公務員の仕事

事務系職種公務員の仕事内容をどこよりも詳しく解説

公務員の仕事って分かっているようで意外と知られていないものです。

公務員と聞くと役所に行ったときに住民票の発行などをしている職員を思い浮かべがちですが、あれは数多くある職種の中の事務職の仕事であり、事務職の中でも多くの仕事の一つに過ぎないのです。

ここでは、そのような公務員についてなんとなくわかっているけれど実はわかっていない人に向けて、事務系職種の公務員の仕事について解説していきますので参考にしてみてください。

1.一般行政事務

一般行政事務は「行政職」や「事務職」などと呼ばれますが、受験者数、採用数ともに最も多く、公務員の仕事に従事している人のほとんどはこの一般行政事務(以下「事務職」)となります。

冒頭で述べた役所の窓口で住民票を発行している職員もこの事務職に該当しますが、採用されると誰でもこの仕事をするわけではありません。

事務職は特定の部署に限定されずに配属されるため、本庁内の部署や出先機関などさまざまな職場に採用され、多種多様な仕事をすることになります。

仕事内容も先ほどの窓口業務以外にも、予算や庶務などの内部の管理的なものや保険料など税金の徴収、用地の取得交渉といった対外的な仕事もあります。

ほかにも、観光や国際交流、まちづくりの推進、福祉の充実、環境保全、広報、防災対策、文化・スポーツの推進など行政のあらゆる業務を行うのが事務系職種の特徴であり、3年前後で異動し、さまざまな部署で幅広い経験を積んでいくことによりゼネラリストとして活躍していきます。

特に、市町村や特別区のような「地域に密着」している自治体の場合、国家公務員や都道府県職員よりも窓口業務の比率が高くなり、いわゆる「デスクワーク」を行うというよりも、「人」を相手とする仕事が多くなってきます。

そのため、感謝されたときのやりがいや楽しさはありますが、逆に住民からの苦情や罵倒に対応していかなければならないという大変さはあります。思ったよりも大変で精神的な強さを求められる仕事でもあります。

窓口業務以外では政策の企画立案や予算の編成、条例や規則の整備など行政の運営全体に関わるような大きな仕事に携わることもできます。

こうした政策に関わるような業務の場合、会議や決裁による意思決定することが多く、技術職の職員と協働で行うこともあり文書作成力や部署間の調整力が求められるという特徴があります。ですので、採用された最初のうちは窓口業務が多くなるという傾向があります。

自治体がどのような仕事をしているかを知るにはHPより組織図を確認し、興味のある部署について調べてみるという方法があります。

例えば東京都であればざっくりと以下のような組織になっています。(参考:東京都組織図

・政策企画局
・総務局
・財務局
・生活文化局
・オリンピック、パラリンピック準備局
・環境局
・都市整備局
・福祉保健局

これだけではどういう仕事なのかあまりイメージできないかもしれませんが、都道府県や政令指定都市のような大きい組織の場合(全てではありませんが)、たとえば東京都の場合はこれら局の下に総務部や徴収部、街づくり政策部、観光部などの部があり、その下に総務課や職員課、企画課といった課があり、いずれか課に配属されることになります。

組織が大きいほど部署も大きくなり、ここでは書ききれないほどあります。ですので、全体を把握するには組織図を必ず参考にするようにしましょう。

また、特別区である千代田区の場合でも同様に組織図を見てみるとどのような部署があるか理解できます。そして同じようにいずれかの部署に配属となります(配属は係への配属となります)。

これはどの自治体であっても同じですので、仕事を知るには希望する自治体の組織図を見てみるといいでしょう。

ちなみに国家公務員の場合は、国家総合職の政治・国際、法律、経済区分と国家一般職(大卒)の行政区分、国家一般職(高卒)の事務区分の採用者が一般行政事務職に該当します。

国の官庁は財務省や経済産業省、環境省、厚生労働省というようになっており、採用がそれぞれの官庁で行われるため地方公務員と比べて専門性が高くなります(ゼネラリストではなくスペシャリストとして活躍していきます)。

そして、仕事内容も全国や世界を視野に入れた企画立案を行うため組織だけでなく仕事のスケールも大きくなります(出先機関に配属された場合などはこの限りではありませんが)。

そのため、たとえば国交省の組織図を見てみるとその組織の大きさを感じられるとともに、どのような仕事があるのかについてだいたい掴めるのではないでしょうか。

このように事務職の仕事は一言で説明できないぐらい幅広い仕事を行っているます。そのため、特に地方公務員の場合は自分のやりたい仕事につくことは難しいでしょう。
地方公務員の場合、あくまでゼネラリストとして活躍していくので、幅広い経験を積めることに楽しみややりがいを見い出すことができる人にはおすすめの職種といえます。




2.学校事務

あまり聞きなれないかもしれませんが、学校事務は「国立大学法人等職員採用試験」に合格し採用された人が国立大学等の職員として働くことをいいます。

国立大学「等」となっているのは、関東甲信越地区の場合、「国立大学法人」「独立行政法人」「国立高等専門学校機構」「大学共同利用機関法人」「特別な学校法人」の5つが採用試験により職員を採用しているので、国立大学以外にも様々な機関で働くことができるからです。

名前だけ見るとなんとも仰々しい感じがしますが、「国立大学法人」はいわゆる東大などの国立大学、「独立行政法人」は国立科学博物館や近代美術館など国営の組織、「国立高等専門学校機構」は高等専門学校のことで技術者を育てるための学校、「大学共同利用機関法人」は大学の研究機関であり、「特別な学校法人」は放送大学のことであり、 意外と身近な機関だと思ったのではないでしょうか。

一般行政事務はその自治体に住んでいる人の生活を質を向上させることを主な目的としますが、学校事務は公立学校の教育活動をサポートするため学生や教員と近いところで仕事ができます。

いずれかの組織に採用された場合、事務職であれば学生支援や総務、人事、国際交流など一般行政事務と同様、多種多様な仕事に携わることになります。

具体的な仕事内容は下表のとおりとなっており、仕事を通じて将来活躍できる人材を支援できるというのは学校事務のやりがいといえるでしょう。

【事務系の業務内容】(「関東甲信越地区国立大学法人等仕事紹介ブック2015」より)

学生支援 学生の入学から卒業までを 学業面、生活面から 支援します ・学績管理、修学指導、成績データの処理
・奨学金、授業料免除、学生の健康管理、生活指導
・就職サポート
・大学入試センター試験、個別学力試験の実施
研究推進 研究の助成、産学官連携の 推進を支援します。 ・受託研究・民間との共同研究等の外部資金受入
・知的財産の管理
・寄附講座・寄附研究部門の設置・運営
・地域研究拠点の運営・推進
国際交流 海外との学術交流・学生交流の 推進を支援します。 ・海外の大学・研究機関等との学術交流事業
・外国人研究員等の受入、教職員の海外派遣 ・留学生の受入、学生の留学
・地域社会と留学生の交流事業
総務・人事 経営企画を担い、 組織をマネジメントする 役割を担います。 ・教授会・評議会・入学式・卒業式等の運営
・規則の制定・改廃
・広報、情報公開関係
・組織改編、大学評価
・地域貢献活動(公開講座、出前授業等)の企画・実施
・職員の採用・昇任・異動・給与・研修・福利厚生
財務 組織運営に必要な財務上の 計画や管理を行います。 ・組織運営に必要な予算の要求・執行
・各種物品の契約・購入・管理
・授業料・検定料・入学金等の収入金の出納
医療支援 組織運営に必要な財務上の 計画や管理を行います。 ・外来患者の受付、入退院の手続、医療情報の管理
・診察・入院料金の計算・収納
・地域連携医療、災害医療支援、病院再開発計画の策定
・病院経営にかかる情報の収集・分析
情報システムサービス 組織運営に必要な財務上の 計画や管理を行います。 ・ネットワーク・システムの管理・運営
・情報化講習会の企画・実施
・電子計算機利用の知識・技術の普及



3.警察事務

まず知っておきたいことは、警察事務は警察官ではありません。

警察事務はあくまで事務職であり、都道府県警察で採用され東京都の警視庁や各道府県警察の本部そして警察署において警察業務全体をサポートし、警察組織を円滑に機能させる役割を担っています。

主な業務として、警察業務全般のシステム管理や運転免許証に関する事務、給与に関する業務、備品・施設の管理、会計といった事務業務に加え、警察活動の広報、交通に関する統計、警察の将来像の検討、快適な職場づくりなど幅広い業務を行います。

これらは一般行政事務や学校事務と同じように、警察事務も業務をスムーズに運営させるという目的ではそれほど変わらないかもしれません

 

しかし、警察事務は警察官と連携して、犯罪や事故を減らすためにはどのようにするか検討する、といったこともしていきます。

たとえば、ある地域で犯罪が多く発生している場合、警察官を多く配置するか、また警察署を新設するか、夜道に街灯を増やすか、といった企画・立案をします。しかしそうした場合、当然お金がかかってしまうため、予算を確保するために財政当局へ要求をしなければなりません。

このように、警察事務は「住民の安全・安心を守る仕事」として活躍するというやりがいがあります。

なお、国家公務員の警察事務職員は、国家一般職(大卒)行政、国家一般職(高卒)事務から採用され、管区警察局、警察情報通信部、警察大学校、科学警察研究所などに配属されます(下図参考)。

警察局

都道府県警察を統括する国の機関として「警察庁」があり、その下に地方ごとに各管区警察局が設置されています。

仕事としては都道府県警察での採用と同様に人事、給与、福利厚生及び会計事 務等の業務を担当し、現場で活躍する警察職員を側面から支援します。




4.まとめ

事務職の仕事はとても幅広いと感じたのではないでしょうか。

実際の仕事はここでは書ききれないほど様々で複雑です。ですが、ホームページから組織図を見たり、パンフレットを見ることでどのような仕事をしているのかをなんとなく把握することができますので、これから公務員を目指す人は仕事についてよく調べ、どのような仕事があり、何をやりたいのかを明確にしていきましょう。

精神保健福祉士として公務員になる前に知っておくべき基本情報

精神保健福祉士は民間の精神科病院や作業所などの障害者施設で働くのが一般的ですが、公務員の応募もあります。
しかし、精神保健福祉士の公務員に関する情報はとても少なく、困っている人も多いのではないでしょうか。

ここでは、そうした情報の少ない精神保健福祉士の公務員について、どのような仕事をし、どういう試験があり、また給料はどうなのかについて詳しく説明していますので、少しでも精神保健福祉士として公務員を検討している人は参考にしてみてください。

1.精神保健福祉士が公務員として活躍できる場所

精神保健福祉士は社会福祉士と同様にソーシャルワーク業務(主に患者さんのお金や福祉制度についての相談に乗る仕事)を行う専門職です。
社会福祉士が老人・児童・障害者など幅広い支援対象があるのに対し、精神保健福祉士は精神障害者の支援に特化しているのが大きな違いとなります。

精神保健福祉士が公務員となった場合、以下の施設での勤務が想定されます。

1−1.保健所・精神保健福祉センター

保健所・精神保健福祉センターでの勤務は都道府県で精神保健福祉士の採用募集があった場合に配属される可能性があります。

保健所で働く場合の主な仕事は、住民からの精神保健福祉相談、地域で医療に結び付いていない精神障害の方に医療に繋げる支援、保健所主催のデイケア運営などがあり、地域の方に密着して業務を行います。

また、行政の立場として、病院関係者・施設関係者などと支援に関する会議などに出席することも多いです。
1つの地域を数人でカバーすることになるため、1人当たりの持ちケースが多く、激務となるケースが多いです。

また、精神保健福祉センターはその都道府県単位で設けられている施設であり精神関係の中核的な施設です。

こちらは現場で直接支援に関わることは少なく、どちらかと言えば精神関係の制度についての事務作業、地域の保健所・病院・施設などからの問い合わせ、困難ケース(支援が難しい障害者)への助言などが主な仕事となり、後方的な支援がメインとなります。

精神保健福祉センターの仕事も採用された自治体内全域からの相談に対応しなければならず、かなり激務となります。

保健所とセンターの役割は都道府県によって若干異なりますが、大まかに分ければ保健所が現場、センターが事務・後方支援と考えてよいでしょう。

1−2.病院・障害者施設

市や県が精神科のある病院や障害者施設を持っている場合、それらの施設に配属される可能性があります。

こちらは基本的に民間の病院・施設と大きな業務の違いはありません。
病院であれば患者さんや家族への相談対応、入院患者の退院支援、病院内でのデイケアなどのプログラム運営、他機関との連絡調整などが主な仕事となります。
施設であれば利用者さんや家族への相談対応、作業やプログラムなどの運営、就労支援、生活支援・他機関との連絡調整などが主な仕事となります。

ただ、公的な病院(施設)ということで、民間では採算の取れない困難ケースが押しつけられることが多く、支援は民間以上に難しい場合があります。
また、地域の勉強会などを主催するなど、地域のリーダー的役割も持つことが多くなります。

1−3.市役所や区役所といった地方自治体の庁舎

市役所や区役所といった役所内の福祉関係の部署で働く場合もあります。
保健所と同じように住民からの精神保健福祉相談、地域の精神障害者への支援などを行いますが、こちらは精神障害者への支援に限定していない場合もあります。
また、役所内の他の一般職員と同じ業務となるので、窓口での障害者手帳交付といった事務作業などもあります。

1−4.保護観察所

保護観察所は上記で紹介したものと違い国家公務員となり、「社会復帰調整官」として活躍します。これは精神障害者で犯罪を犯した人の社会復帰を支援するという仕事で非常にやりがいのある仕事です。

ただし、実務経験8年以上という、かなり高度な経験・知識が必要となります。また、毎年採用があるわけでなく、人が抜けた場合などに補充されるようです。
高度な経験を求める上に採用人数も少ないため、採用されるのはかなり難しいかと思いますが気になる方は法務省の募集ページをご覧ください。

 

【精神保健福祉士の募集について】

このように精神保健福祉士が公務員として活躍する場所は多数あります。しかし、通常の行政職の公務員のように募集が少なかったり、募集しているタイミングも自治体によって様々です。
そのため、常に募集についてはアンテナを張り、自分の希望する自治体が募集しているかをチェックしておく必要があります。

こむいんというサイトでは行政職のみだけでなく精神保健福祉士のような専門職についても全国の募集情報が掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

2.給与は民間よりも良いことが多い

一般的に精神保健福祉士の給料は安く、ほとんど昇給がありません。そのため、昇給があり安定した公務員を目指す方も多いのが現実です。

精神保健福祉士は自治体の多くが業務経験者を募集しており、募集要項にそのように書いていない場合でも試験では実務経験者が優遇されることが多くなっております。

したがって、採用された段階で一般的な新卒で働いた人よりも最初から給与が高い傾向にあります。ちなみに公務員の給与は棒給表というもので決まっており、新卒よりも高いランクでのスタートすることが多いでしょう(公務員の給与の詳細については公務員の給与や年収について知っておきたい基礎知識まとめをご覧ください。ちなみに精神保健福祉士は行政職扱いとなります)。

例としてあげると、実務経験2年で入庁した場合、2級15号からのスタートとなります(当然、自治体や採用年度によって異なります)。そうすると最初の基本給はおよそ21万円となります。

その他に住居手当、地域手当、通勤手当などの各種手当がついた場合、地域によりますがおおよそ額面26〜7万くらいが1カ月の給与となります。
これにボーナス(夏・冬で約4カ月)を加えた場合、年収はおよそ400万円くらいとなります。

もちろんこれは実務経験の年数や勤務地などによって大きく異なりますが、精神保健福祉士の民間の求人を見てもらえば分かりますが、精神保健福祉士の給与としては結構良い方だと言えます。

公務員は年功序列であるため、継続して働けば昇給もあるため、給与面においてはかなり恵まれています。

結婚し子どもができて、となると民間で働く精神保健福祉士の給料ではなかなか生活が厳しいのが現実です。そういった場合、公務員への転職も1つの選択肢として考えても良いかもしれません。

3.精神保険福祉士の公務員試験について

精神保健福祉士含め、どの公務員試験も試験内容は受験する自治体によってかなり異なります。そのため、ここではいくつかの自治体に共通する特徴を紹介していきます。

3−1.実務経験者が優遇される

先にも書きましたが、多くの自治体では即戦力となる人材が求められており、これは一般的な事務職や行政職とは大きく異なるところです。

そのため、募集要項に「実務経験○年以上」という制約が付けられていることが多いです。
大体2年~5年くらいの経験者を募集するのが一般的でしょうか。履歴書と同時に職務経歴書の提出を求められることもあります。

たまに実務経験の制約がない募集もありますが、応募してくる人は経験者が多いため、実務経験がない方が合格するためには、経験者に比べ優れた何かがないと合格は難しいと言えるでしょう。

一方で経験年数が問われるため、一般の公務員の募集に比べて年齢制限は緩いです。事務職が30歳までのところが、精神保健福祉士であれば35歳まで40歳までOKというところも少なくありません。

このように、精神保険福祉士があるからといって公務員になれるというわけではなく、数年は民間の施設などで経験を積み、経験者として公務員を受験することが望ましいでしょう。もちろん、実務経験を問わない自治体へ応募すれば採用される可能性は全くないわけではないので挑戦するのもありだと思います。

3−2.筆記試験は行政職の試験に比べて簡単である

筆記試験についても自治体によって形式は様々です。
一般的な公務員試験と同じく教養試験と専門試験が課されるところもあれば、教養試験のみ、教養試験に加えてその自治体オリジナルの論述試験が課される場合もあります。

ただ、全ての自治体で共通して言えるのは行政職などの一般的な公務員試験に比べかなり簡単だということです。

例えば都道府県の職員であれば地方上級試験を受けるのが一般的ですが、精神保健福祉士の試験の場合は地方初級レベルの問題が出されたりすることもあります。

行政職と同じ地方上級レベルの問題を出す自治体もありますが、そうした場合、行政職に比べかなりボーダーラインは低く設定されています。
論述試験の場合は、知識を問う問題はほとんどなく、ある障害者のケースを想定してどのような支援が必要か、というような問題のため、とりわけ特別な勉強の必要はありません。

このようなことから、半年くらいしっかり勉強すれば、筆記試験は合格できることがほとんどだと思います。
ライバルとなる他の受験者も現在の仕事しながら受験する人が多いため、それほど勉強せずに受験している人が多く「あわよくば受かりたい」という感じなので、それほどレベルは高くありません。

真剣に半年ほど勉強できる時間があれば、問題なく筆記試験は突破できるでしょう。
参考書は行政職向けの参考書を使えば充分合格レベルに達することができます。

3−3.面接試験は難関であるためしっかりとした対策が必要

精神保健福祉士の募集は多くの自治体が抜けた穴を補充する程度なので、1人のみの採用など、ごく少数の募集となっています。
そのため筆記試験を上手くパスしたとしても、10人近く残っている場合もあり、面接試験で落とされる人も多いため全く安心はできません。

面接試験は多くの自治体で個人面接となります。聞かれることは一般的な志望動機や自己PRの他、これまでしてきた仕事についての説明や専門的な障害者支援の考え方を問われることもあります。

中でも面接試験で必ず聞かれるのは「どうして公務員でないとダメなのか?」ということです。
特に病院や施設の募集の場合、民間とほぼ同じ業務内容となるため、かなり難しい質問ですよね。
「公務員になってこういう仕事がしたい」という、公務員だけができる仕事の特徴を考えて上手くアピールする必要があります。
自分の今までやってきた仕事と連動させて、「これまでの経験を~で活用したい」みたいなのもいいかもしれませんね。

3−4.適正試験がある自治体もある

自治体によっては適正検査があるところもあります。
適正検査とは、面接では把握できない考え方や性格の傾向、適応不適応の傾向を表すものであり主に以下のような形式で出題されます。

クレペリン検査(2つの数字を足し算していくテスト)、バウムテスト(木の絵を描くテスト)、ロールシャッハテスト(インクの染みを見て何に見えるか答えるテスト)などが出題されますが、これらは特に事前対策は必要ありませんので、正直かつ正確に答えるようにしましょう。

4.まとめ

精神保健福祉士にとって、公務員になることは給与面で優遇されていたり、民間ではできない仕事ができるというメリットがあります。

ただ一方で、仕事は決して楽ではありません。
病院や施設以上に少人数で多くのケースを抱えるため、上手く他機関との連携を取って仕事を割り振れないと、すぐに自分のキャパを越えた仕事を抱えることになってしまいます。そのため自分の仕事も上手くマネジメントしていく能力が求められます。

「公務員の仕事ってどんな感じだろう?」と少しでも興味を持った人は、まずは非常勤募集に応募してみるのも1つの手です。
この場合は、仕事が体験できるだけでなく、近隣の公務員応募の情報も入ってきやすい、コネができる(試験で有利になるかどうかは別として、入った後の仕事がやりやすくなる)といった特典もあるので、公務員を目指す人にはおすすめです。
また、公務員試験に必要な経験年数にも加算されるというメリットもあります。

精神保健福祉士として公務員試験に合格するためには面接が合格の鍵となるので、公務員を目指すのであれば「なぜ公務員がいいのか」をよく考えて受験するようにしましょう。

裁判所事務官・書記官の仕事について知っておきたいこと

裁判所というと裁判官しかイメージできない人も多いと思いますが、実際に裁判所を動かしているのは裁判所事務官・書記官になります。

特に裁判所書記官の仕事は専門性が非常に高く、知れば知るほど魅力的なものです。

ここでは、裁判所事務官と書記官の仕事について具体的にまとめてみたので裁判所事務官を目指している人は参考にしてみてください。

1 仕事からみる裁判所の組織

裁判所の組織は、大きく「裁判部門」と「司法行政部門」に分けられます。

1−1 裁判部門

裁判部門の各部署(事件部)には裁判官・裁判所書記官・裁判所事務官が配置され、裁判の審理・手続に携わります。
※家庭裁判所には、家庭裁判所調査官がさらに配置されます。

■地方裁判所の組織の一例
民事部
−通常部
−特殊部(破産や執行事件を処理する専門部など)
−訟廷事務室(記録の管理や、民事部職員の管理事務等)

刑事部
−通常部
−特殊部(令状の事務を行う専門部など)
−訟廷事務室(記録の管理や、刑事部職員の管理事務等)

■家庭裁判所の組織の一例
家事部
−刑事部
−訟廷事務室(記録の管理や、家事部職員の管理事務等)

少年部
−刑事部
−訟廷事務室(記録の管理や、少年部職員の管理事務等)

1−2 司法行政部門

司法行政部門には裁判所事務官が配置され、裁判事務が合理的・効率的に運用されるために、人員や設備などについての職務を行います。
なお、書記官資格をもっている事務官も管理職として多く配置されます。

■司法行政部門の組織の一例
事務局
−総務課(庶務全般、広報等)
−人事課(採用や異動、給与、研修等)
−出納課(裁判所で扱われるお金の管理等)

※裁判所の規模によって、部署の名称や分類方法が若干異なります。

2 裁判所事務官の仕事

裁判所事務官の枠で公務員受験をした場合、採用後は全員が裁判所事務官からスタートします(その後、内部試験に合格すると書記官に任官することになります)。

1で紹介したように、裁判所の仕事は裁判部門(以下、裁判部)と司法行政部門(以下、事務局)に大きく分かれ、採用後はいずれかに配属されることになります。

それでは、それぞれついて仕事の内容について説明していきますので参考にしてください。

2−1 裁判部の仕事は書記官の補助が中心

裁判部とは、民事部や刑事部、家事係・少年係(家裁)などのように、具体的に裁判事件を扱う部署になります。各部には、裁判官+書記官+事務官が配置されています(なお、家裁には家裁調査官も配置)。
裁判官は「裁判審理」のプロとして、書記官は「裁判手続」のプロとして仕事をしていきますが、その書記官の仕事を補助する仕事が事務官の主な仕事になります。

たとえば民事部では、絶えず窓口に法律事務所の職員や弁護士などが事件の書面を持参したり、郵便やFAXで送付してきます。それを確実に受付し、担当書記官に引き継ぐ仕事があります。
書類の受理以外に、裁判期日の呼び出し状や判決書の発送準備もあります。書記官の指示に従って、法律に規定される手順で適格・迅速に処理をしていくことになります。

その他、裁判所では毎月統計資料を作成しています。全国の何万件という裁判がどのように審理され結審したかなど、各部署でデータを作成し最高裁の担当部署にあげることになっています。
データは裁判所独自のシステムを使って作成しますが、それを行うのが事務官の仕事になります。システムが更新された場合は、マニュアルを読み込み理解することも必要になります。事務官になってパソコンが少し得意になるようなこともあるようです。

2−2 司法行政部門は組織の運営が中心

裁判所も、民間企業と同様に一つの大きな組織ですので、その組織を運営するための部門が必要になります。それが事務局で、各裁判所(たとえば東京地裁、東京高裁等)にそれぞれ存在します。

事務局には事務官が配置されますが、書記官の資格を持っている職員(有資格事務官)が配置されることもよくあります。特に管理職については書記官の方が多いようです。

事務局の部署には、たとえばみなさんが受験の際に真っ先にお世話になる人事課があります。人事課では、採用に関する手続、受験当日の準備等を行いますが、その他にも裁判所内の人事異動の手続、各種研修や、給与等に関する事務も人事課の各係で担当します。
東京地裁のように、職員が1000人を軽く超えるような部署ではその事務が膨大となり、年末調整や採用時期の繁忙期には、かなり残業も増えるようです。

また、裁判所も1つの組織として運営していくためにお金を扱いますが、それを担当するのが出納課といわれるところになります。出張費などはこの出納課に請求しますし、裁判所ならではとしては、たとえば保釈金などの取扱いも出納課で担当したりします。

その他いろいろな部署がありますが、たとえば最高裁判所には、最高裁判所裁判官のスケジュール等を管理する秘書官という仕事があったり(いわゆるお茶汲みではなく、とても重要な業務を扱っています)、裁判所で使うデータを開発する情報政策に関する部署などもあります。

事務局の仕事を嫌いずっと裁判部で仕事をする人もいますが、裁判部よりも事務局の仕事の方が面白いという人もいます。

裁判所は非常に組織が大きいため、適性や希望を考慮してくれるというメリットがあります。

3 裁判所書記官の仕事

ここまでは「裁判所事務官」の仕事について説明してきましたが、ここからは「裁判所書記官」の仕事について説明していきます。

裁判部では、事務官の仕事はあくまで書記官の補佐に過ぎず、固有の権限がないため雑務が多いのが現状です。したがって、事務官に採用されたら絶対に書記官を目指す方がよいですし、裁判所に入ると管理職から書記官試験を受けることを前提に話をされることも多いです。

では書記官はどのような仕事をしているのか紹介しますので参考にしてください。

3−1 裁判所書記官は訴訟手続の専門家として活躍できる

書記官は固有の権限が与えられており、その権限に基づき様々な職務を行います。具体的には、法廷立会、調書作成のほか、執行文の付与、支払督促の発布など、事件の当事者が権利を実現するために必要な文書を発行する職務を担います。
実は、裁判所は裁判官だけでは存在しえない機関であり、書記官という存在が必要になるのです。

たとえば、刑事部では保釈請求や被告人の身柄拘束といった仕事があります。これらは人権に直接関わる事務であり、迅速性だけでなく絶対的な正確性も追求される仕事になります。

また裁判員裁判を担当する刑事部の書記官は、裁判員の選任手続にも立ち会います。長期にわたる裁判員裁判の場合は裁判員自身の負担も重くなるので、できるだけ短期間に裁判ができるように裁判官と綿密に準備を行います。また裁判員に対して適切な応対をとることも、書記官の重要な仕事になります。

司法制度を正確に理解し、それを運用していく重要な役割を担っています。

民事・刑事など裁判所の種類にかかわらず、国民の人権や財産に直接関わるという点で重大な責任がある一方、やりがいを感じられる仕事といえるでしょう。

3−2 オフィスワーク中心だが常に対外的な仕事

書記官は、書記官室と法廷との往復が一般的で、いわゆるオフィスワーク中心になります。たとえば、民事1部という部署には裁判官室と書記官室という執務室がつながっており、書記官室で書記官や事務官が仕事をします。

しかし実際の仕事は、書記官室に訪れる弁護士・弁護士事務所職員・当事者への応対や説明、証書の交付、証人や通訳人との連絡、裁判員の応対など、裁判所以外の人と常に関わる仕事といえます。

また、事件によっては裁判官と現場検証に赴くことがあります。たとえば東京から沖縄への現場検証が決定されると、日帰りでの出張は厳しいため出張先で一泊することになります。

しかし近年、公務員全般にいえることですが、旅費(出張費)の請求は大変厳しくなっており、日帰りが可能なら日帰りを強いられますし、最低限の費用しか支給されないため、古き良き時代のような楽しい出張とはいえないようですので、大きな期待はしないほうが無難でしょう。

4 裁判所事務官・書記官に向いている性格(求められる力)

事務官・書記官の仕事に向いている性格(求められる力)には、以下の3つが最低限必要と考えます。

①丁寧な応対力
②組織力
③作業を正確にできる力

①丁寧な応対力

裁判所に訪れる人がやり手の弁護士ばかりならよいのですが、実際には、初めて裁判を担当する弁護士や司法修習生、法律事務所のお使いできている若手の事務員の方であったり、さらには、弁護士は絶対につけないといって自分で訴訟を進める頑固な当事者などもいます。ときどき、日本語がままならない方が裁判所で迷子になっていることもあります。廊下で突然騒ぎ出すような尋常でない人もいます。

このようないろいろな来訪者に、その都度、適切に対応できることが求められています。

決してサービス精神が旺盛であるとか、饒舌であるということは求められません。誠実に丁寧に応対できることが必要になります。社会人経験のない学生の場合は、一般的には男性よりもやや女性の方が得意にするところともいえます。したがって、応対力に自信のない男性はその点を意識して大学生活を過ごす事も大事でしょう。

②組織力

民間企業、特にベンチャー企業では個性が重視されることもしばしばですが、裁判所には限らず公務員全体にいえることでもありますが、仕事の中で個性はあまり求められません(私生活がとても個性的な方はたくさんいます。)。
自分の意見をもちながら、組織の状況に常に配慮し動いていくこと、組織の中で問題を起こさないことが必要です。

たとえば裁判部では、それぞれの膨大な数の事件を裁判官・書記官・事務官で常に恊働して扱うことになります。事務官の仕事は書記官の補助にすぎませんが、窓口を捌いてくれる事務官が1日欠席しただけで、書記官の仕事が遅れだし、ひいては裁判官にも影響することもあります。
※有給はしっかりとれますが、仕事の状況に応じて計画的にとることが一般的です。

このように、組織の一員として全員が協力して働くことが絶対に必要となっています。新しい政策ではなく、今あることを法律等に基づいて着々と進めていく仕事だと思って下さい。
もし個性を活かして新しいことをどんどん推進したいという方は、裁判所は向いていないと思います。むしろ、まちづくりなど新しい政策を次々に進める地方自治体の方が向いているでしょう。

③作業を正確にできる力

1つのミスが、国民の人権・権利を侵害してしまうことになります。

たとえば、「渡辺さん」と「渡邉さん」は全くの別人になるので、1字1句、常に注意する必要があります。
また、裁判所から当事者に裁判の書面をFAXで送付することもしばしばありますが、FAX番号の数字を1つ間違えただけで、全く違う人に裁判の書面が届き、個人情報が簡単に漏洩されてしまうのです。

このようにちょっとしたミスすら許されないのが裁判所の仕事です。職務中は、大量の書類やたくさんの電話に気が散ってしまうのが現状ですが、そんなときでも正確に仕事を処理していく力が必要となります。

もっとも、この力は仕事をする中でも身に付いていくので、必要以上に気にすることはないでしょう。

しかし、「渡辺さん」も「渡邉さん」も一緒じゃん!と思うような方は、裁判所にはあまり向いていないといえるかもしれません。

5 書記官になると転勤することもある

仕事の内容からも、事務官はあくまで書記官になるためのステップと考えるのが裁判所の立場です。事務官より、昇級ペースが早いので、給与の面でもやりがいの面でも書記官になることをお勧めします。

しかし、書記官に任官するときには転勤を伴う可能性があります。これはあくまで可能性にすぎず、事務官のときと同じ裁判所に戻ってくる場合もよくあります。

ケースバイケースとしか言えませんが、首都圏以外の県で事務官をしていた人は、少なくとも同じ道府県の裁判所に配属される傾向があるようです。

たとえば、栃木県出身の宇都宮地裁の事務官が、書記官になっ足利支部(栃木県内)に配属され、数年後、また宇都宮地裁に戻ってくるというように、県内で異動する方もよく聞きます。

東京地裁の事務官が、書記官として東京地裁に配属されることももちろんあります。

ただし、東京(霞ヶ関勤務)の事務官が書記官になるときは、年度によっては大量に地方の県に書記官として飛ばされることがありますので、その点だけは覚悟だけはしておきましょう。数年後、霞ヶ関に戻ってくることは多いようです。

裁判所事務官の転勤については知っておきたい裁判所事務官の転勤情報に詳しくまとめていますので参考にしてみてください。

6 まとめ

裁判所の仕事を少しだけでもイメージすることができたでしょうか。

裁判所では、ドラマよりも複雑な事件がたくさん扱われています。そのような事件の渦中にいる人たちを、裁判手続のプロとしてサポートしていくのは、とても魅力ある仕事といえるでしょう。

専門家としてたくさんの事件に携わって、裁判の運営を支えていってほしいと思います。

公務員の給料や年収について知っておきたい基礎知識まとめ

公務員って楽で高給取りなイメージがありますか?民間は業績によってボーナスカットは当たり前なのに公務員は年々給料は上がっていき、ボーナスも必ずもらえる、というのが世間のイメージではないかと思います。

とにかく無難にこなしていれば給料やボーナスはもらえる、まさに「安定」ですね。こうしたことから最近は民間企業よりも公務員が人気で、将来なりたい職業や結婚したい相手にも公務員が選ばれるという時代になっています。

ここではそのような公務員の給料について気になっている人に向けて、公務員の給料がどう決まるのか、本当に高給なのかなど気になるポイントを説明していきますので参考にしてください。

1.公務員の給与の決まり方

そもそも公務員の給与はどのように決定されているかご存知でしょうか?

まず、公務員は「給料」ではなく「給与」といいます。「給与」とは「給料(基本給)」と「諸手当(住宅手当や扶養手当など)」を合わせたものであり、毎月支給されるものは給料と諸手当を含めた「給与」となる、ということを前提知識として知っておきましょう。

 

さて、公務員と一括りに言っても大きく分けて「国家公務員」と「地方公務員」があります。

国の機関に勤務するのが国家公務員で、都道府県や市町村などの地方自治体に勤務するのが地方公務員ですが、それぞれどのように給料が決まり、いくらぐらいもらえるのか参考にしてみてください。

1−1.給与とは棒給と諸手当の合計額

国の機関に勤務するのが国家公務員ということが上述しましたが、一般職の国家公務員には、一般的な行政事務に従事する公務員のほかに、皇宮護衛官(警察官)、刑務官、入国警備官、外交官、税務職員、労働基準監督官、航空管制官、海上保安官などがおり、他にも特定独立行政法人の職員(国立公文書館や国立印刷局の職員など)も一般職の国家公務員とされています。

また、一般職以外に特別職の国家公務員もおり、内閣総理大臣や、国務大臣、裁判官、裁判所職員、国会職員といった人たちも国家公務員に含まれますが、ここではほとんどの人が目指すであろう一般職についてのみ触れていきます。

ちなみに、地方公務員の給与の決まり方も国家公務員に準拠したかたちになるので、以下の内容は同じように考えていただければ問題ないかと思います。

 

国家公務員は約64万人いますが約34万人が一般職であり、そのうちの約27万5千人が給与法が適用される職員です。

公務員の活動は法によって決められていますが、給与についても一般職の職員の給与に関する法律(給与法)という法律によって定められています。

そして給与法の中で「棒給」と「諸手当」が定められており、この「棒給」が基本給に相当するものであり、「棒給表」というものに従って支給されます。ややこしいですが、まとめると以下のようになります。

給与

民間でいう基本給というのが「棒給」というもので、それは「棒給表」によって決められているというのがポイントです。

棒給表は以下のような表のことで、入庁して年数が経ったり役職が上がっていくと号給が上がっていく仕組みになっています。

ちなみにこの棒給表は一般の事務職員のケースであり、税務署職員や刑務官、医師や薬剤師といった専門の職員は別の棒給表に基づき全部で17もの棒給表があります。

棒給表

 

国家一般職として入庁した場合、例えば最初は1級25号俸というように、級と号によって給料が決められ、この場合だと172,200円が棒給、つまり基本給となります。

なお、国家総合職の場合だと最初から級や号が高めに設定されており、総合職(院卒者試験)の場合は2級11号で203,600円、 総合職(大卒程度試験)だと2級1号俸で185,800円というようになります。

1級は係員、2級は主任、3〜4級は係長、5〜6級は課長補佐(本省の場合)のように、級が上がれば役職が上がる仕組みになっているので、一般職と総合職では最初から役職が違います。

そして、キャリア(総合職)とノンキャリア(一般職)はスタートから1万円以上もの差がつけられており、入庁後の出世スピードも異なることから将来的には大きく給与の差が出てくることは想像できるでしょう。

この給棒表は民間企業の給与と国家公務員の給与を調査した上で、その額で差が出ないよう調整されており、毎年見直しがされており、国家公務員の給与を改定する必要がある場合には、国会と内閣に同時に勧告を行う(人事院勧告といいます)ことで決められるのです。




1−2.諸手当について

ここまでで説明してきたのは「棒給(基本給)」で、これに諸手当がつくことで「給与」、つまりいわゆる給料の額面となります。

国家公務員は主に以下のような諸手当があり、条件を満たすことで支給されます。(人事院HPより)

【生活補助給手当】
・住居手当
・扶養手当
・通勤手当
・単身赴任手当

【地域給的手当】
・地域手当
・広域異動手当
・特地勤務手当
・寒冷地手当

【職務の特殊性に基づく手当】
・棒給の特別調整額
・管理職員特別勤務手当
・特殊勤務手当

【時間外勤務等特別の勤務に対して支給する手当】
・超過勤務手当
・休日給
・夜勤手当
・宿日直手当

【賞与等に相当する手当】
・期末手当
・勤勉手当

【その他】
・本府省業務調整手当
・初任給調整手当
・専門スタッフ職調整手当
・研究職調整手当

多くの手当がありますが、ほとんどの人が実際に支給されるのはこれらの中の一部あり、支給される割合として多いのは、通勤手当、地域手当、扶養手当であり、いずれも6割を超える職員が受給しています。

もちろん、通勤で電車賃がかかるのであれば支給されるのは当然ですし、家族がいれば扶養手当が支給されることも珍しくはないでしょう。

では、地域手当とは一体なんでしょうか?おそらくほとんどの人は聞いたこともないかと思いますが、地域手当とはその地域の民間企業の賃金水準を反映させるために物価等も踏まえつつ、主に「民間の賃金が高い地域」で働く職員に支給されるものです。

 

例えば、東京で働く場合と埼玉で働く場合では民間の給料や物価も違いますよね。それなのにどちらも同じ給料だと当然東京で働くほうが生活が厳しくなってしまうので、そうした給料や物価を踏まえて手当を支給しましょうということなのです。

上記で国家一般職の基本給は約17万と書きましたが、さすがに都内で生活するには厳しい金額かと思われるので、そのための地域手当と思ってもいいでしょう。

支給割合は地域ごとに以下のように定められています。(平成27年8月現在)

級地 主な支給地域 支給割合
1級地 東京都特別区 20/100(20%)
2級地 大阪市、横浜市 16/100(16%)
3級地 さいたま市、千葉市、名古屋市 15/100(15%)
4級地 神戸市 12/100(12%)
5級地 水戸市、大津市、京都市、奈良市、広島市、福岡市 10/100(10%)
6級地 仙台市、宇都宮市、甲府市、岐阜市、静岡市、津市、和歌山市、高松市 6/100(6%)
7級地 札幌市、前橋市、新潟市、富山市、金沢市、福井市、長野市、岡山市、徳島市、長崎市 3/100(3%)

表からも東京が最も支給割合が高く下にいくほど民間賃金や物価が低くなるため支給割合が低くなっていくことがわかります。

この地域手当は、「俸給、俸給の特別調整額、専門スタッフ職調整手当及び扶養手当の月額の合計額」に支給割合をかけて算出しますが、普通の行政職で未婚の一般職であれば単純に「棒給×支給割合」となります。

なので、新卒の未婚の人が東京の23区内で国家一般職として働いた場合、地域手当は172,200円×20%=34,440円となります。

大阪市であれば172,200円×16%=27,552円、さいたま市であれば172,200円×15%=25,830円となり、数パーセントの違いでも金額としては大きな違いになることがわかるかと思います。

 

つまり、初任給は国家一般職であれば、「棒給(基本給)172,200円(1級25号俸の場合)+地域手当34,440円=206,640円」がベースとなり、その他に交通費や住居手当、結婚していれば扶養手当がつくといった感じで、トータルで見ると民間企業の初任給とは大きく異ならないということがわかるかと思います。

ちなみに、地域手当が支給されない地域だと税金などが差し引かれると手取りが相当安くなるため、かなり節約しないと生活していくのは厳しいでしょう。

1−3.時間外手当の支給について

時間外手当というのは、残業や休日出勤など通常の勤務時間以外に働いた場合に支給されるものであり、基本的には支給されます。

数年前に「カラ残業」という言葉が流行りました。カラ残業とは、例えば6時までしか働いてないのに7時まで働いたことにしたというように、実際により多く残業をしたと見せかけて残業代を多くもらうというものであり公務員はカラ残業ばかりしているというイメージが世間に植え付けられました。

実際私が働いていたところではこんなものは聞いたことありませんし、今時そうしたものを支給しているところもないでしょう。

 

残業代は「超過勤務手当」や「時間外手当」といった名称で支給されますが、金額としては「時間給×労働時間×支給割合」として計算されます。

給料はもちろん月給で支払われるのですが、都合上時給換算し、上記の式で計算して時間外手当が支給されます。

「支給割合」とはざっくり言うと、残業であれば×1.25、休日出勤であれば×1.35というように決められています。アルバイトをしている人であれば分かるかと思いますが、夜の10時以降に仕事をすると夜勤手当がついたりしますがそれと同じように、通常の時間給よりも多くもらえるというメリットがあります。なので、残業代を稼ぐために業務時間内はダラダラと仕事をし、残業を何時間もして給料を上げるということが行われたりもしていました(現在もそうしたところはあるかもしれません)。

 

しかし、知っておいていただきたいのは、残業代というのはいくらでももらえる訳ではなく、場合によってはもらえない(サービス残業)も十分にありえるということです。

残業代というのは前年度に次年度分の予算を決める際に、「この事業をするのにこれぐらい時間がかかるのでこれぐらいの人件費がかかります。そのためこれぐらいの残業代が必要です」という数字の根拠を提示して、次年度分の残業代を財政部署から了承をもらいます。

そのため、そもそも事業を行うのに必要な業務でなければ(残業せざるを得ない業務でなければ)残業代をつけることは難しいですし、予算額を超える額を支給することもできないため本当に忙しい人(部署)は意外とサービス残業が多くなります。

 

私の場合は最初の部署ではありがたいことに残業代はもらえましたが、最初に上司から「ちゃんと仕事ができるようになってからなら残業代申請していいよ。今残業するのは仕事が遅いからだからまだ残業代は申請してはだめ」と言われました。

こうしたケースは珍しいかもしれませんが、部署や、あるいは上司によっても残業代が申請できたりできなかったりするので、適当に残業していっぱい稼ごうなどとは思わない方が賢明です。

もちろん予算前や会議直前といった本当に忙しくて残業せざるを得ないときは申請できるのが普通ですが、残業した分すべてがつくかどうかというのは各々で違ってくると思います。

世間で言われているような「残業代だけで月何十万」のようなことは通常ありえません。ごく一部のレアなケースが取り上げられているだけですので鵜呑みしないようにしてください。

 

また、休日出勤については、仕事が終わらなくて土日などの休日に出勤した場合ではなく、地域のイベントなどで出勤せざるをえない場合(観光や地域振興系部署で多い)に時間外手当としてつけられます。この場合は残業と違いきちんと手当として支給され、代休というかたちで他の平日を休みにすることができます。

ただし、本当に忙しい部署では代休すら取れずに10何連勤というブラックな状況もありえます。




1−4.給与の手取額について

ここまでで説明してきた給与については、いわゆる「額面」の金額であり「手取り」の金額ではありません。

アルバイトをしている方であればわかるかと思いますが、給料が振り込まれるのは税金が引かれた金額なのです。

公務員の給与も同じで、額面の金額から毎月「税金」と「社会保険」が引かれた額が口座に振り込まれます。社会保険について健康保険や厚生年金などのことで、労働時間の条件が定められているため、相当働いていないとアルバイトで引かれている人は少ないかと思います。

では、どれくらい税金や社会保険で引かれてしまうのでしょうか?話としては非常に細かい内容になるので、額面の金額だけ知りたい方は読み飛ばしてください。

 

さて、主に給与から天引きされるものとしては以下の内容になります。

【税金】
・所得税
・住民税

【社会保険】
・健康保険
・厚生年金(平成27年10月より共済年金より統一化)

■法人税について

所得税は累進課税、つまり課税対象である給与が高くなるにつれて税率が高くなります。ちなみに所得税の税率は以下のとおりであり、高所得ほど税率が高くなることがわかるかと思います。公務員は若手のうちは給与が安く、年収に換算すると300万前後であることが多いですが年功序列であるため、キャリアを積んでいくと当然年収が上がり天引きされる法人税の額も大きくなるということは覚えておきましょう。

課税される所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 97,500円
330万円超〜695万円以下 20% 427,500円
695万円超〜900万円以下 23% 636,000円
900万円超〜1800万円以下 33% 1,536,000円
 1800万円超  40%  2,796,000円

課税される所得額は「給与から健康保険や厚生年金を引いた額」であり、それに税率を掛けて控除額を引いたものが所得税の金額になります。

ちなみに毎月引かれる所得税の額は扶養家族の人数などにも影響されるため一概に言えませんが、新卒1年目の独身者であれば20万前後が給与額となると思いますので、その給与から健康保険や厚生年金を引いた額によって毎月の所得税の額が変わってきます。(算出方法は複雑なので正確な金額を知りたい方は給与所得の源泉徴収税額表(平成27年分)を参考にしてみてください)

表を見るとだいたい3,500円前後が所得税として引かれる額であることが推測されます。

 

■住民税

住民税は1月1日現在の住所地で、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税されるものです。

つまり、平成27年度の住民税は平成26年の所得を基準に平成27年1月1日現在に住民票のあった自治体から徴収されるもので、所得税と違い一律で所得に対し10%の税率がかかります。

この住民税のやっかいなところは、前年の収入に対してかかってくる税金なので働き始めて2年目の6月から徴収されるということでしょう。

入庁して1年目には天引きされなかった住民税が2年目から引かれるため、基本給が上がってもそれ以上に住民税が引かれるので実質的に給与が下がるというのはよくある話です。

金額としては前年の所得によるため(ボーナスなども含めるので)一概に言えませんが、1万円前後は引かれるでしょう。そのため、通常は2年目でも毎月の給与自体は1万円も昇給しないためマイナスになるケースがほとんどです。

■社会保険について

社会保険とは、「健康保険」「厚生年金」「介護保険」などのことで病気などで働けないようになったときに国から保険給付というかたちで保護してくれるものです。

例えば私たちは病院に行ったときには医療費は3割の負担だけで済んでいるかと思いますが、これは毎月健康保険料を支払っていて、残りについては国が支払ってくれているのです。

 

公務員の 場合、健康保険や厚生年金は「短期負担金」「長期負担金」といったかたちで給料から差し引かれます(自治体等によって名称が異なる可能性があります)。

金額は給与やボーナスに決められた掛金率をかけて算出されます(詳細は文部科学省の共済組合ページを参考にしてください)。

そのため給料によって金額は異なってきますが、1年目でも合計で2万円前後引かれます。

 

ちなみに、これまで民間企業は厚生年金、公務員は共済年金というものに加入しており、簡単にいうと公務員のほうが将来的に多くの年金がもらえる仕組みになっていました(「職域加算」という形で年金がプラスで支給されていました)。

しかし、そうした公務員優遇をなくそうと2015年10月より共済年金が厚生年金に一元化、つまり公務員も厚生年金に加入されるようになったのです。

ただ、保険料の掛率については当面の間は差が発生するため、公務員の掛率を段階的に上げていき、平成30年には18.300%になり統一される予定となっています。

制度の詳細は共済組合のパンフレットに詳しく掲載されているので興味がある方は参考に見てみてください。

 

なお、介護保険料は将来自分や配偶者などが介護が必要となったときに経済的負担を軽くしようと皆で負担を減らそうをいうもので40歳以上になると徴収されます。しばらくは関係のないものになりますので、詳細を知りたい方は厚生労働省の介護保険制度の概要を参考にしてください。

■その他天引きされるもの

上記のものは民間企業、公務員関わらず名称や掛率こそ違えど一般的に徴収されるものです。

他にも組合に入っていれば組合費、福利厚生のための互助会費、年金の積立金、福利厚生費など諸々の金額が引かれます。

金額としては大したものではありませんが、合計すると意外と高くなってしまうということには注意が必要です。

■これらを考慮した後の手取額について

基本給と手当の合計(給与)から上記の税金や社会保険などを引いたものが最終的な「手取額」となります。

結局いくらになるかについては、所属する組織や勤続年数によって異なりますし、上述のとおり所得税については給与が高いほど税金も高くなるので、一概にいくらとは言えません。

ただし、参考までに私が特別区職員として働いていたときの話を例に出すと、入庁1年目は基本給に加え地域手当、住居手当で約22万円でそこから諸々控除され最終的な手取りは19万円ほどでした(電車通勤の人は別途交通費が支給されます)。

1−2で地域手当についてお伝えしたとおり、東京23区で勤務した場合は地域手当が高くなる傾向になるため、1年目の手取りとしては一般的な公務員としては全国的に見れば高いほうだと思います。

そのため、勤務地によって地域手当がどれくらいかはわかるかと思いますので、若手のうちは基本給に地域手当を加算し、3〜4万円引くとだいたいの手取りがわかります




1−5.ボーナスについて

ここまでで、棒給(基本給)がどのように決まり、諸手当はどのようなものがあるかが理解できたのではないかと思います。

さらに公務員には民間と同じくボーナスが支給され、正確には「期末手当」と「勤勉手当」の合計をいいます。

支給日は民間とほぼ同じで夏が6月末、冬が12月中旬ごろです。それぞれ6月1日と12月1日に在職する職員に対し支給され、なぜか公務員の支給額についてはよくニュースなどで取り上げられます。

ちなみに、平成27年(2015年)の夏のボーナスは、管理職を除く一般行政職(平均36・7歳)の平均支給額は約61万9900円で、昨夏より約3万3200円増え3年連続のプラスとなり、支給月数は1.945カ月と報道され、高すぎると叩かれていました。

参考までに平成15年から27年までのボーナスの支給月数の推移は以下のようになっています(管理職を除く一般職公務員の平均支給額です)。(出典:人事局による報道資料

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平成25年度まで下がり続け、26年度から上昇しているのが読み取れるかと思います。高い高いと叩かれている公務員のボーナスも、実は下がり続けていて、最近ようやく引き上げられているということに注目してもらえればと思います。

ボーナスも原則は民間企業との格差がないように決められているため、アベノミクスにより民間の景気が良くなったことを背景に支給額も引き上げるよう勧告されました。

 

そもそも、公務員のボーナスはどのように決まるのでしょうか?前述のとおり公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」の合計です。

人事院の資料によると「期末手当」は以下のような式で算出されます。

(俸給+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額+管理職加算額 }× (期別支給割合)×(在職期間別割合)

支給割合は、一般職員の場合、夏のボーナスは122.5/100(×1.225)、冬のボーナスは137.5/100(×1.375)となっています(平成27年8月現在)。

 

また、「勤勉手当」は、以下のように算出されます。

{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額+管理職加算額}×(期間率)×(成績率)

 

つまり、ボーナスというのは「こうした複雑な計算をした上で「毎月の支給額に何カ月分をかけたもの」としていくら支給されるかが算出されるという背景があります。

 

この「何カ月分」というのは国家公務員の場合は人事院が民間企業の支給水準を調査して民間企業との均衡を図って決めています(人事院勧告といいますが、給与も同じです)

ちなみに、平成27年の夏の支給月数は1.945カ月と3年連続上昇とされていますが、数年前までは夏だけで2カ月以上支給されていたのが不況の影響で引き下げが続いていました。最近の景気の上昇から引き上げが勧告されていますが、一応公務員のボーナスも景気に多少影響されるということを知っておきましょう。

なお、地方公務員の給与については国家公務員に準拠するため、考え方は同じようなものだと思っておいていいでしょう。




2.公務員の年収について

これまでの話をおさらいすると、公務員が支給されるものは、毎月の「給与」(基本給と諸手当の合計)と夏と冬に期末手当と勤勉手当を加えた「ボーナス」があるということです。

これから公務員の「年収」をだいたい把握することができます。

例えば、毎月の「給与」が20万円であり、その年のボーナスの支給月数が4.04ヶ月であれば、20万円×(12ヶ月+4.04ヶ月)=約320万ぐらいと推測できます(もちろん扶養手当や住居手当、役職段階別加算額、管理職加算額など個人によって異なるものはこの試算では排除しています)。

 

国家公務員は給与については詳細に公開していませんが、年収についてはモデル年収のみの公開となっています。(平成27年8月発表の給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイントより)

国家モデル年収

左から、職務段階、年齢、家族構成等、月額、年間給与(勧告前後)、年間給与額の差となっています。

平成27年は民間との人事勧告のより給与格差をなくすため棒給の引き上げを行い、その結果月額、年収ともアップしています。

表によると、25歳(入庁3年目)で約300万円であり、30歳になっても400万円にさえ届きません(当然これは勤務地や職種によって異なってきます)。

年収は給与と同様、都市部であるほど高く地方であるほど安くなります。そのため、20代のうちは年収が200万円代ということはざらにあります。

 

よく公務員の平均年収は600万円ぐらいであると言われマスコミに叩かれていますが、これは勤続20年以上のベテラン公務員でないとなり得ない額であり、公務員は高給だと思っている人はこの点に注意する必要があります。

 

ちなみに地方公務員は都道府県や市区町村によって異なるため一概にいくらということができません。

前述のとおり、都市部ほど高くなる傾向にあるため最も年収が高いのは東京都です。平均年収が700万円を超えているとも言われていますが、地域手当の額や勤続年数(だいたいどこも40歳以上です)、管理職の数などを考慮した平均なので、自分は東京都で働けば将来は700万をもらえるとは考えないほうがいいでしょう。

平均的には国家公務員と同様、40歳を超えたぐらいから年収が600万円を超えてきます。若手のうちは薄給だけれど、辛抱すれば報われるという年功序列の制度が如実に表れていますね。

 

■民間企業との年収比較

よく民間企業の平均年収が400万円で公務員が600万を超えているということがメディアで取り上げられていますが、これについても単純に公務員は高給だと考えてはいけません。

国税庁の調査では、民間企業の平均年収は正規や非正規社員、パートアルバイトも含め、かつ従業員の規模が10人未満という非常に小さい会社や個人商店まで含めているのです。

これに対し公務員の給与は、人事院により、役職や勤務地域、学歴、年齢階層別の国家公務員の平均給与と、これと条件を同じくする50人以上の事業所で働く人を対象に、従業員別の調査を行い、民間の平均給与を算出し、両者の水準を比較し、差がないように調整するため、そもそも比較する母集団の質が違うのです。

ですので、数字だけ見て「民間が年収が低い、公務員は高い」などということは公務員を目指す方は絶対に思わないでください。

 

もちろん公務員の年収は決して悪くはないですが、民間企業のように景気が良くても(業績が良くても)一気に上がることはありません。逆に景気が悪いときの減給がそれほどでもないので長い目で見ればそれほど関係ないでしょう(景気が悪くなると公務員が叩かれるのはこれが原因でしょう)。

大企業に比べれば公務員の年収は決していいとは言えませんし、30代や40代で年収1000万円など公務員では不可能です。ですが、よく安定しているからいいなどと言われます。

しかし、今後さらに世間の目は厳しくなり、必要のない経費はどんどん削減されていくことは予想されるため、もしかしたら40代になっても年収が600万円まで上がらない可能性は十分にあります。

3.まとめ

公務員の給与について理解できましたでしょうか。とても複雑でわかりにくいと思ったのではないかと思います。

最初は地方だと手取りで20万円ももらうことができませんし、都市部であってもとにかく若い間は薄給です。

年功序列なので昇級すれば高給になるとも言われていますが、これからますます人件費等の削減の方向に動いていくであろうため給与が減っていくことは容易に想像できます。給料がいいから、安定しているからという理由で公務員を目指す時代ではないということです。

ぜひとも国民や住民に貢献したいという純粋な気持ちを持って公務員を目指していくことが将来の公務員のあるべき未来なのではと感じていますので、そのようなマインドを持った方がぜひ公務員を目指していくことを願っております。

役所に入庁したらどこの部署に配属されるのか

無事に公務員として採用されたらどこに配属されるかというのは気になるところかと思います。

配属先は入庁日である4月1日までは分かりません。当日に発令式があり、そのときに○○課○○係に配属という辞令が出ます。この瞬間は本当に緊張しますが、私はとりあえずケースワーカーにはならないようにと強く祈っていました(結果としてそれは避けられたのはよかったです)。

基本的には面接でどういう仕事をしたいかという希望は伝えるのですが、残念ながらあまり希望は通らないです。

私の同期のうち3分の1ぐらいケースワーカーとして配属されていましたが、少しでも福祉関係の仕事がしたいとケースワーカーにされる可能性が高いみたいです(笑)。

というのも、ケースワーカーという仕事は生活保護受給者(希望者含む)との対応になるわけですが、精神病やシングルマザー、ヤ○ザな人などなかなか普段関わることのない人たちが窓口に来ますが、暴言は日常茶飯事で場合によっては暴力を受けたり孤独死に遭遇したりとなかなかスリリングな仕事となっているので嫌がる人が多いわけです。そして人が足りないから新人からケースワーカーを配属させるということになるわけです。

社会人経験もないのにケースワーカーをさせるというのも理解しがたいですが(自分より明らかに年下に生活が困窮していると相談するわけですよ?)、人で不足なのでどうしようもないという感じです。ハマる人はハマって何年もいるようですが、中には耐えきれず1年で異動申請をする人もいます。まぁこれほど合う合わないがはっきりする仕事はないかもしれませんね。

ケースワーカーについてばかり書いてしまいましたが、区のホームページで組織案内を見てもらえればわかりますがかなりの数の部署があるので、そのどこかに配属されるわけですが、その人の能力を判断して配属されるらしいので希望通りの配属にならなかったとしてもあまり落ち込む必要はないでしょう。

どこに配属されようが3〜4年で異動になるので気にする必要なし

福祉関係でもケースワーカー以外に保険や年金に関する部署、高齢者や障がい者の相談や支援をする部署、福祉施設に関する部署など多岐にわたります。そしてその中で係ごとに分かれ、係が違えば(原則)仕事内容も違いますので本当に仕事の種類はいくらでもあるわけです。

どこに配属されるにせよ通常は3~4年ぐらいで異動となり、事務職の場合は専門職ではないため様々な部署を転々とし、いろんな経験することでいわゆるゼネラリストとなります。

最初はケースワーカーに配属されたとしても次に教育関係の部署に異動、次は税金関係の部署ということは普通にあります。ときには出先機関や図書館など本当に様々です。

ですので、役所に入って「○○の仕事がしたい!」と意気込んでも数年で異動となってしまうので、自分のやりたい仕事をやり続けるというのはなかなか難しいのです(たまーにずっと同じような部署をグルグル回ったりする人もいますが、それは少数派です)。

もはや異動を繰り返すと自分は何がしたいのか分からなくなってきますが、それは入庁後の話で、とりあえずは面接では何がやりたいのかというのは必ず聞かれることになりますし、公務員を目指すにはこれをやりたいというのはあると思いますので、どういう仕事があるのかは明確にしておいてください。(仕事内容については志望する区のホームページを見てみてください。)

ちなみに公務員だと「まちづくり」をしたい、という人は多くいるんですが、バリアフリーのために道路や建物を作るというハード面だけでなく、例えばその地の伝統や文化を活かして地域活性をするのもまちづくりなのです。さらに、最近ではスマートコミュニティという言葉が流行ってますが、ITを使ったコンパクトシティの導入といったものも進められています。

このようにどういう仕事ができるかというのは思っている以上に広く多岐にわたるので、イメージだけで何をするかを決めないで、知り合いで公務員の人がいれば聞いてみたり、いろいろ調べるなりしておいたほうがいいでしょう。「それはうちの区ではできないよ?」なんて言われたらどうしようもありませんからね。

公務員の仕事は楽だと思っている人が知っておくべきこと

公務員を目指してる皆さんは親や友達から「公務員ってやっぱり9時5時でいいよね」と言われることが多いかもしれません。私も受験時代そして入庁後も言われていたのですが、そんな妄想は実際に働きだすとあっさりと打ち砕かれることになりました。

公務員のイメージといえば窓口業務で毎日同じことを繰り返し、時計を見ながらお茶をすすり定時に帰宅、みたいな印象を持っている人も少なからずいるかと思います。特に親の世代なんかはそうで、「公務員は楽でいいわね〜」なんて何度言われたことか。

 

しかし、そんな甘い幻想(妄想?)を抱いて入庁してしまうと、「あれ、公務員って結構大変じゃね?」と感じることかと思います。

たしかに毎日ルーティーンをこなし定時に帰宅できる部署もあることはありますが、そうした部署は少数ではないでしょうか。

特に窓口業務の部署は受付の時間が決まっているのでこのケースが比較的多いのですが、早く帰れることだけ見れば楽かもしれませんが、それ以外が結構大変なので、総じて楽と言えるかどうかはその人次第かと思います。

 

なぜなら、確かに定時に帰ることができるかもしれませんが、窓口の部署というのはもちろん人がたくさん来ますから常に窓口対応に追われ、なおかつ電話での問い合わせも多いので業務中はかなり忙しいわけです。

田舎なら暇かもしれませんが、特別区なんて人口が相当いますからいくらでも人が来るわけです。そして、その人の希望に添えないと何かと「税金泥棒!」と言うようなクレーマーみたいな人の相手もいるわけです。これは経験を積めば慣れるかもしれませんがやっぱり窓口で話の通じない人に大声で怒鳴られるのは精神的にきついものがあります。

 

公務員というのは法律や条例に基づき「公平」かつ「公正」に仕事をしなければなりません。

例えば、「今回はじゃあしょうがないですねー」とか「あなただけ特別ですよ♪」みたいな対応はできないのです。

あくまで法律に基づき、その規定を満たしていればオッケー、満たしていなければダメ、そんな世界です。なので公務員は融通が利かないとか杓子定規だとか言われてしまうんですよね。

でもこれは皆に平等に対応しなければいけないからであって、特別扱いしてしまうと後で「あのときやってくれたじゃないか!」ということにもなりかねないので、いくらクレームを言われても何とか理解してもらうしかないというのが現状です(場合によっては議員に言う輩もいますが、そうなると厄介です)。

 

「何とかしてあげたい」という気持ちと「でも法律が・・・」という気持ちの板挟みになることはよくあります。特に若手のうちはやる気に満ちあふれているので、こうした理不尽さを感じることも少なくないでしょう(ある程度経験を積んでいくと良くも悪くも公務員らしくなりこうしたことは思わないようになるみたいですが)。

住民からは罵られ、上司からは「そこまで考える必要などない」とか言われ、真面目な職員なんかは鬱病になってしまい、そのまま退職してしまったり、しばらく休みに入ってしまう人が結構います。なので公務員は正義感が溢れる人や生真面目すぎる人にはつらい職場だといえます。

皆真面目そうに見えますが、こうした現状もあるのである程度適当にやらないとやっていけない世界なんです。

大変だけどそれ以上に恵まれているので辞めない人がほとんど

窓口業務でなくても何をするにも上司にお伺いを立てなければならないので、こうしたい!と思ってもなかなか通らないことが多いのも事実です。民間だったらそれでいいけど役所の立場上こうするべき、と言われるのは良くあることです。

 

なので、民間はきつそう(公務員は楽そう)みたいな動機で目指してしまうと、実際働きだすとギャップで精神的にきつくなってきます。まぁ楽な部署があるのも事実ですが、これから人員削減が進んでいくとどうなるかわからないです。

ネガティブなことばかり書いてしまいましたが、それ以上にいい部分があるので離職者もあまりいないわけなんですが、やっぱり民間企業みたいに売上や利益を常に求められるということはないので、何を言われようが住民に罵倒されようがとにかく目の前のことをこなしていけばいいわけですからその点は楽といえば楽かもしれません。頭を使う仕事はもちろん山ほどありますがクリエイティブさは求められませんので安心してください。

 

そして精神的にきつければ休職もできますし、異動も申請できます(もちろん上司との相談の上であり、部署によっては申請しづらいところもあります)。

嫌な仕事ばかりでもないですし、人間関係に恵まれると大変な仕事でもなんとかなることがほとんどです。大変な部署ほど団結力が強くみんなで頑張ろうみたいな雰囲気がありましたね。住民相手は大変だけど大多数はまともな人なので楽しんでやっている人も多いのも事実です。また、大きな施策などに携われるような仕事につければそれはやはりやりがいにつながります。

 

そして福利厚生についての記事でも書いてますが、やっぱり公務員ですので給料以外の恩恵は大きく、仕事は仕事と割り切れるのであればやはりいいなと思います。公務員への風当たりが厳しくなっていて今後どうなるかわかりませんが、なくなることはないでしょうし、大多数の民間企業よりも恵まれているのは間違いないと思います。

公務員志望者は読んではいけません!というほど公務員の実態について書かれている本です。公務員の制度の仕組みを知りたい人や公務員に幻想を抱いている方にはぜひ目を通してほしい一冊です。

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公務員の観光部署の仕事について

公務員を目指す人の中には、観光関係の部署で地域を活性化したい!と思っている人も多いかと思います。

観光対策に取り組むことで、その街に来訪者が集まり賑わいが創出されるため、最近では特に外国人を観光地に呼び込もうと躍起になっている自治体も多く、注目を浴びている部署でもあります。

人が集まればお金を落としてくれるので、地域の企業が潤うので経済的な面から見ても観光対策は今や重要な課題です。

 

自治体によって観光課や観光振興課、観光企画課など呼び方は様々ですが、いずれもいかにその地域に観光客を呼び満足してもらえるか、ということを考えているとイメージしてもらえればいいでしょう。

 

観光というと華やかなイメージがあるため、役所の中でも人気が高い部署の一つです。

おそらく観光対策と聞くと、観光地のパンフレットを作ってイベントの時に模擬店を出したりゆるキャラを呼んで盛り上げていく、みたいな印象が強いかと思います。

他にも花火大会や国際交流など、地味な役所生活に華をもたらす、いかにも楽しそうなイメージがあるのが観光課です。

 

このようなイベントのときなどは役所の職員もいたりしますが、そういうのを見て仕事をしながら楽しめるなんていいな〜なんて思っている人もいるのではないでしょうか。もしそうであれば、それはほんの一部を見ているだけで苦労している部分を知らないからそう思うわけです。

皆さんの中には好きなアーティストのライブに行ったことがある人も多いかと思いますが、ライブ会場で警備や会場の設営をしている人を見て羨ましいな〜と思いますか?

中には、仕事しながらライブ見れていいじゃんと思う人もいるかもしれませんが、そのアーティストのファンでなければ全く楽しくないと思います。また、そうした人はトラブル等が起こらないよう常に神経を張っておかなければなりませんし、実際に音楽を楽しむ余裕などないはずです。

役所の仕事も同じで、一見楽しそうに見えるイベントでも準備や当日の警備、来訪者の案内などに追われ、楽しむ余裕はありません。

また、イベント時には必ず区長を始めとする部長・課長といった上層部が参加するので、気を使うばかりであり中々楽しもうという気分にならないものです。

大変だがやり遂げたときの達成感は他にはない

イベントの話ばかりになりますが、観光対策をするということは地元の人を巻き込んでいくということです。となれば当然、事前に自治会長などと話をつけていく必要がありますし、 催し物を開催するためには会場を抑え、稟議を取り、協力してもらう部署とやり取りをし、前日当日と設営をし、区長の挨拶文を考え・・・とあげればキリがないですが、このような万全の下ごしらえがあってこそイベントは成功するわけなのです。

学際の実行委員会なんかよりもはるかに面倒であり、責任も重大であるのがこの仕事です。

 

当たり前ですが休日出勤も多く、かと言って残業が多いので代休が取りづらく・・と役所の中では忙しい部類に入るかと思います。

 

大変ですが、やはり多くのお客さんが来てくれれば実施側としてやりがいは感じますし、常にデスクに向かって仕事をしているわけですから息抜きになったりと観光課ならではの良さもあります。

また、役所にありがちなルーティンをこなしていくという仕事でもないので、自分の考えを発言する機会も多いためやりがいはあるでしょう。バリバリやっていきたい人には向いている職場だと思います。

 

他にも観光に関する企画や計画を策定したり観光施設の整備、企業への融資や雇用の斡旋といったことまでやっており業務の幅は広いです。

なので、イメージで観光に携わりたいと決めるのではなく、自治体のホームページなどでどういったことをやっているかをよく調べることが大切です。

 

ちなみに、その自治体にゆるキャラがあれば着ぐるみを着ることがありますが、夏はめちゃくちゃ暑いので覚悟してください(笑)。では〜!

公務員って服装や髪型などに決まりはあるの?

大卒程度の公務員試験であれば、受験者の大多数は現在大学生かと思いますが、就職したら服装とか髪型とかってどうしたらいいの?と思っている人もいるかもしれません。

だいたい受験期間中は茶髪でも筆記試験に合格すれば面接に備えて黒髪に戻すのが一般的でしょう。

 

では、いざ公務員として働きだしたらどうでしょうか。

公務員っていうとお堅いイメージで、真面目に皆スーツというイメージでしょうか?

 

でも役所の窓口に行って住民票の発行をしている人たちはそんな堅苦しい格好をしている人は少ないですよね(大半は民間委託ですが)。

また、環境省では毎年夏になるとクールビズの一環でアロハシャツを着たりしていますよね。でも普段はきっちりとしたスーツを着ているかと思います。

 

つまり、公務員の服装などについては一律の決まりがあるわけではなく、職場ごとで周囲に合わせることが必要となってくるわけです。

たとえば、窓口が中心な職場ではカジュアルな格好でもいいけれでも清潔感があるようにし、政策系などあまり窓口に出ないところだと会議が多かったりするときっちりとした格好で(女性はだいたいどこもカジュアルですが)というように、臨機応変に対応してけばいいかと思います。

 

いずれにしても派手過ぎない格好であれば何かを言われることはありません。要は社会人として最低限の身だしなみをしていれば何ら問題ありません。

別に軽く髪を染めても(男性でも)、女性だったらちょっとしたネイルをしている人だっています。別に髪が目や耳にかかったりしてはダメだという決まりもなく、思ったより緩いという印象を受けるかと思います。

ただ、住民対応が多い部署であればこの辺は目立ちすぎないようにしていかねばなりませんね。苦情の原因にもなりますので。

 

 

また、建築職などの技術屋であれば現場に出ることが多いため作業着が支給されます。この作業着はっきり言ってオシャレとはほど遠いですが、実用性を考えると仕方ないのかもしれません。

作業着を着る場合は下に何を着ても問題ありません。スーツ用のワイシャツでも私服でもどうせ見えませんから特に気にする必要はないでしょう。ただ、動きやすい靴を履いてこいと言われるので、通勤用とは別にスニーカーなどを用意するといいかもしれません(職場によっては靴も支給されることもあるようなので確認してみてください)。

 

公務員の仕事は非常に多岐にわたり、仕事もそれだけ多く存在します。なのでまずは入庁し、周りがどういった格好をしているかをチェックしてみてください。

総じてどこも男性はスーツが多く、女性はカジュアルな格好をしていますが、よっぽと服装に厳しい職場でなければどちらもオフィスカジュアルで大丈夫かと思います。役所内の格好は比較的自由なので、その中で自分のおしゃれを楽しむもよし、無難な格好をするのもいいでしょう。

スーツでもブラックや紺だけでなくグレーやボーダー柄のものなど様々ですので、あまり新人ぽくない格好をしたほうがダサくはならないですね(リクルートスーツはいかにもっていう感じですので)。

 

役所は無難が多いのでおしゃれをすると目立ちますので、他の人と格好で差をつけたい人はぜひ服装などにもこだわりを持ってみてはいかがでしょうか。では〜。

国税専門官の仕事について知っておこう

国税専門官の仕事というと、ドラマなどで見聞きするマルサ(査察部)のことが中心で実際の仕事はあまり知られてないないのではないかなと思います。

 

国税専門官の仕事は大きく分けて3つに分けられます。それは法人部門、個人部門、徴収です。

この大きな3つのほかに資産部門や酒税さらには査察と分かれているのです。 そして、ほとんどの国税専門官は法人、個人、徴収の3部門に振り分けられて業務を行います。

 

法人部門

「法人部門」では、その名の通り法人つまり企業に対して適切な税務処理が行われているのかを調べます。

調べると言っても、帳簿を見せてもらって不備がないか税の払い忘れや払い過ぎがないかと言ったことを調べるのが中心です。

巨額の脱税や組織的な脱税を調べるという部門ではないため、強制的な調査はできずあくまでも帳簿上の不備などを調べるということが中心になります。 仕事上では大きな企業から小さな企業まで扱いますが、巨額のお金のやり取りを見ることができるのが面白味があるところです。

いろいろな経営者との出会いも興味深く感じるところが多い仕事になっています。

 

個人部門

「個人部門」では、個人商店や自営業、最近では内職や投資をしている人を対象に税調査をする部門です。

法人部門と異なる点は、法人か個人かという点が大きく実際の勤務ではあまり大きな差はありません。なぜ部門が分かれているかというと、税法上の処理が大きく異なるからです。

 

個人部門でもやはりいきなりの強制的な調査はできません。 個人という言葉から相続税を連想した人もいるかもしれませんが、相続税は資産課税部門が引き受けています。

とはいえ、人員の少ない税務署では兼務している人が多くいます。 個人部門では仕事というものが多岐にわたっていることを実感できるのが勉強になります。課税される側の声を一番聞くことができるのは個人部門と言っても過言ではありません。

 

徴収部門

「徴収部門」は、その名の通り税の徴収です。

税金を納めない人に対しての徴収もあれば、期限に沿った支払いをしてもらうために徴収するということもあります。 仕事としては法人や個人と比べると、難しさがないように思えますが、誰もが徴収を待ち望んでいるわけではありません。

仕事で仕方ないとはいえ難しいことを言われることもあります。仕事をしていく中で成長するという意味では最も徴収部門が成長できるともいえます。

 

仕事を続けていく上で

国税専門官という仕事は、早くからその場で自分自身が判断に迫られることもあります。研修期間もありますが、税法や簿記の勉強は定年まで続けていくことになります。

特に、税法は毎年のように改正されるもので、いくら勉強しても終わりというものがありません。 税金を扱うという特性上、簿記の素養や税法の素養があればよいですが、頑張って勉強していけば何とかなりますので必須というものではないので安心していただいても大丈夫かと思います。

 

そして国税専門官は転勤が多く、転勤の範囲が広いというのも特徴です。

例えば東京国税局に採用された場合ですと、東京国税局は東京都、神奈川県、千葉県及び山梨県の1都3県を管轄し、84の税務署と東京国税局が管轄範囲となっていますので、これらのどこに転勤となるかわかりません。

職員の転勤の状況は、それぞれ異なりますが、国税局管内の税務署であれば、どの税務署にも転勤する可能性がありますし、税務署で何年か勤務した後、東京国税局や国税庁等に転勤する場合もあります。なお、転勤のサイクルは、通常3~5年となっています。

 

また、意欲や適正によって海外での勤務も可能なためとてもチャレンジングな仕事といえますので、仕事は大変ですがそのだけ自分をが成長できるチャンスがある仕事となっています。

公務員の仕事内容や種類を知るなら組織図を見よう!

公務員の仕事は非常に多岐に渡ります。行政職にせよ技術職にせよ一体どんな仕事をしているのか気になるところかと思います。

一概に何をしている、と言えないのが公務員の仕事の特徴でもありますが、国家公務員にせよ地方公務員にせよそれぞれのホームページにはだいたい「組織図」というものがあります。
組織図とはその名の通り組織を表した図であり、その組織の全体像がわかる便利なものです。

自分の志望する省庁や自治体がどんな仕事をしているかを調べたいときは組織図はとても参考になるということを知っておいてください。

やりたいことを探すには仕事を知ることが大切

公務員試験の面接では必ず「どんな仕事がしたいのか?」ということを聞かれます。

やりたい仕事がはっきりと決まっている人であればいいですが、そうでない人も多いのではないでしょうか。

公務員を目指す人というのは、何がしたいからというより、安定してるからとかプライベートを充実させたいから、みたいな理由の人が多いのでどういう仕事をしたいかは面接対策をするときに必死になって考えるというパターンになるでしょう。

私もそうでしたが、何となく街づくりに携わりたいな〜という程度にしか思っておらず、区役所にはどんな部署があって、そこではどんな仕事をしているかなんて全く知らないまま面接に挑んでいました。

まぁ、そんなんでも受かってしまいましたが、できれば志望する自治体がどのような仕事をして、自分がどのように関われるかを知っておいたほうが面接対策もしやすいかと思いますし、モチベーションを維持するためにも、自分がその仕事をすることをイメージすることはいいことだと思います。

仕事を知るには職場のインタビューではなく組織図を見よう

自治体の採用情報を見てみると下のような先輩職員の声みたいなページがあるかと思います。特に載せていないところもあるかもしれませんが、一度志望する自治体のホームページをチェックしてみましょう。

https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kusei/saiyo/senpai/index.html (荒川区の先輩職員の声)

このようなページを見ると、「あぁ、こんな仕事があるんだ〜」と思われるでしょうが、これは何十、何百ある仕事の中の一つに過ぎません。

役所の組織というのは、最も大きな部署として「部」があり(大きな自治体だと局のところもある)、その下に「課」、そして「係」があるというのが基本であり、特に「係」は仕事内容ごとに分かれているためその数は膨大になります。

特に、福祉や都市整備関係などの部署は仕事が広範囲に及ぶため、その分組織も巨大になってきます。

ですので、どのような部署があり、どういう仕事をしているのかを知るには「組織図」を見るとよく分かります。

 

東京都の組織図が分かりやすかったので例に出しますが、見ていただけるとわかりますが、いろんな部署がありますよね。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/03jinji/pdf/soshiki/kikouzu.pdf

部署の数だけ仕事があるのです。そのためもちろん組織が大きくなるほど部署が多くなり、その分仕事の種類も多岐に渡ります。

 

また組織図以外でも計画策定のページなどを見れば、その自治体がどんなことに力を入れているかということがわかります。下は千代田区ですが、重点的に取り組む事業が一覧で分かります。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/shisaku/sogokekaku/documents/d0003482_5_1.pdf

だいたい計画というのは5年とか長いものだと20年以上といったスパンで策定するのですが、毎年どこかの部署でこうした計画を作っています。

計画の中には自治体としてプッシュしたいものや率先的に取り組んでいきたい内容が含まれているので、例えば環境関係の仕事をしたいのであれば「環境基本計画(仮)」みたいな名前で掲載されているかと思いますので、時間があるときにでもPDFのデータとかも流し読みしてみましょう。そうするとかなり具体的に仕事が分かってくると思います。

あとは実際に職場に行って窓口に置いてあるパンフレットをもらったり、情報コーナーのようなところもあるので一度足を運んでみるといいかもしれません。そこで自分が働くことをイメージするとやる気も出るというプラスαの効果もあったりするのでおすすめです。

事務系職種については知っておきたい事務系職種の仕事内容でも詳しく説明しているので、公務員の仕事について知りたい人は参考にしてみてください。