特別区試験対策

【特別区経験者採用】サクッとわかる課題式論文の対策法

特別区経験者採用では、一次試験で2種類の論文試験が課されます。
(2種類の論文試験=「課題式論文」「職務経験論文」)

本記事では特に、公務員経験のない社会人にはハードルの高い「課題式論文」について解説します。

この記事で、「課題式論文」のポイント、傾向と対策の全体像をつかみましょう。

1.特別区経験者採用では「課題式論文」が合否を分ける!

まず前提として、「課題式論文」の特徴を確認してみましょう。

◆「課題式論文」の特徴
✓ テーマを選べる2択形式
✓ ただし、大卒程度試験(Ⅰ類)よりも抽象度が高い

テーマ選択式といっても、取り組みやすい課題ではありません。
むしろ、大卒程度試験(Ⅰ類)よりも抽象度・難易度は高いのです。

これは、過去問を見ると一目瞭然です。

令和4年度

【経験者採用】
課題式論文選択式課題2

複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について
令和4年度
【Ⅰ類】「論文」選択式課題1
特別区では、地方分権の進展や、児童相談所の設置に加え、新型コロナウイルス感染症対策により、前例のない課題やニーズが生まれ、区民が期待する役割も、かつてないほど複雑で高度なものとなっています。
特別区がこれらの課題の解決に向けた取組を進めていくには、区民に最も身近な基礎自治体として、自立性の高い効率的な事務運営が重要です。このような状況を踏まえ、区民の生命や生活を守るための、限られた行政資源による区政運営について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

太字に注目すると、この2問はかなり近い内容です。

しかし、経験者採用試験の「課題式論文」では、シンプルにテーマのみ与えられています
Ⅰ類のように、テーマの前提となる社会状況などの補足が一切ありません。

経験者採用の受験生は自身でテーマの背景から論じていく力が必要なのです。
このような試験では、対策している人・していない人との間で大きく差が開くでしょう。
逆にいえば、ちゃんと対策した人は、それだけ合格が近づくといえます。

2.「課題式論文」の過去問テーマ&今後の出題予想と対策

では次に、「課題式論文」の過去問テーマと、そこから分かる傾向・対策を見ていきましょう。

2-1.「課題式論文」の過去問テーマ

過去3年間の論述テーマは次のとおりです。

令和5年度 ①図書館機能の充実について
②これからのイベント実施のあり方について
令和4年度 ①シティプロモーションについて
②複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について
令和3年度 ①インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組について
②持続可能な財政運営と区民サービスについて

【参照】試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)
パッと見たときに、「狭いテーマ広いテーマの組み合わせになっている」ということが分かると思います。

テーマの広さで分類してみましょう。

狭いテーマ 図書館機能の充実(R5)
シティプロモーション(R4)
インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組(R3)
広いテーマ 複雑化・多様化する区民ニーズへの対応(R4)
持続可能な財政運営と区民サービス(R3)
中間的テーマ これからのイベント実施のあり方(R5)

どちらかというと広いテーマの方が書きやすい、という受験生が多いようです。
狭いテーマの場合、そのテーマへの知識が前提になるからですね。)

広いテーマで論文を書く場合にも、行政運営全般への知識及び理解が必須となります。

2-2.今後の出題傾向【予想と対策】

ただ、ここで皆さんに朗報があります。
それは、「広いテーマほど、過去問でくり返し聞かれている」ということです。
これも表にまとめてみました。

出題されたテーマ 過去の類似テーマ
複雑化・多様化する区民ニーズへの対応(R4) 住民意識の多様化と自治体職員の役割(R2)
区民ニーズの把握と施策への反映(H28)
持続可能な財政運営と区民サービス(R3) 最少の経費で最大の効果を生む区政運営(H29)
区民から喜ばれる行政サービスの提供(H26)
これからのイベント実施のあり方(R5) 地域コミュニティの活性化について(R1)
地域イベント開催にあたっての住民要望の調整(H27)

※R5年度は少し限定的なテーマ(イベント実施)ですが、”地域活性化”と広げて考えれば、やはり過去に複数類題があります。

このように、「課題式論文」は過去問テーマがくり返し出題されます。
こうした傾向は一貫しているので、「過去問で合格答案を書けるようにする」ことこそが合格の近道です。

3.「課題式論文」で手堅く合格点を取る勉強法【3ステップ】

では、「過去問で合格答案を書けるようにする」には、どうしたらいいでしょうか?
3ステップで解説します。

3-1.【ステップ①】今すぐ論文の「型」を身につける

まず、公務員試験の論文の「型」を学んだことがない人は、その「型」を身につける必要があります。

◆「型」を身につければ…
✓ 主張がスッキリ伝わる論文を書けるようになる
✓ 制限時間内に論文を書き上げられるようになる

採点者は、短い時間で大量の答案を読みます。
論文の内容が良くても、読みづらい答案ではマイナス評価につながりかねません。
「型」を身につけることで、あなたの主張が明快に伝わる論文になります。

また、常に「型」を意識して書くことで迷わず書き進められる効果もあります。
特別区の経験者採用試験では、90分で「1200字以上~1500字程度」が条件。
試験中に論理展開を迷うと、字数を満たせずに試験が終わってしまいます。

「はじめての小論文・作文書き方Book」配布リンク

ASK公務員では、電子書籍「はじめての小論文・作文書き方Book」を無料で差し上げています。

論文の「型」を身につけるのに最適な教材なので、学習のはじめにぜひ手に入れてください。
(特に最後のワークはⅠ類の過去問が題材ですが、「課題式論文」対策にも非常に有用ですのでぜひ活用してください)

3-2.【ステップ②】実際に書きながら、足りない知識を身につける

基本的な「型」を身につけたら、過去問を解いてみましょう。

◆初めて過去問を解くときのコツ
✓ 制限時間を気にせずに解く
✓ 参考文献を参照しながら解く

いきなり時間内に書き上げることは難しいので、じっくり時間をかけて書くとよいです。

また、「型」が身についても行政運営の基礎知識がないと書き進められません。
そこで、手が止まったら参考文献を見ながら書くのがおすすめです。

参考書は、「特別区職員ハンドブック2023」(特別区職員研修所/ぎょうせい)が便利です。
この本の「第Ⅲ編 組織と仕事」を理解すれば、広いテーマはほぼ書けるようになります
※本書は実際に特別区の職員研修で使われている書籍です。

◆注意
「まず、たくさん勉強してから論文を書き始めよう」とする人が多いですが効率が悪いです。
たとえば、紹介した書籍1冊だけでも750ページもあり、いきなり読み通そうとすると挫折します。
結局、「書くためにどの知識が特に必要か」は、実際に問題に取り組んで初めてわかるものなのです。

3-3.【ステップ③】何も見ず、時間内に解けるように練習を重ねる

時間をかけて何本か論文を書くと、自力で書ける部分が増え、スピードも上がってきます。
次は、だんだん本番に近い条件で過去問演習を重ねるとよいでしょう。

◆たとえば…
✓ 100分(実際の試験時間プラス10分)で解いてみる
✓ 参考文献を見られる回数を限定する(「3回しか見ない」というように)

そして、いよいよ本番通りの条件(90分、参考文献なし)で書き上げる練習を重ねます。

直前期には、見直しの時間も想定して、80分で書き上げられる力をつけているのが理想です。

◆客観的なフィードバックを得られると論文力はグッと伸びる
ステップ②や③で「自分の答案は合格点?」「点をさらに伸ばすには?」と疑問がわいてきます。そんなときは客観的なアドバイスをもらうのが有効です。たとえばASK公務員のオンライン添削。実績豊富な講師があなたの答案を丁寧に添削し、合格に必要なポイントをレクチャーしますので、試験当日までの学習の方向性が明確になりますよ。

論文・作文対策講座(オンライン添削)のご案内

4.まとめ

◆課題式論文は…
✓テーマを選べる2択形式だが、大卒程度試験より難しい
✓テーマには狭いテーマと広いテーマがある
✓広いテーマほど、過去にくり返し問われている傾向がある
✓合格点を取る勉強法は①論文の「型」を学ぶ②書いて知識を身につける③本番の条件で解く
✓論文の「型」は無料で学べる⇒「はじめての小論文・作文書き方Book」無料ダウンロード
✓家でプロの論文添削が受けることもできる⇒オンライン添削

 

学習内容が明確な教養試験とちがって、論文試験は「ついつい後回し」にされがちです。

しかし、特別区経験者採用では、論文試験こそ合格を左右する重要科目。
必ず合格したい人は、決して後回しにせず、今日から学習に取り組みましょう。

まずは、論文の「型」を身につけるところから。
皆さんの頑張りを応援しています。

2024年度から特別区Ⅰ類採用試験にICT区分が開始されます!

1.はじめに

特別区は、多様な人材を獲得するために様々な人事政策をしています。令和5年度には、経験者採用試験の事務職の採用区分にICTができました。

そして、令和6年度からは、経験者ではないⅠ類の区分でICT人材の獲得を目指した採用試験が開始されます

本記事では、こちらの受験資格や試験内容が現段階(2023年12月26日現在)でどのようになっているかを分かりやすくお伝えします。

2.特別区Ⅰ類採用試験(ICT)区分の受験資格について

受験資格では、次の2つが示されています。

●1つは、日本国籍を有することです。
●もう1つは、1993(平成5)年4月2日から2003(平成15)年4月1日という制限年齢です。

なお、以下のサイトを確認すると、この受験資格に「予定」がわざわざ書かれていますので、最終的な決定までは、きちんと特別区の採用情報をみておくことが必要でしょう。
ICT職開始について;https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/documents/0425hodo.pdf

3.特別区Ⅰ類採用試験(ICT)区分の一次試験内容について

①教養試験について
教養試験の出題はあります。
ただし、人文科学・社会科学・自然科学という形での出題は無いようです。
一方で、数的処理は出題されます。また、社会事情という形で時事は出るようです。

まとめると、以下のようになります。

教養試験=社会事情7題+数的処理28題

なお、全問必答ですので、問題ごとに選択することはできません。

ここから分かるように、数的処理はかなり大事なウェイトを占めます。苦手な人は、集団指導の講義だとついていけなかったり、市販書が読み進められなかったりすることでしょう。
この場合は、個別指導などで力を付けると良いでしょう。ASK公務員/究進塾では個別指導の講座を開講しています。

数的処理個別指導講座のご案内

②専門試験について
専門試験では、必ず答えなくてはならない科目として、ICTが15題と、経営学5題があります。
一方、「憲法、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学、政治学25題から10題選択解答」もあります。こちらは、科目選択ではなく、問題選択と考えられます。
例えば、上記の5科目すべて2問ずつ解答して合計10題としてもいいですし、ミクロ経済学とマクロ経済学の2科目を5題ずつ解答して合計10題でもOK、ということです。普通は後者のようにするでしょうから、学習する科目が随分少なく済むということです。

まとめると、以下のようになります。

専門試験=必須20題(ICT15題+経営学5題)
    +選択10題(憲法、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学、政治学の5科目から)

③専門科目ICTについて
専門科目ICTの出題範囲は以下のように告知されています。
(ア)テクノロジーに関するもの
(基礎理論、情報テクノロジー、情報セキュリティ、開発技術 等)
(イ) マネジメントに関するもの
(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント 等)
(ウ)ストラテジに関するもの
(システム戦略、経営戦略、関係法令 等)

科目内容的に、基本情報処理技術者とITパスポートなどの試験対策本で学習をしておくと備えやすいのかなと考えられます。
また、(イ)や(ウ)の内容には、経営学的なものが含まれそうです。したがいまして、必須科目同士が関連知識という、ありがたい状態と言えます。

④課題論文
次試験には、2題中1題を選択して書く課題論文もあります。

4.注意点

令和5年度から始まった経験者のICT区分の試験内容は、教養試験20題(数的処理14題+社会事情6題)と、専門論文(ICTをテーマとして経験や知識を問う論文 1 題)という形式でした。

「3」でみた特別区Ⅰ類の春試験は、教養試験が10題多いですし、専門論文ではなく課題論文です。課題論文がICTを必ずテーマとしているかどうかは分かりません。また、専門科目があります。

このように、区分名が同じでも、課される内容が違う点をよく踏まえておきましょう。ただ、経験者の場合も、数的処理は同じく重要なので、苦手な方は個別指導の検討をしておくと良いでしょう。

数的処理個別指導講座のご案内

なお、特別区Ⅰ類職員(ICT区分)の2次試験は、個別面接のみというところは経験者の区分と同じです。

5.まとめ

今回は、令和6年度から実施される特別区Ⅰ類職員(ICT)区分の採用試験の情報をお伝えしました。繰り返しますが、試験の最新情報は必ずネットで収集しましょう。

特別区人事委員会トップページ:https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/index.html

また、現在(2023年12月26日現在)、特別区の以下のホームページには、ICT区分の職員を募集するための特設サイトもできています。どのような仕事をするのかのイメージを高めておくと良いでしょう。

特別区のICT職をもっと知ろう:http://www.union.tokyo23city.lg.jp/saiyo/2024/special2/

特別区の面接カードの書き方のコツ|面接官の視点も考えることが重要

特別区の面接カードは記述するスペースが多く、何をどう書くべきか迷う方も多いです。

特別区に限りませんが、面接カードは「書面上の面接試験」と言われるほど重要であるため、決して手を抜くことは許されません。

本記事では、特別区の面接カードを作成する上で必ず抑えておきたい特徴やポイント、面接カード書き方にについて、面接官が何を知りたいかという視点を踏まえて解説します。

伝わりやすい面接カード書き、面接でもうまくアピールができるようにしてください。

1.特別区の面接カードの特徴と書き方のポイント

特別区の面接カードには、以下の大きく3つの項目があります。

【あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。】※面接の冒頭で3分間でプレゼンしていただきます

【あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。】

【目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えてください。】

※令和2年度試験の内容参考

細かい言い回しが変わることはあるものの、内容は毎年ほぼ同じと考えて問題ありません。

まずは「やりたい仕事・自己PR・志望動機」という定番事項を1つの項目でまとめて書き、その他2つは「過去の経験」を基に職員としての適正を図るような、コンピテンシーを意識した内容となります。

そして、実際に書いてみるとわかりますが、各項目とも5行分の書くスペースがあるので、要点を抑え、コンパクトにまとめて書くのがポイントです。

また、指定されたことをきちんと書くということも重要です。

これは一見当たり前のようではありますが、じっくり考えていると、気が付いたら話がずれているということは結構あります。そのため、指定されたこととずれていないか何度も読み返し、話がずれないように注意しましょう。

2.各項目で面接官が知りたいことを考える

どの項目も書ける文字数は限られているので、面接官が知りたいことが何なのかをよく考え、それを意識した伝わりやすい面接カードを書きましょう。

2-1.「やりたい仕事・自己PR・志望動機」について

【あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。】※面接の冒頭で3分間でプレゼンしていただきます

この項目は、3分プレゼンのもとにもなる、最重要項目といえます。指定されていることは、

  • どのような仕事に挑戦したいか(=①やりたい仕事)
  • あなた自身の特徴(=②自己PR)
  • ③志望動機

の3つであり、面接官の知りたいことも書かれているとおりでシンプルです。

しかし、①~③はどれも重要な内容であるからこそ、しっかり書こうとすれば、どれか一つで文字数がいっぱいになってしまうでしょう。そのため、いかにしてわかりやすくコンパクトにまとめるかというのが、この項目の難しいところです。

あとは可能であれば、面接カードと一緒に3分プレゼンの原稿も作ってしまうことをおすすめします。

なぜなら、3分プレゼンは結構長いので、後から原稿を作ると、面接カードの内容にどんどん追加することになり、面接カードとプレゼンの内容の整合性がとれなくなる恐れがあるからです。

そこで、まず3分プレゼンの原稿を作ってみて、その内容を集約して面接カードに書くというのが、おすすめの書き方です。

2-2「チャレンジ経験と困難の克服」について

【あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。】

まず、「あなたが…やり遂げた経験」というように「経験」が聞かれていることから、エピソードを交えて書く必要があることがわかります。

そして、「困難を感じたこと」と「どのように乗り越えたか」が指定されているので、要約すると、何かにチャレンジして困難を克服した経験を、エピソードを交えて書くということです。

ここで面接官が知りたいのは、困難克服を通して「どんな力を身に付けたか」、さらに「その力をどう仕事に活かすか」ということです。ですので、そのことを意識した書き方ができると良いでしょう。

やり遂げたこと自体は何も大きなことである必要はありません。

ここでは「あなた自身がどう考え、どう行動したか」、つまり「どのように」の部分が重要なので、すごいエピソードを考えるよりも、自分なりの独自のエピソードを考えて書くことが大切です。

2-3「チームでの役割と貢献の仕方」について

【目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えてください】

ここでも「経験」とあるので、エピソード形式で書くことがわかります。

前の項目との違いは、「チームやグループ」でのエピソードをベースにして、チームやグループ内での自身の「役割」と「独自のアイディア等によって…貢献」したことが聞かれているということです。

つまり、「チームにおけるあなたの役割・貢献の仕方について、エピソードを交えて話す」ということがポイントです。

仕事は一人でやっているように見えても、ほとんどは上司や先輩と相談しながら進めていきます。そのため、チームやグループ内での役割や貢献や、入庁後の仕事での活躍に直結するので重要な項目といえます。

こうしたことから、この項目は、コンピテンシー面接を行う特別区らしい内容といえるでしょう。

チームでの役割と貢献の仕方は人それぞれ違います。そのため、「独自のアイディア」とは自分なりの考えを書けば良く、これを「独特な・斬新な」と解釈しないように気を付けましょう。

3.各項目の具体的な書き方

それでは、具体的にそれぞれ項目の書き方について解説していきます。

3-1.「やりたい仕事・自己PR・志望動機」の書き方

【あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。】※面接の冒頭で3分間でプレゼンしていただきます

この項目を書く流れの一例としては、次のような流れが考えられます。

(例)
私が特別区を志望する理由は、〇〇だからです(志望動機)。だから、もし特別区で働くことができたら、〇〇の仕事に携わりたいです(やりたい仕事)。そして、私は〇〇することができるので、この力を〇〇の仕事に活かすことができます(自己PR)。

このように「志望動機→やりたい仕事→自己PR」という順番だと、比較的流れ良く論じられます。もっとも、順番に決まりがあるわけではないので、他に自分で論じやすい書き方があれば、違う順番でも問題ありません。

もう一つ伝わりやすい書き方のポイントは、「それぞれの内容を相互に関連付ける」ということです。

例えば、やりたい仕事が外部の人と多く関わる「観光事業」だとすれば、「行動力」や「コミュニケーション能力」などを自己PRにしたり、その「観光事業」がやりたいと思ったきっかけは、「幼いころから東京観光でこの地域によく来ていた」という志望動機に繋がっている、といった感じです。

この項目はとにかく盛りだくさんなので、このように流れ良く端的に、必要な情報を網羅することで、できる限り充実した内容にしましょう。

3-2.「チャレンジ経験と困難の克服」の書き方

【あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。】

この項目では、エピソードを交えて自分に特別区で働く適性があることをアピールします。書き方としては、シンプルに指定されたことを順番に書くだけです。

それだけでほとんど埋まってしまいまいますが、付け加えるとすれば、最後にその経験で得たことを書くくらいでしょう。

(例)
私は、〇〇を達成した経験(チャレンジ経験)があります。そのとき〇〇という困難に直面しましたが、〇〇をしたことで困難を乗り越えた(困難の克服)ことで、こんな力が身に付きました(経験で得たこと)。

さらに面接官の知りたいことを意識するならば、そこで得たことを「どう仕事に活かすか」まで書きたいのですが、おそらくここまで書く余裕はないでしょう。これについては聞かれたら答えれば良いでしょう。

したがって、面接カードの段階では指定されたことをきちんと書き、さらに経験から得たことまで書ければ充分です。

3-3「チームでの役割と貢献の仕方」の書き方

【目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えてください】

この項目も、指定されたことに順番に答えていけば良いです。

(例)
私は〇〇(何かのチーム)において〇〇を達成した経験があります。そこでは〇〇を担いました(自分の役割)。そして、私は〇〇と考え〇〇という行動をしたことで(貢献の仕方)、目標達成に貢献することができました。

この項目は、先ほどの項目以上に細かい指定があるので、順番に書いていくだけで字数が埋まると思います。

ここで特に重要なことは「独自のアイディア」の部分で、「あなたが何を考え、どう行動したか」をきちんと伝えることです

そうすることで、「仕事においてもこういう形でチームに貢献できる」というイメージにつながります。

とはいえ字数に制限があるので、端的にわかりやすく書ければ、詳細に書けなくても大丈夫です。

ちなみに「役割」に優劣があるわけではないので、無理にリーダー的役割を演出する必要はなく、ここは「サポート役」「聞き役」などでも問題ありません。

4、終わりに

特別区は面接重視の採用試験で、筆記試験の成績が下位の受験生も、面接の成績が良ければ一気に上位に上がることがあります。

そのため、面接の土台となる面接カードはとても大事なので、この記事の内容をしっかりと読み、良い面接カードを書き上げましょう。

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あなただけの特別区の志望理由を作る方法を詳しく解説

特に特別区が地元でない人にとって、特別区の志望動機が思いつかないというのは抱えがちな悩みです。
とはいえ、志望動機は面接で聞かれる代表的な質問でもあるため、しっかりと作り込む必要があります。

本記事では、志望動機の作り方を具体的に解説し、参考になる資料、そしてやりがちな失敗例も紹介します。
これから特別区の志望動機を考える人は参考にしてみてください。

1.志望動機が聞かれる理由を知ることで「刺さる」志望理由を作ることができる

あなたは「なぜ志望動機を聞かれるのか?」を考えたことがありますが?

志望動機を作る前に、面接官が志望動機から何を知りたいのかという質問の意図を理解することはとても重要です。質問の意図がわからないと、適切な答えを用意することもできないからです。

志望動機が聞かれる理由の1つは、熱意を確認するためです。「他の自治体ではなく、特別区でこれをやりたい」という強い熱意がある人は、主体的に仕事に取り組む姿勢が伺われます。

2つ目は、仕事への理解度を図るためです。民間企業や国家公務員・都庁などの他の公務員との仕事の違いをよく理解していない人は、就職後にイメージとのギャップを感じ、すぐに辞めてしまうのではないかと思われてしまいます。

そして3つ目は、課題解決力を図るためです。就職すると、配属先の仕事で様々な壁に直面します。そのとき、自ら課題を見つけ、課題を解決する力が必要であり、そうしたときの対処法について面接の段階でそれをみているのです。

このような質問の意図をおさえることで、これらに応えるような志望動機を作ることが重要だと言うことがわかります。

2.特別区の志望動機の作り方を手順ごとに解説

ここからは、特別区の志望動機の作り方を解説します。

思い付かない項目はとりあえず飛ばして、できるところから先に作りましょう。何度も繰り返して修正し、内容を充実させていけば問題ありません。

2-1.エピソードを交え「なぜ特別区なのか」を考える

まず、なぜ特別区を選んだのかを考えます。ここで重要なことは、自分のエピソードを交えるということです。

例えば、次のような志望動機を読んでどう思われるでしょうか?

〇〇区には、自然豊かな住環境があります。私は〇〇事業に携わることで、この自然と住環境が共生する、住みよい街づくりを実現したいです

一見良さそうであり、確かに仕事の内容を理解している印象ですが、特別区を選んだ理由が伝わりません。

そこで、独自のエピソードを交えてみましょう。例えば地元の自治体であれば、自身の過去の体験や、現在思うことを志望動機に入れると良いでしょう。

私は幼い頃から〇〇区の自然豊かな環境の中で育ち、〇〇公園などでよく遊んでいました。このような自然豊かな〇〇区の住環境が好きで、いつも区民目線でこのような街づくりをしている〇〇区の政策に、とても魅力を感じます。私も〇〇事業で緑化政策を推進し、現代の子どもたちにも豊かな自然を味わってほしいと考えています

エピソードによって特別区を選んだ理由が明確になり、オリジナリティの高い志望動機になりました。

仮に地元の自治体でなくても、以下のように接点を見つけてエピソードにすることができます。

通っていた大学が〇〇区にありました。大学近くの〇〇商店街は、新しい商業施設と老舗の店舗が一体となったとても良い場所で…
〇〇区の障害者支援ボランティアに参加した際、職員の方がとても親切で…

どうしても接点がみつからなければ、今からでも一度足を運び、街歩きをしてみましょう。実際に区内を歩いて感じたことを、内容に反映させれば、エピソードをつくることはできます。

2-2.仕事内容を把握してやりたい仕事を見つける

特別区に限らず、公務員の仕事の分野は膨大にわたります。普段接する窓口の職員などは、多くの仕事のほんの一部に過ぎません。

志望動機を作るうえでは、特別区の役割をきちんと理解することが大切です。民間企業と違った公益性の高さや、国や都と違った地域密着性など、特別区の仕事の特徴をおさえます。

そうすることで、仕事に対する理解度が示せるだけでなく、なぜ特別区を選んだのかという理由にも説得力が増し、熱意のアピールに繋がります。

そして、やりたい仕事について考えるとき、それが子育て関係なのか、介護関係なのか、文化振興なのか、なんとなくで良いので想像します。

そして、区のホームページを見れば、分野ごとにカテゴリが分かれているので、興味のある分野のページを見てください。

そこで詳しい事業内容や、担当している部署が書いてあるので、やりたい仕事を調べることができます。

もし「どんな仕事がいいのか具体的に思いつかない!」という場合は、役所の「組織図」を見ることをおすすめしています。

組織図とは、下の画像のように部署ごとの仕事内容を一覧で掲載されているもので、今まで知らなかった仕事を知るきっかけにもなります(こちらは豊島区の組織図の一部です。全体はこちらから見ることができます)。

組織図は「〇〇区 組織図」のように検索すると見つけることができます。もしどうしても見つけられない場合は直接区役所に聞いてみてもいいでしょう(採用には関係しないのでご安心を)。

そして、単に「子育て支援や商業振興をやりたい!」ではなく、ホームページや担当部署が取り扱うパンフレットなどを参考にして、「〇〇課の〇〇プロジェクト」のような具体的な事業を挙げることができれば、より熱意が伝わるでしょう。

2-3.区の課題を分析し解決策を提示する

さらに志望動機を充実させるため、区の現状の課題を発見し、解決策を提示しましょう。

実務においては言われたことをこなしているだけではなく、自ら主体的に取り組むことが求められます。そこで、単に「〇〇をやりたい」というばかりでなく、課題への解決策を提示することで主体性をアピールすることが必要です。

では実際にどうやって区の課題を見つければいいのでしょうか?

おすすめは、どの自治体でも策定されている、基本構想や基本計画を参考にすると良いでしょう。その中で重点的に取り上げているものが、その区の課題と言えます。

あとは、後ほど紹介する「特別区職員ハンドブック」も参考になります。

そして、解決策については基本構想等を参考にして良いのですが、自分なりに考えることも大事です。

例えば、他の自治体で行われている政策で解決策になり得るものを調べ、それを提案することも有効でしょう。とはいえ、実現が難しい奇抜なものは避けるようにしましょう。

そして、解決策を提示する際、次のようにさらに説得力を持たせるために自己PRを踏まえるとなお良いです。

〇〇区では、待機児童の解消が課題になっています。私は学生時代、コールセンターのアルバイトをして、様々な人の悩みを聞き、解決しました。この経験を活かし、子供を持つ区民の方の意見に耳を傾け、ニーズを的確に把握して課題を解決していきます。

このような自身の経験を踏まえると、課題解決の説得力があるうえ、自己PRにもなるのです。

3.参考になる資料の紹介

志望動機を作るときは、インターネット上の公務員試験対策サイトを見たり、予備校の講師に話を聞いたりすると思います。

ここではそれら以外の方法で、参考になるけど受験生があまり利用していないものを紹介します。

3-1.職員採用案内・区民向けホームページ

区の職員採用ページは、「大体どこの区も同じようなことが書いてある」と考え、疎かにする人が多いです。

しかし、注意深く見比べれば、各区が強調したい特色や、現在力を入れている事業などが端的に表れており、志望動機を考えるうえではとても参考になります。

新人職員の合格体験記や、現在就いている職務の内容が紹介されていることも多く、貴重な資料が豊富にあるのです。

以下は北区の採用案内のパンフレットですが、こうした案内も特色を知る手がかりが詰まっています。

「花火大会」「お祭」「公園」など、区民の生活に密着した、街づくり関連の事業に重点を置いていることが想像できます。

https://www.city.kita.tokyo.jp/shokuin/kuse/saiyo/seiki/documents/toukyoutokitakusyokuinnsaiyouannnai.pdf

また、ホームページ内の区民向けのページを見ることで、街のイベントや、暮らしに関わる事業としてどういうことを区が行っているのかを知ることができます。

このように挙げていくと、各区が公表している情報だけでも、意外と役に立つものが多いと気付くと思います。

なんとなくホームページを見るのではなく、こうしたポイントをチェックすることで、より充実した志望動機を作ることができるのです。

3-2.特別区職員ハンドブック

特別区職員ハンドブックは、23区全体の現況・それぞれの区の概要や特色・現在の課題や推進事業など、700ページ以上に渡ってかなり詳しく書かれています。

職員用に発行されている書籍なので、地方自治や行政手続に関することなど、専門的な内容も含んでいます。

読み込むのは大変かもしれませんが、23区の特徴を比較して検討するには適しているので、余裕があれば購入してみると良いでしょう。

特別区職員ハンドブックは、東京区政会館4階の特別区自治情報・交流センターで直接購入するか、「株式会社ぎょうせい」のオンラインショップでも購入できます。

4.志望動機作成でよくある失敗例・気を付けるべき注意点

最後に受験生が陥りがちな、よくある失敗例について紹介します。

作った志望動機がこれらに当てはまってないかをよく見直して、該当する項目があればブラッシュアップしましょう。

4-1.一般的・抽象的な定型文で終わる

志望する区の特徴や、やりたい仕事について考ても、一般的・抽象的な内容では面接官の印象に残りません。

例えば、区の魅力や政策、事業の内容などを挙げるだけの志望動機です。これは非常にありがちな内容なので気を付けるようにしましょう。

このような一般的・抽象的な内容で終わらないために、2-1で紹介したように志望動機にはあなた自身のエピソードを入れるようにしましょう。

自分の過去の思い出や実体験は、自分だけのものです。エピソードを交えることでオリジナリティのある内容にしてください。

4-2.「安定している」「定時で帰りたい」などの本音を入れる

よく言われることですが、仕事に対する積極的な熱意が感じられないような志望動機は、印象が悪いです。

「安定した職場環境に魅力を感じ…」「定時で帰れるため、仕事と家庭を両立できる点が良く…」などの志望動機からは、仕事に対する熱意が感じられません。

本音として、安定や定時帰りという職場環境に魅力を感じること自体は良いと思います(というか、多くの人がそうでしょう)。

しかし、面接で志望動機が聞かれる理由は、その人の熱意や課題解決力を図るためである、ということを念頭に置かなければなりません。

4-3.嘘や事実でないことを書く

理想的な志望動機を作りたいがあまり、嘘や事実ではない内容を書く人がいます。

有りもしない事実を話すとどこかで矛盾が生じ、不自然な回答になってしまいます。こうなると印象が悪い上、自分に自信がなくなり、面接全体に悪影響が及びます。

面接は受験生と採用側のマッチングの場です。例え嘘の志望動機を評価されても、実際に働き始めると違和感を感じることになります。

理想的な志望動機を作ることは大事ですが、自分が経験した中で考えるように工夫をし(多少膨らませることは構いませんが)、嘘を書くのはやめましょう。

5.まとめ

志望動機を考えることは、単に面接対策になるだけでなく、自分自身がなぜ公務員になりたいのかを改めて考えるよい機会です。

これは、今後公務員として働いていくうえで、とても大事なことです。

志望動機をしっかり考えずに面接に臨む受験生も多くいます。そうすると、本番でうまく受け答えができず、残念な結果に終わってしまうこともあります。

だからこそ、きちんと対策すれば大きく差が付きます。

この記事を参考にし、しっかりと志望動機を考え、面接で高い評価が得られるように頑張ってください。

特別区の論文試験の基本から対策までトコトン解説

論文試験の対策は何から手をつければいいかわからない、そもそも論文の勉強なんて必要なの?と感じている人もいるのではないでしょうか。

特別区に限らず多くの公務員試験では論文試験(小論文や作文といった呼び方をすることもある)が課せられますが、このような悩みがある人は非常に多いものです。
論文試験は他の筆記試験に比べぞんざいに扱われる傾向にあり、あまり対策をせずに本番に臨む人が多いのも事実です。

しかし、論文試験は決して他の試験よりも配点が低いわけではなく、しっかりとした対策をしないと不合格になることは十分にあります

ここではそうした対策の難しい特別区の論文試験についての傾向や勉強方法について解説していきますので参考にしてください。

1 特別区の論文試験の傾向

特別区の試験(大卒・事務)では一次試験として、択一試験(教養と専門試験)、性格検査そして論文試験が出題されます。

特別区の論文試験は法律などの専門的な内容のものではなく、①高齢化や災害対策などの社会問題や、②観光客の増加やオリンピックの開催に向けて、「区の職員として」どのように考え、そうした課題をどう解決すべきかという思考を見られるものとなっています。

つまり、択一試験では知識の有無を判断し、面接ではその人の考え方やコミュニケーション力を見ますが、論文試験では受験生の思考力や表現力などが評価されます。そして、区の職員として問題意識(課題)を把握しているかということも問われます。

特別区の試験では教養論文について配点が公表されておらず、巷では「教養試験や専門試験で高得点でも論文が書けなければ落ちる」という噂もあります。実際に、択一試験の素点が高いAさんが不合格となり、Aさんより素点の低いBさんが合格するというパターンも毎年存在します。そのようなことから、「論文試験の配点が実はかなり高いんじゃないか」などと言われています。

しかし、公務員試験は論文の才能を見る試験ではありませんので、出題意図を間違いなく把握して、論理的に文章を書くという基本がなっていれば合格答案となります
高いレベルを目指すのではなく、普通レベルの論文を書ければ十分なのです。

この普通レベルの論文は、基本的な解答方法を理解し身につけることができます。では普通レベル(合格レベル)の論文の書き方を確認していきましょう。

2 合格レベルの論文の書き方

2−1 文字数について

特別区の論文試験は次のような内容で実施されます。

制限時間 1時間20分
課題式(当日、2題の中から1題選択し解答する。)
字数 1000字以上1500字程度
内容 社会事案への関心、思考力、論理性等を問う。

ここで受験生からの質問で多いのは、文字数についてです。1000字以上1500字程度と原稿用紙でいうと1枚以上の幅があるわけですが、実際には何字書くべきなのか、ということです。

まず、少なくとも1000字「以上」となっているので1000字は書かないと不合格となります。内容以前の問題なので、絶対に注意しましょう。
そして、1000字以上書けば1000字であっても合格答案となりますが、一般的には8割以上、つまり1200字以上書くとよいとされています

これは形式面というより、1200字程度書けば論点をもらすことなく出題課題に沿った内容の充実した論文に仕上がるという考えからです。実際に書いてみて、1000字くらいにしかならない場合は、何か書き忘れていないか確認してみるとよいでしょう。

2−2 論文の書き方の基本について

論文と作文の違い

そもそも論文とは何なのかということですが、論文は論理的な文章を書くということであり、根拠や理由をもとに自分の意見を主張していきます。
作文はただ単にこう思います、と自分の感想を述べるだけのものですのでこれは論文とは違います。ですので、論文を書くうえでは作文にならないように気をつけてください。

原稿用紙の書き方を守る

昔、夏休みの宿題で読書感想文を書かされた人も多いかと思いますが、そのときに原稿用紙を使って文章を書きましたよね?
論文試験でも原稿用紙を使い論文を書いていくのですが、間違った書き方をすると減点されてしまいます。
たとえば、①内容が変わるときは1マス下げてから書くことや、②句読点は基本的には1マス使うが、行の頭にきてしまうときは頭に書かずに前の行の最後のマスに文字といっしょに書くことには注意しておきましょう。

誤字・脱字に注意

そして、誤字脱字でも減点されてしまうことも注意してください。当たり前と思われるかもしれませんが、誤字・脱字は驚くほど多く見られます
今はパソコンやスマホなどで文章を作成することが多くなっているのでどうしても手書きで字を書く機会が減り、特に漢字は忘れやすくなっています。

いざ論文を書くと、「あれ、どう書くんだっけ?」という瞬間によく出くわします。とはいえ今から漢字ドリルなどをやるのも時間のムダですので、自信のない漢字はひらがなで書くか、別の言葉で表現するという方法があります。

漢字で書くべき部分をひらがなで書いた場合、形式面で減点になることはありませんが、採点者に「大卒なのにこんな漢字も書けないのか」という悪い印象を残し、全体の評価が下がってしまったり、表現力の面で減点される可能性はあります。
よって、そうした場合は別の表現をした方が無難でしょう。

ていねいにはっきりと書く

また、論文を書くときには採点者に読んでいただくという意識を持つことです。
字が薄いものや殴り書きで汚いものなどは採点する側としてもあまり読みたい気持ちにさせるものではないですし、単なる精神論ではなく、そもそも読めなければ採点のしようがないということに注意してください。

試験時間の1時間20分は長いようで、当日には実際にはとても短く感じると思います。時間に追われ焦る気持ちもわかりますが、下手でもいいので「丁寧にはっきり書く」ことを意識していきましょう。
このようにまずは論文の基本をまずは抑えた上で対策をするようにしていく必要があります。

3 過去問を使った書き方の紹介

3−1 出題内容

では、基本的な内容を抑えたところで、実際に過去問を見ながらどうやって書いていけばいいかを見ていきたいと思います。
ある程度論文の基本を身につけたらあとは練習あるのみです。

とは言ってもまずは論文を書くにあたりどのような構成で文章を作成していかなければならないかを理解しなければいけません。

ここでは実際に平成26年度の問題を書き方を見ていきましょう。前年度と同じ課題が出ることは少ないですが、数年前の課題の類似問題が出題されることもありますので、参考にしてみてください。

2題中1題を選択すること。
(問1) 区民の健康志向や環境への配慮などにより、自転車の利用者が増えていますが、それに伴い、歩行者や自動車との接触事故や放置自転車の増加など、多くの問題が起きています。このような現状を踏まえ、特別区の職員として、地域社会において自転車を安全かつ安心して利用できるまちづくりについてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

(問2) 政府は2030年までに訪日外国人旅行者を年間3,000万人とする目標を定めており、外国人旅行者の誘致に取り組む自治体が増加しています。また、我が国に居住する外国人には地域活動への参加などが期待されています。一方、都内の中小企業は海外に販路を広げるなど、地域を取り巻くグローバル化の流れは一層加速しています。 今後、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて海外からの東京に対する注目度も一層高まっていく中で、グローバル化の流れを積極的に施策に反映していくために、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

どちらも最近話題になっている時事的な内容について、「特別区の職員として」どのように取り組むか、ということが問われているのがわかります。特別区ではない他の公務員試験では、「職員として」ではなく一般的な社会人としての理解を問う課題もありますが、特別区ではあくまで特別区の職員としての目線を忘れないようにしなければなりません

少子高齢化や環境問題、災害対策などについては引き続きホットな話題であり、今後出題されることが予想されますので、普段からニュースはチェックしておくとよいでしょう。結果的に択一の時事問題や面接でも役にたつことがあります。

また、時事的な内容以外にも、24年度は説明責任(アカウンタビリティ)についてどのように果たすべきか、23年度は地域コミュニティの活性化について考えを論ぜよ、という自治体としてのあり方を出題しています。

このような課題は公務員試験の教養論文では頻出のテーマになり、今後も出題されることがあるでしょう。

3−2 論文作成の流れ

論文を作成するにあたっては、思いつきで書いていくのではなく必ず「構成」を考えなければなりません
どのような問題であっても基本的には「①現状→②課題→③解決方法→④まとめ」という流れで書けば問題ありません。

上の問1について、解答の流れを具体的に確認してみます。

まず、
①現状として、自転車は健康志向や省エネ意識を背景に自転車の利用が増加している。

②課題として、自転車の交通マナーなどが悪いので歩行者などに危険・迷惑がかかっている。さらに、駅周辺の放置自転車は歩行者の安全性だけでなく、まちの美観も損ねる要因となっているので自転車を安全に利用できるまちづくりをしていかないといけない。

③解決方法として、
第一に自転車利用の環境の整備をする。 駐輪場の整備だけでなく区のホームページなどで地図情報をアップし、リアルタイムで空き情報も把握できるようにすることで放置自転車対策と駐輪場の利用を促進していく。 さらに、地下を活用した駐輪場は用地の確保が難しい都市部では有効である。

第二に、自転車利用の適正化の促進をする。 放置自転車撤去の強化を図っていく。放置自転車を減らすためにレンタサイクルの導入も有効であろう。貸出しの拠点を駅周辺の駐輪場や商業施設に確保すれば観光目的としても利用することができる。

最後に、自転車の安全利用のための広報と教育を行う。 区としてルールやマナーの周知を図る必要がある。自転車は車両であるということを利用者に認知させ、交通マナーを守ることの重要性を認識させる。そのために交通安全教室の他、区民などと協働に学習プログラムを開催し、広報していく。こうしたルールやマナーを啓発を図ることで利用者の意識の変革を促すことができる。さらに優良自転車ドライバーについて表彰するような制度があればよりよいかもしれない。

④まとめ
以上のように、駐輪場の整備とともに、ルールやマナーの向上を図ることで、区職員として自転車を安全かつ安心して利用できるまちづくりを進めていくべきだと私は考える。

このような流れで文章を作成することで、「起承転結」がはっきりとし読みやすく説得力のある論文になります。

それではそれぞれの構成についてどのように考えていき文章を作っていけばいいのかを見ていきましょう。

①現状
自転車の利用が増えているという現状は問題文に記載されているので、そのまま拾ってこればいいでしょう。全体のバランスを考えてくどくどと長くなりすぎないように注意してください。

②課題
自転車利用が増えることによる事故の危険性や歩行者の安全性、放置自転車により美観を損ねるといった課題をあげています。
この課題の部分では「こういうことが今課題になっています」と「問題提起」をし、「じゃあ特別区職員としてどのように取り組んでいくか?」という流れにもっていくようにしましょう。課題として考えられるものを第一、第二、最後にと箇条書きにしていき、それに肉付けをしていきます。

③解決方法
ここがメインであり最も難しい部分でもあります。
先に上げた課題に対して、「じゃああなたが区の職員になったらどのように解決していきたいか」ということを述べていってください。

これが正解というのはないので、いいなと思うものを書いていけばよいでしょう。
ただし、あくまで自治体の職員としてできることを書いていきますので、あまりに非現実的なものや実現不可能なもの、区長じゃないと決められないようなスケールの大きいものなどはやめておいたほうがいいでしょう。

また、個性あふれるものや独創的である必要はないかと思われます。予備校などで出している模範解答でも、目新しいものはたいてい見受けられません。どこかで聞いたような話を、論理的に書ければ合格答案になります。

学生の考える独創的なものというのはなかなか行政として実施するのは難しく、やれるならとっくにやってるわ!というものや、それってどうなの?というものがほとんどかと思います。

ですので、突飛な解答は狙わず、間違いない無難な解決策を書いていけば問題ないでしょう。 ただ、知識のストックが無ければその無難な解決策を引き出せないので、様々な模範解答を読んだり、区のホームページなどで実際にやっていることを調べたりして引き出しを増やす努力はしていきましょう

元特別区職員として感じたことは、役所というのは「区民等と恊働」という言葉が大好きだということです。
ですので、区として勝手にやるのではなく、区民や事業者と一緒にやっていきましょう、という流れにもっていけばベターな解答が作れます。
是非使ってください。

④まとめ
解決策をまとめ、最後に区の職員としてこういうことをしていくべきだと思います、と締めれば大丈夫です。

※予備校の模範解答について
模試や問題集などの解答として載っている予備校の模範解答はプロが何度も推敲を重ねながら仕上げたものなのでとてもよく書けており、受験生が実際に本番でこれだけのものを書き上げる人はほとんどいません。
なので、安心してください。あくまで公務員試験の論文は、普通レベルに仕上げればよいのです。上記のような流れで書けばいいんだな、ということをおさえておけばよいでしょう。

3−3 実際に書いてみよう

さて、実際に論文を書く段階になったら必ず問題用紙の余白に解答の流れをメモしてから書き始めてください

箇条書きでかまいません。 特に③の解決方法などは書きながら考えていたら絶対混乱します。混乱すれば論理的文章は絶対に書けません。メモをしてから清書をすることを、面倒がらずに行ってほしいと思います。

そして、いくら書き方を学んだところで実際に手を動かして文章を書かないと、せっかく身につけた方法や思い浮かんだアイデアも本番でうまく文章として表すことができません

頭の中で「こういう感じでいいだろう」という段階でとどめるのではなく、「必ず」アウトプットをしていってください。

教養試験や専門試験でも、テキストを読んだり講義を受けただけではわかったつもりでもいざ問題を解くとさっぱり、ということはありますよね?
それと同じで、論文も書くことで情報をアウトプットしていかなければ、文章を書くのが本当に得意という人でなければいざというときに書けないものなのです。

また、論文は自分では書けているつもりでも実際に第三者が読むと、よく意味が分からない文章であることが往々にしてあります
ですので、実際に過去問や予想問題などを書いてみて、できれば人に見てもらい添削してもらうことが重要です。

予備校に通っているのであれば先生に見てもらい、独学の方は通信添削とかでもよいでしょう。
大切なのは「ひたすら書いて人に見てもらう」という反復練習です。

書かないと書けるようにならない。至極当然です。

繰り返すことで論文を書く筋力を鍛えていきましょう。 地道ですが確実な方法なので、たとえ最初は書けなくてもコツさえつかめば誰でも書けるようになってきますので、諦めずに続けていってくださいね。

小論文のネタ探しをしている人は迷わず本書をおすすめします。

地方上級・国家一般職[大卒]・市役所上・中級 論文試験 頻出テーマのまとめ方 2017年度
地方上級・国家一般職[大卒]・市役所上・中級 論文試験 頻出テーマのまとめ方 2017年度

様々な出題されるであろうテーマを扱っており、どういったことを書けばいいのかがまとめられているので一冊あれば安心の対策本です。

ただし、かなり細かい内容も掲載しているためまともに読もうとすると大変です。また解答例もものによっては難解な書き方をしているものもあります。
論文は知識を披露する試験ではないので、あくまで参考程度に軽く読んでみることをおすすめします。

3−4 対策時期について

そして最後に、いつから対策をすればいいのかということですが、もちろん早いに越したことはありません。
文章を書くのが得意な人は1か月前でもよいかもしれませんが、苦手な人は年が明けてから一度は書いてみてください
意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことに気づくかと思います。

一度書いてみて書けそうだと思ったら春先に本格的に取り組む。やはり苦手だと思ったら、年明けからコツコツと書いてみることが大事です。

特別区の論文の重要性から、都内の学内講座では10月ころから論文の授業が始まったりしていますので、自分の文章能力を過信せずに早めにとりかかることを意識しておくとよいでしょう。

4 まとめ

論文対策は軽視されがちですが、合否を左右するとても重要な試験です。
筆記試験対策で大変なのは理解できますで、論文で落ちてしまっては悔やんでも悔やみきれないでしょう。
基本を知り、とにかく書いて見てもらう。ただそれだけです。
苦手意識がある方は特に早めの対策をするようにしましょう!

特別区人事委員面接の形式と具体的な対策を解説

特別区の採用試験は、初めに1次試験として筆記試験が行われ、合格すると特別区人事委員会による2次面接を受けることができます。

そしてそれに合格すると最終合格となり、その後各区の採用面接を受けることになります。

つまり内定をもらうまでには最低でも2回の面接を受ける必要があるということですが、その中で今回は2次試験にあたる「人事委員面接」の内容と対策についてお伝えしていきます。

区面接で希望の区から連絡が来る可能性を高めるためにも人事委員会の2次面接は重要となってくるので、受験の際の参考になればと思います。

※本記事は平成29年度特別区1類試験に最終合格された方に取材し、作成しています

2次面接の形式

特別区の2次面接がそもそもどのようにしておこなわれるものなのかを把握していただくために、まず面接の形式等について説明していきます。

特別区の面接時間は受験者1人につき30分間で、面接官3名:受験者1名でおこなわれる個別面接です(ブースごとに面接官がいるため、どのような面接官に当たるかは運です)。

会場は体育館のような広い部屋がパーテーションで区切られた個別の面接ブースが40ほどあり、そこで受験者が一斉に面接を受ける形式になっています。

試験当日に受付を済ませると自分のブース番号が分かるのですが、ひとつのブースにつき受験者3名が振り分けられていて一人ずつ順番に面接をしていくため、自分の順番が3人目であれば1時間以上は待つことになります。

面接ブースには、試験開始の全体アナウンスを合図に各自入室していきます。ブースのため扉はないですが、「失礼します」と一礼してから入室しましょう。

面接室には受験者側にも机が置いてあり、自分のカバンを持ったまま面接ブースに入るので、机の下あたりに荷物を置くと良いでしょう。面接が終わったあとはそのまま外に出て帰路につくという形です。

面接の内容について

簡単に面接形式について説明しましたが、次に面接試験の内容について、面接カード、質問内容、面接の傾向といった3つの項目に分けて書いていきたいと思います。

面接カードの内容

筆記試験に合格すると合格通知とともに2次試験で使用する面接カードが郵送されてきますので、それを事前記入して試験当日に持参し提出することになります。基本的に面接カードの内容に沿って質問されることになるため、しっかりと準備していく必要があります。

平成29年度特別区Ⅰ類試験の面接カード記入事項は以下のような項目となっています。

①あなたの強みは何ですか。それをいかしてどのような仕事に挑戦したいか、特別区の志望動機も含めて具体的に書いてください。※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
②あなたが今まで最も困難だと感じた状況を挙げ、それをどのように乗り越えたかを教えてください。
③チームやグループで目標達成した経験について教えてください。そこでのあなたの役割と、独自のアイディア等によってどのようにチームやグループに貢献したか具体的に書いてください。
④最終学歴と卒業年
⑤専攻学科
⑥アルバイト以外の職歴

面接カードはA4サイズ1枚で、①~③の項目の記入欄が大きくなっているため、納得のできるしっかりとした内容を考えておきましょう。

人事委員会の面接では、面接冒頭に自己PRと志望動機についての3分間プレゼンテーションがあることを把握しておいてください。

具体的な質問内容

では具体的にどのような質問をされるのか?というのが気になるところかと思いますので、一例として以下のような質問がされます。

  • ここまでどうやって来たのか
  • 専攻学科ではどんなことをしていたか
  • 公務員を目指したのはいつか
  • 特別区の取り組みで気になったものとその理由
  • 希望でない部署に行くことになったらどう思うか
  • 他にやりたい仕事を理由と共に具体的に
  • 特別区の課題とその解決策
  • 面接カードに書いたこと以外で困難だったこと・チームで活動した経験
  • 強みを発揮した他のエピソード
  • 最近関心を持ったニュースと理由
  • 住民から解決できない苦情を言われたらどう対応するか
  • ダイバーシティ・インクルージョンという考え方について区が何かするとしたら何が出来るか
  • ストレスは感じやすい方か
  • 最後に言い足りないことがあればどうぞ

質問の内容については面接官や受験者の話す内容によって変わってきますので、参考程度にしていただければと思います。

また、地方出身の方や国家や民間など他の試験種を多く併願している方などは、なぜ特別区なのかという志望理由や併願状況(特別区が第一志望かなど)も訊かれる可能性が高いと考えられるので、きちんと答えられるようにしておくべきです。

特別区の志望動機の考え方はあなただけの特別区の志望理由を作る方法を詳しく解説を参考にしてみてください。

どのような形で進められるのか

面接は、基本的に3人の面接官が一人ずつ順番に質問してくることになります。

面接の流れは面接ブースにもよるとは思いますが、緊張をほぐさせるための簡単な雑談のあと、冒頭にプレゼンテーションをして、その後人物を見るための質問や区の政策などの質問に入っていくという形が多いと思われます。

基本は面接カードの項目に沿って進んでいくことが多いと思いますが、特別区の場合は面接時間が30分間と少し長めなので、面接カードの内容以外についても聞かれることは想定しておかなければなりません。

公務員を目指した時期や関心のあるニュースなど定番の質問もありますが、その場で考えて自分の意見を答えるような質問もされる場合があります。予め想定していなかったようなことを聞かれても、落ち着いて自分の考えを伝えられれば大丈夫です。

質問内容に関しては、面接カードに書いたアルバイトやサークル活動、学業などのエピソードについての掘り下げ(いつ始めたのか、なぜやろうと思ったのか、どれくらいの規模なのかなど様々)だけではなく、面接カードに書いていない経験を「他には?」という形で質問されることもあり得るので、エピソードは複数準備しておくと安心です。

そのほかにも、自分の性格についての質問や、特別区がおこなっている取り組みや政策、特別区の課題や具体的な解決方法についてなど、特別区についてどれくらい理解しているか、どれくらい勉強しているかを見るような質問もあります。

ただ、区の政策は聞かれなかったという人もいるようなので、そこは面接官次第というところなのかもしれません。

いずれにしても、面接カード+αでいろいろと訊かれると考えておいて良いと思います。

具体的な対策の方法

特別区の人事委員面接は、日程が早い人だと1次試験の発表があってから2週間ちょっとで始まります。

志望度が高いならば早めに対策を始めておくに越したことはありません。
ここからは人事委員面接の対策でやるべきことについて書いていきますので参考にしていただければと思います。

掘り下げに備えた対策が必要

面接では、話した内容や書いた内容に関して深く掘り下げながら質問されていきます。

特に、自分がなぜそう行動したのか、なぜそう思うのかといった理由の部分を訊かれることが多いです。

特別区Ⅰ類の面接はコンピテンシー型でおこなわれるので、自分の過去の行動や経験について、どのような場面でどのように考えてどう行動したのか、そこから何を学んだことは何か、その学んだことをどういかしていけるか、といったポイントをきちんと考えて(思い出して)おくことが大事になります。

面接カードに書いたことに関する内容は掘り下げられて何を聞かれても大丈夫なように、当時の行動の理由や意志、きっかけ等を思い出しておき、本番で訊かれたとき矛盾なく答えられるように意識して対策することが必要です。

具体的には、例えばアルバイトの話をするとしたら、どうしてこのアルバイトを始めようと思ったのか、そこで気を付けていたことはどんなことか、何が大変だったのか、失敗した経験はあるか、その失敗をどう対処していったのかなど、いろいろな質問が浮かんできます。

このように自分の持っている経験やエピソードについて質問されそうなことを自分で想像して、それに対する回答を考えていくといったやり方で対応できます。

また、周りの人に実際に質問してもらうというのも良いでしょう。

3分間プレゼンテーションについて

次に、特別区人事委員会の面接の特徴ともいえる「自分の強みをいかして特別区でどのような仕事に挑戦したいか」についてのプレゼンですが、ここは気になる方も多いと思います。

これに関しては正直面接官がどの程度まで内容を聴いているのかは分かりませんが、初めの印象は大事ですし最初がうまくいくと気持ちも軽くなるものなのできちんと準備することをおすすめします。

プレゼンと聞くと少し腰が引けてしまうかもしれませんが、自己PRと志望動機を繋げて話すということなのでそれらの準備がきちんとできれば意外とうまく話せるものです。

具体的な対策方法としては、

  • 自分のPRしたい強み
  • 自分がやりたい仕事や挑戦したいこと
  • 特別区でそれをしたい理由
  • その仕事で自分の強みをどういかせるか

といった点についてまず考えて、それらをつなげてプレゼンの原稿をつくっていくのが良いと思います。

3分間なので字数にするとだいたい900字前後が目安です。面接カードにはそのプレゼン原稿を短く編集したものを書けばまとまります。

以上の内容を話す順番ですが、一例として、

自分の強み→その強みを裏付けるようなエピソード→特別区を志望する理由と特別区でやりたい仕事→具体的に挑戦していきたいこと→その際に強みをどういかせるか

という流れで話すのもよいでしょう。

必ずしもこの通りである必要はないですが、自分がどのような仕事をしたいと考えているのかを具体的に述べることを意識して、やりたい仕事に関する自分のオリジナルな案などを盛り込むとより伝わりやすくなると思います。

これはプレゼンでも通常の面接でも変わらない考え方ですので、意識するとよいでしょう。

また、自分の強みや志望理由等は、自分自身の何かしらの経験に基づくものであると説得力が増す(やりたい仕事の根拠としての具体的なエピソードが必要)ので、そこはきちんと意識して内容や話す順番を考えていくと良いです。

気を付けるべき点は、難解な言葉を使ったりせずに初めて聞いても分かりやすい内容にするということです。

これはプレゼンに限ったことではありませんが、自分がどんな人間なのかを相手に分かりやすく伝えていく、というところが大事です。

練習方法としては、実際にプレゼンをまわりの人に聞いてもらって客観的な感想を貰うのがおすすめです。

時間は3分間ぴったりでなくても大丈夫ですが、あまり短いと指摘される可能性もあるので3分前後はきちんと喋れるようにしておきましょう。

実際に話そうとすると早口になってしまったり話そうと思っていた内容を飛ばしてしまったりする可能性もあるので、自然にすらすらと話せるように模擬面接や自宅などで練習することをおすすめします。

また、ブースはかなりしっかりと区切られているため、まわりの声が丸聞こえということはありませんが、少しざわついた感じはあるので、大きめの声ではっきり話すことを心掛けるようにしましょう。面接官が抱く印象も良くなるはずです。

プレゼン対策については特別区3分間プレゼンを自信を持って発表するためにやるべき対策でも詳しく解説しています。
また、話し方に自信のない方は「伝わる」を意識した面接で良い印象を与えるための話し方の記事も併せて参考にしてください。

特別区の情報収集

採用面接において、志望する自治体について知っておくことは不可欠です。以下のようなところで特別区についての情報収集ができますので参考にしてください。

東京区政会館

飯田橋にある東京区政会館では、区政等に関する情報を閲覧したりパンフレットや各区報などを入手したりできます。

特別区人事委員会採用ホームページ

採用試験情報や各区の特色、採用関連イベント等の情報を確認することができます。

23区合同説明会等各種説明会

毎年開催されている東京23区の合同説明会では、それぞれの区が説明会やパネルディスカッションなどをおこなっていて、実際に職員の方と話せたり一度にさまざまな区の情報を入手できたりします。

志望理由のネタ集めや希望区を決める上でも参考になります。予約申し込み制なので、参加したい場合は情報をこまめにチェックしておく必要があります。
そのほかに、特別区の特徴や取り組み、課題や問題点などを把握しておくことで、特別区に対する関心を持っていることを示すことができます。

例えば待機児童問題や空き家問題、放置自転車対策など特別区の主な課題や問題点について、それがなぜ問題となるのか、その問題点についてどう思うか、どう対応していけばいいと思うか、といった自分の意見を整理しておくと面接時にいかすことができると思います。

特別区の取り組みや施策については自分の気になる分野に関連する取り組みを各区のホームページなどで調べて把握するとよいでしょう。

そういった区の取り組みについての感想や改善点等を訊かれるかもしれないので、念のため考えておくことが望ましいです。

街歩き

上に書いた話とも関連しますが、実際に街を訪れて自分の目で見てみるということはやっておいて損はないかと思います。

面接で聞かれる可能性もありますし、区の情報収集や志望理由等のネタ集めにもなるからです。

本格的に街歩きをするのは区面接に進んでからで良いと思いますが、2次面接の前にも自分の志望区を中心に区役所を見に行ったり、やりたい分野に関連のあるところを訪問したりして自分の目で見ておくと印象にも残りやすく、志望度の高さをアピールすることもできます。

また、やはりホームページだけ見るのと実際に街を歩くのとでは感じられるものが全く異なります。

遠方の方は難しいかもしれませんが、近くに住んでいる方はぜひ実際に街を見てみましょう。

まとめ

特別区の2次面接の倍率はさほど高くはないですが、1次試験の結果が良くても最終不合格となってしまうケースもあるためしっかりと対策はしておきましょう。また、最終合格しても順位が低ければ希望している区から連絡が来ない場合もあります。

そのため上位での最終合格を目指す方や、特別区の志望度が高い方はそれなりに対策が必要だといえますが、それでも基本的なところを抑えてきちんと対策をしておけば決して難しいものではありません。

特別区をこれから受験される方にこの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

▼参考記事

[blogcard url=”https://ask-koumuin.com/tokubetsuku-interviewcard/”]

特別区経験者採用試験の面接対策方法について詳しく解説

特別区試験の対策方法に関する情報は、一般的にはI類採用試験についてのものが多いので、経験者採用試験の情報収集をされている方は大変ではないでしょうか。

今回の記事ではそのような課題を感じている方へ向け、特別区経験者採用試験の面接についてお伝えいたします。

今回の記事を読んでいただくことで、

  • 特別区経験者採用試験の面接についての概要
  • 特別区経験者採用試験の面接の対策のステップ

これらのことがわかります。

※面接の方式は見直される可能性があるため、必ず最新の要項を確認するようにしてください

特別区経験者採用試験の面接の形式について

特別区経験者採用試験の面接には、人事委員会が実施する面接と、各区が実施する面接があります。

どちらも特別区職員として働くためにはクリアしなければならない関門ですが、内容は大きく異なります。

人事委員会面接について

特別区試験の人事委員面接とは、筆記試験をクリアした人が受けられる、23区一括で行われる面接試験です。

人事委員会面接は、現在は面接回数が1回のみで、大田区にある産業プラザPioで実施されます。

会場は個室ではなくブース式になっており、雑音の多い環境で面接をすることになります。

面接は事前に提出する書類(履歴書、職務経歴書、面接カード)の内容を参考に行われます。

区面接について

区面接とは、人事委員会面接に合格した人が受けられる、各区で行われる採用面接のことです。

区面接は面接に呼ばれた区に行くことになるのですが、必ずしも希望の区に行けるわけではなく、人事委員会の合格者名簿の合格順位を参考にどの区に割り振られるかが決まります。そのため、希望の区に行きたいのであれば、人事委員会試験をなるべく高い順位で合格する必要があります。

区面接の内容は区によって様々であり、個別面接だけではなく、集団面接やグループディスカッションやプレゼンテーションを課せられることもあります。

区面接で合格すればそこで採用内定、不合格の場合は別の区から呼ばれるのを待つことになります。

なお、経験者採用2級職に関しては、区面接も1発勝負であり、不合格になった場合他の区の面接を受けられるということはありません。

とはいえ、経験者採用2級職の区面接は意思確認の場として位置づけられており、不合格になる恐れはほとんどないようです。

特別区経験者採用試験の面接対策

次に、特別区経験者採用試験の面接対策をご紹介します。

特別区経験者採用試験では、I類採用試験よりも面接対策としてやるべきことが多いので、注意してください。

やるべきこと及び注意すべきポイントは、以下の4つです。

なるべく早めに対策を始める

公務員試験の面接は筆記試験後から始めればいいと言われることが多いですが、実際はそれでは手遅れになるケースが多いです。

民間企業に勤めコミュニケーション力が高い方や、面接が得意な方は「公務員の面接くらい余裕」だと思っている人もいますが、民間企業と求められるものが違うので、しっかりと対策に時間をかける必要があります。

目安としては、当然早いに越したことはありませんが、遅くとも人事委員会面接の半年前からは面接対策を始めた方が良いでしょう。なぜなら、申し込みの段階で職務経歴書の提出が必要になるからです。

職務経歴書の作りこみは面接対策の知識が必要になる部分があるため、そのためにもやはり面接対策はなるべく早く始めるべきです。

公務員試験用面接対策の本を読む

特別区経験者採用試験を受験されるということは、過去に民間企業の面接を突破されているはずですが、それでも公務員試験用面接対策の本を一読することをおすすめします。それは、民間企業と公務員試験の面接は問われる内容や、見られる内容に違いがあるからです。

とりあえず本の内容を1冊分しっかりと体得し、あとは練習やフィードバックを通じて改善していくのがよいでしょう。

履歴書&職務経歴書を作りこむ

前述の通り、特別区経験者採用試験では職務経歴書の提出が求められますが、面接当日までではなく、試験の申し込みの段階で提出しなければなりません。

また、履歴書はただ単に経歴だけを書けばいい訳ではなく、詳細な志望動機や自己アピールポイントまで書く必要があります。

そして、職務経歴書や履歴書は面接時に参考資料として用いられるため、これらの完成度が低いと、面接で苦戦します。

逆に言えば、これらの作りこみをきちんと済ませておけば、質問内容を自分の思い通りに誘導できるなど、面接試験を有利に進めやすくなります。

そのため、履歴書と職務経歴書の作りこみにはしっかりと時間と労力を割くことをおすすめします。

自己分析や過去に携わってきた業務のわかりやすい説明など、やるべきことは多くあります。

特に職務経歴書を作成する際は、「公務員として発揮できる強み」「転職目的の整合性」などに気をつけてください。

また、できれば第三者の添削を受けてより内容をブラッシュアップした方がいいでしょう。

ASK公務員ではオンラインにて、特別区志望者向けの面接カード添削を実施しております。不安な方はぜひご利用ください。

模擬面接を受ける

公務員試験用面接対策の本の内容をインプットし、面接試験で使用する資料の作成が済んだら、模擬面接をしましょう。

模擬面接を通じて第三者のチェックを受けることで、自分自身では気づけないことに気づける。

例えば、考え事をしている時に目線があちこちに向いてしまっていたり、発言内容に矛盾があったりということは、話している本人はなかなか気づかないものです。

しかし、これらの欠点に気づかずにそのまま面接試験本番に臨んでしまえば、合格できる可能性は当然低くなります。

公務員試験の模擬面接は、ハローワークやジョブカフェで無料で受けることができます。特にこれらの施設で働いている方は公務員が多いので、実際に試験を突破している先輩のアドバイスを聞くことができます。

ただし彼らは面接指導のプロというわけではありませんので、金銭的に余裕のある場合は、予備校などでプロ講師の指導を受けた方がいいかもしれません。

まとめ

以上、特別区経験者採用試験の面接試験の概要と、対策方法についてお話させていただきました。

特別区経験者採用試験といっても他の試験と対策方法は基本的には同じです。

面接は試験の中でのウェイトが大きいので、じっくり対策に時間を割くようにしましょう。

特別区の区面接の形式と具体的な対策方法を詳しく紹介

特別区Ⅰ類の採用試験では、1次の筆記試験と2次の人事院による面接試験に合格すれば最終合格となりますが、最終合格=内々定、というわけではありません。

最終合格後に各区による採用面接(区面接)を受け、合格となればその区から内々定がもらえる仕組みになっています。

つまり、この区面接に合格しなければ内定ではないので、最後まで気を抜かずしっかりと対策をしなければならないのです!

今回はその区面接の傾向と対策等についてお伝えしていきます。各区によって内容や形式はさまざまですが、区面接を控えている方や特別区の受験を検討されている方などに参考にしていただければと思います。

1.区面接の概要

まずは区面接の基本的な流れについて確認していきましょう。

1-1.区面接までの流れ

まずは最終合格から区面接までの流れを簡単に説明します。

特別区に最終合格をした人は、高得点順に「採用候補者名簿」というものに名前が記載され、各区に採用候補者として高得点順に提示されます。
その提示を受けた各区が各採用候補者に連絡を取り、面接等の試験を独自におこなうことで内定者を決定する、というのが大まかな流れです。

この区面接の連絡は、最終合格発表日当日~翌日ごろに電話がかかってくるという方が多いようです。

合格発表を確認後は、いつ区から電話がかかってきても大丈夫なように心の準備をしておきましょう。

1-2.どの区から呼ばれるのか

特別区採用試験の出願時に希望区を第一希望から第三希望まで3つ書くことができますが、その希望通りに連絡が来る人もいれば、まったく希望に書いていないところから区面接の連絡を受ける人もいます。

各区がどのようにして区面接の受験者を決定しているのか、何人くらい面接に呼んでいるのか、というところは公表されていないため分かりませんが、最終合格順位が高いほど希望の区から連絡が来る可能性は高まると考えられます。

自分の最終合格順位は最終合格通知に記載されているので、それで知ることができます。

1-3.区面接のチャンスは1回ではない

当然ながら1回目の区面接で全員が内定をもらえるわけではありません。

ですが、もし1回目の区面接で残念な結果になったとしてもそこで終わりではなく、最大で7回ほど区から面接の連絡が来るチャンスがあります。

区面接を受けて不合格になった人や提示された区の受験を辞退した人は再び採用候補者名簿に戻され、次の提示を待つことになります。

ただし、必ず連絡が来るとは言い切れません。ですので、希望の区から連絡が来るまで待ち続けるというのはリスクが高いので避けた方が無難といえます。

2.区面接の形式と傾向

ここでは実際に区面接がどのように行われるのか説明していきます。

2-1.区面接の形式

区面接は各区によって形式が異なります。

個別面接のみの区や集団討論、プレゼンテーションを課すところ、職員との面談があるところなどさまざまです。

面接日程や試験時間、面接カードの内容、結果通知時期等も区によって違うので、自分が受ける区の試験の詳細は、各区から面接の詳細が届いてから確認していただくか、予備校に通われている方であれば各予備校の持っている過去の情報を参考にしていただくか、という形になります。

2-2.面接での質問内容

このように区ごとに試験形式や内容が異なるため、訊かれる質問内容も変わってきますが、実際に面接ではどのような質問をされるのか?というのはやはり気になるところだと思います。

一般的な傾向として、区面接では人事委員会の面接とは異なり、その区に焦点を当てた質問をされるということがいえます。

例えば単に特別区を志望する理由だけではなく、「なぜ○○区を志望しているのか」「この区でやりたいことはなにか」といった「区」の志望理由を訊かれたり、「○○区のよいところや改善すべきところはどこだと感じるか」「○○区の取り組みで気になったものはなにか」「実際に○○区を訪れた印象は?」といったその区に対する関心があるかどうかを見るような質問をされたりします。

そのため、自分の受ける区の特徴を把握し、そこでどんな仕事をしたいのか、なぜその区を志望するのかといったことについて考えて臨む必要があります。

もちろん自己PRや趣味などについての質問や、アルバイト、ゼミ、サークル活動といった経験に関する掘り下げもされますので、2次面接時と同様、自分自身についての振り返りも重要となります。

参考までに、実際の区面接でおこなわれた質問内容として以下のようなものがあります。

● 自宅から区役所まで何分で来られるのか
● ○○区を志望する理由
● 公務員を目指した時期
● ○○区を訪れたことはあるか
● 卒業論文のテーマを選んだ理由
● サークルでの活動内容
● 趣味を好きになったきっかけ
● カードに書いたこと以外でやりたい仕事はあるか
● 最近の自治体のニュースで関心を持ったもの

区面接の流れや内容を少しでもイメージしていただけたでしょうか?

3.区面接の具体的な対策方法

さてここからは、区面接に臨むにあたっての対策と心構えについて解説します。
繰り返しとなりますが、区によって試験形式や面接カードの内容がさまざまなので、「こう対策するべき!」ということは一概には言えませんが、どの区を志望されている方にとっても参考となるような対策方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

3-1.志望区について知る

無事に区面接に呼ばれたらその準備をしていくことになりますが、希望していた区から連絡が来た方もいれば、全く考えていなかった区から呼ばれたという方もいるでしょう。

いずれにしても、区面接に臨むうえではまず志望区について知るというところが重要です。

自分が受ける区について知らなければ志望理由もなかなか考えられません。

各区についての情報収集は、主に区のホームページや区報、区役所や区の関連施設に置いてある各種広報物等によっておこなうことができます。
飯田橋の区政会館にも各区の情報が集まっていますので、近い方は足を運んでみることをおすすめします。

特にホームページは情報量が多いため最初はどこから見ていけばいいのか迷うと思いますが、少しずつ自分の気になるところから見ていくようにしましょう。

もし志望する区に住む知り合いなどがいれば、その人に話を聞いてみるというのもおすすめです。
また、3-3でもお伝えしますが、街を歩いて自分の目で街の雰囲気を感じることも志望区を知る上では重要です。

区についての情報収集をする上での主なチェックポイントは、以下のような点になります。

情報収集のポイント

① 志望区の基本情報(人口、高齢化率、子どもの数、区長の名前、財政状況など)

② 各区の特徴(企業の数が多い、昼間人口が多い、住宅地が多い、緑地面積が広い、海抜が低い、医療機関が充実しているなど)

③ 志望区が力を入れている取り組みやプロジェクト、重点施策、各区の課題(区の基本計画や区政運営方針等のページ、区議会だよりなどで確認できます)

また、自分がやりたい仕事に関して、実際に区が行なっている取り組みを調べることも重要です。

そういった区の取り組みについての感想や改善点、自分ならどうするか、といったことを面接で訊かれる可能性もあるので、興味のある分野に関する施策はホームページなどを利用して把握しておくことが望ましいです。

このようにあらかじめ志望区の情報収集をして、○○区政のどういうところに興味を持ったのか、なぜそれに関心を持ったのか、きちんと言えるように準備しておきましょう。

3-2.志望理由の考え方

区面接においては単に特別区職員の志望動機だけでなく、特にその区の職員を志望する理由を作る必要があります。

希望外の区面接を受ける場合はなおさらしっかりと考えておかなければなりません。

そのためにも、上に書いたように志望区の情報収集をしたり街を自分で訪れたりして志望区の特徴を把握しておくことが重要になります。

具体的な志望理由の作り方は、自分のやってみたい仕事をいくつか挙げてみて、把握した志望区の特徴や課題、力を入れている取り組みなどと関連付けていくことでスムーズに考えることができるでしょう。

例えば、以下のように考えてみるとよいでしょう。

私は~~という経験から子育て支援の仕事をしたいと思っているが、その中で○○区は近年子どもの数が増えていると分かり興味を惹かれた。
一方で待機児童などの問題も深刻であると知ったことから、私も○○区職員として区のそういった課題に取り組み、○○区を子どもが健やかに育っていけるまちにしていきたいと考え志望した。

また、志望区に関係する自分自身の何かしらの経験などがあれば、それを志望理由につなげるのも良いでしょう。自分の経験に基づくものであればオリジナリティが増します。

しかし、ただ単に「その区に住んでいるから」「区内の学校に通っていて馴染みがあるから」といったことだけでは区の職員を志望する理由にはならないので気を付けましょう。

やりたい仕事について触れる際には、なぜその仕事をしたいのか、自分がその区で具体的にどのようなことをしてみたいのか、具体例や自分の考えたオリジナルなアイデア、自分の過去の経験などを出して話すと面接官の印象にも残りやすくなるので、その点は意識しながら対策することをおすすめします。

志望理由に限らずですが、具体例を挙げて説明するということは常に意識しておいてください。

3-3.街歩き

先に少し触れましたが、区面接に臨む前に自分の受験する区を実際に訪れる、いわゆる「街歩き」をすることをおすすめします。

やはり自分の目で街を見たり、実際に歩くことはその街の「リアルさ」を感じることができます。ホームページやパンフレットだけでは得られない情報を入手できますし、面接時に志望度の高さや熱意をアピールすることもできます。

遠方の方はなかなか厳しい場合もあるとは思いますが、可能な方はぜひ区内をまわってみてください。

街歩きする上では、最低でも区役所ややりたい仕事に関連する施設、区の有名なスポットなどはまわっておきたいところです。

例えばやりたい仕事が防災だとしたら、区内にある防災センターや防災館を訪れたり、街中にある防災に関連した掲示(海抜表示など)に目を向けてみたり、災害時に救急車が通れそうな道幅があるかを注意して見てみたり、といった感じで街歩きすると良いでしょう。

区役所では、職員の対応の様子や来庁者の様子を観察したり、庁舎の案内掲示などが分かりやすいかどうかに目を向けたりして、しばらく庁舎内を見て回るのがおすすめです。

また、同じ道を歩くのであっても、防災の観点、バリアフリーの観点などその時々でテーマを決めて歩くことで、ただ漠然と歩くよりも得られるものが多くなります。

その際には、住民側の視点だけでなく、行政の立場から改善できそうなところがないかどうか、自治体職員になったつもりで観察してみるということを意識すると良いです。

次に街をめぐる際のおすすめの方法を2つ紹介します。

①シェアサイクルを利用する

千代田区、港区、中央区、渋谷区などを志望する方であれば、これらの区がおこなっているコミュニティサイクル事業を活用して、シェアサイクルを利用しながら街をめぐってみるのも良いでしょう。自転車を使えばより広範囲を回ることができますし、自転車が通りやすい道なのか、歩行者や自動車の通行量はどれくらいなのかといったことが実感でき、その街の良いところや課題が見つかりやすくなります。

②地域のコミュニティバスに乗る

渋谷区の「ハチ公バス」や港区の「ちぃばす」など、区によっては地域のコミュニティバスが走っています。このコミュニティバスに乗りながら、区役所の支所や関連施設をまわってみるのもおすすめです。
バスの利用者やまちの雰囲気、交通事情などを観察できますし、そのバスが利用しやすいかどうかといったことも実感できるでしょう。

街を巡った際に感じたことや街の様子などはメモをとっておき、あとで読み返して思い出せるようにしておきましょう。
遠方に住んでいて街歩きが出来なかった場合は、上記のことを意識しながら試験当日にでも少し街をのぞいてみると良いと思います。

3-4.区面接に臨むにあたって

区面接は人事委員会の面接と違って、基本的にその区で働いている職員が担当することになります。

つまり、面接官は将来的に一緒に働く上司となる可能性があるということです。そのため、面接官に、この人と一緒に働きたいと思ってもらえるような受け答えや態度をとるように心掛けましょう。

当たり前のことですが、①身なりをきちんと整える、②相手の目を見て積極的に話す、③嘘はつかずに正直に答える、といったことを改めて意識して面接に臨んでいただきたいと思います。

また、区面接では受験者が内定を辞退しないかどうかという点も面接官が気にしているポイントなので、特別区が第一志望であることをしっかり伝える必要があります。

併願をたくさんしている人や民間企業の内定を持っている人などは、志望度の高さをきちんとアピールできるようにしましょう。

4.まとめ

特別区に最終合格をすると少し気が抜けがちですが、この区面接に合格するまでは内定は得られませんし、採用漏れというケースもないとは言えません。

ただ、区面接では受験者がその区の雰囲気に合っているかどうか、その人を採用して違和感なく働けるかというところを見ていると思われますので、もし1回の面接で不選択になってしまってもこの区とは縁がなかったと割り切ることが大事です。

筆記試験から内定までは非常に長丁場なので大変ですが、区面接まで来られれば特別区職員になれるまであと一歩なので、なんとか最後まで乗り切っていただきたいと思います。

この記事が区面接対策をされる方に少しでも参考になれば幸いです。

特別区3分間プレゼンを自信を持って発表するためにやるべき対策

特別区の人事委員会面接では、最初に「自分の強みをいかして特別区でどのような仕事に挑戦したいか」について、3分間のプレゼンテーションを行なうことになっています。

面接の冒頭はたいていの人が緊張するものですが、最初のプレゼンでうまくいけばその後の面接も余裕をもって受け答えできるはずです。

そこで、この3分間プレゼンを、自信をもって発表するための準備方法(対策)をお伝えします。

3分プレゼンの原稿添削開始しました!詳しくはこちらからご覧ください。また、例年好評の面接対策はこちらからどうぞ。

1.3分間プレゼンで大切なこと

3分間という時間は、話している受験生にとってはあっというまかもしれませんが、聞いている面接官にとっては、けっこう長く感じるはずです。
面接官がどの程度まで内容をしっかりと聴いてくれているかは正直なところ分かりません。

ただ、あえて3分間のプレゼンをさせるということは、受験生の表現力や伝える力を確認したいのは間違いないでしょう。

特別区の職員になれば、職員間だけではなく、市民や企業、他の官公庁の人に何かを伝える場面というのが必ずあります。
そのときに必要な能力を面接で見ているとも言えるでしょう。

具体的には、

①その場にふさわしい声量で話している
②相手に分かりやすい表現を使って話している
③伝えたいことが明確である
④理由がしっかりと述べられている
⑤相手に不快感を与えない話し方である

といった点が挙げられます。

たとえば、「①その場にふさわしい声量で話している」について。
特別区の面接会場はブース形式になっており他の受験生も同時に面接を受けているため、なかなかの騒々しさになりますが、そのような状況で、適切な声量で話さなければなりません。

本人が思っている以上に、声が聞こえていない可能性もよくあります。

また、「⑤相手に不快感を与えない話し方である」という点も、プレゼンに限らず面接を通して非常に重要な点です。
無表情で早口、高圧的な話し方、プレゼンの準備をほとんどしていないと思われるようなたどたどしい話し方、などは大きくマイナスになります。

無意識のうちに不快感を与えるような話し方・態度をとっていないか事前に確認しておきましょう。

さて、形式的なことになりますが、

プレゼンの始めには、
「それではプレゼンテーションを始めさせていただきます。」

プレゼンの終わりには、
「以上でプレゼンテーションを終了させていただきます。

という一言を付け加えておきましょう。

2.プレゼンの具体的な対策について

面接でプレゼンをする、というと難しく感じてしまうかもしれませんが、特別区のプレゼンの内容は、「自己PRと志望動機をつなげて話す」ということであり、しかも、しっかりと準備期間があります。
具体的には、次の手順にしたがって準備していけば良いでしょう。

step1

まず、下記1〜4について文章化します。字数は問いません。

1 自分がやりたい仕事・挑戦したいこと
(例:地域振興の部署で、地域コミュニティの活性化に貢献したい)
2 なぜ、特別区でそれをしたいのか、その理由
3 自分の強みと、その強みを裏付ける経験(エピソード)
4 自分の強みを、特別区職員としてどのように活かすことができると考えるか

step2

次に、構成を考えます。

構成パターンの例は以下のようなものがあります。

例1・・・自己PRを冒頭にもってくるパターン
自分の強み→その強みを裏付けるようなエピソード→特別区を志望する理由と特別区でやりたい仕事→具体的に挑戦していきたいこと→その際に強みをどういかせるか→まとめ
例2・・・やりたい仕事を冒頭にもってくるパターン
特別区でやりたい仕事とその理由(大学での研究やボランティアなどの経験エピソードなどで理由づけ)→自分の強み→その強みを裏付けるようなエピソード→その強みを仕事にどういかせるか→まとめ

step3

文字数を調整しながら、文章にしましょう。文字数は900字〜950字程度だと、3分間におさまりやすいです。

構成パターンに決まりはありませんが、重要なことは、

①やりたい仕事を明確に伝えること+②自分の経験談をしっかりと入れこむこと

です。

たとえば、地域振興の部署で働きたい人は何百人といるかもしれませんが、それとリンクした自分の経験談を入れることで、自分にしかないオリジナルの志望動機になります。

この点は、プレゼンに限らず面接を通して常に意識しておきましょう。

3.面接官から質問されること

3分間プレゼンが終わると、3人の面接官からいろいろと質問をされます。

質問内容はプレゼン・面接カードの内容によっても異なりますし、面接官によっても異なります。
志望動機を深堀されて合格する人もいれば、軽く質問された程度で合格する人もいるので、何を質問されたか、というのは重要ではありません。

面接対策として、次の2つはしっかりと準備しておきましょう。

・プレゼンで話した内容・言葉について、何を聞かれてもしっかりと答えられるように、プレゼンの文章を自分で精読しておく
・プレゼンの内容と面接カードの内容は重複するところもあると思うので、面接カードの1つ1つについても深堀しておく

以上の内容を準備しておくことで面接官の納得する回答をすることができるでしょう。

4.まとめ

特別区の面接倍率は、他の自治体に比べれば低めの倍率です。
しかし、受験者数が非常に多い分、不合格となる受験者も「数」でいえばかなりのものになります。

ただ、面接の良いところは、しっかりと対策をとり練習を重ねれば重ねるほど、その実力がどんどん向上していくことです。

特にプレゼンは、練習すればするほど飛躍的によくなります。
自信をもって面接にのぞめるように頑張りましょう。

特別区の中で人気区や不人気区はあるの?

特別区の採用試験を申込みをするときに希望(志望)区を第3希望まで書いて提出することになっています。

そのときに気になるのは人気区は採用されるのが難しいのではないか?ということかと思います。

 

人気区は応募が殺到し、倍率が高くなり結果的に採用される難易度は高くなります。

 

これは民間企業でも同じで、人気企業には応募が集まり有名企業だと数百倍にもなったりしますよね?

公務員試験ではこれほどの倍率になることはありませんが、人気のところには人が集まるというのは同じです。

 

では、特別区の中で人気区と不人気区があるのかという話ですが、人気区はありますね。

人気区はやっぱり都心区です。

中でも千代田区や港区、中央区、渋谷区あたりは華やかなイメージがあり、地方出身者でも知っている地名が多いため希望区にしやすいため応募が集まりやすいでのはと思います。

またこれらの区は再開発などが相次ぎ、進化を続けるまちで仕事ができるということは上京して東京で働くという憧れも十分に満たすことができるというのも魅力でしょう。

 

逆に不人気区については、定かではありません。

個人的に下町区(23区の東部のほうですね)はそれほど人気がなく入りやすいかなというイメージがありましたが、これらの区に落ちて下町ではない区(北区とか)に採用された人を知っているので一概にはどうとは言えませんね。

こうした区は都心区とは違い地元出身者が希望する傾向が強いため一定の需要があります。

 

ちなみに各区の最終的な倍率については公開されていないので、とくかく人気区に合格するためには一次試験(筆記試験)と二次試験(人事院面接)で高得点を取る必要があるので、もし都心区で働きたいという人がいれば勉強も面接対策もしっかりとやっていきましょう!(特別区の試験対策についてはこちらを見ればほぼ分かります)

 

なお、特別区にどんな区があるのか知りたい人は、まずは特別区って何?どんな区があるの?をご覧ください。