特別区試験対策

特別区の数的処理の傾向と対策(数的推理・判断推理・資料解釈)を徹底解説!

1.はじめに

公務員試験は、過去問分析が肝要です。なぜなら、過去問の傾向から大きくズレない形で出題されるからです。

これは、特別区を受験する場合にも当てはまります。

そこで本記事では、大卒レベルの特別区教養試験で課される数的処理(判断推理・空間把握/数的推理/資料解釈)に関する出題数と傾向をお伝えします。この記事を読み、対策の方向性を定める参考にしていただければ幸いです。

2.判断推理・空間把握の傾向と対策

判断推理・空間把握の出題数は例年10題です。判断推理が6題空間把握が4題となっています。

(1)判断推理

頻出出題テーマを判断推理から申し上げます。

まず、文章条件からの推理(例えば、順序関係、対応関係など)という分野における「試合の勝敗」という単元です。直近を分析すると、令和2年度から5年連続で出題されていますのでかなり頻出です。そして、特別区の「試合の勝敗」の問題レベルは、他の大卒公務員試験種と比べると難易度が易しいことが多いので、しっかり演習をして得点源にしましょう。

次に、暗号と規則性という分野の「暗号」という単元です。これは、他の公務員試験種ではあまり頻出ではないのに対し、特別区では毎年出るといっても過言ではありません。したがって、しっかり演習することが大事なのですが、毎年出ているだけあり、様々なバリエーションで出ています。例えば、「元素周期表」や「16進法」が暗号に用いられた年度もありました。そのため、学習することは大事ですが、過去問の法則で導けないときは深入りしない判断も大事となるでしょう。

(2)空間把握

空間把握は平面図形と空間図形に分かれます。

平面図形の頻出は、まず「軌跡」という単元です。令和7年現在、実に10年以上連続で出題されています。軌跡は、苦手とする方が多いです。指導していると、捨てようとする方によく出会います。しかし、図形などを動かすときに着目すべき点が分かるようになると意外にスムーズに解けます。そのため、特別区を受験する方は必ず学習しておきましょう

次に、平面構成や平面分割の方が、折り紙・位相と経路・方位と位置といった他の単元より出題頻度が高いです。とはいえ、後者の方でも10年間で3から4回ずつは出ています。したがって、軌跡→平面構成→平面分割と進んだ後は、折り紙・位相と経路・方位と位置のうち昨年度出ていない単元はみておくと良いでしょう。

空間図形においては、「投影図」からの出題が頻出です。また、サイコロは出始めると連続して出ています(例えば、令和3~5年度は3年連続で出題)ので、昨年出ていたから勉強しないとはせずに、「展開図」という単元全体の学習をしておきましょう。その次は、「正多面体」です。なぜなら、知識で解ける問題が多いからです。

3.数的推理の傾向と対策

数的推理の出題数は例年5題です。

このうち、少なくとも1題は図形問題が出題されます。難易度は他の大卒レベルの公務員試験種と比べても易しいので必ず対策をしましょう。おさえるべきは、相似、三平方の定理、三角形・四角形・円の図形的特徴です。

残りの4題のうち半分は、方程式と不等式という分野からで、このうち特に「速さ」の単元(旅人算・流水算含む)がよく出ます。割と複雑な設定の文章を読み解いて解かねばならないのですが、関係を図などで表しながら式を立てる癖を普段の学習によって確立することで、問題が解けるようになります。しっかり準備して臨みましょう。

また、この分野では「比と割合」の単元も頻出です。速さの問題を解く上でも比と割合の考えは大事ですので、土台になると思って、しっかり学習しましょう。

「図形」→「比と割合」→「速さ」の順で学習を進めた後は、「数と式」(約数・倍数や商と余りなど)と、「場合の数・確率」あたりの学習をしておくと、珍しい問題を除いては既習となり、落ち着いて試験に臨めるでしょう。

4.資料解釈の傾向と対策

資料解釈の出題数は例年4題です。

地方上級では概ね1題、国家一般職も3題という中、特別区では資料解釈が重視されているようで4題も出ます。しかも、対策がしやすいです。つまり、特別区受験者にとって資料解釈は是非とも得意になるべき科目と言えます。

対策がしやすい理由は、出題のされ方が令和7年現在、10年以上同じだからです。具体的には、まず、数表が2題図表が2題の構成です。そして、数表も図表も、1題が実数を扱い、もう1題が増減率となっています。

ということで、資料解釈の参考書を用いて、解き方を理解した後は、過去問を10年分ほど解いておきましょう。

なお、資料解釈の参考書については、以下の記事も参考になります。

資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説

5.おわりに

本記事では、「判断推理・空間把握/数的推理/資料解釈」で構成される数的処理の傾向と対策をお伝えしました。

判断推理は、「文章条件からの推理」分野(特に勝敗を重点的に)→「暗号と規則性」(特に暗号)を学習しましょう。空間把握は、「軌跡→平面構成→平面分割」の学習は必ず行い、「折り紙・位相と経路・方位と位置」は受験年において最近出てない単元順に学習しましょう。

数的推理は、「図形」→「比と割合」→「速さ」の学習をし、その後は「数と式」「場合の数・確率」へと進みましょう。

資料解釈は、頻出分野を絞るより、解き方をおさえた上で過去問演習に励むことを推奨します。

このように、特別区には特別区の対策方法があります。本記事を踏まえて、合理的・効率的に学習をしていきましょう。なお、究進塾では、受講生一人ひとりの志願先に合わせた対策を練って個別指導しています。興味がある方は、是非お問い合わせからお願いします。

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「令和7年度 特別区に早期枠」ができます!~受験戦略はどうすべきか~

1.はじめに

大学卒業程度試験の特別区試験(以下、「春試験」といいます)は、4月下旬に一次試験として筆記試験(教養・専門・論作文)を行い、合格者には7月上旬に面接試験を二次試験で実施するのが一般的でした。しかし、来年からは、「早期枠」が実施されます。
本記事では、この「早期枠」を紹介した上で、受験戦略はどのように考えたら良いのかについてお伝えします。

2.「特別区の早期枠試験」の概要

それでは、特別区の早期枠試験の概要を説明していきます。

(1)試験スケジュール

①申し込み時期→2月前半
②一次試験→3月前半
③二次試験→4月中旬と5月前半
④最終合格発表→5月下旬
上記のようなスケジュールですので、民間企業と同時期になっているといえるでしょう。
したがって、民間企業を中心に活動をしている人にとっては、受験先の1つとして使えるかもしれませんね。

(2)試験内容

①一次試験→SPI試験
②二次試験(4月中旬)→プレゼンテーションシート作成(行政課題に関するテーマで行うようです)
③二次試験(5月前半)→作成したシートに基づくプレゼンテーション&個別面接

SPI試験ということですので、公務員試験用の特別な筆記試験は不要ということになります。また、テストセンター受験ですので、スケジュールが組みやすいといえるでしょう。

その後にはプレゼンテーションがあります。これは行政課題ですので、民間企業で出されやすいプレゼンテーマやグループディスカッションテーマとは異なるようです。つまり、公的な分野が携わる事項への興味関心を有していないといけないという意味では、民間企業の業界研究に類する準備は必要といえます。

(3)注意事項

この試験と、春試験(従来の公務員試験型の4月下旬に一次試験、7月に二次試験型)は併願が不可だということです。
つまり、「どうしても特別区で働きたい!」と考えている方にとって、受験回数が増えるわけではない点は注意しましょう。

3.「特別区の早期枠」試験との向き合い方

それでは、次に、この早期枠との向き合い方をお伝えしていきます。
結論としては、特別区の志望度が高い方は、従来の公務員試験型を受けておいた方が良いということです。理由は次の3点です。

(1)早期枠は民間志望者を振り向かせる役所側の作戦だから

1点目は、以前の記事でもご紹介しましたが、「民間筆記試験型公務員試験」は、そもそも公務員受験者数増加を目的としているからです。
受験負担が少ないのに公務員の魅力は変わらずあるわけですので、「受験をそこまで考えていなかったけど、SPIで良いなら受けてみるか」と受験対象者を拡大させられるのではないかと思って採用側はこの試験を行い、倍率上昇をねらっています。あまりに、倍率が低いと、質の低下を懸念されてしまうためですね。

「民間筆記試験型公務員試験」受験、3つの留意事項!

これに対し、特別区をはじめとした公務員になりたい方は、公務員型の学習を既にしていることでしょう。あまり対策していない試験内容、かつ倍率が上昇を狙っているだけの試験形式に応募するメリットは少ないと思います。

(2)春試験型の一次試験通過倍率はものすごく下がっているから

2点目は、特別区の一次試験通過倍率がしやすくなっている点です。以下は、特別区の一次試験受験者とその通過者、そして倍率(小数点第3位を四捨五入)です。
令和6年度(2024) 一次受験者6,868人 通過者6,323人 倍率約1.09
令和5年度(2023) 一次受験者7,668人 通過者5,955人 倍率約1.29
令和4年度(2022) 一次受験者8,417人 通過者4,246人 倍率約1.98
これが、8~10年前ですと、以下でした。
平成28年度(2016) 一次受験者11,795人 通過者3,433人 倍率約3.44
平成27年度(2015) 一次受験者 9,712人 通過者3,263人 倍率約2.98
平成26年度(2014) 一次受験者12,906人 通過者3,031人 倍率約4.26

いかがでしょうか。近年は2倍を切っており、ここ2年は限りなく1倍に近い状態です。つまり、ほぼ通過するといえるような試験になっているわけです。

したがって、最低限の一次試験突破に向け、公務員型の学習にいそしんだ方が、良い結果(=合格)が得られやすいといえるでしょう。

ちなみに、極論をいうと、この記事公開段階の2024年12月から4月下旬の5か月弱でも、きちんとした受験戦術で1日5~6時間くらいの学習時間を費やせるのであるならば、特別区の公務員試験一次突破も夢ではないといえるでしょう(気になる方は是非受講相談しにきてください)。

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(3)プレゼンテーション試験が未知数だから

3点目は、プレゼンテーション試験がどのように行われるのか未知数だからです。
シートの作成も都内会場で行うと記載があります(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/hodo/r6/documents/0912_hodo.pdf)ので、在宅で作業ができない(=調べながら行えるわけではなさそうです)はずです。

ということは、事前に、行政課題の研究が求められます。もちろん、行政課題は多岐に渡る(そのため、役所にはたくさんの部署があるわけです)ので、それなりに色々想定して学習をしておかなくてはなりません。が、そうした対策本なども未整備なのが、試験初年度です。

加えて、例えば私が受験生の場合、絵心やデザインセンスが乏しいため、シートにセンス良く(ビジュアル的に良い感じにすること)には自信が全くありません。ただ、内容だけを書く論作文が課されているわけではないということは、恐らく、その辺りも採点されるはずです。このような悩みを抱く人は多いのではないでしょうか。

したがって、対策がSPIで容易でも、二次試験の部分で負担が大きいといえます。それでしたら、過去の試験蓄積があり、傾向と対策がしやすい公務員試験型(すなわち、春試験)の方が良いと言えます。

4.おわりに

もちろん、「急に最近、公務員に興味が出てきた」、けれど「民間企業も受験するし、その関係であまり勉強に時間が取れないよ」という方にとっては朗報といえる試験形式の創設です。

あるいは、法・経済・政策系の学部に所属し、普段から大学等の講義・ゼミで政策を学んでいる人だったり、人前で話すのが得意だといった人ならば、プレゼンテーション対応はしやすく、ありがたい試験制度かもしれません。

そうした方は、SPIの対策とプレゼン練習で受けられる特別区の早期枠に向いているでしょう(ちなみに、究進塾ではSPI対策や面接・論文・プレゼンテーション対策なども対応していますので、お手伝いも可能です)。

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公務員試験

しかし、それ以外の方、特に今まで公務員試験の勉強をしてきた方は、安易に「早期枠」を目指すのは得策ではありません。公務員が本命なのであれば、倍率、負担感・併願可能性も考慮するのが望ましく、そうすると、従来型の公務員試験で臨む方が得策となる方が多いはずです。もしも、公務員試験勉強をコツコツ頑張られた方は、焦らず初志貫徹で良いのではというのが、私の見解です。
本記事を踏まえつつ、ご自身の受験計画を立てて頂ければと存じます。

【特別区経験者採用】合格を決める!面接対策~特徴・質問例・勉強法を詳しく解説

特別区経験者採用は面接が重要らしいけど、どう対策する?」
「特別区面接の特徴や質問例、効果的な勉強法等を知りたい!」
自分は面接が苦手で…、短期で受けられる講座は無いかな?」

受験生のこんな疑問にお答えする記事です。

特別区経験者採用の二次試験で実施される面接試験。

”最終合格”が決まる重要な試験なので、万全な対策で臨みたいですよね。

そこで本記事では、次のような内容をご紹介します。

✓特別区経験者採用の面接試験の特徴3選
✓特別区経験者採用の面接で聞かれた7つの質問
✓特別区経験者採用の面接に勝つ!5ステップ対策法

面接の攻略ポイントがまとめてサクッと分かる記事になっています。

勉強の合間にぜひ、読んでみてくださいね!

1.特別区経験者採用の面接試験の特徴3選

特別区経験者採用の面接は2次試験で実施されます。

この面接は特別区人事委員会が行うため、「人事委員会面接」または「人事院面接」とも呼ばれます。

この2次試験に合格すると”最終合格”となり、その後に「区面接」があります。
「区面接」はほとんどの受験生が合格します(100%ではないことには注意が必要ですが…)。

そのため、「人事委員会面接」こそ最も重要な試験といえます。

以下に、「人事委員会面接」の特徴を3つ挙げます。

【特徴1】特別区の面接は長い!(約40分間)

一般的な公務員試験の面接は20分~30分程度ですが、特別区の面接は約40分間と非常に長いです。

集団面接ではなく個別面接であり、1人の受験生に対して3人の面接官がそれぞれ質問します。

また、質問への回答に対する追加の質問や「(回答が)他にはありますか?」といった鋭い質問が多く、一人ひとりの資質がじっくりと吟味される面接です。

そのため、受験生は単なる”一問一答”のような面接準備では太刀打ちできません。

志望動機や自己PRを中心に、自信をもって「語れる」準備をしておく必要があります。

【特徴2】面接が最終合格&順位に大きく影響する

特別区経験者採用では、論文試験(1次試験)と面接(2次試験)で合否が決まります。

配点は公表されていませんが、面接時間の長さからも面接の比重が大きいと想定されます。

さらに重要なのは、受験生は”最終合格”だけでは喜べないということです。

なぜなら、

✓どの区から面接に呼ばれるか分からない(下位合格者は希望区以外から呼ばれる場合あり)
✓まれに区面接で落とされるケースがある

このような事情があるからです。

✓希望した区から面接に呼ばれるか
✓万が一、区面接に落ちても他の区面接に呼ばれるか

これらは合格順位に左右されます。

したがって、「ぜひ特別区に入庁したい!」という人は面接対策を万全にし、上位合格を目指しましょう。

【特徴3】面接の質問はある程度パターン化されている

大規模な自治体の場合、面接の質問は例年、ある程度パターン化されています

受験生が多いということは、面接官も多く必要になります。
人事課の職員だけでなく、現役管理職などの他部署の職員が面接に関わることになるんです。

面接ブースごとに質問内容が大きく違えば、試験の公平性が失われてしまいます。
そのため、面接官の手元には人事課が事前に準備した「質問例」が置かれていると考えられます。

結局、毎年の人事委員会面接では、ある程度パターン化された質問が聞かれます。
ですから、過去の受験生が面接で実際に聞かれた頻出質問には、即答できるようにしておきましょう。

2.特別区経験者採用の面接で実際に聞かれた7つの質問【準備のヒントも】

毎年多くの特別区受験生にご利用頂いているASK公務員には、特別区面接情報の蓄積があります。

ここでは、特別区経験者採用でよく聞かれる質問の一部をご紹介しましょう。

職務経歴書と矛盾なく、簡潔明快に答えられるよう練習しておいてくださいね。

【質問1】特別区の志望理由を詳しく教えてください

職務経歴書の1つ目の質問で、同じことが聞かれています。

職務経歴書と矛盾した内容を答えると大減点になるため、職務経歴書を音読してほぼ覚えてしまうのが良い対策です。

ただし、一字一句同じ言葉を読み上げるのは不自然ですね。

職務経歴書は文字制限が厳しく、書き切れていない情報があるはずです。

そこに書ききれていない情報も補足して話せるよう準備しておけば、充実した回答ができるでしょう。

【質問2】職務経験は特別区の仕事にどう活かせるか

やはり職務経歴書に記述した内容と被る質問なので、矛盾のない回答を心がけましょう。

また、特別区の仕事を取り上げる際には、あまり限定しすぎないように注意したいです。

たとえば、受験生が、

「信用金庫で地域の企業を支えてきた。この経験を生かして区では産業振興課で~」

こんな回答をすれば、面接官は、

「他の部署に配属されることもあるが大丈夫かな?」

と不安に思うかもしれませんね。

どの部署でも活躍できる人材であることを示すために、汎用的なスキル(上記の例ならたとえば「相手のニーズをよく汲み取る傾聴力」など)をアピールするとよいでしょう。

【質問3】今の仕事を続けようとは考えないんですか

面接では、現職をポジティブに語る受験生が多いはずです。

そちらの方が自身の魅力をアピールしやすいですし、ネガティブに語って「この人は現職から逃げたいのかな?」と思われるよりもずっと良いです。

ただ、面接官によってはここで、

(そんなによい仕事・職場で能力が生かされているなら、続けても良いのでは?)

と思うようです。

この質問には、たとえば、

「たしかに現職は〇〇というような魅力がある。しかし、これまでの経験を生かし特別区で~」

このように現職を上回る思いや熱意、社会貢献への意欲を伝える答え方ができるとよいでしょう。

【質問4】特別区が抱えている課題は何だと考えるか

この質問は、受験者の行政への理解度や関心の高さを見ています。

また、この質問には「課題式論文」の勉強がそのまま生かされます。

課題式論文については、下記の記事も参考になさってください。

【特別区経験者採用】サクッとわかる課題式論文の対策法

「課題式論文」の序論で、社会状況や特別区の課題への認識を書きますよね。
あの内容を、面接のやり取りの中でスラスラと伝えられるようにしておきましょう。

よく書けた課題式論文を音読しておくと、よい準備になりますよ。

【質問5】あなたの欠点をあえて挙げるなら何ですか

職務経歴書には受験者の長所にスポットが当たっています。
この質問では、職務経歴書に無い内容を聞くことで、受験者のリアルな姿を知ろうとしています。

致命的な欠点は避け、職務経歴書で打ち出した長所の「裏返し」を答えると良いでしょう。

たとえば、職務経歴書に、

✓長所は継続力
✓現職で仕事環境を粘り強く改善した

こんなエピソードを書いた人なら、

「短所は、諦めきれずこだわり過ぎてしまう場面があるところです。」

こんな回答があり得るでしょう。さらにすかさず、

「ただ職場では色々な仕事を並行していますので、それら業務に支障が出ないよう、こだわりたい場合でも自分の中で期限を決めて取り組む、という工夫をして対処するようにしています。」

このように短所を補う努力もアピールすると、良い印象で回答をまとめることができます

【質問6】特別区以外に受験している自治体はあるか

面接官は受験生が確実に入庁してくれるかどうかを気にしています。

ですから、この質問への回答内容は必ず考えておきたいです。
併願しているとしても、「特別区が第一志望です」というように明確に志望度を答えましょう。

また、「併願自治体はありません」と答える場合にも、

「なぜ他の自治体を受けないのですか?」

と聞かれることがあるので、回答を予め用意しておきましょう。

【質問7】職場では今回の受験のことを伝えましたか

受験生の多くは2次面接の時点では受験を周囲に伝えていないはずです。

ただ、先の質問と同様、面接官は確実に入庁してくれるかどうかを気にしています。

「職場には伝えていませんが、合格次第、伝えます。また現在、担当している業務マニュアルを最新のものに書き改めるなど、個人でできることから引継ぎ準備をしています。」

たとえばこんな回答で、面接官の不安を先回りして解消できるといいですね。

3.特別区経験者採用の面接に勝つ!5ステップ対策法

「面接の重要性は分かったけれど、どうやって対策すればいいのかな?」
「人前で話すのは苦手だし、何から手をつけたらいいのか分からない。」

こんな受験者も多いでしょう。

そこで、効率的に面接準備ができる「5ステップ対策法」をご紹介します。

【ステップ0/事前準備】「全体像」をおさえておく

まず、面接試験の評価項目や基本的な対策法を知っておきましょう。

電子書籍『面接対策完全ガイド』を一読するのがおすすめです(無料です!)。

【面接対策完全ガイド】無料ダウンロード

1000人以上受験生を指導してきた講師のノウハウが詰まった本書の第1,2章を読めば、面接対策の全体像をサクッとつかむことができます。

【ステップ1】「職務経歴書」を音読して覚える

面接官の手元には、あなたがエントリー時に入力した「職務経歴書」のコピーが置かれています。

ですから、職務経歴書の内容から多く質問されると思って良いでしょう。

職務経歴書はWeb提出前に画面のスクリーンショットを取っておき、面接前には何度も音読してほぼ内容を覚えてしまいましょう。

そうすることで、実際の面接で自分の言葉で話せるように準備します。

※万が一、スクリーンショットを撮らずに提出してしまった場合は、大まかでも良いので記入内容を思い出し、再現してみましょう。

【ステップ2】「想定問答集」を作って音読する

「職務経歴書」をもとに「想定問答集」を作成し、音読します。

具体的には、「職務経歴書」コピーで聞かれそうな場所に下線を引くとよいです。

そして自分でQ&A化してみるのです。

たとえば、次の「職務経歴書」下線部について、あなたが面接官ならどんなツッコミ(質問)をしたくなるでしょうか。

✓職務経歴書「自分で考え、自分で行動した経験について」(例)

職場で大切な顧客情報シートの紛失騒ぎが短期間に二度起こった。そこで私は情報管理、業務効率化の観点からペーパーレス化を上司に進言し〜(以下、実行してうまくいったという内容)

私なら、こんな風に思いつく限り質問を書き出します。
✓想定質問

①ペーパーレス化に反対意見は無かったのか?
②それまでペーパーレス化が進んでいなかった理由は?
③すべての仕事はペーパーレス化すべきか(紙の方がいい仕事はあるか)?
 :

そして、これらの質問への答えも書いて、スラスラ喋れるように練習しておきます。

【ステップ3】「模擬面接」を受ける

ステップ2まで対策すれば、「こんな質問が来るから、こう答えて~」というように面接のストーリーができあがってくるはず。

ただ、実際の試験では、思いもよらぬ質問が飛んでくるものです。

その対策としては「模擬面接」を受けるのが最適です。

これまで独学で勉強してきた人も、面接だけは、無理に”完全独学”を目指さない方がよいです。

面接は受験者と面接官の双方向のやり取りで成立するものであり、個人練習には限界があります。

あなたの目的はあくまで、合格することのはず。

その目的に向けて最善と思われる手段を選んでいきましょう!

【ステップ4】「模擬面接」の復習をする

せっかく模擬面接を受けるなら、”受けっぱなし”ではもったいないです。

講師の指導をもとに面接回答を修正していく”復習”にこそ、意味があります。

模擬面接でうまく答えられなかった質問はノートに書き出し、講師アドバイスを生かして回答を練り直しましょう。

そして、その復習をふまえてもう一度、模擬面接にチャレンジできるとベストです。

つまり、模擬面接は1回きりでなく、複数回の受講が効果的です。

ASK公務員なら面接指導に熟達した講師に、時間の限り面接の指導を受けることができます。

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これまで独学だった人も短期間でオンライン受講することが可能なので、本番に向けて悔いのない準備ができますよ。

【ステップ5(1級職の場合)】「3分間プレゼン」対策をする

近年、1級職は「3分間プレゼン」を求められることがあるようです。

この「3分間プレゼン」はⅠ類試験では昔から実施されてきました。

「志望動機」や「自己PR」、「取り組みたい仕事」を3分間でコンパクトに話すというものです。
準備していなければ1,2分で話が終わってしまい、大減点につながりかねません。

準備する過程で「志望動機」や「自己PR」を簡潔明快に話せるようになるので、たとえ「3分間プレゼン」を求められなくても準備する価値は大いにあります。

確実に合格したい人、上位合格を目指す人は必ず対策してほしいです。

「3分間プレゼン」は、ASK公務員講師・尾川直子先生による解説動画があるので参考にしてください。

また、ASK公務員「3分間プレゼン添削」では、特別区に特化したプレゼン原稿添削を受けられます。

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客観的な視点で「3分間プレゼン」をブラッシュアップし、自信をもって面接に臨むことができますよ。

話すことに苦手感のある人や、原稿作り・プレゼン練習にプロのサポートが欲しい人にオススメです!

【ステップ5(2級職の場合)】「事例問題」対策をする

例年、2級職では面接の最初に「事例問題」が出ます。

「事例問題」は面接の最初に行われるため、「事例問題」がうまくいくかどうかは面接官の印象を大きく左右します。

「事例問題」はたとえば、次のようなものです。

あなたは〇〇課〇〇係の主任である。〇〇係には、あなた以外にA係長、B主任、C係員、D係員、嘱託職員のE係員、今年度入庁したF係員がいる。~(以降、あなた以外の誰か、もしくは係全体に起きている問題が書かれている)

「事例問題」は次のような流れで行われます。
✓「事例問題」実施の流れ

(1)受験生の前の机に「事例問題」の紙が置かれている
(2)面接官から1分程度で内容把握(黙読)するよう言われる
(3)1分後、「ではこの状況で、あなたはどうしますか?」と聞かれる
(4)質問に答え、そのまま3,4往復の質疑応答を行う

この「事例問題」は、受験者の2級職(主任)適性を見ていると考えられます。

職場の課題について、「自分がどう考えて動くか」はもちろん、「上司への適切な報告・連絡・相談や、周りの職員とのスムーズな連携が取れる人材か」が問われているのです。

事例の”登場人物”が多く、練習しておかないと内容が把握できずに1分間経ってしまいます。

本番では緊張するので、事例文を指でなぞり、頭に登場人物の”相関図”を思い浮かべながら読むのがコツです。

ASK公務員「公務員試験面接対策講座」では講師の先生と相談しながら、面接練習の内容を決めることができます。

公務員試験面接対策講座のご案内

「事例問題」の練習もできますので、お気軽にご相談ください。

2級職は、職務経験の豊富な受験生が多い試験です。

ハイレベルな面接の成否を分ける「事例問題」の対策も抜かりなく、悔いの無い準備をしていきましょう。

4.まとめ

本記事のまとめです!

✓特別区経験者採用の面接試験の特徴3選

①特別区の面接試験は長い(40分、1対3、鋭い質問多し)
②面接が最終合格&順位に影響(下位合格は採用漏れリスクも)
③面接の質問はパターン化(過去の質問が参考になる)

上位合格を目指して、頻出の面接質問はしっかり準備しておきたいですね。
そして、実際の面接試験では、こんな質問がよく聞かれています。

✓特別区経験者採用の面接で聞かれた7つの質問

①特別区の志望理由を詳しく教えてください
②職務経験は特別区の仕事にどう活かせるか
③今の仕事を続けようとは考えないんですか
④特別区が抱えている課題は何だと考えるか
⑤あなたの欠点をあえて挙げるなら何ですか
⑥特別区以外に受験している自治体はあるか
⑦職場では今回の受験のことを伝えましたか

あなたは、これらの質問に即答できるでしょうか。
本記事を読み返しながら、自分らしい回答を準備していきましょう。

✓特別区経験者採用の面接に勝つ!5ステップ対策法

【ステップ0】「全体像」をおさえておく(事前準備)
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【ステップ1】「職務経歴書」を音読して覚える
【ステップ2】「想定問答集」を作って音読する
【ステップ3】「模擬面接」を受ける
【ステップ4】「模擬面接」の復習をする
【ステップ5】「3分間プレゼン」対策をする(1級職の場合)
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「事例問題」対策をする(2級職の場合)

模擬面接は、本番さながら、ASK公務員のプロ講師からマンツーマン指導を受けるのがオススメです!

✓ASK公務員の特別区面接対策

★公務員試験面接対策講座(個別指導)
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以上です!

皆さんが面接の場で、ご自身の経験や魅力を存分に伝えられるよう、そして夢を叶えられるよう応援しています。

【特別区経験者採用】教養試験が苦手な人でも試験日までに間に合わせる学習法

「教養試験の点数が伸び悩む…」
「足切りが心配で論文の対策に集中できない!」
「社会人で時間が無い…。どうやったら対策すればいい?」

こんな不安や疑問に応える記事です。

本記事では、特別区経験者採用を目指す方、特に教養試験が苦手意識がある方向けに、

✓苦手な人でも間に合わせるための基本戦略
✓得意分野を最短で伸ばすための2つの方法
✓教養試験で比較的簡単な分野とその攻略法

これら、足切りを確実に超えるための情報をギュッとまとめました。

勉強の合間に、気になる項目から読んでみてくださいね!

1.教養試験が苦手な人でも間に合わせるための基本戦略

特別区経験者採用の一次試験で実施される教養試験は、「足切り」の役割をもちます。

一次試験の合否を決めるのは論文ですが、そもそも教養試験で一定の点数を取らないと、論文を読んでもらえないのです。

教養試験の「足切りライン」は例年4〜5割と言われています。
問題全体の難易度も標準的なので、あまり対策しないで受験に臨む人も大勢います。

しかし、教養試験が苦手な人にとっては、この「足切り」が大きな不安要素となるでしょう。

そこで本稿では、教養試験が苦手な人でも限られた時間で試験の足切りラインを超えるための学習法を考えていきます。

すべて選択問題(5択)なので2割は取れる計算

特別区経験者採用の教養試験は、すべて選択問題(5択)形式で出題されます。
つまり、仮にすべての問題をカンで解いたとしても2割の得点は取れる計算になります。

したがって、残りの3割の得点を確実に取ることができれば、足切りラインを超えることができます。

なにも高得点を狙う必要はありません!

本番の限られた試験時間の中でも、焦らずに確実に解ける問題を着実に拾っていくことが大切です。

極端に苦手な分野は放っておく

試験まで時間がない場合、極端に苦手な分野を短期間で克服することは非常に難しいでしょう。
そもそも教養試験は、今までの学習歴に大きく影響を受ける試験です。

出題レベルこそ基礎〜標準レベルですが、とにかく範囲が広いです。
英語や数学、国語や社会など広範な分野から出題されます。

もしあなたが、

「学生時代から英語は赤点ギリギリだった」
「数学どころか算数も苦手だった」

こんなタイプなら、英文内容把握問題や数的処理を今から対策するのは得策ではありません。

これらの分野を対策するには、一年単位のじっくりとした準備が必要になるからです。

時間がないのなら、苦手分野にはあえて目をつぶりましょう。
その代わり、限られた時間は次の2つの分野の学習に集中投下するのです。

「得意分野+簡単な分野」で得点を稼ぐ

足切りラインを確実に超えるためには、次の2つの考え方が大事です。

✓ 自分の得意分野で高得点を狙う
✓ 比較的簡単な分野で確実に得点する

つまり、「得意分野」と「簡単な分野」が鍵になります。

この2分野について、短期間の対策で得点を最大化するのです。

これらの分野では、100%の得点を目指すくらいの意気込みで臨みましょう。
そのくらいの目標を持って勉強すれば、常に安定して8割程度の得点が見込めます。

特別区経験者採用の教養試験は全35問出題されます。

もし「得意分野+簡単な分野」が4割程度(13問程度)あるとします。
そこで8割の得点(10問正解)ができれば、32%の得点率が確保できます。

そして残りの問題をすべてカンで解いたとしても、2割(20%)は得点できます。

これで足切りラインは十分突破できるでしょう。

2.【教養試験】得意分野を最短で伸ばすための2つの方法

あなたが得意分野を最短で伸ばしたいなら、次の2つの方法を試してください。

✓ 解答時間をより多く使う
✓ 誤答の選択肢をしっかり「切る」

以下、1つずつ解説していきますね。

得意分野に解答時間をより多く使う

まずは過去問を数年分解いて、自分の得意分野がどこにあるのかを見つけ出しましょう。

特別区経験者採用の教養試験は、制限時間がシビアな試験です。
全問均等に時間を割り振ると、1問あたりわずか3分の解答時間しかありません。

3分では得意分野であっても時間が十分に使えず、正答率が上がらない可能性があります。

そこで、自分が高得点を狙える分野があるのなら、そこにはもう少し多めに時間を使って問題を解き、正答率を限りなく100%に近づけるようにしましょう。

正答率の高い問題なら、1問5分かけても良いでしょう。
特に時間を要する「資料解釈」の問題であれば、7分かけてもよいかもしれません。

とはいえ、これは時間をかけてダラダラ解くということではありません。

以下に紹介する方法で正答率を極限まで高めるため、しっかり時間を確保することが必要なのです。

誤答の選択肢をしっかり「切る」ことで正答率を高める

得点率を高めるためには、次の2つのアプローチが大事です。

✓正答の選択肢を根拠をもって「選ぶ」
✓誤答の選択肢を根拠をもって「切る」

つまり、すべての選択肢をしっかり吟味するということ。

得意分野の問題は、つい「選ぶ」アプローチだけで解いてしまう人が多いです。
しかし、それでは正答率が安定しません

誤答の選択肢一つ一つについて、

「○○の部分が本文と矛盾している」
「××という言葉が使われていれば正解だが、そうなっていない」

というように、誤答である理由を説明できるレベルを目指しましょう。

ですから、問題集を選ぶ際は、解答解説だけでなく誤答の選択肢についての解説もしっかりと書かれているものを選ぶとよいでしょう。

3.【教養試験】簡単な分野とその攻略法(特別区経験者採用の場合)

特別区経験者採用の教養試験では、比較的簡単な分野が2つあります。

✓ 資料解釈(4問)
✓ 選択問題(5問)※2級職受験の場合は、3問

あなたの得意分野と、これら2分野で確実に得点を積み重ねれば「足切り」は確実に超えられます。

以下に、それぞれの分野の対策法を見ていきましょう。

「資料解釈」は総取りを狙って対策する

「資料解釈」の問題は、グラフや表からの正確な読み取りに時間がかかります。
しかし、几帳面に読み取りさえすれば、必ず正解にたどり着くことができる分野でもあります。

資料解釈問題の誤答選択肢は、「数字が違う」「グラフの参照箇所が違う」など、誤答である理由がはっきりしていることが多いです。

そのため、正答率を高めやすい分野と言えます。

資料解釈問題は4問ありますが、ここはぜひとも総取りを狙っていきたいところです。

※資料解釈の勉強法について知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説

「選択問題」は自分に合った問題を選び抜く

特別区経験者採用には、試験時間中にその場で解く問題を選べる「選択問題」があります。
(1級職は15問中5問解答、2級職は12問中3問解答)

「選択問題」は非常に出題範囲が広い一方で、問題それぞれの難易度は高くありません。

しかも、自分が得意なタイプの問題を選べるので、得点源になり得ます。

「選択問題」については、まず過去問数年分をすべて解いてみましょう。
(あえて一部の問題を選択せず、すべて解いてみるのがコツです。)

そして、問題ごとの解きやすさと解答時間を記録します。
そうすることで、自分が本番で選ぶべき問題、かけるべき時間が分かってきます。

△ 文系だから「人文科学」や「社会科学」系の問題を選ぶ
△ 理系だから「自然科学」系の問題を選ぶ

多くの受験生はこのように、単純に考えてしまいますが、それではプラス1点を逃してしまう可能性があります。

というのも、苦手科目の中に得意ジャンルが隠れていることもあるからです。

たとえば私自身の経験ですが、自然科学分野は苦手で選ばないようにしようと考えていました。

しかし、過去問で「水溶液」関連の問題が出れば高確率で解けることが判明し、準備したところ、本番でも「水溶液」問題が出題され、正解することができました。

こんな気づきを得るためにも、事前に過去問を解くときは「選択問題」すべてにチャレンジしておくことをオススメします。

「数的推理」や「判断推理」で粘る方法を知っておく

これまで紹介した2分野に比べると難易度は高いですが、「数的推理」や「判断推理」では、苦手意識のある人でも粘れる問題があります。

どうにも解法が浮かばないときは、選択肢を1つずつ当てはめ、条件に合致するか確認してみましょう。
(数学的に言えば、”代入”ですね!)

すると、問題によっては正答にたどり着ける場合があります。

この方法は算数・数学が得意な人にとっては回り道に感じるかもしれませんが、苦手意識のある人が1点でも多く得点するための方法としては有効です。

簡単には諦めずに、しぶとく1点を拾う意識も大切です。

【補足】1問あたりの解答時間を決めておく

これまで「得意・簡単な問題に集中し、得点を最大化する」という戦略を解説してきました。

ただ、得意・苦手いずれの分野に関しても共通して注意したいのは「1問ごとに解答時間を決めて守る」ということです。

どの問題についても、事前に「○分経ったら次の問題に進もう」というように解答時間を区切って臨まなければ、最後に時間が足りなくなってしまうおそれがあります。

以下の表は、どのように時間配分をすればよいか目安を示したものです。

基本の解答時間 最長で3分(1問あたり)
特に苦手な分野 最長で1~2分(1問あたり)
得意な分野
稼ぎたい分野
最長で5分(1問あたり)
「資料解釈」問題 最長で7分(1問あたり)

もちろんこれはあくまで一例ですので、過去問演習を通して自分に最適な時間配分を探ってみてください。

限られた時間の中で確実に得点し、合格ラインを突破するためには、自分なりのメリハリのある時間戦略が不可欠です。

4.まとめ

本記事のまとめです!

苦手な人でも間に合わせるための基本戦略は以下の3点です。

✓ 極端に苦手な分野は放っておく
✓ 自分の「得意分野」で高得点を狙う
✓ 比較的「簡単な分野」で確実に得点する

そして、「得意分野」を最短で伸ばすために、次の2つの方法を試してみましょう。

✓ 解答時間をより多く使う
✓ 誤答の選択肢をしっかり「切る」

また、「簡単な分野」とその攻略法は、次の通りです。

✓ 資料解釈(4問)
→誤答選択肢の理由がハッキリしているので、時間をかければ確実に得点できる✓ 選択問題(5問、※2級職は3問)
→過去問で自分が確実に解ける問題タイプを分析し、本番で狙いうちする✓ 数的推理(4問)や判断推理(4問)
→「選択肢当てはめ」で解けることがある

以上です!

本記事が頑張るあなたの役に立てば嬉しいです。
夢に向けて、今後も一歩ずつ準備を進めていきましょう。

それではまた!

【特別区経験者採用】かしこく併願戦略を立てよう~やりたいこと&科目&日程で考える

経験者採用試験に向けて、仕事や家事の合間をぬって勉強しているみなさん!

あなたは「併願戦略」をもっていますか?

「とりあえず、特別区しか考えてなかった…」
「落ちたら来年もう一回受ければいいのでは?」
「他の自治体の対策している暇なんかないよ!」

このように考えていたら、ちょっとキケンかも。

結論、経験者採用を受ける忙しい社会人こそ「併願戦略」が必要なんです。

本記事では、

✓経験者採用で複数自治体を併願した方がいい理由
✓3つの観点から考えるかしこい併願戦略の立て方
✓併願戦略を立てる際に陥りやすい失敗とその予防

などなど、最小の労力で最大の効果を生み出す併願戦略のコツを述べています。

あなたが気になる項目から読んでみてくださいね。

※新卒向けの公務員試験と異なり、経験者採用は自治体によって様々な時期に実施されます。
そこで本稿では「併願=同年度に複数自治体の試験を受けること」と定義して説明します。

1.経験者採用はなるべく併願受験しよう!

経験者採用試験は、忙しい社会人が受験生なので、単願も仕方ないと考えるかもしれません。

ただ、私は次の3つの理由から併願をオススメします。

①受験生の心理面にプラスの影響があるから
②経験者採用はとにかく受験倍率が高いから
③社会人の受験チャンスはそもそも限られているから

以下、一つずつ解説していきますね。

1-1.受験生の心理面にプラスの影響があるから

よい併願戦略をもっていると、受験生はメンタル的に安定します。

「特別区試験の前に、●●市の試験で練習できる。」
「特別区試験の後にも、●●市の試験にチャレンジできる。」

高校受験や大学受験を思い返してみても、複数の受験先があるとやはり心強いですよね。

「いろんな自治体の受験対策をしている暇がない!」

こんな方もいらっしゃるでしょう。

ただ、試験の傾向が似ている自治体を1つ増やすだけなら、そこまで負担になりません。

それで合格可能性は2倍になるのですから、検討しない手は無いですよ!

1-2.経験者採用はとにかく受験倍率が高いから

自治体 区分 最終倍率(令和5年度)
特別区 Ⅰ類(春試験) 2.5倍
特別区 事務-1級職 4.0倍
特別区 事務-2級職 6.4倍
東京都 事務-不動産 11.0倍
仙台市 社会人経験者-事務 13.2倍
さいたま市 民間経験者-行政事務 43.6倍
横浜市 社会人-事務 10.3倍
名古屋市 職務経験者-行政 10.6倍
大阪市 事務行政(26-34) 7.1倍
福岡市 行政-一般 24.4倍

上の表を見てください。
大学生向け(新卒)試験に比べて、経験者採用はとても倍率が高い
ですね。

令和5年度、特別区(事務職)は4~6倍ですが、これは近年でもかなり低倍率でした。
※例年は8~10倍程度の倍率です。

このように倍率の高い試験では、単願で確実に合格を勝ち取るのはかなり難しいです。

だからこそ、併願戦略が大切になってくるんですね。

1-3.社会人の受験チャンスはそもそも限られているから

「倍率が高くても、毎年チャレンジすればいいじゃないか!」
こんな意見もあるかもしれません。
ただ、その場合、当然ながら1年間待っている必要があります。
1年後、今以上にご自身の仕事が忙しくなり、思うように受験勉強できないかもしれません。

また、それよりも確実に言えることは、「年齢が1つ上がってしまう」ことです。
経験者採用では、求められる社会人経験を十分に満たしていれば、若ければ若い方が有利です。

キャリア形成や人件費の関係で、50代より40代、40代より30代の方が受かりやすいんですね。
となると、「一番若い今こそ」できるだけ意欲的に受験するのが得策でしょう。

2.経験者採用のかしこい併願戦略【特別区志望者を例に】

では、具体的にどのように「併願戦略」は立てればよいでしょうか。

ここでは「特別区経験者採用」を第1志望にしている受験生を例にあげます。

そして、次の3つの観点から「併願戦略」を立てていきます。

①「特別区」と近い仕事ができるところを選ぶ
②「特別区」と試験内容が似ているところを選ぶ
③「特別区」と試験日程の相性がよいところを選ぶ

以下、一つずつ見ていきましょう。

2-1.「特別区」と近い仕事ができるところを選ぶ

地方自治体
基礎自治体 広域自治体
・住民に身近な行政サービスを提供
・地域の実情に応じたきめ細やかな対応
・地域コミュニティの形成支援 など
・より広域的な行政サービスを提供
・基礎自治体の連携、調整や支援
・国と市町村の連絡調整 など

※特別区や政令指定都市は基礎自治体だが、一部、広域自治体の権限も付与されている。

まず、仕事の「中身」から考えることが最も大切です。

上の表を見ると、「基礎自治体」「広域自治体」では仕事がけっこう違うと分かりますね。

✓住民との距離が近い仕事がしたい
⇒「基礎自治体」(●●市や●●町といったところ)を併願する
⇒特に「政令指定都市」はオススメ。規模感や権限が特別区に近いため。

✓首都・東京を支える仕事がしたい
⇒「東京都」(キャリア活用採用選考)を併願する

基本的には「基礎自治体」、特に政令指定都市を併願すると良いでしょう。

ただ、特に東京に思い入れがある、より規模の大きい仕事も…という方もいるかもしれません。
そんな方は東京都の経験者採用にあたる「キャリア活用選考」の併願をオススメします。

※ただし、東京都の「キャリア活用採用選考」は受験資格に細かい指定があります。
詳しくは、「東京都職員採用」ページでご確認ください。

2-2.「特別区」と試験科目が似ているところを選ぶ

次に、試験科目や内容が似ている自治体を選ぶことです。

社会人受験生は、試験勉強にかけられる時間が限られています。

特別区受験生ならば、特別区のように、

✓論文・面接試験の比重が高い自治体を選ぶ
✓SPIやGABなどの適性検査が不要な自治体を選ぶ

以上のことを意識して、募集要項を見ると良いでしょう。

SPIなどの適性検査(非言語分野)は、特別区でいうと教養試験の「数的処理」に似ています。
ただ、問題形式の違いや、PCでの解答に慣れるなど、対策には一定時間が必要です。

余裕のある受験生は対策してOK。厳しい場合には、併願を工夫して対策科目を絞りましょう。

2-3.「特別区」と試験日程の相性がよいところを選ぶ

「特別区」経験者採用 併願A 併願B
申込期間 6月下旬~7月中旬 一次(教養・論文)
一次試験(教養・論文) 9月初旬 二次(面接)
二次試験(面接) 10月下旬~11月初旬 一次(教養・論文)
合格発表 11月中旬 二次(面接)

最後に、試験日程の相性も考慮しましょう。

上の表では、特別区と併願A,B、計3自治体を受験する人を想定しました。
このように「特別区」より少し早め、遅めに試験がある自治体を1つずつ併願すると良いです。

なぜなら、

✓早めに試験がある・・・「特別区」の腕試しになり、早めに試験対策する意欲にもつながる
✓遅めに試験がある・・・それまでの経験が生きて実力を発揮できる、「おさえ」にできる

こんな良さがあるんですね。

一点、注意が必要なのは、「試験日程がかぶってしまうこと」

この場合、どちらかの自治体を諦めないといけません。

ただ、要項が発表された段階では、試験日程が被るか分からない場合も。
(二次試験の日程が一次試験合格発表後まで分からないことが多いです。)

そんなとき、迷ったら、とりあえずエントリーしましょう!

チャレンジすることで、確実に論文力や面接力はアップしていくのです。

3.【注意!】併願戦略を立てる際に陥りやすい失敗

ここまで、成功する併願戦略について述べてきました。

本項では、逆に失敗につながりかねない併願についてふれます。

具体的には、次の2つ。

✓併願し過ぎてしまう
✓バラバラの種類の公務員試験を受けてしまう

受験生が陥ってしまいやすいパターンでもあるので、要チェックです!

3-1.併願し過ぎてしまう

第一に、併願し過ぎてしまうことです。

併願し過ぎると、当然ながらそれぞれの自治体の試験対策は甘くなります。
特に、経験者採用を受ける忙しい社会人なら、なおさらです。
ふだん、特に仕事が忙しい社会人は3自治体程度の受験が限度でしょう。

よく要項を読み比べて、「ここぞ!」という自治体に絞ってください

3-2.バラバラの種類の公務員試験を受けてしまう

第二に、バラバラの種類の公務員試験を受けてしまうということです。

たとえば、「特別区」の受験生が「県庁」「国家一般職」を併願するようなパターン。

先にふれた通り、「特別区」は基礎自治体。「県庁」は広域自治体。
「国家一般職」なら地方公務員ではなく、国家公務員ですね。

それぞれ業務内容がかなり違うので、志望動機や自己PRを別々に作り込む必要があります。

また、面接では、それぞれの仕事について(基本的には)、

「これこそ私が最もやりたい仕事です。」

と熱く語れないといけませんね。

多くの人は、そこまで器用なことはできないのではないでしょうか。

ですから、「特別区」受験生は基本的に、同じ基礎自治体を中心に併願しましょう。

4.まとめ

本稿のまとめです。

✓経験者採用受験者が併願した方がいい3つの理由

①受験生の心理面にプラスの影響があるから
⇒複数の受験先があると、やはり心強い

②経験者採用はとにかく受験倍率が高いから
⇒高倍率の試験なので、併願で合格率を高める

③社会人の受験チャンスはそもそも限られているから
⇒「今」が一番若く受かりやすいので、併願はするべき

✓併願戦略を立てる3つの観点

①「特別区」と近い仕事ができるところを選ぶ
⇒基本は、特別区と同じ「基礎自治体」を選ぶと良い

②「特別区」と試験内容が似ているところを選ぶ
⇒同じように論文・面接重視の自治体にすると良い

③「特別区」と試験日程の相性がよいところを選ぶ
⇒少し早め、少し遅めの自治体と組み合わせる

※スケジュールは下記の表の通りです

「特別区」経験者採用 併願A 併願B
申込期間 6月下旬~7月中旬 一次(教養・論文)
一次試験(教養・論文) 9月初旬 二次(面接)
二次試験(面接) 10月下旬~11月初旬 一次(教養・論文)
合格発表 11月中旬 二次(面接)

✓うまくいかない併願戦略

×併願し過ぎてしまう
×バラバラの種類の公務員試験を受けてしまう

以上です。

併願戦略が整うと、安心して目の前の試験勉強に集中することができます。

「これまでの経験を生かし、公務員として働きたい!」

そんな意欲ある皆さんにこそ、ぜひ併願戦略で未来の可能性を広げてほしいと願っています。
ぜひ今年度、合格を勝ち取ってください。

応援しています!

※ASK公務員では、特別区など「経験者採用試験」の情報を積極的に発信しています。
合わせて読んで頂けると、学習のヒントになるはず。ぜひご活用ください!
【特別区経験者採用】知らないと差がつく!職務経歴書(エントリーシート)のポイント
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【特別区経験者採用】知らないと差がつく!職務経歴書(エントリーシート)のポイント

東京都特別区の経験者採用試験では、6月下旬から7月中旬の申込時に「職務経歴書」を提出します。

「職務経歴書はすぐ書ける」と誤解している受験生も多いのですが、実際には入念な準備が必要です。

本記事では、知らないとマズい「職務経歴書」の質問内容や回答のポイントを徹底解説します。

この記事で「職務経歴書」のポイントを掴み、迷わず書けるように準備していきましょう!

1.職務経歴書で受験生に大きな差がつく3つの理由

まず、特別区の経験者採用の大まかなスケジュールを確認しましょう。

申込期間
(職務経歴書の入力あり)
6月下旬~7月中旬
一次試験
(教養試験・論文試験)
9月初旬
二次試験
(面接試験)
10月下旬~11月初旬
合格発表 11月中旬
区面接 11月下旬~12月上旬
(区より)採用内示 基本的に年内

このスケジュールを見て、

「8月は教養や論文の勉強が忙しくなるかも…。」
「とりあえず申し込んで、夏にしっかり勉強だな!」

このように思った方、いませんか。

ただ、実際には申込の段階で「職務経歴書」の提出があります。

そして、この「職務経歴書」への取組方次第で、受験生間に大きな差がつきます。

理由は3点。

①職務経歴書にかける労力が人によって大きく違うから
②職務経歴書は2次試験の基礎資料として面接官の手元に置かれるから
③職務経歴書をしっかり準備すると論文力・面接力の基礎が身につくから

以下に1つずつ、解説していきますね。

1-1【理由①】職務経歴書にかける労力が人によって大きく違う

・志望度が低い人、直前で受験を決めた人⇒1,2時間で書き上げた思いつきで書く
・志望度が高い人⇒じっくり時間をかけて調べて書き、添削も受けて質を高める

「職務経歴書」はエントリー時点で出さなければいけないので、準備不足になりがちです。
特に、志望度がそこまで高くない人や、申込締切ぎりぎりで受験を決めた人は、職務経歴書をしっかり準備する時間を取れていません。
結果、締切日当日にあわてて記入した職務経歴書を提出することになります。

※実際に、「選考案内」には、「申込締切直前はアクセスが集中することが予想されるため、 時間に余裕をもって申し込んでください。 」というただし書きがあります。

対して、特別区の試験に向けて前もって準備する人は、5月ぐらいから準備しています。
実際、良い回答を書くためには、自己分析や特別区研究、添削してもらう機会も必要。
ですから、実際に職務経歴書の下書きは、1か月ぐらい前から始めた方が良いのです。

1-2【理由②】職務経歴書は2次試験の基礎資料として面接官の手元に置かれる

×質の低い職務経歴書→面接開始時点で印象が悪い、どんな質問が来るか分からない
◎質の高い職務経歴書→面接開始時点で印象が良い、質問がある程度事前に予測できる

「職務経歴書」が実際に使われるのは2次試験(面接)。

特別区の経験者採用では面接の出来が合否に直結します。
なんと面接時間は40分程度もあるのです。

3人の面接官は、手元の職務経歴書コピーを見ながら交代で質問します。

×パッと見て、受験生の志望動機や強みがよく分からない
×受験生の職務経験や能力にも、いまいち興味をひかれない
×なにより、じっくり練られた熱意ある回答に見えない

こんな質の低い「職務経歴書」は、面接開始時点で面接官の心証が悪いでしょう。

対して、

◎一見して、受験生の志望動機や強みが分かる
◎質問したくなる職務経歴やエピソードがある
◎回答から「受かりたい」熱意が伝わってくる

こんな質の高い「職務経歴書」なら、とても良い印象で面接がスタートするはず。
実際には、面接の中身こそ最重要です。

ただ、後述しますが、優れた「職務経歴書」は一字一句が興味をひく「濃い回答」です。
さらに字数の関係で、「職務経歴書」にはどうしても盛りこめない情報もあります。
そして実際、面接官はそこが気になって質問してきます。

つまり、良い職務経歴書を書いた受験生は、面接のやり取りでも主導権を握れます

面接の質問の多くが、「想定の範囲内」になるのです。

1-3【理由③】職務経歴書をしっかり準備した人は論文力・面接力の基礎が身につく

・準備過程で志望動機や自己PRをじっくり考え、言語化することになる
・その行為自体が「課題式論文」「職務経験論文」「面接」すべてにプラスになる

職務経歴書の「4つの質問」は、志望動機や自己PRの要素も含んだ複合的な質問です。

厳しい制限字数に多くの要素を盛りこむ必要があるため、準備には骨が折れます。

しかし、そこで考えた回答内容は論文試験や面接試験にそのまま生きてきます。

具体的には…

・”自己PR”的内容:「職務経験論文」や「面接の回答」にそのまま使える
・”志望動機”的内容:「課題式論文」や「面接の回答」にそのまま使える

職務経歴書をじっくり作成することが、同時に1次・2次試験の対策にもなるのです。

2.職務経歴書の「4つの質問」回答ポイント

2-1職務経歴書の「4つの質問」とは?

職務経歴書で聞かれる4つの質問は、毎年ほぼ変わっていません。

以下、実際の質問を見てみましょう。

職務経歴書「4つの質問」 ※太字は筆者によるもの
1.あなたが特別区職員を志望する理由を、あなたのこれまでの職務経験や専門知識を踏まえ、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて入力してください。

2.あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。

3.今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。

4.<1級職>今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて記入してください。
<2・3級職>今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を記入してください。

1つの質問といっても、それぞれの質問に複数の要素が含まれていますね。

ところが、1つの質問につき320字までしか入力できません

この字数の中で、

✓聞かれていることに過不足なく答える
✓自己PRや志望動機を魅力的に伝える

この両方を満たす回答が求められています。
そんな回答をまとめるため、次項では質問ごとに留意すべき点を取り上げます。

2-2職務経歴書(エントリーシート)のまとめ方

4つの質問それぞれ、【聞かれていること】と【おさえたいポイント】を掲載しました。

1つずつ見ていきましょう。

1.あなたが特別区職員を志望する理由を、あなたのこれまでの職務経験や専門知識を踏まえ、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて入力してください。
【聞かれていること】
①特別区の志望理由
②あなたの職務経験や専門知識
③あなたが携わりたい職務
④その職務を通じて実現したいこと
【おさえたいポイント】
①について:国家公務員や都庁(県庁)ではなく特別区が良い理由を含める
③について:区役所にどんな職務があるか調べた上で②が生きるものを選ぶ

この質問では、【聞かれていること】が少なくとも4つあります。
4つすべてに明確に答えるのはもちろん、【おさえたいポイント】も確認してください。

たとえば、「なぜ特別区なの?」という質問は面接でも最頻出です。

国家公務員や広域自治体(都道府県庁)職員との業務の違いを理解した上で、
「だから自分は特別区が良い」「特別区が向いている」と回答できると良いですね。

また、区役所の仕事といっても様々

✓あなたが携わりたい職務は、区役所の部署名でいうと何?
✓あなたがこれまで培った能力はどのように生かせる?

これらの質問に「パッと答えられない…」という人は、いまが良い機会です。
各区役所のホームページの組織図などを参考に、携わりたい職務を考えてみましょう。

2.あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。
【聞かれていること】
・今までの職務で、あなたが自ら「考え」「行動した」こと
【おさえたいポイント】
・「考え」と「行動」両方にふれる
・読む人に伝わるように「前提状況」や「結果」の説明が抜けないようにする

2つ目の質問はシンプルにも見えます。
「自ら考え行動した」経験を書けばいいのです。

ただ、【おさえたいポイント】が2つあります。

まず、「考え」と「行動」の両方にふれること。
(意識しないと「考え」は抜けやすいです。)

次に、「前提となる状況」や「結果」も書くことです。

自分の中では分かっているストーリーも、初対面の面接官には分からないかもしれません。

ですから、字数は限られていますが可能な限り、

「前提状況」については…

✓こんな職場で、こんな同僚と
✓こんな課題があるなかで

「結果」については…

✓こんな良い結果が出た
✓上司や同僚からこんな反応があった

こんな説明を盛りこみましょう。

全体の流れとして、

✓ビフォー(前提状況)⇒「考え」⇒「行動」⇒アフター(結果)

このような型で書くとスッキリした回答になりますよ。

3.今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。
【聞かれていること】
①今までの職務で、あなたが直面した「失敗の許されない状況」とはどんなものか
②その状況をどうやって解決に導いたか(どう考え・どう行動?)
【おさえたいポイント】
①について:「失敗の許されない状況」を理解してもらうための状況説明を工夫する
②について:「(個ではなく)組織対応」や「同僚との連携」の視点を忘れない
※質問2とは違うエピソードにした方が良い

この質問は、1つ前の質問に似ていますね。

✓ビフォー(失敗できない状況)⇒考え⇒行動⇒アフター(解決)

このようにまとめれば良さそうです。

ただ、「失敗の許されない状況」というのは、業種が違うと分かりづらい場合があります。

回答は一度身近な人に読んでもらって、困難な状況が伝わるか確認しましょう。
(できれば公務員試験が分かっている人に聞くのが良いです。)

また、この質問の回答はよく注意しておかないと、

“私の大活躍で、会社のこんな危機的状況を救いました!”

こんな個人のスタンドプレイを思わせる書きぶりになってしまいます。

実際にほとんどの「失敗の許されない状況」は一人で打開できるものではなく、
「組織対応」や「同僚との連携」によって成し遂げられるもののはず。

よく過去を振り返り、

✓どんなふうに周りと連携したか、協力を仰いだか

この視点を含んだ回答を書きましょう。

4.<1級職>今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて記入してください。
<2・3級職>今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を記入してください。
<1級職>
【聞かれていること】
①チーム(組織)として達成したこと
②あなたのチームにおける役割
③どのようにチームに貢献したか(どう考え・どう行動?)
【おさえたいポイント】
・その経験から自分が得た「学び」まで書けると良い※質問2・3とは違うエピソードにした方が良い
<2・3級職>
【聞かれていること】
①部下や後輩の指導・育成にあたった経験
②その際、最も重視した点(どう考え・どう行動?)
【おさえたいポイント】
・組織としてどんな指導や育成を求められていたのか書く(前提状況)
・その経験から自分が得た「学び」まで書けると良い※質問2・3とは違うエピソードにした方が良い

最後の質問項目は、「1級職」と「2・3級職」で異なります。
ですが、最後も基本的には質問2や質問3に近い書き方になるでしょう。

つまり、1級職なら、

✓ビフォー(前提となる状況)⇒チーム貢献の考え・行動⇒アフター(結果)

2級職なら、

✓ビフォー(前提となる状況)⇒指導育成の考え・行動⇒アフター(結果)

加えて意識したいのは、経験から得た「学び」です。

この質問項目は「1級職」「2・3級職」で分かれていることからも、
「この経験を特別区でどう生かしてくれますか?」と暗に聞いていますよね。

だからこそ、単発で体験談・エピソードを提示するだけでなく、

たとえば、

✓この経験から、●●することこそチーム貢献の肝だと分かった
✓この経験から、特別区でも●●を大切に部下や若手と接していく

このように書けば面接官も、あなたが特別区で働く姿をイメージしやすくなるでしょう。

3.必勝!職務経歴書の準備法【3ステップ】

3-1【ステップ①】字数制限を気にせず書く

まず、前項の【聞かれていること】と【おさえたいポイント】をクリアした回答を作ります。

すると、制限字数の2,3倍の回答になるはずです。

ここから字数を削っていくことで「濃い回答」ができあがります。

※いきなり字数を意識して書くと、内容の薄い文章になってしまうので避けましょう。

3-2【ステップ②】字数制限に収まるように削る

回答の要点をおさえつつ、字数を削る上でのヒントを以下に示します。

重複表現など不必要な表現を削る
✓具体例は1つに絞る(「他には?」と面接で聞かれたら回答)
✓信頼できる人に見てもらって不要と分かった部分を削る

重複表現とは、あなたの回答でくり返されている言葉のこと。

「私は」という言葉がひとつの回答に何度も出てきていませんか?
「~ということ」「~すること」という表現はありませんか?

多くの場合、これらの言葉は削除しても文章が成立します!

また、質問2~4には職務経験から具体的な事例を書くはずです。
その際、回答1つにつき事例は1つに絞るのがベター。

複数書くとそれぞれの説明が薄くなり、説得力が減ってしまいます。

結局のちのちの面接で、「他には?」と深掘り質問されることが多いので、
それまで2つ目・3つ目の事例は取っておけば良いのです。

とはいえ、重複表現や削るべき具体例は、自分では気づけないことも。

回答のブラッシュアップには、客観的な助言が助けになります。

ベストなのは、公務員試験をよく分かっている人に添削してもらうことです。

「身近に頼れる人がいない!」という方、

ASK公務員では「オンライン添削」を実施しています。

ぜひ活用してくださいね!

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3-3【ステップ③】「4つの質問」回答は覚えるほど読みこむ

職務経歴書は提出したら終わり、ではありません。

必ずワードファイル等で保存しておき、提出後も読み返しましょう。

理想は、覚えるほどに読みこむこと。

そうすれば、論文試験や面接試験の最高の準備になります。

4.まとめ

本記事のまとめです!

✓「職務経歴書」への取組次第で、受験生間に大きな差がつく理由3つ

①職務経歴書にかける労力が人によって大きく違う
②職務経歴書は2次試験の基礎資料として面接官の手元に置かれる
③職務経歴書をしっかり準備すると論文力・面接力の基礎が身につく

✓職務経歴書には毎年聞かれる「4つの質問」がある

✓4つの質問それぞれ【聞かれていること】と【おさえたいポイント】がある

✓必勝!職務経歴書の準備法【3ステップ】

ステップ①:字数制限を気にせず書く
・【聞かれていること】【おさえたいポイント】に確実に答える
ステップ②:字数制限に収まるように削る
・重複表現など不必要な表現を削る
・具体例は1つに絞る(「他には?」と面接で聞かれたら回答)
・信頼できる人に見てもらって不要と分かった部分を削る
ステップ③:「4つの質問」回答は覚えるほど読みこむ
・そうすることで、論文試験や面接試験の最高の準備になる

✓客観的な助言を活用して、職務経歴書をレベルアップしよう

論文・作文対策講座(オンライン添削)のご案内

以上です!

受験生ごとに取組レベルの差が大きい「職務経歴書」。

ここまで読んでくださったあなたは熱意ある受験生のはず。

ぜひ後悔のない準備をして、ベストな回答を提出してください!

ASK公務員は、皆さんの頑張りを応援しています。

ASK公務員では、特別区をはじめ経験者採用の受験に役立つ情報を発信中です!

【特別区経験者採用】サクッとわかる課題式論文の対策法

【特別区経験者採用】サクッとわかる職務経験論文の対策法

【特別区経験者採用】サクッとわかる職務経験論文の対策法

特別区経験者採用では、一次試験で2種類の論文試験が課されます。
(2種類の論文試験=「課題式論文」「職務経験論文」)

本記事では、コツをつかめば安定した解答が書ける「職務経験論文」について解説します。

この記事で、「職務経験論文」のポイント、傾向と対策の全体像をつかみましょう。

1.特別区経験者採用の「職務経験論文」を得点源に!

まずは、「職務経験論文」の過去問を見てみましょう。

仕事における目標設定と振り返りについて、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。(R5事務職,90分1200~1500字)

【参照】試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)

この問題文は、3つのパーツに分けて考えることができます。

【テーマの提示】 仕事における目標設定と振り返りについて、
②【職務経験は?】 あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
③【どう生かすか】 その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

年によって違うのは下線で示したテーマの部分。

逆にいうと、②③は毎年まったく同じです。

ですから、
✓ 自分の職務経験を短く表現した「冒頭文」
✓ 論文を書く上で使えそうな「エピソード」

これらを事前に用意しておくと、安定して書けるようになります。

さて、問題文の3つのパーツそれぞれを、もう少し詳しく見てみましょう。

1-1.【職務経験論文の構造①】テーマの提示

まず、テーマが一つ提示されます。
先ほどの過去問では、「目標設定と振り返り」でした。

経験者採用は、様々な業種・職種の受験生がいます。
そのため、どの仕事でも当てはまる広めのテーマ設定がされる傾向にあります。

広いテーマだからこそ、自分の関わった事例や体験を挙げて、具体的に書くのがポイント。

※なお令和5年度から技術職・ICT職では、別のテーマが出題されるようになりました。
ただ、それぞれの職種としてはやはり一般的なテーマ設定です。(本記事後半で解説。)

1-2.【職務経験論文の構造②】職務経験は?

次に、「あなたの職務経験を簡潔に述べてから」という記述があります。

この”出題者のリクエスト”を正確に受け止め、解答に反映させましょう。

つまり、

✓ 職務経験はコンパクトに書く(「簡潔に」と指定あり)
✓ 職務経験は論文の最初に書く(「述べてから」と指定あり)

この2点を厳守して答案を書くということです。

1-3.【職務経験論文の構造③】どう生かすか?

毎年、試験問題は次の文言で終わっています。

その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

※ここでいう採用区分とは、受験する際に選ぶ「1,2,3級職」のこと。

それぞれ「係員、主任、係長級」にあたります。ここでもやはり、”出題者のリクエスト”を正確に捉えましょう。

つまり、

✓ その経験(職務経験)をふまえて書いてほしい
✓ 職層にふさわしい目線をもって書いてほしい

ということですね。

経験(職務経験)をふまえてとは…

「目標設定と振り返り」なら、
・PDCAサイクルを回す
・小まめな振り返りで、小さな改善をくり返す
このようなことを書きたいと思う人は多いでしょう。

解答の方向性は間違っていませんが、職務経験(具体例)を交えて書くのが出題者のリクエスト。

ただ「PDCAを回す」と書くだけでは、一般論にしか見えません。
・PDCAサイクルを回す。たとえば、私が新入社員のとき~
・小まめな振り返りで、小さな改善をくり返す。たとえば、私が前の部署にいたとき~
このように、
抽象的な主張には、必ずセットで職務経験(具体例)を加えるのです。

 

職層にふさわしい目線とは…

・1級職(係員)区分:「若手である」前提で論理展開する
・2級職(主任)区分:「後輩がいる」前提で論理展開する
・3級職(係長級)区分:「部下がいる」前提で論理展開する

ということ。
1級職(係員)を受けるなら、

△ PDCAをうまく回せる組織のリーダー像を語る
〇 先輩に学んで振り返りの習慣がついた事例を語る

逆に、3級職(係長級)を受けるなら、

△ 目標設定と振り返りを自分ができるようになった
〇 それを部下やチームができるように工夫して指導
このように、自分が受ける区分にマッチした記述を心がけましょう。

 

 

2.「職務経験論文」の過去問&今後の出題予想と対策

2-1職務経験論文の過去問

令和5年度 <事務職>
仕事における目標設定と振り返りについて、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。<技術職>
特別区における脱炭素化への取組について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験と専門知識を踏まえて採用区分における立場として論じてください。<ICT職>
デジタル技術を活用した新たな行政サービスの実現について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験と専門知識を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

令和4年度

※共通問題

職場の活性化について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

令和3年度

※共通問題

ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。

<参考:試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)

先にふれた通り、下線部で示したテーマの部分以外は毎年同じです。

ただ一点、令和5年度から独自テーマの出題となった技術職・ICT職のみ注意点があります。

太字のように「専門知識」という言葉が追加されています。
技術職・ICT職は、その業務に関連した専門性がほしいという採用側の期待が表れています。

ただ、テーマは「脱炭素化」「デジタル技術の活用」というオーソドックスなもの。
それぞれの区分の志望者にとって、書きづらいテーマでは無いでしょう。

2-2今後の出題傾向【予想と対策】

「職務経験論文」は準備した人が報われる試験です。

というのも「課題式論文」と同様、同じようなテーマが過去問でくり返し聞かれているからです。

「職務経験論文」が現在の形式になった平成24年度。
その平成24年度以降の過去問全テーマを整理した表を以下に示します。

筆者によるカテゴリ分け 過去問テーマ
【A.課題解決】 ・仕事の目標設定と振り返り(R5,事務)
・職場における創意工夫(H28)
・課題解決に向けた取組(H30)
【B.効率化】 ・ワーク・ライフ・バランスの実現(R3)
・仕事の優先順位(R2)
・スケジュール管理(H24)
【C.チーム】 ・職場の活性化(R4)
・チームワークの重要性(H26)
・コミュニケーションの重要性(H25)
【D.危機管理】 ・職務上のトラブル対応(R1)
・業務執行上のリスク対応(H29)
・職場における個人情報管理の重要性(H27)
【E.専門職】 ・脱炭素化(R5,技術)
・デジタル技術の活用(R5,ICT)

このように、「職務経験論文」では同じようなテーマがくり返し出題されます。

ですから、「過去問で合格答案を書けるようにする」ことこそが合格の近道です。

技術職やICT職のテーマ予測

技術職やICT職の受験生は過去問が令和5年度しかなく、対策に困りますね。
ただ、事務職であっても専門職であってもA~Dの視点が大切なのは同じ

実際に、
「脱炭素化」は【A.課題解決】カテゴリともいえます。
「デジタル技術の活用」は【A.課題解決】もしくは【B.効率化】カテゴリと密接に関連しています。

このように発想すると、対策しておきたいテーマが見えてます。

たとえば技術職なら、
【D.危機管理】・・・「災害に強いまちづくり」「施設老朽化への対応」

ICT職なら、
【A.課題解決】もしくは【B.効率化】・・・「AI技術の活用」
【D.危機管理】・・・「ICT-BCP(ICT部門の災害時における事業継続計画)」

これらのテーマには対応できるようにしておくと良いでしょう。

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もし、あなたが論文の「型」を意識したことが無いなら、最初の学習にベストな教材です。
ぜひ手に入れて、いち早く論文学習をスタートさせてください。

3.「職務経験論文」で合格点を取る4ステップ勉強法

では、実際に「職務経験論文」で合格点を取るにはどう対策すればよいでしょうか。

本稿では学習指針を4ステップで示しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.【ステップ①】今すぐ論文の「型」を身につける

論文試験は、内容以前に「形式」が大事です。
どんな採点者が読んでも、パッと理解できる書き方を徹底しなければいけません。
そのためには、あなたが論文の「型」を学び、常に意識して論文学習に取り組む必要があります。

【小論文・作文書き方完全ガイド】無料ダウンロード

3-2.【ステップ②】職務経験の棚卸し(書き出し)

あなたが特別区経験者採用を受けるにあたって、アピールしたい職務経験を書き出してみましょう。
複数の職歴がある人は、

✓ 今取り組んでいる(最新の)仕事
✓ 比較して最も長く取り組んでいる仕事

まず、このどちらかを選んで考えると良いです。
考える際には、なんとなく頭の中で想像するだけでなく、書き出しましょう
以下に、職務経験を書き出すとき、ヒントになる質問(トリガーリスト)を掲載します。参考にしてみてください。

職務経験を振り返るトリガーリスト8

Q.これまでに取り組んだ仕事を思い出せるだけ書いてください。(キーワードでOK)
Q.これまでに仕事で得たスキル、能力を思い出せるだけ書いてください。(キーワードでOK)
Q.これまでで一番、頑張った業務は何ですか?
Q.そのとき、特にどんな点にこだわりましたか?
Q.これまでで一番、評価された業務は何ですか?
Q.そのとき、周りからどんな点を評価されましたか?
Q.これまでで一番、困った状況は何でしたか?
Q.その困難な状況を、どうやって乗り越えましたか?

とりあえず思いつくまま書き出すなら、30分あればできるはず。
(PCで書けば、あとで何度でも修正が可能です。)

何より、この内容はエントリーシート(職務経歴内容)や面接回答にも使えるように厳選した項目。
取り組んでみて損はありませんので、まず30分チャレンジしてみてください。

3-3.【ステップ③】冒頭文の練り上げ&エピソードの書き出し

前のステップで自身の職務経験を棚卸しすると、

「あの時のプロジェクトの話なら、スラスラ書けそうだ」
「逆に今の〇〇の業務は、うまく説明を書くのが難しそう」

こういった”見当”がつくようになってきます。

ただ、ここで安心してはいけません。
もう一歩踏みこんで、言語化(文章化)しておいた方がいいものがあります。

それは、冒頭文とエピソード(具体例)です。

冒頭文については、最初に必ず書く100字程度の文章を事前に作っておきましょう
たとえば、メーカーの営業マンなら、こんな冒頭文を書けます。

私はこれまで、食品メーカーで営業職に従事してきた。自社だけでなく取引先の利益を最大化し、また消費者の食卓を豊かにするため、自社の商品紹介にとどまらない売場作りやイベント提案に工夫して取り組んできた。(99字)

「たったこれだけ?」と思った人もいるかもしれません。

実は、これだけしか書けないのです。

たとえば、このような前置きに200字書いてしまうなら「書き過ぎ」です。
自身のエピソードや主張に割ける字数が減ってしまい、内容が薄くなります。
この冒頭文では、あくまで、

✓ 採点官が「書き手はどんな仕事をしているか」一瞬で理解できる
✓ 採点官が「書き手のアピールポイント」をなんとなく理解できる

この程度の内容であればOK。

この例なら、
「ふむふむ、この受験生は営業マン?食品を売っているんだな。」
「詳しくは分からないけれど、仕事で工夫を重ねているようだ。」
こう受け取ってもらうだけで大丈夫です。
この冒頭文があることで、採点官はその後の論文をよりよく理解することができます。

続けて、

仕事における目標設定と振り返り」は、営業マンにとって売上の成否を左右する大切な業務の一つである。私は新入社員の頃、目標設定こそしていたが、つい振り返りは疎かに…(たとえばこの後、「優秀な先輩営業マンに学び、振り返りを週次で行い、PDCAを回すようになった→結果、営業成績が伸びた」という風に書き進めていく)

このように課題テーマにふれればよいわけです。

※ちなみに、この方法なら過去年度のテーマでも、最初の100字は変えずに対応可能です。

職場の活性化」を考える上で、私が前の営業所に勤務していた時に貴重な経験をした。その営業所は従来より、営業所長の強いリーダーシップのもと、不況下でも優れた営業成績を記録していた。しかし、職場の雰囲気は良いものではなく…(たとえばこの後、「新人や若手が意見を言える職場にどうやって変わっていったか」書き進めていく)

 

ワーク・ライフ・バランスの実現」は、営業職にとって大きな課題の一つだ。実際に私も、新入社員の頃から数年間、毎日のように夜十時まで会社で働いていた。そこで得られた学びも多かったが…(たとえばこの後、「どうやって個人やチームの努力で残業を減らしていったか」書き進めていく)

 

「最初の100字は同じでいいってこと?すごくラク!」と思いましたか?その通りです!

しっかり冒頭文を用意しておけば、上記のように、どんなテーマが来ても対応可能です。覚えていれば、3分で書けてしまいます。じっくり全体の構成を考えたり、本論を書いたりする余裕が生まれますね。

また、今の営業マンの受験生の例で言えば、

・新入社員の頃、営業成績が悪かった→先輩の指導で伸びた
・〇〇営業所にいた頃、所長が怖かった→〇〇課長の取り組みで雰囲気が替わった
・若手の頃、残業ばかりしていた→部署内の「働き方改革」の取組で早く帰れるように

こういったエピソード(具体例)が、試験中にサッと取り出せるかどうか。それこそが、職務経験論文が「書ける・書けない」の分かれ目です。

試験当日の緊張感のなか、

「えーと、前の職場でどんな目標設定・振り返りしてたっけ?」
「職場の活性化か…使えるネタあるかなぁ?」

こんなふうにゼロから考え出すのは危険です。急には思い出せません。また、思い出せたとしても、言語化(文章化)には時間がかかります。

だからこそ、前のステップ(トリガーリスト)が大事!

過去問にもふれながら、使えそうなエピソードをどんどん書き足していきましょう。くり返しになりますが、この勉強法はエントリーシート(職務経歴内容)や面接回答にも使えます。社会人の受験生には特におすすめなタイムパフォーマンスに優れた勉強法なのです。

3-4.【ステップ④】客観的なアドバイスを生かして得点力UP

試験対策する上で、教養試験と論文試験の最大の違いは何でしょうか。

それは、「論文試験は自己採点できない!」ということ。

教養試験のようにマルバツが明確ではないので、独学者はここで必ず困ります。これまでのステップを経ていれば、ある程度のレベルの職務経歴論文は書けます。

ただ、もしもあなたが、

「自分の答案で、初めて読む人にも職務経歴がちゃんと伝わるかな?」
「行政職を目指す人として、正しい方向に論理展開できているかな?」

こんな迷いをもったなら、それは客観的なアドバイスをもらうべきです。

「ASK公務員のオンライン添削」なら実績豊富な講師があなたの答案を丁寧に添削します。

さらに合格に必要なポイントもお伝えしますので、学習の方向性が明確になります。

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4.まとめ

本記事の重要ポイントを再掲します!

◆職務経験論文では…

✓ 冒頭文はコンパクトに書く

✓ 抽象的な主張には具体例(エピソード体験経験)をセットで示す

✓ 職層にふさわしい目線で書く

✓ 「課題解決・効率化・チーム・危機管理」がよく問われる

✓ 勉強①まず、論文の「型」を身につける

✓ 勉強②職務経験を棚卸しする(トリガーリスト活用)

✓ 勉強③冒頭文とエピソードを素早く書けるようにする

✓ 勉強④客観的なアドバイスをもらってより良い論文にする

課題式論文に比べて、取り組みやすい印象のある職務経験論文。課題式論文や教養試験に必要なインプット学習があまり無い分、対策を怠ったまま受験を迎えてしまう人も少なくありません。
とはいえ、特別区経験者採用では、論文試験が1次・2次試験の両方に影響します。
今年必ず合格したいなら、職務経験論文もしっかり準備しておきましょう。まず、型を覚え、冒頭文を簡潔に書くところから!

皆さんの頑張りを応援しています。

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、自然科学の傾向と対策(物理、化学、生物、地学)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験に合格し、希望の区に有利な採用を得るためには

「特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策」の記事に載せたとおり、高得点での合格が求められます。

高得点のためには、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。

本記事では、教養試験のうち、自然科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年=令和6年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.自然科学の過去問分析

自然科学は例年、物理2問、化学2問、生物2問、地学2問の出題です。合計は8問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう(「/」で問題の境目となります)。

(1)物理

令和元(2019)年……張力/ファラデーの電磁誘導の法則
令和2(2020)年……トップラー効果/電気回路
令和3(2021)年……周期的な運動と慣性力/電気回路
令和4(2022)年……波の速さと波長/電気と磁気
令和5(2023)年……反発係数/電圧

(2)化学

令和元(2019)年……アルミニウム/結晶
令和2(2020)年……アルコール/ボイル・シャルルの法則
令和3(2021)年……糖類/金属結晶の構造
令和4(2022)年……金属/物質の三態と熱運動
令和5(2023)年……周期表と元素/炎色反応

(3)生物

令和元(2019)年……細胞の分化/視覚器
令和2(2020)年……DNAの構造/生態系の物質収支
令和3(2021)年……動物の発生/植物ホルモン
令和4(2022)年……細胞の構造/ヒトのホルモン
令和5(2023)年……ハーデイ・ワインベルグの法則/ヒトの脳

(4)地学

令和元(2019)年……太陽系の惑星/大気の大循環
令和2(2020)年……太陽系/地球の内部構造
令和3(2021)年……宇宙の膨張/海洋
令和4(2022)年……太陽の表面/日本の四季の天気
令和5(2023)年……太陽系の惑星/地層

3.対策方法

続いて、対策方法を、上記の過去問の傾向からお伝えしていきます。

まず、高校時代に上記科目を受験用に履修している方—例えば、理系の方で、物理と化学を学習してきたとか、文系の方でも、共通テストなどのために、化学と生物をしてきたというような方—は、一度過去問をさらっと見てみましょう。問題のレベルが非常に基本的な内容だと分かると思います。

そのような方は、以下の本でさらっと全体を復習したら、過去問をやっておきましょう。それで恐らく、解答ができるかと思います。

公務員試験-自然科学ザ・ベストプラス-ザ・ベストプラス-シリーズ-荒井義明

なお、過去問としては、以下が有名です。

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 自然科学

そのため、次に、高校時代に、受験用として物理・化学・生物・地学を学習してきていない方に絞って、対処方法を3つお伝えします。

【(1)対処方法1;自然科学を選択しないつもりで臨む】
特別区の教養試験は、自然科学・人文科学・社会科学で20問の出題中、12問を選択できれば大丈夫です。

もしも、自然科学に苦手意識があって今までも勉強してきていないなら、社会科学や人文科学での選択を増やし、時事をしっかり学習するという手もあります。なぜなら、時事を含めた社会科学・人文科学で合計12問あるからです。

つまり、極論を言えば、全部文系科目で固めて挑むこともできるわけです。もちろん、繰り返しとなりますが、その分、社会科学・人文科学・時事の3つの学習を熱心にしないとこの手は使えません

【(2)対処方法2;頻出分野だけをおさえる(一番お勧め)】
とはいえ、全ての文系科目を熱心に学習するのもしんどいものですよね。日本史は大学受験でも使ったから自信があるけれど、世界史や地理はほぼ一から……などのケースがあるからです。できれば、時事・社会科学・人文科学のうち3,4問が選択できなかったとき用に、自然科学も対策しておくことがお勧めです。

この3つの対処法の中で最もお勧めするものとしては、自然科学の頻出分野だけをおさえるというものです。

上記の過去問の出題傾向から、物理では電気分野、地学では太陽系を中心とした惑星は、ほぼ毎年出題されています生物の人体にまつわるもの、化学の物質の性質も頻出といえるでしょう。

こうした頻出の分野だけを学習するということです。このとき、かみ砕かれた説明本が望ましいので、テキストは以下が良いといえます。

公務員要点整理問題集 ポイントマスター 自然科学 (公務員試験 国家一般職(高卒者)・地方初級)

高卒程度となっていますが、この内容を踏まえて過去問を解けば大丈夫です。過去問もより解説が詳しいものとして、以下を選びましょう。問題集は分厚いですが、自身が学習した単元だけを学習することになります。

2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【7】自然科学I

2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【8】自然科学Ⅱ

【(3)対処法3ー科目を絞る(対処法2よりは勧めません)】
さて、時事・社会科学・人文科学のうち3,4問が選択できなかったとき用に、自然科学も対策するなら、自然科学の4科目中2科目程度を学習しておくという対処法もあります。これが、対処法3です。

これについては、対処法2よりあまりお勧めしません

理由は、ここで選択しようとする科目が、多くの人にとって、化学と生物ではないかと思うからです。そもそも、こうした対処法を考えたのは、自然科学に今までの学習キャリア上、自信がない人を想定していましたよね。そういう人は、高校1・2年次に一応履修した科目が、生物や化学という可能性が高いと思われ、一応触れたことがあるから、この科目に絞ろうか……となりやすいわけです。

ただ、特別区は、生物と化学という2科目の出題範囲が、物理や地学より広めとなっています(過去問傾向より)。そうなると、生物・化学の得点をとろうと、広範囲の学習に臨むこととなり、それなりの時間がかかります。

であれば、対処法2の方が、素早く3・4問の得点ができるように準備ができるというわけです。

なお、では、範囲が狭い、物理と地学だけをやるのはどうかという質問がでそうですが、物理の力関係の問題は、数学の処理に抵抗がある方にはしんどいでしょうし、地学の天体分野以外のもう一問は範囲が広いです。

となると、やはり対処法2が妥当となるわけです。

4.おわりに

本記事では、大学受験でも自然科学科目を使っていたり、抵抗がない方には、ザ・ベストシリーズで概要を復習しながら、スーパー過去問をすれば特別区の自然科学は点数が取りやすいことをお伝えしました。

一方で、自然科学に抵抗ある方は、特別区の場合、物理の電気、地学の天体、生物の人体、化学の物質の性質あたりを中心に学習をすることで、人文科学・社会科学・時事で解けない問題があるときに、代わりの役割を果たせることを伝えました。

この学習戦術を駆使して、ぜひ、高得点合格を目指してください。応援しています。

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、人文科学の傾向と対策(倫理・哲学、歴史、地理)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験に合格し、希望の区に有利な採用を得るためには「特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策」の記事に載せたとおり、高得点での合格が求められます。

高得点のためには、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。

本記事では、教養試験のうち、人文科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年=令和6年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.人文科学の過去問分析

人文科学は例年

■倫理・哲学1問
■歴史2問
■地理1問

の出題です。合計は4問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう。

(1)倫理・哲学

令和元(2019)年……実存主義の思想家
令和2(2020)年……生命倫理
令和3(2021)年……古代インドの思想
令和4(2022)年……江戸時代の儒学者
令和5(2023)年……中国の思想家

(2)歴史

歴史は、日本史、世界史から1問ずつ出題される傾向があります。以下は、日本史、世界史に分けて述べます。

【①日本史】
令和元(2019)年……鎌倉時代の仏教
令和2(2020)年……元禄文化
令和3(2021)年……日清戦争と日露戦争
令和4(2022)年……室町幕府
令和5(2023)年……国風文化

【②世界史】
令和元(2019)年……スペイン内戦
令和2(2020)年……オスマン帝国
令和3(2021)年……ローマ帝国
令和4(2022)年……大航海時代
令和5(2023)年……イギリスの産業革命

(3)地理

令和元(2019)年……世界の人口
令和2(2020)年……温帯の気候
令和3(2021)年……世界の地形
令和4(2022)年……世界の交通
令和5(2023)年……ラテンアメリカ

3.対策方法

続いて、科目ごとの対策方法を、上記の過去問を踏まえてお伝えしていきます。

(1)倫理・哲学

王道といえる西洋哲学史があまり出題されないという印象です。ただ、中国の思想家は平成30年度(令和元年度試験の前年度)に5年ぶりという形で令和5年度に出ましたので、令和6年度は、同じく5年ぶりに西洋哲学史が問われてもおかしくないかなと思われます。

後は、日本近代の思想家などが問われる可能性があるでしょう。インド哲学は元々がレアな単元なので、令和3年度からそこまで年数が経っていないので、無理に学習をしなくて良いかと考えます。

共通テスト 倫理 集中講義 (大学受験SUPER LECTURE)

もちろん、政治で紹介した畠山氏には、倫理も入っている以下の本もあります。説明の仕方が肌にあっている方には、そちらも良いかと思います(ただし、政治経済は最新版を得る方が望ましいです)。
こうした出題可能性の高い単元を中心に、大学受験の倫理の参考書を利用して読み込み学習すると良いでしょう。下記の本は、解説と問題が一緒についていて取り組みやすいと言えます。

大学入学共通テスト 畠山のスッキリわかる 倫理、政治・経済 完成講義

(2)歴史

【①日本史】については、数年に1回文化史が出るのですが、これが令和5年度に出題されました。したがって、令和6年度は政治史と思われます。最近問われていない、江戸期や明治・大正期の内政などは問われやすいのではないかと予測されます。

さて、対策本ですが、日本史を全く学習したことがない人は少ないと思います(小学校や中学社会で触れている部分があるため)。
そのため、日本史学習は、LECの解きまくりのポイントを読み、問題を解いていっても良いかと思います。

ただ、そのポイントでは載っていない用語や流れのために、以下の本を持っていて、辞書的に活用することはお勧めです。

新・美しい日本史ノート〔第2版〕

【②世界史】については、他の公務員試験種で定番といえる近現代(18世紀以降)のヨーロッパ史や中国史がここ最近ほとんど出ていません。ただ、それ以外の出題傾向は絞りにくいといえます。また、近現代が、政治において国際関係史が問われやすいことを踏まえると、今後も19世紀後半以降は世界史では問われにくいのかもしれませんが、政治のことを考えると学習はしておいた方が良さそうです。

対策本としては、大学受験の本格的なもので学習しますとボリュームが多すぎて、公務員試験の他科目学習に悪影響を覚えるといえます。他方、世界史は高校生から本格的に学び、受験で使わない場合は深く学んでいないので忘れているというケースがよく起こると思います。

そこで、
(ア)まずはざっくりとした本をサラッと読み
(イ)その後、用語集を時系列に並べたもので行うこと をおすすめします。

この際ですが、(イ)は全部をやったり用語を覚えようとするというより、流れを意識するつもりで学習しましょう。
あるいは、本格的な問題演習中の辞書的な形です。そして、(イ)が多少心許ない状態でも、上記でご紹介したLEC解きまくりで過去問演習をしましょう。

(ア)の本;今さら聞けない! 世界史のキホンが2時間で全部頭に入る

(イ)の本;時代と流れで覚える! 世界史B用語

(3)地理

令和5年度を除いて、いわゆる系統地理の範囲(気候、地形等)からの出題がされていました。令和5年のラテンアメリカは意表をつかれた形だったわけです。

令和6年以降が地誌になるのか、系統地理に戻るのかは分かりません。そのため、時間があれば両方の準備するのが望ましいわけですが、それが難しい人は、過去の割合からいって系統地理の学習をしましょう。

対策本としては、以下のように
(ア)を電子書籍で読んで素養を入れたらLEC解きまくりで演習しながら覚えましょう。

また、地誌まで手が周りそうならば
(イ)の地誌部分を読んでおく と良いでしょう!

(ア)の本;マンガでわかる高校地理: ケッペンちゃんと学ぶ高等学校地理 自然地理、農業、資源編

(イ)の本;カリスマ講師の 日本一成績が上がる魔法の地理総合ノート

なお、特別区の地理は難易度の低い問題が多いので、苦手意識を持たずに読むと、一般常識で答えられる問題も多いので諦めないようにしましょう。

4.おわりに

特別区の人文科学は、令和6年度受験において、まず、倫理・哲学においては、西洋哲学史と日本の思想を大学受験対策本を利用して学習しましょう。

次に、日本史は各時代の政治史を中心に学習しましょう。基本的にはいきなりLEC解きまくりの過去問題演習で良いかと思います。辞書的に整理された日本史の本を持っていることが望ましいです。世界史は、深入りしすぎないように流れなどを「ふわっと理解」した後は、過去問演習を通じ、知らなかったことを積み増すことが望ましいです。

最後に、地理は、ビジュアル的に分かりやすい参考書(時に漫画本)を利用して、系統地理→地誌の順番に学習することが望ましいと言えます。

ちなみに、究進塾は大学受験の対策も豊富な個別指導塾です。もしも、上記の参考書を読んでも頭にさっぱり入ってこないときは、個別指導で覚え方や、覚えられるような印象に残る教えを受けるのもいいかもしれません。

皆さんが、傾向にあった対策をすることで、高得点合格できることを願っています。

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策(政治・経済・法律)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験は、最終試験合格後に各区等の採用試験面接を受けます。これは、受験生が申し込み時に第3希望までの区等を明示し、人事委員会はこの希望に沿って各区等の採用候補者名簿を提示します。

この際の名簿順位は高得点順です。したがって、希望の区等に採用されるためには、できるだけ高得点で合格することが求められます

そして、この高得点合格に向けては、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。
本記事では、教養試験のうち、社会科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.社会科学の過去問分析

社会科学は例年、
■法律1~2問
■政治1~2問
■経済1問
の出題です。合計は4問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう。

(1)法律

令和元(2019)年……衆議院の優越/天皇の国事行為
令和2(2020)年……日本の裁判所・司法制度/法の下の平等
令和3(2021)年……日本の国会/日本の司法制度
令和4(2022)年……法の分類
令和5(2023)年……労働者の権利/地方自治

(2)政治

令和元(2019)年……モンテスキューの思想
令和2(2020)年……第二次世界大戦の終結と戦後の国際政治の動向
令和3(2021)年……第二次世界大戦後の地域紛争
令和4(2022)年……国際人権条約/世界の政治体制
令和5(2023)年……東西冷戦(米ソ)

(3)経済

令和元(2019)年……日本の消費者問題
令和2(2020)年……国際経済体制の変遷
令和3(2021)年……日本の消費者問題
令和4(2022)年……日本の現代の企業
令和5(2023)年……日本の農業

3.対策方法

続いて、科目ごとの対策方法を、上記の過去問を踏まえてお伝えしていきます。

(1)法律

近年は、法学一般の内容である法の解釈、法の効力などより憲法的な内容がよく出ています。したがって、まずは、特別区Ⅰ類の受験者は、憲法を専門科目で利用する方が多いと思いますので、その学習をしっかり行いましょう。

ちなみに、憲法の学習には以下の書籍がお勧めです。

寺本康之の憲法ザ・ベスト ハイパー

念のため法学一般をおさえる際には、行政書士試験の基礎法学の問題などをこなす中で覚えてしまいましょう。例えば下記の本ですと、予想問題もついていますので色々な問題に当たれます。ただ、試験までに時間がない場合は特別区の過去問を行うだけでもOKです。

行政書士 憲法・基礎法学が得意になる本 2024年度 [過去問+オリジナル予想問](早稲田経営出版)

(2)政治

平成の後期は政治思想家の問題などが頻出でしたが、令和元年を最後にそのジャンルからの出題はありません。これは恐らく、時事的なことを理解する上での教養的な部分の知識を問うという公務員試験全体の傾向が特別区にも当てはまっているためと考えられます。

代わりに出題が急増しているのが、第二次世界大戦後の国際関係史です。とはいえ、2年連続で同じ範囲が出てはいませんので、2024年に受験する方は、国際関係史でもアジア・アフリカだったり、地域紛争だったりといったところを学習すると良いでしょう。

なお、専門科目の政治学・行政学と重なるとしたら各国政治の部分くらいであまり大きくは重なっていないといえます。むしろ、公務員試験の専門科目のうち、国際関係の方が重なると言えます。ただ、専門科目でこちらを使わない方も多いと思います。

教養レベルのために専門科目のテキストを読み込むのは、少し周り道な対策と言えるでしょう。

以上の議論から、お勧めな対策本としては、大学受験用の政治経済を用いて、「国際政治」「各国政治」の部分を読み込むのが望ましいでしょう。例えば、以下です。

畠山のスパっとわかる 政治・経済 爽快講義 改訂第7版

(3)経済

経済は、法律と違い、専門科目との重なりはほとんどありません。すなわち、マクロ経済学、ミクロ経済学、財政学などと出題分野が異なります。

特別区の経済は、大学受験の政治経済の経済編の経済メカニズム(専門科目として学ぶ部分の基礎)を除いた部分が出ています

したがって、上記の畠山本は、政治という科目だけでなく、経済という科目でも活用できます。また、政治経済の資料集はテーマごとに歴史的な変遷などもまとまっていたりするのでお勧めです。

2023 新政治・経済資料 三訂版

なお、資料集は例年2~3月に新版が発売されます。特別区には社会事情など時事も4問ほど出ることから、どうせ手に入れるなら、最新版にしましょう

さらに、政治にも経済にも当てはまりますが、参考書を読んだだけでは覚えているかが不安な方は、一問一答もしておくといいでしょう。もちろん、全てを行う必要はありません。読んだ範囲と重なる部分だけでOKです。

大学入学共通テスト 倫理、政治・経済の点数が面白いほどとれる一問一答

4.おわりに

特別区の社会科学は、法律においては専門科目の憲法学習と、他資格の行政書士にある基礎法学の問題を解くことで対応できます。

政治と経済は、大学受験用の政治・経済の参考書を読み、一問一答をしておくことが望ましいといえます。政治のためには、特に国際政治の部分が良いでしょう。経済については、専門科目で学習しないところの分野を行いましょう。

ちなみに、究進塾は大学受験の対策も豊富な個別指導塾です。もしも、上記の参考書を読んでも頭にさっぱり入ってこないときは、個別指導で覚え方や、覚えられるような印象に残る教えを受けるのもいいかもしれません。

皆さんが、傾向にあった対策をすることで、高得点合格できることを願っています。