筆記試験対策

マクロ経済学、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

公務員試験において、経済学は、民法と並ぶ攻略困難科目です。私が出会った受験生の多くが苦戦していました。

出題数が少なければ捨てることも可能です。しかし、経済学全体で以下の出題割合を占めるため、その戦略は賢明とはいえません。

経済学(ミクロ経済学+マクロ経済学)の出題数

・国家一般職:10問/40問

・東京都特別区:10問/40問

・地方上級:11問/40問

・市役所上級・中級:11問/40問

そこで、本記事では、マクロ経済学に絞って、どのように学習をしていけば、8割程度の得点ができるかについて解説していきます。公務員試験は6~7割の得点で筆記試験を通過できる年が多いので、8割取れるということは、得点源科目化(≒得意科目化)していることを意味します。

なお、紹介する学習方法は、初学者で予備校に通っていない方を想定し、入手可能な書籍しか用いません。そのため、どのような方にも取り入れられます。是非、この記事を参考に勉強を進めていっていただき、マクロ経済学を得意科目化してください。

※本記事は、国家総合職を除く大卒公務員試験種を対象としています。
※ミクロ経済学については、下記の記事を参照ください。

【公務員試験】ミクロ経済学8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

2.マクロ経済学とは?

マクロ経済学は、一国全体の経済に関する理論を学びます。例えば、失業率が下がっているとき、物価はどうなっているかだったり、一国の経済モデルを設定し、財政政策や金融政策が効果があるのかだったりを学びます。

そして、公務員試験で出題されるマクロ経済学の主な範囲は以下の通りです。

(1)国民経済計算関連

一国の経済活動は国際比較可能な形で記述されています。これを国民経済計算というのですが、ここにある様々な指標を学びます。代表的には、GDP、物価指数などです。数値の現況は教養試験の時事などで問われ、マクロ経済学では各指標の定義を適切に理解しているかが問われます。いずれにせよ、理論というよりも統計の話の単元です。

(2)財市場分析(45度線分析)

モノやサービスの取引をする市場を財市場と言います。この市場における総需要と総供給を導出し、その均衡はどこになるのかであるとか、インフレギャップ、デフレギャップ乗数理論ビルト・インスタビライザーとかを学びます。

(3)貨幣市場分析

おカネに関する需要(貨幣需要)と供給(貨幣供給)に関する論点を学びます。ここでは、貨幣需要曲線と貨幣供給曲線の導出と均衡だけでなく、貨幣の定義信用創造中央銀行の役割(金融政策含む)などを学びます。

(4)ISーLM分析

(2)と(3)の市場の同時分析をIS-LM分析といいます。ここは、頻出中の頻出単元です。毎年どの公務員試験種でも1問以上問われることになります。

(5)国際マクロ

(2)は輸出入がないモデルを学習するのですが、これを変更します。海外とやりとりがあることを開放経済モデルと言いますが、そのようにします。それから、為替レートの決定理論や、国際収支曲線(BP曲線)を(4)に加えたISーLMーBP分析(≒マンデル・フレミングモデル)などが出題されます。

(6)AD-AS分析

(4)に労働市場を加えて同時分析することをADーAS分析と言います。三つの市場を含んだモデルにおいて財政・金融政策がどうなるかを問う単元です。

(7)ケインズ派以外のマクロ経済学

(2)~(6)は、ケインズというマクロ経済学の創始者並びにその影響を受け理論を発展させた学者群(ケインズ派と言われます)の考え方に基づいた理解です。しかし、マクロ経済学には、ケインズ以外の主流派経済学である古典派(新古典派含む)の考え方もあります。その論点を学びます。
また、ケインズ型消費関数以外の消費関数ケインズの投資理論以外の投資に関する理論も学習します。

(8)経済成長論

(2)~(5)は数か月程度、(6)(7)でも数年程度の期間を想定した理論なのに対し、経済成長論はかなり長期のマクロ経済学を分析した理論です。こちらも、ハロッド=ドーマー型というケインズ派と、ソロー=スワン型という古典派の経済成長論があります。また、ソローの成長会計という経済成長の要因分析もよく出題されます。

その他、インフレーションフィリップス曲線などの単元もあります。なお、赤字がよく出題され、青字がそれに続き、黒字がさらにそれに続く出題のイメージとなります

3.マクロ経済学の学習方法(参考書紹介付き)

ここからは、マクロ経済学の攻略方法をお伝えします。

(1)インプット編

まずは、公務員用に書かれた基本書での学習です。このとき、大事なことが2つあります。1つ目は、前から順番に学習をしていくということです。理由は、マクロ経済学という科目が積み重ねだからです。前の単元を引き継いで次の単元が展開されていくということです。例えば、上述「2」の(2)財市場を理解した上で、(3)貨幣市場を押さえないと、(4)のISーLM分析ができないわけです。

2つ目は、多少分からないところがあっても気にせず先に進み、後で関連したときに返り読みするということです。理由は、後になればなるほどモデルの設定が複雑になっていくのですが、そのときに以前のモデルとの比較がされますので、その時に以前の理論が分かり理解が深まるからです。

例えば、筆者が初学者だったとき、AD-AS曲線の学習する際に「ここから物価が動きます」とテキストにあったことで、「IS-LM分析って物価一定が前提だったんだ」と認識し、そこで振り返るとIS-LM分析の理解が深まりました。初学者は、筆者みたいに、最初はよく分からなかったり、重要なところだと思わずさらっと読み進めてしまったりしがちです。そして、後の記述に触れることでその点が分かってきて、理解が深まることが多い科目がマクロ経済学です。この点を含んで通読と返り読みをすると良いでしょう。

この2点を気を付けつつ、学習に使う基本書としてお勧めなのが、
公務員試験 ゼロから合格 基本過去問題集 マクロ経済学』(以下、ゼロから本と表記します)です。

こちらの本は、テキスト部分と問題部分があります。1周目は、問題を解かなくて良いので、どんどんテキスト部分を上記の2点に気を付けながら読んでいきましょう。

(2)アウトプット編

『ゼロから本』は2周目において、テキスト部分を再読した後に問題を解いていきましょう。ここから、アウトプット編がスタートします。

3周目は各章とも、問題から解いていき、間違えた場合に、復習として解説だけでなく、テキストの該当部分に立ち返える使い方をします。これで、かなりの解答力が身についたと言えます。

ただ、『ゼロから本』は、少しひねった問題などが少ない傾向にあります。そこで、仕上げとしては、問題集を使います。

問題集は、スーパー過去問も良いですが、数学が苦手な方&見開き問題が好きな方はLECの解きまくりシリーズの方が良いでしょう。

2025-2026年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【14】マクロ経済学

なお、問題集は、『ゼロから本』で収録されていない問題だけをやればOKです。問題集も2~3回転(2,3回転目はできなかった問題のみ行う)することで、8割の解答力がつくことでしょう。

4.まとめ

本回は、マクロ経済学の択一式を試験当日に8割正答するための方策を伝えました。お勧めの参考書と利用法は、『ゼロから合格!マクロ経済学』でインプット&アウトプットした後に、スーパー過去問か解きまくりシリーズのマクロ経済学でさらなるアウトプットとなります。

そして、インプットの時には、前から順番に行うことと、多少分からない部分があっても立ち止まらず読み進めるということが大切です。先に進んで見て、前との比較部分がきたら振り返り学習をすると良いでしょう。

以上が参考になれば幸いです。

なお、こうした勉強法をしようと挑戦したとき、どうしてもインプットがうまくいかない(分からないところが多すぎてさすがに読み進められない)であったり、アウトプットしてみたけれど全然解けるようにならないであったりの場合は、個別レッスンを受けると見通しが持てたり、改善ができたりするのではと考えます。

究進塾では、個別指導で経済学指導をしていますので、興味がある方は無料相談・体験授業などをご検討ください。お待ちしています。

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特別区の数的処理の傾向と対策(数的推理・判断推理・資料解釈)を徹底解説!

1.はじめに

公務員試験は、過去問分析が肝要です。なぜなら、過去問の傾向から大きくズレない形で出題されるからです。

これは、特別区を受験する場合にも当てはまります。

そこで本記事では、大卒レベルの特別区教養試験で課される数的処理(判断推理・空間把握/数的推理/資料解釈)に関する出題数と傾向をお伝えします。この記事を読み、対策の方向性を定める参考にしていただければ幸いです。

2.判断推理・空間把握の傾向と対策

判断推理・空間把握の出題数は例年10題です。判断推理が6題空間把握が4題となっています。

(1)判断推理

頻出出題テーマを判断推理から申し上げます。

まず、文章条件からの推理(例えば、順序関係、対応関係など)という分野における「試合の勝敗」という単元です。直近を分析すると、令和2年度から5年連続で出題されていますのでかなり頻出です。そして、特別区の「試合の勝敗」の問題レベルは、他の大卒公務員試験種と比べると難易度が易しいことが多いので、しっかり演習をして得点源にしましょう。

次に、暗号と規則性という分野の「暗号」という単元です。これは、他の公務員試験種ではあまり頻出ではないのに対し、特別区では毎年出るといっても過言ではありません。したがって、しっかり演習することが大事なのですが、毎年出ているだけあり、様々なバリエーションで出ています。例えば、「元素周期表」や「16進法」が暗号に用いられた年度もありました。そのため、学習することは大事ですが、過去問の法則で導けないときは深入りしない判断も大事となるでしょう。

(2)空間把握

空間把握は平面図形と空間図形に分かれます。

平面図形の頻出は、まず「軌跡」という単元です。令和7年現在、実に10年以上連続で出題されています。軌跡は、苦手とする方が多いです。指導していると、捨てようとする方によく出会います。しかし、図形などを動かすときに着目すべき点が分かるようになると意外にスムーズに解けます。そのため、特別区を受験する方は必ず学習しておきましょう

次に、平面構成や平面分割の方が、折り紙・位相と経路・方位と位置といった他の単元より出題頻度が高いです。とはいえ、後者の方でも10年間で3から4回ずつは出ています。したがって、軌跡→平面構成→平面分割と進んだ後は、折り紙・位相と経路・方位と位置のうち昨年度出ていない単元はみておくと良いでしょう。

空間図形においては、「投影図」からの出題が頻出です。また、サイコロは出始めると連続して出ています(例えば、令和3~5年度は3年連続で出題)ので、昨年出ていたから勉強しないとはせずに、「展開図」という単元全体の学習をしておきましょう。その次は、「正多面体」です。なぜなら、知識で解ける問題が多いからです。

3.数的推理の傾向と対策

数的推理の出題数は例年5題です。

このうち、少なくとも1題は図形問題が出題されます。難易度は他の大卒レベルの公務員試験種と比べても易しいので必ず対策をしましょう。おさえるべきは、相似、三平方の定理、三角形・四角形・円の図形的特徴です。

残りの4題のうち半分は、方程式と不等式という分野からで、このうち特に「速さ」の単元(旅人算・流水算含む)がよく出ます。割と複雑な設定の文章を読み解いて解かねばならないのですが、関係を図などで表しながら式を立てる癖を普段の学習によって確立することで、問題が解けるようになります。しっかり準備して臨みましょう。

また、この分野では「比と割合」の単元も頻出です。速さの問題を解く上でも比と割合の考えは大事ですので、土台になると思って、しっかり学習しましょう。

「図形」→「比と割合」→「速さ」の順で学習を進めた後は、「数と式」(約数・倍数や商と余りなど)と、「場合の数・確率」あたりの学習をしておくと、珍しい問題を除いては既習となり、落ち着いて試験に臨めるでしょう。

4.資料解釈の傾向と対策

資料解釈の出題数は例年4題です。

地方上級では概ね1題、国家一般職も3題という中、特別区では資料解釈が重視されているようで4題も出ます。しかも、対策がしやすいです。つまり、特別区受験者にとって資料解釈は是非とも得意になるべき科目と言えます。

対策がしやすい理由は、出題のされ方が令和7年現在、10年以上同じだからです。具体的には、まず、数表が2題図表が2題の構成です。そして、数表も図表も、1題が実数を扱い、もう1題が増減率となっています。

ということで、資料解釈の参考書を用いて、解き方を理解した後は、過去問を10年分ほど解いておきましょう。

なお、資料解釈の参考書については、以下の記事も参考になります。

資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説

5.おわりに

本記事では、「判断推理・空間把握/数的推理/資料解釈」で構成される数的処理の傾向と対策をお伝えしました。

判断推理は、「文章条件からの推理」分野(特に勝敗を重点的に)→「暗号と規則性」(特に暗号)を学習しましょう。空間把握は、「軌跡→平面構成→平面分割」の学習は必ず行い、「折り紙・位相と経路・方位と位置」は受験年において最近出てない単元順に学習しましょう。

数的推理は、「図形」→「比と割合」→「速さ」の学習をし、その後は「数と式」「場合の数・確率」へと進みましょう。

資料解釈は、頻出分野を絞るより、解き方をおさえた上で過去問演習に励むことを推奨します。

このように、特別区には特別区の対策方法があります。本記事を踏まえて、合理的・効率的に学習をしていきましょう。なお、究進塾では、受講生一人ひとりの志願先に合わせた対策を練って個別指導しています。興味がある方は、是非お問い合わせからお願いします。

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地方上級で出る、社会政策・国際関係の対策への向き合い方について解説します!

1.はじめに

公務員試験で専門科目がある方の多くは、【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】を学習することで、国家一般職・国家専門職(例えば国税専門官)などに備えようとします。

そして、地方上級(都道府県庁や政令指定都市の市役所)も加えて受験しようとしたとき、上記の科目だけだと、「労働法・刑法・社会政策・国際関係」も必要なのか……となります。

「上記の【】だけでも大変なのに、加えて数的をはじめとした教養試験だって大変なのに、この4科目まであるなんて! 手が回らないよ」と焦ってくる方も多いと思います。

本記事では、行政系である「社会政策」と「国際関係」に絞って、出題数、そもそも対策をすべきなのか、するなら、どのように対策をすると良いのかを解説します。「刑法・労働法」は下記の記事をご確認ください。

地方上級で出る、刑法・労働法の対策への向き合い方について解説します!

ご一読いただき、参考になれば幸いです。

2.社会政策と国際関係の出題数

社会政策と国際関係の出題数を確認しましょう。

社会政策は、基本的には地方上級でしか出ないと捉えれば良いでしょう。全国型が必須3問(40問)、中部北陸型が選択2問(40問)、関東型が選択で3問(40問)です。

※( )内が総回答数です。以下、本記事内同じ

国際関係は、国家一般職で選択することが可能です。また、地方上級は、全国型が必須2問(40問)、中部北陸型が選択2問(40問)と関東型が選択で3問(40問)です。

3.社会政策と国際関係は選択すべきか

出題数のあり方から、地方上級が本命でなければ、両科目とも選択を考えなくて良いでしょう。【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】をしっかりやり込むことに専心してください。

次に、地方上級が本命の方ですが、中部北陸型・関東型の方は選択ですから選ばないことができます。なぜなら、【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】だけで、経済学、財政学を通じて経済政策や経済事情も回答する場合、40問の回答数に至るからです。

また、地方上級の全国型は必須とはいえ、社会政策と国際関係を合わせて5問です。40問中28問(7割)を正解するように学習していく際に、基幹となる【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】をしっかり学習し、刑法や労働法を捨てないのであれば、捨てても良いかもしれません。

ただ、刑法は、以下の記事で紹介したように、本来難関と言われる学習内容です。そのため、法学部生以外はとっつきにくいかもしれません(いきなりスーパー過去問での学習はしづらいわけです)。

地方上級で出る、刑法・労働法の対策への向き合い方について解説します!

他方、労働法はそこまでの難易度ではありません。いきなりスーパー過去問での学習が可能です。また、労働法の法改正点などは時事的な内容です。そして、時事は教養試験対策で必ず学習した方が良いものとなります。

加えて、社会政策も労働政策や社会保障など政策的な事柄における時事的なものが出ます。つまり、労働法と社会政策は似た学習項目があります。したがって、社会政策は学習をしておくと良いでしょう。

そして、国際関係は教養世界史をベースに、国際関係に関する理論や時事が問われます。時事も教養対策で学習するかと思いますので、専門科目用におさえる部分は理論だけとなります。この意味で、国際関係に手を伸ばすことは悪くない選択といえます。

公務員試験の時事問題を突破するためのおススメ時事本を紹介します!

ただ、国際関係などは世界史なども絡むこと、学者と理論を覚えるのは政治学や行政学、社会学で手一杯だという方は苦しいかもしれません。まだ、労働法の方が馴染みがあるかもしれません。

したがって、地方上級は全国型で必須の方は、社会政策は学習しておき、国際関係か労働法のうち相性の良い方を最低でも1つは行いましょう。そうすれば、40問中35問は学習した科目を学習している状態がつくれます。頑張って刑法以外3科目を行えば、40問中38問です。そのつもりで準備しましょう。

4.選択した場合の学習方法

社会政策と国際関係の学習方法について、以下がお勧めとなります。

(1)社会政策の学習

社会政策は、労働政策や社会保障政策の時事的な内容も問われるため、必ず最新版を手にしましょう。と言いたいところなのですが、2025年2月現在、社会政策のテキストはTAC版2018年、まるごとパスワード2019年となっていますので、どちらも心許ないです。

したがって、社会政策の理論部分だけを参考にしましょう。この場合、まるごとパスワードの方がキーワードごとになっていて見やすいので良いと思います。

一読後は、地方上級用の過去問500を使って演習をしましょう(社会政策は、スーパー過去問もないからです)。

演習と合わせて、教養試験対策の時事本で労働事情、社会保障の項目を読みましょう。

まとめますと、社会政策は、①まるごとパスワードでキーワードを読み→②過去問500で演習→③時事本で最新の社会保障政策・労働政策をおさえるという学習の流れがお勧めです。

(2)国際関係の学習

国際関係の学習は、前提として教養の世界史学習を終えておきましょう。

その上で、まず、『はじめて学ぶ 国際関係(改訂版)』でさらっと流れをおさえます。次に、スーパー過去問7で演習をします。その後、教養試験対策の時事本にある国際情勢の項目を読み込みます。


 

公務員試験の時事問題を突破するためのおススメ時事本を紹介します!

5.おわりに

今回は、公務員試験の専門科目で、多くの職種で問われるわけではない社会政策と国際関係について、選択すべきか、選択する場合はどのような学習が良いのかについて解説しました。

地方上級全国型が本命の方は、社会政策>国際関係≒労働法>刑法の順で学習選択をすることがお勧めだと伝えました。

そして、学習方法は、社会政策が「まるパス→過去問500→時事本」で、国際関係は「はじめて学ぶシリーズ→スー過去→時事本」を推奨しました。

いずれの科目も試験直前に学習することが多いと思います。スピーディーに行いましょう。皆さんの学習が進むことをお祈りしています。

何か悩みがあれば、ぜひ究進塾で受講相談ください。無料体験授業を通じて、少しでも悩みの解消法をお伝えします。

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地方上級で出る、刑法・労働法の対策への向き合い方について解説します!

1.はじめに

公務員試験で専門科目がある方の多くは、【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】を学習することで、国家一般職・国家専門職(例えば国税専門官)などに備えようとします。

そして、地方上級(都道府県庁や政令指定都市の市役所)も加えて受験しようとしたとき、上記の科目だけだと、「労働法・刑法・社会政策・国際関係」も必要なのか……となります。

「上記の【】だけでも大変なのに、加えて数的をはじめとした教養試験だって大変なのに、この4科目まであるなんて! 手が回らないよ」と焦ってくる方も多いと思います。

本記事では、法律系である「労働法」と「刑法」に絞って、出題数、そもそも対策をすべきなのか、するなら、どのように対策をすると良いのかを解説します。「社会政策・国際関係」は下記の記事をご確認ください。

地方上級で出る、社会政策・国際関係の対策への向き合い方について解説します!

ご一読いただき、参考になれば幸いです。

2.刑法と労働法の出題数

刑法と労働法の出題数を確認しましょう。

刑法は、国家一般職・国税専門官・財務専門官・特別区・東京都IB方式では出題がありません。裁判所事務官が選択で10問(30問)、労働基準監督官が選択で3問(36問)、地方上級のうち全国型が必須2問(40問)、中部北陸型と関東型が選択で2問(40問)です。つまり、地方上級の全国型以外は選択回答となります。

※( )内が総回答数です。

労働法も、国家一般職・国税専門官・財務専門官・特別区・東京都IB方式では出題がありません。また、裁判所事務官でも出題はありません。労働基準監督官Aは1次試験で必須7問(40問)&2次の記述式1問出ますのでかなりウェイトが大きいです。そして、地方上級は、刑法と同じく、全国型が必須2問(40問)、中部北陸型と関東型が選択で2問(40問)です。

3.刑法と労働法は選択すべきか

出題数のあり方から、まず、刑法は裁判所事務官を本命の方が、労働法は労働基準監督官Aが本命の方が、それぞれ学習をした方が良いものとなります。なぜなら、出題数が多かったり、必須だったりするからです。

次に、地方上級が本命の方ですが、中部北陸型・関東型の方は選択ですから選ばないことができます。なぜなら、【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】だけで、経済学、財政学を通じて経済政策や経済事情も回答する場合、40問の回答数に至るからです。

また、地方上級の全国型は必須とはいえ、刑法も労働法も2問だけです。40問中28問(7割)を正解するように学習していく際に、基幹となる【憲法・民法・行政法・経済原論(ミクロ・マクロ)・財政学・政治学・行政学・社会学・経営学】をしっかり学習し、社会政策や国際関係を捨てないのであれば、捨てても良いかもしれません。

以下の記事でも述べましたが、社会政策や国際関係は時事学習を通じて点数が取れるケースもあります。そのため、刑法や労働法より、社会政策や国際関係の科目を優先すれば良いでしょう。

地方上級で出る、社会政策・国際関係の対策への向き合い方について解説します!

ただ、国際関係などは世界史なども絡むこと、学者と理論を覚えるのは政治学や行政学、社会学で手一杯だという方は苦しいかもしれません。また、法学部の学生なら刑法や労働法の方が馴染みがあるかもしれません。

したがって、地方上級は全国型で必須の方で、社会政策や国際関係よりも手を出したい方が選択すると良いでしょう。

4.選択した場合の学習方法

裁判所事務官本命の方の刑法学習、労働基準監督官本命の方の労働法学習、そして、地方上級全国型受験者で両科目を学習する方には、以下の学習がお勧めです。

(1)刑法学習

刑法は、憲法や民法に比べ学説対立も鋭く、司法試験などのためなら大変だと言われます。他方、公務員試験では、他の法律系科目と同様に、条文と判例(なければ通説)をおさえればOKといえます。
設問も判例のひっかけが多いです。そのため、①刑法の世界に慣れる→②条文を読んでみる→③スーパー過去問で演習するという学習の流れがお勧めです。
①でお勧めの本は、『マンガでわかる刑法入門』(伊藤真監修、ナツメ社)です。漫画を読みながら、難解な刑法関連の用語がおさえられ、刑法の概要も掴めます。

②はネットで「刑法 条文」とすれば出てきます。264条までしか刑法はありませんので、ざっと目を通すと、理解が深まります。

③はスーパー過去問の最新版を使って学習しましょう。2025年2月現在、『スーパー過去問ゼミ 刑法7』が最新版です。

なお、問題演習の時間は、地方上級全国型対策用の方で、設問2問に対して多くを避けない場合、頻出度Aの必須問題とダイヤマークのついているものだけを行う様にしてスピーディーに取り組みましょう。

(2)労働法学習

労働法は、いきなりスーパー過去問に取り組めばOKです。理由は、民法や刑法のような難解さがないためです。問題から入って不正解ばかりだとやる気が削がれるという方は、スーパー過去問を読む(問題を読んだら解答をすぐ読んで、知識にしていく)形で行うと良いでしょう。

注意点としては、法改正などが割合にある分野ですので、必ず最新版を使うということです。刑法のときと同様に、地方上級全国型対策用の方で、設問2問に対して多くの演習時間を避けない場合、頻出度Aの必須問題とダイヤマークのついているものだけを行う様にしてスピーディーに取り組みましょう。
『スーパー過去問ゼミ 労働法7』

5.おわりに

今回は、公務員試験の専門科目で、多くの職種で問われるわけではない刑法と労働法について、選択すべきか、選択する場合はどのような学習が良いのかについて解説しました。

裁判所事務官の刑法利用、労働基準監督官Aの労働法、地方上級全国型で社会政策や国際関係よりも選択した方が有利な方(法学部の方など)は、学習をすることを勧めました(労働基準監督官Aは労働法必須なので必ず学習すべきですが)。

そして、学習方法は、刑法が漫画本で概要を掴む→インターネットで条文に触れる→スー過去演習で、労働法はいきなりスー過去演習を推奨しました。

いずれの科目も試験直前に学習することが多いと思います。スピーディーに行いましょう。皆さんの学習が進むことをお祈りしています。

何か悩みがあれば、ぜひ究進塾で受講相談ください。無料体験授業を通じて、少しでも悩みの解消法をお伝えします。

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公務員試験(教養型)の直前対策、効果を生みやすい学習3選!!

1.はじめに

公務員試験の直前期となると、焦ってくる心理状況と、覚えなくてはならないことが多いことが重なって学習が手につかなくなってきませんか。

本記事は、3点に絞って、直前期の筆記試験対策に関して、何をどうすべきかをアドバイスします。

なお、試験対策の筆記は、SPIなどの民間筆記試験型ではなく、公務員特有の教養試験を想定しています(民間筆記試験型については、こちらの記事を確認ください)。

【経験者採用】知らなきゃ損する!基礎能力検査(SPI,SCOA,GABなど)の最短攻略法

2.直前期対策方法①ー暗記科目を重視して学習を

直前期対策の1点目は、暗記科目を重視するということです。暗記科目とは、社会科学に分類される政治・経済・社会・時事、人文科学に分類される日本史・世界史・地理・倫理(思想)、自然科学に分類される物理・地学・生物・化学を指します。

なぜ、暗記科目を重視した方が良いかというと、それは、そもそも暗記という行為自体、直前期にやったほうが試験まで覚えていられるからです。皆さんの中にも、一夜漬けで中高の定期考査を乗り切った方がいると思います。そのように、直前期に、短期記憶力に賭けて頭に叩き込むわけですね。

なお、直前期ですから科目は絞りましょう。何の科目を学習した方が良いかについては、「自身の学習経験」と「出題数」の掛け合わせで考えていきます。

「自身の学習経験」とは、中高時代や公務員試験で学習してきたことを意味します。やはり、学習してきた場合は飲み込みが早いので、素早い暗記が期待できるからです。

そして、「出題数」はそのままですが、自身の受験する公務員試験種をきちんと調べて、その出題数の多寡によって決めるわけです。

ただ、その科目に絞って学習するにしても、知識系の出題数の7割程度に届かない場合は、「科目の重さ」に注目して、学習する科目を追加しましょう。「科目の重さ」とは、大学受験における暗記量(参考書の分厚さ)を比べて薄いものを実施するということです。

科目系統ごとにその点をお伝えしていきましょう。

社会科学は、暗記項目が少ない順が社会→経済→政治です。社会は時事も絡み、時事の出題数はいろいろな試験種で多いので、社会は学習すると良いでしょう。なお、経済は確かに政治よりは覚える量は少ないですが、グラフだったり、やや数学的な思考力が問われるもので苦手意識がある方は、暗記量にとらわれず、政治をしても良いでしょう。

人文科学の暗記項目が少ない順は、倫理(思想)→地理→日本史→世界史です。この順が負担としても小さくなるでしょう。

自然科学の暗記項目が少ない順は、地学→生物→物理→化学です。ただ、物理は計算などが多く苦手意識の強い方は化学と入れ替えて考えても良いかなと思います。

以上の考えを、実際に、具体例で当てはめてみましょう。
例えば、警視庁一類を受験するとします。50%以上とれれば筆記は通過できるといわれる試験です。教養科目の出題数は、政治4問、経済2問、社会3問、日本史2問、世界史2問、地理2問、思想1問、国語3問、英語2問、物理1問、地学1問、生物1問、化学1問です。全部で25問あるわけですね。

そして、受験する方が、高校時代文系、社会科目が日本史と政治経済(公共)、理科系科目が生物を主に学習してきたとします。

この場合、政治・経済・社会・日本史・生物はした方が良いことになります。学習経験をしているからです。

ただ、これですと、先の出題数25問中12問ですから、7割以上にあたる18問まで増やしていきましょう。まず、国語の出題数が多いので、国語を選びます(これで15問となります)。

では、残り3問のために、考慮するのが「科目の重さ」です。
具体的には、世界史と地理が同じ2問となっていますが、地理となります。そして、残り1問は、思想か、理科系で最も軽い地学かは、参考書を読んで好みで選びましょう。
つまり、地理+思想か、地理+地学で3問ということです。

こうなれば、25問中18問の学習をしていることになります。集中している分、正答率は期待できるでしょうが、仮に7割正解しているとすると、18問×0.7=12.6問です。残りの7問中1問くらいは勘であたるでしょうから13問正解としましょう。

これに、数的・文章の習得(25問中15問正答の6割)と合わせれば50問中28問正答で56%となり、50%を超えられます。

以上は、警視庁Ⅰ類試験を例に考えましたが、何を暗記学習して悩む方は、「自身の学習経験」と「出題数」から考えて、重視して学習する暗記科目を絞ってみてください。ただ、それでは、合格に届きそうな問題数に至らないときは、「科目の重さ」を考慮して学習科目を判断しましょう。

究進塾では、個別相談で学習計画もつくっていますので、悩む方はご利用ください。

3.直前期対策方法②ー継続的な知能科目学習に励む!

直前期対策の2点目は、継続的な知能科目学習に励むことです。

知能科目とは、数的推理・判断推理・資料解釈・文章理解を指します。

これらの科目は、解法のコツというか、知らないと短時間には解けないものというのが数多くあります。そのため、学習の初期や中期はそれに触れている方が多いと思います。直前期は、これを忘れないように、コツコツ学習することが望ましいです。

言い換えると、たくさんの時間をかけなくても良いので、1日数問ずつコツコツ解きましょう。特に、文章理解と資料解釈は、徐々に早く文が読めたり、各選択肢の計算手順が分かるようにもなるので、さぼらず行いましょう。

また、数的推理と判断推理は、出題されやすい単元というのがはっきりしています。こちらの記事にもありますが、この単元の問題から取り掛かると良いでしょう。

直前期!数的処理の得点を伸ばす学習方法3選~数的・判断頻出単元ベスト10付き~

4.直前期対策方法③ー模試の有効活用を心がける!!

直前期対策の3点目は、模試の有効活用を心がけることです。

模試の有効活用とは、次の3つです。

第1は、本番を意識して解くということです。これは、解く順番、解けなさそうだったり時間がかかったりする科目・問題は後回しにするなど工夫しながら解くということです。この訓練をすると、実力を得点にしっかり反映できるようになります。

ちなみに、最近は自宅受験できるサービスが多いですが、その場合も、きちんと時間を測ってくださいね。

第2は、復習は全問題やりこむということです。模試は、販売している予備校や会社が、「本試験問題を当てよう!」と思って作っています。したがって、選択肢の一つ一つが本当に分かっているか確認をしたり、本番みたいに取り組んでいたときには時間的に解いていない問題をしっかり解いたりすることで、本番に似た観点が問われたときに功を奏します。また、時事は、なかなか過去問がありません。時事本を読んでいるとどうしても自分が覚えているのか分からなくなりますが、模試を通じて、出会った時事問題を活かしましょう。

第3は、関連分野の復習を即座に行うことです。例えば、模試で日本史の鎌倉時代が出た際に、解けていなかったら、鎌倉時代全体を復習するなどを行うということです。出題をきっかけに広く復習すると大いに知識が定着します。

ちなみに、模試は5回分くらい取り組むと良いでしょう。

5.おわりに

本記事では、公務員試験型(教養)の試験直前にどのように学習をしていくべきかについてアドバイスをしました。

これをまとめると、日々、暗記科目を絞って比重を傾けつつも、知能科目はコツコツと継続して問題に取り組む学習をすることと、模試を受けるときは本番のように解き、模試後は全問復習と関連分野の復習をたっぷり行うことになります。

参考にしていただき、皆さんの学習が進むことを願っています(なお、究進塾では、復習していても中々、問題が解けないなどの悩みに12時間短期集中の数的コースがあります。ご検討ください)。

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社会学、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

公務員試験で国家一般職や国家専門職、そして地方上級などの行政職において、採用ボリュームが最も多い区分は、まだまだ専門試験があるものといえます。たくさんの科目を学習しなくてはならない意味で倍率も下がります。

そこで、受験を決意した際に、問題となるのが、どの科目を選択しようかということです。もちろん、憲法・民法・行政法・経済学などはどの試験種でも出題されますので、選ばざるを得ないと思います。ただ、それ以外の科目はどうしようかと悩んだりする方は多い事でしょう。

科目選択において重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば選択すればよくなり、難しそうであれば違う科目を利用することになると考えられるからです。

そこで本記事では、「社会学」の攻略法をお伝えします。ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、社会学を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。なお、学習方法は予備校に通っていない独学者かつ初学者を想定した方法をご紹介します。

2.社会学の位置付け

まずは、公務員試験における社会学の位置づけをおさえましょう。

(1)出題数

社会学の出題は令和6年度実績で、以下となっています。
①国家一般職・・・・・・科目選択式で1科目分=5問(40問回答)
②国税専門官・・・・・・科目先選択式で政治学・社会事情と合わせて6問(社会学は2問)
③財務専門官・・・・・・科目選択式で政治学と合わせて6問(社会学は3問)
④労働基準監督官・・・・・・問題選択式で最大2題選択可
⑤法務省専門職員・・・・・・問題選択式で最大10題選択可
⑥特別区・・・・・・問題選択式最大5問(40問回答)
⑦地方上級・・・・・・中部北陸型のみ出題。問題選択式で最大2問選択可
たくさんの試験種で使えそうですが、②~⑤は同一日に一次試験があることと、国家総合職には出題がないことは、併願を考える上では注意が必要です。また、県庁の多くで出題がない点も留意しましょう。なお、記述試験で社会学を使えるのは以下の試験種です。

国税専門官・東京都・家庭裁判所調査官

(2)出題内容

以下が社会学の学習内容です。

①社会学史

社会学という学問がどのように生まれ、どのように発展していったかということが社会学史です。ここでは、コント、スペンサー、マルクス、デュルケム、ウェーバー、ジンメル、シュッツ、パーソンズ、ルーマン、ハーバーマス、ブルデューなど、著名な社会学の理論家とそのキーワードを暗記していくことになります。

②社会変動論

社会がどのような構造を持っていて、昔から現在にかけて、どのように変化しているのかに関する理論を学びます。例えば、機械的連帯社会から有機的連帯社会への変動を論じたデュルケムなどの学説を学び覚えていきます。ちなみに、デュルケムは①で取りあげた学者ですが、このように、いろいろなジャンルで同一の学者が出てくるところは、社会学の大きな特徴です。

③集団論

社会には様々な集団がありますが、それを何らかの特徴(視点)で分類した社会集団論や、集団の一つである家族に関する理論を学びます。ここでも、例えば家族論には、①で出てきたパーソンズが再び出てきます。なお、集団論は①と並ぶ頻出単元です。

④行為論

我々は、日々何らかの行為を意識的にも、無意識的にもしてます。そして、それによって(あるいはその蓄積によって)で社会が安定的に営まれたり、逆に既存社会からの変化が促されたりもしています。この行為に着目したジャンルも出題範囲です。心理学などの学問が隣接領域となります。

⑤〇〇をめぐる社会学

〇〇には、メディアと情報化、地域(特に都市化)、労働や職場、文化、宗教、大衆などが入ります。例えば、メディアと情報化であれば、その与える影響が強いか弱いかなどについての学説があるため、それを覚えていくことになります。

⑥社会調査

調査方法(適切なアンケートの作り方など含む)、調査されたものの処理方法などについて、代表的な調査として国勢調査に関する知識などが問われます。ただ、この単元は、主に国家一般職では問われますが、他の試験種ではあまり出ません

(3)難易度

難易度は、ずばり、やや難しいといえます。

理由は3つあります。

第1は、覚える学者、キーワードの数が大変多いからです。社会学は、生まれて200年ほどの若い学問ですが、大変覚える量が多いです。また、上記(2)の④のように扱う範囲も多いです。

恐らく社会学は、試験直前期に学習を始める方がほとんどです(公務員浪人やよほど早めから学習をしている方を除いて)。また、憲法・民法・行政法・経済学(マクロ・ミクロ)を先に学習することが大事ですので、それはやむを得ません。ただ、直前からの割には、上述のとおり覚えることが多すぎて、焦ってきます。そうすると、余計に覚えられなくなるという悪循環が起きやすい科目です。

第2は、社会学の特質から、理解に時間がかかる可能性が高いためです。社会学の醍醐味の一つは、我々が当たり前だと思っていることとは違う知見を得られることです。例えば、デュルケムは「犯罪がある社会は正常な社会だ」と述べました。これを試験対策として、覚えていきます。

このとき、多くの人は、「犯罪がある=治安がよくない=望ましくない社会で、どちらかというと異常事態の側ではないのか」と思うため、「ん? どうして?? 」とデュルケムの言葉を理解する前に戸惑いが発生します。もちろん、その後、きちんと説明されている本には、「何を犯罪とし、何を犯罪としないかを社会的に含意していないと、ある行為を犯罪に認定できない。その意味で、犯罪がある社会は、犯罪を社会的に認定できているわけだから、そういうコンセンサスを社会的に働かせられているという点から、正常な社会だといえる」というような趣旨の解説が書いてあるので、「あぁ、そういうことか」となります。

したがって、社会学の視点は面白いと言えば面白いのですが、一旦、自身の常識を再認識し、その後に社会学の視点で捉え直しをする分、単純な暗記より理解に時間がかかりがちです。ちなみに、「ん? どうして?? 」を強く抱いてしまうことと、第1で挙げたボリュームの多さから丸暗記するには向かないという厄介な科目です。

第3は、背景知識が理解を左右するからです。学者が、どのような時代を生き、どのような社会をみたからこそ、そのような学説を唱えたかを捉える際には、世界史などの背景知識がひつようとなります。背景知識が不足すると、学者とキーワード自体は合っているけれど、それをつなぐ文章の部分に誤りがある選択肢への正答が下がってしまいます。これも社会学を難しく感じさせる要因です。

3.おすすめの勉強法と参考書紹介

上記で、社会学がやや難しい科目だという点を詳しく述べました。選ぶのをどうしようかなと思ったことかと思います。他方、経済学のような計算がどうしても苦手であったり、民法の事例問題がどの知識を当てはめるのか分からず得点が伸びなかったりなど、いろいろな理由から、「暗記できれば得点できる社会学を使いたいから、たとえ難しい科目でも勉強頑張るぞ」と思っている方もいることでしょう。

そこで、社会学が得点源になる可能性を高める、おすすめの学習方法を以下にお伝えします。

(1)おすすめの勉強法

まず、教養の「世界史」と「思想」を先に学習するというものです。たとえ、「世界史」を捨て科目にしている方も、欧米の近現代史は概観しておいてください(市民革命以降から冷戦崩壊まで)。ここでいう概観とは、細かな年号は覚えなくて良いので、どのような歴史が展開されていたかを知っておいてください。「思想」(あるいは倫理)も、細かな知識は覚えなくても良いので、(2)のおすすめの参考書で挙げた本のいずれかを通読して欲しいと思います。

次に、社会学の学習は、(2)のおすすめの参考書でも挙げた『社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像』を使って、ビジュアル的に人物と用語をおさえていきます

その後は、過去問集に取り掛かりましょう。

使う過去問集は、
『新スーパー過去問ゼミ7 社会学』(実務教育出版)
『2024-25年合格目標 本気で合格!過去問解きまくり社会学』(LEC出版)のいずれかが良いでしょう。


(2)その他、おすすめの参考書について

上記に挙げた過去問集以外のおススメ参考書は、以下となります。

まず、「世界史」の概観教材は
『教科書よりやさしい世界史』をお勧めします。通史的な理解がさらっとできます。

教養世界史の学習も兼ねる場合は、
『神余のパノラマ世界史』です。「古代~近代へ編」と、「近現代史編」の2冊で流れをおさえたら、過去問をやりこむと公務員の教養世界史は得点源になるはずです。


次に、倫理(思想)です。これも、社会学の用語図鑑と同様ですが、ビジュアル的に覚えてしまうと良いでしょう。ずばり、
『大学入試 マンガで倫理が面白いほどわかる本』です。
第1章のギリシア思想と、第3・4章だけでもいいので、読みましょう(もちろん、教養の倫理(思想)のためには、全章読んだ方がいいですが、社会学の準備学習としてはという意味です)。

そして、
『社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像』です。
ビジュアルで、難解な用語をおさえられる点は望ましいといえるでしょう。

ちなみに、都庁を受ける方で、記述にも対応したい人がいることでしょう。それに対しては、
『寺本康之の公務員試験専門記述 Kindle Book 社会学 参考答案集』が唯一の対策本といえますので、使ってみると良いでしょう。なお、電子書籍です。

4.おわりに

社会学は、学習範囲が広く、覚える事柄(キーワードや人物)が多いです。直前期に、こんなにやるのは無理だと感じてしまうくらいです。ただ、教養の世界史や倫理(思想)から入って、社会学の図鑑を眺めると、試験で求められる知識の吸収がよくなることかと思います。その状態で、過去問に取り組むことで、逆に得点源といえる科目にもできます。

選択する場合は、上記が参考になれば幸いです。

皆さんの学習を応援しています。

学習上の悩みがあれば、ASK公務員・究進塾では無料での相談を1回行っていますので、ぜひ利用してみてください。

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行政学、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

公務員試験で国家一般職や国家専門職、そして地方上級などの職種で専門試験がある方の中には、どの科目を選択しようかと悩む方もいるのではないでしょうか。もちろん、憲法・民法・行政法・経済学などはどの試験種でも出題されますので、選ばざるを得ないと思います。ただ、それ以外の科目はどうしようかと悩むわけです。

このとき、重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば選択すれば良くなり、難しそうであれば違う科目を利用することになるからです。

そこで本記事では、行政事務に携わる試験種の専門科目として出題される「行政学」の攻略法をお伝えします。

ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、行政学を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。

なお、学習方法は予備校に通っていない独学者を想定した方法をご紹介します。

2.行政学の位置付け

(1)出題数

行政学の出題は令和6年度実績で、以下となっています。
◎国家一般職・・・・・・科目選択式で1科目分=5問(40問回答)
◎特別区・・・・・・問題選択式最大5問(40問回答)
◎地方上級・・・・・・全国型・関東型・中部北陸型問わず2問(全国型のみ必須)

政治学や社会学と異なり、国家専門職では出題がありませんので注意しましょう。また、記述試験で行政学を使えるのは東京都のみです。

(2)出題内容

学習する内容は、下記に大別されます。

①行政学の理論史

絶対王政期の官房学とシュタイン行政学というヨーロッパ大陸での学問的な歴史や、アメリカでどのように行政学が発展したかという点の出題です。主に、学問発展に寄与した学者から出題されます。この部分は、他の科目ではあまり聞かない人物がでてきます。行政学ならではの範囲といえます。

②行政組織

官僚制の特徴(問題点を含んだ)や様々な組織編成の原理、そして日本の行政組織がどうなっているかについての出題です。稀に、アメリカやフランスなどでは公務員の採用をどうしているかなどの話も出題されます。

なお、「官僚制」は政治学や社会学と、「様々な組織編成の原理」は経営学と、それぞれ重なります。そして、「日本の行政組織」は新しく庁が出たときなどは時事と絡んで出題されます。時事的要素もあるわけです。この単元は、他科目で学習する内容が活きやすいといえます。

③行政の活動と統制

政策過程、予算づくり、それらの評価(政策評価)、行政の責任や統制などについて学びます。「政策過程」は政治学の、「予算づくり」は財政学の、行政が責任を果たしているということで透明性ある行政の観点で情報公開している話は行政法の知識が活きてきます。また、PDCAサイクルなどを意識して行政活動している点は経営学とも関連します。

もちろん、ファイナーとフリードリヒの行政責任論争など、単元の細目によっては行政学だけの部分もあります。ただ、他科目学習のおかげで「話が頭に入りやすい」科目といえます。

④地方行政

大陸系とアングロ=サクソン系の地方行政の違いや、戦前と戦後における日本の地方行政の違いなどが出題されます。ここは、①同様に、他科目との共通点は少ないかなと思います。ただ、戦後の地方自治の状態は、一部財政学や時事とも絡みます。

(3)難易度

難易度は、ずばり、他科目から学習していたら易しいといえます。

理由は3つあります。

第1は、先の出題内容でお伝えしたとおり、他科目と関連するところが多いからです。人文科学の世界史、政治学・社会学・財政学などを学習した状態で臨むとかなり取り組みやすく、時事部分と並行して学習すればその効果は大きいものとなります。

第2は、学者を覚える数が、政治学や社会学に比べて随分少ないからです。また、この学者さんたちが、時代の流れに沿って覚えていけばいいので(同時代に沢山出てこない)、その点も暗記が楽だといえます。

第3は、就職先に絡むところなので興味を持って学びやすい単元があるからです。例えば、日本の行政組織がどうなっているか、府・省・庁の違い、行政委員会と審議会の違い、国務大臣の中の特命担当大臣とは何なのかなどをおさえる部分があります。これらは、自身が勤務したいと考えている場所についてですので、無味乾燥な暗記にならずにすむといえるでしょう。

ただ、行政学を先に勉強してしまうと、少し難しく感じる可能性がありますので、できれば、教養の世界史(捨てる人でも、19・20世紀の近現代ヨーロッパ・アメリカ史くらいはさらっとみておくといいです)→政治学・社会学・財政学と学習した後に行政学を行いましょう。

3.おすすめの勉強法と参考書紹介

(1)おすすめの勉強法

おすすめの学習法は、上のアドバイスと重なりますが、

教養の世界史→政治学・社会学・財政学の後に学習するというものです。

この順番に学習している場合、いきなり過去問集からはじめてOKです。

使う過去問集は、
『新スーパー過去問ゼミ7 行政学』(実務教育出版)
『2024-25年合格目標 本気で合格!過去問解きまくり行政学』(LEC出版)のいずれかが良いでしょう。

どちらの本でも、単元ポイントを読んでから過去問を問いて解説を読み込むことをしましょう。なお、時事が絡む単元もあることから、試験年度を意識して、最新版を使いましょう。

(2)その他、おすすめの参考書について

上記に挙げた過去問集以外のおススメ参考書としては、受験生の困りごとタイプ別に以下となります。

まず、単独で行政学だけを取るつもりの方(政治学のボリュームを嫌ってとか、社会学は他の試験種との併願上使わないので学習をしないとかの方)は、以下の本で行政学をさらっとおさえるのをお勧めします。
『行政学案内(第3版)』


この本の著者である真渕勝氏は有斐閣からもっと分厚い『行政学』を出していて、一説には、昨今の行政学問題のタネ本などと言われていますが、この本はあまりにページが多くて公務員試験で得点するだけを考えるときついと思います。

したがって、『行政学案内(第3版)』が推奨です。ページにして200ページ程度(15章は読まなくていいので、もっと実際は少ないでしょう)です。また、1ページの文字もそんなに詰まっていない上、かみ砕かれていて分かりやすく、豊富な事例もあるので頭にすっと入ってくると思います。数時間あれば読めると思います。

なお、出版社があまりAmazonに本を入れていないようですので、出版社に直注文がお勧めです。
慈学社 注文用ページ

次に、都庁を受ける方で、記述にも対応したい人がいることでしょう。それに対しては、
『寺本康之の公務員試験専門記述 Kindle Book 行政学 参考答案集』が唯一の対策本といえますので、使ってみると良いでしょう。なお、電子書籍です。

4.おわりに

行政学は、学習の順番を間違えなければ、かなり予備知識を持った上で挑むことができます。そうなると、後は過去問集をやりこむだけで得点が取りやすくなります。もしも、他科目からの学習順序を踏めない場合は、真渕勝氏の『行政学案内(第3版)』を読んでから始めると良いでしょう。

皆さんの学習を応援しています。

学習上の悩みがあれば、ASK公務員・究進塾では無料での相談を1回行っていますので、ぜひ利用してみてください。

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【公務員試験】捨て科目の数と選び方を徹底解説

1.はじめに

公務員試験を難しくしている大きな要因として「科目数の多さ」が挙げられます。受験先によっては約30科目が必要とされ、それを1年前後で勉強しなければいけません。

そこで、ほとんどの受験生に必要となるのが「捨て科目を作る」ことです。公務員試験ではボーダーが6割前後になることが多いため、優先順位の低い科目を捨てて、残りの科目に勉強時間を割いて合格を目指します。

では、その捨て科目はいくつくらい作るのでしょうか。そして、どんな基準で選べば良いのでしょうか。本記事では、私の受験生としての実体験や、講師としての知見から、この2点について解説します。

2.捨て科目の数(目安)

結論としては、一つの目安ですが、「4~6科目程度」の捨て科目を作る受験生が多い印象です。ただ、少数派ですが10科目以上捨てているケースや、1科目も捨てないケースもあります。

では、捨て科目の数はどのように決まるのでしょうか。主に以下の基準が考えられます。

・勉強期間
・苦手科目の数、どれくらい苦手か
・受験先の合計科目数
・受験先の出題数の偏り(1科目しか出題されない科目がある等)

他にも要因はありますが、上記4点は特に重要な要素なので、捨て科目の数を決める際は、最低限この4つは考えながら決める必要があるでしょう。例えば、教養試験のみ(専門試験無し)の受験先の場合、合計の科目数が減るため捨て科目の数も少なくなります。

3.捨て科目の選び方

次に、捨て科目の選び方の中で、特に考えるべき4つの基準を押さえておきましょう。

(1)出題数

特に重要な要素です。もし勉強を始めたばかりであっても、各科目の出題数や、教養試験と専門試験の配点は、目安として第三志望前後の受験先まで把握しておくようにしましょう。

出題数について、多くの受験先に共通していることとして、教養試験では文章理解や数的処理は出題数が多い科目です。他にも、特別区では、自然科学の出題数が比較的多く、それに対して、地方上級では人文科学の出題数が比較的多いといえます。このことから、例えば「特別区と地方上級の2つの受験先を志望している受験生」について、以下のように第一志望に応じて捨て科目を作ることが考えられます。

・特別区が第1志望→自然科学から1科目、人文科学から2科目を捨てる
・地方上級が第1志望→自然科学から2科目、人文科学から1科目を捨てる

上記は一例なので、実際は第三志望以降の受験先のことも含めて考えるようにしましょう。

(2)配点

受験先によって、教養試験と専門試験の配点が異なる場合があります。例えば、国家一般職や国税専門官などでは専門試験の配点が高くなっています。特に、国家一般職では専門試験の配点比率が教養試験の2倍となっており、専門試験が非常に重要と言えます。

このように、専門試験の方が配点が高い場合、専門よりも教養で捨て科目を多く作ると、より効率的なプランが立てやすくなります。

(3)学習範囲・学習時間

科目によって、学習範囲や学習にかかる時間は大きく異なります。

例えば、教養の地学、専門の社会政策などは比較的少ない時間で全体を学習することができます。他にも、社会科学については、専門試験の勉強をしている方であれば、専門と範囲がかぶっている部分が多いことから、勉強時間は少なく済みます。

それに対し、教養の日本史や世界史、専門の国際関係などは範囲が広く、多くの勉強時間が必要となります。もちろん勉強時間が多いという理由だけで捨てることはできませんが、一つの重要な指標にはなるでしょう。

民法や憲法、ミクロ・マクロ経済学などは、範囲は広いですが、出題数の関係で、多くの受験先で捨てにくい科目といえます。

(4)苦手科目・学習したことがない科目

当然、苦手科目は得点が期待しにくいので、捨て科目の候補になります。

また、高校で選択していた等、学習経験があるかという点も重要です。例えば人文科学が全体的に苦手な場合、日本史のみ高校で学習したことがあるのであれば、日本史だけは学習してみるという選択肢もあります。「もう覚えていない」と思うかもしれませんが、キーワードに聞き馴染みがあるだけでも学習は多少進めやすくなります。

4.一部の分野だけ学習するのも効果的

ここまで、捨て科目の選び方を解説してきました。
公務員試験の膨大な学習範囲に対応するために、捨て科目を作ることは効果的ですが、「科目単位」ではなく「分野単位」で考えることも重要です。基準については、上記で挙げたものと概ね同じと考えてOKですが、分野を選ぶ際は特に「頻出分野」という要素は重要です。

例えば、日本史について「室町時代~第二次世界大戦あたりが第一志望でよく出ているからそれ以外は捨てる」、物理について「力学の分野は、頻出だし少ない時間で身につけられるから学習する」などです。

特に特別区の専門科目は、各科目5問ずつ出題され、科目単位で捨てていくと5問ずつ捨てることになります。特別区では、選択科目は科目単位ではなく問題単位なので、例えば「政治学から1問、行政法から4問」という形で選択して回答することも可能です。基礎~標準問題が多く出題されることからも、完全に捨てる科目を減らし、分野単位で基礎だけを抑えておくのも有効でしょう。

ただ、受験先ごとに頻出分野は異なるため、勉強する分野を選ぶにあたり、過去の出題傾向の分析は必須になります。「新スーパー過去問ゼミ」など、問題集によっては過去の出題傾向がわかるものもあるので、うまく活用していくと良いでしょう。

5.おわりに

本記事では、捨て科目について、目安となる数と選び方について解説しました。公務員試験の勉強方針を決定するにあたって、捨て科目は重要な要素の一つです。

私の体験談として、「日本史を中途半端に学習して、結局身につかずに捨て科目にした」というのがあります。これは今振り返ると大きな反省点であり、学習方針を適切に立てられていれば避けることができました。

受験生の方には、ご自身の状況や受験先などから考えて、適切な捨て科目を決定してもらえればと思います。

政治学、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

公務員試験で専門試験がある方の中には、どの科目を学習しようかと悩む方もいると思います。特に、憲法・民法・経済学・行政法などはどの試験種でも出題されるため、選ぶことが多いと思うのですが、それ以外の科目はどうしようかと悩むわけですね。

このとき、重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば選択すれば良くなり、難しそうであれば違う科目を利用することになるからです。

そこで本記事では、行政事務に携わる試験種の専門科目として出題される「政治学」の攻略法をお伝えします。

ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、政治学を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。

なお、学習方法は独学を想定した方法をご紹介します。

2.政治学の位置付け

(1)出題数

政治学の出題は令和6年度実績で、以下となっています。
国家一般職・・・・・・科目選択式で1科目分=5問(40問回答)
国税専門官・・・・・・科目選択式で1科目=6問(40問回答)
※社会学・社会事情と併せて6問
財務専門官・・・・・・科目選択式で1科目6問(40問回答)
特別区・・・・・・問題選択式最大5問(40問回答)
地方上級・・・・・・全国型・関東型・中部北陸型問わず2問(全国型のみ必須)

(2)出題内容

学習する内容は、下記に大別されます。

①政治制度

日本や各国(=英米仏独中が中心)の立法・司法・行政の状態と作用、選挙制度などが出題されます。教養試験の社会科学政治と重なる範囲ですので、教養試験対策にもなります。

②政治的アクター

政党や圧力団体、マスコミなど、政治に登場するアクターとその影響について学習します。実態だけでなく、理論や概念化などをした政治学者を覚えておくことも必要な単元です。

③政治思想、政治意識と政治文化

自由主義、社会主義、民主主義などの政治思想を学びます。ここでは、特に時代ごとの政治学者(ないし思想家)の捉え方を理解することが求められます。社会契約説など、一部は教養試験と同一人物ですが、様々な人物が出てくるため整理が必要です。
それから、政治意識や政治文化の単元では、現代の大衆社会における政治的無関心や、現代国家の多様性が政治文化からもうかがえる点などを学習します。

④権力論、リーダーシップ論

一~三次元的権力論、リーダーシップ、支配の正当性などを学習します。ここも②や③などと同様、項目ごとに有名な学者がいいます。

⑤日本政治史

特に、戦後史が頻出です。教養の日本史や政治の歴史分野と重なるジャンルと言えます。

(3)難易度

上記の「①政治制度」と「⑤日本政治史」はそこまでの難易度でないため取り組みやすいです。また、「②政治的アクター」は、政党や圧力団体、マスコミなど現代社会に存在するものをみる視点であるため、身近なことを利用して覚えることで、比較的攻略しやすくなります。

一方、「③政治思想、政治意識と政治文化」や「④権力論、リーダーシップ論」は抽象的な概念がたくさん出てきますし、独特な用語もあり、とっつきにくいです。さらに、取り上げられる学者(思想家)の数も多いため、覚えることが多く厄介です。政治学攻略が上手くいったか否かは、この分野をおさえることにあります。

3.おすすめの勉強法と参考書紹介

(1)おすすめの勉強法

おすすめの学習法は、いきなり過去問からはじめる分野(ア)と解説本を読むことから始める分野(イ)に分けるというものです。

(ア)

アは、「①政治制度」「②政治的アクター」「⑤日本政治史」の分野です。ここは難易度も低いため、スーパー過去問などのポイント部分を読んだら、いきなり問題に取り組みつつ、解答解説を読み込む学習をしましょう。

(イ)

イは、「③政治思想、政治意識と政治文化」と「④権力論、リーダーシップ論」です。ここは、『寺本康之の政治学ベストプラス』の単元1~3、7、11~13を読んでから、スーパー過去問へ進むという形をとります。

もちろん、時間がある方は、『寺本康之の政治学ベストプラス』を通読してからスーパー過去問へいってもOKです。ただし、政治制度は最新版の方が良いので、スーパー過去問の最新版の知識を優先しましょう。

(2)その他、おすすめの参考書について

上記に挙げたスーパー過去問7と『寺本康之の政治学ベストプラス』以外のおススメ参考書としては、受験生の困りごとタイプ別に以下となります。

公務員試験 過去問攻略Vテキスト (10) 政治学
まず、スーパー過去問よりももう少し言葉の説明が欲しいが、図も欲しいという方は、TAC出版の『Vテキスト10 政治学』が整理されつつ、説明もあるのでおススメです。

■戦後日本政治史 占領期から「ネオ55年体制」まで
次に、政治史が頭に入りにくい方と、思想史が入りにくい方は、以下の参考書がおススメです。これは、日本史や思想という教養問題の攻略にも役立ちます。
戦後の日本政治史としては、『戦後日本政治史 占領期から「ネオ55年体制」まで』(中公新書)がまとまっています。なお、大学受験参考書ですと、近代史が分厚すぎて、現代史がうすいので控えましょう。

■蔭山の共通テスト倫理 改訂版 (大学受験Nシリーズ)
これに対し、思想の方は、大学受験の倫理本をおさえましょう。具体的には、『蔭山の共通テスト倫理』です。この本の西欧思想を通読しておくと、思想史的な背景が分かり、政治思想も分かりやすくなります。

■政治学 (演習ノート)
また、都庁を受ける方で、記述にも対応したい人がいることでしょう。それに対しては、『政治学演習ノート 第5版』(法学書院)がまとめられてて良いでしょう。

4.おわりに

政治学は、ベースとしての学習方法は、とっつきやすい分野ではいきなりスーパー過去問7のやりこみです。難しいものは、寺本氏の解説本を読んでから過去問に挑みましょう。その他、自身の前提知識や使い方に合わせて上記の本も参照してみてください。
スーパー過去問が8割程度できれば、当日も8割くらい取れます。また、教養試験で問われる日本史の現代史、思想、政治などに活かせます。この辺りをモチベーションに、ぜひ政治学を攻略しましょう。
皆さんの学習を応援しています。つまづいたり、悩みがあれば、究進塾の公務員講座をご利用ください。

マクロ経済学、難しく感じる3つの理由と対策方法!

1.はじめに

ミクロ経済学とマクロ経済学とどちらが得意ですかと聞くと、経済学を習い始めた方の多くが「マクロ経済学です」と答えます。しかし、学習が進むと「ミクロ経済学」になる方が多いです。

つまり、マクロ経済学は「とっつきやすい」ものの、得点化する際には、とっつきにくかったミクロ経済学の方が楽という現象が起こるわけです。

なぜでしょうか。本記事では、その要因を3つ挙げます。併せて対策方法も伝授します。これにより、マクロ経済学のつまずきを回避し、スムーズな受験対策になればと思います。

なお、経済学自体の学習方法などは以下の記事で挙げています。

苦手な人必見!公務員試験の経済学を得点するための勉強法

 

2.マクロ経済学を難しく感じる3つの理由

(1)扱う文字が多い

ミクロ経済学は、消費者理論において2財(X、Y財と置かれることが一般的)とそれがもたらす効用(U)が、生産者理論においても2財(資本量(K)、労働量(L))とそれがもたらす生産量(x)など、扱う文字が一度に2~3個で済む分野がほとんどです。

これに対し、マクロ経済学は、例えば、財市場の話で登場する式として、
Y(生産量)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+X(輸出)‐M(輸入)があり、ここまでで文字が6個並びます。

実は、ここにあるCについては、
C=c(Y-T)+A等の形で、c、T、Aという3つの文字が追加されます。
Iについても、I=B-brで、B、b、rがでてきます。
MもM=m(YーT)+Moですから、mとMoの2つが追加されます。

ここまでで全部で14文字あります。

マクロ経済学では、一国全体の市場を、財市場・貨幣市場・労働市場と分けますので、さらに扱う文字が増えていきます。絶望的な煽りをしますが、時間軸による区分もいれるともっとですね。

そうすると、文字という抽象的な扱い方に対して理数系を苦手とする受験生はアレルギー反応を起こしてしまい、文字が何を指しているかを覚えきれなくて理数系の方も苦戦するという状態が生じます。

(2)話の前提、結論が「変わる」

マクロ経済学では、学習している途中に、「話が変わった」という印象を受けると思います。これには、2つの理由があります。

第1は、扱うモデルが変わるからです。例えば、利子率が一定の世界観と、利子率が変化する世界観では、「話が変わってくる」わけです。

また、時間軸の変化もあります。短期と長期では違うということですね。

第2は、ミクロ経済学と違い、マクロ経済学は、ケインズ派と(新)古典派など学派対立の論点が扱われます。そのせいで、「ケインズ派はAのように考えますが、(新)古典派ではBのように考えます」という話がかなりでてきます。

これは、(新)古典派だけでなく、マネタリストや合理的期待形成学派なども登場しますので2つの学派だけというわけにはいきません。

第1・2から導かれることは、マクロ経済学においては、どういう経済モデルの前提に立っているのかを学派にも留意しながら把握した上で、結論を理解する必要があります。この点が、学習者を苦しめます。

(3)文章題が厄介

文系者などは経済学において計算することが、まぁ、数的を含め、そもそも計算自体が億劫という人も多いようです。その場合、文章題が出たらラッキーです。

実際、ミクロ経済学では、パレート最適や市場の失敗などでよく出る文章題は、点取り問題だとよく言われます。

しかし、マクロ経済学においては、(2)で挙げたように、前提とするモデルや時間軸、学派を踏まえなければならないので、検討する箇所が多くなり、文章題も長文になりやすく苦戦しやすい傾向があります。

特に、IS-LM分析やマンデル=フレミングモデルなどのところは、いっそのこと計算処理方法を覚えれば処理できるのに、文章題でよく分からなくなったと話す受験生によく出会います。これも、マクロ経済学を難しい科目にさせる要因です。

3.難しく感じないための方策

それでは、どうしたらこの難しさを感じなくなるのでしょうか。(2)モデルと学派→(1)→(3)の順に解説しましょう。なお、独学を想定しています。

まず、(2)については、各モデルを以下に示しておきます。概ね、公務員試験の対策本は大抵、

①財市場→②貨幣市場→IS‐LM分析→③労働市場→AD‐AS分析→④IAD‐IAS分析→⑤経済成長論→⑥国際マクロ経済学

に進むので、それに併せてモデルを示しておきます。

①財市場→短期、物価・利子率一定、ケインズ派の学習、断りなければ閉鎖経済
②貨幣市場→短期、利子率変動、物価一定、ケインズ派と(新古典派)の2つ、①同様、原則閉鎖経済
※IS-LM分析は財市場と貨幣市場の同時分析なので、貨幣市場のところのモデルと同じ
※なお、⑥の国際マクロは、②の状態を開放経済にして分析を行います。

③労働市場→中期(あるいは長期)、物価・利子率共に変動、ケインズ派と(新)古典派の2つあり、閉鎖経済(※AD-AS分析は2市場同時分析なので、労働市場のところのモデルと同じ。なお、労働市場における生産量の増減は、労働力のみに依存)

④IAD‐IAS分析→中期(あるいは長期)、物価が持続的に変動、利子率も変動、ケインズ派と、(新)古典派の系譜をひくマネタリスト、合理的期待形成学派などが登場、閉鎖経済

⑤経済成長論→長期(あるいは超長期)、ハロッド=ドーマー型(ケインズ派)は物価・利子率一定、ソロー=スワンモデル(新古典派)は物価・利子率変動、閉鎖経済

このモデルを意識しながら、該当のテキスト箇所を読み進めていきましょう。話の混乱が多少和らぐことでしょう。

次に、(1)の文字の多さです。こちらは、ひとまず覚えなくても大丈夫という気持ちを持ちましょう。なぜなら、問題文に文字の定義があるからです。その上で、学習する際は、使っている文字に集中しましょう。このとき、特段にテキストでの断りがなければ、その文字以外は変化しないとおさえましょう。

例えば、投資の話のときは、投資以外は数字が変化しないのだと理解するわけです。こうして、考えなくてはいけない文字だけに集中するクセをつけると、そんなに扱う文字は多くありません。

また、その文字が分数の場合、分母にあるのか、分子にあるのかを意識することも大事です。これは、ある分数の数において、その分母だけが大きくなれば当然その数は小さくなりますし、分子だけが大きくなればその数は大きくなると導ける意味で大切ということです。ここが理解できていると、色々な曲線のシフトなどを説明でき便利です。

最後に、(3)の文章題です。これは、最初に取り組むうちは図に書いたり、式で例を自分で作りながら丁寧に解くことを薦めます。大事なのは、なんとなく解くのではなく、しっかり根拠を持って選択肢の正誤判断をして欲しいということです。

これを繰り返していけば、必ずやがてはスムーズに解くことができます(恐らく、脳内に、文章のいっているものの映像が浮かぶはずです)。

4.おわりに

本記事では、ミクロ経済学よりもマクロ経済学を苦手とする人が多くなってしまう原因として、(1)文字の多さ、(2)モデル・学派への配慮、(3)文章題の難解さがある点を紹介しました。また、これに対し、モデル・学派一覧を紹介し、(1)(3)では文字や文章題への向き合い方を紹介しました。

是非とも、これを参考に、学習にトライしてみてください。それでも、苦しい場合、究進塾では経済学の個別指導をしています。受講相談や体験授業から開始できますので、勉強方法の一つとしてご検討いただければと存じます。

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