公務員の仕事

公務員は残業がない?知っておきたい理想と現実について

公務員は残業もなく定時に帰れる、なんてことをよく聞くかと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?

皆さんの周りで役所に勤めている人がいて、その人は毎日定時だから、やっぱり役所は定時で上がれていいな~と思っている人がいればそれはほんの一部を見ているに過ぎません。

 

まず、国家総合職は午前様と言われるように、朝まで仕事をして、シャワーだけ浴びに帰ってまた出勤というのが常態化しているようでして、これはあまりに極端な話なのでここでは割愛させていただきます。そしてほとんどの人はそれを知っていると思いますのであえて言うこともないでしょう。

かと言って国家公務員はよく分からないので、私の区役所での経験から書いていきたいと思います。おそらく地方公務員だと大きくは変わらないはずですので参考にしてみてください。

 

中にはプライベートを充実させたいから定時に帰れる公務員を目指すという人もいるみたいで、一般的に、「公務員=定時上がり」というイメージが浸透しているようです。

では、果たして本当に定時に帰れるかというと、配属先の部署次第としかいいようがありません。

つまり、配属先によって定時に帰れる部署と残業続きの部署に分かれるため、こればっかりは運としかいいようがないわけです。

 

役所の仕事は大きく分けると、住民対応をする窓口職場と、あまり住民と接することはなく、役所の内部の仕事をしている政策系の職場に分かれます。

窓口職場は住民課や福祉関係、税金関係など、我々一般人が役所に行って立ち寄る場所でありますが、基本的には5時に窓口を閉めるため、比較的早く帰れる傾向にあります(夜間開庁のときは別です)。

もちろん、5時以降に仕事が残っていれば残業をせざるを得ないですし、予算の時期や税金関係の部署であれば確定申告の時期は残業続きとなりますが、そうでないときは多くの職員は比較的早く帰れるかと思います。

ただ、こうした職場が楽かというと話が別で、役所の仕事ってやっぱり楽?の記事でも書きましたが、窓口職場は住民対応がメインとなるので、クレームが多く、メンタルが強くなければやっていけないというつらさがあります。

実際、こうした部署はうつ病など精神を病んでしまい休職してしまう人も多いです。

 

逆に、政策系の部署は残業が多い傾向にあります。政策系とは、自治体として行う事業や計画を策定したりする部署であり、大きな仕事ができるので花形部署のように思われますが残業が多く、毎日10時ぐらいまで残業ということもザラにあります。

こうした部署は会議が多いため資料作成に追われたり、自治体のトップとの近いところで仕事をすることも多いので、上層部の対応に時間を取られたりするので、どうしても残業が多くなってしまいます。

そして、役所のお偉方との接点が多いので神経も使い、胃が痛くなります(笑)。

 

こうして見るとそれぞれ一長一短という感じですが、とりあえず「公務員=定時上がり」という発想は捨てたほうがいいでしょう。また、自治体の規模が大きくなればなるほど予算が大きくなり、事業も大規模になってくるため忙しくなるでしょう(もちろん部署によりけりでしょうが)。

 

ですが、仕事とプライベートを両立している人は結構多いので、忙しいときは集中して仕事に没頭し、そうでないときは定時で上がるようにするなど、メリハリをつければ自分の時間も十分取ることができます。

 

ということで、公務員は残業があるのかという疑問については、「職場や自治体次第。運の要素が強い」と思っておいてくださいね。では~!

公務員の昇任は年功序列だけど実力もある程度必要?

最近の若い人はあまり昇任を望まず、ぼちぼちの仕事でぼちぼちの給料をもらえればいいと考えている人が多いみたいです。自分も役所に入ったときはそんなに昇任については考えておらず、まぁ課長ぐらいにでもなれればいいのかなー、という程度に考えていました。入庁して知りましたが、課長になるには結構なキャリアが必要だったわけです。未熟でしたね。

特別区の資料によると、「職員の昇任は、学歴などによらない能力主義に基づく公平な昇任制度になっています。採用後一定の期間を経験したあとに、各ステップごとの選考、つまり昇任へのチャンスが平等に用意されています。やる気があれば道が開ける、チャレンジする者に開かれた昇任制度です。」と書かれており、昇任の流れは以下のようになっています。

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※特別区の資料より

入庁したばかりのペーペーは主事という立場であり、トントン拍子でいくと5年経つと主任主事、さらに5年で係長、そこから課長、部長となります。部長は部のトップであり役所内の部の数しか部長はいませんからここまでなれる人はかなり優秀な人だといえます。ちなみに区長は区のトップですが、区民の選挙により選出されるので昇任ではありません。

最近は公務員も能力主義を取り入れようとか言ってますが、利益を追求しないためなかなかその判断が難しいところです。確かに仕事ができる人は公務員でもいくらでもいますが、そのような人でも各役職で数年のキャリアを積まなければ昇任試験を受けることすらできません。

 

そして、昇任も筆記試験と面接によるものであるため、逆に能力が無い人であってもこれらをクリアすると上のポストに行けるわけなのです。たまに「何でこの人が課長なの?」という人もいますが、このように試験による昇任制度であるため仕方の無い部分もあるわけです。とはいえ、能力のある人は職場の上司による評価が高いわけですから、そうした情報は人事担当に伝わっているため面接ではそうでない人に比べれば多少有利になるのかなという気がします(真偽は不明ですが)。

 

ごく稀に30代前半とかで課長になれる人もいるようですが(1人だけ見た気がします)、周りを見るとほとんどの人は40代でようやく係長、50代で課長、部長というパターンですね(これは私がいた区の話で、他区や他の公務員はどうなのかはわかりません)。

学歴やコネは関係ある?でお伝えしたとおり、特別区における昇任制度は学歴によって昇任スピードは関係ありませんし、女性だと不利だということもありません。もちろん1類と経験者採用とでは昇任のスピード(というかスタート地点)は違いますが、1類だけで見れば皆平等なのです。

昇任試験は今はとっても受かりやすくなっている

下のグラフでは、係長試験の受験率と合格率を示していますが、受験率が低下傾向であり、その分合格率が上昇傾向となっており最近では係長試験は受かりやすいとなっているわけです。

係長試験受験率
係長試験(一般)受験率

※特別区人事・厚生事務組合人事企画部調査課「昇任選考実施状況等調査結果」より作成。 スクリーンショット 2014-10-24 15.06.35

※特別区人事・厚生事務組合人事企画部調査課「昇任選考実施状況等調査結果」より作成。

課長や部長などに昇任するための管理職試験についても同様の傾向が見られ、いずれにしてもこれまでよりも昇任を目指す人が少なくなってきており、そのかわり合格しやすいという傾向が見られるので、今後はどうなるかはわかりませんが急激に受験率が上がるということは考えづらいでしょう。

もしかしたら係長以上の職員が不足してくることで、これからはさらに昇任しやすくなってくるかもしれません。

管理職(課長以上)まで昇任すると区の施策の決定に携わることができ、大きな仕事ができるようになります。マネジメントする立場になるのでやりがいはあるかと思います。そして何と言っても給料も全然違います。

 

ただやはり職責は重くなりますし、議員との関わりが出てくるのも管理職ならではです。メリットデメリットそれぞれありますので、自分が仕事を通じて何を達成したいかということが大切なのです。余談ですが、年に2〜3回ほど課長との面接があり、今度のキャリアプランについての話をすることになりますので、今から明確にしておいてもいいかもしれません。

特別区の職員になったら転勤はあるのか?

特別区の職員になりたいという人は、地元で働きたかったり、自分の好きな区で働きたいという場合がほとんどでしょう。

結婚や住宅の購入などを考えているのであれば転勤により引っ越しが伴うのかどうかというのは非常に重要なことかと思います。

 

例えば国家公務員だと全国転勤や一般職でも関東圏内での転勤がありますし、県庁とかでもその県内での異動があるため、場合によっては引っ越しを余儀なくされることがあります。

東京都も都心ばかりに目が行きがちですが、西は奥多摩や南には小笠原諸島とかもあり非常に範囲は広いわけです。思っているより都道府県って広いので自宅から通えるというのは考えない方がいいでしょう。

 

では、特別区の場合はどうかというと、そのような心配は基本的には不要です!

特別区職員として採用された場合は、基本的に採用された区役所内で定年まで働くことになります。異動で区内の出張所(住民票の発行手続きとかやってる出先機関です)や駅前の開発事務所などに配属されることはありますが、これらはあくまで役所内の部署の一部であり、数年でまた区役所に戻ることになるので心配する必要はないでしょう。

 

出先機関としてはこれら意外に図書館や福祉事務所、公園管理所などがありますが、どこも配属させられる可能性があるということは覚えておいてください。そしてこれらの施設も部署の一部なのですぐに区役所に戻ることになります(専門職の場合は出先機関をグルグル回ることも多いです)。

ずっと同じ区役所の中で仕事というと何とも息が詰まりそうなイメージですが、異動すると雰囲気もガラッと変わり、新しい職場のような空気になりますのでそれほど気にならないものです。

ただし、職員は多くても人間関係は狭いのが役所ですので、何かあったときには噂が広まる早さが半端じゃないので庁内で面倒ごとは起こさないように努めてください(笑)。

人によっては区外へ行くこともある

普通は区(役所)内をグルグル回るだけなんですが、たまに都庁や飯田橋にある区政会館に派遣として出向させられる場合があります。都庁への派遣は出世コースなどと言われていて修行がてら行かされることもあるようで相当激務のようですが、ほとんどの人は無関係と思ってもらっていいでしょう。

また、東日本大震災以降、区から被災地へ復興業務として職員を派遣しています。復興業務と言っても瓦礫の撤去とかをするわけではなく、事務職の場合でしたら仮設住宅の管理や被災者の保険に係る業務などを行うわけです。

これは希望することで派遣されることになりますので、復興支援をしたいという熱い気持ちの人はぜひ希望してみてください(採用時に行かせてくれるということはないかと思いますが)。

他には人事交流という制度があり、一定の基準を満たせば他の区に行けるよというものですが、これは区間での交流となるため、例えば新宿区で働いている人が千代田区に行きたいとなった場合、逆に千代田区から新宿区に行きたいという人がいなければ成立しません。

そして同一の職種でないとできないため、事務職の職員と建築職の職員の人事交流というのはできないわけです。

人事交流は自宅が職場から遠いから近くの区で働きたいという人が申請するのが主であると思われます。希望した区に行けなくて家から遠い、とか、結婚したけどお互いに職場が家から遠いので近くがいいとか、そんな感じです。ただ、条件が厳しいためかあまり人事交流をした人の話は聞いたことがありませんね。

とまぁ、いろんな例外を書きましたが普通であれば特別区の職員として採用された場合はほとんどの人が区内で役所人生を終えるので安心して愛する地で活躍してください。