筆記試験対策

【特別区経験者採用】サクッとわかる課題式論文の対策法

特別区経験者採用では、一次試験で2種類の論文試験が課されます。
(2種類の論文試験=「課題式論文」「職務経験論文」)

本記事では特に、公務員経験のない社会人にはハードルの高い「課題式論文」について解説します。

この記事で、「課題式論文」のポイント、傾向と対策の全体像をつかみましょう。

1.特別区経験者採用では「課題式論文」が合否を分ける!

まず前提として、「課題式論文」の特徴を確認してみましょう。

◆「課題式論文」の特徴
✓ テーマを選べる2択形式
✓ ただし、大卒程度試験(Ⅰ類)よりも抽象度が高い

テーマ選択式といっても、取り組みやすい課題ではありません。
むしろ、大卒程度試験(Ⅰ類)よりも抽象度・難易度は高いのです。

これは、過去問を見ると一目瞭然です。

令和4年度

【経験者採用】
課題式論文選択式課題2

複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について
令和4年度
【Ⅰ類】「論文」選択式課題1
特別区では、地方分権の進展や、児童相談所の設置に加え、新型コロナウイルス感染症対策により、前例のない課題やニーズが生まれ、区民が期待する役割も、かつてないほど複雑で高度なものとなっています。
特別区がこれらの課題の解決に向けた取組を進めていくには、区民に最も身近な基礎自治体として、自立性の高い効率的な事務運営が重要です。このような状況を踏まえ、区民の生命や生活を守るための、限られた行政資源による区政運営について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

太字に注目すると、この2問はかなり近い内容です。

しかし、経験者採用試験の「課題式論文」では、シンプルにテーマのみ与えられています
Ⅰ類のように、テーマの前提となる社会状況などの補足が一切ありません。

経験者採用の受験生は自身でテーマの背景から論じていく力が必要なのです。
このような試験では、対策している人・していない人との間で大きく差が開くでしょう。
逆にいえば、ちゃんと対策した人は、それだけ合格が近づくといえます。

2.「課題式論文」の過去問テーマ&今後の出題予想と対策

では次に、「課題式論文」の過去問テーマと、そこから分かる傾向・対策を見ていきましょう。

2-1.「課題式論文」の過去問テーマ

過去3年間の論述テーマは次のとおりです。

令和5年度 ①図書館機能の充実について
②これからのイベント実施のあり方について
令和4年度 ①シティプロモーションについて
②複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について
令和3年度 ①インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組について
②持続可能な財政運営と区民サービスについて

【参照】試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)
パッと見たときに、「狭いテーマ広いテーマの組み合わせになっている」ということが分かると思います。

テーマの広さで分類してみましょう。

狭いテーマ 図書館機能の充実(R5)
シティプロモーション(R4)
インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組(R3)
広いテーマ 複雑化・多様化する区民ニーズへの対応(R4)
持続可能な財政運営と区民サービス(R3)
中間的テーマ これからのイベント実施のあり方(R5)

どちらかというと広いテーマの方が書きやすい、という受験生が多いようです。
狭いテーマの場合、そのテーマへの知識が前提になるからですね。)

広いテーマで論文を書く場合にも、行政運営全般への知識及び理解が必須となります。

2-2.今後の出題傾向【予想と対策】

ただ、ここで皆さんに朗報があります。
それは、「広いテーマほど、過去問でくり返し聞かれている」ということです。
これも表にまとめてみました。

出題されたテーマ 過去の類似テーマ
複雑化・多様化する区民ニーズへの対応(R4) 住民意識の多様化と自治体職員の役割(R2)
区民ニーズの把握と施策への反映(H28)
持続可能な財政運営と区民サービス(R3) 最少の経費で最大の効果を生む区政運営(H29)
区民から喜ばれる行政サービスの提供(H26)
これからのイベント実施のあり方(R5) 地域コミュニティの活性化について(R1)
地域イベント開催にあたっての住民要望の調整(H27)

※R5年度は少し限定的なテーマ(イベント実施)ですが、”地域活性化”と広げて考えれば、やはり過去に複数類題があります。

このように、「課題式論文」は過去問テーマがくり返し出題されます。
こうした傾向は一貫しているので、「過去問で合格答案を書けるようにする」ことこそが合格の近道です。

3.「課題式論文」で手堅く合格点を取る勉強法【3ステップ】

では、「過去問で合格答案を書けるようにする」には、どうしたらいいでしょうか?
3ステップで解説します。

3-1.【ステップ①】今すぐ論文の「型」を身につける

まず、公務員試験の論文の「型」を学んだことがない人は、その「型」を身につける必要があります。

◆「型」を身につければ…
✓ 主張がスッキリ伝わる論文を書けるようになる
✓ 制限時間内に論文を書き上げられるようになる

採点者は、短い時間で大量の答案を読みます。
論文の内容が良くても、読みづらい答案ではマイナス評価につながりかねません。
「型」を身につけることで、あなたの主張が明快に伝わる論文になります。

また、常に「型」を意識して書くことで迷わず書き進められる効果もあります。
特別区の経験者採用試験では、90分で「1200字以上~1500字程度」が条件。
試験中に論理展開を迷うと、字数を満たせずに試験が終わってしまいます。

「はじめての小論文・作文書き方Book」配布リンク

ASK公務員では、電子書籍「はじめての小論文・作文書き方Book」を無料で差し上げています。

論文の「型」を身につけるのに最適な教材なので、学習のはじめにぜひ手に入れてください。
(特に最後のワークはⅠ類の過去問が題材ですが、「課題式論文」対策にも非常に有用ですのでぜひ活用してください)

3-2.【ステップ②】実際に書きながら、足りない知識を身につける

基本的な「型」を身につけたら、過去問を解いてみましょう。

◆初めて過去問を解くときのコツ
✓ 制限時間を気にせずに解く
✓ 参考文献を参照しながら解く

いきなり時間内に書き上げることは難しいので、じっくり時間をかけて書くとよいです。

また、「型」が身についても行政運営の基礎知識がないと書き進められません。
そこで、手が止まったら参考文献を見ながら書くのがおすすめです。

参考書は、「特別区職員ハンドブック2023」(特別区職員研修所/ぎょうせい)が便利です。
この本の「第Ⅲ編 組織と仕事」を理解すれば、広いテーマはほぼ書けるようになります
※本書は実際に特別区の職員研修で使われている書籍です。

◆注意
「まず、たくさん勉強してから論文を書き始めよう」とする人が多いですが効率が悪いです。
たとえば、紹介した書籍1冊だけでも750ページもあり、いきなり読み通そうとすると挫折します。
結局、「書くためにどの知識が特に必要か」は、実際に問題に取り組んで初めてわかるものなのです。

3-3.【ステップ③】何も見ず、時間内に解けるように練習を重ねる

時間をかけて何本か論文を書くと、自力で書ける部分が増え、スピードも上がってきます。
次は、だんだん本番に近い条件で過去問演習を重ねるとよいでしょう。

◆たとえば…
✓ 100分(実際の試験時間プラス10分)で解いてみる
✓ 参考文献を見られる回数を限定する(「3回しか見ない」というように)

そして、いよいよ本番通りの条件(90分、参考文献なし)で書き上げる練習を重ねます。

直前期には、見直しの時間も想定して、80分で書き上げられる力をつけているのが理想です。

◆客観的なフィードバックを得られると論文力はグッと伸びる
ステップ②や③で「自分の答案は合格点?」「点をさらに伸ばすには?」と疑問がわいてきます。そんなときは客観的なアドバイスをもらうのが有効です。たとえばASK公務員のオンライン添削。実績豊富な講師があなたの答案を丁寧に添削し、合格に必要なポイントをレクチャーしますので、試験当日までの学習の方向性が明確になりますよ。

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4.まとめ

◆課題式論文は…
✓テーマを選べる2択形式だが、大卒程度試験より難しい
✓テーマには狭いテーマと広いテーマがある
✓広いテーマほど、過去にくり返し問われている傾向がある
✓合格点を取る勉強法は①論文の「型」を学ぶ②書いて知識を身につける③本番の条件で解く
✓論文の「型」は無料で学べる⇒「はじめての小論文・作文書き方Book」無料ダウンロード
✓家でプロの論文添削が受けることもできる⇒オンライン添削

 

学習内容が明確な教養試験とちがって、論文試験は「ついつい後回し」にされがちです。

しかし、特別区経験者採用では、論文試験こそ合格を左右する重要科目。
必ず合格したい人は、決して後回しにせず、今日から学習に取り組みましょう。

まずは、論文の「型」を身につけるところから。
皆さんの頑張りを応援しています。

公務員試験の数的処理が苦手な人のための対策法

1.はじめに

公務員試験の教養試験で最重要科目とされているのが数的処理です。他方、苦手とする受験生も大変多いのがこの科目です。

長年指導をしてきて、数的処理が得意という人はあまりいた記憶がありせん。しかし、数的処理はどこを受験するにしても出題数が多く、全分野を捨てることはできないといえます。是非とも得意分野を1つでも多く作って本試験に臨むことが求められます。

これは、言い換えますと、得意「科目」にまで昇華する必要はなく、あくまで「この単元はできる」という部分を積み増していけば、公務員試験には十分に合格することができます。本記事では、その心構えの大切さや具体的に得意分野を増やす方法についてお話します。

したがって、苦手な人の対策法として参考にして欲しいと思います。

なお、数的処理とは通常「数的推理」「判断推理」「資料解釈」の3つを言いますが、対策の部分については、前者2つについて触れています。

資料解釈については「資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説」を参考にしていただければと思います。

2.公務員試験における数的処理の出題数

まず、いかに数的処理が重要な科目なのかを確認しておきましょう。以下の出題数をみると、多い試験種(国家一般職・国家専門職)では約47%、少ないところ(地方上級関東型)では30%となっています。

 国家総合職 16問/40問(院卒向けは、令和6年以降30問中14問になる予定)
 国家一般職 14問/30問の予定(令和5年度実施分までは40問中16問)
 国家専門職 14問/30問の予定(令和5年度実施分までは40問中16問)
 裁判所一般職 17問/40問
 地方上級(全国型) 17問/50問
 地方上級(関東型) 12問/40問
 東京都Ⅰ類B 16問/40問
 特別区 19問/40問

公務員試験の教養試験は、その年の倍率や試験種、専門試験がある場合はその成績にもよりますが、63~65%程度を取っていれば合格ライン到達となることが多いです。したがって、仮に数的処理以外が80%ほど正答できるとしても、出題数の多い試験種では45%ほどの解答を、少ない試験種でも、30%ほどの解答をしなければなりません。

(計算根拠)
国家一般職…数的処理以外16問中80%正答(=12.8問)+数的処理14問中45%正答(=6.3問)
     =19.1問が正解しているので、30問中でいうと正答率63.6%
地方上級関東型…数的処理以外28問中80%正答(=22.4問)+数的処理12問中30%正答(=3.6問)
     =26問が正解しているので、40問中でいうと正答率65%

ただ、正直、数的処理以外の問題で80%正答は苦しいといえます。
そのため、数的処理を苦手としている人でも出題の少ないところで40%程度、多いところで55%程度になるくらいの正答率があると望ましいでしょう。

3.苦手な人は「頻出分野に集中」しよう

「2」の議論から、数的処理については、教養試験の合格ライン(63~65%)を下回る水準で構わないものの、ある程度の正答率(40~55%)は確保しないといけないことが分かります。

では、この正答率を得るためにはどうしたら良いでしょうか。
結論から述べますと、頻出分野を丁寧に学習することが重要です。

理由は、頻出分野+資料解釈だけで、苦手な人が目標とする40~55%に届きやすいからです。
なお、頻出分野については、過去記事「直前期!数的処理の得点を伸ばす学習方法3選~数的・判断頻出単元ベスト10付き~」にあります。
そして、資料解釈については、「資料解釈で確実に得点するための戦略について徹底解説」を参照ください。

さて、頻出分野が分かって、その箇所を公務員試験対策本で取り組むだけでは「集中=丁寧に学習した」ことになりません。なぜなら、公務員試験対策本には、数的処理の全単元が掲載されている本がほとんどだからです。換言すると、頻出分野の単元における演習量が十分ではないということです。もちろん、数的推理・判断推理・資料解釈と分冊化はされていますが、それでも足りないです。

数的処理あるいは数学に抵抗がない人は、その掲載されている問題量から新規性のある問題にも対応できる力を養えるでしょう。しかし、苦手な人はその対応力をつけるまでに、もっと多くの問題に触れないといけません。

とはいえ、ただやみくもに、複数の公務員試験対策本を買い沢山問題にあたればいいわけでもありません。

重要なのは、数的思考力が身につくように配列された教材を用いて学習することです。

具体例として、数的推理分野で出題数1位の「場合の数・確率」を取り上げましょう。この単元に取り組む際には、優しめの大学受験本などを用いて、きちんと「場合の数・確率」の考え方を思い出す(はじめて本格的に学習する人にとっては習得する)わけです。

優しめの大学受験本とは、例えば、沖田一希「数学I・Aをはじめからていねいに [場合の数と確率][データの分析][整数の性質]編」などです。大手予備校講師の講義調の本などを用いて、理解するわけですね。

当然、公務員試験の全単元をこのような学習していたら間に合わないでしょう。しかし、頻出単元だけを確実にものにし、数的処理を合格ライン到達の「足手まとい」にしないためには、大切にしたい戦略です。

こうした数的思考力が身につく教材を頻出単元分行った上で、公務員試験対策本のうちの過去問集(スーパー過去問など)に取り組みます。すると、この分野が完成されます。これを、数的推理と判断推理の頻出分野において多く行えば、資料解釈と組合せて求める得点ラインとなります。

4.苦手な人は「とにかく考える」ことを大事にしよう

「3」の対策方法は、数的推理のうちの「場合の数・確率」「数と計算」「約数・倍数」「方程式(速さ)」、判断推理のうちの「命題」「集合」、両科目にまたがる「平面図形(三角形含む)」「立体図形」などで使えるものです。なぜなら、中学校や高校の数学単元にあるからです。

対して、特に判断推理の頻出単元には、数学分野には存在しないものが多いです。例えば、「対応関係」「順序関係」「位置関係」などが挙げられます。

この分野はどうすればいいでしょうか。

実は、この分野は先に挙げたスーパー過去問などでも収録問題が大変多いです。そして、こうした分野には、覚えなければならない公式があるというわけでもありません。

したがって、いきなり問題集に取り組んでOKです。

ただ、このとき、重要な取り組み方があります。それは、いきなり解説などを読んで解き方を覚えるやり方を「しない」ということです。まずは、特段の公式がいらないわけなので、試行錯誤してみてくださいということです。

自分で考えて解いてみると、最初は1問20分かかるときもあると思います。それで良いのです。そうして時間をかけて取り組んだ後、じっくり解説を読みます。そこには、要領の良い解き方が載っていることでしょう。そのとき、「あぁ、なるほど、こう解くとスムーズなのか」と悔しい気持ちも混じった感じで納得すると思います。

その後(できれば次の日)に、今度は解説を思い出しながら要領の良い解き方で解いてみます。このように、「試行錯誤→要領の良い解き方」の習得をすると、いきなり要領の良い解き方に行くより、素早く考え解くコツが身につきやすくなります

なぜなら、自分が問題に向き合った思考過程が何もないと、「自分がどう考えて遠回りしてしまったか」や「自分がどういう思考をしがちなのか」、「多少遠回りでも解ききるな経験」などが乏しいため、本試験でつまづくことが多くなるからです。

やはり、本試験は過去問を少しアレンジしてきますので、アレンジへの対応をする意味でも「考える」ことを大事にしましょう。

5.まとめ

本記事では、数的処理が苦手な人には、合格ラインと呼ばれる6割強を数的処理科目で取れなくても良いものの、4~5割強は取れるようにすることをまずお伝えしました。

その後、中学・高校の数学で扱う頻出単元については、その教材に立ち戻って(はじめての方は利用して)、きちんとその単元に相応しい思考力を身につけることを推奨しました。

最後に、扱われていない単元は、いきなり過去問をやって良いのですが、きちんと考えながら臨み、解説を有効活用することを述べました。

こうした学習を、頻出単元に対し丁寧に行いつつ、資料解釈をこつこつトレーニングすれば、必要とされる正答率を得られます

参考にして、励んでみていただければ幸いです。

なお、「中学・高校の数学で扱う頻出単元については、その教材に立ち戻って(はじめての方は利用して)」の部分が、本の教材ではどうにも進まないという方には、個別指導という手もあります。究進塾ではこの手伝いができますので、悩まれている方は体験授業に一度ご参加ください。お待ちしています。

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苦手な人必見!公務員試験の経済学を得点するための勉強法

1.はじめに

経済学は、得点が安定的にとれるまでの勉強量が多く、また計算を要する問題が出題されるため、苦手としている人が多いという科目です。
しかし、経済学はいずれの試験においても出題数が多いため、捨て科目にしてしまうのはリスクが大きいといえます。もちろん、苦手なままで本試験に挑むと、合否に大きな影響を与えます。

この記事では、苦手の克服法として使える入門書を紹介しています。参考にしていただき、是非とも得点できる科目にしてください。

2.公務員試験における経済学の特徴

2−1.出題数

まず、出題数を確認しておきましょう。

経済学(ミクロ経済学+マクロ経済学+経済政策)の出題数
・国家一般職 40問解答中の10問分あり(※科目選択した場合)
・国税専門官 選択24問解答中の6問(※科目選択した場合)
・財務専門官 必須28問解答中の6問
・裁判所事務官 選択した場合10問(全体の3分の1となる)
・地方上級(関東型) 必須40問中の12問
・地方上級(中部・北陸型) 50問中40問を選択解答できるうち、14問出題
・東京都特別区 55問中40問を選択解答できるうち、10問出題
このように、出題数の25~35%ほどを占めるのが経済学です。しっかり取り組み、得点源にすると、合格へ大きく近づくことがお分かりになるかと思います。

2−2.出題傾向

〇マクロ経済学

どの試験種でも、乗数理論、IS-LM分析、消費関数、フリップス曲線、新古典派成長理論が頻出です。地方上級は国民経済計算が、裁判所は開放経済が、国家系は貨幣供給、AD-AS分析がよく出ます。

〇ミクロ経済学

試験種を問わず、消費者理論・生産者理論・完全競争市場・不完全競争市場・市場の失敗・ゲーム理論・国際貿易がバランスよく出題されます。

また、学習すると分かるのですが、数学的科目と同じで、前の分野が分からないと後の分野が分からない構造になっています。このことと、満遍なく出ている出題傾向からは、公務員試験の経済学テキストは全単元取り組まないと安定的な得点は厳しいといえます。

2−3.出題形式

問題形式としては、ミクロ経済学、マクロ経済学どちらにおいても、文章題(理論を問う)、計算問題、グラフを絡めた問題の、大きく三つに分かれます。それぞれについては以下のような問題が出題されます(いずれも平成27年度特別区試験より抜粋)。

文章題
経済学(文章題)

計算問題
経済学(計算)

グラフを絡めた問題
経済学(グラフ)

3.苦手な人の経済学学習方法

それでは、いよいよ苦手な人向けの学習方法をお伝えします。
結論から述べると、

「軽めの内容のテキスト(入門書)を1周してから、対策本に入る」というものです。

まず、軽めの内容から入る理由を述べます。それは、学習の初期は、文章題とグラフの問題をクリアすることに注力して欲しいからです。言い換えますと、経済学の概念を言葉とグラフで理解して欲しいということです。

ただ、大抵の公務員試験の本は、その1冊で全てを理解させようとしますので、計算も詳しく説明されています。そこで、入門書で、注力すべき点を最初におさえましょうということです。

そして、お奨めの入門書を紹介する前に、どうして、文章題とグラフ問題に注力した方がいいのかについて、説明しておきます。

具体例として、「デフレ・ギャップ」を取り上げます。これは、計算問題ですと、下図の「デフレ・ギャップ」となっている部分を求めればいいので、横軸Yfのところでの青軸の縦値から赤軸の縦値を引けば求まることになります。ある横軸の値における縦軸の値を一次関数において出すだけなので、計算自体は四則演算が分かればできます。

しかし、そもそも「デフレ・ギャップ」が何なのかも分からずに、ここを「求めればいいのだ」と覚えて計算できるようにしても応用がききません。また、そもそも、経済学の全単元でそのような学習をして頭の中に覚えていくことは、恐らく不可能でしょう。断片的に覚えることが多くなりすぎてしまうからです。
やはり、「デフレ・ギャップ」という概念を理解し、グラフでの表現がどうなるか(=上図になる理由)を理解した上で計算処理に入らないと遠回りになります。

ということで、文章題とグラフの問題を最初にクリアする重要性が分かったところで、お奨めの入門書を3冊紹介します。

【1】経済学のエッセンス100第3版(多和田眞、近藤健児著、中央経済社)
この本は、見開きで左側に概念、右側にグラフなどの図解という体裁で、ミクロとマクロの頻出概念を合計100個紹介しています。これ以外の概念も公務員試験では出ますが、初学者には後々つまづかないものがセレクトされており、本格的に公務員用テキストを学習する前に一読するのにうってつけと言えます。

【2】みんなが欲しかった! 中小企業診断士の教科書(下) 2024年度 [経済学・経済政策 経営情報システム 経営法務 中小企業経営・政策](TAC出版)
この本はタイトル通り、中小企業診断士用の対策本です。実は、中小企業診断士の経済学(経済政策含む)は、計算問題が少なく、その分、言葉とグラフの対策を念頭に置いた記述となっています。こちらも、本格的に公務員用テキストを行う前に読むと、習得が早くなるでしょう。
なお、経済学は、この本に収録されている4科目中1科目しか該当しません。また、経済学の時事性はあまりないといえます。したがって、ヤフ―オークションやメルカリなどで過年度(中古品)を購入すると、経済的と言えるでしょう。

【3】1項目3分でわかる 石川秀樹の経済学入門ゼミ(石川秀樹著、日本実業出版社)
2010年発売と古いですが、定評のある本です。こちらは上記1.2よりも扱っている範囲は狭いのですが、所々に公務員試験過去問が掲載されています。また、本格的に公務員用テキストとして、同一著者の本(速習!マクロ経済学速習!ミクロ経済学)を使う時には移行しやすいという利点があります。もちろん、言葉とグラフの理解が中心で、仮に数式を使うとしても大変丁寧に説明してあります。

以上の3冊のどれかに取り組んでから、本格的な公務員試験対策の経済学テキストにいきましょう。この際のテキストは、上記の石川秀樹著の速習シリーズか、最初からつまづかないシリーズが良いでしょう(リンクはミクロ経済学にしていますが、マクロ経済学もあります)。
また、問題集は、LEC出版の「解きまくりシリーズ」の最新版が良いでしょう((リンクはミクロ経済学にしていますが、マクロ経済学もあります)。

4.まとめ

以上お伝えしたとおり、出題量が多く、知識の積み重ねが求められ、言葉とグラフ、数式で問われる科目である経済学は、公務員試験の中で難関と位置付けられます。これを苦手科目としないよう、本記事では、「急がば回れ」の精神で、言葉とグラフが理解できやすい入門書を最初に行ってから、公務員試験対策本&問題集に取り組むことをアドバイスしました。
もちろん、究進塾では、経済学の個別指導をしておりますので、「本ではなかなか頭に入ってこない!」、「動画や集団講義だと自分の疑問が氷解せず先へ進めない!!」といったことに悩んでいる方にはうってつけです。無料体験もありますので、そうしたご活用もご検討ください。

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国家専門職・都庁志望者必見!~経済学・財政学の記述試験の傾向と対策~

1.経済学・財政学の記述試験について

東京都ⅠBの試験と、国家専門職(国税専門官、財務専門官)では、経済学の記述試験を選択できます。東京都ⅠB並びに財務専門官では、財政学の記述もあります。

最終合格のためには、多肢選択だけでなく、記述試験も乗り切らなくてはなりませんが、こうした経済系の専門科目を受験で用いる場合、どのような留意点が必要となるのでしょうか。また、そもそも経済学や財政学は選択をすべきなのでしょうか。

この記事を読むと、これらの疑問が解消します。ぜひ、記述における科目選択の参考にしてください。

2.過去問の紹介(経済学)

それでは、経済学を用いて、過去5年分の出題を確認していきましょう。

(1)東京都ⅠB

年度 問題
令和5年度 ディマンド・プル・インフレーション及びコスト・プッシュ・インフレーションについて、現在の経済状況にも言及し、AD-AS分析を用いて説明せよ。
令和4年度 マンデル=フレミング・モデルにより、固定相場制と変動相場制のそれぞれの場合における財政政策の有効性を、グラフを用いて説明せよ。なお、資本移動は完全に自由であるものとし、固定相場制の場合には不胎化政策はとらないものとする。
令和3年度 ソローの成長モデルを用いて閉鎖経済における資本蓄積のメカニズムを説明し、貯蓄率の上昇が与える影響について述べよ。ただし、人口増加と技術進歩はゼロとする。
令和2年度 ケインズの流動性選好理論について述べた上で、短期経済において物価水準が一定のとき、マネーサプライの減少により利子率及びLM曲線がどのように変化するか、図を用いて説明せよ。
令和元年度 外部不経済の下での市場均衡について説明せよ。また、外部不経済の内部化の方法のうち、課税による方法及び補助金による方法について、それぞれ説明せよ。なお、説明には図を用いること。

(2)国税専門官・財務専門官

年度 問題
令和5年度 逆選択(逆淘汰、アドバース・セレクション)に関する次の問いに答えなさい。
①逆選択について、中古車市場を例に「情報の非対称性」という語句を用いて説明しなさい。
②逆選択を克服するための方法について、中古車市場を例に説明しなさい。
令和4年度(図は省略) 外部性に関する次の問いに答えなさい。
①市場の失敗における外部性について、「外部不経済」、「外部経済」に言及しながら説明しなさい。
②コースの定理について、定理が成立するための条件も示しつつ、簡潔に説明しなさい。
③ある企業は製品Xを生産すると、汚染物質を排出する。これにより、製品Xの市場では、社会的限界費用が私的限界費用を上回っており、家計の需要曲線、企業の供給曲線、社会的限界費用曲線は下図のようになっている。製品Xの市場が完全競争市場のとき、外部性を解決する方法の一つであるピグー税について、導入前後の総余剰の変化も示しながら下図を用いて説明しなさい。
令和3年度 投資理論に関する次の問いに答えなさい。
①ケインズの投資理論について、以下の用語を用いて説明しなさい。 (用語:投資の限界効率、割引現在価値)
②新古典派の投資理論について、以下の用語を用いて説明しなさい。( 用語:資本の限界生産性、望ましい資本ストック)
③ある企業が株式を100万株発行し、その配当は1株当たり50円であり、恒久的に得られるものとする。安全資産の利子率は2%、この株式のリスクプレミアムは3%であり、いずれも時間を通じて一定であるとすると、この企業の株式時価総額はいくらか。また、この企業の資本の再取得価格が5億円であるときの投資活動について、トービンのq理論に基づき説明しなさい。ただし、株価の理論値は企業の株価に一致し、また、負債は存在しないものとする。
令和2年度(図は省略) マンデル=フレミング・モデルに関する次の問いに答えなさい。
①マンデル=フレミング・モデルが対象とする経済の仮定を簡潔に説明しなさい。
②固定相場制の下での拡張的な財政政策の効果について以下の図を用いて説明しなさい。なお、中央銀行による不胎化政策は行われないものとする。
③固定相場制の下での拡張的な金融政策の効果について以下の図を用いて説明しなさい。なお、中央銀行による不胎化政策は行われないものとする。
④変動相場制の下での拡張的な財政政策の効果について以下の図を用いて説明しなさい。
令和元年度 貨幣に関する次の問いに答えなさい。
①貨幣に対する需要について説明しなさい。
②中央銀行が、貨幣供給量をコントロールするための手段である(ア)公開市場操作、(イ)公定歩合政策、(ウ)法定準備率操作の3つについて、それぞれ説明しなさい。
③「ハイパワードマネー」について説明するとともに、数式及び下記の用語を用いて「信用乗数」を説明しなさい。( 用語:現金・預金比率,預金準備率)

3.出題の傾向と対策

上記2を踏まえて、分析をしていきましょう。
まず、東京都ⅠBについては、問いの中に複数聞いていることもあるものの、単一のことも多くあります。これは、後述する国家専門職が小問集合であるのとは異なります。なお、都庁の財政学も小問集合的な聞き方はほとんどありません。
以上から、東京都ⅠBは自分で問いに対する回答に向けて構成を組み立てて書かなければなりません。しかも、2時間で3科目(憲法、行政法 、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学)というボリュームでもあるため、構成をつくり慣れる必要があります
では、どのように構成をつくり慣れれば良いかというと、模範解答の読み込みが有効です。プロが作成した文を読み込むことで、どのように構成を練り、書いていけば良いかが分かるからです。
しかし、市販において2023年11月現在、経済学や財政学の記述対策を刊行している出版社はありませんでした。そのため、模範解答を読むためには、対策予備校に頼ることになります。他科目を独学でされる受験生は単科講座を実施しているところを、これから予備校を選ぶ人は記述対策が充実しているところを選びましょう。
専門記述の単科講座で販売しているところとしては、アガルートアカデミー(https://www.agaroot.jp/komuin/list/senmonkijyutu/)が有名です。

次に、国家専門職です。この試験種の出題は、上記2のとおり小問集合となっているので書きやすいといえます。なぜなら、(1)→(2)……と設問に合わせて答えていけば良いからです。ちなみに、財務専門官の財政学も小問集合である点は同様ですので、同じように書きやすいです。
そのため、問われている用語を辞書的に自身で解説できるように準備をすると良いでしょう。例えば、択一式のために用意した経済学の参考書(予備校に通っている人はそのテキスト)の索引にあるキーワードを見て、説明する言葉を思い浮かべる→該当ページで説明の仕方が合っているかを確認するというものです。
もちろん、東京都ⅠBと併願し、両方の試験で記述に用いる人は、都庁用の対策をすれば、模範解答の読み込みを通じて、辞書的に解説する力も養われています。つまり、都庁の対策でカバーできるでしょう。
なお、過去5年において、マクロ経済学範囲からの出題が、東京都ⅠBで4年、国家専門職で3年となっています。そのため、マクロ経済学が多く出るようにみられる気がするかもしれません。しかし、過去10年にすれば、東京都ⅠBも国家専門職も6年なので、やや多めという感じです。ミクロ経済学が捨てられるという判断はしない方が賢明でしょう。

4.他科目の記述と経済学系の記述のどちらを選ぶべきか

さて、東京都ⅠBは憲法・行政法 ・民法・経済学・財政学・政治学・行政学・社会学・会計学・経営学から3科目を、国税専門官は憲法・民法・経済学・会計学・社会学から1科目を、財務専門官は憲法・民法・経済学・財政学・会計学から1科目を選択するのが記述試験なわけですが、どれを選べばいいのかと悩む受験生は多いと思います。
このとき、3つのことを考えて欲しいと思います。
1つ目は「学習環境が無差別なこと」です。2020年以降、市販での専門記述対策本の出版はありません。法律科目は判例変更などがあったところは、昔の本では対応できませんし、政治学や行政学などの行政系も出やすい言葉のブームが時代とともに変わります。つまり、経済学に限らず、記述試験の対策は予備校の講座受講を通じて、模範解答を得て読みこむことが近道になります。この点に大差がないため、どれを選んでも無差別となります。
2つ目は「科目ごとの難易度の差」です。法律系は憲法・行政法は少ないものの、民法は事例が出る点が怖いところです。会計学は、令和5年度に「連結財務諸表」を論点とする難易度がかなり高いものがでましたがバラつきがあります。行政学系も東京都ⅠBの令和5年度は「自由民主主義体制、全体主義体制及び権威主義体制について説明せよ」で、傾向と異なり、かつあまり多肢選択式の学習でもしない論点が出るなど、バラつきが大きいです。
他方、経済学と財政学は出題範囲が絞りやすく(特に財政学は絞りやすい)、事例問題も少ない傾向にあるため、取り組みやすいです。
3つ目は「汎用性」です。例えば、裁判所事務官一般職を受ける場合、憲法が必須です。外務専門職を受ける場合は、憲法・経済学・国際法から2題です。多くの試験種でも使うものが望ましいでしょう。
ということで、憲法・経済学は出題の安定性からも、汎用性の高さからも選択できるように学習すると良いでしょう。また、財政学の範囲は少ないためおすすめです。これらをベースに、ご自身の択一式試験対策で得意な科目も記述できるようにしておくと良いでしょう。これは、当日に試験問題が選べるため、出題内容を見て、準備してきた憲法・経済学・財政学より他の科目で書くように対応できるからです。
もちろん、ご自身の学部学科などの専門性を優先して、記述科目を選ぶことも大切です。

5.まとめ

 本稿では、東京都ⅠBや国家専門職(国税専門官、財務専門官)などで出題される経済学・財政学の傾向と対策を、他科目との兼ね合いを意識しながら解説しました。
 なお、記述は模範解答の読み込みだけでなく、自分で数本書いてみることも大切です。そして、書いたら添削を受けることも大事なことです。このとき、究進塾では、添削指導をしていますのでお気軽にお問い合わせください(憲法・経済学・財政学の添削をしております)。
 受験生の効果的で効率的な学習の一助になれるよう尽力いたしますので、引き続きよろしくお願いします。

2024年問われやすい公務員試験の時事問題~政治・法律これだけは5選~

1.政治や法律の時事の学習範囲は?

公務員試験の時事問題については、出題時に事情が異なっているといけませんので進行中のものを出題することには慎重です。

例えば、2023年1月に岸田首相は「異次元の少子化対策」を掲げました。そして、このキーワードが示す政策内容を現在(2023年3月)詰めているところですよね。こういうのが進行中ということです。

それよりも、後でも具体的に紹介していますが、2022年夏に行われた参議院選挙など一区切りついている事柄が出ます。そのため、受験生の方々には、2021~22年ごろの出来事、法制定や改正などをしっかり把握しましょう。

2.2024年度に問われやすい政治・法律時事5選!

(1)2022年の参議院選挙について

衆議院や参議院の選挙があった翌年は、大抵、どこかの公務員試験種で選挙に絡んだ問題が出題されます。

もちろん、「選挙に絡んだ」ですので、そもそも参議院議員選挙の行い方は?や、比例代表制とは?など、時事ではなく選挙制度の基礎的理解を問うこともあります。

しかし、選挙結果などで特徴的なことがあるなど話題があれば時事が出題される可能性が高いです。そして、今回の参議院選挙結果は、なかなか特徴的な事柄もありますので問われやすいと予想されます。

その特徴的な事柄とは……

改選125議席のうち、35人が女性という割合(28%)は過去最高です。また、非改選を含めた場合も64人であり、こちらも過去最高です。

投票率は52.05%で、何とか50%割れを回避しました。ただ、過去4番目の低さです(前回は48.8%でしたので50%を切っていました)。

期日前投票は2019年の参議院選挙より255万人増加し、参議院選挙としては過去最高です。

④参議院選挙の1票の価値は、2020年の最高裁判決で3.08倍を憲法違反でないと判断しています。2022年の選挙は3.03倍のため、恐らく違憲状態にはならないでしょう(が、まだ結論はでていませんので、結論が出たような記述は×となります)。

といったところです。ちなみに、公務員試験においては、何党が何議席という話は出ませんので覚えなくて大丈夫です。

 一応、与党が過半数をきちんと維持したものの改憲に必要な3分の2は取れていないことはおさえましょう。なお、自民党・公明党という与党に、日本維新の会と国民民主党という改憲に肯定的な政党(この4党で改憲勢力です)であれば、3分の2以上を維持しています。

(2)在外国民審査違憲判決(2022.5)

日本では最高裁判所の違憲判決が少ない(今から紹介するものを含めて11件)ので、それが出されると、時事で問われる可能性が高いです。内容を以下で確認しましょう。

2022年5月に、最高裁は、海外に住む日本人が最高裁判官の国民審査に投票できないのは、憲法15条1項、79条2項と3項に違反するとの判決を行いました。

憲法15条1項は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」というものです。国民審査は、最高裁判所の裁判官という公務員の身分にある者の罷免ですので、在外者だからといってこれができないのは問題でしょう(79条2・3項は、国民審査自体の制度に関する条文です)。

最高裁の裁判官が国民審査の在外投票について判決を下したのは初めてで、この結論は、裁判官15人全員の一致でした。

ちなみに、これだけで5つの選択肢をつくるのは難しいといえます。そのため、冒頭で触れた他の違憲判決10件をおさえておくと、「日本の違憲判決について妥当なものを選べ」のような問題に対応できます。既存の政治科目も関連部分はよく復習することをお勧めします

(3)高額寄付被害を救済する被害者救済法の成立(2022.12)

憲政史上最長となる3188日間、首相という重責を担った安倍晋三氏は2022年7月に凶弾に倒れました。この事件を起こした人物は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額寄付をする家庭で苦しんでいたという背景があったとされています。

これが世論となり、政治的対応がなされ、高額寄付被害者救済・防止法が2022年12月に成立しました。この法律は、法人や団体による個人への寄付勧誘が対象となっています。 禁止行為を行い、消費者庁長官から是正ないし停止の勧告・命令に従わないと、法人・団体だけでなく、寄付勧誘を行った信者個人や法人・団体の役員には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるものとなっています。

規制される具体的な寄付勧誘行為とは、恋愛感情の利用、霊感商法の手法、不退去や退去妨害、威迫など6類型の行為のことです。これがなされての寄附の場合、最長10年間取り消しが認められることとなりました

また、借入や不動産処分による資金調達をした上での寄付要求は禁止されました。

さらに、寄付の勧誘をする法人や団体は「個人の自由を抑圧しない」「生活の維持を困難にしない」「寄付の相手方に使途を誤認させない」といった配慮義務が課されました。配慮義務が守られておらず、個人の権利保護に著しい支障が生じていることが明らかな場合は、法人名の公表と2年をめどに規定見直しを行わなければなりません。

なお、過剰な寄付によって養育されなくなった子どもや、生活費を受け取れない配偶者は、債権者代位権を行使し、寄付者本人に代わって法人や団体に対し、寄付取り消しができるとしています。これは、養育費なら将来の養育分までを含みます。もちろん、寄付金の返還も請求できます。

被害者側と、加害者になりえる法人・団体側のそれぞれの規定をしっかりおさえておきましょう。

(4)民法と刑法の改正点

民法と刑法の改正点は頻出事項です。

2024年度採用試験を受けるにあたっては、民法については以下をおさえましょう。

【民法の主な改正点(2022.12)】

①女性にのみ課されていた100日間の再婚禁止期間が撤廃されました。

②124年ぶりに嫡出推定が改正されます(実施は2024年夏を予定)。従来は、婚姻関係にある男女の間で生まれた子の父親を夫と推定し、離婚成立後300日以内に生まれた子の父親は前夫と推定していました。これを、2022年の改正は、女性が再婚しており再婚後に生まれているのであれば(離婚成立後300日以内でも)現夫の子と推定することにしました。

③DNA鑑定などをもとに親子関係を否認する「嫡出否認制度」については、改正法によって父親だけでなく、母親や子どもにも認め、訴え可能な期間を1年から原則3年に延長しました。

④児童虐待が正当化されないように、親が監護・教育に必要な範囲で子を懲戒できるとする現行の「懲戒権」規定を削除しました。むしろ、体罰や子の心身の発達に有害な影響を及ぼす言動を禁止する規定が盛り込まれました。

【刑法の主な改正点(2022.6)】

①刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる「懲役」と刑事施設に拘置する「禁錮」を廃止し、これらに代わるものとして、「拘禁刑」を創設し、拘禁刑は、刑事施設に拘置し、拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができるとしました(施行は2025年6月までになされます)。

侮辱罪の厳罰化されました。具体的には、従来は、1日以上30日未満、刑事施設に拘置する「拘留」又は千円以上1万円未満の「科料」とされていたところ、1年以下の拘禁刑(懲役・禁錮)や30万円以下の罰金も法定刑に加えられました。

(5)新しい官庁の設置~子ども家庭庁~

新しい官庁ができると、出題がなされやすいです。

例えば、2021年のデジタル社会形成基本法の制定・施行を受けて設置されたデジタル庁は、内閣直属であることや首相が長であり、デジタル大臣やデジタル監が置かれるなどのことを知っているかが、東京都試験において2022年試験で問われています。

もちろん、デジタル庁は、他の試験種でもしばらくでる可能性があります。他方で、2024年度採用試験の目玉は、やはり「子ども家庭庁」でしょう。

子ども家庭庁の特徴をまとめましょう。

①設置は内閣府の外局です。

小学校就学前の子どもを対象とします。

③こども家庭庁の長官とは別に、内閣府特命担当大臣が置かれます。

④首相が会長であるこども政策推進会議が特別な機関として設置されています。

厚生労働省から保育所に関する事務を、認定こども園に関する事務を内閣府から移管されます

⑥⑤とは異なり、幼稚園に関しては引き続き文部科学大臣が行うので、所管事務の幼保一元化ができたわけではありません。

3.まとめ~頻出時事をしっかり学習しよう~

①参議院選挙、②在外国民審査違憲判決、③高額寄付被害者救済・防止法、④民法・刑法の改正、⑤子ども家庭庁の5点を2024年度試験で問われやすい政治・法律時事として紹介しました。

参考にしていただき、直前期の追い込みにご利用いただければ幸いです。

直前期!数的処理の得点を伸ばす学習方法3選~数的・判断頻出単元ベスト10付き~

1.数的処理の直前期学習は頻出単元の撃破を考えよう

毎年、4月下旬〜5月上旬に実施される特別区の採用試験を皮切りに、春試験の大卒警察官、裁判所職員、国家専門職、国家一般職、地方上級、市役所と7月下旬まで毎週のように公務員試験の筆記試験が行われます。

新年度を迎えたばかりの時期は、そうした筆記試験の直前期学習のシーズンといえますね。皆さんは、直前期学習を計画的かつ効率的に取り組めているでしょうか。

本稿は、数的処理の数的推理と判断推理に絞って、直前期学習に求められる学習行動のアドバイスをします。参考にしていただき、数的処理の得点を伸ばしてもらいたいと思います。

ちなみに、結論を先回りして申し上げてしまうと、頻出単元を深く学習しようというものです。理由は、①手を広げすぎて中途半端にしない、②6割程度取れば筆記をパスするのだから数的処理も頻出箇所で得点を取れるようにすれば良い、③頻出箇所は過去問も豊富なのでパターン暗記が活かしやすい、からです。

それでは、具体的に、どう頻出単元を深く学習すれば良いのかについて3つのアドバイスをします。その後、どこが頻出単元なのかを紹介します。

2.直前期に得点を伸ばす方法3選!

(1)方法1;既習の教材をやり抜く

直前期は、下記「3」で明らかにした頻出単元について、まずは既存教材を再度解き直しましょう。既存教材とは、予備校に通っている方はその予備校のテキストや過去問集になります。独学の方は、恐らく市販の数的処理教材を既に用いているかと思います。これらをしっかり復習して欲しいということです。

なーんだ、大した対策ではないなぁと思うかもしれませんね。しかし、指導経験上、すらすら解けるレベルまでやり込んでいる人は少ないです。また、すらすら解いていても、なぜその式を立てるのか、そこになぜ補助線を入れるのかなど、意味を完全に理解して解いている人も少ない印象があります。答えを覚えてしまったので、その通りに再生しているだけというのは危険です。

そうならないよう、完全理解かつ、すらすら解けるように頻出単元を解き直しましょう

(2)方法2;模試を有効活用する

予備校に通われている方は、大抵模擬試験がセットでついていると思います。独学の方も、模試だけ購入できる予備校は多いので、購入して挑むと良いでしょう。

この理由は、時間感覚を培えるなど本番感覚が得られるからというだけではありません。公務員試験のプロが、今年出るだろうなという部分をリストアップして、過去問の問われ方とは少し違うアレンジを加えて作問したものが模試だと考えれば、本番まさに聞かれるかもしれない観点が吸収できるからです。

模試後の復習は特に大事です。このとき、頻出単元から行いましょう。頻出単元への対応力が、(1)の学習と相まって、さらに高まります。

(3)方法3;頻出単元で不慣れがある方は教材を工夫する

頻出単元のうち、基礎から分かっていないなと感じる場合は、教材を変えましょう。具体的には、中~大学受験対策本や映像教材などを駆使することをお勧めします。

例えば、下記「3」の数的推理をみると、「場合の数・確率」が圧倒的に問われていると分かります。そして、この分野が苦手だとします。このとき、「場合の数・確率」を丁寧に基礎から解説している教材として、大学受験のものを使うのです。

理由としては、数的処理の対策本は大抵、多岐に渡る単元全てを扱おうとしますので、どうしても、各単元が薄くなるため、苦手な人には理解が難しかったり、応用が効きづらかったりするからです。

その点、中〜大学受験本は、分野ごとの教材が豊富です。それを利用するわけです。

なお、注意いただきたいのは、大学受験用のものは、レベルがいろいろあります。難関大まで対応した本は必要ありません。教科書レベルで大丈夫です。そういう区別がつきづらい方は、下記の著作のように、1冊のうちどこまでやれば、どの辺りのレベルをおさえたことになるかが分かる本で攻略しましょう。

それから、映像教材は特に空間図形や展開図などが苦手な方にはお勧めです。最近は、YouTubeで、分かりやすい図入りで解説をしてくれている動画がたくさんあります。これらを眺めておくだけで、展開図や軌跡などはイメージがつきやすいです。特に、中学受験用のものは、対象が小学生用なだけあり、より分かりやすくなっています(下記の動画サイトは一例です)。

苦手な頻出単元は、公務員受験用の本だけにしがみつかず、基礎を別の本や動画で理解してから過去問に挑むようにしましょう。

ただ、本や映像の情報からより、対面で聞いた方が捗る方には、ASK公務員/究進塾のような個別指導形式で頻出かつ苦手単元だけを習う方法もあります。

ASK公務員ではマンツーマンの個別指導講座を実施しております。
公務員試験対策にお困りの方はお気軽にご相談ください

講座詳細ページはこちら

3.数的処理はどこが頻出なのか

それでは、次に、そもそも頻出単元がどこなのかを示したいと思います。以下は、平成29~令和4年までの過去6年間に、国家総合職・国家一般職・国家専門職・地方上級(全国型)・都庁・特別区・裁判所において出題された問題を分析し、数的処理であれば10問以上、判断推理(空間把握含む)であれば17問以上の出題が見られた単元を集めました。

数的処理は各試験種とも概ね5問程度出ますから、5×7試験種×6年=210問ですので、10問以上出ているということは、概ね5%より大きい出題割合となります。

同様に、判断推理も、各試験種で8問程度出ますので、8×7×6=336問ですので、17問以上の出題がみられているということは、概ね5%より大きい出題割合です。

ここで、頻出単元を知って、上記「2」の対策をしっかり行いましょう。

(1)数的推理

1位 場合の数・確率 …… 42問

2位 比・割合    …… 28問

3位 三角形     …… 27問

4位 方程式     …… 21問

5位 数と計算    …… 16問

5位 速さ      …… 16問

7位 数量問題    …… 15問

8位 約数・倍数   …… 13位

9位 立体図形    …… 12問

10位 規則性・数列  …… 10問

(2)判断推理

1位 対応      …… 57問

2位 移動・回転・軌跡…… 40問

3位 数量と相互関係 …… 31問

4位 命題      …… 30問

5位 位置関係    …… 28問

6位 順序関係    …… 25問

7位 平面図形    …… 22問

8位 立体図形    …… 20問

9位 集合      …… 19問

9位 展開図     …… 19問

注)数的推理の立体図形は図形と計量系の問題で、判断推理はそれ以外です。

4.まとめ~頻出単元を重点的にこなして得点を積み増そう~

本稿では、直前期の数的処理の学習として、頻出単元に対して、①既存学習教材の解き直し、②模試による今年問われそうな観点の吸収、③苦手な場合は、中~大学受験の教材や映像を用いて基礎固めする、という学習アドバイスをしました。

③は個別指導塾で聞く方法も有効でしょう。

ASK公務員ではマンツーマンの個別指導講座を実施しております。
公務員試験対策にお困りの方はお気軽にご相談ください

講座詳細ページはこちら

また、過去6年の公開されている過去問情報(地方上級のみ、実務教育出版の過去問500を参考にしました)から、頻出単元を明らかにしました。

効果的で効率的な学習の一助になれば幸いです。直前期、不安も大きくなりますが、是非頑張っていきましょう!

【公務員試験】経営学の勉強法とおすすめ参考書ー捨てるのはもったいない!

公務員試験種の中には、経営学という科目の出題がみられるところがあります。

この記事では、どの試験種に出るのか、難易度はどのくらいか、そもそも経営学はどのような学習をするのかなどについてお伝えします。

その上で、有益な学習方法を紹介します。

この記事を通じて、コスパの良い科目(=学習時間が少ないのに、得点しやすい)ということに気づいていただき、自身の受験戦術に組み入れていただければ幸いです。

1.経営学の出題状況

経営学は、公務員試験の中では、専門科目に位置づけられます。したがって、教養試験のみの試験種では出題はみられません。

そして、経営学の出題状況は、下記の通りです。

試験種 選択か必須か 難易度 出題数
国家一般職 選択 5
国税専門官
財務専門官
選択 普通 6
地方上級 関東型…選択

全国型…必須

2
特別区 選択 5

なお、地方上級の中部北陸型、裁判所事務官では出題がありません。また、専門科目のある市役所も大抵は出題がありません。 

難易度は、国家一般職が、初見の学者や概念を用いて問う問題が出てくる厄介な年があるため「難」としました。それ以外の試験種では難易度は安定しており、普通か易しいくらいのレベルしか出題されません。

そのため、後述しますが、過去問などをしっかり解く練習をしておけば、すぐに得点源科目にすることができます。

2.経営学とは?

そもそも、経営学とはどのような科目でしょうか。一言で表現すると、企業や組織を管理・運営するための戦略や手法について研究する学問です。この定義を、以下の具体例によって、よりイメージしていただきましょう。

例えば、ある人がカフェを開くとしましょう。このとき、世の中にはたくさんのカフェ(競合店)がありますので、自らのカフェを、古民家カフェなのか、動物と触れ合えるカフェなのか、コーヒー豆にこだわった本格派のカフェなのか……と位置づけを決めると思います。

これは、言い換えればどのようなコンセプトで店を開くかということです。経営学では、こうした企業や組織が持つ方向性についてなどを、①経営戦略という単元で学習します。

次に、どのくらいの人を雇って研修し(労務管理)、どのように人を呼び込めば良いか(マーケティング)、お金の管理はどうしたらいいだろうか(財務管理)などを、このカフェオーナーは考えるでしょう。この分野を、②経営学各論という単元として経営学は扱います。

それから、カフェは、小規模であれば個人事業主として行っているかもしれませんが、株式会社という組織形態で行うことが普通です。しかし、世の中には、認知症カフェなど社会福祉を目的としたカフェがあり、NPO法人が行っていたりします。ここから、色々な組織があることが分かります。経営学では、③組織形態としてこのことを学びます。

最後に、経営学にも、企業・組織の経営にも歴史があります。前者は、学説が歴史的変遷をたどっているわけですが、この分野を④経営学史といいます。後者は、⑤経営史・経営事情です(⑤は現代企業の経営手法が公務員試験では特に問われるため、単に経営事情とする場合もあります)。

このように、①経営戦略、②経営学各論、③組織形態、④経営学史、⑤経営史・経営事情の5分野で構成されているのが経営学です。そして、公務員試験も、この5分野から出題されます。 

3.経営学の勉強法

(1)勉強法=学習順番にこだわる

公務員試験の経営学を攻略する上で大切なのは、学習する順番です。結論からいいますと、経営学は経済系科目(ミクロ・マクロ経済学、会計学など)や行政系科目(政治学・行政学・社会学)の「学習後」に取り組むようにしましょう。

理由は、最後に学習すると、(2)で挙げた参考書をやりこめば済むようになるからです。言い換えますと、経営学は、他科目の知識が活かせるということです。

例えば、行政系科目の行政学には、行政組織をいかに効率的に業務する組織にしていくかという内容を学びます。ここで、使われた手法が経営学の取り入れでした。したがって、その際に出てくる学者が、経営学でも出てくるのです。先に色々な科目で触れられた事項があると、予備知識がある状態になるので学習が効率よく進みます。

ところで、他の科目への関連性だけなら、経営学を先、行政学を後でも良いのではないかと思うかもしれません。しかし、行政学などの行政系科目は経営学よりも捨てにくいと考えられており、その分、対策本が充実しています。他方、経営学は出題数0のところもあるので、選択をそもそもしない人もいるせいか、あまり対策本が充実していません。

ということで、先に、対策本が充実している行政系科目や経済系科目を学習して、いろいろな知識をもっておいた上で、経営学に挑むようにしましょう。

(2)参考書とお奨めの使い方

上記(1)のように、学習順番にこだわった場合、かなり予備知識があります。この状態で、経営学の学習に入ると仮定すれば、参考となる書籍は、『スーパー過去問7 経営学』の一択です。

この本を、レジュメ部分を読んでから解くようにしましょう。解く際は、1週目は、全選択肢において問題・解説ともに目を向けましょう。間違いの選択肢をどうしたら正解の選択肢になるかを確認しながら行ってください。

後は、2週目は実力で行い、そこで漏れていた問題のみ3週目を行います。この辺りは、大抵の暗記科目と同じかと思います。この作業をやり込めば、試験当日、8割は固い得点が取れます(ただし、国家一般職で見慣れない学者ばかりの年は、諦めて他の科目を選択しましょう)。

なお、どうしても経営学は学習期間の最後に行いますので、試験までに時間がない方もいると思います。その場合は、この参考書の⚡マークのついた問題だけでも行いましょう。

ついでに、経営学のおススメの暗記法ですが、ネットで具体例や学者を検索するというものがあります。
前者は、例えば、「VRIO分析 具体例」などと検索するのです。そうすると、日本や海外の企業で具体的にVRIO分析をしている記事に出会えます。経営学は、ビジネスの実践に使えると考えられる学問のため、かなり経営学を解説してくれるキーワードがあるのです。イメージが掴みにくいキーワードだけでも、これをするとかなり理解が進みます。
後者の学者というのは、経営学の歴史は、せいぜいがここ120年ほどのことです。したがって、経営学者の顔写真などがネットでは載っていることが多いです。人名を覚えるのが苦手な方は、ネット検索してビジュアルとセットで覚えるのも有益な作業です(私が受験生の頃にした方法です)。よければ試してみてください。

4.まとめ:経営学不要の人以外は捨てずにやっておこう!

経営学について、「捨ててもいいですか」と聞かれることが指導上、多々あります。もちろん、出題数が0の試験種を本命としている人には、必要ないので、捨てるというか学習しない選択で構いません。

他方、国税専門官の志望が高い人や、法律系科目がどうも苦手で行政系科目のような学者と学説を覚えることが苦でない人には是非お勧めの科目です(経営学を行わない場合、刑法や労働法を勉強せざるを得ませんので、法律は憲民行でお腹いっぱいという方もいるでしょう)。 

国家一般職志望の方も、難易度が高い年があるといいましたが、逆にいうと低い年もあります。加えて、学者と学説絡みの科目は、政治学だろうと、行政学だろうと、国家一般職は急激に難易度が上がる年があります。このとき、経営学が通常通りか易しめの難易度であれば、こちらを選択した方が良いことも起こります。

 それから、地方上級を中心に、教養試験の経済では、経営用語が出題されることもあります。

このようなことを鑑みますと、経営学は、必須あるいは選択できる試験種が本命な場合、学習期間のz最後の時期に、『スーパー過去問7 経営学』を使って詰め込んでおくというのがベターな選択です。

これを参考に、ご自身の受験戦術を考えていただければ幸いです。

年齢制限はほぼない!30歳以上でも受けられる公務員試験を詳しく紹介

公務員試験を受験するにあたりネックになるのはやはり年齢制限ではないでしょうか。

大学を卒業してから数年間民間企業で働いていた人やフリーターだった人、何もせずに無職だった人など事情は様々だと思いますが、いずれの場合であっても、年齢制限をクリアしなければ絶対に公務員試験を受験することができません。

ですが、民間企業等で職務経験がある場合やそうでない場合であっても、意外と高齢でも受験できる公務員試験はありますので最初から無理だと諦めないでください。

ここでは学校を卒業し年数が経った人がどのような公務員試験を受けることができるのかについて紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、これから公務員を目指すために勉強を始めるにあたり大切なこともお伝えします。

1 まずは年齢要件を確認し、職務経験を棚卸ししよう

30歳を超えて公務員試験を受ける場合、以下の2点を考える必要があります。

  • 受験する年度の年齢
  • これまでの職務経験

受験する年度の年齢というのは非常に重要です。なぜならすべての公務員試験では年齢制限を設けているからです。

例えば、要項で受験資格が「昭和63年4月2日〜平成9年4月1日生まれの者」とあった場合は、受験する年度において21〜30歳の人でなければ受験することができない、ということがわかります。

特に大卒程度(事務)試験では、受験要件はほぼ年齢だけですので、兎にも角にも年齢の要件をクリアしなければなりません(中には大学や大学院卒業しているという学歴要件が課されている試験もあるので必ずチェックしてください)。

ただし、最近では、職歴がなくても30歳以上でも受験できる試験が非常に増えてきており、公務員を目指すチャンスが広がっています。

30才以上で受験できる試験については後述する年齢制限の上限が高い公務員試験で詳しく紹介していますので、お住まいに近い自治体や興味のある試験について確認してみましょう。

民間企業等で職歴がある場合は、次の2で紹介する経験者採用試験も検討してみましょう。
※ここでの「職歴」は必ずしも民間企業や正社員でなくても受験できる場合がありますので、諦める前に確認してください。

2 民間企業等で経験がある場合は経験者採用枠も検討してみよう

年齢制限が緩和される傾向にあるとはいえ、希望する試験の年齢要件を満たさない場合もあるでしょう。

そうした場合、「経験者採用試験」の受験を検討してみてください。

最近は民間企業等で経験を有する人を採用する経験者試験(社会人採用試験・キャリア採用試験などともいいます)が増加しています。
民間企業「等」となっているのは、民間企業だけでなく他の公務員や海外青年協力隊として働いていたという経歴も含まれるためです。

そして、経験者採用試験の場合、「1つの職場で○年以上」といった勤続年数の条件があります。この要件を満たさなければ受験することができないのでよく確認しておきましょう。

例えば特別区の経験者採用試験では以下のように定めています(令和5年度試験)。

民間企業等における業務従事歴が下記の年数以上(平成30年3月31日現在)ある人
【1級職】4年
【2級職(主任)】8年
【3級職(係長級)】12年

また、必ずしも正社員でなくても、例えば派遣社員やアルバイトであっても週に何十時間以上働いていたという条件をクリアすることができれば受験資格があるとみなされるケースもあるため、「正社員で働いた経験がない」と諦める前に、必ず志望する自治体のホームページで受験案内を確認してください。

例として、横浜市の場合では、以下のように定めています(平成29年度試験)

【職務経験について】
・「民間企業等における職務経験」には、会社員、自営業者、アルバイト、パートタイマー、公務員等としての経験が該当します。また、財団法人、社団法人、NPO法人等の経験も含まれます。

通常であれば30歳前後である公務員試験の年齢制限ですが、民間企業等経験者採用であればかなり幅広い年代の人が受験できるところも多いので、民間企業等で経験がありこれから公務員への転職を考えていているのであればぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

経験者採用試験については社会人が受験できる公務員試験の内容と採用後の待遇についてで非常に詳しく解説していますのでそちらもぜひ併せてご覧ください。

3 【年齢別】年齢制限の上限が高い公務員試験

国家公務員の場合、経験者採用でないとおおむね30歳くらいまでしか受験できませんが、地方公務員は自治体によってはかなり高齢でも受験することができます。

ここでは、年齢制限の上限が30歳以上と、比較的高い試験について紹介します。

以下の表は令和5年度試験の年齢上限のまとめです。

国家公務員試験

まず、国家公務員試験ですが、地方公務員に比べると年齢上限が低めの傾向でほとんどが30歳です。(地方公務員試験の一覧はこちら)

年齢上限 実施試験
30歳 国家総合職(院卒者・大卒程度)、国家一般職(大卒程度)、国税専門官(大卒程度)、財務専門官(大卒程度)、法務省専門職員(大卒程度)、外務省専門職員(大卒程度)、防衛省専門職員(大卒程度)、労働基準監督官(大卒程度)、皇居護衛官(大卒程度)、食品衛生監視員(大卒程度)、航空管制官(大卒程度)、裁判所総合職裁判所事務官(院卒者・大卒程度)、裁判所総合職家裁調査官補(院卒者・大卒程度)、裁判所一般職(大卒程度)、衆議院総合職(大卒程度)、衆議院一般職(大卒程度)、衆議院法制局・参議院法制局
29歳 国立国会図書館(総合職、一般職(大卒))

地方公務員試験

地方公務員試験は国家公務員試験に比べて年齢上限が高めです。また近年上限緩和をした自治体も増えてきています。
大卒程度の行政系(事務系)のみで専門職は含まれておりません。また同じ自治体で異なる年齢になっているのは大卒程度と経験者採用試験など試験が異なるケースです。
※情報については変更が生じる可能性があり、かつ応募職種等によっては年齢制限が異なるため、試験前には自治体の受験案内で必ず最新の情報を確認してください。

★がついている自治体は政令指定都市です。

年齢上限 自治体名
59歳 茨城県つくば市、群馬県桐生市、岡山県瀬戸内市・真庭市、佐賀県武雄市など
45歳 茨城県つくばみらい市・常総市、兵庫県養父市、山口県下関市、徳島県三好市など
40歳 北海道滝川市、宮城県気仙沼市、栃木県宇都宮市、埼玉県和光市、東京都多摩市・国分寺市など
39歳 北海道釧路市、★山形県、山形県上山市、栃木県那須塩原市、群馬県沼田市、岐阜県(行政Ⅱ)、岡山県岡山市(事務特別枠)など
37歳 大分県竹田市
36歳 ★徳島県、東京都昭島市、北海道北広島市、静岡県伊豆の国市
35歳 ★岩手県、★宮城県、★福島県、★千葉県(一般行政B)、★山梨県、★長野県(行政A)★富山県、★静岡県(行政総合型)、★京都府(行政Ⅱ)、★和歌山県、★鳥取県、★熊本県、★沖縄県、★仙台市、★相模原市
<北海道・東北>
北海道赤平市・石狩市・室蘭市・美唄市・留萌市・根室市
岩手県久慈市・釜石市・花巻市
宮城県白石市・栗原市
秋田県能代市
山形県長井市
福島県田村市・喜多方市・相馬市
<関東甲信越>
茨城県土浦市・石岡市・小美玉市・常陸大宮市・稲敷市・板東市・潮来市
埼玉県熊谷市・和光市
千葉県勝浦市・流山市・鎌ヶ谷市・八街市・印西市・白井市・館山市・茂原市・我孫子市・鴨川市・富津市・大網白里市
神奈川県秦野市
<中部・東海・北陸>
山梨県笛吹市
長野県松本市・塩尻市・安曇野市・諏訪市
新潟県三条市・小千谷市・胎内市
岐阜県恵那市
静岡県湖西市
愛知県高浜市・岩倉市
三重県尾鷲市・鳥羽市・松阪市・津市
富山県氷見市・黒部市・砺波市・魚津市
福井県福井市・あわら市
<近畿>
滋賀県野津市・米原市
京都府亀岡市
大阪府池田市・河内長野市・摂津市・泉南市
兵庫県豊岡市・朝来市
奈良県大和高田市・葛城市
和歌山和歌山市、御坊市、田辺市
<中国・四国>
鳥取県米子市
島根県大田市
広島県安芸高田市
山口県宇部市
徳島県美馬市
香川県善通寺市・三宝市
愛媛県新居浜市・西予市・西条市
高知県土佐市
<九州・沖縄>
福岡県久留米市・筑後市・宗像市・中間市・糸島市
佐賀県伊万里市・佐賀市
熊本県阿蘇市・荒尾市
宮崎県小林市
鹿児島県枕崎市・南九州市・西之表市
沖縄県宮古島市
34歳 ★秋田県、★福井県、★大阪府、★滋賀県(行政A)、★愛媛県(一般行政A)、★高知県(行政・TOSA)、★大阪市、★岡山市(事務特別枠)
岩手県二戸市・北上市、宮城県塩竈市、秋田県湯沢市・北秋田市・仙北市、山形県山形市・鶴岡市・酒田市・村上市・尾花沢市、福島県白河市、千葉県柏市、長野県飯田市・須坂市、愛知県北名古屋市、三重県伊勢市・志摩市・桑名市、富山県南砺市、京都府福知山市、奈良県葛城市、和歌山県海南市・有田市、広島県呉市、島根県安来市、山口県山口市・防府市、香川県観音寺市、高知県宿毛市・須崎市
33歳 栃木県那須烏山市、山梨県甲州市、広島県福山市、愛媛県八幡浜市・大洲市・松山市、熊本県八代市・水俣市
32歳 ★青森県、★三重県(行政Ⅱ)、★熊本市
北海道深川市、栃木県日光市、神奈川県海老名市、山梨県中央市・南アルプス市、長野県佐久市、静岡県下田市、新潟県南魚沼市、富山県射水市・滑川市、鳥取県倉吉市、香川県高松市・三豊市、熊本県宇城市、鹿児島県伊佐市
31歳 ★東京都(Ⅰ類A)、★特別区Ⅰ類
岩手県宮古市、宮城県気仙沼市、山形県米沢市・天童市、栃木県鹿沼市、埼玉県加須市、東京都八王子市、山梨県大月市、新潟県糸魚川市、静岡県下田市、大阪府大寝屋川市、鳥取県倉吉市、岡山県倉敷市・真庭市・備前市・笠岡市、香川県高松市、熊本県宇城市・菊地市、大分県豊後高田市、鹿児島県曽於市
30歳 ★北海道(一般行政A)、★埼玉県、★千葉県(一般行政A)、★神奈川県(行政・秋季チャレンジ)、★新潟県、★岡山県、★横浜市、★静岡市、★名古屋市、★京都市(行政一般方式)、★岡山市(事務一般枠)、★北九州市(行政特別枠・総合・行政Ⅰ)、★福岡市(行政特別募集)
<北海道・東北>
北海道釧路市・北斗市・北見市・登別市・旭川市・網走市・夕張市
青森県むつ市・十和田市
岩手県大船渡市・遠野市・北上市・一関市・陸前高田市・滝沢市
宮城県大崎市
秋田県大仙市・鹿角市・男鹿市・大館市
山形県寒河江市・新庄市
福島県伊達市・郡山市・福島市・いわき市・本宮市・南相馬市
<関東甲信越>
茨城県古河市・日立市・鉾田市・神栖市・取手市・北茨城市・ひたちなか市・笠間市・那珂市・高萩市・行方市
栃木県大田原市・矢坂市・下野市・鹿沼市
群馬県太田市、渋川市、藤岡市
埼玉県川越市・熊谷市・東松山市・飯能市・羽生市・深谷市・本庄市・戸田市・志木市・久喜市・入間市・幸手市・白岡市・ふじみ野市
船橋市・松戸市・木更津市・成田市・銚子市・佐倉市・四街道市・袖ヶ浦市・香取市・野田市・勝浦市・八千代市・市原市・東金市・旭市・習志野市・南房総市・匝瑳市・山武市
町田市・多摩市・府中市・小平市・福生市・武蔵村山市・武蔵野市
神奈川県南足柄市・綾瀬市・三浦市・伊勢原市・厚木市
山梨県山梨市・韮崎市・北杜市・甲斐市・大月市
<中部・東海・北陸>
長野県塩尻市・駒ケ根市・小諸市・中野市・岡谷市・茅野市・大町市
新潟県加茂市・佐渡市
岐阜県関市・瑞穂市・高山市・瑞浪市
静岡市伊東市・熱海市・島田市・富士宮市・三島市・藤枝市・御殿場市・沼津市
愛知県春日井市・刈谷市・西尾市・知多市・東海市・北名古屋市・豊明市・豊橋市・津馬市・碧南市・安城市・蒲郡市
三重県鈴鹿市・亀山市
石川県能美市・七尾市・羽咋市、珠洲市、輪島市
富山県富山市・小矢部市
福井県敦賀市・大野市・あわら市・坂井市・鯖江市
<近畿>
滋賀県彦根市・湖南市・高島市
京都府宇治市・京丹後市
大阪府吹田市・高槻市・茨木市・大津市・守口市・貝塚市・岸和田市・柏原市・羽曳野市・大東市・門真市・交野市
兵庫県相生市・赤穂市・加東市・南あわじ市・養父市
和歌山県新宮市
<中国>
鳥取県境港市
島根県江津市
岡山県赤磐市・総社市・井原市・浅口市・玉野市
広島県大竹市・廿日市市・尾道市・庄原市
<四国>
徳島県徳島市・阿南市・鳴門市・阿波市・小松島市
愛媛県宇和島市・伊予市
高知県安芸市・香南市
<九州・沖縄>
福岡県大川市・うきは市・朝倉市・宮若市
佐賀県鹿島市
長崎県佐世保市・平戸市・諫早市・南島原市
大分県別府市
宮崎県延岡市・西都市・日南市
鹿児島県垂水市・霧島市・志布志市・伊佐市・日置市・奄美市
沖縄県南城市

いかがでしょうか。年齢が高くても受けられる試験は、意外と多く感じられたのではないでしょうか。

ですから、自分は年齢がいってしまっているからと諦めるのではなく、一度希望する試験の受験案内を確認みて本当に受けられないかを確認してください。

4 筆記試験だけでなく面接対策はしっかりと行うことが重要!

大卒程度試験を受験するにせよ経験者採用試験を受験するにせよ、まずは筆記試験に合格しなければなりません。

基本的には教養試験と論文、面接試験はほぼ必ず課せられます。大卒程度試験を受ける場合、試験によっては専門科目が課されることも多いため、相当勉強が大変になります。

試験科目についての詳細は公務員試験に出題される科目まとめ(行政・事務系)をご覧ください。

基本的に公務員試験は難関試験に分類され、1000〜1500時間の勉強時間が必要と言われています。
もちろん、受験する自治体や職種によって必要な科目は異なりますし、もともとの知識量に左右されるので一概には言えませんが、少なくとも半年、できれば1年は勉強に集中して臨みたい試験です。

しかし、私がここで最もお伝えしたいことは、高校や大学を卒業してから数年経って受験する場合、面接試験で相当突っ込まれる可能性があることを覚悟しなければならないということです。

学校を卒業してから数年経っている場合、必ず面接でその間何をしていたのかなぜ公務員なのかということについて鋭く突っ込まれます。これについても事前に面接対策をしっかりと行うことが重要です。

  • どういう仕事をしていたのか?
  • なぜその仕事をしようとしたのか?
  • なぜ公務員になろうとしたのか?なぜこの自治体なのか?
  • やりたいことは今のところではできないのか?
  • なぜ正社員で働いていなかったのか?
  • ブランク期間は何をしていたのか?なぜブランクなのか?

など、面接官としては挙げだしたらキリがないほど質問をしたくなります。

近年、公務員試験は人物重視の傾向から、特に地方公務員試験は筆記試験よりも面接試験を重視するようになっています。筆記試験はあくまで足切り、それよりも面接で人柄を見ているのです。

そのため、こうした質問については必ず納得のいく回答を準備しておかなければなりません。

どうしても公務員試験というと「筆記試験を突破しなければ!」と考えがちですが、その先も見据えて、特に面接が苦手な方は早めの対策をすることが重要なのです。

面接試験対策については以下の動画・記事で詳しく紹介しているので、自信がない方はぜひチェックしてみましょう。

必ず抑えておくべき公務員試験の面接対策の「超」基本【解説写真付】
公務員試験の面接で聞かれる定番の質問の答え方
社会人が公務員試験の面接を突破するために重要なこと

まとめ

特に地方公務員試験は年齢制限が緩和傾向にあるため、比較的高齢でも受験が可能です。

とはいえ、最近は面接重視の傾向にあるため勉強ができるだけでは採用は難しくなっています。
しかし、筆記試験に合格しないことにはどうしようもありませんので、まずは自分がどの試験を受験できるのかを知り、勉強すべき科目を把握しましょう。

公務員試験について基本から知りたい人は公務員になりたい人必見!公務員試験の対策と勉強法を全解説で一通り解説していますので参考にしていただき、受験する試験が決まったらすぐにでも勉強を進めていきましょう。

また、短期間で合格を目指す方は公務員試験に3ヶ月〜半年の短期間で合格するために必要な戦略もご覧ください。

公務員になりたい人必見!公務員試験の対策と勉強法を全解説

公務員になりたいと思っていても、

「そもそも公務員になるにはどうすればいいのか?」
「公務員ってどんな種類(職種)があるの?」
「公務員試験の内容は?」
「どうやって勉強すれば合格できるの?」

といった疑問が出てくるのではないでしょうか?

公務員と一口に言っても国家公務員や地方公務員があり、私たちに馴染みの深い教師や警察なども公務員です。
なのでそれぞれの「仕事内容を知り自分がどういう仕事をしたいのか」ということも考えて受験すべき公務員試験を決めていかなければいけません。

この記事では公務員試験について何も知らない人でも公務員試験とは何か、どのような試験を受ければいいのか、そしてどのように勉強を進めていけば良いか、といったことが理解できるように徹底的に解説しています。

ゼロの知識でもわかるようにしていますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

ASK公務員ではマンツーマンの個別指導講座を実施しております。
公務員試験対策にお困りの方はお気軽にご相談ください

講座詳細ページはこちら

※本記事は多くの方が受験する大卒程度・事務職の試験を受験する方を対象としています。
高卒程度の試験を受験予定の方や社会人の方(経験者採用)、警察官・消防士を希望している方も参考になりますが、そのような方は併せて以下の記事をご覧ください。

↓本記事は非常に長いので気になる部分からお読みください(記事のブックマークを推奨します)。※本記事は2018年1月21日に更新しました。

1.公務員は「国家公務員」と「地方公務員」がある

公務員と聞いて想像するのは、市役所などの窓口で住民票を発行している人たちではないでしょうか?
そしてそんな人たちを見て「公務員は楽そうでいいなぁ。5時には窓口閉まるから毎日定時だし」と思っているのではないでしょうか?。

窓口で受付などをしている人たちは確かに公務員ですが、地方公務員の中の事務職という職種の職員です。

ただし、最近は窓口業務を民間委託している自治体も増えてきているため、職員として活躍している姿を見ることがほとんどないかもしれません。

ですので、窓口の人たちを見て「公務員は〜」と考えるのは早計すぎるでしょう。

では、公務員はどんな種類があるのでしょうか。大きく分けると国家公務員と地方公務員に分類できます。

国家公務員

国家公務員総合職・国家公務員一般職・国税専門官・財務専門官・労働基準監督官・法務省専門職員・航空管制官・裁判所職員・家庭裁判所調査官・国立国会図書館職員・衆議院事務職員・参議院事務職員・自衛官幹部候補生・食品衛生監視員・皇居護衛官

地方公務員

都道府県職員・市町村職員・国立大学法人・公安系公務員(警察・消防)・教職員

いかがでしょうか?思ったよりもいろんな種類があるなと感じたのではないでしょうか。

ですが受験生の大半は、
・国家公務員であれば国家公務員総合職・一般職、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官、裁判所事務官
・地方公務員であれば自分の住んでいる自治体と都庁や特別区、そして国立大学法人

これらを試験日程が被らないように併願していくというのがよくあるパターンです(公務員試験は日程さえ被らなければいくつでも受験できます)。

警察・消防などの公安系や教職を受験される方はこれらの試験と併願するパターンは少ないため、あまり考えなくても良いです。

国家公務員であれば省庁ごとや職種によって仕事内容が異なってきますし、地方公務員も自治体によって力を入れている政策や地域の特徴による施策を行っていたりするため、自分がどのような仕事をやりたいのか。、なんとなくでも決めておくことが必要です(具体的な仕事内容までは面接の段階までは決める必要はありません)。

国家公務員と地方公務員どっちがいい?

まったく知識のない場合、国家公務員か地方公務員どちらにするか迷われる方もいます。それぞれについては以下の2点が大きく異なります。

  • 勤務範囲
  • 仕事の内容

①勤務範囲について
国家公務員の場合、特に国家総合職では国内だけでなく海外勤務もあり幅広く活躍することができます。また、国家一般職でも関東エリアでの採用というように地域採用が基本ですので、転居が必要になることもあります。

これに対し地方公務員は、採用された都道府県や市区町村で活躍することになります。

市区町村であればそこでずっと勤務することになるため転居など必要ありませんが、都道府県で採用された場合は、例えば東京都でも23区から奥多摩まで東京都であるため非常に広範になります。(必ず都庁で働けるという保証はありません)

数年おきに異動が基本で、都道府県内の出張所にいくことも多いため、場合によっては引越しをしなければならないこともあります。

②仕事の内容
国家公務員は、国のグランドデザインを手がける仕事であり、やりがいがあります。しかし実際は、特に国家一般職の事務職の仕事の大半は地味な仕事です。

これは地方公務員も同じで、「地域を変えるぞ!」と意気込んでも、予算やこれまでの慣習などありなかなかそうはいきません。

地方公務員は地域の住民の生活を向上させていく仕事がメインであるため、その成果はわかりやすいものです。
先にも書きましたが、私たちが役所に行って対応してくれる職員も地方公務員ですので、比較的イメージしやすいかと思います(必ずしも市区町村の職員ではなく都道府県の職員が出向できているケースもあります)。

ただし、地方公務員は自治体での採用になるため、事務職や行政職の場合、異動のたびに全く関係のない仕事をすることになります。
最初は福祉だったのが、次はまちづくり関係、次は財政、次は人材育成など、異動のたびに担当業務が変わります。

これに対し、国家公務員は、「国土交通省」や「厚生労働省」といった省庁ごとでの採用となるため、地方公務員よりは専門性の高い仕事に従事することになります。

仕事内容については知っておきたい事務系職種公務員の仕事内容で詳しく解説していますので、興味のある方はご覧ください。

このように、国家公務員と地方公務員では、勤務範囲と仕事内容に大きな違いがありますので、自分がどういう人生を送りたいか、どういう仕事をしたいのか、といった視点で考えてみると良いでしょう。




2.公務員試験の概要について

ここからは、いよいよ公務員試験について説明していきます。

2-1.公務員試験は出題科目・内容はとても多い!

ここまでで公務員というものについてなんとなくご理解されたかと思いますが、公務員試験の最初の関門は何と言っても一次試験と呼ばれる筆記試験を通過することです。

どんなに公務員になりたいと思っていてみ、まずは筆記試験に合格しなければならず、そして一次試験に合格するのも決して簡単なことではなく、ほとんどの場合、20科目ほどの勉強をしなければならないためしっかりとした対策が必要となります。

公務員試験は、「教養択一試験」「専門択一試験」「論文試験(教養)」「面接試験」が課せられるのが一般的です。

試験によっては専門択一試験がない場合や、専門記述試験や適性検査が課せられるケースもありますので、必ず受験先の要項で確認するようにしてください。

特に、教養択一試験と専門択一試験は公務員試験を突破する上で非常に重要な試験となり、まずはこれらを攻略することを目指しましょう(ちなみに択一試験とは5肢択一問題のことで5択から一つ選択する形式です)。

それぞれの科目の詳細については以下のとおりとなります。

教養択一試験

教養択一試験には「一般知能」「一般知識」があり、それぞれの科目は以下のようになります。

一般知能

文章理解・・現代文、古文、漢文、英文
数的処理・・数的推理、判断推理、資料解釈

一般知識

人文科学・・日本史・世界史・地理・思想・文学・芸術
自然科学・・数学・物理・化学・生物・地学
社会科学・・政治・法律・社会・経済

まず、一般知能は大きく「文章理解」と「数的処理」に分かれます。

文章理解は現代文や英文などの長文を読解するものです。「要旨把握」「内容把握」「空欄補充」「文章整序」の4つの形式で出題されます。

数的処理については、数的推理、判断推理、資料解釈に分類され、数的推理は小中学校でやった算数、判断推理はパズルや図形的な問題、資料解釈は与えられた資料を読み取り正しいものを選ぶ、というものです。

数的処理はどの試験でも必ず出題される上に出題数が多いため非常に重要な科目です。
しかし、苦手とする人が多くやっかいな科目でもあるため、早めにしっかりと対策していくことが必要となります。

一般知識は基本的には高校でやる科目であり、難易度としてはセンターレベルと考えるといいでしょう。大学受験でどれだけ勉強したかが、ここにかかる労力の差となって現れてきます。

一般知識は暗記が中心となってくるため、勉強を始めるタイミングも一般知能よりも遅めで大丈夫です。
もちろん全科目やる必要はありませんが、それでも科目が膨大なため、他の重要科目をいかに早めに終わらせることができるかがポイントとなります。

専門択一試験

受験生の多い行政系(事務系)の公務員試験の場合、専門択一試験は法律系、経済系、行政系に分けることができ、それぞれの科目は以下のようになります。

専門科目(行政系)

法律系・・・憲法・民法・行政法・刑法・商法・労働法
経済系・・・経済原論・財政学・経済史・経済事情・経済政策・経営学
行政系・・・政治学・行政学・社会学・国際関係・社会政策

「こんなに科目があるの?!」と驚いた方もいるかもしれませんが、すべての科目が出題されるわけではないので、受験先の出題数や科目を確認して対策をすれば問題ありません。

専門択一試験は主に大学で学ぶ科目となるため難易度は比較的高く、しっかりとした対策が必要となります。

技術職の受験生であれば、職種ごとに試験科目が異なり大学で専攻している科目が試験科目となることが多いです。(例:建築職の場合、構造力学、建築計画、建築法規、都市計画など)

出題科目は多いですが、どれも重要な科目というわけではなく、特に重要なのは憲法、民法、行政法そして経済原論です。

これらの科目は専門試験が課される試験であれば必ず出題され、かつ出題数も多いため公務員試験を突破するためには必ず対策しておかなければなりません。

教養科目についても言えることですが、出題科目が少なかったり、そもそも出題されない科目もあるため受験先の試験情報を確認し、どの科目が何題出題されるか確認し、重要な科目から勉強するようにしていきましょう!

論文試験

論文試験は「教養論文」とも言われるもので、受験生の「考察力」「論理力」「表現力」などが試される試験です。
文字数は800〜1500文字、時間は60〜90分で行われるのが一般的です。

出題テーマは、国家公務員・地方公務員ともに「行政課題型」というものが多く、自治体によっては「自己PR型」「志望動機型」といった形式も出題されます。

■行政課題型の内容
「魅力あるまちづくり」「〇〇県の課題・将来像」「災害対策」「ワークライフバランス」など、こうしたテーマについて国や自治体としてやるべき対策について論述します。
■自己PR型の内容
「これまで主体的に取り組んできたこと」や「努力した経験」などを述べ、そこで学んだことや職員として働く上でどのように活かせるのか、といったことを述べます。
■志望動機型の内容
「なぜその自治体を志望するのか」「どのような仕事をしたいのか」といった、志望する自治体の現状や施策について把握し、仕事をイメージして「〇〇に取り組みたい」というように熱意をアピールします。

面接試験

面接試験はどの試験を受けるにせよ必ず課せられる試験です。
形式としては、「個別面接」「集団面接」「集団討論」「プレゼンテーション」など、受験先によって様々ですので受験先の要項を見て確認しましょう。

それぞれ以下のような形式で行われます。

■個別面接
個別面接は、受験生1人に対し面接官が3〜5人という形式で行われます。
質問内容としては、志望動機ややりたい仕事、自己PR、受験先の政策について、退職理由(転職であれば)など様々です。
時間は15~30分程度ありますので、しっかりと内容について事前準備をする必要があります。
■集団面接
集団面接は、受験生が3~10人に対して面接官が3~10人という形式で行われます。
質問内容は個別面接とほぼ変わりませんが、他の受験生が自分が用意していた答えを言ってしまう可能性があるため、ある程度幅を持たせて回答を用意しておく必要があります。
■集団討論
グループディスカッションとも言われたりしますが、5~10人のグループであるテーマについてディスカッションをし、3~5人ほどの面接官が討論の様子を見てシートにチェックをし評定します。
時間は40~90分と幅がありますが、60分で行われることが多いです。
集団討論は個別面接や集団面接では見ることができない協調性やリーダーシップ、バランス感覚などを評価することを目的としています。
どの役をやり、どのように立ち振る舞うか、といったことを事前に固めておいたほうが良いでしょう。
■プレゼンテーション
プレゼンテーション面接は、与えられたテーマ(施策や自己PRなど)について面接官の前でプレゼンテーション(プレゼン)をして、その後質疑応答を行うという形式です。
プレゼンをするにあたり、事前に作成した資料をレジュメとして配布したり、ホワイトボードに板書して発表するケースもあります。表現方法や発表内容が評価の対象となります。

近年、公務員試験は面接重視の傾向になっていることから、様々な形式で受験生を評価するようになってきています。これまでのように、志望理由を丸暗記して望めば受かるものでもなくなっているので、決して軽く見ることなくしっかりと対策するようにしましょう。

出題科目についてさらに知りたい方は公務員試験に出題される科目まとめ(行政・事務系)を参考にしてみてください。




2-2.受験する試験の「程度」や「区分」は必ずチェック!

公務員の種類だけ公務員試験の種類があります。

・あなたが高卒なのか大卒なのか
・国家公務員になりたいのか地方公務員になりたいのか
・その中でもどこの省庁や自治体の職員になりたいのか
・さらに行政系なのが技術系なのか

これら全てにおいて公務員試験を受けるにあたって試験の内容が異なります。

「程度」について

まずは学歴ごとに試験の「程度」が異なります。

「程度」というのは「大学卒業程度」「短大卒業程度」「高校卒業程度」のように分類され、試験によっては「1類」「2類」「3類」、また「上級」「中級」「初級」といった分類もありますがいずれもそれぞれ大卒、短大、高卒程度と同義です。

本記事は大卒者の方をターゲットとしているので、「大卒程度」「1類」「上級」といった試験を受験する方が大半かと思います(後述しますが民間等で社会人経験がある人は経験者採用試験というのも受験できます)。

ただし、大学卒業程度といっても大学を卒業する見込みであったり、もしくは大学を卒業している必要はありません。高卒でも受験することはできます。

あくまで試験内容が法律や経済、技術職であれば工学系というように大学で学ぶ内容となっているためであるので、年齢要件さえ満たしていれば受験できるところがほとんどです

※中には学歴要件がある試験もあるので必ず受験要項で確認してください。

「区分」について

さらに、試験「区分」というものがあります。

「◯◯県採用試験」とある場合でもその中で職務内容ごとに試験区分が分けられ、文系職種であれば行政、法律、経済区分、理系職種であれば建築、電気、機械というように分類されます。

文系・理系というのは目安に過ぎず、例えば法学部の人が電気職を受験したり、逆に理系の人が行政職を受験することも可能です。実際、理系の人で行政職を受験する人はたまに見かけますので、法律や経済をきちんと勉強すれば合格はできると思います(逆のパターンはかなり少ないですが)。

さらには警察事務や学校事務、一般事務という区分もあり、公務員というのは実に様々な職務内容となっているのでそれだけ公務員試験の種類が存在するということだけ覚えておいてください。

ここまで読んで何のこっちゃわからない!という方は以下の内容で理解しておくとよいでしょう。

文系の場合大卒程度(上級、1類)の行政職(事務職)の試験を受験するのが一般的。場合によって経済職や法律職の応募があるので、それらを受験する人もいます。

理系の場合理系であればそれぞれ専攻してる分野(電気や建築などの技術職)で、大卒程度の試験を受験するのが一般的だと思っておいておけばいいでしょう。ただ中には理系でも行政職を受験する人もいます(逆はあまりありません)。

受験先は今すぐに決める必要はない!

こんなに種類があったら決められないよ!と思っている人も多いかもしれませんが、いきなりピンポイントでどこを受験するかを決める必要はありません。受験を申し込むのは試験日の2〜3ヶ月ぐらい前なのでその時に決めれば大丈夫です。

よくある傾向としては、大卒向けの試験であれば国家一般職、国税専門官、裁判職事務官、特別区または東京都、地方上級試験(政令指定都市)をメインとして受験し、比較的小さい市役所(地元の市役所など)を受験するというパターンが多いです。

公務員試験は筆記試験の日程さえ被らなければいくつでも併願できます(受験料は無料です)。なので日程を確認し、職種や自治体によって出題科目が異なるのでどこを受験するかということはなんとなく決めておくべきです。

2-3.公務員試験の採用までの流れ・スケジュールは?

公務員試験は、一次試験で教養科目や専門科目の試験が行われ、二次試験で論文試験や面接試験が行われることが一般的です。中には三次試験や四次試験まで課される試験もあります。

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それらに合格すると「最終合格」となりますが、最終合格=内定ではない、ということに注意が必要です。

国家総合職・一般職では最終合格後に官庁訪問という、各省庁での採用面接が行われ、それに合格すれば内定となります。

また、地方公務員試験でも、最終合格後に「最終合格名簿」や「採用候補名簿」というものに掲載され、その後に面談などを通して内定が決定します。

そのため、数は少ないですが、最終合格したのに「採用漏れ」という事態も起こりうる、ということは知っておくべきです。

2-4.日程さえ被らなければいくらでも併願は可能

公務員試験は例年、多くの方が受験する試験として、4月の国家総合職試験から始まり、5月に東京都・特別区や裁判所職員の採用試験、6月には国家一般職や国税専門官、地方上級(政令指定都市・道府県長)などの採用試験があり、その後は比較的小さい自治体の試験がちょくちょくとあります。

平成29年度の主要な試験の一次試験の日程は以下のとおりでした。

4/30(日)  国家総合職試験
5/7(日) 東京都Ⅰ類B(一般・新方式)
特別区Ⅰ類(一般方式)
警視庁警察行政職員Ⅰ類
東京消防庁職員Ⅰ類(事務)
5/14(日) 東京都Ⅰ類A
裁判所職員(裁判所事務官)
裁判所職員(家庭裁判所調査官補)
6/11(日) 国税専門官試験
財務専門官試験
6/18(日) 国家一般職(大卒程度)
6/25(水) 市役所(A日程)
7/2(日) 国立大学法人等職員採用試験
7/23(日) 市役所(B日程)
8/13(日) 東京都キャリア活用採用
9/3(日) 特別区Ⅰ類(新方式)
特別区経験者採用
国家一般職(高卒・社会人)
税務職員(高卒)
9/10(日) 特別区Ⅲ類
東京都Ⅱ類Ⅲ類
東京消防庁職員Ⅲ類(事務)
警視庁警察行政職員Ⅲ類
裁判所事務官(高卒者区分)
9/17(日) 市役所(C日程)
9/24(日) 地方公務員試験(短大卒程度・高卒程度)
10/16(日) 市役所D日程

これらは実施される公務員試験の一部です。時期が遅くなるほど採用する自治体の規模が小さくなり、採用数も少なくなる傾向にあります。

ですので、ほとんどの受験生は、5〜7月で一次試験のピークを迎え、8月以降に内定が決まっていきます。地元の市役所などを受験する場合はC日程やD日程を受けることになるため、内定が秋以降になります。

年度や自治体によって採用を行わない場合(特に小さい自治体)や、試験の日程が変わる場合もありますので、受験を検討している場合は必ず最新の受験要項で確認するようにしましょう。

そして、公務員試験は年齢などの要件さえ満たしていれば、日程が被らなければいくつでも無料で受験することができます。

「じゃあ落ちてもいいように10つくらい受けたほうがいいのでは?」と思うもいるかもしれませんが、2-1の試験科目で説明したとおり、受験先によって出題科目や出題数が異なります。

そのため、あまりにも併願してしまうと、それだけ多くの科目を勉強しなければならなくなり対策が大変になります。
ですので、試験科目が被っている4〜6つくらいを受験するのが望ましいと言えるでしょう。

併願先を決めるポイント

併願するポイントは、例えば国税専門官のように専門的な試験を目指すのでない限り、「いかに合格できるか」を考えるべきでしょう。

実際に、国家公務員、地方公務員関係なく日程が被らなければとにかく受験するケースが多いです。(福祉がやりたい!などやりたいことで決めてもどうせ異動になるので考えてもあまり意味がありません)

とはいえ、先述のとおり、むやみに併願をすると試験対策が大変になってしまうため、一次試験の科目に注目すると良いでしょう。

  • 教養試験だけなのか専門試験もあるのか
  • 追加で対策しなければならない科目はどの程度あるか

こうした視点で、いかに効率的に学習できるかを考えて併願先を探すと良いでしょう。




2-5.絶対に確認!年齢要件について

公務員試験で非常に重要な点として、いずれの試験を受ける場合にも年齢制限があります。これをクリアしなければそもそも試験を受験することすらできません。

「自分は歳がいってしまっているから公務員になれないだろうか?」

そのように考えてしまっている方もいるかもしれませんが、ご安心ください。

国家公務員の場合、受験翌年の4月1日での年齢条件はおおむね30歳と比較的若めですが、地方公務員の場合は自治体により幅があり、30歳以上でも受験できるところが増えてきています。

中には59歳(実質的に上限なし!)という市役所もあるので、諦める前に一度チェックしてみましょう。

年齢制限はほぼない!30歳以上でも受けられる公務員試験はたくさんあるの記事を参考にご覧ください。

また、民間企業等で数年間の勤務経験がある方はある程度年齢がいっていても「経験者採用」という枠で受験することができます。詳しくは社会人が受験できる公務員試験の内容と採用後の待遇についてをご覧ください。

ただし、年齢的に受験できるとしても、「なぜ今公務員を目指すのか」ということを面接では相当突っ込まれることが予想されるので、注意が必要です。

特に、職歴がない方や、アルバイトなど非正規社員として働いていた方は十分な対策をするようにしましょう。

※以下の方は公務員としての適正を欠くとのことで、受験はできませんが少数のため参考程度に載せておきます。① 成年被後見人または被保佐人(準禁治産者を含む)
② 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行までを受けることがなくなるまでの者
③ 公務員としての懲戒免職の処分を受け、その処分の日から2年を経過していない者
④ 日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入した者このほか、「日本国籍を有しない者」は国家公務員試験は受験できません。地方公務員の場合は、自治体によって異なります

2-6.公務員試験の難易度は偏差値じゃないから気にしないこと!

巷にはよく公務員試験の難易度ランキングなるものが存在しています。

大学受験を経験された方であれば馴染みの深いものですが、公務員試験については基本的にそういったランキングはあてにしないほうがいいでしょう。

というのは、大学受験は単純に「偏差値」というわかりやすい指標で判断することができるため、試験が難しいほど偏差値が高い(難易度が高い)ということができます。

しかし、公務員試験は筆記試験だけでなく面接試験も重視されているので、筆記試験でいくらいい点数を取っても採用に至らないケースはいくらでもあります

次のような2人がいる場合、どちらが優秀かを判断することは難しいのはお分りでしょう。

  • 筆記試験が満点だったが面接が苦手で不合格だった人
  • 筆記試験の点数は低かったければ面接が得意で合格した人

公務員試験はこうしたことが往々にして起こるものです。こうしたことを難易度としてランキング付けできるはずがありません。

このように、公務員試験に最終合格するには様々な要素が含まれているので、単純に試験が簡単・難しいという基準で受験先を決めるのはやめておくべきです。

とはいえ、国家総合職と裁判所事務官総合職は、ずば抜けて難しいのは事実です(衆議院事務職員なども合格率の面では難しい部類に入りますが採用数が少ないためここでは割愛します)。

前者はいわゆる官僚になる人(キャリア組とも言います)が受ける試験であり、後者は院卒生を対象とし司法試験組が受験するような試験となっており、ともに高学歴かつ勉強ができる受験生が多数占めており公務員試験の中でも最難関の試験となっています。

国家総合職および裁判所事務官総合職以外では、国家公務員は筆記試験のウエイトが高く、問題レベルも高い傾向にあります。

一方、地方公務員の場合は大きい組織(都道府県レベル)は筆記試験がやや難しい傾向にあり、小さい自治体(市区町村)は易しめな傾向があります。

しかし、試験に合格したいからという理由で試験の易しい自治体を受けるというスタンスはおすすめできません
なぜなら前述のとおり公務員も面接重視の傾向となっているため、たとえ筆記試験に合格できたとしても最終的に内定をもらえるかどうかはわからないからです。

一般的に筆記試験のレベルが低いところほど受験者が集まり、また民間併願者や現在民間企業で働いている人なども受験することも多いことから面接のレベルは高くなります。

勉強だけしてきた人に比べ併願者や社会人のほうがコミュニケーションのレベルはもちろん高いので、そのような受験生と戦わなくてはならないということを覚えておいてください。

倍率についてはどう考えるべきか?

試験の難易度と一緒に考えられがちなのが倍率ですが、試験全体の倍率に関してはあまり気にしなくてもいいかと思います。

「え?!倍率は重要でしょう!」と思われるかと思いますが、もちろんそもそもの採用人数が少なく、数十倍や数百倍になる試験は採用されるのは難しいと思います。しかし、一次試験から最終合格までの倍率が10倍ぐらいであればそれほど恐れる必要はありません。

10倍というとすごい倍率のように見えますが、それほどでもないです。

なぜなら公務員試験は無料で受験できるため記念受験組が多いです。きちんと勉強している人だけで考えれば実質の倍率はかなり低くなるはずです。

逆に面接の倍率が高い試験や3次試験や4次試験のように面接回数が多い試験(小さい自治体に多い)は人物重視の傾向が非常に強いため、いくら面接が得意でも合格は難しくなってくるので要注意です。

そこの自治体出身でない人や勉強が得意な人はまずは試験日の早い国家公務員や都道府県、政令指定都市を狙っていくといいでしょう。

公務員試験の倍率については、公務員試験の倍率と知っておくべき対策についてをご覧ください。

2-7.公務員試験の勉強時間もあまり気にする必要はない!

よく「公務員試験に合格するには何時間勉強すればいいですか?」と聞かれますが、これについて明確な答えはありません。

聞かれたら「やれるだけやってください」と言うだけです。

公務員試験に合格するのに必要な勉強時間は大卒レベルの行政職試験であれば1000〜1500時間と言われており、一般の人であれば半年〜1年勉強すれば受かる試験ではあります。

ただ、公務員試験は試験科目が膨大であるため、以下の内容に大きく左右されます。

  • 大学受験で何の科目を選択したか
  • 得意・不得意科目は何か?
  • 大学の専攻は何か
  • 受験する試験に専門試験があるかどうか

大学受験でセンター試験の勉強をしていた人のほうが有利になりますし、大学で経済学や法律を専攻していると比較的スムーズに学習を進めることができます。
また、主要科目に苦手意識があればその分余計に時間がかかりますので、あくまで勉強時間は参考程度に考えておくべきです。

勉強時間については公務員試験合格に必要な勉強時間について知っておきたいことでもまとめていますので、気になる方は参考にしてください。

こうしたことから、司法試験や公認会計士といった超難関試験に比べれば合格しやすいですが、宅建や簿記2級のようなメジャー資格よりははるかに難しいものであることは間違いありません。

とはいえ、半年〜1年もの間ずっと勉強をし続けなければなりません。どうしても怠けがちになるでしょう。
特に勉強の習慣がない人にはつらいかと思いますが、こちらの習慣化のコツの記事では、どうしたら習慣的に続けることができるかを紹介していますので、諦めグセのある人はぜひご覧ください(別サイトに飛びます)。




3.試験に合格するための具体的な対策方法

ここからは試験に合格するために必要なことをお伝えしていきます。

3-1.いつから勉強を始めればいい?

まずはいつから勉強を始めればいいか、について考えましょう。

もしかしたら「早ければ早いほうがいい」と考えている人も多いかもしれませんが、個人的にはそれは微妙なところです。

中には大学1年や2年のときから勉強を始めている方もいますが、国家総合職のような超難関試験を受験するのでなければ試験の1年前からの勉強で十分だと考えます。

なぜなら試験までに2年も3年も勉強すると必ず「中だるみ」をしたり「覚えたことを忘れる」ということが発生するからです。

上記でお伝えしたとおり、公務員試験は1年間しっかりと勉強をすれば合格することができる試験です。ですので、長期間だらだらとやるよりは1年間で集中して勉強したほうがはるかに効率的です。

また、大学1年や2年の間はしっかりと遊んだり、部活やサークル、バイトなどの課外活動にも専念しておくべきです。

なぜなら、繰り返しお伝えしていますが、公務員試験は面接試験も非常に重要です。

公務員試験の勉強ばかりしていると「学生時代頑張ったこと」について言えないばかりか、大人とのコミュニケーションすらうまくいかなくなってしまいます(面接試験だけでなく就職してからも困ります)。

特に公務員試験を受験する人はコミュニケーションが苦手な方が多いので、試験までに余裕がある方はいろんな経験をするようにしてください。

特に地方公務員試験は面接の比重が大きいため、勉強ばかりできても採用されることは難しいです。

こうしたことから、あまり早く始めても後々困ることにもなるため、1年前くらいから集中してやるのがおすすめです。

逆に時間がない場合はどうすべきか?

「試験まで3ヶ月くらいしかないけどどうにかなりますか?」という質問を何度もされますが、これも上記でお伝えしたように、その人が「これまでどれくらい勉強してきたか」「今何を専攻しているか」「受験先の科目は何か」で合格可能性は大きく変わります。

正直、試験まで3ヶ月程度しかない場合、よっぽど頭のいい人でなければ「大丈夫」というのは難しいでしょう。

特に問題となるのは「数的処理」です。

この科目は全ての試験で多く出題される主要科目でありながら苦手とする人が多いので、これを他の科目も勉強しながら3ヶ月以内に習得するのは相当難しいと言えます(1年かけて勉強しても苦手な人は多くいます)。

そのため、もちろん受験することは問題ないですが、少し余裕のある日程の試験や次年度の試験を視野に入れることをおすすめします。

ただ、時間がない方は戦略を考えることは重要です。詳細は公務員試験に3ヶ月〜半年の短期間で合格する勉強法をご覧ください。

3-2.勉強を始める前に学習スケジュールを決めよう!

膨大な試験科目をこなしていくには闇雲に勉強をするのではなく、優先順位が必要となります。
それぞれの科目についての学習イメージを掴んでいただけるよう説明していきます。

学習の全体スケジュールは以下のようなイメージになります。

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受験先によって必要ない科目もあるので全ての方に該当するものではありませんが、一般的には以下のようなスケジュール感で学習を進めていけばよいでしょう。
以下では、主要科目についてどのように学習を進めていけば良いか説明していきます。

数的処理

繰り返しになりますが、数的処理は非常に重要な科目であり、公務員試験の勉強を始めたらまず取り掛かるべき科目です。

毎日勉強し、パターンを身につける必要があり、できれば本試験の1年くらい前から少しずつ勉強していくことが望ましいでしょう。

公務員を目指すと決めたのであれば必ず毎日学習し体に覚えこませることです。
数的処理は、特に文系の方は苦手とする人が非常に多いので決して甘く見てはいけません。

公務員試験の数的処理が苦手な人が知っておくべき勉強法に苦手な人向けの勉強法を解説しています。

憲法・民法・行政法

いずれも重要な科目ですが、まずは憲法に取り掛かりましょう。
憲法は学習しやすい科目であり、憲法の知識は民法や行政法のベースとなるからです。

民法と行政法は非常に学習量が多いため、なるべく早めに憲法を終わらせるようにしましょう。

憲法は数的処理と同時期くらいに学習を始めることをおすすめします。憲法が一通り終わったら民法、行政学と進めていきます。

これらの科目で最も難しく苦手とする人が多いのは民法でしょう。

民法は出題範囲が広く、知っておくべき条文が非常に多いため対策が難しい科目です。

逆に言えば、民法を得意にできれば、他の受験生と大きく差をつけることができます
また、民法を得意とまでは言えなくても、足を引っ張らないレベルまでもってくることはとても大切なのです。

民法の勉強方法については公務員試験の民法を得点するために押さえておくべきことを参考にしてください。

経済原論

経済原論は「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」に分かれますが、まずはミクロ経済学から取り掛かります。

経済学は慣れない専門用語が多く、数式やグラフの出題が多いため、数学が苦手とする文系の方が非常に苦手とする科目です。
また、法律科目に比べて内容を理解するのに時間がかかるため、なるべく早めに着手することが望ましいです。

ミクロ経済学については、捨てるのはもったいない!ミクロ経済学の勉強方法についての記事を参考にしてみてください。


ここまでは公務員試験における「主要科目」というもので、最初にまず学習すべき科目です。いずれもどの試験でも出題数が多く、多くの勉強時間が必要なため早めに攻略するようにしましょう。

 

以下は、これら主要科目の学習がある程度進んでから取り掛かるようにします。

文章理解

文章理解は「現代文」「英文」「古文(自治体によって)」が出題されますが、出題数が多いためなるべく早めに着手することがおすすめします。

大学受験で英文や現代文を読み込んだという方であれば、それほど早くに対策する必要はありませんが、そうでない方はまず文章に慣れることが大切です。

特に英語にアレルギー反応がある人が多く捨てる人もそれなりにいますが、毎日1問でもいいので少しずつ解いていき、感覚を身につけることをおすすめします。

人文科学・自然科学

人文科学は日本史・世界史・地理・思想・文学・芸術、自然科学は、数学・物理・化学・生物・地学で、高校で学ぶ理系科目です。
多くの場合、年明けから2月くらいから学習を進める場合が多いです。

というのも、特に専門科目が必要な試験を受ける場合、それらの対策に時間を取られるため、これらの科目まで手が回らないからです。ある程度学習が進んでから取り掛かるようにします。

科目が膨大ですので、すべての科目を一から勉強するのはあまりにも非効率的です。そのため、受験先の出題数や科目を見て必要な科目で、かつ頻出の分野を勉強するようにしましょう。

特に、大学受験であまり勉強をしてこなかった方は苦労を強いられる科目ですので、苦手意識のある科目はそれなりの対策が必要です。

受験する試験によっては捨て科目を作ることも可能で、思想や文学・芸術、数学や物理・化学を捨てる人はそれなりにいます。その代わり他の科目でしっかりと得点できるようにしましょう。

政治学・行政学・財政学・社会学・経営学

これらの科目はいわゆる「学系」科目と呼ばれており、内容としては暗記が中心で比較的得点しやすい科目です。教養科目や他の専門科目とかぶる分野でもあるため年明けに同時に勉強を進めていくパターンが多いです。

受験先によって出題科目や出題数が異なるため、優先順位を決めて学習を進めていきましょう。

また、国家一般職の試験では政治学と経営学が非常に難易度が高いため、併願する試験との兼ね合いを見て科目を選ぶなど工夫が必要です。

時事対策

多くの人が苦手とし、なんとなく対策をしているのがこの時事対策です。

しかし、どの試験でもそれなりの出題数があり、全出題数の割合の5〜20%ほども出題されるため決して侮れない科目です。

内容は、社会事情や経済事情、法改正や最新判例などで、他の科目と関連する科目ともいえます。

直前期に「速攻の時事」(時事対策で鉄板の参考書)をひたすら暗記をし、日頃から新聞やニュースをチェックしてアンテナを張るようにしておくことが大切です。
また、模試を受けることで速攻の時事ではカバーできない知識をインプットするようにすることをおすすめします。

小論文・面接

教養科目や専門科目の勉強に追われ、対策がおろそかになるのが、この小論文と面接対策です。

繰り返しになりますが、公務員試験は小論文や面接対策の比重が大きく、これらの点数が低いと不合格になる可能性が非常に高くなります。そのため、必ずしっかりと対策を進めるようにしましょう。

直前期に対策する場合が多いこれらの科目ですが、文章を書くのが苦手な方や、面接が苦手と感じる方は年明けから少しずつ始めるなど早期の対応が必須となります。

なぜなら、論文と面接対策は暗記科目とは違い短期で習得するのが難しいからです。
特に面接はその人の「コミュニケーション力」が試される試験ですので、これまでの人生で積み重ねてきたものを短時間で変えることは不可能です。

少しでも不安のある方はなるべく早めに(できれば年明けくらいから)対策を進めるようにしましょう!

小論文と面接対策については以下の記事が役に立ちますのでご覧ください。

その他の科目

上記で説明した科目でほとんどの試験は対応できますが、会計学や商法、刑法、国際法など、受験先によっては学習が必要になる科目があります。

ですが、まずはここまで説明した科目をきちんと対策し、それ以外の科目については試験が近づいてきたら他の科目の進捗を見ながら勉強を進めていけば良いでしょう。

このように公務員試験は科目が非常に膨大であるため、優先順位を考え、しっかりとスケジュール感を持って勉強を進めていかないと試験に間に合わず、試験本番で得点できないという事態に陥ってしまいます。

「なんとかなる」と思っている人ほどなんとかならない場合がほとんどです。決して甘く見ず、公務員を目指すと決めたらすぐに勉強を始めましょう。

3-4.過去問を制す者は試験を制す!

やはり公務員試験に合格するためには過去問をこなすことが重要です。

予備校で使う問題集であれば、あまり奇問や悪問は載っておらず各カテゴリで比較的よく出る問題が中心なので、基本的には予備校の問題集をマスターすればほとんどの試験に合格できます

予備校に行かない場合でも、とにかく過去問を解いていくことが重要です。

過去問をこなすという勉強はあらゆる試験に共通するものです。TOEICや簿記などの資格試験の勉強をした方であればわかるかと思いますが過去問はとても大切です。

「過去問を制するものは試験を制する」とまで言われてますから、公務員試験の勉強をする=過去問を解く、という認識でいても過言ではありません。

独学の方でも方法は同じで、市販の過去問が掲載された問題集を買い、とにかく解けるように何度も回してください。

ただし、過去問集として「スーパー過去問(スー過去)」が有名ですが、いきなりそのようなガッツリとしたものに取り掛かっても解説の簡素さや問題数の多さで挫折します。

独学で初学者の方は以下のステップで進めると無理なく身につけることができるでしょう(アウトプットが重要な数的処理などは2から始めてもよいかもしてません)。

学習ステップ

  1. 易しめのテキストで一通り理解(完璧に理解する必要はありません)
  2. 易しめで解答が充実している問題集で基礎を身につける
  3. それからスー過去などで数をこなす
  4. 問題を解き間違ったものについては解説を理解し、テキストで該当の箇所を確認する

注意点として、公務員試験は難問が解けなくても基本〜標準問題が解ければ合格できる試験なので、解説をいくら読んでもわからない問題は後回しにしてください。

まずは基本的な問題を解けるようにする、というのを必ず意識するようにするべきなのです。

落ちる人ほどいろんな問題集に手を出したり、分からない問題に何時間もかけてしまったりする傾向にあります。

また、注意したいのは過去問が解けるということと、解答を覚えるということは違うということです。

よくあるのが、「過去問を何度も解いたけれど初見の問題が解けない!」というケースです。
これは、過去問を繰り返した結果、答えをなんとなく覚えてしまったというパターンです。

過去問を解くときには、「なぜその答えを選んだのか?」という自問自答を常にしていき、理解をしながら進めていかなければ何の意味もないのです。

過去問の解き方について詳しくは公務員試験合格に必要な正しい過去問の解き方のすべてをご覧ください。

予備校に通うにせよ独学にせよ、基本は過去問をきちんとこなすということ覚えておきましょう!

3-5.「独学でも合格できるよ」に騙されないように

試験科目の多い公務員試験はただやみくもに勉強を続けても合格は難しいことはご理解できたかと思います。

独学で合格する人もいますが、「自分も独学でいけるかも?」と考える人が後を絶ちません。

しかし、2-7の勉強時間のところでもお伝えしたとおり、公務員試験の合格はその人のこれまでの学習量などに大きく依存します。

端的に言うと、勉強が得意な人は独学でも合格するでしょうし、苦手な人は難しいでしょう。

もちろん中には「落ちこぼれからでも独学で合格できた」という人もいるかもしれませんが、少ない成功例を参考にあなたがその通りにやることはおすすめしません。判断は自分で行うものですので、他人のそうした声に騙されてはいけないのです。

予備校や塾に通うことのメリットについて

上記の理由以外でも、個人的には予備校や個別指導の塾に行くことをおすすめしています。理由は次のとおりです。

予備校や塾に通うメリット

  • 出題傾向をつかめるため無駄な勉強を省くことができる
  • 学習ペースは予備校に合わせていればよい
  • モチベーションを維持することができる
  • わからないところをすぐに聞くことができる
  • 面接対策や論文対策は独学はほぼ不可能

以下でそれぞれについて詳しく説明します。

出題傾向をつかめるため無駄な勉強を省くことができる

独学で勉強をすると市販の参考書と問題集を進めていくことになるかと思いますが、そうするとどういった部分が重要かどうかが自分では判断しづらくなります。

受験先により出題傾向や難易度は全く異なります。しかし、市販の問題集は難易度の高い問題や出題数の少ないジャンルも全て網羅しているため問題集を初めから全部解いていくのは非常に効率が悪く時間の無駄です。

ただでさえ科目が多い公務員試験なので、「できる限り効率よく勉強を進める」ことが重要となります。

予備校に通い勉強をすると、「この問題は難しいから国家総合職志望者以外は解けなくていい」といったことを言ってくれます。

こうした情報というのは独学ではなかなか得ることが難しいでしょう。

学習ペースは予備校に合わせていればよい

科目が膨大な公務員試験はスケジュール感を持って勉強を進めることが重要だとお伝えしましたが、予備校に通うことで自分でほとんどスケジュールを考える必要がなくなります

予備校は、「国家一般職・地方上級合格コース」のように、その試験に合格するためのカリキュラムがパッケージになっているのが一般的です。

そのため、試験日までに学習すべき内容についてあらかじめスケジューリングされているため「何から勉強すればいいのだろう?」と考える必要がありません。

先述した、一般知能と憲法から学習を始めるべきというのも予備校であれば当たり前のようにそうしたスケジュールになっているはずです。
そして次に学習すべき科目も決まっているので間違った優先順位をつける不安もなくなるということなのです。

モチベーションを維持することができる

勉強を進めていく上でモチベーションを維持することはとても重要です。

公務員試験の勉強は半年から1年という長丁場であるため独学だとモチベーションが低下してしまう可能性は非常に高いです。

毎日毎日図書館やカフェに行って問題集を解く、というのを1年間続けることができますか?

もちろん「できるよ!」という人もいるかと思いますが、多くの方にとってこうした生活は難しいのではないかと思います。

また、予備校に通うことで公務員を目指す仲間ができます。勉強を進める上では仲間がいることはとてもいい刺激になり、ふとやる気がなくなったときでも息抜きに話をしたりすることでモチベーションを保つことができます。

わからないところをすぐに聞くことができる

独学で問題集を解いていたら必ず解説を見てもわからない問題が出てきます。

そうしたときに一人で悩んでいるのは時間の無駄ですし、そもそもその問題が解ける必要があるのかどうかもわかりません。

先述のとおり、市販の公務員試験用の問題集にはあらゆる試験の問題が載っているため、例えば国家総合職の問題などは難易度が非常に高く人によっては解けなくてもいいのです。

また、科目内で頻出分野というものがあるため、時間のない受験生は問題や分野の取捨選択も必要となります。

つまり、わからない問題について聞くということ以外に、その問題や分野をやるべきかどうかということも聞くことができ、無駄な時間を減らせるというメリットがあります。

ちなみに、集団授業だと質問がしづらいという人は個別指導の予備校や塾を利用すると良いでしょう。大手だから良いと思わずに、必ずいろいろ話を聞き自分に合った予備校を選ぶようにしてください。

面接対策や論文対策は独学はほぼ不可能

何度もお伝えしてますが、公務員試験が面接重視の傾向となるため筆記試験後にはしっかりとした面接対策を必ず行う必要があります。
また、論文試験も地方公務員の試験では比重が高い傾向にあるため、それなりの対策が必須です。

面接対策は、入室方法や志望動機の考え方など基本的なことは市販の本である程度カバーできるものの、独学の対策では合格のレベルかどうかを判別することは不可能であるため模擬面接などによる対策が必要です。

志望理由が説得力があるものか、気になる癖や話し方でないかなどは自分では絶対に分からないため、他人に評価してもらわなければならないです。

論文対策も同様です。自分の書いたものが合格レベルかどうかは自分では判断がつかないため、講師によるフィードバックが非常に重要です。

 

このように予備校や塾などに通うメリットは多くありますが、かかる費用として20〜30万円前後と決して安くはないため独学で勉強を進める人もいます。

しかし、数十万をケチって1年を棒に振ることを考えると決して高くはないはずです(1年早く公務員になったら給料、生活費等考えると数百万の差が出ますよね)。

もちろん予備校に通ったからといって必ず合格するわけではありませんが、合格可能性を高くすることができる投資だと考えれば良いでしょう。

なお、大手予備校のような集団の授業を行うところと、マンツーマンでの個別指導を行うところがあります。
それぞれメリットデメリットがありますので公務員試験対策、予備校か個別指導どっちがいい?詳しく解説しますの記事でどちらがよさそうか確認してみてください。

なお、まずは独学で始めたいという人は参考書選びがとても重要になってきます。正しい参考書選びが合否を決めると言っても過言ではありません。

参考書については大手予備校講師おすすめ!公務員試験で使える参考書まとめで主要科目については紹介していますので参考にしてみてください。

そして、独学の場合、どのように勉強を進めていくかを自分で考えなければならないため、これまで受験勉強などをしたことがない人にとっては大変であることは間違いありません。

直前になって慌てて予備校に行こうとしても受け入れてくれるところはほとんどありません。

ASK公務員でも直前期に数的処理が分からないと駆け込んでくる方が多くいますが、短期間ではどうにもならないのでお断りしています。

直前に焦っても手遅れです。早いうちに本当に独学で進めていくべきかどうかを判断するようにしましょう。




4.「楽そう」「安定してそう」だから公務員を目指す方へ

さて、ここまで読んでいただいた方は公務員試験の全体像についてなんとなく掴めどのように勉強をしていけばいいのかということがわかったかと思います。

しかし、そもそも「なぜ公務員を目指したいと思ったのか」ということをよく考えてください。

  • なんとなく楽そうだから?
  • 一生安定で福利厚生もしっかりしているから?
  • ワークライフバランスでアフターファイブを満喫したいから?

いずれも公務員を目指す人が言いがちな台詞ですね。ですが、考え方としては甘すぎます。

確かに福利厚生はしっかりしているのは間違いないですが、それは民間企業でも公務員以上に福利厚生が整っているところもあります。

また、一生安泰かというとそうとは言えないかと思います。自治体によっては財政状況の悪化に伴い人員削減(採用数の抑制)を進めているところがあります。

そうすると給与の削減だけでなく、既存の職員の仕事量が増えていき残業せざるをえない状況になります。

最近ではAIの導入に伴い事務職の仕事がなくなるとまで言われていますね。そうすると既存の職員をクビにすることは難しいので、採用を抑制し、しわ寄せがくるのは若手の職員です。

また、よく「省庁の官僚は毎日朝方まで仕事だけど地方公務員は楽でしょ?」なんて聞かれますが、そんなことは全くありません。

正確に言うと、楽な部署もあるけれど、毎日終電まで仕事が当たり前という部署もある、という状況です。

税金の取り立てのような仕事もありますし、住民からの理不尽なクレームにも耐えなければならず強いメンタルが必要であり、決して楽な仕事ではありません。
公務員の休職率は非常に高いことはご存知でしょうか?(もちろん休職できるという環境だからというのもありますが)

民間でもそうですが、大変な部署とそうでもない部署があるだけであり、一概にどうというのは難しいのです。

それでも「公務員として働きたい!」という人は目指せばいいと思います。

自分が公務員として何がしたくて、何ができるか

このあたりをよく調べ目指しましょう。そうすれば面接の際の志望理由としても使えます。

とにかく楽がしたい、安定したい、という気持ちでは入庁してから現実を知りつらい毎日を送るだけなので、勉強を始める前に「公務員になって何がしたいか」をよく考えてから取り掛かることをおすすめします。

もっと公務員の大変さについて気になる人は以下の本を読んでみましょう。

公務員入門―「不況の時はやっぱり公務員」のウソ・ホント

本書は「公務員志望者は読んではいけません!」というほど公務員の実態について書かれている本です。
公務員の制度の仕組みを知りたい人や公務員に幻想を抱いている方にはぜひ目を通してほしい一冊でもあります。

まとめ

「全解説」とは言ったものの、ここで全てを知ることは不可能です。それほどに公務員試験というのは多種多様であり、勉強方法も人によって異なるということです。
しかし、受験する試験はほとんどの人が同じです。大卒であれば国家一般職や地方上級試験、東京都・特別区などをベースとし、あとは日程などを見て受けたいものを受けるといった感じです。

公務員を目指すと決めたらまずは一次試験突破のために「すぐに」勉強を始めてください。一部の人を除き短期間で受かるほど甘い試験ではありません。

ですが公務員試験レベルの試験に何年もかかってはいけません。

必ず1年以内の合格を目指しましょう!そのためには効率よく勉強を進めていくようにしましょう。

そして、仕事についてもよく知り、「本当に公務員になりたいのか」を自問自答することをおすすめします。

公務員試験の論文対策を独学で対策するには?注意点や頻出テーマも紹介

以前に比べ、論文試験も分かりやすい教材が多く出版されていたり、公務員試験合格のためのノウハウがあちこちに転がったりしているため独学でも対策しやすくなっています。

「論文対策はしなくても大丈夫」という人もいますが、それは絶対に避けるべきです。その人は大丈夫だったかもしれませんが、一般的に対策をせずに合格ラインに届く人はごく少数だからです。

とはいえ、実際には論文対策を独学で進めることに不安を抱く方が結構多いのはないでしょうか?他の科目と違い、暗記で対応できる部分が少ないイメージがあるからだと思われます。

また、論文はセンスがないと書けないという方もいらっしゃいます。

しかし、十分に対策することで、センスは関係なく合格点を取ることはできます(論文でライバルと差をつけるのは難しいので、最低ラインを目指せれば良いです)。

とはいえ、間違った方向で勉強を進めていてもなかなか合格ラインに到達することはできません。

本記事では、独学で論文対策を検討している方へ向け、どのように学習を進めていけば良いのかを解説します。

1.公務員試験の論文対策を独学で進める方法

まずは具体的な学習方法についてお伝えします。

1-1.論文の書き方の「型」を理解する

公務員試験の論文対策では、まずは論文の書き方の型を覚えることが重要です。

例えば、「結論→問題の背景→問題の解決策→解決策の普及策」のような答案の大まかな流れや、禁則処理などの原稿用紙の使い方のルールなどです。

論文にはいくつかの作成ルールが存在し、そうしたルールが守られていない答案は減点の対象となってしまうので必ず覚えるようにしましょう。

また、型を理解することで以下のようなメリットがあります。

  • 論理の流れがわかりやすい答案を書きやすくなる
  • 毎回同じ型にはめて書くので、書くのが速くなる

型がしっかりできていないと、まともな論文を書くのは非常に難しいです。

ですので、最初に論文の型をしっかり学んでください。

公務員試験の論文の型を知るには以下のテキストがおすすめです。

本書は公務員試験の論文の型がまとめられており、テーマごとに紹介されている型に当てはめて書いていくことで良い答案が作成する練習ができます。また、良質な模範解答が載っているので、インプットにも最適です。

1-2.論文で問われるテーマについての知識をインプットする

公務員試験の論文の型を覚えたら、論文で問われるテーマに関する知識をつけていきましょう。

ただし、論文試験のテーマの範囲は決まっているわけではないので、全てのテーマについての知識をつけようとしてもキリがありません。他の科目の勉強もあるので、そこまで論文対策に時間を割くことも難しいでしょう。

そのため、ある程度対策するテーマの数を絞ることが効率的です

頻出と言われるテーマを抑え、余裕があれば過去問などを参考に、できるだけ対応できるテーマを増やしていけばよいでしょう。

テーマに関する知識をインプットするには本書がおすすめです。

こちらは毎年改定されており、公務員試験の論文の最新テーマに関する知識を身につけることができます。ただし、量が膨大なので、優先順位をつけて必要な部分をピックアップして使っていきましょう。

また、公務員試験の論文で問われやすいテーマの一部をご紹介しますので参考にしてみてください。

少子高齢化問題 公務員試験論文の王道のテーマです。絶対に抑えておきましょう。
ワークライフバランス ワークライフバランスは他の様々なテーマと結びつきがあるので、やはり頻出なテーマです。必ず抑えるおきましょう。
地域活性化 地域コミュニティの弱体化が問題視されている背景から、解決策を求められることが多いです。
災害問題 日本は災害の多い国なので、災害問題に関するテーマや解決策の提示は頻出のテーマです。
環境問題 日本の問題というよりは世界規模の問題ですが、公務員試験の論文のテーマとしてよく取り扱われます。
情報化社会 SNSの発達などが背景で、情報化社会のメリットだけでなくデメリットも浮き彫りになってきました。
そんな背景から、今後も出題は継続されると思います。
ボランティア 社会保障の限界からボランティアの重要性が高まってきており、公務員試験の論文のテーマとしても出題されやすいです。
外国人受け入れ問題 日本の労働人口が減っている背景や、東京オリンピックの開催に関連づけて出題されることが多いです。
自転車放置問題 特別区など放置自転車が多い地区では出題されやすいです。
空き家問題 特別区など空き家問題が顕在化している地域では出題されやすいです。

1-3.論文試験の模範解答をたくさん読みこむ

論文試験対策として、実際にとにかく論文をたくさん書くことが必要だと思われるかもしれません。

実際に書くことよりも大切ですが、模範解答の読み込みも非常に重要です(もちろん質の良い模範解答でなければいけませんが)。

「よい答案」が何か分からず、漠然と論文を書いてもなかなか上達しません。頭の中にインプットされた情報がないのにアウトプットをすることは難しいでしょう。

質の良い模範解答をたくさん読み込むことで、自然と論文の基本となる型、テーマに関する知識が頭の中に入ってきます。インプットすることで良質なアウトプットができるのです。

論文試験も他の科目と同様、ある程度の暗記が重要になってくるということは頭に入れておきましょう。

そしてこうした点が、論文対策は独学でも対応できる点でもあるのです。

1-4.模試で実際に論文を書いて第三者に採点してもらう

模範解答を読み込むことが重要とはいえ、一度も書かないのは流石におすすめしません。

ですので、できる限り模試を受けたりすることで、論文を書いて予備校など専門の講師から添削をしてもらいましょう。

第三者に見てもらうことで、誤字脱字や主語と述語のねじれ、テーマに対する解答とずれている、といった自分では気がつかない部分について指摘をもらうことができるので精度を上げることができます。

なお、ASK公務員の「オンライン添削」では論文の添削および合格のためのポイントを詳しくお伝えしていますので、書いた答案を送付いただくことで添削可能です。詳しくはこちらのページをご覧ください。

添削イメージ

1-5.論文対策はいつから始めるべきか?

予備校に通っていればカリキュラムがあるので自然に論文対策を開始することができます。

一方、独学の場合はどうしても他の筆記試験の科目の勉強に追われ論文の勉強が疎かになりがちです。とはいえ論文は合否を左右する重要な科目なので手を抜くことができません。

「じゃあ、いつから勉強を始めればいいの?」ということですが、だいたい本試験の3か月前くらいから始めていくとよいでしょう。

とはいえ、これは公務員試験全般に言えることですが、全ての人に当てはまる基準というものは存在しません。

例えば、

  • 論文の配点が大きい自治体を受験する場合
  • 文章を書くことが非常に苦手な人
  • 前年受験したけど論文で失敗した人

こうした人は年明けなど早い時期から対策をする必要があります。

ASK公務員にも直前期に慌てて問い合わせをする方がいますが、一朝一夕では論文作成に必要な力を身につけるのは難しいのが実情です。

2.公務員試験の論文の勉強をする際に意識すること

論文対策は漫然と勉強していてもなかなか良い答案を書くことができません。ここでは論文たいセクではどういうことを意識して勉強すればいいかお伝えします。

2-1.知識の豊富さよりもわかりやすい答案を書けることを目指す

公務員試験の論文では政策などの知識の豊富さが大切だと思われる方がいますが、正直それほど大切ではありません。

もちろんある程度の知識がないと論文は書けませんが、受験生の知識はたかが知れていますので、そこで実力に大きな差がつくわけではありません。

本当に大切なのは、論理の流れがわかりやすい論文を書く力のことです。

わかりやすい論文とは、読み手側が「ん?これはいったいどういう意味だろう?」「この原因からなぜこういった問題が起こると言えるの?」というような疑問を抱かずにすらすらと読める論文を書けるかどうかということです。

わかりやすい論文を書くためには、上記で紹介したような本で型を覚えたり模範解答を読み込むことも重要ですが、主観ではわかりやすいかどうかという基準が分からないので、やはり書いた答案を添削してもらうことが重要になります。

2-2.なるべく速く丁寧な字を書けるようにする

採点官は人間ですから、論文の字が汚いと心象を悪くし、得点が低くなる恐れがあるので、字は丁寧に書かなければいけません。

「自分は字が汚いし…」と言われる方も多いのですが、大切なのは綺麗な字を書くのはなく丁寧な字を書くことです。字があまりうまくなくても、丁寧に書いた字は読めば分かります。

なので、普段殴り書きのような字を書いている人は、論文対策では丁寧に書くことを練習もしてみてくださ。

その一方で、試験には制限時間があるので、ゆっくり字を書く余裕はありません。そのため、普段からなるべく速く丁寧な字を書けるように練習することも必要になります。

特に最近ではスマホやパソコンをメインに使用しているので、字をそもそも書く機会もほとんどないかと思います。だからこそ、こうした基本が非常に重要になるのです。

速く丁寧な字を書く力はすぐに身につくものではないので、普段字を書くたびに意識するとよいでしょう。

速く丁寧な字を書けるようにすることで、試験本番で答案構成にかけられる時間も長くなるので、一石二鳥です。

3.まとめ

公務員試験の論文を独学で対策する方法についてお話させていただきました。

再度言いますが、公務員試験の論文は独学で合格点を取れるようになることは可能です。

ただ、努力の方向性を間違えないように(闇雲に様々なテーマに関する知識をインプットするなど)していきましょう。

▼参考記事

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