筆記試験対策

「民間筆記試験型公務員試験」受験、3つの留意事項!

1.はじめに

大学卒業程度試験は、従来1年に1回、6~7月に実施するのが一般的でした。しかし、近年はこの通常試験に加え、3~5月にも早期試験を行う自治体が増加傾向です。

早期試験は、文字通り「早期枠」といったり、「先行実施枠」や「アピール試験型」、「特別枠」など様々な名称で行われています。

他方、ほとんどの早期試験において、一次試験は、SPI3やSCOAなどが実施されるという特徴があります。これらの筆記試験は、民間企業でも使われているものであり、特別な公務員試験対策は不要です。

より具体的にいうと、憲法や民法、経済学などの専門科目はもちろん、数的推理・判断推理・社会科学・人文科学・自然科学などの公務員で出題される教養試験を勉強しなくて済みます。これらの勉強をするのは辛いですから、「ラッキー」と思うかもしれません。

しかし、そうとも言えない留意点があります。本記事では、これを3点にわけて説明していきます。安易に試験形態を選択せず、こちらの留意点を踏まえた上で、試験内容を選び試験対策に励んで頂きたいと思います。

なお、本記事では、SPI3やSCOAなどを実施する「民間筆記試験型公務員試験」と称します。

2.「民間筆記試験型公務員試験」3つの留意事項

それでは、3つの留意事項を確認しましょう。

(1)倍率が上昇する可能性が高い

そもそも、なぜ「民間筆記試験型公務員試験」を導入したのでしょうか。もちろん、自治体ごとの事情はあるでしょうが、総じていえば、公務員試験受験者の減少です。

現代の日本は少子化が進行しています。これによる人手不足は官民どちらにとっても深刻です。そのため、新卒者等の就職希望者にとって、民間企業での就職は、就職氷河期と呼ばれた時期に比べれば易しいことになります。

となると、わざわざ公務員試験だけにしか使えない筆記試験内容の勉強をしなくても、民間企業を受けて就職しようと就職希望者は考えてしまいます。つまり、公務員試験の受験が選ばれなくなるわけです。

この倍率低下は、民間企業からの内定を貰えるような人材(=一定の魅力があるから内定が貰えると考えればそれなりに優秀と考えられる人材)が、公務員に集まらなくなると考えれば、人材の質低下をも予見させます。

ということで、民間企業を受けようとしている層にも公務員試験受験選択をして欲しくて、「民間筆記試験型公務員試験」の導入が高まっていると言えます。そして、現に、同じ筆記試験なら、受けてみようかなと思う層は一定数います。なぜなら、公務員試験には民間企業よりも手厚い身分保障と、民間企業では見られるところが少なくなってきた年功序列と終身雇用という人事システムが残されているからです。

以上の議論からも分かる通り、「民間筆記試験型公務員試験」は、そもそも公務員受験者数増加を目的としていますし、受験負担が少ないのに公務員の魅力は変わらずあるなら「受験をそこまで考えていなかったけど、受けてみるか」と受験対象者を振り返らせることが可能であるため、倍率が上昇するわけです。

実際、令和6年度兵庫県の大卒・早期SPI型の倍率は69.3倍です(20人募集のところを1385人申し込み)。一方、同県の大卒・通常枠の倍率は7.9倍です(104人募集のところ822人申し込み)。こうした、倍率差を出す自治体は大変多いです。

(2)受験負担が思いのほかに大きい

2点目は、受験負担が想定よりも大きくなる可能性が高くなるということです。これには2つの意味合いがあります。

第1は、3~5月に受験となることで、民間企業の就職活動と時期が重なるため、並行作業が大変になるということです。

もちろん、従来からの公務員試験だって遅いわけなので重なります。しかし、この重なりは民間企業が説明会参加や面接試験なのに対し、ひとまずは6・7月に向けた筆記試験ですので、準備する性質が異なります。

これは私の実体験でもありますが、民間企業の面接など人とのやりとりを適度に挟みながら、それ以外を公務員試験勉強に打ち込むと、どちらにとっても良い気分転換になる場合があります。そして、公務員試験の面接は7~8月となりますので、その頃には民間企業の活動がほぼ終わっており、公務員用の面接試験に集中できます。

しかし、「民間筆記試験型公務員試験」の場合は、民間企業と同時並行で、民間企業で行うのと同じ作業である、面接試験で話す内容の検討並びに自治体研究(≒企業研究)をしなくてはならず、どの受験先が何だったか等が混乱したり、覚えきれなかったりする可能性が高まります

第2は、「民間筆記試験型公務員試験」が人物重視であることによります。(1)で述べた通り、高倍率の試験である一方、SPIなどの筆記試験は公務員試験より優しいことから差がつきにくいため、必然的に人物重視となります。

これは、集団面接・個人面接・グループディスカッション・プレゼンなど多様な人物試験があることからも伺えます。これらの試験でふるいにかけて、合格者を出すわけですね。

なお、民間企業のエントリーシートと同様に、自己アピールや志望動機、入ってからやりたいことなどを記載するシートの事前提出もあります。これは、なぜか手書きを要求する自治体も多いです(PC作成が可のところもありますが)。この書類も合否を左右します。

そして、これらの提出書類や人物試験は、公務員の仕事という特有性を理解しながら自身を売り込む内容で書くため、民間企業の使いまわしが困難です。もちろん、大学時代に、売り込める内容につながるような経験も必要です(サークル、アルバイト、インターンシップ、ボランティア、ゼミナール活動などで相応の経験をしているかという吟味も求められるということです)。

2点目をまとめると、自身のキャリアを見つめつつ、重視されている人物試験を突破できる言動の準備と、実際に適切な表現ができるよう練習することが必要で、これを民間企業の就職活動と並行して行うという負担があることに留意しなければなりません。

(3)公務員試験の併願は困難になる

令和6年現在、国家公務員一般職や国家専門職試験など国家公務員系において、「民間筆記試験型公務員試験」の区分はありません。

そして、地方自治体の「民間筆記試験型公務員試験」は、SPIの試験自体はテストセンターを利用するので近隣自治体と日程の重なりは少ないですが、人物試験時期は同じである場合が多いです。つまり、人物試験の段階で日程が重なりどちらかしか受けられないことが近隣自治体だと多くなるというわけです。

こうして、公務員試験の受験数が「民間筆記試験型公務員試験」だけの利用を考えると増やしにくくなります(日本全国いろいろ受けるつもりなら大丈夫ですが)。

これは、「縁あるところで公務員になりたい」と考え、いろいろ受けたい人にとっては、結局、公務員試験内容の筆記試験勉強をしないといけないことを意味します。こういう人にとって、わざわざ高倍率で、人物試験の準備が重たい「民間筆記試験型公務員試験」を受けるメリットは少なくなるでしょう。

3.おわりに

公務員試験用の学習は、多科目で難易度もそれなりに高いため、正直避けられるなら避けたいものです。これをしなくても良い「民間筆記試験型公務員試験」は魅力的に感じることでしょう。

しかし、倍率は、皆同じことを考えるため跳ね上がります。また、公務員になる人物として売り込む準備をして、実際に振る舞えるように練習することを、民間企業の就職活動等と並行して行う負担もあります。さらに、公務員試験併願は少なくなる懸念があります。

こう考えると、安易に「民間筆記試験型公務員試験」を目指すのは得策ではありません。公務員が本命なのであれば、倍率、負担感・併願可能性を考慮すると、従来型の公務員試験で臨む方が得策となります。

他方、「民間企業に軸足を置いて就職活動していたが、その中で公務員がよくなったけれど、今さら目指せないだろうな」のように思っている方にとっては、筆記試験の準備が少なく済むため、「民間筆記試験型公務員試験」の受験は悪くない選択肢になります。

以上を踏まえつつ、ご自身の受験計画を立てて頂ければと存じます。

なお、究進塾では、公務員試験対策の学習相談を承っています。また、個別面接などの人物試験対策も実施しています。よろしければご利用をご検討ください。

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民法、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

公務員試験を知ると沢山の科目があり、どのように対策しようか悩むことかと思います。特に、塾・予備校を利用せずに独学していると、大いに悩むことでしょう。また、何とか学習を始めてみても、息詰まってくると、学習方法に問題があるのかと新たな悩みが生まれ、その検討をしていると、肝心の学習時間が減りますし、モチベーションも下がります。

そこで本記事では、公務員試験の専門科目として出題される「民法」の独学での攻略方法をお伝えします。このやり方でトライしてみて、難しい場合は、いっそのこと塾や予備校を頼った方が良いかなと筆者は考えます。その試金石に、以下の学習方法をお試しください。

ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。つまり、民法を独学で得意科目にする学習方法やそのための教材を紹介しつつ行います。

2.民法という科目の特徴

学習方法を述べる前に、民法という科目の(1)出題数、(2)出題範囲、(3)難易度などをおさえましょう。

(1)出題数

2025年実施予定の公務員試験での民法の出題数をみていくと、
◎国家一般職・特別区は10問
◎地方上級全国型4問、関東型6問、中部北陸型は7問です。
◎国家専門職は、国税専門官6問(必須2問、選択必須4問)、財務専門官8問と労働基準監督官は5問です。そして、裁判所事務官が13問です

なお、必須解答となる試験種が多いのも民法の特徴です。上記の試験種のうち、地方上級全国型、国税専門官、裁判所事務官が必須回答です。沢山の試験種で使える科目であることと必須試験種が存在していることから、民法を捨てることは難しく、選択せざるを得ない科目と言えます。

(2)出題範囲

民法の出題範囲は、以下①~⑥に分かれます。
国家一般職や特別区の試験では、①~③を民法Ⅰとし、④~⑥を民法Ⅱとして出題しています。

総則……民法全体に共通して問題になる事柄を扱います

物権……不動産や動産に対してどのような権利が認められるのかを扱います。

担保物権……債権の回収をする際に、物を利用する場合における法律関係を扱います。

債権総論……人に対してどのような権利が認められるのかを扱います。

債権各論……さまざまな契約とそれに関する法律関係を扱います。

家族法……例えば相続などの家族間の法律に関する事項を扱います。

(3)難易度

民法の条文数は1050条です。憲法は103条ですから、10倍以上です。また、判例もきちんと出ます。つまり、膨大な範囲です。

そして、学習の冒頭から「権利能力」「意思能力」「行為能力」などの日常生活であまり使わない言葉のオンパレードです。さらに、事例問題なども出てくるので、丸暗記が通用しません。

したがって、民法は、経済学と並び、公務員試験で最難関科目と言われます。あるいは、「民法を制する者は公務員試験を制す」などとも言われます。

心して学習しなければなりませんね。

3.民法の学習方法&お勧め参考書

(1)学習方法

学習の流れとしては、

①民法の全体像を一気に読んで理解する

②テキスト×解説一体型で解きながら覚える

③②にはない問題も含め、演習本で周回する

④最新判例をおさえる

というものです。

①のポイントは、読みやすい文章を一気に読んでいくことです。あまり細かい点は気にせず読み進めていくのです。

その後、②にいきますが、①だけの学習ですと、ほとんど解けないと思います。したがって、②では、テキスト部分をよみながら①の理解を深めつつ、読んだ範囲にあたる問題をすぐに解いていくのがおすすめです。

その後は、③として問題集を周回していきます。④の最後は、最新判例をおさえます。というのは、最新の判例自体を知ると共に、その判例を踏まえた事例問題対応などをしていくことが大切だからです。

以下では、段階ごとにお薦めの本を紹介していきましょう。

(2)お薦めの学習本

①「民法の全体像を一気に読んで理解する」ための本

資格予備校講師が書いた本や初学者向けに書いた本などが、さらっと全体像を把握するのにお勧めです。このとき、一文一文を深く理解しようとするより、「こんな感じなのかぁ」となればOKです。また、繰り返しますが、スピードを重視して一気に読みましょう。

【ア】

TEZUKAYAMA民法入門: 親族編 (エンタメ法学)


TEZUKAYAMA民法A:総則・物権編 (エンタメ法学)


TEZUKAYAMA民法B:債権編 (エンタメ法学)


TEZUKAYAMA民法C:相続編 (エンタメ法学) 」の4冊、全て松下慎一著(Kindle版)

電子書籍で4冊800ページ程度あるものの、1ページの字数が大きいので、一般の書籍で置き換えると350頁くらいでしょう。もちろん書名から分かるように、公務員試験として書かれているわけではなく帝塚山大学生用としてのものです。

ただ、若者向けに分かりやすい言葉と具体例が書かれているので、民法の全体が分かるように工夫がされています。そして、4冊1500円以下のためコスパも大変良いです。

下記のイと見比べて、良い方にしてください。なお、コチラの場合は、1週間以内に読んでしまいましょう。

【イ】

イ;「改訂版 伊藤塾の公務員試験「民法」の点数が面白いほどとれる本


公務員試験対策と銘ってないとやる気が出ないという方は、こちらも1冊で最低限のポイントが分かるように配慮しながら書かれているので良いでしょう。10日ほどかけて読み切りましょう。なお、2024年12月から発売の「改訂版」と書かれている本を読みましょう。

②テキストと問題集の一体型の使用

さて、次の段階は、『みんなが欲しかった! 公務員 民法の教科書&問題集』です。

以前は、同じTAC出版のゼロからシリーズが優れていると薦めていました。しかし、2020年発行で、民法大改正には対応していますが、未成年が18歳以上でなく20歳以上の時代の本になっているため、Ⅰの総則、「人」における未成年のところなどは読み替えて問題にも取り組まなければならないなどの留意が必要でした。

しかし、こちらの本が発行されました。したがって、テキスト読んで問題にトライしてということができる最新版でおススメがこちらになります。解説部分を読んで、問題に取り組む学習を1日1節分進めましょう。30単元分あるので、毎日やれば1か月です。所用などで取り組めない日もあるでしょうから、概ね1か月半くらい腰を据えて行えば、知識が整理され、基本的な問題を利用して公務員試験で民法を得点源にする土台が確実に身につきます。

③演習本

以下の2冊の、好きな方を選びましょう。なお、実施の際は、②で扱っていた問題(重複問題)を飛ばしながら取り組みましょう。こちらは、2~3回転しましょう。

【ウ】

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 民法1一総則・物権・担保物権 (新スーパー過去問ゼミ7)

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 民法2一債権総論・各論・家族法 (新スーパー過去問ゼミ7)

【エ】

2025-2026年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【10】民法Ⅰ

2025-2026年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【11】民法Ⅱ

④判例集

最新の判例集としては、行政書士試験用の『みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2025年度版 [行政書士の教科書に準拠 試験によく出る重要判例を網羅!](TAC出版)』です。これの、民法部分を使う感じです。

公務員試験用を使わないのは、行政書士用は毎年改訂された新しい判例集が出版され、公務員試験と範囲も多く重なるためです。

なお、判例集は、②や③の学習をする中で、必ずしも言及がされていない事柄を知るためにも使えます。いわば、辞書代わりということです。

また、直前期にはどこの判例箇所を時事的に読んだ方が良いかは、『公務員受験ジャーナル』という雑誌から導きましょう。あるいは、憲法の学習方法を紹介したときの記事(下記)で示したように、外部模試を受けることも有益です。

憲法、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

4.おわりに

本記事では、民法についての科目の特徴や出題傾向、学習方法、お薦めの参考書についてお伝えしました。参考にして取り組んでみてください。

これで行っても厳しい場合や読み進められないという場合は、塾や予備校を使って講義を通して身につけると良いでしょう。また、読んでいても疑問点が生まれる場合は、個別指導塾などを利用し、質問しながら学べるサービスの活用を考えましょう。

究進塾では、こうした自身の疑問点を持ち込んで聞く指導を受けることができます。もちろん、講義調の指導を希望すれば、その形での利用も可能です。

体験授業や受講相談は無料ですので、一度必要な対策を計画した上でぜひ効率的な利用をご検討ください。お問い合わせお待ちしています。

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行政法、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

公務員試験を学習する上で、塾・予備校で学習をするのか、独学をするのかという学習手段の検討は、しばしば悩みの種となりますよね。

このとき、重要なことの1つは、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば独学で行えば良くなり、難しそうであれば、塾・予備校を使うことになるからです。

そこで本記事では、公務員試験の専門科目として出題される「行政法」の攻略方法をお伝えします。

ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。つまり、行政法を得意科目にする学習方法やそのための教材を紹介しつつ行います。

2.行政法という科目の特徴

学習方法を述べる前に、行政法という科目の(1)出題数、(2)出題範囲、(3)難易度などをおさえましょう。

(1)出題数

2023年実施の公務員から行政法の出題数をみていくと、
国家一般職・地方上級・特別区で5問です(ただし、地方上級のうち、中部北陸型は8問もあります)。
◎国家専門職はばらつきがあり、
国税専門官3問
財務専門官8問
労働基準監督官は4問です。
なお、必須解答となる試験種は、上記の財務専門官のみで、後は選択解答です。沢山の試験種で使える科目であることから、選択する人は多いと言えます。

(2)出題範囲

行政法という名前の法律はありません。行政法は行政権と国民の関係を規律した法律の束といえます。そして、出題範囲は、その関係性から3つに大別したものになります。

①組織法
主に、国家行政組織法、内閣法、国家公務員法、地方公務員法などから行政の活動をする主体に関する内容をおさえる学習をします。

②作用法
主に、行政手続法、行政代執行法などから、行政の活動に関する内容を学習します。

③救済法
主に、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法などから、行政の活動によって被害を被った国民を救済する方法に関する内容を学習します。

なお、出題の割合は、③は5割程度、②は4割程度、①は1割程度ですので、③>②>①の順であり、圧倒的に③や②が出ます

(3)難易度

行政法の難易度は、資格予備校のHPや合格者の体験談などを読むと、よく「易しい」とか、「丸暗記でいける」とかと述べられているので、「何とかなる」と思われているのではないでしょうか。そして、その認識は指導経験上も、合格体験上も、そうだと執筆者も考えます。

ただし、ボリュームはありますので、その暗記となると、それなりの時間が必要となります。また、行政法はしばしば「つまらない」「よく分からない」と言われます。

これは、行政に関することなので、民法などのように日常での取引等からイメージできることに比べ、なじみが薄く具体的イメージがつかみにくいからでしょう。また、たくさんの法律を、学者の方が分類・整理した視点で捉えるため、これが抽象的な概念であり、ここから分かりづらさを助長させているといえます。

したがって、慣れるまではとっつきにくく、得点化に至るためには、そのとっつきにくさを乗り越えて、暗記できるよう何度も学習していくことが求められます。以下では、そのための学習方法をお伝えします。

3.行政法の学習方法&お薦め参考書

(1)学習方法

学習の流れとしては、

①「馴染みやすいものでさらっと全体像を理解する」

②「過去問集」を読む

③「過去問集を解く」(何回か周回する)

④最新判例をおさえる

というものです。
①によって少しでも行政法の世界を自分自身に馴染ませます。その後、②にいきますが、①しかしていないとほとんど解けないと思いますので、まずは問題を読み、そのまま解答解説を読んで理解していきましょう。

その後は、③として実際に解きます。ここでは2~3回転行って、独力で解けるようにしましょう。

④の最後は、最新判例をおさえます。というのは、行政法ではしばしば最新の判例がでるためです。

以下では、段階ごとにお薦めの本を紹介します。

(2)お薦めの学習本

①「馴染みやすいものでさらっと全体像を理解する」本

資格予備校講師が書いた本がさらっと全体像を把握するのにお勧めです。このとき、一文一文を深く理解しようとするより、「こんな感じなのかぁ」となればOKです。そのようになる本としては、次の本がお勧めです。

ア;「新谷一郎の行政法 新・まるごと講義生中継 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)

ただ、この本は2018年が最新で、少し古いのが気になる方は、以下でも良いでしょう。

イ;「面白いほど理解できる行政法 第4版 [大学の講義の予習・復習 資格・公務員試験のプレ学習 ビジネスの現場 に役立つ]

②③「過去問集」

以下の2冊の好きな方を使い倒しましょう。なお、過去問は、必ず最新版を用意しましょう(法改正を反映しているものが必要なため)。
ウ;『2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【12】行政法(最新 ! 23年度問題収録)(専門試験対策) (公務員試験過去問解きまくりシリーズ)

エ;『公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 行政法 (新スーパー過去問ゼミ7)』

④判例集

最新の判例集としては、行政書士試験用の『みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2024年度 [行政書士の教科書に準拠](TAC出版) (みんなが欲しかった!行政書士シリーズ)』です。これの、行政法部分を使う感じです。

公務員試験用を使わないのは、行政書士用は毎年改訂された新しい判例集が出版され、公務員試験と範囲も多く重なるためです。

なお、判例集は、②や③の学習をする中で、必ずしも言及がされていない事柄を知るためにも使えます。いわば、辞書代わりということです。

また、直前期にはどこの判例箇所を時事的に読んだ方が良いかは、『公務員受験ジャーナル』という雑誌から導きましょう。あるいは、憲法の学習方法を紹介したときの記事(下記)で示したように、外部模試を受けることも有益です。

憲法、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

4.おわりに

本記事では、行政法についての科目の特徴や出題傾向、学習方法、お薦めの参考書についてお伝えしました。参考にして取り組んでみてください。

なお、「国家総合職なども受験予定だがこの学習方法で良いのだろうか」といった疑問点や、「記事通りのやり方をしても挫折しそうだ」などの不安点など、個々の状況によっては色々聞きたいことが生じるかと思います。

究進塾では、こうした受験相談にのったうえで、必要な対策を個別指導しています。ご興味ありましたら、一度お問い合わせください。

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【公務員試験】論文が苦手な人でも「自分の論文」が書けるようになる3ステップ学習法

「論文が苦手でやる気が起きない…」
「重要だとは分かっているんだけどな…」
「論文が苦手な人はどんな勉強をしたらいいの?」

こんな悩みや疑問に応える記事です。
本記事を読んで分かることは、次の通りです。

✓論文が苦手な人にありがちな3つの状況
✓論文が苦手な人もできる3ステップ勉強法

論文が苦手な方でも、今から頑張って合格を勝ち取るために必要な情報をこの記事につめこみました!
サクッと読める分量なので、学習の合間などに読んでみてくださいね。

それでは、いってみましょう!

1.【あなたは当てはまってない?】論文が苦手な人にありがちな状況3選

「他の勉強に比べて、論文の勉強ってやる気が起きないんだよね…。」

あなたは、こんなふうに思っていませんか。
私も受験生の頃、まったく同じ気持ちだったので良くわかります。

論文学習は、受験生に敬遠されがちな理由がいくつもあります。

×自己採点しづらい
×慣れない手書きで疲れる
×1本の論文を書くには、まとまった時間が必要

そのため、無意識に「論文学習を回避してしまう」受験生がとても多いんです。

以下、具体例を挙げますので、あなたも当てはまっていないかセルフチェックしてみてくださいね!

【その1】教養試験の勉強ばかりする

一番、よくあるパターンは教養試験の勉強に逃げてしまうこと。

教養試験の勉強は、先ほど挙げた論文学習のデメリットが少ないです。
自己採点できて、1問解くだけならスキマ時間にサクッと取り組めます。

つまり、学習に取りかかるハードルが低いんですね。

さらに、解けない問題が解けるようになれば、自身の成長も感じやすいです。
(たとえば「数的」の問題が解けた瞬間って嬉しいですよね。)

その結果、論文にはあまり手をつけず、教養対策のみに終始してしまう受験生がたくさんいます。
特別区をはじめ、ほとんどの自治体では圧倒的に論文対策の方が重要なんですが…。

受験生自身も論文の大切さを分かりながら、つい後回しにしてしまうんです。

【その2】自分の論文に納得できず、書き上げられないまま放置する

次に、論文を書こうとするものの、書き上げることができないパターンです。

先ほど、論文学習の難しさとして「自己採点の難しさ」を挙げました。
論文学習を始めたころ、多くの受験生はとても不安な気持ちに襲われます。

「自分の書いた文章って、なんかすごく幼稚な気がする…」
「どこをどう直していけば良い答案になるのか見当もつかない…」

参考書や問題集を見れば模範解答は載っていますが、自分の書いた論文の良し悪しは分かりません。
そして、自信がもてず、一本の論文を最後まで書き上げる(結論まで書く)ことができません。

ただ、公務員試験の論文は、「序論―本論―結論」の3段構成でできています。
結論まで書き上げないことには、論文力はアップしていきません。

本当は「自説を最後まで書き上げる」練習こそ大事なんです。

ところが、多くの受験生は書き続けることに耐えられず、模範解答を読んだり写したりして勉強を終わりにしてしまいます。

それでは「なんとなく分かった」状態になるだけで、本番で書けるようにはなりません。

【その3】「論文ネタ」を集めたり「模範解答」を覚えたりするだけで満足する

「書くことが無いから書けない。だから、論文ネタを集めよう。」
「自分で良い論文を書けないなら、模範解答を覚えてしまえばいいのでは?」

こんなふうに考える受験生もまた多いです。

たしかに論文を書くためには、ある程度の「インプット」が必要です。
良い論文ネタや模範解答を自分の知識としてストックすれば、論文は書きやすくなるでしょう。

ただ、ここで注意しておきたいのは、

✓論文ネタや模範解答を知った上で、自分で書く訓練が最重要である

ということです。

ネット上には、「論文ネタや模範解答を丸暗記すればOK」という意見もありますが、これは危険です。

というのも、丸暗記型の論文対策には大きな3つのリスクがあるから。

①本当に丸暗記しようとすると、かなり時間がかかる
②ちょっと出題の仕方をひねられると丸暗記では対応できない
③論文対策が面接対策にうまくリンクしていかない

特に③のリスクを見落としている人が多いです。

実は、模範解答を丸暗記するだけの勉強で、運よく論文試験を切り抜ける人はたくさんいます。
(2次試験の面接に比べて、1次試験の論文ではあまり人数を絞らない自治体もたくさんあります。)

ただ、
模範解答を丸暗記してきた人と、

「自分の論文」を書く訓練を積み上げてきた人とでは、
いざ面接対策に進んだときに取返しのつかない程の差がついています。

✓「自分の論文」を書く=自己PRや志望動機を自分の言葉で表現する訓練

ですから、「自分の論文」を書いてきた人は、面接対策を始める頃には自分の言葉で面接回答する準備がばっちりできています。

一方で、模範解答を丸暗記してきた人はどうでしょうか?

借り物の自己PRや志望動機、希望自治体についての知識しかもっていないので、「自分の言葉」で回答することができません。

「他には?」「具体的には?」と深掘り質問されると、もう答えられない。

それで焦って、今度は「面接模範回答集」を暗記し始めてしまう人もいます…。
(その暗記にも、ものすごく時間がかかります…。)

丸暗記のみの論文対策って、一見効率的なようで、実はとても非効率なんです。
この記事を読んでいるあなたには、こんな間違った勉強の仕方は避けてほしいと思います。

【つまり】「自分の論文」を書くことから逃げると失敗する

教養試験対策に没頭したり、模範解答を写したり、丸暗記で乗り切ろうとしたり…。

これらのうまくいかない勉強法には共通点があります。

✓「自分の論文」を書くことから逃げている

この1点です。

とはいえ、では具体的にどう勉強すればいいのでしょうか。

次項では、論文が苦手な人でも「自分の論文」を書ける”3ステップ勉強法”を紹介します。

2.論文がツラいあなたを救う勉強法3ステップ

もしあなたが、論文に苦手意識が強いなら、次の3ステップ勉強法を試してみてください。

【ステップ1】良い論文を写経・音読する
【ステップ2】「ヒントあり」で自分の論文を書き上げる
【ステップ3】他人に論文を見てもらう→書き直し→覚えこみ

一見、途中まで「丸暗記」型の勉強に見えますが、実際には大きく異なります。
その点も含め、以下に1つずつ解説していきますね!

【ステップ1】良い論文を写経・音読する

良い論文を書くためには、論文の「中身」を事前にもっておく必要があります。
「中身」とは、たとえば次のようなものです。

✓論文テーマに基礎知識
✓希望自治体や他自治体の事例
✓あなた自身の経験や思い(が文章化されたもの)
✓公務員としての心構えや決意(が文章化されたもの)

あなたがもし、これら論文の「中身」をまったく持っていなければ書けなくて当然です。
とはいえ、これらを1個ずつ覚えていくのは膨大な時間がかかります。

そこで、オススメしたいのが、良い論文(参考書の模範解答など)を写したり、音読したりすること。

「良い論文=分かりやすい論文」なので、初学者でもスラスラ読めるはず。
たくさん読んで「なるほど」と思ううちに、自分自身も論文に書かれていた「中身」を覚えられます。

ただ、その際に「黙読」では、なかなか頭に入っていきません。
写したり、音読したりすることで、効率的に論文の「中身」をゲットできます。

また、この2つの勉強(写経・音読)はどちらもやった方がいいです。
というのも、それぞれにメリットがあるからです。

✓写経のメリット→本番に向けて鉛筆で書き慣れることができる
✓音読のメリット→スマホのボイスメモ等で録音すれば、スキマ時間に「耳勉強」もできる

PCに慣れた私たちは、鉛筆をもつこと自体かなり少なくなっています。
結果、実は書くスピードがかなり落ちている人が多いんです。
写経で普段から書く訓練をしておきましょう。

また、忙しい人ほど音読を録音して、あとで聴き直す「耳勉強」を活用してほしいです。
慣れれば通勤・通学中や家事をしながらでも論文学習ができます。
気軽にサクッと短時間で論文学習をすることが可能になるんです!

【ステップ2】「ヒントあり」で自分の論文を書き上げる

ステップ1の方法で数テーマ学習しておくと、自分で論文を書くハードルはグッと下がります。

というのも、先に紹介した論文の「中身」や毎回使われるような定番表現が体に染みこんでくる(あなた自身の知識になり、使えるようになる)からですね。

しかし、ここで学習を終わりにしてはいけません。
(もしくは、一字一句の模範解答を丸覚えしようとしてもいけません!

ここからついに、自身の考えや思いを加えて「自分の論文」を書き始めるのです。

ただ、そうはいっても、最初のうちは手が止まることが多いでしょう。
そこで、次の工夫をしてみてください。

✓ステップ1で学習したテーマに近い(もしくは同じ)テーマで書く
✓本当に困ったら、参考書やネット検索をヒントにして書き続ける

ここでは、とりあえず「自分の論文」を書き上げることを大事にしたいです。
ですから、大学の「持ち込み可」の試験のように、ヒントありで良いので書き続けましょう。

その結果、模範解答の写しになってしまうような箇所があってもOKです。
(ただ丸写しになっては意味がないので、「ヒントを見られるのは1回5分」とか、「丸写しは連続2文までというようなマイルールを設定すると良いでしょう。)

どんなに稚拙に見える文章でも、書き上げたことに大きな価値があります。
そして、次のステップで論文力をグッと伸ばすことができます。

【ステップ3】他人に論文を見てもらう→書き直し→覚えこみ

くり返しになりますが、論文学習は自己採点が難しいです。
それを解消する方法はただ1つ、他人に論文を読んでもらうことです。

公務員試験を知っている人がベストですが、家族や友人に見てもらうことも価値があります。

なぜなら、「良い論文=(誰が読んでも)分かりやすい論文」だからです。
なので「読んでみて分かりづらい場所を教えてほしい。」とお願いしてみるといいですね。

そして、問題があった箇所は書き直し、また読んでもらいましょう。

このくり返しで、あなただけの合格答案が出来上がっていきます。
(良い答案ができあがったら、これは覚えこんでもOKです。自分の答案なので覚えやすく、また他テーマの論文が出題されても応用が効きやすいです。)

ただ、合格に近づくためにはやはり、公務員試験論文を熟知した人に添削してもらうのが一番です。

また、試験まで時間が限られていたり、何回も見てもらいたかったりする場合、家族や友人には頼みづらいということもあるでしょう。

そんな時は、ASK公務員の「オンライン添削」を活用してください。

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3.まとめ

本記事のまとめです。

✓論文が苦手な人にありがちな3つの状況
①教養試験の勉強ばかりする
②自分の論文に納得できず、書き上げられないまま放置する
③「論文ネタ」を集めたり「模範解答」を覚えたりするだけで満足する

つまり、「自分の論文」を書くことから逃げると失敗する、ということでした。

そして、論文に苦手意識がある人でも「自分の論文」を書き上げる勉強法をご紹介しました。

✓論文が苦手な人もできる3ステップ勉強法
【ステップ1】良い論文を写経・音読する
【ステップ2】「ヒントあり」で自分の論文を書き上げる
【ステップ3】他人に論文を見てもらう→書き直し→覚えこみ

ステップ3で論文を見てもらうことで、論文力は飛躍的に向上します。
ASK公務員の「オンライン添削」なら、全国どこからでもプロの指導を受けることができます!

以上です。

本記事を読んだあなたが「自分の論文」を書き上げ、夢を叶えられるよう応援しています。

それではまた!

【特別区経験者採用】教養試験が苦手な人でも試験日までに間に合わせる学習法

「教養試験の点数が伸び悩む…」
「足切りが心配で論文の対策に集中できない!」
「社会人で時間が無い…。どうやったら対策すればいい?」

こんな不安や疑問に応える記事です。

本記事では、特別区経験者採用を目指す方、特に教養試験が苦手意識がある方向けに、

✓苦手な人でも間に合わせるための基本戦略
✓得意分野を最短で伸ばすための2つの方法
✓教養試験で比較的簡単な分野とその攻略法

これら、足切りを確実に超えるための情報をギュッとまとめました。

勉強の合間に、気になる項目から読んでみてくださいね!

1.教養試験が苦手な人でも間に合わせるための基本戦略

特別区経験者採用の一次試験で実施される教養試験は、「足切り」の役割をもちます。

一次試験の合否を決めるのは論文ですが、そもそも教養試験で一定の点数を取らないと、論文を読んでもらえないのです。

教養試験の「足切りライン」は例年4〜5割と言われています。
問題全体の難易度も標準的なので、あまり対策しないで受験に臨む人も大勢います。

しかし、教養試験が苦手な人にとっては、この「足切り」が大きな不安要素となるでしょう。

そこで本稿では、教養試験が苦手な人でも限られた時間で試験の足切りラインを超えるための学習法を考えていきます。

すべて選択問題(5択)なので2割は取れる計算

特別区経験者採用の教養試験は、すべて選択問題(5択)形式で出題されます。
つまり、仮にすべての問題をカンで解いたとしても2割の得点は取れる計算になります。

したがって、残りの3割の得点を確実に取ることができれば、足切りラインを超えることができます。

なにも高得点を狙う必要はありません!

本番の限られた試験時間の中でも、焦らずに確実に解ける問題を着実に拾っていくことが大切です。

極端に苦手な分野は放っておく

試験まで時間がない場合、極端に苦手な分野を短期間で克服することは非常に難しいでしょう。
そもそも教養試験は、今までの学習歴に大きく影響を受ける試験です。

出題レベルこそ基礎〜標準レベルですが、とにかく範囲が広いです。
英語や数学、国語や社会など広範な分野から出題されます。

もしあなたが、

「学生時代から英語は赤点ギリギリだった」
「数学どころか算数も苦手だった」

こんなタイプなら、英文内容把握問題や数的処理を今から対策するのは得策ではありません。

これらの分野を対策するには、一年単位のじっくりとした準備が必要になるからです。

時間がないのなら、苦手分野にはあえて目をつぶりましょう。
その代わり、限られた時間は次の2つの分野の学習に集中投下するのです。

「得意分野+簡単な分野」で得点を稼ぐ

足切りラインを確実に超えるためには、次の2つの考え方が大事です。

✓ 自分の得意分野で高得点を狙う
✓ 比較的簡単な分野で確実に得点する

つまり、「得意分野」と「簡単な分野」が鍵になります。

この2分野について、短期間の対策で得点を最大化するのです。

これらの分野では、100%の得点を目指すくらいの意気込みで臨みましょう。
そのくらいの目標を持って勉強すれば、常に安定して8割程度の得点が見込めます。

特別区経験者採用の教養試験は全35問出題されます。

もし「得意分野+簡単な分野」が4割程度(13問程度)あるとします。
そこで8割の得点(10問正解)ができれば、32%の得点率が確保できます。

そして残りの問題をすべてカンで解いたとしても、2割(20%)は得点できます。

これで足切りラインは十分突破できるでしょう。

2.【教養試験】得意分野を最短で伸ばすための2つの方法

あなたが得意分野を最短で伸ばしたいなら、次の2つの方法を試してください。

✓ 解答時間をより多く使う
✓ 誤答の選択肢をしっかり「切る」

以下、1つずつ解説していきますね。

得意分野に解答時間をより多く使う

まずは過去問を数年分解いて、自分の得意分野がどこにあるのかを見つけ出しましょう。

特別区経験者採用の教養試験は、制限時間がシビアな試験です。
全問均等に時間を割り振ると、1問あたりわずか3分の解答時間しかありません。

3分では得意分野であっても時間が十分に使えず、正答率が上がらない可能性があります。

そこで、自分が高得点を狙える分野があるのなら、そこにはもう少し多めに時間を使って問題を解き、正答率を限りなく100%に近づけるようにしましょう。

正答率の高い問題なら、1問5分かけても良いでしょう。
特に時間を要する「資料解釈」の問題であれば、7分かけてもよいかもしれません。

とはいえ、これは時間をかけてダラダラ解くということではありません。

以下に紹介する方法で正答率を極限まで高めるため、しっかり時間を確保することが必要なのです。

誤答の選択肢をしっかり「切る」ことで正答率を高める

得点率を高めるためには、次の2つのアプローチが大事です。

✓正答の選択肢を根拠をもって「選ぶ」
✓誤答の選択肢を根拠をもって「切る」

つまり、すべての選択肢をしっかり吟味するということ。

得意分野の問題は、つい「選ぶ」アプローチだけで解いてしまう人が多いです。
しかし、それでは正答率が安定しません

誤答の選択肢一つ一つについて、

「○○の部分が本文と矛盾している」
「××という言葉が使われていれば正解だが、そうなっていない」

というように、誤答である理由を説明できるレベルを目指しましょう。

ですから、問題集を選ぶ際は、解答解説だけでなく誤答の選択肢についての解説もしっかりと書かれているものを選ぶとよいでしょう。

3.【教養試験】簡単な分野とその攻略法(特別区経験者採用の場合)

特別区経験者採用の教養試験では、比較的簡単な分野が2つあります。

✓ 資料解釈(4問)
✓ 選択問題(5問)※2級職受験の場合は、3問

あなたの得意分野と、これら2分野で確実に得点を積み重ねれば「足切り」は確実に超えられます。

以下に、それぞれの分野の対策法を見ていきましょう。

「資料解釈」は総取りを狙って対策する

「資料解釈」の問題は、グラフや表からの正確な読み取りに時間がかかります。
しかし、几帳面に読み取りさえすれば、必ず正解にたどり着くことができる分野でもあります。

資料解釈問題の誤答選択肢は、「数字が違う」「グラフの参照箇所が違う」など、誤答である理由がはっきりしていることが多いです。

そのため、正答率を高めやすい分野と言えます。

資料解釈問題は4問ありますが、ここはぜひとも総取りを狙っていきたいところです。

※資料解釈の勉強法について知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説

「選択問題」は自分に合った問題を選び抜く

特別区経験者採用には、試験時間中にその場で解く問題を選べる「選択問題」があります。
(1級職は15問中5問解答、2級職は12問中3問解答)

「選択問題」は非常に出題範囲が広い一方で、問題それぞれの難易度は高くありません。

しかも、自分が得意なタイプの問題を選べるので、得点源になり得ます。

「選択問題」については、まず過去問数年分をすべて解いてみましょう。
(あえて一部の問題を選択せず、すべて解いてみるのがコツです。)

そして、問題ごとの解きやすさと解答時間を記録します。
そうすることで、自分が本番で選ぶべき問題、かけるべき時間が分かってきます。

△ 文系だから「人文科学」や「社会科学」系の問題を選ぶ
△ 理系だから「自然科学」系の問題を選ぶ

多くの受験生はこのように、単純に考えてしまいますが、それではプラス1点を逃してしまう可能性があります。

というのも、苦手科目の中に得意ジャンルが隠れていることもあるからです。

たとえば私自身の経験ですが、自然科学分野は苦手で選ばないようにしようと考えていました。

しかし、過去問で「水溶液」関連の問題が出れば高確率で解けることが判明し、準備したところ、本番でも「水溶液」問題が出題され、正解することができました。

こんな気づきを得るためにも、事前に過去問を解くときは「選択問題」すべてにチャレンジしておくことをオススメします。

「数的推理」や「判断推理」で粘る方法を知っておく

これまで紹介した2分野に比べると難易度は高いですが、「数的推理」や「判断推理」では、苦手意識のある人でも粘れる問題があります。

どうにも解法が浮かばないときは、選択肢を1つずつ当てはめ、条件に合致するか確認してみましょう。
(数学的に言えば、”代入”ですね!)

すると、問題によっては正答にたどり着ける場合があります。

この方法は算数・数学が得意な人にとっては回り道に感じるかもしれませんが、苦手意識のある人が1点でも多く得点するための方法としては有効です。

簡単には諦めずに、しぶとく1点を拾う意識も大切です。

【補足】1問あたりの解答時間を決めておく

これまで「得意・簡単な問題に集中し、得点を最大化する」という戦略を解説してきました。

ただ、得意・苦手いずれの分野に関しても共通して注意したいのは「1問ごとに解答時間を決めて守る」ということです。

どの問題についても、事前に「○分経ったら次の問題に進もう」というように解答時間を区切って臨まなければ、最後に時間が足りなくなってしまうおそれがあります。

以下の表は、どのように時間配分をすればよいか目安を示したものです。

基本の解答時間 最長で3分(1問あたり)
特に苦手な分野 最長で1~2分(1問あたり)
得意な分野
稼ぎたい分野
最長で5分(1問あたり)
「資料解釈」問題 最長で7分(1問あたり)

もちろんこれはあくまで一例ですので、過去問演習を通して自分に最適な時間配分を探ってみてください。

限られた時間の中で確実に得点し、合格ラインを突破するためには、自分なりのメリハリのある時間戦略が不可欠です。

4.まとめ

本記事のまとめです!

苦手な人でも間に合わせるための基本戦略は以下の3点です。

✓ 極端に苦手な分野は放っておく
✓ 自分の「得意分野」で高得点を狙う
✓ 比較的「簡単な分野」で確実に得点する

そして、「得意分野」を最短で伸ばすために、次の2つの方法を試してみましょう。

✓ 解答時間をより多く使う
✓ 誤答の選択肢をしっかり「切る」

また、「簡単な分野」とその攻略法は、次の通りです。

✓ 資料解釈(4問)
→誤答選択肢の理由がハッキリしているので、時間をかければ確実に得点できる✓ 選択問題(5問、※2級職は3問)
→過去問で自分が確実に解ける問題タイプを分析し、本番で狙いうちする✓ 数的推理(4問)や判断推理(4問)
→「選択肢当てはめ」で解けることがある

以上です!

本記事が頑張るあなたの役に立てば嬉しいです。
夢に向けて、今後も一歩ずつ準備を進めていきましょう。

それではまた!

【経験者採用】知らなきゃ損する!基礎能力検査(SPI,SCOA,GABなど)の最短攻略法

1.「基礎能力検査」とは何か?

基礎能力検査は、受験者の基礎学力や性格特性を測定するために実施される検査です。
言語理解力、数的処理能力、論理的思考力などの基礎的な能力や、性格傾向を評価することを目的としています。

もともと公務員試験では「教養試験」がありますが、それに近い内容です。

一般に就職・転職活動をする人には馴染みがあるSPIも基礎能力検査の1種。
SPIなどを導入することで、より多くの受験者を呼びこもうとする自治体が増えています。

基礎能力検査を課す自治体【けっこうあります】

基礎能力検査の種類 主な実施自治体
SPI 横浜市、国分寺市、一部の県庁等
SCOA 市原市、柏市、一部の県庁等
GAB 武蔵野市、町田市、一部の県庁等

※実施科目は、年度によって変わる可能性があります。必ず、各自治体の最新の「募集要項」を確認してください。

上の表に示した通り、基礎能力検査を経験者採用で実施している自治体は少なくありません。
従来の教養試験のかわりに実施している自治体が多いようです。

実施タイミングは1次試験が多いですね。

面接や論文といった人物試験を丁寧に実施するため、事前に受験者をある程度絞りこみたいという自治体側の意図もありそうです。

【注意】面接や論文ほど重要ではないが対策ゼロは危険

「SPIとか大学時代にやったなぁ。」
「ほとんど対策しなくてもいけた気がするけど。」

こんなふうに思われる方もいるかもしれません。
たしかに、基礎能力検査は「足切り」の要素が強く、面接や論文ほど最終合格に直結しないです。

ただ、まったく対策しないのは危険です。
たとえば横浜市(社会人採用・R6春試験)では、SPIを実施した1次試験の合格者は、246人中155人でした

実に4割近くの受験生がSPIで落ちてしまっているんです。
この中には、その後の試験対策をしっかりしていた受験生もいたはず…。

基礎能力検査が課される自治体を受験する方は、努力がしっかり報われるように、基礎能力検査もキチッと対策しておきましょう。

2.「基礎能力検査」の種類別解説

では、基礎能力検査にはどのようなものがあるのでしょうか。
現状、公務員試験の経験者採用でよく使われている基礎能力検査は次の3つです。

・SPI(リクルートマネジメントソリューションズ)
・SCOA(日本経営協会総合研究所)
・GAB(日本エス・エイチ・エル)

これらの基礎能力検査、全体として、

✓問題自体は、一般的な教養試験よりもカンタン
✓その分、解答時間が短く、処理スピードが試される
✓Webテスト形式もある(採用自治体も多い)

以上のような傾向があります。

教養試験と同じスピード感で解くと時間切れになり、本来の実力が発揮できないかもしれません。

実際に、各テストの問題数や試験時間を確認してみましょう。

検査名 問題数 試験時間
SPI 60問程度

※Webテストやテストセンター方式の場合、受験者の回答状況により問題数が変わる

35分

※Webテストやテストセンター方式の場合、1問ごとに制限時間あり

SCOA 120問 60分
GAB 92問 60分

大体、1問1分で解かないといけない計算ですね。
SPIの言語分野やSCOAはさらに厳しく、1問20~30秒で解答することが必要です。

ですから、本番に近い問題で練習しておくことが大切です。
(本記事後半で、具体的な練習法を解説します!)

では続けて、それぞれのテストの特徴を紹介していきますね。

SPI(リクルートマネジメントソリューションズ)

検査名 問題数 出題分野/試験時間
SPI 言語40問、非言語20問程度

※Webテストやテストセンター方式の場合、受験者の回答状況により問題数が変わる

言語,非言語/35分

※Webテストやテストセンター方式の場合、1問ごとに制限時間あり

SPIは、リクルートマネジメントソリューションズが提供する検査です。

SPIでは、言語能力及び非言語能力を問う問題が出題されます。

ペーパーテストよりもWebテストやテストセンター方式(決まった会場でPCを使って回答する)が主流で、その場合、1問ごとに制限時間があります

また、回答状況により、問題数や問題の難易度が変わっていきます
序盤に間違いが多いとその後の問題が簡単になり過ぎて、最終的にたくさん正解しても評価されづらいということもあるので注意が必要です。

参考書のオススメは、『これが本当のSPI3だ! 』です。


解説が分かりやすく、問題も本番に近いものになっています。

SCOA(日本経営協会総合研究所)

検査名 問題数 出題分野/試験時間
SCOA 120問 言語,数理,論理,常識,英語/60分

SCOAは、もともと1985年に開発された歴史ある適性検査です。
「言語,数理,論理,常識,英語」の5分野の問題で構成されています。

SCOAの特徴はなんといっても問題数の多さです。
60分で120問解くということで、常に1問30秒の解答速度が求められ、試験終了後にはかなり疲れを感じる人が多いはず

問題の難易度は高くないので、処理能力を問われている試験といっても良いでしょう。

試験前に、60分取り組む”スタミナ”をつけておく必要がありますね。

参考書は、『公務員試験で出る SPI・SCOA[早わかり]問題集』などが良いでしょう。


SPIと一緒に対策できる優れもので、どちらも対策しなければいけない方には特にオススメの一冊です。

GAB(日本エス・エイチ・エル)

検査名 問題数 出題分野/試験時間
GAB 言語理解52問

計数理解40問

言語理解/25分

計数理解/35分

GABは日本エス・エイチ・エル社が開発した検査です。

GABは適性検査の中では比較的、問題の難易度が高いと言われています。

特に図表を多く用いた資料問題に、多くの受験生が時間を取られるでしょう。
そのため、試験全体の時間配分も難しく、事前の練習が必須です。

これが本当のCAB・GABだ! 』などの本で、本番と同じ試験時間で練習してください。

※この本はけっこう分厚いですが、CAB(GABと似た試験でIT企業などで良く使われるもの)についての対策ページが半分を占めているので、実際に勉強するのは残り半分だけで大丈夫です。

3.タイパを意識した「基礎能力検査」対策のコツ

「試しに解いてみたら、たしかに時間が足りない…」
「論文や面接の対策もあるし、困ったなぁ…」

「基礎能力検査」に向けて対策するとしても、使える時間は限られていますよね。
そこで、本記事では短期間で「基礎能力検査」対策を仕上げていくコツを4つお伝えします。

結論、次の4点を意識して勉強してみてください

①いきなり実践形式で、時間を測って解くこと
②「少し勉強すればできる」ところを狙って勉強
③「少し勉強すれば早くなる」ところを狙って勉強
④(Webテストの場合)パソコンで解答する練習をする

以下、1つずつ解説します。

【対策のコツ①】いきなり実践形式で、時間を測って解くこと

先ほど、各種問題集を紹介しました。
それぞれの問題集は【分野ごとの練習問題→1,2回分の本番模擬問題】という順番で作られています。

短期間で実力アップを目指すなら、「1,2回分の本番模擬問題」から解きましょう。
つまり、”問題集を後ろから使う”ということです。

本番通りに時間を測って、どんどん解きます。
このとき、問題ごとにかかった時間をメモしておくと、あとで自己分析しやすいのでオススメです。

先に紹介したように、「基礎能力検査」は問題それぞれの難易度は高くありません。
ただ、それぞれの問題にどれくらい時間がかかるかは、人によってけっこう違いがあります。

そこを把握することで、最も効率よく得点力を伸ばせるのです。

【対策のコツ②】「少し勉強すればできる」ところを狙って勉強

ステップ1で1回分の問題を解いたら、すかさず答え合わせをします。
この時、〇と×をつけるだけでは伸びません

たとえば、次のような4種類の印をつけます。

途中の解法も含めてばっちり
途中の解法は不完全だが結果的に正解
途中の解法は合っていたが結果的に不正解
× まったく見当外れのバツ

ずばり、〇△の分野の対策が伸びるポイントです。

〇は、途中の解答根拠も含めて、ばっちり◎になるように。
△は誤答になってしまった分岐点を確認し、同種の問題が出たら確実に正答できるように練習します。

模擬問題の解き直しだけでは練習量が足りません。
そこで、このタイミングで問題集の前半部分の「練習問題」を使います。

ただ、これも最初から全ページを解くのではありません。
〇や△のような、「あと少しで得点が安定する・伸びる」分野のページを集中的に解くのです

※試験までに余裕があれば他のページにも取り組んでよいでしょう。
ただ、このような苦手分野は対策に時間がかかるので、優先度としては低くなります。
また、◎のような得意分野は、基本的に対策する必要はありません。
(後述するような「時短解法」を探す場合は除きます。)

【対策のコツ③】「少し勉強すれば速くなる」ところを狙って勉強

また、「1問ごとの解答にかけた時間」を確認し、そこから戦略を練ることも大切です。

まず、自分が得意で、より早く解けそうな分野は”時短”を目指します。

たとえば数的処理が得意な人は、問題を見た瞬間に、ある程度「答えはこの選択肢じゃないかな?」と予想できるときがあります。
そんなとき、実際にその選択肢の数値を”代入”してみて正答であることができれば、かなり短時間で解答できます。

このような時短の積み重ねで、得点力はアップしていきます。

逆に、自分にとって大の苦手分野、得点できない分野については、「深追いしないこと」も戦略の一つです

つまり、時間をかけ過ぎないようにするんです。
場合によっては、「30秒で自信がもてなかったら勘で解いて次へ進む」というようにマイルールを作ってもいいでしょう。

ただし、もちろんのことですが、そんな”特例”は1分野、一回のテストで1,2問程度に留めましょう。

※もし、全般的に得点が振るわず、それでも「基礎能力検査」を使う自治体の志望度が高い場合には、じっくり時間をかけて対策する必要があるでしょう。
その際は、問題集を2,3か月かけて、「最初から1ページずつ解く」勉強法も必要です。

【対策のコツ④】(Webテストの場合)パソコンで解答する練習をする

また、Webテストの場合、本番同様にPC画面に問題を表示して解く練習をした方がよいです。

実はWebテストは、カンタンな計算なら暗算してしまうのがコツです。
というのも、途中計算などを手元の紙にメモすると、視線が手元のメモとPC画面を往復することになり、時間を大きくロスしてしまうからです

ですから、Webテストでは手元にメモ用紙は用意しておきつつ、基本的にはディスプレイをずっと見ながら解答する癖をつけると良いです。

ただ、ここで問題になるのは、Webテストを対策するにしても情報が充実しているのは紙の書籍だということです。
電子書籍化されている参考書を使うか、自分で紙の書籍をPDF化して、PC画面に表示して学習する必要があります

ちなみに私はかつて、スマホのスキャンアプリを用いて参考書の写真をPCに取り込み、ディスプレイに表示して解く練習をしていました。

おかげで本番では緊張することもなく、無事、選考を通過しました。
手間はかかりますが、それだけの成果が出る学習法です。

4.まとめ

本記事のまとめです。

✓基礎能力検査で”対策ゼロ”は危険

✓希望自治体の基礎能力検査の種類を調べておくこと

✓SPI、SCOA、GABは、教養試験以上に「スピード勝負」

検査名 問題数 試験時間
SPI 60問程度

※Webテストやテストセンター方式の場合、受験者の回答状況により問題数が変わる

35分

※Webテストやテストセンター方式の場合、1問ごとに制限時間あり

SCOA 120問 60分
GAB 92問 60分

✓効率の良い勉強法のコツ4選
①いきなり実践形式で、時間を測って解くこと
②「少し勉強すればできる」ところを狙って勉強
③「少し勉強すれば早くなる」ところを狙って勉強
④(Webテストの場合)パソコンで解答する練習をする

以上です。

本記事が、あなたの学習のお役に立てば幸いです。

ASK公務員では「経験者採用」に関する情報提供を積極的に行っています。
勉強の合間に、以下の記事もお読みになってください。

【特別区経験者採用】知らないと差がつく!職務経歴書(エントリーシート)のポイント
【特別区経験者採用】サクッとわかる教養試験の勉強法
【特別区経験者採用】サクッとわかる職務経験論文の対策法
【特別区経験者採用】サクッとわかる課題式論文の対策法
【特別区経験者採用】かしこく併願戦略を立てよう~やりたいこと&科目&日程で考える

【特別区経験者採用】サクッとわかる教養試験の勉強法 

「特別区経験者採用の筆記試験の難易度は?」
「筆記試験でどれくらい得点すればいいの?」
「忙しい社会人が効率よく対策する方法は?」

こんな疑問に応える記事です。

特別区経験者採用では1次試験に教養試験があります。
(※事務職・ICT職について。他職種は教養試験免除です。
本稿は事務職・ICT職希望の方向けに書いていきます。)

受験生にとっては最初の関門といえます。

とはいえ、同日実施される論文試験も対策が必要です。
どれくらい教養試験対策をすればいいのか、悩みどころですね。

本記事では、特別区経験者採用における

・教養試験の位置づけ
・教養試験の内容や特徴
・確実かつ効率的な勉強法

これらをまとめて解説します。

最後まで読めば、教養試験の全体像がクッキリ見えてきますよ。

まず、特別区経験者採用における教養試験の位置づけから確認しましょう。

1.教養試験の位置づけ:「足切り」のみに使用される

いつ 試験の種類 最終合格に影響するか
一次試験 教養試験 影響しない
※論文試験(課題式論文&職務経験論文)
※事務職の場合。ICT職はICT論文のみ。
影響する
二次試験 個人面接 影響する

最初に最も大事なことを書きます。それは、

✓ 教養対策に時間をかけ過ぎてはいけない(時間をかけるべきは論文)

ということです。なぜなら、教養試験は最終的な合否には影響しないから。
表から分かるとおり、最終的な合否に影響するのは、論文と2次試験(面接)です。

では、教養試験の得点は何に影響するのでしょうか。

1-1.教養試験は1次試験の「足切り」判定のみに使われる

ずばり、教養試験は1次試験の「足切り」判定のみに活用されています。

特別区人事委員会の「令和5年度経験者採用試験・選考案内」によれば、

>教養試験の成績が一定点に達しない場合、論文は採点の対象となりません。
>第 1 次試験・選考の合格者は、論文の総合成績により決定します。

このように明記されています。

つまり、教養試験で「一定点」を取ることで、やっと論文を読んでもらえるのです。
そして、1次試験の合否は論文の成績のみで決まります。(教養試験の加点なし。)

ですから、教養試験で高得点を狙う必要はありません。
確実に「足切り」ラインを超えていくことが大切です。

1-2.「足切り」ラインは例年4割程度に過ぎない

そうはいっても、「足切り」に引っかかってしまったら、そこで落ちてしまいます。

受験生としては、
「何点取ったら、足切りラインを超えられるの?」
と不安になるでしょう。

毎年の足切りラインは、残念ながら公開されていませんが、

・毎年、足切りラインは変動する
・だいたい4割〜5割取れると突破できる年が多い

このようなことが過去の受験生データから分かっています。

1-3.自分の実力と安全圏(5割)の差を埋めていく

「なんとか半分の5割、得点する!」と目標設定するのがオススメです。

事務職の場合、教養試験は35点満点なので、
過去問で18点以上取れれば、とりあえず安全圏です。
(ICT職は20点満点なので、10点以上が目標になります。)

✓ まず、自分で1年分の過去問を解いてみる
✓ 自己採点してみて、安全圏(5割)にどれくらい足りないか確認する

そうすることで、自分にどれくらい勉強が必要か分かってきます。

※過去問で常に6割以上得点できる人は、あまり教養試験対策に力を入れなくてOKです。
論文試験の対策に集中しましょう。

2.【徹底分析!】教養試験の出題分野とその特徴

R5年度【事務職(1級職/2級職)】
大分類 問題数 小分類
文章理解 (8問/10問) 現代文、英文
数的処理 (16問/16問) 判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握
社会事情 (6問/6問) (いわゆる時事問題)
選択問題 (5問/3問) 人文科学、社会科学、自然科学

 

R5年度【ICT職】の出題傾向
大分類 問題数 小分類
文章理解 5問 現代文、英文
数的処理 9問 判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握
社会事情  6問 (いわゆる時事問題)

教養試験は35問で構成されると述べましたが、その中身を示したのが上の表です。

・文章理解
・数的処理
・社会事情
・選択問題(ICT職は無し)

大まかに分けると、これら4種類の問題があることが分かりますね。

2-1.そこまで難しくないが、とにかく時間が無い!

「教養試験は時間が足りない!」
「最後の問題にたどり着けなかった…」

教養試験では、多くの受験生がこのような感想をもちます。
実際に特別区経験者採用の問題は、

✓ 「大卒程度(上級レベル)」ではなく「高卒程度(初級レベル)」の問題
✓ ただし1問3分で解く必要がある(事務職は35問・1時間45分、ICT職は20問・1時間)

こんな傾向があります。過去問に解き慣れ、

✓ 簡単な問題を1,2分で確実に得点する
✓ 難しい・苦手な問題には4,5分で挑戦⇒無理なら「見切り」をつける

このように、一瞬一瞬の判断力を働かせられるよう訓練しておきましょう。

2-2.分野別の傾向では「数的処理」と「時事」が多い

R5年度【事務職(1級職/2級職)】
大分類 問題数 小分類
文章理解 (8問/10問) 現代文、英文
数的処理 (16問/16問) 判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握
社会事情 (6問/6問) (いわゆる時事問題)
選択問題 (5問/3問) 人文科学、社会科学、自然科学

 

R5年度【ICT職】の出題傾向
大分類 問題数 小分類
文章理解 5問 現代文、英文
数的処理 9問 判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握
社会事情  6問 (いわゆる時事問題)

先ほどの表を再掲します。

分野別にみると、「数的処理」と「社会事情」で全体の6割以上を占めていますね。

なお、文章理解と数的処理はさらに細かく問題タイプを分けられます。

◆文章理解
✓ 現代文
✓ 英文

◆数的処理
✓ 判断推理
✓ 数的処理
✓ 資料解釈
✓ 空間把握

過去問を解くと、自分が得意・苦手な問題のタイプが見えてきます。

「文章理解は全体的に得意だから、確実に●問取る。」
「判断推理が苦手だから1問5分確保して、半分は正解したい。」

試験にむけて、このような具体的な得点計画を立てていきましょう。

ちなみに、「資料解釈」は時間をかければ全問正解が狙える分野です。
特に苦手意識がなければ、ここで4点確実に取れるように練習しておきましょう。

逆に、「社会事情」は、多くの受験生にとって安定した得点が難しいようです。
というのも最新テーマにふれる問題が多く、点数を取るにはかなり対策が必要だからですね。

その年の春のニュースも出題される可能性があるので、直前期(7,8月)に集中して対策しましょう。

3.【3ステップ】着実に足切り突破する「教養試験」の勉強法

ここまで、教養試験の位置づけや内容、特徴を見てきました。

それらを踏まえて、あなた自身の学習計画を立てていきましょう!

①現在の得点力把握
②安全圏を目指して、得意を伸ばす&苦手を克服する
③本番を想定した”通し”の問題演習

以上、3ステップで考えると効率的に学習することができますよ。

一つずつ、詳しく解説します。

3-1.【ステップ①】過去問を1年分解く⇒現在の得点を把握

何よりまず、過去問を1年分解くことです。

なぜなら、あなたの現在の「得点力」で、必要な学習量は変わるから。

再掲しますが、

✓ まず、自分で1年分の過去問を解いてみる
✓ 自己採点してみて、安全圏(5割)にどれくらい足りないか確認する

これが、教養試験対策の最初の一歩です。

ただ、ここで留意すべき点が2つあります。それは、

①過去問は区政会館や区役所でコピーすること
②最初の1年分は制限時間通りに解いてみること

一点目ですが、特別区人事委員会ホームページの過去問は3年分しかありません。
また、著作権の関係で、「文章理解」の問題が掲載されていないのです。

区政会館や区役所に行くと、もっと過去に遡って問題をコピーすることができます。
「文章理解」の問題も手に入ります。

ちなみに筆者のオススメは、新宿区役所です。
駅からのアクセスがよく、全年度の過去問がありますよ。

二点目について、くり返しになりますが、この試験は「時間の無さ」が特徴です。
簡単に見える問題でも、焦っている試験中だと解けないものです。

ですから、最初の1年分は自分の本当の得点力を測るためにも制限時間内で解いてください。

3-2.【ステップ②】安全圏(5割)までの差を埋めていく

過去問を1年分解いたら、自分が足切りを突破するために必要な得点が見えてきます。

過去問を活用して、得意を伸ばし、苦手を克服していきましょう。

くり返しになりますが、

✓ 自分にとって簡単な問題(分野)を1,2分で確実に得点する
✓ 難しい・苦手な問題(分野)には4,5分で挑戦⇒無理なら「見切り」をつける

この訓練を積み重ねることが大切です。

また、一般的な傾向をお伝えすると、

✓ 問題数の多い「数的処理」(特に資料解釈)から対策する
✓ 文系出身者は「文章理解」、理系出身者は「数的処理」を得点源にしやすい
✓ 直前の1,2か月で集中して「社会事情」の対策をする

これらのポイントをおさえると、得点力が向上していく受験生が多いです。

3-3.【ステップ③】あらためて過去問に”通し”で取り組む

前のステップで得点力が高まったら、あらためて本番スタイルで過去問に取り組みましょう。
分野ごとに区切るのではなく、制限時間内で全問解くのです。

このとき、次のような点に留意すると良いでしょう。

✓ 本番よりも5分短い100分で解く(5分余裕をもてるようにする)
✓ 本番に近い環境で解く(家ではない場所で、鉛筆を使用する)
✓ わからない問題を「飛ばす練習」をする

特に数的処理は、「解けそうで解けず、1問で10分使ってしまった…」という状況に陥りやすいです。

自分と相性の悪い1,2問はパスする勇気をもつことも、直前期には意識したいですね。

4.まとめ

本記事では、特別区経験者採用における

・教養試験の位置づけ
・教養試験の内容や特徴
・確実かつ効率的な勉強法

これらを大づかみできるように解説してきました。

最後に大事な点のみ、まとめておきますね。

✓ 教養対策に時間をかけ過ぎてはいけない(時間をかけるべきは論文)

✓ 教養試験は1次試験の「足切り」判定のみに活用されている

✓「足切り」ラインは例年4割程度に過ぎず、安全圏(5割)を目指すとよい

✓ 「数的処理」と「社会事情」の出題が全体の6割以上を占めている

R5年度【事務職(1級職/2級職)】
大分類 問題数 小分類
文章理解 (8問/10問) 現代文、英文
数的処理 (16問/16問) 判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握
社会事情 (6問/6問) (いわゆる時事問題)
選択問題 (5問/3問) 人文科学、社会科学、自然科学

 

R5年度【ICT職】の出題傾向
大分類 問題数 小分類
文章理解 5問 現代文、英文
数的処理 9問 判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握
社会事情  6問 (いわゆる時事問題)

✓ 教養試験は3ステップで効率よく対策する

①現在の得点力把握
・まず、自分で1年分の過去問を解いてみる
・自己採点してみて、安全圏(5割)にどれくらい足りないか確認する

②安全圏を目指して、得意を伸ばす&苦手を克服する
・ 自分にとって簡単な問題(分野)を1,2分で確実に得点する
・ 難しい、苦手な問題(分野)には4,5分で挑戦⇒無理なら「見切り」をつける
・問題数の多い「数的処理」(特に資料解釈)から対策する
・ 文系出身者は「文章理解」、理系出身者は「数的処理」を得点源にしやすい
・ 直前の1,2か月で集中して「社会事情」の対策をする

③本番を想定した”通し”の問題演習
・本番よりも5分短い100分で解く(5分余裕をもてるようにする)
・本番に近い環境で解く(家ではない場所で、鉛筆を使用する)
・わからない問題を「飛ばす練習」をする

以上です!

教養試験は、効率よく、確実に「足切り」を超えることが大切。
本稿の学習法を参考に、常に”タイパ”を意識して学習を進めて頂ければと思います。
くどいようですが、一次試験の合否を分けるのは「論文」です。

以下の記事も併せてお読み頂き、学習のヒントとされてください。

【特別区経験者採用】サクッとわかる課題式論文の対策法

【特別区経験者採用】サクッとわかる職務経験論文の対策法

皆さんの頑張りを応援しています。

それではまた!

憲法、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

1.はじめに

新年度がスタートすると、大学3年生を中心に来年に公務員試験を受けようとされる方が対策を考え出します。特に、塾・予備校で学習をするのか、独学をするのかという学習手段の検討をすることが多いように思います。

そして、このとき、重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば独学で行えば良くなり、難しそうであれば、塾・予備校を使うことになるからです。

そこで本記事では、行政事務に携わる試験種の専門科目として出題される「憲法」の攻略法をお伝えします。

ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、憲法を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。

2.憲法の学習方法

(1)大前提

学習方法に具体的に言及する前に、以下の3点を踏まえます。

第1に、憲法は、その後に続く、民法や行政法などの法律系科目の学習における土台となります。したがって、法律系科目の一番最初に学習をします。したがって、学習方法のアドバイスをする際には、法律初学者の視点でお伝えします。

第2に、公務員試験における憲法の難易度はそこまで高くありません(あくまでも、試験で得点するうえではということです)。高校時代の公民系科目の学習で、基本的人権や日本の政治システムを学んでいると思いますが、この基礎知識を活用しながら学ぶとかなりスピーディーに理解できると言えます。

第3に、他の専門科目の学習もあることを念頭に置きましょう。憲法だけを完璧にすれば合格するわけではありません。例えば、国家一般職においては、40問中5問のウェイトです。民法や経済学が40問中の10というのと比較すればわかるように、他に出題数の多い科目が多い点を忘れないようにしましょう。

(2)学習の仕方

直前期は「3」に譲りまして、ここでは、学習開始時点の行い方を述べます。

結論からいいますと、①判例集が手元にある上で、②「解説がしっかりした問題集にいきなりトライし、2回転以上回す」か、③「参考書と問題集が一体となった本で、参考書読んですぐ該当問題を解くを繰り返しながら1冊を仕上げる」のどちらかが望ましいといえます。

順番に解説していきましょう。

①判例集を手元に置く

①は民法や行政法でも判例は重要であり、今後の学習で使うためです。また、後述する②・③の学習をする際のサポートとなるからです。

おすすめの参考書は、行政書士試験用の

みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2024年度 [行政書士の教科書に準拠](TAC出版) (みんなが欲しかった!行政書士シリーズ)』です。これの、憲法、民法、行政法部分を使う感じです。

公務員試験用のものを使わないのは、行政書士用は毎年改訂された新しい判例集が出版され、公務員試験と範囲も多く重なるためです。

なお、判例集は、1ページ目から読んでいくという形ではなく、後述する②や③の学習をする中で、必ずしも言及がされていない事柄を知るために使います。いわば、辞書代わりということです。

②いきなり問題集からも可能(ただし、問題集の解説は十分なものを選ぶ)

本項の「1.大前提」で憲法の難易度があまり高くないことを伝えました。また、高校までの知識を踏まえると取り組みやすい点にも言及しました。

このため、いきなり問題集を読み物のように使って学習する方法は有効です。すなわち、いきなり問題集の問題を解くのではなく、問題を読んだらすぐに解答解説を読んで中身を理解していくということです。このとき、事件名などしか書いていない判例については上述の判例集を読みながら知識を増やしていくわけです。

高校が文系で、受験で公民系科目を使っていたり、現在の学部学科が社会科学系の方だったりすると、この「いきなり問題集」を2・3回転させるだけで、8割の得点化に大きく近づきます。

さて、このときにおすすめの問題集を2つ紹介しておきます。

ア:公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7(実務教育出版)

イ:2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【9】憲法

アは、いわゆる公務員試験の定番と言われる「スー過去」です。豊富な問題演習ができ、レジュメ風のポイントもありますので、これと①で言及した判例集などを使いながら取り組むことで、大きな力を得ることでしょう。

イは、スーパー過去問よりもやや丁寧なまとめがあったり、内容を隠せるシートがついていたりと、親切な設計となっています。

②の学習方法の場合、どちらか1冊を用いて学習を進めていくことになります。

③テキストと問題集一体型を使うのもOK

②の学習においては、いきなり問題をみてわからない言葉ばかりだと挫折してしまう!と感じる場合は、テキストを読んでから問題集に取り組むことになります。

しかし、繰り返しますが、公務員試験の選択式の憲法の難易度はそこまで高くありません。出題がレアな論点まで詳しく書いてある分厚いテキストは不要といえます。特に、他の科目の学習にも時間を割かねばならないことを考えれば、なるべく早く憲法の学習を終えた方が望ましいです。

また、すぐに問題を解いて定着を図ることが望ましい学習方法です。以上を考えますと、参考書と問題集が一体となったものを活用することをお勧めします。この観点で良いと感じる参考書は、以下です。

みんなが欲しかった! 公務員 憲法の教科書&問題集

この本は、テキストと問題集の両方があります。そしてテキスト部分と問題集部分をわけることができ使いやすいです。

②のいきなり問題集型か、③のテキストと問題集一体型でやるかは、自分にあったほうを選びましょう。

3.直前期

2の(2)の①+②か、①+③の学習をしたあとは、民法や行政法などの他の法律系科目や、その他専門、教養の科目を学習していくことになります。

そして、直前期に再び、学習内容を思い出す取り組みが憲法には必要です。このとき、やみくもに全範囲を復習するのは大変です。そこで、外部模試などを購入して、そこで問われている内容から、テキストや問題集など使用教材に立ち戻って学習することをお勧めします。やはり、模擬試験は、実施団体が、当ててやろう!と意気込んで作っていますので、その部分をしっかりおさえるということですね。

ただ、模試も1回数千円で、何回も購入するとなると、お財布的に苦しい方もいると思います。その場合は、実務教育出版が毎年出している直前予想問題の雑誌を模試代わりに利用するのもよいでしょう(2024年度はこちら)。ここで、重要な判例変更や新判例もおさえられますので、お勧めです。

4.おわりに

本記事では、憲法についての学習方法をお伝えしました。

具体的には、

(ⅰ)法律系科目学習の一番目として学習をする

(ⅱ)解説が詳しめに書いてある問題集でいきなり学習をしていくか、テキストと問題集が一体となっているものを用いて学習をしていくかを選んで行う

(ⅲ)判例集は(ⅱ)の学習を通じ詳しく理解したい点を中心に読み込む辞書的な使い方をする

(ⅳ)直前期は外部模試や受験ジャーナルで出題予想順に復習する

というものです。

参考にしていただければ幸いです。
なお、憲法を記述試験でも使うにはどうすれば良いのか、国家総合職なども受験予定だがこの学習方法で良いのだろうかといった疑問点から、言われたやり方をしても難しくてわからず挫折しそうだなどの不安点まで、個々の状況では色々聞きたいことが生じるかと思います。

究進塾では、こうした受験相談にのったうえで、必要な対策を個別指導しています。興味ありましたら、一度お問い合わせください。

【公務員試験対策】個別指導講座のご案内

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、人文科学の傾向と対策(倫理・哲学、歴史、地理)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験に合格し、希望の区に有利な採用を得るためには「特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策」の記事に載せたとおり、高得点での合格が求められます。

高得点のためには、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。

本記事では、教養試験のうち、人文科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年=令和6年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.人文科学の過去問分析

人文科学は例年

■倫理・哲学1問
■歴史2問
■地理1問

の出題です。合計は4問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう。

(1)倫理・哲学

令和元(2019)年……実存主義の思想家
令和2(2020)年……生命倫理
令和3(2021)年……古代インドの思想
令和4(2022)年……江戸時代の儒学者
令和5(2023)年……中国の思想家

(2)歴史

歴史は、日本史、世界史から1問ずつ出題される傾向があります。以下は、日本史、世界史に分けて述べます。

【①日本史】
令和元(2019)年……鎌倉時代の仏教
令和2(2020)年……元禄文化
令和3(2021)年……日清戦争と日露戦争
令和4(2022)年……室町幕府
令和5(2023)年……国風文化

【②世界史】
令和元(2019)年……スペイン内戦
令和2(2020)年……オスマン帝国
令和3(2021)年……ローマ帝国
令和4(2022)年……大航海時代
令和5(2023)年……イギリスの産業革命

(3)地理

令和元(2019)年……世界の人口
令和2(2020)年……温帯の気候
令和3(2021)年……世界の地形
令和4(2022)年……世界の交通
令和5(2023)年……ラテンアメリカ

3.対策方法

続いて、科目ごとの対策方法を、上記の過去問を踏まえてお伝えしていきます。

(1)倫理・哲学

王道といえる西洋哲学史があまり出題されないという印象です。ただ、中国の思想家は平成30年度(令和元年度試験の前年度)に5年ぶりという形で令和5年度に出ましたので、令和6年度は、同じく5年ぶりに西洋哲学史が問われてもおかしくないかなと思われます。

後は、日本近代の思想家などが問われる可能性があるでしょう。インド哲学は元々がレアな単元なので、令和3年度からそこまで年数が経っていないので、無理に学習をしなくて良いかと考えます。

共通テスト 倫理 集中講義 (大学受験SUPER LECTURE)

もちろん、政治で紹介した畠山氏には、倫理も入っている以下の本もあります。説明の仕方が肌にあっている方には、そちらも良いかと思います(ただし、政治経済は最新版を得る方が望ましいです)。
こうした出題可能性の高い単元を中心に、大学受験の倫理の参考書を利用して読み込み学習すると良いでしょう。下記の本は、解説と問題が一緒についていて取り組みやすいと言えます。

大学入学共通テスト 畠山のスッキリわかる 倫理、政治・経済 完成講義

(2)歴史

【①日本史】については、数年に1回文化史が出るのですが、これが令和5年度に出題されました。したがって、令和6年度は政治史と思われます。最近問われていない、江戸期や明治・大正期の内政などは問われやすいのではないかと予測されます。

さて、対策本ですが、日本史を全く学習したことがない人は少ないと思います(小学校や中学社会で触れている部分があるため)。
そのため、日本史学習は、LECの解きまくりのポイントを読み、問題を解いていっても良いかと思います。

ただ、そのポイントでは載っていない用語や流れのために、以下の本を持っていて、辞書的に活用することはお勧めです。

新・美しい日本史ノート〔第2版〕

【②世界史】については、他の公務員試験種で定番といえる近現代(18世紀以降)のヨーロッパ史や中国史がここ最近ほとんど出ていません。ただ、それ以外の出題傾向は絞りにくいといえます。また、近現代が、政治において国際関係史が問われやすいことを踏まえると、今後も19世紀後半以降は世界史では問われにくいのかもしれませんが、政治のことを考えると学習はしておいた方が良さそうです。

対策本としては、大学受験の本格的なもので学習しますとボリュームが多すぎて、公務員試験の他科目学習に悪影響を覚えるといえます。他方、世界史は高校生から本格的に学び、受験で使わない場合は深く学んでいないので忘れているというケースがよく起こると思います。

そこで、
(ア)まずはざっくりとした本をサラッと読み
(イ)その後、用語集を時系列に並べたもので行うこと をおすすめします。

この際ですが、(イ)は全部をやったり用語を覚えようとするというより、流れを意識するつもりで学習しましょう。
あるいは、本格的な問題演習中の辞書的な形です。そして、(イ)が多少心許ない状態でも、上記でご紹介したLEC解きまくりで過去問演習をしましょう。

(ア)の本;今さら聞けない! 世界史のキホンが2時間で全部頭に入る

(イ)の本;時代と流れで覚える! 世界史B用語

(3)地理

令和5年度を除いて、いわゆる系統地理の範囲(気候、地形等)からの出題がされていました。令和5年のラテンアメリカは意表をつかれた形だったわけです。

令和6年以降が地誌になるのか、系統地理に戻るのかは分かりません。そのため、時間があれば両方の準備するのが望ましいわけですが、それが難しい人は、過去の割合からいって系統地理の学習をしましょう。

対策本としては、以下のように
(ア)を電子書籍で読んで素養を入れたらLEC解きまくりで演習しながら覚えましょう。

また、地誌まで手が周りそうならば
(イ)の地誌部分を読んでおく と良いでしょう!

(ア)の本;マンガでわかる高校地理: ケッペンちゃんと学ぶ高等学校地理 自然地理、農業、資源編

(イ)の本;カリスマ講師の 日本一成績が上がる魔法の地理総合ノート

なお、特別区の地理は難易度の低い問題が多いので、苦手意識を持たずに読むと、一般常識で答えられる問題も多いので諦めないようにしましょう。

4.おわりに

特別区の人文科学は、令和6年度受験において、まず、倫理・哲学においては、西洋哲学史と日本の思想を大学受験対策本を利用して学習しましょう。

次に、日本史は各時代の政治史を中心に学習しましょう。基本的にはいきなりLEC解きまくりの過去問題演習で良いかと思います。辞書的に整理された日本史の本を持っていることが望ましいです。世界史は、深入りしすぎないように流れなどを「ふわっと理解」した後は、過去問演習を通じ、知らなかったことを積み増すことが望ましいです。

最後に、地理は、ビジュアル的に分かりやすい参考書(時に漫画本)を利用して、系統地理→地誌の順番に学習することが望ましいと言えます。

ちなみに、究進塾は大学受験の対策も豊富な個別指導塾です。もしも、上記の参考書を読んでも頭にさっぱり入ってこないときは、個別指導で覚え方や、覚えられるような印象に残る教えを受けるのもいいかもしれません。

皆さんが、傾向にあった対策をすることで、高得点合格できることを願っています。

特別区受験者必見!2024年度受験対策版、社会科学の傾向と対策(政治・経済・法律)

1.はじめに

特別区Ⅰ類の採用試験は、最終試験合格後に各区等の採用試験面接を受けます。これは、受験生が申し込み時に第3希望までの区等を明示し、人事委員会はこの希望に沿って各区等の採用候補者名簿を提示します。

この際の名簿順位は高得点順です。したがって、希望の区等に採用されるためには、できるだけ高得点で合格することが求められます

そして、この高得点合格に向けては、一次試験の教養試験・専門試験・論文試験と、二次試験の口述試験の4試験において、できうる限りの高得点化が必要です。
本記事では、教養試験のうち、社会科学での高得点化を図るために、過去問分析、得点化のためにすべき準備について述べていきます。本年(2024年)の受験にフォーカスしていますので、今年受験者は特に参照いただければと思います。

なお、別記事にて他科目の分析をしていきますので、そちらも参考頂ければ幸いです。

2.社会科学の過去問分析

社会科学は例年、
■法律1~2問
■政治1~2問
■経済1問
の出題です。合計は4問となります。それでは、科目ごとに過去5年分の出題内容をみていきましょう。

(1)法律

令和元(2019)年……衆議院の優越/天皇の国事行為
令和2(2020)年……日本の裁判所・司法制度/法の下の平等
令和3(2021)年……日本の国会/日本の司法制度
令和4(2022)年……法の分類
令和5(2023)年……労働者の権利/地方自治

(2)政治

令和元(2019)年……モンテスキューの思想
令和2(2020)年……第二次世界大戦の終結と戦後の国際政治の動向
令和3(2021)年……第二次世界大戦後の地域紛争
令和4(2022)年……国際人権条約/世界の政治体制
令和5(2023)年……東西冷戦(米ソ)

(3)経済

令和元(2019)年……日本の消費者問題
令和2(2020)年……国際経済体制の変遷
令和3(2021)年……日本の消費者問題
令和4(2022)年……日本の現代の企業
令和5(2023)年……日本の農業

3.対策方法

続いて、科目ごとの対策方法を、上記の過去問を踏まえてお伝えしていきます。

(1)法律

近年は、法学一般の内容である法の解釈、法の効力などより憲法的な内容がよく出ています。したがって、まずは、特別区Ⅰ類の受験者は、憲法を専門科目で利用する方が多いと思いますので、その学習をしっかり行いましょう。

ちなみに、憲法の学習には以下の書籍がお勧めです。

寺本康之の憲法ザ・ベスト ハイパー

念のため法学一般をおさえる際には、行政書士試験の基礎法学の問題などをこなす中で覚えてしまいましょう。例えば下記の本ですと、予想問題もついていますので色々な問題に当たれます。ただ、試験までに時間がない場合は特別区の過去問を行うだけでもOKです。

行政書士 憲法・基礎法学が得意になる本 2024年度 [過去問+オリジナル予想問](早稲田経営出版)

(2)政治

平成の後期は政治思想家の問題などが頻出でしたが、令和元年を最後にそのジャンルからの出題はありません。これは恐らく、時事的なことを理解する上での教養的な部分の知識を問うという公務員試験全体の傾向が特別区にも当てはまっているためと考えられます。

代わりに出題が急増しているのが、第二次世界大戦後の国際関係史です。とはいえ、2年連続で同じ範囲が出てはいませんので、2024年に受験する方は、国際関係史でもアジア・アフリカだったり、地域紛争だったりといったところを学習すると良いでしょう。

なお、専門科目の政治学・行政学と重なるとしたら各国政治の部分くらいであまり大きくは重なっていないといえます。むしろ、公務員試験の専門科目のうち、国際関係の方が重なると言えます。ただ、専門科目でこちらを使わない方も多いと思います。

教養レベルのために専門科目のテキストを読み込むのは、少し周り道な対策と言えるでしょう。

以上の議論から、お勧めな対策本としては、大学受験用の政治経済を用いて、「国際政治」「各国政治」の部分を読み込むのが望ましいでしょう。例えば、以下です。

畠山のスパっとわかる 政治・経済 爽快講義 改訂第7版

(3)経済

経済は、法律と違い、専門科目との重なりはほとんどありません。すなわち、マクロ経済学、ミクロ経済学、財政学などと出題分野が異なります。

特別区の経済は、大学受験の政治経済の経済編の経済メカニズム(専門科目として学ぶ部分の基礎)を除いた部分が出ています

したがって、上記の畠山本は、政治という科目だけでなく、経済という科目でも活用できます。また、政治経済の資料集はテーマごとに歴史的な変遷などもまとまっていたりするのでお勧めです。

2023 新政治・経済資料 三訂版

なお、資料集は例年2~3月に新版が発売されます。特別区には社会事情など時事も4問ほど出ることから、どうせ手に入れるなら、最新版にしましょう

さらに、政治にも経済にも当てはまりますが、参考書を読んだだけでは覚えているかが不安な方は、一問一答もしておくといいでしょう。もちろん、全てを行う必要はありません。読んだ範囲と重なる部分だけでOKです。

大学入学共通テスト 倫理、政治・経済の点数が面白いほどとれる一問一答

4.おわりに

特別区の社会科学は、法律においては専門科目の憲法学習と、他資格の行政書士にある基礎法学の問題を解くことで対応できます。

政治と経済は、大学受験用の政治・経済の参考書を読み、一問一答をしておくことが望ましいといえます。政治のためには、特に国際政治の部分が良いでしょう。経済については、専門科目で学習しないところの分野を行いましょう。

ちなみに、究進塾は大学受験の対策も豊富な個別指導塾です。もしも、上記の参考書を読んでも頭にさっぱり入ってこないときは、個別指導で覚え方や、覚えられるような印象に残る教えを受けるのもいいかもしれません。

皆さんが、傾向にあった対策をすることで、高得点合格できることを願っています。