みなさんが受験する市にはどのような部署があるのか、組織図を必ず確認しておきましょう。

■組織図の調べ方
今ではほとんどの自治体で、市の公式HPがあります。

たとえば東京都多摩市を受験したいなら、多摩市のサイトを開いて、サイト内にある検索バーに「組織図」と入力し検索ボタンをクリックすれば、多摩市の組織に関する情報が出てきます。

それ以外にも、HPからダウンロードできる「多摩市職員募集要項」をみると、受験生に親切に【組織機構図】という形で紹介してくれています。

多摩市に限らず、サイト内で組織図を検索していただければ見つけるでしょう。

まずはこの組織図をしっかりと見てください。こんなことも市役所で取り扱っているんだ、と思うこともあるでしょう。

少し珍しいところでは(珍しいのでよく話題にとりあげられ知っている受験生も多いかもしれませんが・・・)、千葉県松戸市の「総合政策部」の中には「東京オリンピック・パラリンピック推進課」などと並んで、「すぐやる課」という課が存在します。通称ではなく正式な課の名前です。

「市政についての要望等の緊急処理及び連絡に関すること」を業務とし、近年多いのはたとえばスズメバチの駆除などのようです。

発足は1969年、いまと違って、「ザ・公務員=お役所仕事」の全盛期であろう頃に、このような課をつくったことがまずすごいと思いますし、このような新しい考えを取り入れられる職場の風土があるのだと思います。

スズメバチの駆除などは、他の市役所でも普通に行っていることかとは思いますが、「すぐやる課」というネーミングやインパクトがあるから、住民の認識度も高く気軽に相談することができるのではないかと思います。

このように、組織図からいろいろなことを考えることができます。この「考える」という作業が重要なところです。
面接では様々な角度から質問を受けるので、日頃から考えるくせをつけておく必要があります。

そして、組織図で気になる部署があったら、どんなことをやっているのかいろいろな手段を使って調べてみましょう。

①インターネットから取得できる資料(特に、市の総合計画/基本計画)
②市役所や説明会でもらった資料
③説明会で聞いた話/質問したこと
④職員から直接聞いた話

この中でも特に重要なのは、③説明会で聞いた話/質問したこと、④職員から直接聞いた話です。

①や②は知ってて当然、他の受験生と差はつきません。③④をすることで、オリジナリティが出て、面接では評価されていきます。

説明会に出られなかった・・・、知り合いの職員がいない・・・、という場合は、直接、市役所に電話をしてみましょう。こういう受験生も多いので、職員側は意外と親切に対応してくれます。いろいろな手段を使って調べ、考えたことから、やりたいことが少しずつみえてきます。

そして、

「近隣のB市では〇〇(政策)についてはあまり力を入れていないが、A 市では非常に力をいれて取り組んでおり市民の生活を支えている。〇〇は重要な政策だと考えるので、私も〇〇市の職員になって是非この仕事に取り組んでみたい。」

と言った「やりたいこと」をつくりあげることができるのです。

そしてもう一つ、とても重要なことがあります。

それは市役所を志望する以上は、必ず、「まちあるき」をしてください。1回だけではなく、時間が許す限り何回も。

その際、漫然と歩くのではなく、いろいろなところを見て感じて、メモをしてきてください。そして、課題を発見し、どうしたらよいのか考えてみて下さい(もちろん答えはすぐに出ないので、自由に柔軟に)。
ここから、やりたい仕事につながる発見がみつかるはずです。

たとえば、

  • バリアフリーが進んでいないところが結構多いな。どうしてだろう。
  • 子育て支援に力を入れているらしいけど、ベビーカーを使う人には随分不便な町だな。
  • A町の商店街はとても活気があるけど、B町は寂しいな。どうにかならないかな。

などなど。

そして、まちあるきをする途中で、まちの人に質問したり会話をしてみることも大事です。こういうことが苦手な人には少しハードルが高いかもしれませんが、まちあるきの経験が良い志望動機(志望理由)につながっていきます。

「え?ここまでしなくちゃいけないの?」と思った人もけっこういるかと思います。

実際には、ここまでしなくても合格する人は合格しています。ただそれは、運がよかったとか、他の自己PRがよかったとか、かなり好感度がよかったから。

まちあるきなどを通じた市の研究を、ノート1冊分びっしりうめて、それで上位で合格している受験生もけっこういます。
やることをやれば、その分、自信をもって面接に挑めます。

4-3.「④なぜ民間ではなく公務員なのか(都道府県/国家公務員ではないのか)」を考える

②③の作業で、その市でやってみたい仕事が見つかれば、④の問いの答えは考えやすいかと思います。

たとえばこんな答えもあるでしょう。

「私がやりたい仕事は、都道府県が行う仕事ではないから。国が行う仕事ではないから。あくまで、住民の声を直に聞きながら、できるだけ速やかに解決してあげたいから。」

民間ではなく公務員の理由、も同様に考えられると思います。

市販の面接対策本では、「民間は利益追求だから公務員を志望する」という答えはダメ、という記載があります。

でもやっぱり民間は利益追求です。お金にならないことはしません(大企業が慈善事業でするのは除く)。

一方、公務員はお金にならなくても、生活に困った人には生活保護を支給しますし、お金にならなくてもスズメバチを除去します。住民が安全、安心に生活できるように、あらゆる面からサポートしていきます。

面接対策本などにはとらわれずに、自分の言葉で、なぜ公務員なのか(というより、なぜその市で働きたいのか、何をしたいからその市なのか)を説明していけば、面接官も納得してくれるはずです。

4-4.「⑤自分には市役所職員としての適性があるか」を知る

市役所で働く熱意・意欲を伝えることができても、市役所職員としての適性がなければ採用にはなかなか結びつきません。

では市役所職員としての適性とは何でしょうか?

最近は多くの市役所で、採用案内のパンプレット(HPの採用案内のページを含む)に、「〇〇な人材を求む!」など求める能力や適性をアピールしています。

たとえば千葉県船橋市のHPでは「船橋市が求める人材像」というページがあり、
そこには、

  1. 強い使命感と高い倫理観を持つ職員
  2. 良好なコミュニケーションがとれる職員
  3. 自主的に考え行動できる職員
  4. 持てる力を遺憾なく発揮できる職員

という項目とともに、詳しい説明が書いてあります。

まず、自分が受験する自治体ではどんな人材を求めているのか確認しておきましょう。

そして、自分はその人材にマッチしていると思うか、裏付けるエピソードとともに考えておきましょう(但し、市が求める人材の全ての項目にあてはまる必要はありません。)。この点で、志望動機(志望理由)と自己PRはつながっているわけです。

もっとも、市役所職員として一番重要な適性能力は、「コミュニケーション力」だと思います(他の職種でもいえることですが・・・)。

特に誰とのコミュニケーションか?それは住民です。

職員間で良好なコミュニケーションをとれることはもちろん、様々な住民(常識的な住民だけではありません)と良好なコミュニケーションをとることが求められます。これができるかどうか、いままでのアルバイトや部活、企業などの経験を掘り起こして裏付けしてください。

よく、「塾講師のアルバイトを通じて、コミュニケーション力を培ってきた」という受験生がいますが、塾講師の相手は子どもです。

子どもと上手にコミュニケーションがとれたとしても、面接ではアピール不足です(別の点でアピールすることはできます)。塾講師のネタでコミュニケーションをアピールしたいのであれば、社員や保護者との関係で説明する必要があります。

このように裏付けエピソードは正確に選択しましょう。

(余談)

公務員受験生の中には、非常にコミュニケーションをとることを苦手とする受験生がいます。大学時代、単位はとったもののそれ以外はただ家にいただけ、という受験生もいました。

このような人が市役所職員となり、日々住民とかかわっていくのは精神的にきついものがあるでしょう。

結局、その受験生は第1志望の市役所には合格できませんでしたが(面接で不合格)、筆記試験はよくできる子だったので、国民と直接接することの少ない国家公務員のある官庁に採用されました。

自分の実力やコミュニケーション力など、自分でウソをつかずに認めることが、受験時だけでなく採用後の人生に大きく関わってきます。

5 志望動機を聞かれなかったら不合格の噂

面接の後、「志望動機を全く聞かれなかったんですけど、不合格でしょうか?」という相談を受けることがあります。

ネットで、「面接では絶対志望動機が聞かれる」、とか、「面接では志望動機がとても重要」といった情報がたくさん出てくるからでしょう。
たしかに志望動機は重要です。

でも、志望動機が聞かれても聞かれなくても、受かる人は受かるし、落ちる人は落ちます。

たとえば、同じ時間帯に複数の部屋で面接が行われていることがあります。

このときに、A室では全員志望動機が聞かれたが、B室では聞かれなかった、ということもあります。おそらく面接官同士で取り決めているのでしょう。

また、面接カードの志望動機がありきたりであればそのままスルーすることもあるでしょうし、逆に十分に伝わった場合もスルーしたりするでしょう。

短い面接時間の中で一人一人の適性を正確に判断するために、面接官が聞きたいことを聞いてきます。似通った内容になりがちの志望動機は、聞かれる事もあるし聞かれないこともある、という認識でいてください。

ただし、これまでの手順でみてきたように、志望動機は自己PRともつながるところです。どんな角度から聞かれてもうろたえなくてすむように、万全な対策をとってください。

まとめ

市役所を受験する方向けに志望動機の考え方を詳しく解説しました。

市役所の試験は面接試験が非常に重要視されるので、しっかりと対策をするようにしましょう。

事務系職種公務員の仕事内容をどこよりも詳しく解説

公務員の仕事って分かっているようで意外と知られていないものです。

公務員と聞くと役所に行ったときに住民票の発行などをしている職員を思い浮かべがちですが、あれは数多くある職種の中の事務職の仕事であり、事務職の中でも多くの仕事の一つに過ぎないのです。

ここでは、そのような公務員についてなんとなくわかっているけれど実はわかっていない人に向けて、事務系職種の公務員の仕事について解説していきますので参考にしてみてください。

1.一般行政事務

一般行政事務は「行政職」や「事務職」などと呼ばれますが、受験者数、採用数ともに最も多く、公務員の仕事に従事している人のほとんどはこの一般行政事務(以下「事務職」)となります。

冒頭で述べた役所の窓口で住民票を発行している職員もこの事務職に該当しますが、採用されると誰でもこの仕事をするわけではありません。

事務職は特定の部署に限定されずに配属されるため、本庁内の部署や出先機関などさまざまな職場に採用され、多種多様な仕事をすることになります。

仕事内容も先ほどの窓口業務以外にも、予算や庶務などの内部の管理的なものや保険料など税金の徴収、用地の取得交渉といった対外的な仕事もあります。

ほかにも、観光や国際交流、まちづくりの推進、福祉の充実、環境保全、広報、防災対策、文化・スポーツの推進など行政のあらゆる業務を行うのが事務系職種の特徴であり、3年前後で異動し、さまざまな部署で幅広い経験を積んでいくことによりゼネラリストとして活躍していきます。

特に、市町村や特別区のような「地域に密着」している自治体の場合、国家公務員や都道府県職員よりも窓口業務の比率が高くなり、いわゆる「デスクワーク」を行うというよりも、「人」を相手とする仕事が多くなってきます。

そのため、感謝されたときのやりがいや楽しさはありますが、逆に住民からの苦情や罵倒に対応していかなければならないという大変さはあります。思ったよりも大変で精神的な強さを求められる仕事でもあります。

窓口業務以外では政策の企画立案や予算の編成、条例や規則の整備など行政の運営全体に関わるような大きな仕事に携わることもできます。

こうした政策に関わるような業務の場合、会議や決裁による意思決定することが多く、技術職の職員と協働で行うこともあり文書作成力や部署間の調整力が求められるという特徴があります。ですので、採用された最初のうちは窓口業務が多くなるという傾向があります。

自治体がどのような仕事をしているかを知るにはHPより組織図を確認し、興味のある部署について調べてみるという方法があります。

例えば東京都であればざっくりと以下のような組織になっています。(参考:東京都組織図

・政策企画局
・総務局
・財務局
・生活文化局
・オリンピック、パラリンピック準備局
・環境局
・都市整備局
・福祉保健局

これだけではどういう仕事なのかあまりイメージできないかもしれませんが、都道府県や政令指定都市のような大きい組織の場合(全てではありませんが)、たとえば東京都の場合はこれら局の下に総務部や徴収部、街づくり政策部、観光部などの部があり、その下に総務課や職員課、企画課といった課があり、いずれか課に配属されることになります。

組織が大きいほど部署も大きくなり、ここでは書ききれないほどあります。ですので、全体を把握するには組織図を必ず参考にするようにしましょう。

また、特別区である千代田区の場合でも同様に組織図を見てみるとどのような部署があるか理解できます。そして同じようにいずれかの部署に配属となります(配属は係への配属となります)。

これはどの自治体であっても同じですので、仕事を知るには希望する自治体の組織図を見てみるといいでしょう。

ちなみに国家公務員の場合は、国家総合職の政治・国際、法律、経済区分と国家一般職(大卒)の行政区分、国家一般職(高卒)の事務区分の採用者が一般行政事務職に該当します。

国の官庁は財務省や経済産業省、環境省、厚生労働省というようになっており、採用がそれぞれの官庁で行われるため地方公務員と比べて専門性が高くなります(ゼネラリストではなくスペシャリストとして活躍していきます)。

そして、仕事内容も全国や世界を視野に入れた企画立案を行うため組織だけでなく仕事のスケールも大きくなります(出先機関に配属された場合などはこの限りではありませんが)。

そのため、たとえば国交省の組織図を見てみるとその組織の大きさを感じられるとともに、どのような仕事があるのかについてだいたい掴めるのではないでしょうか。

このように事務職の仕事は一言で説明できないぐらい幅広い仕事を行っているます。そのため、特に地方公務員の場合は自分のやりたい仕事につくことは難しいでしょう。
地方公務員の場合、あくまでゼネラリストとして活躍していくので、幅広い経験を積めることに楽しみややりがいを見い出すことができる人にはおすすめの職種といえます。




2.学校事務

あまり聞きなれないかもしれませんが、学校事務は「国立大学法人等職員採用試験」に合格し採用された人が国立大学等の職員として働くことをいいます。

国立大学「等」となっているのは、関東甲信越地区の場合、「国立大学法人」「独立行政法人」「国立高等専門学校機構」「大学共同利用機関法人」「特別な学校法人」の5つが採用試験により職員を採用しているので、国立大学以外にも様々な機関で働くことができるからです。

名前だけ見るとなんとも仰々しい感じがしますが、「国立大学法人」はいわゆる東大などの国立大学、「独立行政法人」は国立科学博物館や近代美術館など国営の組織、「国立高等専門学校機構」は高等専門学校のことで技術者を育てるための学校、「大学共同利用機関法人」は大学の研究機関であり、「特別な学校法人」は放送大学のことであり、 意外と身近な機関だと思ったのではないでしょうか。

一般行政事務はその自治体に住んでいる人の生活を質を向上させることを主な目的としますが、学校事務は公立学校の教育活動をサポートするため学生や教員と近いところで仕事ができます。

いずれかの組織に採用された場合、事務職であれば学生支援や総務、人事、国際交流など一般行政事務と同様、多種多様な仕事に携わることになります。

具体的な仕事内容は下表のとおりとなっており、仕事を通じて将来活躍できる人材を支援できるというのは学校事務のやりがいといえるでしょう。

【事務系の業務内容】(「関東甲信越地区国立大学法人等仕事紹介ブック2015」より)

学生支援 学生の入学から卒業までを 学業面、生活面から 支援します ・学績管理、修学指導、成績データの処理
・奨学金、授業料免除、学生の健康管理、生活指導
・就職サポート
・大学入試センター試験、個別学力試験の実施
研究推進 研究の助成、産学官連携の 推進を支援します。 ・受託研究・民間との共同研究等の外部資金受入
・知的財産の管理
・寄附講座・寄附研究部門の設置・運営
・地域研究拠点の運営・推進
国際交流 海外との学術交流・学生交流の 推進を支援します。 ・海外の大学・研究機関等との学術交流事業
・外国人研究員等の受入、教職員の海外派遣 ・留学生の受入、学生の留学
・地域社会と留学生の交流事業
総務・人事 経営企画を担い、 組織をマネジメントする 役割を担います。 ・教授会・評議会・入学式・卒業式等の運営
・規則の制定・改廃
・広報、情報公開関係
・組織改編、大学評価
・地域貢献活動(公開講座、出前授業等)の企画・実施
・職員の採用・昇任・異動・給与・研修・福利厚生
財務 組織運営に必要な財務上の 計画や管理を行います。 ・組織運営に必要な予算の要求・執行
・各種物品の契約・購入・管理
・授業料・検定料・入学金等の収入金の出納
医療支援 組織運営に必要な財務上の 計画や管理を行います。 ・外来患者の受付、入退院の手続、医療情報の管理
・診察・入院料金の計算・収納
・地域連携医療、災害医療支援、病院再開発計画の策定
・病院経営にかかる情報の収集・分析
情報システムサービス 組織運営に必要な財務上の 計画や管理を行います。 ・ネットワーク・システムの管理・運営
・情報化講習会の企画・実施
・電子計算機利用の知識・技術の普及



3.警察事務

まず知っておきたいことは、警察事務は警察官ではありません。

警察事務はあくまで事務職であり、都道府県警察で採用され東京都の警視庁や各道府県警察の本部そして警察署において警察業務全体をサポートし、警察組織を円滑に機能させる役割を担っています。

主な業務として、警察業務全般のシステム管理や運転免許証に関する事務、給与に関する業務、備品・施設の管理、会計といった事務業務に加え、警察活動の広報、交通に関する統計、警察の将来像の検討、快適な職場づくりなど幅広い業務を行います。

これらは一般行政事務や学校事務と同じように、警察事務も業務をスムーズに運営させるという目的ではそれほど変わらないかもしれません

 

しかし、警察事務は警察官と連携して、犯罪や事故を減らすためにはどのようにするか検討する、といったこともしていきます。

たとえば、ある地域で犯罪が多く発生している場合、警察官を多く配置するか、また警察署を新設するか、夜道に街灯を増やすか、といった企画・立案をします。しかしそうした場合、当然お金がかかってしまうため、予算を確保するために財政当局へ要求をしなければなりません。

このように、警察事務は「住民の安全・安心を守る仕事」として活躍するというやりがいがあります。

なお、国家公務員の警察事務職員は、国家一般職(大卒)行政、国家一般職(高卒)事務から採用され、管区警察局、警察情報通信部、警察大学校、科学警察研究所などに配属されます(下図参考)。

警察局

都道府県警察を統括する国の機関として「警察庁」があり、その下に地方ごとに各管区警察局が設置されています。

仕事としては都道府県警察での採用と同様に人事、給与、福利厚生及び会計事 務等の業務を担当し、現場で活躍する警察職員を側面から支援します。




4.まとめ

事務職の仕事はとても幅広いと感じたのではないでしょうか。

実際の仕事はここでは書ききれないほど様々で複雑です。ですが、ホームページから組織図を見たり、パンフレットを見ることでどのような仕事をしているのかをなんとなく把握することができますので、これから公務員を目指す人は仕事についてよく調べ、どのような仕事があり、何をやりたいのかを明確にしていきましょう。

これで完璧!公務員試験の自己分析の方法について詳しく解説します

公務員試験に限らず、就職活動全般において最大の関門は面接です。どんなに筆記試験で高得点を出しても、面接で失敗すれば内定は取れません。
その重要な面接を乗り切るために必要なものが自己分析です。

ここでは自己分析の方法について、なぜ自己分析が必要なのか、いつからやるべきなのか、そしてどうやってやればいいのか、どこよりも詳しくお伝えします。

1.自己分析が必要な理由

予備校や大学などから、「面接対策では、まずは「自己分析」をするように」と言われることがほとんどだと思います。自分のことを知らなければ、自分のことを相手(面接官)にしっかりと伝えることができないので、当然、「自己分析」が必要です。

しかし、これまで多くの受験生の模擬面接をしてきましたが、最初は初対面の相手(面接官)に対してきちんと説明できない受験生が圧倒的に多いです。
たいていが、自己分析なんてしなくてもよいと思っていたり、自己分析が中途半端だったりするからです。この状態で、どんなに模擬面接を重ねても効果は薄いでしょう。

たとえば、民間企業の就活でも公務員試験でも、「面接三大」質問というものがあります。それは、

  1. 志望動機
  2. 学生時代に力を入れたこと(民間企業経験者なら仕事において力を入れたこと)
  3. 自己PR

です。

自己分析をしっかり行わなくても、なんとなく、「学生時代はテニスサークルの副部長を努めました。サークルではやめていく部員が多かったので、部長と相談して対策を練りました。その結果、翌年にはやめる部員はゼロになりました。」などと作ることもできると思います。

実際に、模擬面接で指導する受験生には、こんな感じの薄い内容を面接カードに書いてくる人もよくいます。

しかし、模擬面接で深く質問していくと言葉につまったり、沈黙になってしまします。これでは、最終合格はつかめません。

「そもそもなぜ副部長になったのか?」
「大学のサークルなのだから自由に脱退してもいいのではないか?」
「なぜ部長と相談したのか」
「部長は一人ででは何もできないような人だったのか」
「やめる部員がゼロになったのは、本当にあなた自身の貢献によるものなのか?」

たった3行程度の文章から、簡単にあげてもこれだけの疑問が湧いてきます。

このようなたくさんの疑問に対して、面接官を納得させるだけの説明ができた人だけが内定を得ることができると思って下さい。
そのために自己分析が必要なのです。

2.いつから対策すべき?自己分析をできるだけ早く始めるべき理由

公務員試験の受験生の場合、面接対策の1つとして自己分析を始めるのは筆記試験終了後、遅い人だと筆記の合格発表の後の人が多いかもしれません。筆記試験の負担がかなり重いので仕方ないことだとは思います。
実際に、筆記の合格発表後に自己分析を含む面接対策に着手して内定を得ていく人もたくさんいます。

しかし、これでは手遅れの人も毎年それなりの数で出会ってきました。

民間企業の就活がダメだったから公務員、学生時代は麻雀くらいしかしていない、サークルなんて入っていない、ゼミも頑張っていない、アルバイトは単発のみ・・・。
公務員受験生にはけっこう存在するのです、こういう学生や既卒の人たちが。

このような人たちはもちろん、それなりに学生時代を満喫している人でも自己分析はできるだけ早く1度やっておいてほしいと思っています。

具体的には、大学3年生になる前の春休みか夏休み前。遅くても、大学3年生の冬(民間の就活が始まる前)には、自己分析を行なって下さい。
そして、公務員試験の筆記試験終了後に、改めて面接対策を行なえば万全です。

なぜなら、自己分析をすることで「自分は何が足りていないか」を知ることができます。

たとえば、「大学時代はアルバイトばかりで、大学生活で積極的に活動したことがないな」と分かれば、大学3年生の1年間(受験勉強が本格化するまでの冬までなど)、サークルやゼミに主体的に参加すればよいでしょう。

「とりあえず公務員を受験しようと思ったけど、それらしい勉強していないな」と思ったら、大学3年生で、地域コミュニティ論や行政学などの科目を履修選択することもできます。

こういうことができるのが大学3年生になる前の春休みです。

この時期に自己分析をできなかった人も、まだ夏休み前なら間に合います。

大学生の夏休みは長いので、ボランティアに2週間行ってみるとか、インターンシップを受けるとか(公務員試験受験生が民間企業のインターンシップを受けたとしてもとてもプラスの経験になります)、アルバイト経験がなければ2か月間集中して働いてみるとか。

また、ゼミ合宿が夏休みに行なわれることも多いので、合宿の運営に積極的に関わってみたり、秋の学園祭のために頑張ってみる。
そういうことを経験でき、これが実際の面接に大いに役立てることができるのです。

これが理想ですが、自己分析をせずに冬をむかえてしまった場合でも、気がついた時に自己分析をしてみれば必ず役に立ちます。

年明けからは筆記試験の勉強が大変にはなってきますが、それと両立して自分に足りない部分を少しずつ改善することはできます。年末年始に自己分析をして足りない部分に気がついても、筆記試験終了まで半年もあるのです。必ず変われる部分があります。

また、自己分析をしていると、「民間企業の〇〇の分野には興味がある」と思って公務員以外の仕事にも目がいく事もあります。その場合は、3月に行なわれる民間の合同企業説明会にちょっと顔を出してみることもでき、新卒採用のチャンスを逃さずにすみます。

結果的に公務員試験だけを受けることになっても、「民間と公務員」の仕事の違いをしっかりと説明できるようになるでしょう。

筆記試験の合格発表後に、「自分には面接でアピールするネタがない」と後悔する前に、早めに自己分析を1度やっておきましょう!

3.具体的な自己分析の方法

自己分析の方法はいくつかありますが、しっかりと確実に面接に対応できるよう、王道のやり方を説明します。やや時間がかかりますが、急がば回れ方式です。

ここでは、次のステップを踏んで自己分析を行ないます。

【自己分析の方法(概略)】
ステップ① 中学・高校・大学(・大学院、卒業後等)の活動を書き出す
ステップ② ステップ①であげた各活動で特に力を入れたことを抜き出す
ステップ③ 中学・高校・大学(・大学院、卒業後等)での共通点を見つける
ステップ④ ステップ③の共通点と志望動機をつなげる

では、上記のステップを踏みながら具体的な自己分析の方法を説明していきます。

ステップ① 中学・高校・大学(・大学院、卒業後等)の活動を書き出す

学生が面接で話すネタは、たいていが次の活動が基になっています。

・サークル
・部活
・アルバイト
・ボランティア
・ゼミ
・ゼミ以外の学業
・留学
・大学外での活動(習い事や社会人サークルなど)

特に、公務員・民間の就活生に関係なく「サークル、部活、アルバイト」が3大自己PRネタとも言えます。家庭教師や居酒屋のアルバイト、野球サークルやダンスサークルなど・・・本当によくあるネタですが、ネタ自体はそれでいいんです。

大事なのは、その活動の中で自分はどのような行動をとってきたか、を説明すること。

あなたという人間は1人しか存在しません。たとえば、居酒屋のアルバイトでクレームを受けたことをネタに選んだとしても、同じクレームを受け同じ対応をした人間は存在しないのです。
自己分析をする際には、平凡だと思われる内容でも迷わず書き出してください。

そして、具体的な場面を思い出して、具体的にどのように考え、どのような行動をとり、結果どうなったのか、を書き出しましょう。

たとえば、次のように書いてみるものよいでしょう。

(例)
【アルバイト】居酒屋のホールスタッフ、大学1年から2年間勤務(週3日)
【業務内容】来店客を席に誘導→注文をとる→調理場に注文を伝える→料理を運ぶ
【大変だったこと】
客からのクレームに対応すること
【大変だったことを具体的に】
酔っぱらいの客に、料理が出てくるのが遅いと怒鳴られた。
経験上、酔っぱらいの客にはできるだけ丁寧・謙虚な姿勢をとるのが良いと考えた。
丁寧・謙虚に客のクレームを聞いたあと、調理場に伝え早めに出してもらえないか交渉すると同時に、客にそのことを説明した。その後、注文を受けるときには、料理を出すのにどのくらいの時間がかかるかを伝えた。
このクレームの件があってから、何かあったときには調理場の方にもお願いすることがでてくるかもしれないと思い、調理場の方々とコミュニケーションをとることにも積極的になった。

ポイント①

業務内容を細かく書き出すこと。
居酒屋のアルバイト、といっても居酒屋の規模や経営形態、スタッフなどによって業務が異なります。面接官に状況を理解してもらえるように、まずはどんな業務をしたのか整理してください。

ポイント②

面接の基本は「大変だったこと(困難だったこと)をどのように乗り越えたか」を伝えることです。物事に真剣に取り組めば、何らかしらの苦労がつきものです。
なので、ポイント①で詳しく書き出した業務内容を1つ1つチェックしながら、大変だったけど工夫して乗り越えたことを思い出して書いて下さい。

ポイント③

次に、どのような学びを得たのか明確にします。

上記の例では、酔っぱらい客の対応に具体的に対処したことを書き出しましたが、そこから学んだこととして、「何かあったときには調理場の方にもお願いすることがでてくるかもしれないと思い、調理場の方々とコミュニケーションをとることにも積極的になった。」という例をあげました。
単に、クレーム対応の内容を説明しただけにならないように気をつけて下さい。

このような感じで、

【大学時代】
・サークル ・部活 ・アルバイト ・ボランティア ・ゼミ ・ゼミ以外の学業
・留学 ・大学外での活動(習い事や社会人サークルなど)

【高校時代】
・部活 ・学業 ・ボランティア ・大学外での活動(習い事など)

【中学時代】
・部活 ・学業 ・ボランティア ・大学外での活動(習い事など)

について全て書き出してみましょう。
*民間企業経験者は、仕事上での経験を出来る限り全て書き出す。

なお、経験しなかったことについては、なぜ経験しなかったのか理由を書いて下さい。

たとえば、大学時代にボランティア経験がない人は、なぜボランティアをしなかったのか、理由を書きましょう。ボランティアの経験なく公務員になる人はたくさんいますし、しなくてもよいのですが、今は簡単に様々なボランティアに参加する機会があります。

なのに、なぜ参加しなかったのか。
そのようなことも、人柄を知るうえで大事なことになります。

実際に、面接で聞かれる人もいます。ボランティアだけでなく、なぜ部活ではなく、サークルにしたのかなど。いろいろな理由があったと思います。ここまで掘り下げておけば、面接でうろたえるようなことはありません。

ステップ② ステップ①であげた各活動で特に力を入れたことを抜き出す

ステップ①では、みなさんの人生の約半分を思い出して詳細に書き出してもらいました。かなりの労力を要したと思いますが、ここで他の受験生と差がつくと考えてもよいくらいです。

ステップ①を終えたら、ステップ①であげたそれぞれの活動の中で、特に印象深いできごと(=苦労を乗り越えて達成感を得たできごと)や特に力を入れたものを、それぞれの時代ごとに選んでください(複数ある場合は序列をつけておくとよいでしょう)。

(例)
【大学時代】
①居酒屋のアルバイトで酔っぱらいのクレームに対応したこと
②学園祭の実行委員として、50団体の出店について管理したこと

【高校時代】
野球部のマネージャーとして、部員が練習に専念できるような環境作りに貢献したこと

【中学時代】
吹奏楽部のパートリーダーとして、後輩が上達するように工夫を重ねてきたこと

ポイント①

具体的なエピソードで選んで下さい。
たとえば、「居酒屋のアルバイト」ではなく、「居酒屋のアルバイトで酔っぱらいのクレームに対応したこと」というエピソードで抜き出します。

ポイント②

リーダーとしての活躍や、大会での好成績など、輝かしいものである必要は全くありません。自分では「平凡だな」と思っていることでも、あなた自身を知ることができるものであればよいのです。

ステップ③ 中学・高校・大学(・大学院、卒業後等)での共通点を見つける

ステップ②で抜き出したエピソードから、自分の能力・特性の共通点を見つけて、文章化してください。

(例)
「私は、相手とよく話し良い関係を築くことで、物事を円滑に進めることができます。」
*スッテプ②の例から

ポイント①

共通点を見つけることで、「軸」ができ、矛盾がなくなります。
そうすると、いろいろなエピソードを話すことになっても、「こういう人なんだな」と面接官に自分を伝えることができます。

また、「私の強みは、継続力があることです」と言っているのに、それを裏付けるエピソードが1つしかない・・・ということがなくなります。アルバイトや部活、学業など、中学のときから何かを継続して行なうエピソードが複数あって初めて、その人の「強み」と言えるのです。

ポイント②

共通点が見つからなかった場合、どこかのタイミングで自分が変化したとも言えます。特に、大学に入ってから(もしくは社会人になってから)大きく成長する人はたくさんいます。
なので、この場合はどのようなことがきっかけで、どのように変わったと考えるのかまとめておきましょう。

ステップ④ ステップ③の共通点と志望動機をつなげる

最後に、面接では「あなたのどんな点を仕事に活かせると思いますか?」という定番質問があります。
ステップ③でまとめた自分の特性を、志望官庁(自治体等)のどのような場面で活かせると思うか考えておく必要があります。

(例)
説明会で職員の方から、常にチーム力が問われる仕事だと伺いました。
私の「相手とよく話し良い関係を築くことで、物事を円滑に進める」という長所を活かして、〇〇市に貢献していきたいと考えております。

*本来は、もう少しやりたい仕事の具体的場面を交えて長所をアピールするのが好ましいです。

4.まとめ

冒頭にも述べたように、たいした自己分析もせずに内定を得る受験生も勿論います。ただ、目先の面接だけでなく、人生の長い時間を費やす仕事を考えるうえで、やはり自己分析は重要です。

これまで、ノート1冊が真っ黒になるくらい自己分析を行っている受験生に何人も出会ってきました(志望先研究ノートを別にもう1冊作成)。もちろんその受験生たちは複数の内定を得て、現在公務員として活躍しています。

みなさんも納得のいく社会人デビューを果たせるように、自己分析を通じてしっかりと自分と対話をしてください。

これだけは知っておきたい!官庁訪問の流れと対策についての基本

国家総合職や国家一般職の内定を得るなら避けられない官庁訪問。しかし、実際いつから始まるのか?どんな対策をすればいいのかよくわかっていない方も多いのではないかと思います。

私もそうでしたが、官庁訪問という制度自体が複雑であり、また省庁ごとに日程や対策しなければならないことなどが異なるためとにかくどうすればいいのかわからないという印象でした。

このような経験から、ここでは官庁訪問について最低限知っておいてほしい内容についてご説明します。
官庁訪問について基本的なことを知りたい方、これから官庁訪問を始める方いずれも参考となると思いますので、ぜひ読み進めていき内定を勝ち取ってください。

1 官庁訪問について

1−1 官庁訪問とは官庁を訪問し内定をもらうこと

国家公務員試験、特に国家総合職と国家一般職試験で重要となる「官庁訪問」についてどれくらいご存知でしょうか。

この官庁訪問、国家公務員試験で内定を得るためにはとても重要なプロセスなのですが、とてもわかりにくい制度です。特に国家総合職・一般職を第一志望にされている方には、しっかり理解していただきたいと思います。

官庁訪問とは一言で言えば、「自分の行きたい官庁から内定を出してもらうために、自分をPRすることを目的としてその官庁に訪問すること」です。

ちなみに、国家総合職・一般職の採用プロセスにある官庁訪問が一般的ですが、国税・財務専門官にも官庁訪問と同じような「職場訪問」というものがあります。

両者の違いは、国家総合職・一般職が複数の官庁が訪問先(たとえば、経済産業省・厚生労働省・法務省など)となるのに対し、国税・財務専門官は各地域に置かれている国税局・財務局が訪問先になるという点です。

官庁訪問も職場訪問も、基本は面接を行っていく点は共通していますので、国税・財務専門官を第一志望とされている方も参考にしてみてください。

また、民間企業の就活をしたことがある方は、リクルート面接や個別面接を思い出していただければいいと思います。形式としては、民間企業の面接と基本的には変わらないと思ってもらって良いでしょう。

次に、実際に官庁訪問ではどこを訪問するのか?そして具体的にどのようなことを行っていくのか?という点について説明していきます。




1−2 官庁訪問の訪問先について

官庁訪問の訪問先として、各地域や試験区分ごとに傾向があります。

国家総合職も一般職も、全区分で霞ヶ関にある本省を訪問することができ、国家総合職受験者は主に霞ヶ関にある本省を回っていきます。

それに対して、国家一般職受験者は自分が受験した地域にある、本省の出先機関を訪問することが多いです。例えば、経済産業省の仕事に興味がある行政九州区分で受験した受験生は、経経済産業省の出先機関で福岡にある九州経済産業局を訪問する、というようなかたちです。

ただし、国家一般職試験でも行政関東甲信越区分で受験した受験生は、距離的にも本省に近いこともあり本省を訪問する受験生も多いです。もちろん関東甲信越といってもエリアは広域なため、財務省管轄の横浜税関など出先機関は存在しますので出先機関も訪問することもできます。

ちなみに、出先機関を志望する方は、〜省ではなく、〜庁や〜局という名称の機関を訪問することが多いです。

「庁」は「省」の外局(省が管轄する行政機関)というポジションとなり、省で扱えない仕事や専門的な仕事について任されています。各省の庁は以下のようなものがあります。

・内閣府:金融庁
・総務省:消防庁
・財務省:国税庁
・文部科学省:文化庁
・厚生労働省:社会保険庁
・農林水産省:林野庁、水産庁
・経済産業省:資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁
・国土交通省:海上保安庁、気象庁
など

「局」は「省」の内部部局(外局と対するもの)および出先機関となります。
内部部局は総務省の行政管理局や統計局、厚生労働省の健康局や年金局などがあります。

また、出先機関は法務省の入国管理局、厚生労働省の地方厚生局、国土交通省の地方整備局などがあり、関東信越厚生局や四国地方整備局といった地域の名前が前につきます。

様々な省庁があり、多くの省庁に行きたい気持ちも分かりますが、官庁訪問解禁初日に行く方が、志望度が高いことをアピールできるため、訪問日程が後になればなるほど、人事には「志望度が低いんだな」と思われかねません。ですので、現実的には2〜3個、多くても5個くらいを訪問するのは一般的でしょう。

1−3 官庁訪問で行うことは官庁ごとに異なる

では、官庁訪問では何をするのでしょうか。
もちろん内定を得るために面接をするというのはどこの官庁も同じなのですが、どのような形式なのかは「その官庁による」というのが結論です。

個別であれ集団であれ、面接は必ずどこの官庁でも行われます。面接は、民間企業の面接選考と同じように複数回あることがほとんどで、一回面接をクリアするごとに官庁から電話があり次の面接に進める、という形です。
ただ、稀に面接が一回だけで内定が出る官庁もあるようです。

官庁によっては職場見学や業務の説明など、説明会のようなことを行う場合もありますし、あるいはグループディスカッションが実施される場合や、官庁で働いている職員への質問タイム(座談会)が取られる場合もあります。

グループディスカッションでは、民間と同様、集団の中で議論できるかどうか見られているのはもちろん、座談会においては、積極的に職員に質問しているか、またその質問の質はどうかなどが評価されそれが選考結果に直接繋がってしまうこともありますので、気が抜けません。

このように、様々な形式で面接や説明会が行われるわけですが、重要になのは「自分が志望する官庁では例年どのような選考が行われているのか」、「選考プロセスはどうなっているのか」を知ることであり情報収集は欠かせません。

1−4 官庁訪問スケジュールについて

例年、国家総合職試験は最終合格者発表後すぐに官庁訪問が解禁されます。それに対して国家一般職試験は、最終合格者が発表されないまま官庁訪問もスタートし、最終合格者の選定と官庁訪問が同時並行されていきます。

そのため国家一般職試験では、せっかく官庁訪問で内定を得たのに最終合格できなかった、という残念な状況に陥る受験生がいます。国家一般職試験では、官庁訪問で内定を得たからといって人事院面接で手を抜かないように気をつける必要があります。

最終合格できないと、その内定も無駄になってしまうからです。特に、筆記試験をギリギリで通過した場合はなおさら人事院面接で挽回しなければなりません。

また、近年新卒の民間の就活スケジュールの後ろ倒しが行われたことに伴い、国家公務員採用試験のスケジュールにも若干変更が生じました。

たとえば2015年度の国家一般職試験では、官庁訪問の解禁日時は8月20日で、国家一般職の最終合格発表の5日前でした。これでは官庁訪問の日程が短すぎる!と感じた官庁が多かったのか、この官庁訪問20日解禁というルールを完全に無視して、7月の段階から「業務説明会」という名目でガッツリ選考を行っている官庁がかなり多く、受験生は混乱していました(もちろん、20日解禁というルールをきっちり守っていた官庁もありましたが)。

2015年度の民間就活の面接解禁は8月でしたが、今年は6月と近年よくスケジュールが変わっています。これに伴い、官庁訪問の日程も今後更に変更される可能性も考えられます。ですので、しっかり人事院のホームページをチェックしておきましょう。




2 官庁訪問に向けてどう対策すべきか

2−1 まずは面接対策をしっかりと!

官庁訪問とは言っても面接が基本となるため、面接の準備をしっかり行わねばならないのは言うまでもありません。

人事院面接がわりとオーソドックスで比較的答えやすい質問が多いのに対して、官庁訪問は深掘りした質問をされることが多いため、自己分析やエピソードの掘り下げを入念に行いましょう。できれば、各官庁の官庁訪問を突破した先輩や、訪問したことのある先輩にどのような質問をされたのか?ということをリサーチしてみると良いです。

質問の内容から、この官庁はストレス耐性を見ているんだなとか、元気で体力のある人が好まれるんだな、といった特徴が見えてくることがあるからです。

さらに、グループディスカッションが過去に行われていた場合は、同様に毎年行われる可能性が高いため、練習しておくことをおすすめします。

そして、面接の最後にする質問をできるだけ多く考えておくことも重要です。

面接の最後に「何か質問はありませんか?」と人事に聞かれることがほとんどです。

総合職志望の方は、政策について考えている方が多いかと思いますが、一般職志望の場合でも、その官庁と関係のある時事問題や政策を絡めた質問をすると良いでしょう。特に官庁訪問初期の段階で、骨のある質問をすることで、志望度・関心度が高いことが伝わります。

たとえば、某入国管理局に内定をもらった知人は、日本の難民受け入れ問題と在留管理業務を絡めた質問をしました。大学で難民や少数民族について論文を執筆したことがあったため質問したのですが、人事の方からも関心があるんだねと言われ良い印象を与えることができたのではと思います。

ほとんどの官庁で、最初の官庁訪問で「面接カード」という民間就活でいうエントリーシートのようなものを記入して、それに沿って選考が進んでいきます(面接カードについては国家一般職の面接カードの基本と書き方のポイントを参考にしてください)。

民間就活と異なるのは、民間就活における、いわゆる「ES切り」と呼ばれる書類選考で落ちて面接で進めないという悲劇は、官庁訪問ではほぼありえないという点です。

公務員試験では、筆記試験である程度数が絞られますので、面接でいかに自分をアピールできるかが、内定を取るための鍵となります。

日程がかぶった場合

官庁訪問が進むに連れて考えておかねばならないことは、複数の官庁訪問面接の日程が被ってしまった場合や、併願先を聞かれた時にどのように答えるか、といったことです。

これは自治体等の面接日と被ってしまった場合も同じですが、面接日がかぶってしまった場合、原則はどちらか選ばねばなりません。
「その日は予定があって…」「他の官庁の面接があって…」と素直に申告してもいいのですが、日程を新たに組んでくれるとは限りませんし、その時点でその官庁の志望度が低いことがばれてしまうため、どちらかを断らざるを得ないということになります。

もし、A官庁が午前面接、B自治体が午後面接といった場合ならいいのですが、場所的に時間は間に合うか(遅刻はやはり印象が良くないため)など、考えてスケジュールを組みましょう。

併願先を聞かれた場合

併願先について聞かれた場合ですが、これについては正直に答えるのが無難かと思われます。

私の周りには、ある官庁で併願先について聞かれ嘘をついて、併願先として伝えていなかった自治体に行くためにその官庁を辞退した友人もいましたが、人事に叱られてしまったようです。

人事も、ある程度併願してることは承知の上で採用活動を行っているので、官庁訪問段階では第一希望じゃなくても「第一希望です!」といって面接に臨んで問題ありません。

しかし、国家一般職の場合は特に、採用面接(国家公務員試験最終合格後に行う採用の可否を決める面接)の段階まで来たら、正直に告げるべきではないかと思いますが、こればかりはご自身で責任を持って決めるべきかとは思います。

2−2 情報収集を侮らない

官庁訪問では、とにかく志望する官庁に関する情報を集めることが重要だとお伝えしました。

しかし、独学の方や予備校に行ってても自分の志望する官庁の情報収集は難しいかと思います。
そのために、どのようなことを行えばいいのか、私自身が行っていたことも踏まえお伝えしますので参考にしてみてください。

まずは、自分の行きたい官庁訪問ではどのようなことが行われるのか(グループディスカッションはあるのか、面接は個別なのか集団なのか、など)を知ることが大事です。
そのために、知り合いや先輩をあたり、学生の方であればゼミやサークル、大学のOB等、実際にその官庁で働いている職員とコンタクトを取ってみることです。

話を聞きたい旨を伝えれば、大抵の場合連絡先を教えてくれたり、採用プロセス、さらにはその仕事の良い点だけでなく悪い点も教えてくれることもあります。もちろん、仕事の邪魔にならない程度でお話を聞きましょう。

知り合いに公務員の方がいないという人は、予備校の官庁訪問対策講座に出てみるのも効果的です。
官庁訪問の時期になると、無料で外部の人にも開講していることがありますので、ホームページ等でこまめに確認してみましょう。

また、公務員の職員の知り合いもいない、受験生友達もいないという方は、官庁訪問先で受験生に積極的に話しかけて友達になってしまうというやり方もあります。
今はLINEなどですぐに連絡先も交換できますし、選考状況がどのようになっているのか、その友達になった人と連絡を取ればリアルタイムで知ることができるからです。

ただ、選考状況などを素直に教えてくれない方というのも残念ながらいたりしますし、人見知りな方にはこれは少し難しいやり方ではあるかもしれませんが、面接の練習と思って度胸をつけるためと割り切るのもよいでしょう。

2−3 情報に惑わされすぎず、最後まで諦めない

情報収集をする中で、たとえば「○○局では新卒が有利らしい」「××省では筆記試験の点数が高い方が採用されやすいらしい」という、真偽が不明な情報を聞くことがあります。

他にも、ネット上では、「エレオク」「テレオク」というワードが書き込まれていたりします。「エレオク」とは「エレベーター送り」の略で、面接が終わった後、エレベーターまでご丁寧にお見送りされて下るのボタンを押されてしまった場合、その面接はダメだったという人事からのメッセージである、といった公務員試験における都市伝説のようなものです。

これは特に本省での官庁訪問訪問時に言われている噂ではありますが、実際にこの噂は本当なのか?一部の官庁では本当だとも言われていますが、このように官庁訪問の時は本当に正しいのか正しくないのかわからない噂が飛び交います。

また、官庁訪問でどこまで選考が進んでいるのか、本当のことを言わない受験生も中にはいたりもするため、必要以上に他人の情報に振り回されない、振り回されて必要以上に落ち込んではいけないというのが、注意点としてあげられます。

もし第一希望の官庁訪問で切られてしまった場合でも、切り替えて第二志望の官庁訪問でしっかり面接等できれば内定をもらえる可能性もありますし、私の周りには、官庁訪問では切られてしまったけども、自分から電話をかけて最終合格判明後採用面接を受けた結果、内定をもらったという強者もいます。公務員試験は併願してる方がほとんどなので、辞退者枠に滑り込める可能性も低くはないため、当たり前ですが「最後まで諦めない」熱意の見える姿勢は大事です。

自分のことを人事にアピールし内定を勝ち取る、という目標を見失わずに、情報収集を上手に行いながら、官庁訪問を頑張ってほしいと思います。

3 まとめ

官庁訪問について基本的な流れや対策について触れてきました。
大変な筆記試験に合格したからといって決して気を抜いてはいけません。官庁訪問もしっかりと対策しなければこれまでの努力が水の泡となってしまいますので、最後まで気を抜かずに頑張ってください。

そして積極的に情報収集をし、官庁訪問に挑むようにしましょう。

【質問別】国税専門官試験の面接カードの書き方について

国税専門官の試験全体で、面接試験は9分の2を占めます。
質問は面接カードに沿って行われますので、面接カードをしっかり作りこむことで、本番は精神的にも余裕をもって臨むことができます。

国家公務員試験は一般的に面接よりも筆記試験を重視する配点になっていますが、面接で悪い評価を取ってしまうと、筆記試験でたとえ高得点を取っていたとしても最終合格は難しくなります。

受験生の皆さんは筆記試験の点数に関わらず、十分な面接対策をすることをおすすめします。

面接カードの項目は、
①志望動機・受験動機
②専攻分野・得意分野
③最近関心や興味を持った事柄
④印象深かったこれまでの体験
⑤自己PR
⑥趣味や特技

の6項目となっています。

この記事ではこれらの事項の考え方について順に説明していきますので、参考にしてください。

1 志望動機・受験動機

公務員試験は筆記試験がとても重要な試験とはいえ、一般的な就職試験です。つまり、内定獲得のためには筆記試験だけでなく、面接も成功させることが絶対条件になります。

それでは面接の成功とは何でしょうか。それは受験生が面接官を相手に、受験生自身がその組織で本気で働きたいと思っており、そして働ける資質があることを面接官に認めさせることです。そのためには十分な説得力を、内容面でも態度面でも持たせる必要があります。志望動機・受験動機はその説得力を持たせる上で特に重要な役割を果たします。

●志望動機の考え方

30分という短い面接時間の中で、面接官に自分の熱意をアピールするにはやはり志望動機が一番容易です。というのも、志望動機はその組織の、つまりは国税専門官の仕事への思いを一番伝えやすいからです。

そのためにも、まずは国税専門官の仕事について知らなければなりません。国税庁HPには業務について以下のように書かれています。

国税庁は、納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現することを使命とし、内国税の賦課・徴収を行う官庁として、国の財政基盤を支える重要な仕事をしています。 その中で国税専門官は、国税局や税務署において、税のスペシャリストとして法律・経済・会計等の専門知識を駆使し、国税調査官、国税徴収官、国税査察官といった職種に分かれて活躍しています。
国税専門官には、豊かな教養と高度の専門知識はもちろんのこと、時代の変化に即応する強い精神力とバイタリティーが求められています。

国税庁HPより

国税専門官は税金を適正かつ公正に社会に送り出す役割を担います。国は国民から納められた税金により成り立っているので、国税専門官の仕事は国にとってとても重要な役割を担っていると言えます。そこに仕事の責任感ややりがいを感じることができると思います。

また、税金を扱う上で高度な専門知識が必要になりますので、仕事では専門性を生かしていきたいと考える方にとっては、そういう面でもやりがいを感じることができるでしょう。

そして、これらの国税専門官の仕事の特徴ややりがいと自分のエピソードを結びつけることが、志望動機を書く上で必要になります。というのも、国税専門官の受験生はかなり多く、面接カードの内容はほとんどが似たり寄ったりになってしまいます。

また、説得力という面で、国税専門官の仕事の特徴だけをただひたすらに並べた志望動機よりも、自分のエピソードを書いて自分だけの面接カードを作ることで周りと差別化を図る方が良いと思います。

エピソードについては特に税金と結びついていなくても構いません。公務員を目指したきっかけになった出来事でも、それを書くことによって、他の受験生と差別化を図ることができます。

2 専攻分野・得意分野

専攻分野や得意分野に関しては、特に簿記などの資格や、会計学など、国税専門官の職務に通じるものでなくても構いません。専攻分野であれば大学のゼミのことや、卒業論文のテーマについてなど、自分が今何について学んでいて、それについて自分の考えを話せるのであれば大丈夫です。

また、得意分野についても、基本的に何を書いても構わないと思います。とはいえ、過去にした習い事やスポーツは、確かに得意なものになりますが、それは専攻分野との並びから鑑みても、あまり適切とは言えませんので、そこには注意してください。

あくまで、何を学んできており、その専攻や特定の分野に対する深い知識を身に着け、どういうことを考えているのかをアピールすることを目的として設けられている設問です。それを意識し書いていただければ、あとは何を書いても大丈夫だと思います。

ちなみに、私の場合は福祉を大学時代に専攻していましたので、面接で聞かれた際は福祉と国税専門官の業務に絡めて話しました。

国税専門官の仕事は、様々なバックグラウンドを持った方から、時には強制的に税金を納めさせる処分を科すこともあるのが特徴です。それによって、その方の生活は破綻してしまうかもしれません。

私は税金をもらう身分である公務員として、財産の差し押さえなどによって生活がなりたたなくなってしまった人たちのことを知ることは必要なことであると思い、また、知る義務があると考えました。そういった面で福祉を専攻し、学んだことは国税専門官の職務に責任感という形で活かされると思うし、同時にすべての国民を書類上の数字としてとらえるといった、杓子定規的な見方はできないと考えました。

それゆえ、職務で大事なことは、素人考えながらも、数字の書かれた書類だけで納税者を見るのではなく、その人個人と誠実に向き合うことが必要であると思った旨を伝えました。

3 最近関心や興味を持った事柄

この設問に対しても、基本的には何を書いても構わないと思います。
素直に最近面白いと思った事柄について簡潔に書くと良いでしょう。とはいえ、芸能系のニュースなどは明らかに面接の場で話すこととしてはいささか不適切であると言えますので、面接の場で話すのに適していると思われる話題をご自身で判断して書くようにしてください。

特に税金関係の話ではなくてもいいとは思いますが、もしそういった出来事が話題になっていたなら、それについて書いてみることをおすすめします。ちなみに、私の受験時はパナマ文書の問題が話題になっていましたので、タックスヘイブンなど、税金に関わる仕事を志す受験生としてはかなり注目すべきネタでした。

国税としても、こういった問題についてはかなり頭を悩ませていることは以前から知っていましたので、確実に面接では掘ってくると思っていました。本番では予想通り、租税回避の問題についてどう考えているのかを聞かれました。

また、最近とはいったいいつからいつまでの話題のことなのかで悩まれる受験生がいます。その点については、ここ半年までのことぐらいでいいと思います。それより以前でも全く構わないとは思いますが、一応最近とのことですので、年明けあたりから少しずつ勉強の合間を縫いながら新聞を読むことをおすすめします。

4 印象深かったこれまでの体験

この欄は志望動機と並び、勝負どころだと思います。
ここで自分がどんな生き方をしてきたのかをアピールできますので、しっかり時間をかけて練ることをおすすめします。

印象深かったという大雑把な区切りですが、要は思い出深い成功体験、もしくは失敗体験を聞いています。
そしてその体験に結びつく受験生の努力や、そこに至る過程で学び、得たものを問うものです。その体験を通して、自分が国税専門官としての職務に対して十分なやる気とパフォーマンスを発揮できることをとにかく熱く伝えましょう。

これについても前述のとおり、自分にしか書けないエピソードを踏まえて書く必要があります。
記入するスペースが広くないので、まとめ方にもかなりの工夫が必要になりますが、一言自分が考えたことが書いていたかそうでないかで、面接カードのクオリティが全然違ったものになります。

逆をいうと、何をしたかを羅列したような報告書のような面接カードはあまり面白くありませんので、面接官の引っ掛かりも弱く、よっぽどでないと掘ってもらえないリスクがあるため、おすすめしません。過去の国税専門官の受験生の面接シートを見たときにも、ただ情報を羅列した報告書なのか、エピソードを踏まえた自己PRなのかで全然内容的な面白さが違っていましたので、是非報告書にならないように、その時自分が考えたことを盛り込みながら構成を考えるようにしてください。

面接カードには印象深かったこれまでの体験の例として、学校生活や職務・ボランティア活動・アルバイトなどの体験が挙げられています。記入するスペース的にはこれらの中から1つしか選べないと思いますので、それぞれの中から一番インパクトに残りそうなものを考えながら厳選するようにしてください。

面白いエピソードなんて特に持ち合わせていないと考えている受験生の方も中にはいらっしゃると思います。

しかし、それはアンテナがその話題に反応していないだけで、実際は確実に何か経験していますので、自己分析の精度を高めていくことが必要になると思います。

例えば、アルバイトでクレームを受けたことや、受けているのを見たことも立派な話題になると思いますし、サークル活動のイベントなどを通して考えたことでもいいと思います。ネタの大小は確かにインパクトの面で優劣はあるかもしれませんが、そんなことよりも、その受験生が直面した事柄に対して、どういうことを考えたかの方にフォーカスされますので、そこを重点的に固める方がネタを盛るよりもよっぽど有意義です。

印象に残ったことで嘘のネタを書く受験生や、盛って書く受験生が多いと聞きますが、そんなことをしなくても受かる人は絶対に受かるし、落ちる人は何を書いても落ちると思っています。

特に、国税専門官は業務の性質上、嘘を見抜く力に関しては他の試験種よりも明らかに優れているでしょう。そんな中で、自分の体験を嘘で作り上げたとしても、おそらく見抜かれます。

自分の倍近くを生きている面接官を相手にするのですから、嘘で固めたエピソードの派手さよりも、等身大の自分を深く知ってもらうことに徹することの方がよほど印象が良いと思います。

また、1を1.5や2にするなど、盛って話す方もいます。これについてはもはや誤差の範囲ですので、合否にほとんど影響しないでしょう。これについても盛らずに1を1のまま、目いっぱい伝える方がいいでしょう。

5 自己PR

自己PRについても、何を書いても基本的には構いません。とはいえ、長所や人柄についてという例がありますので、それに沿って書いた方が、面接官としても質問はしやすいと思いますので、シンプルに長所や人柄について書くのが無難でしょう。

この欄は記入できるスペースが小さいので、とにかく簡潔にまとめる必要があります。ですので、自分の強みであると思っていることと、それを感じた場面を1つずつ書くとちょうど良いのではないでしょうか。

また、内容については、できるだけ集団の中で自分が担った役割につなげられる長所を挙げると良いと思います。就職試験であり、採用されると次年度から組織の中で働くことになるため、面接官としても集団の中でその受験生がどういう働きを見せるのかを知りたいと考えています。

そういう意味でも、できるだけ多く集団の中で自分が学んだことを、エピソードも踏まえて説明できるようにすると良いでしょう。面接官の知りたいことを的確に伝えるためにも、質問しやすい構成を練ることをおすすめします。

6 趣味や特技

趣味や特技によって合否が分かれることはまずないと思います。考えすぎず、単純にご自身の趣味や特技を書いても大丈夫です。文章にして書かれる受験生もいますが、スペースがとても小さく、見やすさを考慮すると箇条書きにすることをお勧めします。

また、なければ全然構いませんが、できるだけアクティブな趣味や特技を書く方が良いでしょう。国税専門官の職務は体力勝負ですので、例えば映画鑑賞やインテリアといった趣味よりも、フットサルやランニングなどの身体を使うものの方が、体力面のアピール材料になるかと思います。

前述のとおり、趣味や特技によって合否が分かれることはあまりないと思いますので、そこまで深く考えなくて大丈夫です。

7 最後に

国税専門官だけでなく、面接試験では受験生の受け答えの態度や仕草、話し方の論理性など、様々な要素を総合的に判断して評価が決定されます。
面接カードは面接官による質問をある程度方向付けする意味付けも持っています。そのため、面接の成功には、面接官にとって質問がしやすくなるような面接カードを作ることが理想です。

そういう面で、自分のエピソードを盛り込むなど、受験生の人間性が見えてくるような面接カードにすることは、他の受験生と差別化を図ることができることに加え、スムーズな面接を作り上げる上で重要であると言えます。ぜひこの記事を参考に、合格を掴み取って頂けることを祈っております。

都庁の面接形式と聞かれる質問、具体的な対策について

東京都の採用試験は配点が公表されておらず、面接の評価についてもどういった方法が採られているのかわかりません。
とはいえ、地方公務員試験の多くが人物重視ですので、東京都に関してもおそらくは同じく人物重視を採っているのではないかと考えられます。
レベルの高い受験生が集まる面接ですので、倍率が2倍とはいえ、気を抜かずに対策することが必要になります。

ここでは東京都1類Bの面接試験の形式と具体的な対策についてご紹介しますので、都庁を目指す方の参考になれば幸いです。

※本記事は実際に東京都1類Bに最終合格された方の経験に基づき作成しております。

1 都庁の面接形式

都庁の面接は2次面接と最終合格後に実施される最終面談があります。ここではそれぞれどのような形式で実施されるかについて説明していきます。

1-1 2次面接

面接時間は受験生1人につき25分です。
面接官は3人で、私の場合は全員40代後半から50代の男性が担当でした。指示はありますが、面接室に入ってすぐのところに、机がありますので、バッグは椅子まで持っていかず、その机の上に置くようにしてください。

また、公務員試験の面接では変わったことに、受験生の椅子の前に机が置いてあります。これは受験生の前に机という壁を置くことによって、受験生を心理的にリラックスさせる効果を狙っているのかもしれません。面接室の配置は以下のような形でした。

interview

2次面接はお台場を超えたところにあるテレコムセンタービルで行われます。
1次合格通知に記載された日時に集合し、案内された待合室で係りの人に呼ばれるまで待機です。1組2人で、私の時は27組まで集められました。

自分の組のうち、どちらが先に呼ばれるのかはわかりませんので、組の後半の人は拘束時間が長くなりますので、もし余裕があれば本や面接シートを余分に刷って持っていくといいと思います。

時間になると係りの人に呼ばれ、受験生は別フロアの面接室前に集められます。その後、係りの人の一斉入室の合図の後、面接が始まります。

面接の形式は一般的な公務員試験の面接と変わりません。3人の面接官が、受験生が事前に提出した面接シートを基にして受験生に順に質問します。

印象としては会話の流れを重視しているようで、受験生が答えた内容を掘り下げてくることもあります。とはいえ、全体としては1問1答形式で淡々と進みますので、面接対策はしやすい方であると言えます。

1-2 採用面談

最終合格後には採用面談があります。2次面接を突破できた受験生がこの面接で落とされることはほぼありませんが、この面談が終わるまでは内々定がもらえないので、気を抜かずに準備することが必要になります。

当日は健康診断と採用面談が一緒に行われるのですが、どちらが先かはグループによって違います。私の時は男性が先に採用面談で、女性が先に健康診断でした。採用面談は大きなホールの中で行われます。ホールの中は個別のブースで仕切られており、その中で面談を受けます。

面接官は2人で、面接時間は15分程です。個室ではありませんので、他のブースの声が聞こえてきますが、面談の時に聞き取れないほどの大きさではありません。通常は面談の最後に口頭で内々定を出す旨を伝えられるので、聞き逃さないようにしてください。

2 具体的な東京都の面接対策について

東京都I類Bの面接倍率は2倍程で、公務員試験の面接倍率としては高くはありません。とはいえ、東京都の1次試験を突破してきたレベルの高い受験生が受けに来るため、2倍とはいえども気を抜いてしまうと落とされます。

また、1次試験の出来が良かったとしても、面接でも足切りが設定されていますので、足を切られれば一発アウトです。十分な対策をしましょう。

志望動機

志望動機については都庁に限らず聞かれる定番の質問ですので面接官を納得させらるような回答を準備してきましょう。

(特に地方出身者の場合)なぜ都庁なのか、都庁に入って何がしたいか、国や区ではなく都を選んだ理由は何か。
これらの内容はとてもよく聞かれますので念入りに対策をしておきましょう。
しかし多くの受験生が陥りがちなこととして、HPや本などから取ってきたようなことを話してしまうことです。

そのような内容は面接官も聞き飽きており、「本当に都庁を志望しているのか?」と思われ逆にマイナス評価を与えてしまう可能性すらあります。
自分の経験からなぜそう思ったのかを交えることで自分だけの志望理由を伝えることができます。

志望動機ついては都庁に内定をもらうための志望理由の考え方で詳しく説明してますので参考にしてみてください。

1分間自己PR

東京都I類Bの面接では、かなりの確率で最初に1分間の自己PRを求められます。
1分間と指定されているとはいえ、別にこれは時間ぴったり話してくださいということではなく、適度な長さで簡潔にあなたのことを話してくださいという意味です。

ですので、少し1分を過ぎてしまっても、自分を簡潔にしっかりとアピールできたならそれでOKです。とはいいながらも、2分ぐらい話されるとさすがにコンパクトに話すことができない受験生だと思われてしまうので、事前に練習して、ある程度自己PRにかかる時間を把握するようにしてください。

1分間の自己PRって何を話せばいいのかと悩む受験生はかなり多いようです。これについては、別に何を話しても構いません。

自己PRですので、自分がその話題で自分をPRできると思うのであれば、それを話してください。事前に提出する面接シートと内容が重複してしまうことについては、それも気にしなくて大丈夫です。

ただ、面接シートと全く同じ内容を一言一句自己PRで話されても、面接官側は面白くもなんともありませんので、プラスαの情報を伝えられるよう準備しましょう

具体的に自己PRでアピールする話題ですが、

・自分の強み
・強みについての具体的なエピソード
・学生時代頑張ったこと
・東京都で何がしたいのか

などが主です。

もちろん他にもアピールできるものがあればどんどんアピールしていきましょう。

また、自己PR全体を通して一貫した主張ができれば更にいいと思います。箇条書きのようにアピールしたところで、面接官に一番伝えたいものが何かわかりませんので、話の構成を綿密に寝る必要があります。

場合によってはアピールしたいものを間引いてしまって、別のタイミングで登場させるという方法も有効だと思います。話が一貫していると、理解しやすいですし、説得力も増しますので、いいことだらけです。

また、1分間の自己PRは数少ない受験生が面接官相手に一方的にゴリゴリ売り込み出来るチャンスですので、気合を入れて臨むべきですが、あまり練習しすぎてはいけません。

作った原稿を一字一句丸暗記して話されたら、驚くほど話の内容が頭に残りません。ですので、何を言うべきかだけ箇条書きにして構成を作り、そこから筋道立てて話せるように練習してください。

その人がその場で考えながらものを話すことというだけでも、説得力のある抑揚が生まれます。その抑揚を使って、自身の強調したい強みをアピールすることで、後の面接官の質問を引き出しやすくすることもできます。

面接では面接官も流れをかなり意識していますので、自己PRで自分が聞いて欲しいことについて、その伝え方を工夫することによって、その意思をきっと面接官もくみ取ってくれると思います。

ちなみに私の場合は、インパクトのある話題をかなりアバウトに話すことで、後で面接官から質問をしてもらえるよう伝え方を工夫しました。

事前準備

面接は得意不得意がはっきり出ると思います。中にはアドリブで全部乗り切る人もいるでしょうが、やはり想定問答は考えた方が無難だと思います。以下では想定問答集の作り方について話したいと思います。

まず、公務員試験の面接は基本的に聞かれることは同じで、大きく分けると

①自分のエピソードについてもとめられるもの
②政策についての見識を求められるもの

の2つに分けられます。

これらについて考えられる質問を自分なりにまとめたものが想定問答集です。ぶつ切りに質問を考えるより、ジャンルに分けた方が漏れやダブりが出にくいと思います。

①自分のエピソードについて

東京都の面接はコンピテンシーといい、その受験生が過去に直面した問題に対してどのようなことを考え、行動したのかを聞くことによって、その受験生の人間性を把握することを試みる面接方式が採用されています。
自分のエピソードを準備することによって、色んな分野の質問に対応できるようになりますので、これについては必ず準備してください。

まず皆さんは面接対策の第一歩として自己分析をすることになると思いますが、その際になるべく多くエピソードを思い出し、何かに書き出すようにしてください。

書き出したいくつかの中で、実際に面接に使うエピソードの選定をしますが、その際は自分が面接官の立場で、公務員として必要とされる能力を考えた上で、そのエピソードに説得力があるかどうかを基準にしてください。

例えば、頑張った経験を問われた際、しばしば出てくる話題がサークルとアルバイトです。100人規模のサークルをまとめたという経験と、接客系のアルバイトで幅広い年齢の人と関わったという経験なら、あなたはどちらを選ぶべきだと考えますか。

字面から考えると、100人規模のサークルのとりまとめはいかにも華やかという感じで、きっとその人数をまとめる上でトラブルもあったのだろうと察することができます。

しかし、実際に私の知り合いで、人事も経験されたことのあるベテランの公務員の現職の方に聞いてみると、皆さんアルバイトの経験の方を選ぶ方が良いという意見でした。

というのも、活動内容やレベルにもよりますが、多くのサークルは学生の集まりで、関わる人間はあくまで自分と同じ大学生です。公務員はその業務の性質上、幅広い年齢層の方や、バックグラウンドを持った人間と関わります。

そのため、公務員に必要なコミュニケーション能力をアピールする上で、同年代で起こったエピソードよりも、多様な年齢幅で起こったエピソードからその人の行動を探る方が、実際に働き始めてからのその人のパフォーマンスをイメージしやすいのです。

とはいえ、どっちもアピールすることは十分可能ですので、あくまで上記の例は参考程度にしてください。

さて、印象に残るエピソードを話すために、盛って話すことや、想像で0から生み出そうとする人がいますが、これはやめた方がいいと思います。

1から1.2にする程度のものなら別に構わないと思いますが、その程度しか盛らないのであればそもそも盛らなくても大丈夫だと思います。

また、0からエピソードを創作することや、1を2にするようなものは、どこかで辻褄が合わなくなりますので、絶対にしないようにしてください。

面接官は受験生よりも何倍も人生経験が豊富です。そのエピソード自体に矛盾がなかったとしても、他の質問からその人の人間性や考え方のずれが出てきてしまうリスクが高いです。もちろん作り話で合格する人もいるとは思いますが、一生お世話になる職場に嘘をついて入るというのもナンセンスな気がします。

どんな面接でも高評価を得られる受験生の多くは、素の自分をうまく出せるという強みを持っているようです。等身大の自分を全部アピールして、合格を勝ち取れるよう、自己分析を作り話で汚してしまったり、楽しようとしたりせず、しっかりと準備することをおすすめします。

参考までに、エピソードを思い出す第一歩として、あなたの挫折した経験や、一番思い出に残っている頑張った経験、達成感を得た経験を思い出してみてください。

②政策についての見識

東京都の面接では、今ある東京都の課題について問われることが多いです。これについては、別に都政に対する賛否といったことを聞いているのではありませんので気を付けてください。

これは、現状の課題について自分なりの考えを受験生がどれだけ論理的に考え、問題設定ができているのかを簡潔に話せるのかを評価することを狙いとしています。

ここで面接官と都政についてディベートをしても仕方がありませんので、素直に自分なりに考える都政の課題を、自分なりに情報収集しながら考えたことを伝えましょう。

もちろん受験生の多くは行政の現場を経験していませんので、その指摘は素人考えそのものでプロにそれを指摘することに気後れしてしまうこともあると思いますが、それは気にすることはありません。

あくまで、狙いは自分で課題設定ができているかと、それを論理的に相手に伝えられるかというところですので、指摘の中身に大きな違いは生まれません。

情報収集については、以下のサイトを参考にしていただくと良いかと思います。
東京都長期ビジョン
都政2018
各局のページ

また、都職員の情報提供サイトですが、とちょう-iというサイトも、都についてのタイムリーな記事を紹介していますので、是非参考にしてください。

面接練習について

面接練習についてですが、回数については人によります。とはいえ、1回は模擬面接は経験しておいた方がいいでしょう。

大学生の方なら大学のキャリアセンターを利用するのもいいですし、ハローワークでも面接練習ができます。

東京都の面接が受験生にとって何度目の面接になるかはそれぞれであると思いますが、面接を受けた経験は事前に1回以上は作っておいた方が本番で頭が真っ白になるリスクを軽減させられると思います。

中には面接練習のために民間を受けて、あわよくば内定ももらってリスクヘッジしようとする受験生もいますが、それもスケジュールが合うのならば全然かまわないと思います。

具体的な練習方法については公務員試験の面接を突破するための練習方法|漫然と練習するのはNGで詳しく紹介しています。

3 こういう人が面接に落ちるので要注意!

東京都の試験に限りませんが、この人落ちそうと周りに思われる人は、基本的に落ちるのが面接試験です。周りからの客観的な自分に対するイメージはとても参考になりますので、是非周りの人に自分の印象を聞いてみましょう。

また、この人落ちそうと思われる人に見えないようにすることは十分対策次第で可能ですので、落ちる人の特徴が自分に当てはまっていないかもチェックしてみてください。

3-1 身だしなみがだらしない

まず面接を受けに来るような格好ではない受験生は第一印象で不利になります。例えば整えられていない髪の毛や、皺だらけのスラックスやスーツなどです。

面接では当然ですが、自分の組織の代表として人前に出した時に、恥ずかしくない人材を欲しがります。ぼさぼさの髪や皺だらけの服装で都民の対応をされたら、都民としてはきっとその職員に対して良い印象を抱かないでしょう。

むしろ信頼を失ってしまうことになります。身だしなみを整えることなんて当たり前のような話ですが、簡単に改善できるようなことを疎かにする受験生は割と多いです。

都の面接では多くはいませんでしたが、国税専門官の面接などでは驚くような格好の受験生を見ました。

あり得ない位置でベルトを止めていたり(明らかにみぞおちがウエストになっていたり)、髪も伸び放題だったりしていました。一見して不潔と思われるような印象を持たれないように注意しましょう。

身だしなみについての情報はネット上に溢れていますので、是非そちらも参考にしてください。

3-2 話し方が社会人としてふさわしくない

面接本にはオブラートを幾重にも包んで書かれてありますが、あえてむき出しで表現すると、気持ち悪い人は落ちます。

あからさまに目が泳いでいる人、早口過ぎる上に吃るといったような、世間一般で気持ち悪いと思われるような話し方の人を都の職員代表として都民の前に出せるかというと難しいと思います。
こうした方は都の職員というより社会人としてもふさわしくないため、採用する側も避けてしまうでしょう。

普通で十分ですので、相手に不快感を与えない程度の話し方を身に着けるよう準備していくべきでしょう。

これについては、普段の自分の話し方をボイスレコーダーか何かに録音して聞き直してみたらすぐにわかります。面接では情緒安定性が評価されますので、落ち着いたトーンで相手の目をしっかり見て話すことができれば十分です。

3-3 不安に感じさせる雰囲気を出している

どのような面接でもそうだとは思いますが、この人大丈夫だろうかという雰囲気を面接官に持たせてしまってはいけません。

私の周りの都庁受験者にもいましたが、何を考えているのかよくわからない人、自分の意見を持っているのかよくわからない人は、残念ながら面接で落とされていました。

自分の意見をしっかりと持ち、それを面接官に伝えられるよう準備することができれば、この人大丈夫だろうかと思わせるような雰囲気を出さずに済むと思います。これについては面接対策をしていればクリアできますので、。

3-4 笑顔がない人

やはり面接は自分を売り込まなければ高評価はもらえません。中でも売り込む要素として笑顔は外せません。

受験生の多くはアルバイトやサークルで経験したことがあるかと思いますが、明るさは組織を円滑に動かす上でとても重要です。

何をするにも無表情や仏頂面の仲間を相手にするより、笑顔の仲間を相手にした方がお互い気持ちがいいですし、それが組織を健全に回す循環を生み出すことになります。

抵抗があるかもしれませんが、一度動画か何かで自分の話している様子、笑顔がどんな感じなのかを客観的に見てみることをおすすめします。

また、常に笑顔という人もそれはそれで何を考えているかわからないので、質問の内容や会話の流れに適した表情を心がけるようにしてください。

4 圧迫面接について

東京都の面接は基本的に和やかですが、一部では圧迫面接がされるようです。

これは1次の結果によって圧迫するかどうかを決めているという某掲示板の噂も散見しますが、根拠は何もありませんので、信じないでください。誰でも圧迫面接をされる可能性はあると思って構えておきましょう。ちなみに私の時は軽い圧迫面接でした。

初めに注意しておきたいのが、質問を何回も重ねてくる深堀りや、受験生の意見に対して反対してくることは圧迫ではありません。それは受験生が単純に面接への準備が足りないから圧迫されたという感想を持ってしまうだけです。

圧迫面接は、受験生に精神的プレッシャーを与える態度、つまり何を言っても聞いていないような態度をされる(なんのための面接か不明ですが)、人間性を全否定するといった面接形式のものです。

ちなみに私は前者で、中央と右の面接官とはほとんど目が合わず、話し中ボールペンをいじっていたり、腕組みをしてずっと俯かれていました。応答に対してもかなり反応が薄く、手ごたえを一切感じさせないようなものでした。

圧迫面接の目的はストレス耐性をみるためですので、受験生としてはその圧迫にも気づかないぐらい笑顔で乗り切りたいところです。

また、圧迫面接の効果を面接官の方ももちろん理解していますので、今までの1問1答形式から一転して、例えば、「○○という問題について、あなたが都の職員ならどうしますか。あと、□□についてもどのように考えますか。」など、別の質問を重ねて聞くことによって、受験生を混乱させようとしてきます。

これについても落ち着いて回答の構成を頭の中で作っていたら答えられますので、こういう質問がある可能性があることを頭にとどめておくだけでも全然違うと思います。

5 本番で聞かれたこと

私が受験した際、面接で聞かれたことです。ぜひ参考にしていただければと思います。

5-1 2次面接

実際に聞かれた内容は以下の通りです。

・緊張しているか
・自己PRを1分で
・サークルで苦労したこと、それをどう乗り越えたか
・自分の弱みは
・どうして地元でなく東京都か
・区と都の違い
・国と都の違い
・人間関係の中で気を付けていること
・その中で失敗した経験
・待機児童の問題についてどう考えているか
・周辺住民が保育所の設置に反対した場合はどうするか
・インストラクターの経験で失敗したことは
・市政提言の内容を簡潔に
・最後に何か言い残したことは

大雑把ですが、これらのことを聞かれました。時事ネタについては頻出ですので、日頃からテレビのニュースや新聞を読んでおいた方がいいと思います。

また、聞かれ方はいろいろでしたが、共通していえることは、東京都の役割を理解していることをアピールすることが大事です。質問に対して国や区の管轄の取り組みを答えてしまうと、その受験生が本当に都で働きたいのかわからなくなってしまいます。

その受験生のためにも、貴重な人生を無駄に都で働いて、数年後に自分と職場とのミスマッチに気づき、退職してしまうということは、人事としても避けたいと思うでしょう。

余談ですが、「最後に言い残したことは」と聞かれる、就活生の中で有名な遺言ですが、これについては何のフラグでもありませんので、気にしないでください。

おそらく面接の研修マニュアルの質問例の一つを気分で出しているだけです。この質問は自己PRと同じく、一方的に受験生から面接官に対して猛アピールできるチャンスですので、むしろ来たらラッキーぐらいの気持ちで構えておいていいと思います。ちなみに私は都に対する熱意を1分間語りました。

よく聞かれる質問については公務員試験の面接で聞かれる定番の質問の答え方【講師が解説】でも紹介していますので参考にしてみてください。

5-2 採用面談

採用面談では以下のようなことを聞かれました。

・面接ではないのでリラックスしてください
・大学では福祉の勉強をされているが、そこから学んだこと
・卒業論文はどういったテーマか
・なぜそのテーマを選んだか
・併願状況について
・出身は大阪だが、どうして都を選んだか
・採用されたらどういうことがしたいか
・サークルやバイトで、普段から気を付けていることは

<内々定を頂く>
・最後に何か質問はあるか
・残りの学生生活を有意義に過ごしてください

採用面談はほぼ落とされることはないとはいえ、ここでもきちんと準備はしていくと良いでしょう。

質問されることは面接対策をしていれば確実に答えられるものですので、あまり緊張しなくても大丈夫です。他の受験生とも話す機会がありますので、ここで友達を作っておいてもいいと思います。

6 まとめ

東京都の面接は他の公務員試験の面接と比べても、そこまで難易度の高いものではありません。ただ、周りの受験生のレベルが高いので、面接で差をつけられないようしっかりと対策しておけば大丈夫だと思います。

合格判定は1次試験との合算ですので、1次試験の点数があまり良くなかった人でも、面接さえ良い評価がつけば十分合格の可能性はあります。ぜひこの記事を参考に、ご自身の面接対策を充実させていって頂ければ幸いです。

都庁に内定をもらうための志望理由の考え方

東京都I類Bの採用試験において最終合格は1次試験と2次試験の成績を合算して決められるため、1次試験だけでなく2次試験において得点することもかなり重要です。

毎年ボーダーぎりぎりで1次を通過した受験生が高順位で最終合格することもしばしばあります。一方で、筆記試験が高得点でも面接で落とされる人も私の周りで数人いました。

東京都I類Bの2次試験の倍率は基本的に2倍程度で、他の自治体と比べると数字的な倍率はあまり高くありません。そのため、1次試験合格後の燃え尽き症候群と相まって、面接対策を充分にしないまま本番を迎える受験生がいます。

しかし、東京都の採用試験の受験者のレベルはかなり高く、国家総合職試験を最終合格した受験生でも1次落ちや、2次落ちはざらにあります。

また、1次試験の試験科目が他の自治体と比べると特殊なのが都の試験の特徴です。3科目を専門記述で書かせる試験は、他の試験種にはなく、併願に大きな負担がかかることからも、受験生の多くが都を第一志望として仕上げてきます

2次試験を受験するためにはそもそも1次試験を通過しなければいけないので、受験生の皆さんの意識はきっと1次試験に100%注がれていることかと思います。
とはいえ、最終合格のためには、絶対に2次試験の対策の方をおろそかにするわけにはいきません。

面接突破のためには面接官に自分を売り込む必要があり、そのための武器として志望動機を作っていく必要があります。

以下では、東京都に内定をもらうための志望動機の考え方について紹介していきます。

1 志望動機の重要性について

東京都I類Bでは、面接シートの3つ目の項目で6行程度志望動機を記入する欄が設けられています。面接ではこの面接シートを基に質問されますので、志望動機の作りこみは面接を成功させるうえでとても重要です。

それでは面接の成功とはなんでしょうか。それは3人の面接官に、自分が東京都で働ける人材であることを説得することに成功することです。東京都で働ける人材とは、特に優秀な人材や能力を持った人間ではなく、真面目で、本当に東京都で働きたいと思ってくれている受験生のことです。

もし定年まで働くとすれば、約40年、賃金にすると数億円を支払ってその受験生を雇い入れるわけです。教育にかかるコストのこともありますし、その受験生に途中でやめられては困ります。

どの組織でも共通することではありますが、都で辞めずに働いてくれそうな人を確保することが当然面接でも重視されますので、やる気をアピールすることはとても大事です。

そして、やる気の伝わるとても有効な手段の一つが志望動機です。自己PRや面接全体を通してやる気をアピールする機会はありますが、志望動機を差別化することも自分のやる気を伝える上では重要なのです。

2 自分だけの志望動機を作ろう!

面接官は1日に何人もの受験生を見ていますが、基本的に受験生の発言は似たり寄ったりです。

私が面接対策をしたグループでも、6,7名ですが志望動機が重複することは多々ありました。

面接官も人間ですので、何回も聞かされる似たり寄ったりのテンプレート返答には飽き飽きしているでしょうし、もしあなたが面接官でもそんな受験生にどこで合格の決め手を見出していいかわからないのではないでしょうか。

一方で、その似たり寄ったりの受験生たちの中から離れ、自分だけの志望動機を見出し、それをアピールすることができれば、面接で有利に戦えると思います。

よく面接でいわれる話ですが、面接後に面接官が評価シートを記入する際、その受験生がどんなだったのかがよく思い出せないようなら、その受験生の評価はかなり低くなってしまうというものです。東京都ではどうなのかはわかりませんが、できるだけ確実にポイントは稼いでいきたいところです。

3 本音と建て前について

東京都を受験する方の志望理由は様々ですが、やはりネームバリューで選択する人は多いです。地方公務員の仕事はどこも似たり寄ったりで、結局は財政規模やネームバリューで決めてしまうようです。

それは別に悪いことでもなんでもなく、そこに自分の仕事のやりがいや責任感を感じることができるのなら、むしろいいのではないかとも考えます。

とはいえ、じゃあなぜ東京都を志望するのかをESに記入する際や、面接官に質問された際に、「ネームバリューで決めました!」と受験生に言われたらどうでしょうか。面接官としては、「君正直ではっきりしてるね!」とはならないでしょう。

結局のところ、そのネームバリューに依存していることのアピールは、40年間働ける人材であるか判断する上でポイントにはつながりません

都の仕事は多様で、地味な事務仕事も溢れるほどあります。ネームバリューに依存する受験生は実際に都で働くようになった際、「こんな仕事をするために都に就職したわけじゃない」といって辞められては、人事としてはたまりません。現に一定数退職まではいかないにしろ、そう思われる職員は多いようです。

更に、面接という勝負の場で、本音をあけっぴろげに曝け出す姿勢は正直よりもむしろ、「この受験生大丈夫だろうか」という心配を面接官に抱かれかねません。

役所の人間としてだけでなく、民間でもその人間性は社会人として疑いをもたれるのに文句は言えません。

特に地方公務員は、その地方の住民に見られるという立場であるため、どこに目や耳があるかわかりませんので、組織としては株を下げてしまう可能性のある受験生はなるべく取りたくないと思われるのではないでしょうか。当然そう思われたなら、いくら倍率2倍といえども不利になってしまうでしょう。

となると、建て前だけで志望理由を語り、面接官を充分に説得できるのかというと、それはそれで難しいと思います。

前述のとおり、どの受験生も同じようなことを言うため、志望理由という重要なアピールポイントをプラスマイナスゼロで終わらせるのはもったいないです。また、建て前だけではその受験生の人間性を把握することができませんので、面接ではマイナスになってしまいます。

つまり、本音と建て前をバランスよく織り交ぜることが、志望理由に説得力を持たせる有効な方法のひとつであると言えます。

4 自分だけの志望動機を作るために

東京都の特徴は、①財政規模や、②政策の影響力が他の自治体と比べて大きく、国とは違い、③都民と直接関わりながら施策を考えることができます。また、④様々な分野の職務を経験することができ、⑤地方公共団体のリーダー的役割を担います。

志望動機を作る際、おそらく皆さんはこの辺りの特徴をいくつか取り上げて、それをまとめることが多いと思います。私は自身の面接カードを作成する際、他の受験生のものを参考にしながら、自分なりのものを作ろうとしていました。

そのために、大学の職員や様々な方にアドバイスをいただきながら作成し、過去の受験生の面接カードや出来のいいものや悪いと言われるものもたくさん見ることができました。

それらの面接カードの中でも、出来が悪いと言われる志望動機には共通点がありました。それは、「客観的事実しか書いていないこと」です。

例えば、「私は、財政規模が大きく、その政策の影響力が他の自治体も大きい東京都の職務に責任感ややりがいを感じることができると考え、東京都を志望しました。また、私はかねてより○○に携わりたいと考えており、○○という取り組みを通じて東京都をより良い都市にしていきたいです。」というような志望動機です。

見たらわかるように、ただの客観的事実しか書いておらず、なぜ、どのように自分のやりがいにつながるのかが不明です。結局この受験生はどういう人間なのかを把握することができません。

一方で、「私は○○という経験から、○○という職務に携わりたいと考えており、都のインターンシップや○○に参加した際、職員の方の○○という話を聞き、その職務の○○に魅力を感じました。また、規模が大きく、様々な分野を経験できる都の職務にやりがいを感じられると考え、都を志望しました。」という志望動機ではどうでしょう。

分量的には変わりませんが、例文の出来の良し悪しは別にして、こちらの方がより受験生の考えていることを伝えることができるのではないでしょうか。

志望動機に自分が実際に体験したことや、志望したきっかけになることを書くことで、後半部分はほぼ一緒でも、その受験生独自の志望動機にすることができます。

また、面接官に志望動機を伝える際も、受験生がそれぞれ持っている体験を織り交ぜることで、自分だけの志望動機にすることができます。その志望動機は説得力に大きくつながるため、面接での大きなプラスポイントになります。

5 志望動機をつくるには

以下ではよく聞かれる質問についてどのように考えればよいかをご説明します。

なぜ民間ではなく公務員なのか

これらの違いは対価関係に結びついているかどうかである、というものがしばしばいわれます。確かにその通りで、企業は商品を購入、契約してくれる消費者を相手にするのに対して、行政は全員に対してサービスを提供します。

とはいえ、行政も慈善事業ではありませんので、誰でも彼でもサービスをばらまくことはできません。

そう言った面で、本質的なところでは、民間も行政も大きな違いはないと思います。その上で、なぜ行政の仕事に興味を持ったのかを考えてみると良いでしょう。

(地方出身者の方は)なぜ地元でなく東京都なのか

私もそうでしたが、生まれてこの方東京都に縁もゆかりもない受験生が都を受験する際、どのように志望理由をアピールしたらよいのでしょうか。これは結構悩みどころで、多くの地方出身の受験生がぶつかる壁です。

地元より都が優れている面を考えるのもいいですが、逆に都よりも地元が優れている面も考えてください。また、似たような業務や取り組みを行っている場合、それでもなぜ都を志望すると決めたのかについても考えなければなりません。

東京都は地方出身者にとても寛容ですので、地方出身だからとあまり心配する必要はありません。毎年多くの地方出身者が合格していますし、現に私の周りでも多くの地方出身者が合格しています。

むしろ地方出身者は面接の際になぜ地元でなく東京都なのかを聞かれることが多いため、対策さえしてしまえば有利に働くことさえあります。あくまで、どこの出身であろうとも、面接官を説得することができれば、面接では大成功です。

なぜ区や市ではなく都なのか

与えられている権限や、取り組みが違いますし、都民と関わる頻度も違います。具体的な区や市の取り組みについて調べてみると良いと思います。

なぜ国ではなく都なのか

規模の大きい仕事と言えばまず国に働くことが思い浮かびますが、それでもなぜ都を選ぶのかについて、考えてみてください。

都で何がしたいのか

どういった取り組みに携わりたいのかを具体的に思い描きながら、その上で都をどういった都市にしていきたいのかを考えると良いと思います。

都であなたはどう貢献できるのか

あなたが携わりたい取り組みで、あなたはどういった役割を担いたいのかを考えてみてください。それにはどんな能力が必要とされるのかも考えてみてください。

その貢献を裏付ける経験

これは非常に重要です。上記の能力を客観的に裏付ける経験を思い返してみてください。どんな些細なことでも、経験の種類に良し悪しはありませんので、具体的に話せるエピソードも筋道立てて話せるように準備しておくと良いでしょう。

その他、よく聞かれる質問については公務員試験の面接で聞かれる定番の質問の答え方【講師が解説】で紹介していますので、参考にしてみてください。

6 志望理由を考える上で参考になるもの

東京都の志望動機を作る上で、都政研究はとても大事になります。
面接においても、志望動機を答えるとほぼセットになって具体的にどういった点に東京都の魅力を感じたのかを聞かれます。

そこで都政を研究し、取り組みを具体的に挙げられたかどうかで、受け答えの説得力はまったく違ったものになりますので、是非受験生の皆さんは志望動機を作る上では都政研究をすることをおすすめします。

以下のページより2018年版の内容を見ることができます。2年おきに発行されているようなので、2021年になると2020年版に更新されると思いますので、最新版については常にチェックしてください。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tokyoto/profile/tosei2018.html

最近のものですので、より今の都政を知りたいという受験生はぜひ長期ビジョンと併せて読むことをおすすめします。

面接対策用としては、都政2018で気になった取り組みをインターネットなどで調べると詳しくわかります。

7 まとめ

都庁に限りませんが、志望理由で重要なことは「自分だけの志望理由」を伝えることです。
相手は面接のプロですので、当たり障りのない志望理由やどこかから取ってきたものを伝えても決してよく思われません。

なぜ都庁なのか、都庁で何をしたいのかをひたすら考え、それらを自分の経験に紐付けられるようしっかりと対策して臨むようにしましょう!

国家一般職の面接カードの基本と書き方のポイント

国家一般職をはじめ、国税・財務専門官などでも一次試験に合格した人は面接カードの記入が求められ、それに基づき面接が行われます。

国家公務員試験は筆記試験が重要視される傾向にはありますが、近年の公務員試験では、国家・地方問わず人物重視の傾向が強まってきています。
つまり、必死に勉強しても面接試験でうまく受け応えができなければ最終合格ができません。

面接は、提出する面接カードに沿って進んでいきますので、面接カードの内容はしっかり考えて面接に臨む必要があります。今回は国家一般職、国税・財務専門官などでも行われる人事院面接において使用される面接カードについて、そして合否を左右する志望理由の考え方などについて解説していきますので参考にしてください。

1 面接カードについての基本

1-1 面接カードの記入項目について

面接カードの項目は国家一般職と国税・財務専門官で大きな差はありません。各項目は以下に挙げたようなものがあります。

・試験区分・第一次試験地・受験番号・名前・学歴・職歴等のプロフィール
・志望官庁(国家一般職の場合)
・専攻分野・得意分野(ゼミ等で専攻したこと)
・志望動機・受験動機
・力を入れてきたこと・印象に残っていること(これまでに頑張ってきたこと)
・最近関心を持った社会問題や出来事
・趣味・特技など
・自己PR

どの項目も1~3行程度で短くまとめる必要があり、地方公務員等の面接カードに比べ書く分量は比較的少ないです(地方公務員でも自治体によって差があります)。

学歴の欄では、具体的な大学名などは記入しないこととなっており、面接でも話してはいけないことになっています(うっかり話してしまったからと言って、一発不合格になるわけではないようですが)。

国家一般職試験の場合は、本省や出先機関等、自分が志望する官庁を2~3個記入する欄があります。志望動機や自己PR、力を入れてきたことなどは、民間企業のエントリーシートでも鉄板の項目ですね。

一方で、専攻分野、最近関心を持った社会問題や出来事などは、民間企業のエントリーシートではあまり深く聞かれることはありません。最近関心を持った社会問題や出来事、これは時事問題への関心について問う項目ですが、全体の奉仕者として国民のために働く公務員は、時事に関して特に敏感である必要があります。
ここには、自分の関心を持った社会問題(ニュース)について書くか、どのニュースを書くべきか迷う場合は、自分の志望官庁に関わりのあるニュースについて書けば、面接カードの内容に一貫性が出ます。

専攻分野については、大学時代にゼミで専攻した内容、卒業論文を執筆している場合はそのテーマについて簡潔にまとめても良いでしょう。

趣味・特技については、書きにくいと感じる方もいるかと思いますが、あくまで人柄を見るための項目であるため、素直に自分の趣味・特技を書いていいと思います。

内容については特にスポーツだけでなく、書道が得意であれば、書道を小学生の時から現在まで続けています、といった内容を書けば問題ありません。これについては面接では特に詳しく聞かれることはないと考えて良いでしょう。

ただ、一般的に考えて良くないと思われるような趣味(公務員になる上でふさわしくないもの等)については書くべきではないため、そのあたりは常識に沿って判断しましょう。

1-2 面接カードの入手方法、時期および提出について

各面接カードは、国家一般職、国税・財務専門官ともに、筆記試験の合格発表後から国家公務員試験のホームページからダウンロードできるようになります。そこから各自コピーし、人事院から指定された面接試験日までにボールペンで各項目を記入します。

面接試験当日までにコピーを2部取っておきましょう。
1部は自分で控えとして持っておき、残り1部と原本は面接当日に人事院の面接官に提出し、本番の面接は面接官がそのカードを見ながら進められていきます。

私が受験生の時、面接当日に面接官に提出するコピーをとるのを忘れてきていた受験生がいましたが、印象が悪くなってしまうため、準備は余裕を持ってすべきです。
そのコピーを取り忘れてきた受験生が最終合格できたのか残念ながら分かりませんが、誤字脱字等にも気を付けて準備しましょう。

2 面接カードを記入する上で意識すべきこと

2-1 面接の配点は高くはないが内定を得るためにはとても重要である

面接試験において重要になる面接カードですが、国家公務員試験(一般職試験、国税・財務専門官)では、面接の評価は最終合格にどれくらい影響を与えるのでしょうか。各試験での面接の配点は以下の通りです。

・国家一般職…試験全体を9とした場合、9分の2点分の配点
・国税専門官…試験全体を9とした場合、9分の2点分の配点
・財務専門官…試験全体を9とした場合、9分の2点分の配点

この配点だけを見ると、決して面接の配点はとても高いとは言えないとは思わるかもしれませんが、人事院面接を突破し最終合格できなければ、官庁訪問や職場訪問で各省庁や出先機関から内々定をもらっても、それが全て水の泡になってしまうため、決して人事院面接を甘く見てはいけません。

最終合格は、筆記試験と面接の合計点で決まります。そのため、筆記試験をギリギリで通過してしまった場合、人事院面接で挽回する必要があります。

また、面接でE(最低ランク)評価を受けてしまうと、筆記試験の点数にかかわらず一発不合格になりますので注意してください(得点計算室というサイトでは、これまでの国家公務員試験で最終合格するために必要であった筆記試験の点数と面接の評価を計算できますので参考にしてみてください)。

このように考えると、面接カードの重要性が理解していただけると思います。
面接官は初めて見る受験生を評価する上で、まず面接カードを参考にし、面接を進めていくからです。

国家公務員の面接カードは分量が少なく甘く見る人が多いですが、私自身が受験生の時、人事院面接を甘く見て足元をすくわれた受験生を多く見ました。面接カードは入念に準備して面接に臨みましょう。

2−2 各項目についてエピソードを掘り下げておこう

では、人事院面接に向けて、面接カードを用意していく中でどのように面接に向けて準備していくのが良いのでしょうか。
それは、面接カードに書いたネタ(エピソード)について、しっかり掘り下げておき、面接で詳しく聞かれてもしっかり答えられるように準備して(頭の中でまとめて)おくことです。

掘り下げると言われると、ピンと来ない方もいるとは思いますが、たとえば、「力を入れてきたこと」の項目で、「大学一年のころから所属しているバレーボールサークルで、幹事を務め、サークル活動が盛り上がるように頑張ってきた」といったことを書いたとします。

まず、なぜ幹事になったのか(周りからの推薦か、それとも自主的か)?そして、サークル活動の中で最も力を入れたイベントは何か?活動を進めていく中で問題は起こらなかったのか?問題が起きたときあなたは幹事としてどのように対処したか?

また、幹事としてチームをまとめるときに何を大事にして動いていたか?幹事という役職に就き何を学んだか、そしてそれを公務員になって国民のためにどのように活かしていきたいか…ざっと挙げただけでも、これだけ面接官が聞きたいポイントが挙げられます。

特に、失敗経験や問題が起きた時の話をする場合、その時の状況や気持ちなど、詳しく語れるように準備しておかないと説得力がありません。また、面接では当然台本など見ることはできませんので、このように質問された場合、(ある程度は)即答できるように準備しておかねばなりません。

このような要領で、面接カードに書いた内容を掘り下げておきましょう。ただ、人事院面接自体は15分程度で突飛な質問が来ることはほとんどなく、非常にオーソドックスな面接ではあるため、準備しすぎる必要はないのかもしれません。

しかし、国税専門官の人事院面接や官庁訪問時の面接はいわゆる圧迫面接される場合や、かなり詳しいことまで聞いてくる場合もあるため、エピソードをしっかり掘り下げておくことは面接においてはとても大事です。

2−3 面接カードは多くの人に見てもらおう

面接カードを記入する上で注意すべきことは、とにかく人事院からの指示通りに記入すること、またなるべく丁寧な字で記入すること、そして上述しましたが誤字脱字をしないことがあげられます。

これは公務員試験に限らず、民間企業のエントリーシートでも同じですね。そして面接カードは時間が許す限りは多くの人に添削・確認してもらうのが良いでしょう。

公務員予備校の講師、大学のゼミの教授、地元のハローワーク、大学の就職課の職員、友人などとにかく多くの人に見てもらいフィードバックをもらうことは様々な気づきを得ることができるためとても重要です。

特に大学のゼミの教授や友人は、自分の人柄について誰よりもよく分かってくれているため、自分では気付かなかった点などについてコメントをもらうことができます。

面接カードを添削してもらう中で質問されることもあると思いますので、それが面接の練習になることもあるので、恥ずかしがらずに面接カードは多くの人に添削してもらうのが良いでしょう。

3 まとめ

国家公務員の面接カードはあまり重要視されていないという認識もあるかもしれませんが、結局最終的に希望するところで働けるかどうかは面接で決まります。
そのため最後の最後まで決して手を抜かず、面接カードについてもしっかりと作成し面接対策にも力を入れるようにしましょう。

元大手予備校講師が教える市役所の面接カードの書き方を徹底解説

「面接は、見た目が大事(話し方や表情を含む)!好感度が大事!」というのは、公務員試験の面接対策をしていると一度は聞いた事があるかと思います。

これと同様に、むしろそれ以上に「面接カードも見た目が大事!」なのです。

面接カードによって、これから面接室に入室してくる受験生のイメージをしてしまうのです。

字が雑だな。(きっと雑な人間なんだろうな。)
質問に答えてないな。(コミュニケーションのとれない子なのかな。)

逆に、
とても読みやすい文章だな。(他人に気遣いができる子なんだろうな。)
男子なのに、とても整った字を書くな。(性格もしっかりしている好青年タイプかな。)
などなど。

それなのに、面接カードがイマイチな受験生が多いのが現状です。(それを自覚して、大学や予備校などで何度も添削を受け、体裁を整えることで、いい感じの面接カードを提出する受験生は安心ですが。)

市役所では面接が複数回行われ、採用人数も圧倒的に少ない場合が多くなっています。この面接の狭き門をくぐりぬけるためにも、面接カードを完璧に仕上げてから提出するようにしましょう。

1.面接カードの様式と書き方の各注意点

市役所は自治体ごとに面接カードの様式がかなり異なります。
たとえば、

①罫線付きの面接カード
(各項目につき数行〜7行で書くもので、カード自体に罫線が書いてあるもの)
②罫線なしの面接カード
(各項目につき数行〜7行で書くもので、カード自体に罫線が書いていないもの)
③エントリーシート型
(志望動機と自己PRについて、エントリーシートのように長文で書くもの)
④変形型
(項目が多いが、書くスペースが狭いうえに、変な区切り方をしているもの)

などがあります。

また、面接カードの様式は年度によって変更されることが稀にあります。
なので、面接カードが手元に届いてから、「いかに見やすいカードを書くか」を考え、くりかえし書いてみながら、仕上げていく必要があります。

さて、先に挙げた面接カードでの注意点をみていきます。

①罫線付きの面接カードの注意点

これは見た目を整えやすい様式です。罫線からはみだすことなく書いていけばよいだけです。しかし、基本がなっていない受験生が多いのも事実です。

以下の注意点を必ず守るようにしてください。

(1)意味もなく改行しないようにしましょう。行の最後までしっかり使いきって下さい。

(2)枠からはみ出ないようにしましょう。時々、最後の1字を書ききれずに、枠外に書いている人がいますが、これは論外です。

(3)上下の文字の位置をそろえましょう。
つまり、マス目が書いてなくても、マス目があると思って書いていきます。たとえば、1行目で25字書いたなら、2行目以降も1行目の文字の位置に合わせて25字で書いていきます。漢字とひらがなでは文字の大きさを変えた方がきれいに見えることがあるので、多少のズレは問題ありません。

(4)文字はやや大きめに、ただし罫線のバランスを考えて書きましょう。罫線のわく幅いっぱいに書くよりは、上下にやや余裕をもって書きましょう。

②罫線なしの面接カードの注意点

公務員の面接カードでは、この様式がとても多いです。しかし、見た目がひどくなりがちです。

まず、
(1)右上がりにならないように書きましょう。

(2)各行の文末を全てそろえましょう。罫線なしの様式の場合に1番多いのが、改行をしているわけでもないのに、行ごとの最後の文字の位置がバラバラなパターンです。非常に雑に感じます。

(3)書く前に、鉛筆でうすく罫線をひいてから書き、清書が終わったら、きれいに消しましょう。その際、ペンのにじみに気をつけて下さい。(面接カードが薄い用紙の場合は、下に罫線をひいた下敷きや用紙を敷くのもよいでしょう。)
(4)文字をやや大きめに書きましょう。面接カードの用紙サイズにもよりますが、1行35字を超えてくると、だいぶ詰まって読みにくく感じます。

③エントリーシート型の注意点

この場合はたいてい罫線が引いてありますので、上記①の注意点を守って下さい。

④変形型の注意点

最も他の受験生と差がつきやすく、細心の注意と工夫が必要です。

(1)基本的には全ての項目について文字の大きさをそろえます。しかし、資格の項目や趣味・特技の項目など、文章ではなく箇条書きで書くような場合は、多少大きめの文字になっても問題ありません。

(2)項目が多いので、志望動機や自己PRなどはアピールしたいことをしっかりとしぼりましょう(多くても2つ程度)。やや抽象的な文章になっても、面接官はそれを承知で面接してくれます。

その他は、上記②罫線なしの面接カードの注意点を参照してください。

2.文章の形式面

ここでは文章を書く上で必ず抑えておくべき基本(形式面)についてお伝えします。

2-1.「だ・である調」より「です・ます調」

面接カードを書くときの文体は、「だ・である調(常体)」よりも、「です・ます調(敬体)」の方が好まれるようです。実際に、受験生の多くが「です・ます調」で書いています。

といえど、「だ・である調」の面接カードを提出して上位で合格した受験生(男性・女性にかかわらず)を何人もみてきました。かくいう私も、受験生自体は「だ・である調」で面接カードを書き合格しています。なので、合否に直接は影響しないと思いますが、やはり印象は異なります。

*「だ・である調」で書いて合格している受験生は、非常に好感度の高い表情・話し方をする印象があります。

ただ、市役所の場合は、様々な住民に対して、ていねい・親切に対応していく仕事です。したがって、面接カードでも「です・ます調」で書いて、ものごしの柔らかい感じ、ていねいな感じを出した方がよいでしょう。

注意しなければならないのは、面接カードの中で、「だ・である調」と「です・ます調」を決して混ぜて書いてはいけないことです。うっかりでもダメです。

管理職公務員は、ひたすら部下の文書を推敲する立場にあります。内容はもちろん、形式面の誤りはすぐに気がつくものです。きちんと文章の形式をそろえましょう。

2-2.体言止めはダメ

主に志望動機(志望理由)や自己PRの欄の文章の中盤で、「・・・・・・であること。」と、体言止めで書く受験生がいます。しかし、正式な文書である面接カードで、この書き方はやめましょう。

ただし、次のような書き方は認められます。

「私は、次の2つの理由から〇〇市を志望します。
①・・・・・・・・・・・から。
②・・・・・・・・・・・から。」

「趣味・・・ピアノを演奏すること」

2-3.文字数

1文の文字数は20字〜40字程度が読みやすいです。

短い分にはよいのですが、問題は長くなる場合です。面接カードや論作文など多くの受験生の文章を読んできましたが、60字を超えると採点者が正しく理解してくれない可能性が出てくると思って下さい。つまり読みづらいのです。

面接官は事前に面接カードを読み、マーカーまで引いていてくれるような方もいますが、1日に立て続けに何人もの受験生の面接をします。読みづらい文章を、わざわざ何度も読み返して理解してくれることはありません。
とにかく、「年配の面接官が読みやすいカードを書くこと」、これを徹底してください。

3.主な項目の注意点

ここでは面接カードで聞かれる項目の注意点について見ていきましょう。

3-1.志望動機(志望理由)、やりたいこと

志望理由の書き方に決まりはありません。10人いたら10人が違った書き方をします(実際は、かなり同じ形式で書いていますが)。

面接カードで書いてほしいことは、

①その市を志望するきっかけ
②その市のどこに興味をもったのか
③その市の政策や取組みで共感したこと
④採用されたらやってみたい仕事

です。
面接カードの書く欄が狭ければ、①は省いてもかまいません。④は記入欄が分かれていることもあるので、その場合は別に書きます。

重要なことは、みなさんが実際の職員から聞いた事や、足を使って調べ考えたことを織り込むことです。これで、志望の熱意を伝えることができます。

例①
私は、住民と同じ目線でまちづくりに携わりたい考え志望しました。〇〇市は、中心部だけでなく郊外の行政サービスの拡充に努め、〇〇◯にも力を入れていることを知り、住民目線の取組みに魅力を感じました。〇〇市が掲げる「〇〇◯ビジョン」の発展に向けての制度づくりにも意欲的に取り組んでいます。私も職員として、市民のみなさんに「・・・・・・・」と思っていただけるように尽力したいと考えています。
  • まちあるきをして感じたこと(文字数の関係で、「・・・を知り」、という書き方にとどめましたが、面接では、まちあるきをして調べたことを伝えるとよいでしょう)、考えたことを書くと独自性が出ます。
  • 市の取組みについて何を聞かれてもいいように、できる範囲で調べ、自分の考えを整理しておきましょう。(政策オタクになる必要がありません。)
例②
私が〇〇市を志望する理由は大きく2つあります。第一に、子育て支援を通じて、・・・・・・・・・できるようにしたいからです。現在〇〇市では・・・・・に積極的に取り組んでいますが、職員の方から・・・・・・・・と伺い、より一層のサービスの向上が必要だと感じました。大学時代に培った〇〇を活かしながら、その向上に貢献したいと考えています。第二に、・・・・・・・・・。
生まれ育った〇〇市がより一層〇〇なまちになるように、職員として貢献していきたいと考えています。
  • 「どんな市にしたいのか」という柱をたてたうえで、取り組みたい仕事を織り交ぜて説明していきます。
  • 第一に(1つ目に)・・・。第二に(2つ目に)・・・・。という書き方も、よく使われる手法です。

3-2.学生時代に力を入れて取り組んだ事柄

最も重要なことは、アピールポイントを明確にすることです。

たとえばサークル活動で培った〇〇力をアピールしたいなら、それについての「具体的なエピソードを1つ」、面接カードで説明します。どんなに多くても2つです。
このアピールポイントの絞り込みが出来ていない受験生が非常に多いです。

選択したエピソードがアピールポイントとリンクしているかも、しっかり見極めましょう。たとえば、継続力をアピールしたいのに、選んだエピソードは「創意工夫」の方が適しているというようなことがよくあります。


大学のゼミ合宿で、ゼミ生同士の希薄な関係を改善し、その後のゼミ活動を活発化させることに取り組みました。まず、私を含む役員5人で、どうしたら関係性を変えられるか合宿前から何度も話し合い、〇〇することが必要だと考えました。そこで、合宿では〇〇や〇〇などを企画し、役員がそれぞれの得意な場で力を発揮することでゼミ生の交流に取り組みました。その結果、ゼミ生同士の関係性も良くなり、合宿後のゼミ活動では積極的な議論を重ねられるようになりました。この経験から、チームで力を合わせることが目標達成につながることを実感しました。

3-3.長所・短所

長所・短所ともに、エピソードを聞かれていなくても欄に余裕がある限り、エピソードとセットで書きます。

短所については、裏返せば長所とも言えそうなことを、改善策とセットで書くのが無難です。面接では、「それって長所でしょ?」っと厳しい口調で問われることもありますが、冷静に理由を説明できれば問題ありません。

長所(例)
継続力がある所・・・中学生から現在まで続けてきた野球では、勉強との両立など辛い時も多くありましたが、それを乗り越えて続けてきました。
短所(例)
融通のきかない所・・・いまは必ず人の意見を聞き、頑固にならないように意識して行動しています。

3-4.卒業論文・ゼミナールのテーマ

面接ではついアルバイトやサークルなどの活動のアピールになりがちです。しかし、大学生の本分は学業でもあります。市役所の面接では聞かれることが少ない項目ではありますが、自信をもって学業も行ってきたことを伝えられるようにしておきましょう。

例:「表現の自由とヘイトスピーチ」について、〇〇の実地調査などをしながら研究していくつもりです。

大学によってゼミナールの履修が必須でないところもあります。そのような場合は、
「ゼミナールには所属していません。大学では社会法の演習科目をとり、ジェンダーについて興味をもって取り組みました。」
などと説明を入れておきましょう。

3-5.最近関心を持った事柄

社会的な事柄を聞いています。
全国紙で取り上げられるようなニュースでもよいですし、市役所受験の場合、その市の独自のニュース・事柄でもよいでしょう。

ただし、そのニュース・事柄について①なぜ興味をもったのか、②それについてどのように考えるのか、をしっかりと用意しておく必要があります。
面接カードに書くもの以外に、面接用にさらに2個用意しておくと安心です。

3-6.免許・資格・検定等

こちらは公的資格を書きます。

例:教員免許(種類・科目)、行政書士、TOEIC800点(◯年◯月取得)

できるだけ正式名称で書きますが、あまりに長く一般的に知られていない名称の場合は省略することも可能です。

例:
正式名称:「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」

面接カードに書く場合:「日商簿記検定試験2級」

なお、趣味に関する資格は、趣味・特技の欄に書きます。

例:華道(池坊 初等科初伝)

3-7.趣味・特技

趣味・特技については面接で聞かれないことも多いですが、気になる書き方をすれば面接官もつい話題をふってくれます。それによって、自己PRにつながることもあります。

例:マラソン(年に3回マラソン大会に出場し、毎回自己ベストを更新。)

例のように書くことで、目標を設定して練習をする継続力がある子なんだな、と思ってくれる人もいます。

4.生まれ育った・愛着ある・地元恩返しはタブーなのか

最後に、市役所試験では、

「生まれ育った〇〇市に貢献したい」
「愛着あるこの地元に恩返しをしたい」

というキーワードを使う受験生も多くいます。

予備校や市販の面接対策本によっては、これらのキーワードを使ってはダメ!としている場合もあります。

しかし、生まれ育った地元に戻り、将来家族をもちながら、さらにその地元住民のために頑張って働きたい、と思うのは素晴らしいことだと思います。
地元であることが、その市を受験する1番の志望理由であり1番の武器とも言えます。

なので、私は面接カードに書いても全く問題ないと思いますし、これらのキーワードを書いて合格していった受験生をたくさん知っています。

しかし問題なのは、その使い方です。

長々と地元愛を語った文章を書くのは全くダメです。志望理由が、地元だけ、というのもダメです。必ず、政策・取組みなど共感した点を書いて下さい。
そして、このキーワードを使う場合は、せいぜい、冒頭か文末に、一言入れるだけにしましょう。

まとめ

面接カードの書き方について詳しく解説しました。

市役所を受験する方は市役所の志望動機を作るポイントをどこよりも詳しく解説の記事もあわせてご覧ください。

市役所の面接は倍率が高いので、こちらの記事も一読し、十分な準備をしておきましょう!

必ず抑えておくべき公務員試験の面接対策の「超」基本【解説写真付】

公務員試験において面接試験は非常に重要な試験であり、特に地方公務員試験では筆記試験よりも配点が高い自治体も多くあります。

面接は大した対策をしなくても受かる、と考えている人もいますが大きな間違いです。

面接試験では、熱意や社会人としての基本を見られます。

もちろん、志望動機や自己PRも大切ですが、話し方や態度、服装、表情など、受験生から発せられる情報のすべてが面接官にチェックされます。

この記事では、これから面接対策を始める方が知っておきたい【超】基本的なことについて解説します。

ただし、基本的なことほど大切なので、「自分は大丈夫」と思っている方もぜひ一通り目を通すようにしてください。

1 面接試験はどのようにして行われるのか?

まずは面接試験というのはどういったかたちで行われるのかみていきましょう。

面接試験の形式は、「個別面接」「集団面接」「集団討論」の3つの形式があります。受験先によって形式はさまざまですが、それぞれの特徴は以下のようなかたちになります。

1-1 個別面接

個別面接は受験生1人に対して面接官3〜5人程度で行われる最もオーソドックスな形式です。
時間は様々ですが、15分程度で行われるため、志望動機や自己PRから深く質問を掘り下げられるため十分な対策が必要となります。

1-2 集団面接

集団面接は、受験者5〜8人程度に対して面接官が3〜5人程度(3人の場合が多い)で実施されます。

集団討論は、当日同じグループになったメンバーで1つのテーマについて議論し、それを面接官が評価していく面接の1つです。
質問に対しては、端から順番に答えさせたり、挙手制で答えさせたり、ランダムに指名したり、面接官によって様々です。

面接官に対し受験生が対面して座り、複数の受験生が同時に比較されるという特徴があります。

集団面接の最大のポイントは、「他の受験生と直接比較される」ことです。

面接側にとってはとても効率的な面接方法であり、受験生にとっては最もシビアな面接方法といってよいでしょう。

1-3 集団討論

受験生は5〜8人程度に対し、面接官は3人程度で行われます。時間は30〜60分程度となります。
内容としては、受験生同士で1つのテーマについて議論することとなり、討論の方法については当日具体的に指示されます。

集団討論の最大のポイントは、同じグループは運命共同体にある、ということです。

メンバーは採用者側が機械的にもしくは色々な事情を考慮して決めるわけですが、受験者側としてはどんな人たちと一緒になるのか当日まで分かりません。

自分がどんなに集団討論が得意で優秀でも、ものすごくコミュニケーション力の劣る受験生と一緒になり足を引っ張られる可能性もあります。

集団討論では、グループのメンバーほとんどが合格する場合と、グループのメンバーほとんどが不合格となる場合が実際にあります。自分だけ目立とうとはせずに、あくまでグループ全体で活気ある議論ができるように意識しましょう。

集団面接と集団討論については対策も含めて以下の記事で詳しく解説していますので、受験先で課される場合は必ずご覧ください。

2 面接で好印象を与える身だしなみについて【男女別】

面接の練習を始める前に、まずは基本的な「身だしなみ」について知っておきましょう。
身だしなみは話す内容以前に印象を与えるものですので、決しておろそかにしてはいけません。

男性の方は2-1を、女性の方は2-2をご覧ください。

2-1 男性の身だしなみ

男性の身だしなみでチェックするべきポイントは以下の部分です。

  • スーツ
  • Yシャツ
  • 顔・髪型
  • ネクタイ

それぞれ詳しくみていきましょう。

スーツ

スーツはリクルートスーツが基本です。色は黒か濃紺が望ましいでしょう。
転職組の場合はストライプのスーツを着る人もいますが、スーツで目立っても仕方ないので無地が無難です。

サイズは合っているか、シワがないかチェックしましょう。
また、全てのボタンを閉める方がいまるが、2つボタンであっても3つボタンであっても一番したのボタンはとめません。

2つボタンの場合は一番上のみ、3つボタンの場合は真ん中のみ、または上2つをとめるようにしましょう。

そして忘れがちですが、スーツにフケがついてないかも確認しましょう。清潔感がない印象を与えてしまいます。

Yシャツ

Yシャツは白色にします。
肌着もあまり透けないように白か肌色のものにし、柄のない無地のものにしましょう。

サイズが合っているかも確認しておきます。

細かい部分ですが、スーツからはYシャツが1〜2cmほど出るような袖の長さにすると綺麗に見えます。
これはスーツの長さも関係しますが、袖口からYシャツが全く見えなかったり、逆に見えすぎても不格好に見えますので注意してください。

当然ですが、Yシャツのシワや汚れは直前に確認するようにしましょう。

顔・髪型

繰り返しになりますが、面接試験は社会人としての基本を見られます。そのため、とにかく大切なのは「清潔感」です。ですので、ヒゲや長髪は論外です。

髪は眉毛や耳にかからないように、爽やかな印象を与えるように短くしておくと無難です。

試験当日はヒゲの剃り残しや寝癖には要注意です。

ネクタイ

ネクタイは青や赤のストライプや無地のものにしておけば問題ありません。
あまり見られる部分ではないですが、変に目立つ必要もないので無難にしておきましょう。

靴・靴下

靴はビジネス用の紐付きの黒いものが無難です。

ビジネスマンとして、足元は非常に重要です。
普段は足元はあまり意識することはないかもしれないかもしれませんが、傷が入っていないか、かかとはすり減っていないか、といった部分はよく確認しておくべきです(当然、かかとを踏むなどは論外です)。

面接当日は靴をしっかりと磨いてから臨むようにしましょう。

そして、靴下は黒か紺にしておきましょう。たまにスーツなのに白い靴下の人を見かけますがビジネスマンとしてはNGです。

※当然ですが、ピアスやネックレス、ブレスレッドなどの装飾品は外しておきましょう。

2-2 女性の身だしなみ

女性の身だしなみでチェックするポイントは以下の部分です。

  • ジャケット
  • スカート・パンツ
  • 顔・髪型・メイク
  • ブラウス
  • 靴・ストッキング

それぞれ詳しくみていきましょう。

ジャケット

ジャケットは黒か紺にしましょう。ボタンについては全てとめるようにしましょう。

よく、「一番下は開ける」などと言いますが、これは男性の場合ですので、女性のジャケットはすべてのボタンをとめます。

スカート・パンツ

スカートは長さに注意しましょう。短すぎるのは当然NGですが、立っているときには膝が隠れ、座ったときに膝上5cm以内くらいが目安となります。

また、シワがないかといった点も注意するようにしましょう。

スカートとパンツどちらがいいか迷われる方もいますが、公務員試験においてはどちらでも問題ありません。

髪型・メイク

女性は染めている人も多いかと思いますが、面接の場では黒髪が基本です。長さは、おでこと耳は出るようにしましょう。そのため、髪が長い場合は後ろでまとめると良いです。

メイクについては、ナチュラルメイクにします。口紅の色は派手すぎないようにしましょう。

血色が悪い方などはチークをつけることで明るく見えますが、これも付け過ぎることがないように注意しましょう。

ブラウス

ブラウスは白を着用します。ジャケットと同様、シワがないか、また、エリヤ袖が汚れていないかも確認しましょう。

靴・ストッキング

靴は黒で、パンプスがベストです。ヒールは低め(3〜5cmがよいでしょう)で歩きやすく疲れにくいものがおすすめ。

ストッキングは柄がなく、肌に近い色を選びましょう。伝線していないかどうかは注意が必要です。

※当然ですが、ピアスやネックレス、ブレスレッドなどの装飾品は外しておきましょう。また、ネイルやつけ爪もNGです。

3 入退室の流れと方法

面接会場への入退出は受験生の印象づける重要なシーンです。事前にしっかりと練習しておきましょう。

3-1 入退室以前に気をつけたいこと

流れを見る前に、面接に臨む上で姿勢や話し方などについて確認しておきましょう。いくらスムーズな入退室ができていても、これらが良くないと印象が悪くなります。

以下の点は多くの受験生がやりがちですので、特に気をつけるべきです。

姿勢が悪い

毎日長時間イスに座って勉強やパソコンをしているという人が多いかと思いますが、猫背になっていないかは必ずチェックするようにしましょう。

猫背は非常に印象が悪く、それだけでマイナスポイントになります。また、猫背だと元気がなさそうに見え、暗い印象を与えます。

さらに、猫背だとお腹から声を出しにくくなるため声が小さくなりがちです。

猫背の方は、一度鏡を見て姿勢を確認するようにすることをおすすめします。

普段から猫背になっている人は、本番試験までに良い姿勢を意識するようにして、背筋を伸ばすようにしましょう。

声が小さい・元気がない

面接で声が小さかったり、元気がないのも印象がよくりません。試験によっては(例えば特別区)、周りの音が聞こえるような部屋で面接をすることもあるため、声が小さいと面接官に聞こえません。

特に公務員試験の受験生は真面目である一方、話し方については不安を感じる人が多いのも事実です。

声が小さいと自信がなさそうに見えますので、本番前に必ず面接の練習をして矯正するようにしましょう。

話し方に自信がない人は「伝わる」を意識した面接で良い印象を与えるための話し方をぜひ一読してください。ここに書いていることをやるだけでも結果は大きく変わるでしょう。

面接官と視線を合わさない

これもたまにいますが、絶対にNGです。目を見て話すというのはコミュニケーションの基本であり、視線を合わせないと自信がないように見えます。

実際に受験生と話をすると目を見て話さない(こちらが話しているときに目を背ける)という人を多くみかけますが、はっきり言って印象はよくありません。

とはいえ、ずっと視線を合わせ続けるのも睨みつけているような印象を与えかねないので、眉間や鼻に視線を移動されることもテクニックとしてはあります。

ただ、重要なことは立ち振る舞いなども含めて自然なコミュニケーションが取れることなので、視線ばかり意識するとかえって不自然になるので、練習をしながら第三者にチェックしてもらうと良いでしょう。

3-2 入室から着席までの流れ

さて、上記の基本を意識した上で入室から着席の流れを確認しましょう。

入室から着席までの流れは以下のとおりとなります。

① ノックをする(注1)
② 「どうぞ」と言われたらドアを開ける
③ 入室する前に、「失礼します」と挨拶をし、お辞儀をする(注2)
④ ドアをゆっくりと閉める(注3)
⑤ 再び、「失礼します」と挨拶をし、お辞儀をする
⑥ イスの横まで進む
⑦ 面接官に「受験番号◯◯番、〇〇(名前)です。よろしくお願いします!」と元気よく言い、お辞儀をする
⑧ 「おかけください」と言われたら、「失礼します」と言い、イスに座ります。(注4)

注意ポイント
(注1)ノックは面接官が気づく強さで2〜3回しましょう。あまり強すぎても弱すぎてもいけません。
(注2)挨拶とお辞儀を同時にしてはいけません。また、挨拶は元気に行うようにしましょう。
(注3)ドアを閉めるときは振り返ってから、両手で閉めます。ただし、カバンを持っている場合は片手で閉めて問題ありません。
(注4)イスに座るときは背を向けないようにしましょう。

好印象を与えるお辞儀の仕方

お辞儀の仕方一つで相手に与える印象が変わります。ぜひ好印象を与えるお辞儀の仕方を身につけるようにしましょう。

①あいさつをする
大きな声で明るく元気にあいさつをしましょう

②頭を下げる
頭だけを下げるのではなく、腰から曲げるイメージでおじぎをします。頭から腰までがまっすぐになるように意識しましょう。

③頭を下げたまま静止する
2〜3秒ほど頭を下げたまま静止します。

④頭を上げる
腰からゆっくりと身体を起こしましょう。そして、視線をまっすぐ面接官に向けます。

好印象を与えるお辞儀はそれほど難しくありません。それぞれの動作をしっかりキビキビと行えばよいでしょう。
緊張のため、こうしたことを忘れてしまう方もいますので、事前にしっかりと練習をしておきましょう。

3-3 面接終了から退室までの流れ

面接が終わっても退室までは気が抜けません。面接終了から退室までの流れを確認しておきましょう。

①面接官から「これで終了です」と言われたら「本日はありがとうございました」とあいさつをします
②イスの横に立ち、「本日はお忙しい中、ありがとうございました」とあいさつをします
③ドアまで歩き、振り返り面接官のほうに身体を向けます
④「本日はありがとうございました」とあいさつし、お辞儀をします
⑤ドアを開けて退室します
⑥軽くあいさつをしてドアを閉めます

最後のドアを閉めるところまで見られているので、面接が終わったからといって神経を集中させるようにしましょう。

4 面接を万全な状態で受けるためにやるべきこと

ここまでは、面接試験を受けるにあたり当然に知っておくべきことなので、必ず身につけておくようにしましょう。
ここでは、自信を持って本番の試験を迎えるために何をしておくべきかをお伝えします。

4-1 コンピテンシー面接に対応できるようにする

近年、公務員試験ではコンピテンシー面接が主流となっています。

コンピテンシーとは、「過去に仕事において成果を出した人に共通する行動(行動特性)」という意味です。
つまり、「自社で成果を出している人はこんな人だ!」という基準です。

面接では、この行動特性を持っているかどうかを質疑応答を通して見極められます。

通常の面接とは異なり、受験者の過去の行動や物事を成し遂げたプロセスを重視されます。
質問としては以下のようなかたちで行われます。

  • あなたが特に成果に貢献できたと思うことはなんですか?
  • そのためにはどのようなことをしたのですか?
  • そのために、工夫したことはなんですか?
  • 誰と協力してやったのですか?

このように、過去の行動についてどんどん掘り下げられて質問が行われます。

そのため、面接対策としては、こうした質問をされても答えられるように自分の過去の行動について掘り下げていく、つまり自己分析が大切だということです!

4-2 しっかりと自己分析をする

コンピテンシー面接対策として自己分析が重要だということをお伝えしました。

面接の3大定番質問である

  • 志望動機
  • 自己PR
  • 学生時代に頑張ったこと

についてすぐに答えることができるでしょうか?

面接試験では自分のことを売り込まなければならないわけですが、自分を売り込むためには「まずは自分を知る」ということが必要になります。

あなたは、どのようなことをやりたいのか、どういう強みがあるのかといったことを整理し、理解しておかなければなりません。これが自己分析です。

そして、自己分析をすることで、自治体研究や面接カード作成、面接において役立ちます。ですので、いきなり志望動機などを考えるのではなく、まずは自己分析から始めることが大切なのです。

「WHY」「HOW」で繰り返し掘り下げていく

では、どのようにして自己分析をすればいいかというと、ずばり「自分に質問をする」ことです。

例えば、あなたが「塾講師のアルバイト」をしていたとしましょう。

そのときに、「WHY(なぜ)」「HOW(どのようにして)」と詳細を掘り下げていくと自分の強みや価値観を引き出すことができます。

以下で例を見ていきましょう。

【質問】あなたが特に成果に貢献できたと思うことは何ですか?
【回答】塾のアルバイトで科目リーダーになって模試のクラス平均点を10点上げることができました
【質問】具体的に何をしたのですか?
【回答】小テストを毎回、全生徒に受けてもらいました
【質問】そのために最初にどのような行動をとったのですか?
【回答】小テストの受験率が低かった理由を知りたかったので、生徒と教師の両方からアンケートをとりました
【質問】そのときに工夫したことはなんですか?

このように回答に対してどんどんと深掘りをしていきます。

面接カードなどでは具体性が乏しかったり、志望動機の深みに欠けるものをよく見ますが、それはこのように自分のことについて深掘りできていないことがほとんどです。

しかし、しっかりと自己分析をすることで他の受験生とは違った、ありきたりな答えではない自分の「価値観」や「強み」に基づいたものが出来上がるのです。
また、自己分析は民間企業を受ける場合であっても使えるので、ぜひやっておきましょう。

4-3 面接カードを作成し、添削を受ける

自己分析をしっかりと行うことで、説得力のある面接カードを作成することができます。

面接試験は面接カードを見ながら進められることが多いため、非常に重要な書類であり、しっかりと作り込む必要があります。

「志望動機」や「自己PR」、「学生時代に頑張ったこと」など、面接試験では定番の質問から「趣味・特技」「専攻やゼミ」など内容は様々です。

いずれにしても自己分析をちゃんとやっていれば書けるのですが、

  • 読みやすい面接カードか?
  • ちゃんとアピールできる内容になっているか?

ということは自分ではなかなかわかりにくいものです。

面接カードでは

  • 誤字脱字が多い
  • 一文が長く何が言いたいのかわかりにくい
  • 文字サイズが不適切
  • 字が汚い
  • 話が抽象的
  • 志望動機や自己PRが弱い

などはよく見られます。

自分がいくら「よく書けた!」と思っても、散々なものが非常に多いのが面接カードです。

こうしたことは自分ではなかなか気づきにくいので、提出前には必ず添削をしてもらうようにしましょう。

4-4 模擬面接で第三者の指摘をもらう

ここまできたら、あとは模擬面接をして第三者にチェックしてもらいます。

模擬面接を行うメリットとしては、話し方や姿勢を始めとし、発言に説得力があるか、突っ込まれても対応できるかなどを見てもらえます。

そして何より、面接官は「この人と一緒に働きたいか」「マニュアル通りの回答じゃないか」という部分をとても重視していますので、第三者のチェックというのはとても重要になるのです。

模擬面接は、予備校に通っている方は予備校で行われる模擬面接を受けられるとよいでしょう。
予備校に行っていなくても、大学の就職支援課やハローワーク、ジョブカフェなどで無料で受けることができます。

注意点として、就職支援課やハローワークは民間志望の人が多いため、模擬面接をやる人がある程度公務員試験に詳しくないと良い対策にならないということです。
ですので、もしこれらの模擬面接を受ける場合は、必ず「公務員志望」であることを伝えるようにするべきです。

他にも、友人や親などを面接官として練習することも効果的です。

親しい人との模擬面接は意外と緊張するものです。また、親しい間柄だからこそ答えに対してどんどん突っ込んでくるので、本番のような雰囲気を

ただし、友人などは回答の良し悪しが判断できないので、必ず最終的には面接対策のプロにチェックしてもらうようにしましょう。

なお、公務員試験の面接でよく聞かれる質問については公務員試験の面接で聞かれる定番の質問の答え方を参考に準備をしておきましょう。

一人でも練習もやっておこう!

模擬面接だけではもちろん面接対策としては十分とは言えません。

家にいるときなどは一人で

  • 鏡を見ながら練習する
  • 録画や録音して確認する

といった方法が効果的です。

特に、録画や録音をすると、自分の面接の様子が第三者の視点で見ることができるので、「声が小さいな」「こういう質問だと答えに詰まるな」といったことがわかります。

「模擬面接を受けたから安心」とは決して思わず、一人での練習も暇を見つけてやっておくことがおすすめです。

5 まとめ

せっかく筆記試験に合格しても面接試験で落ちてしまってはもったいないことです。

特に地方公務員試験は面接の比重が高いため最後まで気が抜けません。

面接対策というとどうしても「志望理由」や「自己PR」を作らなきゃ!という細かい部分に目が行きがちですが、面接官は「この人と一緒に働きたいか」という点を見ていることを忘れないようにしてください。

この記事を参考に、少しでも面接に自信を持って臨めると幸いです。