筆記試験対策

公務員試験の倍率と知っておくべき対策について

公務員を目指そうと思ったときに気になることとして倍率が高いと難しいのかどうか、逆に倍率が低いほど受かりやすいのか、といったことではないでしょうか。

最近は民間企業を辞めて公務員を目指す人たちも多くなっており、倍率は高い水準を保っています。

しかし、自分の目指す役所の倍率が100倍超えでは人生のリスクが大きいですね(実際に100倍を超える試験種も存在します)。
学生でも公務員を受験する場合は勉強と日程の都合上、民間企業との併願が難しくなるので倍率は気になるところでしょう。

そこで今回は、主要な公務員試験種(主に大卒程度公務員)の倍率についてどのように考えれば良いか、そしてどのような対策をとれば良いか説明してますので参考にしてみてください。

1 地方公務員(大卒程度)の倍率と考察

地方公務員の中でも全国からの申込みがあり受験者数も圧倒的に多い(1)東京都、(2)特別区、(3)横浜市の倍率について平成27年度および平成26年度を比較しながらみてみましょう。
試験種は行政(事務)のほか、理系に人気の土木等について紹介します。

1−1 東京都

tocho-a
※参照HP 「東京都職員採用」

http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/selection/pass27.html

Ⅰ類A採用試験について

東京都Ⅰ類A採用試験は24歳~31歳の方を対象とした採用試験で、Ⅰ類Bとの併願ができますが、事務職では約12倍(H27)と地方公務員の中ではかなり高い倍率の1つになっています。H26は採用予定数が少なかったため17倍とかなり高い倍率になりました。

Ⅰ類A採用試験では、専門記述試験において相当高度な内容を出題しているため、大学院や予備校などでかなりしっかりと勉強をしてきた人が多く受験します。例年、東大院卒や偏差値の高い法科大学院卒の人、公認会計士の受験生も受験していますので、実際の競争率もかなり高いと覚悟しましょう。

一方、土木等の技術系は他の公務員試験種と変わらず約3倍で、事務職に比べ格段と低くなっています。もっとも、受験者層の筆記試験のレベルは事務職と同様に高いと考えられますので、3倍程度の倍率でも油断は禁物です。

東京都Ⅰ類B[一般方式]

tocho-b※参照HP 「東京都職員採用」
http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/selection/pass27.html

東京都Ⅰ類B[一般方式]採用試験は、22歳~29歳の方を対象とした採用試験で、Ⅰ類Aとの併願ができ大卒程度の多くの方がこの方式で受験しています。

行政区分については例年、採用予定より100名程度多く合格者を出していますが、これは辞退者を見込んでの数字になります。実際に、東京都は非常に人気が高い試験ではありますが、国家総合職や司法試験、公認会計士、民間企業の大手企業と併願する受験者が一定程度おり、その場合は東京都が滑り止めという形になります。

このように考えると、行政区分の5〜6倍の倍率は比較的受験しやすい倍率ではありますが、受験者層のレベルもある程度高くなると覚悟しておきましょう。

この一般方式には土木や心理、福祉など数多くの専門的な職種があり、中には獣医・薬剤などの専門職試験があります。
採用予定数が年度によって大きく変わり、倍率も連動して変動しますが(たとえば心理職はH27は約4倍、H26は約11倍)、これは実際に結果が出るまでは予測がつかないので、前年度の採用が少なかったとしても最初から諦めずに挑戦してほしいと思います。

獣医・薬剤については24歳~29歳で各免許を持っている方を対象としているので、専門試験ではほとんど差がつかないでしょう。なぜ行政機関である必要があるかを明確にして面接に挑んで下さい。

東京都Ⅰ類B[新方式]

tocho-b-new※参照HP 「東京都職員採用」
http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/selection/pass27.html

東京都Ⅰ類B[新方式]採用試験は、22歳~29歳の方を対象とした行政・土木・建築区分の採用試験で、Ⅰ類Aとの併願ができます。
新方式は、民間企業に流れる優秀な方を少しでも取り込もうと専門試験を廃止し、教養試験・プレゼンテーション・グループワーク・個別面接で合格者を出す方法です(土木・建築ではフィールドワークも課されています)。

行政区分では倍率が10倍を超えており難関になりますが、①大学や大学院、予備校等でしっかりと教養試験やプレゼンなどの訓練を積んでいる学生、②既に民間企業で多くのプレゼンをこなしており自信をもって受験する既卒者、③民間の就活の流れでとりあえず受験する人のタイプなどに分かれます。

プレゼンをほとんどしたことのない学生やフリーターが、とりあえず受けて最終合格するほど易しい試験ではないので、実際の倍率はもう少し低めに見積もってもよいでしょう。

なお、土木については新方式であってもそれほど倍率は高くありません。大学や企業、学会等でプレゼンテーションに慣れている方は是非受験してほしいと思います。

東京都のまとめ

行政区分はいずれも倍率が高くなっており、実際の受験層のレベルも相当高いと予測されるので万全な準備をする必要があるでしょう。

一方、土木などの技術系区分は専門職区分は、採用予定数は少ないが受験者数も少なく倍率は低めであり、筆記試験は大学の専攻と重複することが多いので行政区分に比べ負担は少なくなります。
民間企業と併願して受験してみるのもおすすめです。

1−2 特別区

tokubetuku
※参照HP 「特別区人事委員会採用試験情報HP」
http://www.tokyo23city.or.jp/saiyo/27nen_ji/1_jisshi.htm

特別区の試験は例年、東京都と同日に行われます。東京都も特別区も原則として都内で勤務できるため両方とも非常に人気が高い自治体です。

行政事務については採用予定数が約900人、実際の合格者も約1700人と非常に多く1700人の中になら入れそうと思えるのではないでしょうか。倍率も5〜7倍と比較的受験しやすい倍率といえます。

もっとも、特別区を第1希望とする受験者はかなり多いので、近年では最終合格したものの採用漏れの事態に陥る合格者も発生していることに注意してください。

なお、受験者層については、学力に自信がある受験者が同日試験の東京都に流れることも多いため、筆記試験だけでいえば特別区は東京都よりは受験しやすい傾向にあります。

しかし、特別区の場合は東京都という土地柄、全国から受験者がやってきます。決して都内在住もしくは都内の大学生のみの闘いではないということは意識しておきましょう。

土木造園や建築などの技術系、福祉職、保健師などの専門職は約2〜3倍となっておりこちらも受験しやすい倍率です。

しかし、たとえば福祉職や保健師などは、大学での専攻が同じで全員が学業・実地研修などを経ているため、「みんなよくがんばっている」という感じでなかなか差がつきません。

したがって、実際の倍率以上に、内定を勝ち取るためには筆記も面接もかなりしっかりと準備をして挑む必要があるでしょう。

特別区のまとめ

合格者数が非常に多く、倍率も5〜7倍(行政事務)と比較的受験しやすい基礎自治体であるといえます。
東京都と縁もゆかりもない人でも受験して最終合格しています。

しかし、近年最終合格しても、採用されなかったという合格者(採用漏れ)も発生しているので、できるだけ高い順位で合格することを意識する必要があります。

1−3 横浜市

yokohama
※参照HP 「横浜市職員採用案内」
http://www.city.yokohama.lg.jp/jinji/daigaku/dai-kekka.html
※注意:倍率について公表されていないため、公表データの中から「1次受験者数÷合格者数=倍率」として算出しています。

横浜市も東京都や特別区同様、人気が高い基礎自治体です。地元以外の方も横浜に憧れて受験するため、事務職の倍率は8倍とやや高めになっています。

筆記試験については、東京都・特別区とは重複しないため、これらと併願する受験生も相当数います。実際に、申込者数は行政については例年3000名超えと高い数字になっています。

もっとも、1次試験日が6月末になるため、すでに東京都や国家総合職等で手応えを感じている人は、申し込みをしたものの実際に受験しないこともあります。
こうしたことから、申込者数に対して実際に受験する1次受験者数が2500名程度と落ち着き、受験者層の筆記試験のレベルが極めて高くなるということはあまりないでしょう。

横浜市では市長がリーダーシップを存分に発揮し、様々な行政改革を推進していく傾向があります。また、横浜愛が強い地元受験生も多いため、面接試験ではそれ相応の準備をしないとなかなかライバルには勝てないという意識をもつとよいでしょう。

土木などの技術系は、他の自治体等と同様に2〜3倍と受験しやすい倍率です。

横浜市では「学校事務」の区分で平成27年度は42倍という倍率になっていました(平成26年は9倍です)。教育機関の人員削減等の問題はニュースでも大きく話題になるところですが、自治体単位でも採用人数が大きく変化しますので、学校事務の採用を考えている人は注意を払っておきましょう。

横浜市のまとめ

人気が高い基礎自治体の1つで行政区分の倍率もやや高めとなっています。特に面接対策については念入りに行いましょう。試験区分によっては年度によって採用人数が大きく増減するので、受験申込時にしっかりと確認することが重要です。

1−4 その他の地方公務員について

その他の地方公務員(大卒程度・行政)の倍率について、たとえば平成27年度試験の場合以下のような倍率となりました。

千葉市(行政A)・・・5.4倍
川崎市(行政事務)・・・6.8倍
札幌市(行政)・・・9.5倍
など、行政事務については概ね5〜10倍の倍率となっています。

首都圏については人気都市が集中し受験者が分散しやすい傾向にあるからか、5〜6倍と受験しやすい倍率になっています。

一方で地方の政令都市(例えば札幌市)では、近隣に大きな都市がなく、また転勤の幅が大きい道府県庁よりも基礎自治体の方が人気が高くなるため、倍率が高くなることがあります。地方では地元出身者が多く受験するので、「地元に恩返しをしたい」では当然他の受験生と差別化できないことを意識しておきましょう。

技術系や薬剤師などの専門職については人気自治体であっても1.5倍〜3倍という低い倍率であることがよくあります。理系の人は大学・大学院で勉強したことが試験内容にほぼ直結しますので、民間企業の就活と併願して公務員という選択肢を検討することもおすすめします。

みなさんの興味ある自治体の採用状況及び日程をぜひ確認してみてください。
「自治体名 採用状況」でたいてい検索できます。

2 国家総合職(大卒程度)の倍率と考察

kokusou
※参照HP 「人事院 採用情報」
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm
※注意:倍率及び1次受験者数について公表されていないため、公表データの中から「申込者数÷合格者数=倍率」として算出。

最終合格(内定ではない)までの倍率

国家総合職(大卒程度)は公務員試験の日程の中で1番最初の試験になるため、本命受験者と記念受験者の2タイプに大別されます。筆記試験(特に記述試験)の難易度から記念受験者が筆記試験で合格することはあまり少ないので、実際の競争倍率はもう少し低いといえるでしょう。

国家総合職では試験科目の内容によって区分が分かれます。「政治・国際区分」は倍率が90倍(平成26年ですら50倍)と信じられないほどの倍率になっています。
どうしても官僚になりたい人は、無難に「法律区分」や「経済区分」で受験する方がよいかもしれません。

「法律区分」では相当数の合格者数を出しますが、受験者数も1万人程度とかなり多いため倍率も高くなっています。前述の記念受験者も一定数いますが、本命受験者層は、東大法学部生、司法試験受験者など、専門科目についてはかなり高度な知識を備えていますので、見た目の倍率どおり最終合格をするのは狭き門だと覚悟して勉強に励んでいただきたいと思います。

もっとも、いわゆる大学偏差値がそれほど高くない大学からも多くの合格者が出ています。公務員試験の対策をしっかりと行えば、出身大学は関係ないことを注意してください。

「平成27年度総合職(大卒)採用状況(h27.4.1現在)」の一部抜粋
※( )内は女性の内数。

官庁訪問〜内定

国家総合職は後述の国家一般職と同様、最終合格=内定ではありません。最終合格を前提に、希望の省庁に官庁訪問をして内定を勝ち取る必要があります。

上記表をみると、最終合格者数の半分以下しか実際には採用されていないようです。国家総合職の場合は第1志望の受験者が多いので、最終合格は当然で、その先の官庁訪問が肝になります。

上記平成27年度の採用状況では、「政治・国際区分」からの内定者はたった1名となっています。各府省ともに欲しい人材の傾向がありますので、どの府省で働きたいかを考えてから、受験区分を確認する必要があるでしょう。法律区分や経済区分は比較的多くの府省で採用しているので、汎用性があります。

国家総合職のまとめ

最終合格は単なる通過点です。実際の内定を勝ち取るまでにはかなりの倍率となるということを知っておきましょう。

3 国家一般職(大卒程度)の倍率と考察

koppan
※参照HP 「人事院 採用情報」
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm
※注意:倍率及び1次受験者数について公表されていないため、公表データの中から「申込者数÷合格者数=倍率」として算出。

最終合格(内定ではない)までの倍率

国家一般職(大卒程度)の行政区分は全国で3万人程の申込者がある人気のある試験です。

しかし実際には、国家公務員自体は第2、第3希望であることも多くなっています。国家公務員は広域の転勤があるとか、給与が大都市の地方公務員より低いとされているとか様々な理由があげられるでしょう。

国家一般職では実際にどの管轄で働きたいかによって受験地域が異なります。本省(霞ヶ関)を中心に関東甲信越内で働きたい人は、受験時に「関東甲信越」区分で申し込むことになります。

首都圏で勤務したいという受験生は当然多いので申込者数も例年1万人を超えています。しかし他の管区よりも採用予定数が多いため、競争倍率自体は6〜7倍とそれほど高くありません。

地域によってはばらつきもみられます。人口も大学も多い近畿圏では倍率がやや高めの一方、たとえば北海道はH27年度においては3倍とかなり低い倍率となっています。

なお、国家一般職の専門科目はいくら科目選択制とはいえ、その科目数が多く(8科目選択)、また教養試験の英語や数的処理系は難易度が高めになっており、筆記試験の合格レベルに達していない受験生も相当数受けています。

そのため、筆記試験が得意な受験生は自信をもって受験すれば比較的合格しやすいのではないでしょうか。

さらに土木等の技術系区分は2倍〜3倍の倍率とかなり低くなっていますので、民間企業との併願も十分に可能でしょう。

国家一般職では最終合格後の官庁訪問がポイントになりますので、まずは筆記試験で得点をしっかり稼いで官庁訪問への切符を手にいれてほしいと思います。

「H27年度一般職(大卒)からの採用予定(行政区分)」の一部抜粋

官庁訪問〜内定

ところで国家一般職は前述の国家総合職と同様、最終合格=内定ではありません。最終合格後、希望の省庁に官庁訪問をして内定を勝ち取る必要があります。

国家一般職の場合は、本省(霞ヶ関等)で勤務するのか、地方で勤務するのかをまず考える必要があります。

たとえば「北海道」区分で受験した人が本省で内定を得ることも可能ではありますが、受験要領には、本省を希望する人は「関東甲信越」区分で受験することをおすすめする旨記載があります。

さて、霞ヶ関周辺にはたくさんの府省が集中しており、その雰囲気に憧れる人も多いかもしれません。

本省では国家一般職(行政区分)からそれなりの人数を採用しています。総務省は57名、厚生労働省はなんと125名も採用予定となっているので、これならどこかに内定をもらえそうだと思いたいところですが、人気の省庁にはたくさんの受験者が押しよせます。
たとえば文部科学省や財務省などは毎年人気なので、かなりの倍率になることを覚悟しておきましょう。

近年は安倍政権の「女性の活躍推進」政策によって、女性の数を一定数確保するために、女性に人気のない分野については女性がやや入りやすいということもありえるでしょう。
理不尽に思う男性もいると思いますが、これまでは男性優先に採用してきた省庁もたくさんありますので、時代の変革期にあるということで納得するしかありません。

本省に対して地方ではどうなっているか確認してみます(上記表では「北海道」区分のデータを掲載しました)。

北海道では最終合格者に対して採用予定数が比較的多くなっています。
しかし、人事院北海道や行政評価局は例年人気があるうえ、採用人数はそれぞれ1名、4名(毎年同じくらいの人数を採用しています)と非常に少なくなっています。

人気の省庁としては検察庁もあげられますが、北海道の場合は採用が札幌・函館・旭川・釧路と非常に広域に及びます。検察庁で働きたいのか、それとも札幌や地元で働きたいのかをよく考える必要があるでしょう。

地方の場合は政令指定都市等(たとえば札幌市)が本命で、国家一般職は第2志望以下であることがよくあり辞退者も多くなります。したがって、もし国家一般職しか合格しなくても、また第1希望の官庁でうまくいかなかったとしても、どこかが拾ってくれる可能性がありますので、最後まで諦めずに様々な省庁への官庁訪問を続けてほしいと思います。

国家一般職のまとめ

国家一般職は辞退者も多いため、倍率や採用人数に惑わされずに最後まで官庁訪問をしっかりと行うこと。

4 国家専門職の倍率と考察

ここでは国家専門職(国税専門官・財務専門官・裁判所事務官・家裁調査官補)についての倍率および対策について説明していきます。

4−1 国税専門官

kokuzei
※参照HP 「人事院 採用情報」
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm
※注意:倍率及び1次受験者数について公表されていないため、公表データの中から「申込者数÷合格者数=倍率」として算出。

平成27年度は国税専門官の1次試験日と東京都・特別区の試験日が重複したため、前年度より申込者数が減少し、それに伴い倍率も下がりました。しかし、首都圏受験者に限っては例年と異なり「東京都・特別区よりも国税専門官になりたい!」という本命度が高い人が受験したことになりますので、倍率の見た目ほど合格が簡単ではなかったのではないかと思います。

公務員試験では近年、試験日程が大きく変更されることが多くなっています。本命の試験種については前年度の倍率に引きずられることなく、しっかりと対策をとっていきましょう。

4−2 財務専門官

zaimu
※参照HP 「人事院 採用情報」
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm
※注意:倍率及び1次受験者数について公表されていないため、公表データの中から「申込者数÷合格者数=倍率」として算出。

平成27年度は国税専門官と同様、財務専門官の1次試験日と東京都・特別区の試験日が重複したため、前年度より申込者数が減少し、それに伴い倍率も下がりました。しかし国税専門官と同様、首都圏では本命度の高い人が受験したことになりますので、例年と変わらないレベルだったと考えられます。

財務専門官の試験は最近出来た専門職試験ですが、仕事の内容に大きな魅力を感じる人も多く国税専門官よりも人気が高くなっています。今後もその傾向が続くと思われます。国税と財務は試験日程が同じのうえ、同じ問題も多く出題されています。

できるだけ早い段階で説明会などに参加し、自分のやりたい業務はどちらなのか、またどの範囲で転勤があるのか等を職員に伺うなどして、どちらを受験するかを見定めてほしいと思います。

なお、国税専門官も財務専門官も、本命のすべり止めと考える受験生も多いのが原状です。したがって、たとえば2次の面接日が他の試験の面接(県庁・市役所や裁判所と重なることが多い)で重なってしまった場合は、国税・財務の面接を辞退する人もいます。したがって、実際の倍率よりもやや低めと考えてもよいかもしれません。

4−3 裁判所事務官(一般職)

saiji
※参照HP 「裁判所職員採用試験」
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm

裁判所事務官(一般職)は希望勤務地の高裁管内に受験を申し込み、その中で採用者が決定されます。管内によって、採用予定数も倍率もばらつきがあるので、まず自分が受験する管内をしっかり把握する必要があります。

たとえば東京高裁管内の受験申込者は6000名を超えていますが、裁判所は転勤を伴うこともあり本命の滑り止めとされ、実際の1次受験者は大きく減って4000名代になっています。これは各管内でも同様に大きく減少していますので、1次試験日前に申込者数が公表された場合でも決して焦る必要がありません。

そうはいっても「1次受験者数÷合格者数」で算出される倍率は10倍前後、福岡管内においては20倍前後となっており、倍率だけをみるとやや高い水準とはなっています。

福岡管内の倍率が高い理由は定かではありませんが、九州地方に法学部の偏差値の高い大学やロースクールがあること、福岡の経済発展や地元愛から、進学で関西や東京の大学・ロースクール等に進学した人が就職先として九州に戻ってくること、など複数の理由が上げられると思います。

どうしても福岡管内の裁判所事務官になりたい人は、試験科目に特徴のある裁判所対策を重点的に行い、とにかく筆記試験で差を付けられないように努力してほしいと思います。

東京管内では、ロースクール自体の数が多くロースクール卒業生が司法試験の滑り止めとして受験することもよくあります。東京管内では筆記試験の「上位層」が一定数いることを覚悟しておきましょう。
ただ、あくまで筆記試験の「上位層」の数が多くなるだけで、中間層や下位層は他の管内と変わらないでしょう。様々な人が受験するということで、むしろ下位層は他の管内より多くなるかもしれません。

なお、裁判所事務官の場合は最終合格=内定ではありません。
たとえば東京管内で385名の最終合格者を出して、実際に採用されるのは160名程度です。採用漏れがたくさん発生するように見えますが、実際は、希望しない地域への配属であったり、合格順位が低いと内定の打診が年末近くになることも多いため、辞退者がかなり発生します。

したがって、まずは最終合格をすること。そのあとは、順位がやや低めでも希望を捨てずに内定の電話を待つことが必要となります。

4−4 家庭裁判所調査官補

kasai
※参照HP 「裁判所職員採用試験」
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm

家庭裁判所調査官補は待遇等が国家総合職レベルとなっています。
試験科目が複数あり、他の行政職試験とは異なる専門的な分野から出題されるので、ほとんどの受験生が家庭裁判所調査官補が本命と考えてよいでしょう(併願先に国家総合職の人間科学区分を選ぶ人がよくいますが、両方合格した場合に家庭裁判所調査官補を選択する人も結構います)。
その分受験者層のレベルも高くなり、その中での倍率が10倍を超えていますので、狭き門といえるでしょう。

しかし、1次受験者数は全国で490名と公務員試験の中ではかなり少ない一方、最終合格者数は41名も出しますので、超難関試験とまでは言えません。
試験科目に特徴があるので、家庭裁判所調査官補に少しでも興味をもったら、できるだけ早く試験情報を調べて受験の決意を固めることをおすすめします。

国家専門職のまとめ

国税専門官・財務専門官・裁判所事務官は、1次受験、面接、最終合格後内定前の段階でそれぞれ辞退者が多い。さらに試験科目が特殊なため、しっかり対策さえとれば本命受験者が合格する可能性が低くはない。

家庭裁判所調査官補は倍率が高く、しかも受験者層の筆記試験のレベルが高いので、早め早めの対策を行うこと。

5 まとめ

公務員試験はこれまで、国家政策で直前に採用予定が半減するような年もあれば、団塊の世代の大量退職で採用予定をかなり増やすという年もありました。
このように受験年度によっても倍率は大きく影響を受けます。

また、倍率が高くても本命の人が多かったり滑り止めの人が多かったりなど、試験種によってさまざまな特徴があります。

しかし、今回紹介しなかった院卒区分や社会人経験者採用などでは、倍率が100倍を超えることもありますが、大卒程度区分ではそのような異常な倍率になることはほとんどありません。

したがって、公表されている倍率は参考程度にして(知らなくてもよいくらいです)、本命試験種の対策を万全にしたうえで、併願先の対策も怠らないようにしていきましょう。

薬剤師の公務員を目指す際に知っておきたい基本情報

薬剤師で公務員を目指す人の中には、大学を卒業してすぐに公務員になりたいと思っている人だけでなく、現在病院や薬局などの民間の機関で働いていて何となく公務員になりたいと思う人さまざまかと思います。

しかし公務員になってもどんな仕事をするのだろう、給料はいいのかな、など気になる部分は多いのではないでしょうか。

薬剤師の仕事と言えば病院や調剤薬局で調剤・服薬指導などの業務を行ったり、製薬会社などで新薬の研究をするのが一般的ですが、公務員は公務員ならでは仕事があります。また、給料は民間に比べて低かったりするなど事前に知っておくべきことは多々あります。

この記事では薬剤師が公務員になった場合、どのような仕事をするのか、給与はどうなのか、また公務員試験対策についても解説していきますので、薬剤師の公務員として活躍したいと考えている人は参考にしてみてください。

薬剤師の公務員として活躍できる場所と仕事内容

国家公務員(薬系技術職員)

国家公務員の薬剤師は厚生労働省を始めとした中央省庁で総合職として働くことになります。
業務内容はとても幅が広く、医薬品・食料品の安全を守る部署、麻薬の取り締まりを行う部署、健康保険に関する部署、医薬品の開発に関する部署など様々な部署があります。
詳しくは厚生労働省の資料を参考にしてください。
(参考:http://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/kokka1/kokka1-yakugaku/05.pdf
http://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/kokka1/kokka1-yakugaku/06.pdf

どの部署でも基本的に企画立案や監査などの事務仕事を行うことになります。
調剤業務など実際に薬を触る仕事はないため、薬剤師らしい仕事とは程遠いかもしれません。現場での仕事より、大きな仕事をしたい方に向いているといえるでしょう。

薬の知識だけでなく、法律や化学の知識などかなり幅広い知識が求められるため、常日頃の勉強は欠かせません。
国全体に影響力のある責任重大な仕事なので、やりがいは大きいでしょう。

ちなみに異動は全国各地になります。
厚生労働省だけでなく、他の省庁の機関へ出向となることもあり、出向先によっては海外赴任となる場合もあるようですので転勤が苦とならない方やアグレッシブに仕事をしたい方には向いているかと思います。

地方公務員

都道府県や市区町村といった地方公務員の職員になった場合、配属される可能性の高いのが衛生部局(保健所など)か環境部局(環境関係の部署)です。

ただし、自治体によっては採用枠や配属先の種類が異なるため、ここに挙げているものが必ずしもすべての自治体に該当するとは限りません。また、仕事の内容も多少異なることもありますので自分の志望する自治体のホームページなどで薬剤師としてどのような職場に配属されどのような仕事を行うのかを確認することをおすすめします。

また、特定の部署に希望して受験するのではなく、いずれも都道府県や市区町村に採用されたあと、異動先としてこれらの職場に配属されることになります。そのため、どこに配属されどのような仕事を任されるかは採用されるまではわからないということに注意しましょう。

以下では地方公務員として採用された際、配属される可能性のある部署での仕事について説明していきます。

保健所

保健所で行う薬剤師の業務は大きく分けて3つあります。

1、薬事衛生に関する業務
薬局に対しての立ち入り検査、薬局立ち上げの認可などを行います。
また、麻薬取締りも担当し、薬物乱用防止の啓発活動、指導などを行っています。

2、食品衛生に関する業務
飲食店の立ち入り調査、新店舗の認可や、管理栄養士などに対して食中毒予防に関する指導などを行います。

3.環境衛生に関する業務
多くの人が利用する施設(美容院、公衆浴場、プール、旅館)などの監査・認可を行います。
その他、動物や水からの伝染病を防ぐための衛生管理、廃棄物処理に関する指導・監視なども行っています。

調剤などの薬剤師らしい業務はなく、許可・監視などの行政仕事がメインとなります。
お店などに指導する立場になるため、嫌われ役となりがちですが、地域の安全を守る大事な仕事です。

環境関連部署

大気汚染対策や騒音対策、土壌汚染など環境対策に関する仕事を行います。

大気汚染対策や騒音対策については住民から問い合わせや苦情が来た際に測定を行うなどし対応を行います。
また、クリーニング店や美容室、公衆浴場といった特定の施設や工場を建築する場合は事前に自治体に申請を行う必要があるため、職員は振動や騒音、大気や土壌に問題がないかを確認し認可します。

これらの仕事は事務職の職員が行うこともあるため、実際に採用された自治体によって異なる可能性があることを知っておきましょう。

衛生研究所

食品を製造しているメーカーなどの商品を検査し、それが安全なものかどうかを確認します。
また、水、医薬品、食品などについても検査を行い、細菌やウイルスを調べ、住民がそれらのものを安心に摂取できることを目標とします。

こうした調査から感染症の拡大防止や健康被害を防止のための対策を立てていくことになります。

市立・県立病院

市町村や都道府県が病院を経営している場合に配属される可能性があります。
民間病院や調剤薬局と業務的に大きな違いはなく、薬の調剤や服薬指導などを行います。

公立の病院は地方の中核病院となっていることが多く、近隣の医療機関よりもより新しい医薬品に触れやすいというメリットがあります。

公務員薬剤師の仕事まとめ

ここまで読んでいただいたら分かる通り、公務員薬剤師は公立病院での勤務以外ではほとんど民間とは異なった仕事をすることになります。

調剤や薬の研究はほとんどなく、監視や許可、調査といった事務仕事が多いです。
これらの仕事では色んな職種の人と関わる機会が多くなるため、薬剤師としてというより、人間としての見識が広くなるかと思います。

しかし、国家資格である薬剤師の知識を使う機会は配属先によってはほとんどないこともあります。
あくまで住民にとって安心で健康的に暮らしてもらうことを目的とするため、せっかく取得した資格があまり活かせず不満を感じる方も少なからずいますので、こうした仕事が自分にとって合っているのかよく考えてみてください。

公務員薬剤師の給与

公務員は基本給の他、地域手当、住居手当などの各種手当が支給され、全て合わせたものが給与となります。
大卒直後の初任給で言えばおよそ20万前後となるでしょう。これは薬剤師であっても事務職であってもあまり変わりません(院卒の場合や前職がある場合は新卒で採用された場合に比べると少し高くなります)。

公務員の基本給は「棒給表」というものに基づいて決まりますが、民間企業の給与との較差がないよう毎年見直しが行われます。
薬剤師は国家公務員棒給表のうち、医療職棒給表(二)(参考:http://kyuuryou.com/w495.html)というものを基準として基本給が決定されます。

国家公務員の場合はこの表がそのまま適用され、地方公務員の場合はこの表を参考にした、自治体の規定によって基本給が決定します(給与の考え方は複雑であるため詳しく知りたい方は公務員の給料や年収について知っておきたい基礎知識まとめを参考にしてください)。

民間の薬剤師では初任給から30万を越える場合もあり、そうしたところと比べると低めの水準と言えるかもしれません。実際に民間から転職した薬剤師は給料が下がったという話をよく聞きます。

しかし、公務員の場合は上昇幅は少ないですが昇給が毎年ありボーナスも出るため、長く勤めていれば民間の平均以上の給与をもらうことができます。

短期的に転職を繰り返す場合に公務員はあまりおすすめできませんが、公務員の薬剤師として腰を落ち着かせようと考えているならば、給料に関しては良いのではないかと思います。

薬剤師の公務員試験対策

公務員になるためには何と言っても公務員試験に合格しなければならず、薬剤師の国家試験とは違った難しさがあります。

薬剤師として公務員になる場合、受験する自治体などによって募集している職種が異なります。
薬剤師を募集している職種として、「化学」「薬剤師」「衛生監視」というように複数の職種で募集しているところもあれば、「薬剤師」として募集しているところもありますので、職種によって試験科目が異なる可能性もありますので受験要項で必ず確認するようにしましょう。

いずれの職種で受験するにせよ薬剤師も公務員になるためには、公務員試験を受けなければなりません。
「難しい薬剤師試験をパスしたのだから公務員試験など楽勝!」と思う方も多いかもしれませんが、薬剤師の試験とは異なる内容が出題されるため、改めて勉強する受験生が多いのが現状です。

国家公務員試験

薬剤師として国家公務員になる場合、国家総合職の試験を受験する必要があり非常に難関です。
筆記試験で国家公務員総合職試験に合格し、人事院面接、官庁訪問を経た上で採用が決定されます。

厚生労働省の採用ページによれば平成20~27年まで毎年5~7人程度しか採用されていません。
薬剤師免許を持つ人以外でも受験できるため、かなりハイレベルな競争を勝ち抜かなけれ合格は難しいといえるでしょう。

行われる試験は以下の通りです。

・1次試験
教養試験(選択式)
専門試験(選択式、化学・生物・薬学分野)

・2次試験
専門試験(記述式、化学・生物・薬学分野)
政策論文試験(政策について自分の意見を述べる試験)
人物試験(面接)

意外と苦戦するのが、1次の教養試験ではないでしょうか?
薬剤師と全く関係のない分野からも幅広く出題されるため、理系知識だけでは解けない問題も多いです。
政策論文試験もまた、薬剤師とは直接関係のない試験となります。
普段から政治に興味を持ち、それぞれの政策がどういう役割を持つのかを自分の中で理解できていることが重要となります。

また、国家総合職試験では27年度から外部英語試験の活用が導入され、各種英語試験(TOEFL、TOEIC、IELTS、英検)を所持している場合、点数に応じて上記試験に15点~25点のプラス加算が行われるようになりました。
合格を目指す人にとって上記の試験を受験し高得点を取っておけば有利になるでしょう。

繰り返しますが国家総合職試験は非常に難関試験であるため、公務員試験対策の専門学校に通うことも視野に入れておいた方がいいかもしれません。

地方公務員試験

先述のとおり、国家総合職試験は非常に難関試験になるため薬剤師として公務員になる場合、ほとんどが地方公務員かと思われます。

地方公務員は都道府県および市区町村によって実施要綱が異なるため自治体によってかなり試験内容に違いがありますが、一般的に実施される試験内容としては、教養試験(選択式)、専門試験(選択式または記述式)、論文試験、面接試験、適性試験などがありますが、教養試験と専門試験、面接試験についてが大半の試験で課せられることになるためこれらについて詳細に説明していきます。

教養試験

教養試験は必ずどこの自治体でも実施されるため、公務員になりたいと考えているのであれば対策は必須です。

教養試験は、以下の内容の科目が課せられます。

【一般知能分野】
・文章理解(現代文・古文・英文)
・判断推理
・数的推理
・資料解釈

【一般知識分野】
・社会科学
政治、経済、社会、法律
・人文科学
日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術
・自然科学
数学、物理、化学、生物、地学

一般知能分野は文章理解は現代文・古文・英文などの長文読解が課せられ、判断推理と数的推理は算数やパズル的な要素がある問題であり、資料解釈は表やグラフを読み取る問題となっています。これらの科目について文章理解以外は公務員試験で初めて学習する人も多く、苦手としている人が多い科目でもあります。
しかし、どの試験でも回答必須としており出題数も多いので早めの対策が必要となります。

また、一般知識分野は社会化学、人文科学、自然科学とあり、これらは高校のときに学習する内容となります。大学受験のときにどれくらい勉強したかが出来不出来に大きく差となって現れてくるでしょう。

受験する自治体により出題科目や出題数が異なってきます。そのため、これら全てを学習する必要はなく、なるべく出題数の多いものや自分が得点しやすい科目を選択しましょう。

ただし、試験によっては与えられた問題は全問必須の場合もありますので、併願する試験とのバランスを見て選択することも重要になります。

専門試験

専門試験は物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度など薬剤師の国家資格で出題される内容について問われることが多いです。

形式については択一式または論述式で出題されますが、自治体によって異なるためどちらの形式で出題されるかについては必ず確認するようにしましょう。

択一式の場合は、薬剤師の国家資格の勉強をしていればそれほど問題ないかと思います。
すでに資格を持っている方は受験する自治体のHPから過去の出題を見てみて、どの程度解けるか確認してみましょう。知識があり7〜8割ぐらい解けるのであれば教養試験の勉強を中心に進めていったほうが良いでしょう。

もし、薬剤師の資格を取得してから時間が経っている場合は内容について結構忘れているかと思いますので、薬剤師の資格取得のときに使っていた参考書を読み直しておき、実際に保健師の国家試験の過去問を解くことが最も良い対策となります。

教養試験もそうですが、公務員試験含めどのような試験もやはり過去問をこなすことが最も効果的です。
薬剤師の資格を取得された方はわかるかと思いますが、同じような問題が形式を変えて他の年に出題されるということは公務員試験でもいくらでもあります。

そのため、ある程度過去問をこなすことでパターンを身につけ、知識の引き出しを多く持つことで対応することができます。ただし、漫然と過去問を解いてもわかったつもりになってしまい本試験で解けないというパターンに陥ってしまうので、必ず理解しながら解くようにしましょう(不安な方は公務員試験合格に必要な正しい過去問の解き方を参考にしてください)。

面接試験

試験が比較的簡単な自治体でも難関となるのは面接試験です。
その自治体を志望した動機や自己PRといった基本的なことに加え、なぜ公務員を目指すのか、薬剤師として自分は何ができるか、といった部分もしっかりと答えられるようにしなければなりません。

公務員試験は筆記試験対策が大変なので面接対策は軽視されがちですが、特に地方公務員は人物重視の傾向となっているため、いくら筆記試験の点数が良くても面接での印象が悪いと落とされてしまうことは当たり前のようにあります。

とは言っても民間企業の面接ほど倍率は高くありませんので、予備校などでしっかりと対策をすれば十分に合格することができます。

せっかく筆記試験に合格しても面接で落とされてしまっては元も子もありません。最後まで気を抜かないようにすることが大切です。

まとめ

薬剤師が公務員になることは、公立病院以外は一般的な薬剤師の仕事とは全く違った仕事に就くと考えた方が良いでしょう。
もし、調剤や患者さんと触れあう仕事が好きであるのであれば公務員の仕事はマッチしないかもしれませんが、住民が安心に暮らせるために働きたいと考えている人には公務員はおすすめできます。

まずは自分が何をしたいのかを明確にし、本当に公務員として働きたいと思うのであればまずは筆記試験に突破できるよう勉強を進めていってみてください。

これで完璧!裁判所事務官の試験科目と対策を徹底解説

裁判所事務官はどんな科目が出題され、どのような対策をすればいいのかわからない受験生も多いのではないのでしょうか?
裁判所事務官についての情報はなかなか手にいれることができず、途方に暮れている人が多いようです。

また、平成27年度の裁判所事務官の試験では、試験名称のみならず、試験科目自体にも若干の変更がありました。

このように裁判所事務官の情報は自ら積極的に情報収集することが求められるため、ここではどこよりも詳細に裁判所事務官の試験科目と対策について書いていますので参考にしてみてください。

1 裁判所職員の試験区分(平成27年度から名称変更)

裁判所職員の試験には大きく、裁判所事務官(総合職・一般職)と家庭調査官補(総合職試験)の試験があります。

平成27年以前から裁判所事務官を受験・検討されている方は、試験名称が若干変更されましたのでご確認ください。以下のように官職が明記されるようになり、非常に分かりやすくなりました。

(旧)総合職試験(院卒者・大卒程度試験,法律・経済区分)

(新)総合職試験(裁判所事務官,院卒者区分・大卒程度区分)(旧)総合職試験(院卒者・大卒程度試験,人間科学区分)

(新)総合職試験(家庭裁判所調査官補,院卒者区分・大卒程度区分)(旧)一般職試験(大卒程度試験)

(新)一般職試験(裁判所事務官,大卒程度区分)

つまり、現行の制度は総合職試験(院卒者区分・大卒程度区分)は裁判所事務官と家庭裁判所調査官補、一般職試験(大卒程度区分)は裁判所事務官として採用されることが明記されるようになったのです。

2 受験資格年齢と試験科目

裁判所事務官の試験では、①総合職か一般職かでの違い、②院卒者区分か大卒区分かでの違いがあります。
また、裁判所事務官と家庭調査官補とのの違いも存在します。つまり、以下のように6種類に分類することができるので、「平成27年度試験案内」をもとにひとつずつ見ていきたいと思います。

(1)総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分)
(2)総合職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
(3)総合職試験(家庭裁判所調査官補、院卒者区分)
(4)総合職試験(家庭裁判所調査官補、大卒程度区分)
(5)一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
(6)一般職試験(裁判所事務官、高卒程度区分)

2−1 総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分)

総合職試験(裁判所事務官)は、院卒者・大卒程度区分ともに3次試験まであります。
院卒者区分と大卒程度区分では、受験資格及び試験科目(1次・基礎能力試験の問題数と、2次・専門記述の出題科目)に違いがあります。

受験資格:30歳未満であって、大学院修了及び修了見込みの方

【1次試験】
①基礎能力試験(択一式)30題(知能27+知識3)
②専門試験(択一式)30題
【必須】憲法7題・民法13題
【選択】刑法10題または経済理論10題(当日、どちらかの科目を選択)

【2次試験】
①専門試験(記述式)4題
【必須】憲法1題・民法1題・刑法1題
【選択】民事訴訟法1題or刑事訴訟法1題
※憲法は、1次試験日に実施されます。
※憲法は六法使用不可、民・刑・訴訟法は当日六法が貸与されその六法のみ使用可。

②政策論文試験(記述式)1題
政策論文試験は与えられた資料等から課題を読み取らせ、それに対する対策を検討させ論述させる試験となっています。詳細は、3−4 政策論文・小論文の対策を参考にしてください。

③個別面接
総合職の個別面接の試験は受験生1人に対し面接官が3人という形式で行われます。

【3次試験】
集団討論および個別面接

集団討論については面接官が3人が見守る中、受験生が複数人である議題に対し討論を行います。
その後、集団討論を踏まえた上で個別面接が行われます。

2−2 総合職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)

受験資格: 21歳以上30歳未満の方

【1次試験】
①基礎能力試験(択一式)40題(知能27+知識13)
②専門試験(択一式)30題
【必須】憲法7題・民法13題
【選択】刑法10題または経済理論10題(当日、どちらかの科目を選択)

【2次試験】
①専門試験(記述式)4題
【必須】憲法1題・民法1題・刑法1題
※憲法は、1次試験日に実施されます。
※憲法は六法使用不可、民法・刑法は当日六法が貸与されその六法のみ使用可。

②政策論文試験(記述式)1題
政策論文試験は院卒者程度区分と同様に、与えられた資料等から課題を読み取らせ、それに対する対策を検討させ論述させる試験となっています。詳細は、3−4 政策論文・小論文の対策を参考にしてください。

③個別面接
個別面接の試験は受験生1人に対し面接官が3人という形式で行われます。

【3次試験】
集団討論および個別面接
集団討論については面接官が3人が見守る中、受験生が複数人である議題に対し討論を行います。
その後、集団討論を踏まえた上で個別面接が行われます。

2−3 総合職試験(家庭裁判所調査官補、院卒者区分)

家庭裁判所調査官補はその職業柄、心理学や社会学、教育学等の人間関係科目の出題が多いのですが、試験制度の変更により、民法や刑法を選択することも可能になりました。人間関係科目の科目も1科目は選択する必要はありますが、以前に比べ、非常に法学部生やロースクール生が受験しやすい制度になりました。

受験資格: 30歳未満であって、大学院修了及び修了見込みの方

【1次試験】
①基礎能力試験(択一式)30題(知能27+知識3)
②専門試験(記述式)
次の人間関係諸科学科目および法律学科目 の15科目(15題)のうち選択する3科目(3題)
※試験当日に科目を選択。
※人間関係諸科学科目から少なくとも1科目(1題)を選択。

◼︎人間関係諸科学科目
心理学概論、臨床心理学、社会心理学、社会学概論、現代社会論、社会調査法、社会福祉学概論、社会福祉援助技術、地域福祉論、教育学概論、教育心理学、教育社会学

◼︎法律学科目
憲法、民法、刑法

【2次試験】

①専門試験(記述式)
次の13科目(15題)のうち選択する2科目(2題)
※児童福祉論と高齢者福祉論は同時に選択不可。
※民法のみ2題又は刑法のみ2題を選択不可。

臨床心理学、発達心理学、社会心理学、家族社会学、社会病理学、社会福祉援助技術、児童福祉論or老人福祉論、教育方法学、教育心理学、教育社会学、民法、刑法

②政策論文試験(記述式)1題
政策論文試験は与えられた資料等から課題を読み取らせ、それに対する対策を検討させ論述させる試験。詳細は、3−4 政策論文・小論文の対策を参考にしてください。

③集団討論および個別面接
集団討論が行われた後、それを踏まえた個別面接が実施されます。

2−4 総合職試験(家庭裁判所調査官補、大卒程度区分)

院卒者区分と共通の試験問題で行います。ただし、第1次試験基礎能力試験について解答する問題数が異なります。

受験資格: 21歳以上30歳未満の方

【1次試験】
①基礎能力試験(択一式)40題(知能27+知識13)
②専門試験(記述式)
次の 15科目(15題)のうち選択する3科目(3題)
※試験当日に科目を選択。
※人間関係諸科学科目から少なくとも1科目(1題)を選択。

◼︎人間関係諸科学科目
心理学概論、臨床心理学、社会心理学、 社会学概論、現代社会論、社会調査法、社会福祉学概論、社会福祉援助技術、地域福祉論、教育学概論、教育心理学、教育社会学

◼︎法律学科目
憲法、民法、刑法

【2次試験】
①専門試験(記述式)
次の13科目(15題)のうち選択する2科目(2題)
※児童福祉論と高齢者福祉論は同時に選択不可。
※民法のみ2題又は刑法のみ2題を選択不可。

臨床心理学、発達心理学、社会心理学、家族社会学、社会病理学、社会福祉援助技術、児童福祉論or老人福祉論、教育方法学、教育心理学、教育社会学、民法、刑法

②政策論文試験(記述式)1題
政策論文試験は与えられた資料等から課題を読み取らせ、それに対する対策を検討させ論述させる試験です。詳細は、3−4 政策論文・小論文の対策を参考にしてください。

③集団討論および個別面接
集団討論は面接官3人が見守る中、受験生6人があるテーマについて討論を行います。テーマは一般的な内容(たとえば待機児童問題)についてであり、その後、集団討論を踏まえた上で個別面接が行われます。
個別面接は受験生1人に対し面接官3人という形式で行われます。

2−5 一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)

一般職試験は、総合職試験と異なり2次試験までとなっています。
総合職試験(裁判所事務官)と重なる試験種目、具体的に択一試験(基礎能力+専門科目)及び専門論文(憲法)では、共通の試験問題が出題されます。

受験資格: 21歳以上30歳未満の方。21歳未満で大学卒業及び卒業見込み、短大等卒業及び卒業見込みの方も受験可。

【1次試験】
①基礎能力試験(択一式)40題(知能27+知識13)
②専門試験(択一式)30題
【必須】憲法7題・民法13題
【選択】刑法10題または経済理論10題(当日、どちらかの科目を選択)

【2次試験】
①論文試験(小論文)1題
※論文試験(小論文)は、1次試験日に実施されます。
②専門試験(記述式)4題
【必須】憲法1題・民法1題・刑法1題
※憲法は、1次試験日に実施されます。
※憲法は六法使用不可、民法・刑法は当日六法が貸与されその六法のみ使用可。

③個別面接
個別面接は受験生1人に対し面接官3人という形式で行われます。

2−6 一般職試験(裁判所事務官、高卒程度区分)

受験資格:高卒見込み及び卒業後2年以内の方 (中学卒業後2年以上5年未満の方も受験可)

【1次試験】
①基礎能力試験(択一式)45題(知能24+知識21)
②作文1題

【2次試験】
個別面接

3 裁判所事務官の試験の特徴とその対策

3−1 専門の択一試験は3科目で受験ができる

裁判所事務官の専門択一は、他の公務員(行政職)試験と異なり特徴があります。裁判所事務官の専門択一は、たった3科目で受験することができます。
憲法・民法が必須科目、これに加えて、刑法か経済原論のどちらか1科目を選択します。

まず、公務員(行政職)試験で必須の行政法が存在しません。行政法が苦手な方には受験しやすい試験といえるでしょう。

また、必須科目の憲法・民法は他の公務員試験と重複するため、試験対策が非常にしやすいといえます。

しかし、「刑法」は裁判所事務官ならではの出題となります。通常、刑法は他の試験では出題されないか、地方上級で2題程度の選択問題となっているため、公務員試験用の勉強として行うことはあまりありません。
ですが、裁判所事務官の仕事が、実際に法廷で働く仕事ですから、業務上必要な知識となってきますので刑法が試験科目に入ってきます。

しかし、多くの公務員(行政職)受験生が、裁判所事務官を併願していることから、「刑法」の変わりに「経済原論」を選択することもできます。経済原論とは、いわゆるミクロ・マクロ経済学のことをいい、公務員(行政職)受験生にとっては主要科目となります。

例年、多くの受験生が、刑法ではなく経済原論を選択し最終合格をしていますので、法学部生でない人は経済原論を選択する方が得策ともいえます。
もっとも、裁判所に入所すると、経済原論は一切使いませんが、刑法の勉強は必須になります(書記官試験の必須科目です)。したがって、合格の先を見据える場合には刑法を選択するのも非常に有効でしょう。

3−2 専門試験の対策方法

裁判所事務官の専門試験は択一試験と記述試験があります。他の公務員試験と異なる部分も多いですが、

3−2−1 択一試験の対策

択一試験では、憲法7題、民法13題、刑法/経済原論10題が出題されます。いずれも、総合職試験と共通の問題になります。
裁判所の試験ということで、「難しそう!」というイメージをもたれる方もいますが、実際には公務員試験でよく出題される基本問題が多く出題されています。また基本をしっかり理解しているかという良問が多くなっています。

したがって、裁判所事務官だからといって特別な対策が必要なわけではなく、公務員試験の過去問集を使って知識を定着させることで十分得点することができます。

■注意点①
法律3科目では、学説問題が出題されることがよくあります。
たとえば平成27年度の憲法の試験では、「公共の福祉」についてA説・B説・C説を紹介したうえで、各説について述べた記述の正誤を問う問題でした。しかし、このテーマも基本中の基本で、過去の裁判所の試験でもほぼ同様の問題が出題されています。したがって、過去問集をしっかり問いていた受験生は簡単に正解にたどりつく内容となっています。

■注意点②
法律3科目では、正誤問題が非常に多くなっています。
正誤問題とは、
「〜に関する次のア〜エの記述の正誤の組合わせとして最も適当なものはどれか」という出題に対して、
「ア正 イ誤 ウ正 エ誤」のように、全ての答えの正誤が合っている選択肢を選ぶ問題です。
これは各記述について確実に分からないと答えが出ない問題であり、難易度が上がります。

したがって、なんとなく過去問集を回すのではなく、基本問題について確実に暗記をしていく丁寧な作業が必要になることを、特に意識してください。

■注意点③
刑法か経済原論のどちらを選択するかは悩ましいところですが、早めにどちらを選択するかを決めましょう。
経済原論がとても難しかった年度もありますが、必ずしも毎年そういうわけではありません。逆に、刑法が難しい年度もあります。

経済原論では、正誤問題が少ない一方で、計算をしてその数値を選択肢から選ぶ問題も半分程あるので、数学が苦手な人にとってはとっつきにくい印象があるかもしれません。

いずれにしても、どちらの科目も一長一短ですし、受験年度によって難易度に大きな波がありますので、早めに選択科目を決定して、選択した以上は迷わずその科目の理解を深めていってください。
なお、ロースクール卒業生や、裁判所事務官・専願の受験生は、迷わず刑法で問題ないでしょう。

3−2−2 記述試験の対策

総合職・一般職の共通問題として、憲法の一行問題が出題されます。一行問題とは、たとえば、「財産権について論じなさい。」といった問題をいいます。

この一行問題では、書き出す論点が決まっています。条文・趣旨・判例・学説等、時間内に読み手に分かりやすくただ書き出すだけです。
対策としては、一行問題用のテキストや問題集をただ暗記し、本番で書けるようにするだけです。

直前期には、各予備校で記述対策講座を単発で売り出していますし、書店には公務員試験用の記述の問題集がいくつか販売されています。

独学で対策される方や予備校だけの対策で不安な方は「公務員試験 論文答案集 専門記述 憲法(早稲田経営出版)」が、論点が比較的よくまとまっており、解答例も使いやすいものとなっているためおすすめです。

公務員試験 論文答案集 専門記述 憲法 〈第2版〉
公務員試験 論文答案集 専門記述 憲法 〈第2版〉

年明け2月頃から3か月かけて暗記する時間を設けられれば、合格点がつきます。もっとも、暗記したものをいざ実際に書き出してみると、思っている以上に正確に書けないことが多いです。なので、大学の先生や予備校等を利用して、1度添削を受けることも有効な手段です。

一方、総合職では、民法・刑法・訴訟法の出題があります。こちらは、一行問題ではなく、事例問題になっています。問題を読んで、何が論点かを抽出し、それについて知識を吐き出し、自分の見解も書いていくというものなので、難易度がぐっと上がります。

難関私大や国立大学の法学部の定期試験のレベル〜ロースクールの入試のレベルと把握しておくとよいでしょう。(司法試験のような超長文を読解させるものではありません。)
このレベルの市販の問題集はほとんど出版されていませんので、法学部生以外の人は、予備校等のなんらかの利用が必要になるかと思います。また、一行問題以上に、添削してもらうことが重要になります。
大学のゼミの先生や、予備校の講座で添削してもらい、何が足りないのかをしっかりと把握して実力をつけてください。

3−3 教養試験の対策方法

基礎能力試験(択一式)という名称で、総合職では30題(知能27+知識3)、一般職では総合職の30題に知識問題が10題追加して(つまり合計40題)出題されます。

基礎能力試験は、ほとんどの公務員試験で出題され、難易度や範囲も大卒程度の公務員試験とほぼ同じです。したがって、他の公務員試験を併願される人は、裁判所事務官用の対策を特別に設けることは必要ありません。

具体的に、平成27年度裁判所事務官(一般職)の基礎能力の出題数を紹介します。

現代文5題、英文5題、判断推理6題、数的推理10題、資料解釈1題
政治2題、経済2題
法学、日本史、世界史、地理、思想、物理、化学、生物、地学は各1題
(合計40題)

判断推理・数的推理・資料解釈といった数的処理系が17題出題されていますので、ここでかなり差がつくところになります。
もっとも、数的処理系はどの公務員試験でも近年重視されていますので、過去問や模試などを問いて、力をつけていただきたいと思います。

ところで、知識系(法学、日本史、世界史、地理、思想、物理、化学、生物、地学)はたった1題ずつしか出題されていません。
このたった1題のためにどれだけ力を入れるかが問題となります。

私大文系の受験生には、物理や化学、生物、地学を始めから捨ててしまう人がいますが、完全に捨てるのはおすすめしません。

たとえば平成25年度の試験では、化学「気体の性質」、生物「DNA」が出題されています。これらは超頻出分野で、予備校テキストや模試ではメインで扱う分野です。実際の問題はやや細かい知識で得点率は低かったようですが、分野としては是非学習しておきたいものでした。出題年度によっては、頻出分野について非常に簡単な知識問題が出題されています。

また、地学では「地球の構造・火山」といった分野が出題されました。昨年から全国で火山の噴火が問題になり話題となっていたわけですので、出題されてもなんらおかしくないテーマでした。実際の内容も消去法で比較的簡単に答えが出る問題だったようです。

もちろん手に負えない細かい分野が出題されることもよくあります。これは、ほとんどの人が解けませんので差がつきません。
しかし、基本的なテーマが出題されたときに、知識系を完全に捨てた人と、基本分野を万遍なく学習していた人との差が出ます。その結果、合否に影響することになります。
したがって、知識系については、頻出分野(過去問集で傾向が分かります)だけはしっかりとインプットしておくことをおすすめします。

3−4 政策論文・小論文の対策方法

総合職は政策論文、一般職は小論文が出題されます。

◼︎政策論文の対策(裁判所事務官・家庭調査官補共通課題)

政策論文は資料から課題を読み取らせ、その対策を検討させる形式です。(過去問については裁判所のHP掲載されていますが、著作権の都合で掲載されていません。)

平成27年度は「グローバル社会に適応できる人材を育てるための対策」、平成26年度は「家庭裁判所がより国民にとって利用しやすい裁判所となるための方策」といったテーマが出題されました。

政策論文が出題されるようになってまだ数年であり、過去問がほとんどありません。以前は裁判所に関するテーマが出題されていましたが、ネタが切れたのか、平成27年度は一般社会論がテーマでした。
したがって今後も、裁判に関係なく幅広く教養のテーマが出題されると考えられます。

政策論文では、①資料(文献や統計)を時間内によみとり、②そこから課題を抽出し、③自分の意見を書き出します。これらは大学でレポートを書き上げる際に自然に身に付く基本的な力とも言えます。
とりたてて対策は不要ですが、予備校の模試で1度経験しておくことをおすすめします。

◼︎小論文対策

政策論文と異なり資料はついていません。テーマについて自分の意見を述べるものになります。

平成27年度では「いきいきとやりがいを持って働くことができる良好な職場環境を整える上で、あなたが重要と考える要素を検討し、その実現に向けた方策について論じなさい。」という内容が出題されました。

例年テーマは様々ですが、「だれもが書ける」テーマしか出題されません。裁判所に関するテーマは出題されていませんので、安心してください。
また、出題意図をだいたい把握したうえで、日本語として文章が成り立っており、自分の意見を書いている人は合格しているようです。

多くの受験生は特別の対策をしていませんが、文章力に苦手意識がある人は、大学受験の小論文の問題集(資料を読み取るタイプでないもの。)を軽く読んでおくとよいでしょう。

また、日頃からニュースや新聞の社説やコラムを読んで、いま話題になっている社会問題についてのさまざまな意見を収集しておくと、本番に役立ちます。

3−5 面接対策はD評価を取らないようにしよう!

裁判所事務官の試験は人物重視といわれています。それは、裁判所事務官(一般職)の場合、面接の点数(配点比率)が全体の10分の4を占めるからです。

また、面接はA、B、C、Dという評価で、Dは不合格となります。したがって、まずはDをとらないことが絶対条件になります。

ではDをとってしまう人はどんなタイプか紹介します。

①裁判所の仕事を全く理解していない。(行政職とは全く異なる仕事です。)
②公務員試験の併願先のひとつとしか考えていない。(志望動機から、裁判所が本命でないことが分かる。)
③声が小さい。(これはどの試験でも論外。)
④裁判所を利用する国民とコミュニケーションをとれそうにない。

特に④が重要なポイントです。
裁判所には、トラブルをかかえた多くの国民が毎日やってきます。その国民をまず相手にするのが裁判所事務官・書記官になります。そのような国民にいかに親身に手続を説明できるかが重要な仕事になります。

したがって、たとえばプライドが高い人、(法学部生にありがちな)理屈っぽい人、話し方の感じが悪い人、暗い人、調子のよい人は、どんなに成績がよくても、頭の回転が速くても、面接官が裁判所事務官としてのコミュニケーション力が不足しているととらえられてしまいます。

この部分をクリアできた人は、実際の面接でC、Bを確保し最終合格することがほとんどです。

よく裁判所事務官は女性に有利といいますが、これは、受験生全体をみたときに、女性の方が、国民が安心できるコミュニケーションをとれることが多い現れではないかと思います。そういう意味では、公正に判断していると思います。

男性でも、接客業の経験者や、民間企業で渉外経験のある方などは上位で合格しています。(1位合格が男性であることも非常に多いです。)

このような点をふまえて、面接対策をしていくことが重要となります。
(志望動機については【試験種別】絶対に合格するための公務員の志望動機の考え方を参考にしてください)

4 裁判所事務官の難易度は国家一般職・都庁ⅠBとほぼ同じ

裁判所事務官のレベルは、総合職・一般職ともに、筆記試験(教養+専門)のレベルは国家一般職や都庁レベルと考えられます。
また、受験層もほぼ重複しているため、国家一般職や都庁IBの合格者が裁判所事務官に合格することは非常に多いです。

もっとも、裁判所には専門科目の記述式試験がありますので、これらは他の試験種とはなかなか比べられませんが、国家総合職(法律区分)の筆記試験よりはやや易しく、都庁ⅠBと問題のレベルは近いですが、採点が非常に厳しいといえるでしょう。

なお、裁判所事務官(総合職)の場合は、採用人数が非常に少ないという意味で、他の試験に比べ難易度が極めて高いともいえます。しかし、試験問題自体の難易度はそれほど高くありませんので、専門科目の記述対策を十分にできれば合格できる可能性が十分あります。

なお、家庭裁判所調査官補については、試験科目が行政職と異なり特殊のうえ、採用人数も全国で50名程度となっており、こちらは狭き門になっています。しかし、試験科目が特殊ということから受験生の数はしぼられてきます。
したがって、最初から無理だと諦めずに、戦略的に試験対策をすることで合格を勝ち取っていただきたいと思います。

5 まとめ

裁判所事務官(総合職・一般職)について平成27年度の情報を参考に紹介してきましたが、①総合職といえど超難関というわけでないこと、②一般職は、ほかの公務員(行政職)試験と十分に併願できること、を知っていただけたかと思います。

公務員の受験先の1つとして考える人は、重複しない科目(刑法)の手をぬかないこと、裁判所事務官のみを受験される方は、専門科目が少ない分、高得点を狙うこと、を意識して勉強をすすめていってください。

また、必ず受験する年度の「受験案内」を自分の目で確認してください。
大幅な変更の場合は、10月頃〜年内に裁判所のホームページに「お知らせ」が掲載されるかと思います。

特にインターネット上の情報は、最新の情報を掲載していない場合もよくありますので、くれぐれも注意しましょう。

保健師の公務員を目指す上で知っておきたい基本情報

保健師が働く職場としてまず最初に思いつくのが保健センターや保健所などの行政の仕事なのではないでしょうか。
実に保健師の約8割が行政関係の仕事に携わっていると言われています。

そんな保健師にとってメジャーな職場である行政の仕事ですが、その道は決して楽ではありません。
行政に携わるためには保健師の資格以外に公務員試験も合格しなくてはならないからです。
特に新卒から行政職になりたいと考えている場合は、保健師資格の勉強と並行して公務員試験の対策もしなければならないため相当ハードとなります。

ここでは公務員保健師志望の方のために、実際の行政で働く保健師の仕事内容、給与、公務員試験の対策などについて触れていきますので参考にしてみてください。

保健師が行政(地域)で働く職場と仕事内容

保健センター・市役所

各市町村の公務員試験に合格した場合に配属されるのが、保健センターや市役所です。
市役所の場合は配属される部署によって少し業務内容が異なりますので、それぞれの詳細を見ていきましょう。

保健センター、市役所の健康推進課・健康づくり課など

保健センターと役所内の健康推進課・健康づくり課などは、業務内容としては同じです。

これらの部署での役割を一言で言えば「市民の健康を守る」ことです。
具体的な仕事内容は、各種検診の実施、健康に関する教室の運営、市民の健康相談対応などとなります。

一口に「市民」と言っても、子ども、お年寄り、母親、病気の人、障害者など色んな人がいます。
こうした全ての市民を対象としているため、非常に幅広い知識が求められます。

そして当然、これだけの範囲を1人でカバーすることはできません。
病院・施設・他の相談機関など様々な関係機関と連携を取り、中心となって仕事を割り振るマネージャー的な能力が必要となります。

福祉課、障害福祉課など

障害者の相談対応や障害福祉サービス(障害者手帳・障害程度区分の判定など)の手続きを行います。
自治体によって障害者相談は、健康推進課・福祉課どちらがメインで担当するのかが違ったりします。

子育て支援課など

子育てや虐待に関する相談、虐待予防などの活動を行います。
児童相談所や学校との連携が重要となります。

人事課など

市役所内で働く職員の健康管理・病気予防の活動を行います。
職場内での検診、健康相談(メンタルヘルスなど)、啓蒙活動が主な仕事です。

保健所

都道府県の公務員試験に合格した場合、主な配属先となるのが保健所です。
保健所では保健センターや市町村よりも、より広域的・専門的な仕事を担当することになっています。
例えば、感染症対策、難病対策、医療機関の監査、地域の福祉関連の研修会を開くなどは保健所が行う特別な仕事と言えるでしょう。

その他、未熟児、発達障害者、HIVなどの難病などの専門的・困難分野に関しては保健所が担当することになっています。

精神保健福祉の分野は少し線引きが難しく、保健所が主担当で保健センター・市役所が主に動く、という形に原則なっているようですが、それまで関わりのあるケースなどは保健所の保健師が積極的に動いたりすることもあり、臨機応変な部分もあります。

また、夜間の電話番のため、当直のある保健所もあるため想像しているような9時5時で帰れるというイメージで公務員になると後悔することにもなります。

都道府県職員のその他の配属先

都道府県庁

主に健康推進のための計画策定や市町村へのアドバイスなどに携わることになります。
規模としては広い範囲の業務に携わることができますが、保健所や市役所のように住民を相手とするというよりも、事務仕事が中心となるため、どちらが良いかはその人次第でしょう。

その他の専門機関

児童相談所・地域包括支援センター・精神保健福祉センター・発達障害者支援センターなど専門分野に特化した機関に配属される可能性もあります。
これらの機関では主に市町村に助言支援を行ったり、困難事例を受け持つなどバックアップがメインとなります。

上記のように様々な職場で活躍することができる保健師ですが、異動については市町村の保健師はほとんど異動がありません。あっても部署間の異動がほとんどです。

一方、都道府県の保健師は3~6年程度で大きな異動があります。
保健所や各種センターは都道府県内全域に出先機関があるため、どこに飛ばされるか分かりません。
ある程度の希望は聞いてくれるようですが、数年で県内のいずれかの場所に異動になる可能性があるということは覚悟しておいた方が良さそうです。

保健師の給与について

公務員の給与は棒給表という表に基づいて支給され、保健師においては国家公務員棒給表(三)(参考:http://kyuuryou.com/w496.html)に準じて定められた、これをベースに自治体の棒給表に則って支払われます(公務員の給与についての詳細は公務員の給料や年収について知っておきたい基礎知識まとめを参考にしてください)。平均年収は大体400~500万前後となっているようです。

保健師でも民間に勤める産業保健師は場所によって年収に差があるものの、平均すると年収500~600万と言われているため、行政保健師の給与は若干安いと言えるでしょう。

保健師の公務員試験対策

公務員試験は多くの方が受験する行政職(事務職)の場合、一次試験として筆記試験(教養試験・専門試験)が課され、二次試験として面接試験や論文試験などが課せられることが多いです。

ただし、行政職だけでなく保健師の公務員試験についても受験する自治体による違いがかなりあります。

例えば山口県職員の27年度の試験の場合、一次試験で教養試験、専門試験(看護・保健分野)の試験が課され、2次試験では論文問題と面接試験が実施されており、一般的な公務員試験といえる内容となっており多くの自治体がこの形式を取っているかと思われます。
(参考:http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/c/c/2/cc2792cc0d771fc70939a6b362abb3ce.pdf

一方、福島県職員の場合、27年度試験案内では教養試験、適正試験、面接試験のみとなっております。
適正試験は特に対策が必要ないため、上記の山口県に比べれば楽な印象を受けるかもしれませんが、筆記試験が少ない分面接試験の配点が大きくなっており、人物重視の試験となっていることがわかります。
(参考:
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/118457.pdf

このように自治体によって試験の形式が異なるため、まずは受験先の自治体のHPに行き、どのような試験が課されるのかをしっかり把握することが重要だということを知っておく必要があります。

筆記試験について

公務員試験の関門といえばやはり膨大な出題科目を学習し突破することです。特に保健師のような専門職の場合、多くの方は国家試験の勉強で専門知識はあるため専門試験よりも教養試験の出来が合否を左右すると言っても過言ではありません。

教養試験

教養試験は必ずどこの自治体でも実施されるため、公務員になりたいと考えているのであれば対策は必須です。

教養試験とは、以下の内容の科目が課せられます。

【一般知能分野】
・文章理解(現代文・古文・英文)
・判断推理
・数的推理
・資料解釈
【一般知識分野】
・社会科学
政治、経済、社会、法律
・人文科学
日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術
・自然科学
数学、物理、化学、生物、地学

一般知能分野は文章理解は現代文・古文・英文などの長文読解が課せられ、判断推理と数的推理は算数やパズル的な要素がある問題であり、資料解釈は表やグラフを読み取る問題となっています。これらの科目について文章理解以外は公務員試験で初めて学習する人も多く、苦手としている人が多い科目でもあります。
しかし、どの試験でも回答必須としており出題数も多いので早めの対策が必要となります。

また、一般知識分野は社会化学、人文科学、自然科学とあり、これらは高校のときに学習する内容となります。大学受験のときにどれくらい勉強したかが出来不出来に大きく差となって現れてくるでしょう。

受験する自治体により出題科目や出題数が異なってきます。そのため、これら全てを学習する必要はなく、なるべく出題数の多いものや自分が得点しやすい科目を選択しましょう。

ただし、試験によっては与えられた問題は全問必須の場合もありますので、併願する試験とのバランスを見て選択することも重要になります。

専門試験

専門試験は公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論など保健師の国家資格で出題される内容について問われることが多いようです。

形式については択一式または論述式で出題されますが、自治体によって異なるためどちらの形式で出題されるかについては必ず確認するようにしましょう。

択一式の場合は、保健師の国家資格の勉強をしていればそれほど問題ないかと思います。
すでに資格を持っている方は受験する自治体のHPから過去の出題を見てみて、どの程度解けるか確認してみましょう。

もし、保健師を取得してから時間が経っている場合は内容について結構忘れているかと思いますので、保健師の資格取得のときに使っていた参考書を読み直しておき、実際に保健師の国家試験の過去問を解くことが最も良い対策となります。

教養試験もそうですが、公務員試験含めどのような試験もやはり過去問をこなすことが最も効果的です。
保健師の資格を取得された方はわかるかと思いますが、同じような問題が形式を変えて他の年に出題されるということは公務員試験でもいくらでもあります。

そのため、ある程度過去問をこなすことでパターンを身につけ、知識の引き出しを多く持つことで対応することができます。ただし、漫然と過去問を解いてもわかったつもりになってしまい本試験で解けないというパターンに陥ってしまうので、必ず理解しながら解くようにしましょう(不安な方は公務員試験合格に必要な正しい過去問の解き方を参考にしてください)。

論述式の場合は知識を問われる問題と、あなたの気構えや姿勢を問われる問題の2パターンがあります。
知識を問われる問題の場合、それほど難しい問題が出題されることはないので、択一式の場合と同じように教科書や参考書を読みなおしておけば問題ないでしょう。

面接試験

試験が比較的簡単な自治体でも難関となるのは、やはり面接試験です。
その自治体を志望した動機や自己PRといった基本的なことに加え、なぜ公務員を目指すのか、保健師として自分は何ができるか、といった部分もしっかりと答えられるようにしなければなりません。

公務員試験は筆記試験対策が大変なので面接対策は軽視されがちですが、特に地方公務員は人物重視の傾向となっているため、いくら筆記試験の点数が良くても面接での印象が悪いと落とされてしまうことは当たり前のようにあります。

とは言っても民間企業の面接ほど倍率は高くありませんので、予備校などでしっかりと対策をすれば十分に合格することができます。

せっかく筆記試験に合格しても面接で落とされてしまっては元も子もありません。最後まで気を抜かないようにすることが大切です。

まとめ

公務員というと楽なイメージがあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。特に保健師は住民の健康に関する仕事であるため行政職よりも責任が重く大変な場合が多いです。
その分やりがいも大きいのも特徴といえるでしょう。

まずは自分が「なぜ公務員になりたいか?」をよく考え、合格するためにしっかりと計画的に公務員試験の学習を始めるようにしてください。

公務員の看護師を目指すうえで知っておきたい基本情報

看護師免許をお持ちの方の中には、「公務員として安定した生活を送りたい」と考えている方もおられるかと思います。
しかし、看護師が公務員になるための情報はネット上でも意外にも少なく、実際に民間の看護師と何が違うのかすらわからない方も多いのが現実です。

公務員に転職するにもそうした内容を知らないことにはそもそも公務員に転職すべきかという判断に迷ってしまうかと思います。

ここでは、看護師が公務員になった時に働く場所や仕事内容、給与、試験内容について説明していきますので、公務員の看護師として働くことを検討している方は参考にしてください。

看護師が公務員として働く職場

公務員の看護師として採用された場合、どこで働くことになるのかは気になることかと思います。ここでは公務員として働くことになったとき考えられる勤務先について述べていきます。

市立病院・県立病院

公務員となった看護師の大半が市立病院や県立病院に配属されることになる職場です。市や県が経営する病院や診療所に勤務します。

仕事内容は、外来・入院患者などの看護業務が主な仕事となりますが、他にも訪問看護の部署といった病院外に出る仕事や、地域連携室などの直接看護するのとは別の部署に配属されることもあります。

病院勤務の場合、はじめのうちはほとんどのところが病棟からのスタートなので、夜勤はあると思っておきましょう(診療所の場合はもちろん夜勤はありません)。

ここまでの内容を見て分かる通り、仕事的に民間病院との違いはほとんどありません。
公立・民間の違いよりも、それぞれの病院によ業務の違いの方が大きいでしょう。

※ちなみに国立病院というものもありますが、ここで働く看護師は厳密にいうと公務員ではなく、「準公務員」扱いのようです(待遇面では国家公務員と大きな違いはありませんが市立・県立病院の方が待遇は上です)。

保健所

県の職員として採用された看護師のごく一部が配属される職場です。
感染症対策をまとめたり、県民の健康相談に乗ったり、母子・老人・障害者などを対象に健康作りの活動を行うなど、かなり幅広い仕事を任されることになります。

関係機関との調整や特殊な事務作業など、病棟の看護師とはまた違ったスキルが求められますので、ある程度看護師経験を積んでから目指す方が良いかもしれません。

肉体的には病院での勤務に比べれば比較的楽であり(精神的にキツイことはありますが)、夜勤もないため、看護師からは人気の職場のようです。ただし、求人はあまり多くないため、常にチェックしておき募集があったらいつでも応募しておけるようにしておくぐらいの気持ちでいたほうが良いでしょう。

その他の職場

市町村や都道府県が運営する地域包括支援センター、保育所、老人・障害者施設など看護師の配置されている公立施設は意外と多くあります。

地域包括支援センターではケアプランの作成、高齢者やそのご家族の健康相談にのる仕事で、直接的な看護はなく、保健所の仕事と似ていると言えます。

保育所では園児の健康管理や病児の世話、保育補助などが主な仕事となります。
老人・障害者施設では、老人(障害者)の健康管理、見守り、作業補助などが主な仕事です。
こちらの2つは直接的な看護業務と言えますね。

これらの施設は看護師の数が少なく、1人~数人が配置される程度なので、保健所と同様求人は少ない傾向にあります。

またこれ以外にレアなケースですが、市役所や県庁など役所内での勤務となることもあります。
この場合、市や県の医療計画の策定や健康推進の活動など、現場から離れたちょっと大きな視点での仕事をすることになります。
長年公務員として働き、師長をするなど実績を残している人が引き抜かれたりするようです。

国家公務員として働く場合

看護師がなれる国家公務員は、少々特殊な仕事になります。
例えば、全国に13施設ある国立ハンセン病療養所では看護師を随時募集しています。
ここはハンセン病患者を対象とした入所施設で、ハンセン病の後遺症に苦しむ患者さんの看護を行うこととなります。
(参考:http://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/hansen-nurse.html

また、自衛隊看護師という職業もあります。自衛隊看護師になるためには、自衛隊中央病院看護学院で看護師の資格を取るのが一番の近道ですが、ごく稀に既に看護師免許を持っている人を募集する場合もありますので気になる方はチェックしてみましょう。
(参考:http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/recruit/12.html

公務員看護師の給与について

公務員といえば安定した給料で年々上がっていくというイメージがありますが、看護師として公務員になった場合はどうでしょうか。

公務員看護師(病院勤務の場合)の給与は民間病院の看護師に比べ、若干高めです。
公務員の給料は棒給表というものをもとに決定されており、これまでの経験や採用枠によって給料が異なります。(公務員の給料について詳細を知りたい方は公務員の給料や年収についてしっておきたい基礎知識まとめをご覧ください)

大半の公務員は行政職の棒給表がベースとなりますが、看護師は職務上専門的な職種となるため医療職俸給表(三)というものがベースとなり決定されます。(参考:国家公務員看護師の棒給表 http://kyuuryou.com/w496.html

民間看護師と公務員看護師の給与比較は様々な調査がありますが、民間病院に比べ、公務員看護師の方が大体年間50~80万ほど多くもらえるようです(公務員として働いた場合の給料については詳しく知りたい方は日本看護協会のデータを参考にしてみてください)。

民間では病院によってバラツキがあるボーナスもきちんと出ますし、一般的にあまり昇給のない看護師が毎年昇給するのは公務員ならではといえます。なお、支給額については民間との較差がないよう毎年調整するため、もちろん下がることもあります。

しかし、病院勤務以外など夜勤のない看護師の場合、給与は病院勤務の場合よりもかなり減少するでしょう。
公務員の看護師の基本給は最初こそ良いものの上昇のスピードは遅く(行政職以下)、夜勤手当がないとかなり給与が下がってしまうことも多いので、これまで病院でバリバリ夜勤勤務をしていた人は要注意です。

看護師の公務員になるためには(公務員求人の見つけ方、試験対策)

公務員として働くと待遇が良くなるというのは魅力的ですが、看護師の場合、求人を見つけることが難しいという現状があります。

条件の合う求人を見つけるため、こまめに求人をチェックし、年齢制限などを確認するようにしましょう。求人さえ見つけてしまえば公務員看護師になるための試験自体はそれほど難しいものではないので、事前にどのような対策が必要か調べていきましょう。

看護師の公務員の仕事の見つけ方

看護師が公務員になろうと思った時、一番困るのが求人の探し方です。
自治体によっては、毎年多くの看護師を一括で大量募集しているところがあるため、新卒で入職する場合などは、この一括採用の流れに乗るのが理想的です。
多くの自治体は3月~6月に翌年の4月入職者を募集しているので、このタイミングで各自治体の募集を探してみるのが良いでしょう。

しかし、ほとんどの看護師の方は現在民間の病院などで働いていて公務員への転職を考えているのではないかと思われます。
そうした場合、募集をしている自治体を一つずつチェックしていくしかありません。しかも自分の希望する自治体が常に募集しているとは限らないため、なかなか仕事を見つけるのには苦労してしまうという現状があります。

看護師専用の求人サイトは多数ありますが、公務員だけに特化したサイトというのはあまりありません。
民間も公務員も両方扱っている求人サイトで探すとなると、名前は公立っぽいけれど民間病院だったりと紛らわしい場合もあり、余計な時間がかかってしまうこともあります。

公務員試験の情報だけの情報を得るにはこむいんというサイトがおすすめです。
本サイトでは公務員看護師求人だけを探せるだけでなく、地域や年齢での絞り込み検索もできます。

もし、自分の希望する自治体で募集があれば詳細ページよりホームページに行き、必ず募集内容を確認し最新の情報を見るようにしてください。

看護師の公務員試験対策

看護師には、一般的に言われる「公務員試験」というものはありません。通常、公務員になろうとすると教養科目と専門科目の試験が課せられ、20科目以上もの勉強をしなければならず非常に難関な試験となっています。

しかし、看護師の公務員試験は多くの自治体は小論文と面接試験(適性検査)のみです。
筆記試験を課される自治体もありますが、しっかり対策しなければならないほどの難しい問題は出題されず、一般常識レベルの問題です。

どこの地域でも看護師不足に悩んでいるため、「公務員であればどこでも」というのであれば、合格するのはそれほど苦労することはないでしょう。
ですが、やはり人気の職場は多くのライバルが集まるので、小論文と面接試験は最低限対策しておきましょう。

小論文は課題があり看護に対する自分自身の考えを述べさせるという問題が多く出題されます。専門的な問題というより、文章がしっかりしているか、まとまっているかを見る問題です。
文章を書くのに苦手意識がある人は、事前に文章を書く練習をしておくといいでしょう。

面接試験は、一般の就職面接と変わりありません。
病院勤務の場合は、志望動機・自己PR・看護師としてどういう仕事をしたいか、という辺りの回答をしっかり用意しておきましょう。特に民間ではなく公務員を選ぶ理由についてしっかりと説明できるようにしておきましょう。
特に病院であれば仕事内容については民間も公務員もほぼ変わりません。そのため「なぜ公務員なのか」を事前にしっかりと考えを固めるようにしておくことが重要です。

保健所など病院以外の勤務の場合、人気の職場なので面接が合否を分けると言っていいでしょう。
上記の基本的な回答に加え、「なぜ保健所で働きたいのか」「自分が保健所で働くことでどういう良い効果をもたらすことができるのか」ということまで話すことができれば、ぐっと合格が近付くかと思います。

まとめ

看護師が公務員になることで得られるメリットは給与面だけではありません。
公務員看護師は研修体制がしっかりと整っており、新卒採用の場合、最初の2~3カ月ほどはみっちりと研修を行います。
また、その後も様々な認定看護資格を取りやすい環境ですし、病院自体も民間に比べ新しい技術を積極的に取り入れます。
「看護師としての専門性を磨く」という面においても、公務員看護師は良い環境だと言えるのです。

公務員と言えば、「安定していて日々ルーチンワークしている」というイメージもあるかと思いますが、看護師の場合はむしろ民間以上に積極性がないと取り残されてしまう可能性があります。
バイタリティがあり、積極的に新しい技術を学んでいきたい看護師さんこそ、公務員を目指してみてはいかがでしょうか。

公務員試験合格に必要な勉強時間を知りたい人に伝えたいこと

公務員試験は難関試験と言われていますが、一体どれくらいの勉強時間が必要なのか気になる人も多いかと思います。
一般的には1000〜1500時間とされていますが、じゃあどういう人が1000時間でどういう人が1500時間必要なの?と感じるのではないのではないでしょうか。

ここでは公務員に合格するために必要な勉強時間について詳細に解説していきますので、これから勉強を始める人や現在勉強をしているけれど不安な人にとって悩みが解決されることを願います。

1.合格に必要な勉強時間は人それぞれ

公務員試験に合格するために必要な勉強時間は一言で言ってしまえば人それぞれです。

元も子もないような言い方ではありますが、他の資格試験とは異なり公務員試験は試験の種類も様々であり、また大学受験でどの程度の科目を勉強にも大きく異なってきてしまうためです。

そのため、まず自分が受験する試験がどのような試験科目が課せられるのかをチェックしてみましょう。
公務員試験は教養科目と専門科目が中心に出題されますが、試験によっては教養科目のみのところもあります。そうすると教養科目だけの試験のほうが当然勉強時間は短くなりますし、専門科目が必要な場合でも大学での専攻や記述対策が必要かでも異なってきます。

一般的に公務員試験に出題される科目は以下のとおりです。

■教養科目
【一般知能分野】
・文章理解(現代文・古文・英文)
・判断推理
・数的推理
・資料解釈

【一般知識分野】
・社会科学・・・政治、経済、社会、法律
・人文科学・・・日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術
・自然科学・・・数学、物理、化学、生物、地学

■専門科目
【行政系科目】政治学、行政学、社会学、社会政策(労働経済・社会保障)、国際関係、社会事情など
【法律系科目】憲法、行政法、民法、商法、刑法、労働法、国際法など
【経済系科目】経済原論(ミクロ経済学・マクロ経済学)、経済学、財政学(公共経済)、経済政策、経済学史、経済史、経済事情、統計学、計量経済学、国際経済学など
【商学系科目】会計学、経営学
【その他】英語、教育学、心理学など

たとえば、大学受験でセンター試験の勉強を5教科7科目した人にとっては一般知識分野はそれなりに勉強しているはずなので、改めて勉強をするとしても少しの労力で済みます。
逆に私立専願で英語と国語や歴史しか勉強していない人はやってない科目のほうが多くなるため、センター試験の経験者に比べて時間がかかるわけです。

また、経済学部や法学部などで上記の専門科目を専攻していれば多少なりとも知識としてあるわけですから理解が進むはずです。そして、得意科目や苦手科目も人によるため、受験先の出題科目との相性もあるでしょう。

受験する試験が国家公務員総合職や一般職、裁判所事務官、国税専門官、地方公務員(都道府県庁・市区町等)によって必要な科目も異なってくるので、本当に一概に言えないのが公務員試験の特徴でもあるのです。

冒頭で述べたように、一般的に言われている公務員試験に合格に必要な勉強時間は1000〜1500時間です。しかし、こうした背景により必要な勉強時間は人それぞれだということを知っておく必要があります。

また、よく1日何時間すればいいかという意見も多いのですが、上述のとおり人によって必要な時間が異なるので、他の受験生が10時間やっているという話を聞いて焦ったりする必要はないでしょう。

2.勉強は計画通りに進むことはない前提で進めていこう

人によって合格に必要な勉強時間が違うということは理解できたかと思いますが、ではそうした場合に「じゃあ結局何時間勉強時間なのか?」という疑問が生じるかと思います。

これについてはあなたがいつから学習を始めたかにも大きく依存します。

公務員試験は通常、6月前後から始まります。司法試験や公認会計士試験のような超難関試験とは違い、難関といえども1年あれば十分に合格できる試験ではあるため、予備校の1年プランなどを受講する人が比較的多いです。

しかし、中には勉強を始めるタイミングが遅く、10月以降や年明けという人も中にはいます。そういう場合でも合格できる試験でもあるため、重要なのは綿密な計画プランと効率的な学習となります(短期間での合格が不安な方は公務員試験に3ヶ月〜半年の短期間で合格する方法をご覧ください)。

通常は専門科目であれば憲法や民法、行政法、経済学を、教養科目であれば数的処理といった主要科目から学習を始めます。そしてある程度学習が進むと専門科目は財政学や経済史といった経済系のサブ科目を、教養科目は日本史や世界史などの人文科学と数学や物理などの自然科学を進めていきます。

そして人によっては商法や刑法、会計学といった特定の試験にのみ出題される科目を学習します。

予備校であれば計画的なスケジュールで合格に必要なカリキュラムが組まれているので、そのとおりに学習していけば問題ありません。
しかし、独学の場合これらを自分で計画を立てて学習を進めていくく必要があります。

長期的プランと短期的プランを立て、主要科目とそれ以外の科目をどのように進めていけば本試験に合格できるかをしっかりと考えてください。
ほとんどの場合、計画どおりに進むことはありません。人間というのは楽なほう楽なほうにいってしまう傾向にあるので、今日は気が乗らないからいいや、明日頑張ればいいや、と思うときが必ずあります。

そうすると当初予定していたとおりに進まず、本試験に間に合わない状態で挑む方が後を絶ちません。

こうした事態を避けるためにも予備校などである程度ペースを作ってくれ、また同じく公務員を目指す仲間を見つけることも重要です。
約一年もの間、一人で勉強を続けることはモチベーションを維持することはとても難しいものです。そのため私は公務員試験を現役で合格したいのであれば独学ではなく予備校に通うことを強くすすめています。

話が少しそれましたが、学習プランは必ず当初の計画どおりに進むことはありません。しかし、勉強を始めるときに何から勉強を始めるのが大切か、どの科目が重要かは意識する必要があります。もちろんこれはどこを併願するかによって異なるので、学習プランを立てる際には、自分はどこを受験するか、そして必要な科目の勉強を進めていくには1日どれくらいの勉強(時間ではなく量)が必要なのかについて何となく決めておきましょう。

3.合格体験記や先輩の話は参考程度にしよう

ここまでで公務員試験に合格するための勉強時間が人によって異なることや学習プランを立てることが重要であることについて理解いただけたかと思います。

そして、勉強を続けていくなかで自分の勉強方法が正しいのかどうか知りたかったり、合格者はどのように勉強しているか気になる人も多く、合格体験記や公務員試験に合格した先輩の話を参考にしている人もいます。
苦手科目をどのように克服したか、どのような計画を立てて勉強したか、直前期はどのくらい勉強したか、モチベーションが下がったときはどうしたか、など様々な情報を得ることができるのでとても参考になるでしょう。

しかし、これまでの話のとおり、合格のための道は一つではなく受験者の数だけ方法があるのです。そうしたなかで、特定の個人の方法をマネしたところでその人に合っているかどうかはわかりません。

直前期の勉強時間についても、ある合格者は7時間しかやっておらず、他の合格者は12時間やっていたりと本当に人によって異なります。それは先述のとおり大学受験の際にどれくらい勉強していたかによりますし、どこを受験するかにも必要な科目が異なってくるので、勉強時間は人によって違って当たり前なのです。

そのため、先輩は5時間の勉強で合格したと言っていたとしても、それはその先輩が受験した試験の科目と得意科目がマッチしていたり、効率的に勉強を進めていたりと様々な要素が考えられ、それが必ずしもあなたに合っているとは言えないため、参考程度にしておくべきです。

モチベーションの上げ方や息抜きの方法、併願先の選び方などは参考になる部分も多いかと思いますが、勉強については何度も言っているとおり本当に人それぞれなので、「どのように学習を進めれば本試験に間に合うか」を考えながら勉強をすすめていきましょう。

参考までに、私の場合は学習期間は7ヶ月ぐらいで、普段は1日5時間程度、直前期でも週2でアルバイトをしながら8時間ほどの勉強で国家一般職や特別区、国立大学法人に合格することができました。
これはある程度科目を絞り、隙間時間を有効活用するなど効率的な勉強をしたからこれぐらいの勉強で合格できたと思っています。

しかし、これは私の場合で万人に共通しておすすめできるものではありません。こうしたことから「何時間勉強が必要か」などという疑問は的外れだと気づくはずです。

4.まとめ

勉強時間はひとそれぞれだということはお分かりいただけたかと思います。
他人がやる方法はあなたにとってベストな方法ではありません。

計画を立て、それを淡々とこなしていくしか公務員試験の合格はあり得ません。
あまり勉強時間というものに縛られないよう勉強を進めていきましょう。

公務員試験に合格するための日本史の勉強方法

公務員試験の科目は膨大であり、日本史については主要科目でもないためどのように勉強すればいいのか、そもそも捨ててしまってもいいのかという悩みを持っている人も多いかと思います。

ここでは日本史の勉強方法や他の科目とのバランスを考慮した学習計画の考え方などについて自身の経験から書いていきますので、日本史の勉強に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。

1.公務員試験の日本史の出題数

日本史は教養試験の一部の人文科学という分野の一つとして出題されますが、その出題数は公務員試験の種類によって異なります。

多くの受験生が受験するであろう国家公務員試験(国家総合職、国家一般職、財務、国税、裁判所)では、ここ3~4年間は1問の出題数となっています。
また、これらの国家公務員試験と同時期に実施される、地方上級試験(A日程)やB日程の試験での出題数は、地域によって異なりますが、1~2問出題される場合が多くなっています。

このように、日本史の出題数は国家公務員試験であれ地方公務員試験であれ、1、2点分しか出題されません。
公務員試験は科目が膨大なので、1、2点分しかない日本史に多くの時間を割くことができません。全ての科目に言えることではありますが、公務員試験に合格するためには効率良く学習を進めていくことが鍵になります。

2.日本史の頻出分野

効率良く勉強し、得点していくためには、まず頻出分野だけ取り組むというやり方があります。

ちなみに、2015年度の国家公務員試験では以下の内容が出題されました。

国家一般職→教育に関する歴史
国税・財務専門官→江戸幕府が行った政策
国家総合職→産業、貿易の歴史
裁判所職員→近代日本の経済史

以上を見ていただけると分かると思いますが、国家公務員試験の直近の傾向としては、日本史はテーマ史(教育・産業などの一分野における日本の歴史について問う)が出題されることが多いようです。

ただし、国税・財務専門官試験のように、特定の時代だけをピンポイントで拾って出題されることもあります。その場合は、近代・現代(江戸幕府以降)が比較的多く出題されています。古代(弥生時代など)はほとんど出題されていませんので、時間がなければ頻出分野以外の時代は捨ててしまうのも手ですね。

なお、今回は国家公務員試験を例に分析してみましたが、都庁や特別区をはじめ地方公務員試験についても、過去問500や各予備校が出版している過去問集を見て、どのような分野が出題されているか分析してみましょう。

ただ、ほとんどの受験生は多くの公務員試験を併願して受験すると思いますし、特に国家公務員一般職試験は多くの公務員試験受験生が受験すると思います。そのため、時間のない受験生でも、可能であればテーマ史と近代・現代日本史については触れておくことをおすすめします。

3.日本史の勉強方法

日本史は数多くの教養科目の中の一科目に過ぎません。しかし確実に得点することが試験合格には必要であり、効率的に勉強を進めることも重要です。
以下では具体的な勉強方法について説明していきますので参考にしてください。

3-1.日本史の勉強の進め方について

予備校に通っている方は、授業を聞いて予備校で支給される問題集(過去問集)で演習というオーソドックスなやり方で十分です。公務員試験の勉強全般に言えることですが、多くの問題集に手を出すことは決してやってはいけないことであり、まずは手元にある問題集を完璧に解けることを目標にしてください。

もし独学の方であったり、特定の分野を強化したいという方は別途過去問を使ってもいいでしょう。過去問集は、私の周りではクイックマスターを使っている人が多く、私自身もクイックマスターを使用していたという経験から日本史を含め教養科目はできればクイックマスターをこなしていくことをおすすめします。

公務員試験 過去問新クイックマスター 人文科学I(日本史・世界史) <第5版>
公務員試験 過去問新クイックマスター 人文科学I(日本史・世界史) <第5版>

公務員試験過去問集で有名なものにスーパー過去問ゼミがありますが、一般知識の科目は、スー過去だと問題数が少なく解説も不親切な部分が多いため苦手な人などは情報として不十分であり理解が難しいように感じられます。こうした理由から市販の過去問を使うのであればクイックマスターをおすすめします。

インプットについてはダイレクトナビという知識を身につけながら問題を解くことでアウトプットできる参考書がおすすめです。

上・中級公務員試験 過去問ダイレクトナビ 日本史 2017年度
上・中級公務員試験 過去問ダイレクトナビ 日本史 2017年度

もし独学で勉強を進めているのであれば、過去問を解く前にこのようなわかりやすい参考書で一通り読み通してたほうがいいでしょう。

日本史の過去問を解いていく頻度としては3日おきぐらいで解いていくといいでしょう。もちろん毎日解ければいいでしょうが、公務員試験は膨大であるため他の科目含め毎日触れることは難しいと思います。
主要科目は毎日解くようにし、日本史含め他の教養科目は3日おきぐらいのスケジュールで解いていくようなイメージで計画を立てるといいでしょう。

ちなみに、市販の参考書や過去問集を見れば、各試験種の出題傾向分析がかなり細かくなされたページがあるため、自分の志望先の出題傾向を具体的に知ることができます。
もし受験先が決まっているという場合であれば、参考書や過去問で出題傾向を確認し、活用してみましょう。

3-2.問題の解き方

日本史の問題の解き方については、他の科目と特段変わった解き方をする必要はないと思います。間違った問題の選択肢を見て、なぜ間違ったのか、どこで躓いたのかをしっかりと確認することが大事です。
公務員試験は、知識分野に関してはとにかく同じことが繰り返し出題されますし、繰り返し出題されるということは、その分野・知識が重要であるからです(具体的な過去問の解き方については公務員試験合格に必要な正しい過去問の解き方を参考にしてください)。

過去問集以外に、重要事項をまとめた参考書を持っている方も多いと思います。テーマ史など、流れが重要な分野は問題を解くだけでなく、その参考書を読んで流れを掴むというやり方も良いでしょう。
断片的な知識で解ける問題もありますが、先ほども述べたように近年はテーマ史が多く出題されていますので、大きな歴史の流れを掴むことは大事です。

また予備校に通っている方は、受講コースにもよりますが、WebやDVD授業の音声が自分の持っているiPodやウォークマンにダウンロードできる場合があります。その場合は、移動中やスキマ時間に音声を流し、聞くだけでも知識の頭への定着が違いますので、利用できる場合はぜひ利用しましょう。音声で頭に叩き込んでおくと、いざ問題演習をする時にかなり役に立ちます。

4.日本史は文系であれば捨て科目にしないほうがベター

知識分野は、試験種にもよりますが、日本史の他にも世界史、地理、生物、物理、化学、思想、社会科学、時事…と、とにかく科目が沢山あります。

しかし、出るのはどれも一問程度です。一問くらいなら勉強しなくていいや、と言って全捨てする方もいますが、全捨てはオススメしません。
数的処理が満点を取れるくらい得意であるといった場合を除き、半分以上の科目には取り組んで得点してほしいところです。

そこで問題になるのが、どの科目を捨てるか、いわゆる捨て科目をどれにするかということです。大学受験時にセンター試験を受験した方は、センター試験で使った科目をそのまま勉強するのがオススメです。そのため、センター試験で日本史を受験した方は、ぜひ公務員試験でも日本史で一点分得点してほしいと思います。

公務員試験は技術職よりも行政職志望が圧倒的に多いため、大半の受験生が文系だと思います。センター試験を受験していないという方でも、文系の方は物理や化学に比べ、日本史は暗記をすれば得点できることから圧倒的に取り組みやすいのではないでしょうか。

以上のことから、センター試験で日本史を選択した方、文系受験生の方は、ぜひ日本史で一点分得点してほしいと思います。

ただし、直前期で数的処理や専門科目など他の主要科目の学習が計画通りに進んでいない場合は思い切って捨ててしまうという手もあります。
もちろん捨て科目は最小限にし、確実に一点でも取っていくことが公務員試験では重要ですが、やはり主要科目をきちんと解けるということが合格のための近道であり、他が十分でないにも関わらず日本史に手をつけてもたかだか一点です。

矛盾しているように感じるかもしれませんが、結局は勉強の進捗状況や試験の時期に左右されるため一概にいえないというのが正直なところです。また、日本史か世界史のどちらかで迷っている人は単純に得意不得意や好き嫌いで決めてしまって問題ありません。

5.日本史の勉強は主要科目を固めてから始める

ここまでで日本史のおおよその勉強法について理解できたかと思います。では、そもそも日本史の勉強はいつから始めるのがベストなのでしょうか?
もちろんこれについては正解はありませんが、3月くらいから始める人が多いようです。
本試験が6月から始まるのに、それでは遅いのでは?と思うかもしれませんが、それまではやはり他の主要科目の勉強に集中して取り組んでいく必要があるため、あまり早めに手をつけることは賢明ではありません。

できれば1月くらいまでに法律・経済系や数的などの主要科目を固めて2月くらいには手をつけていきたいところですが、思いどおりに進まないことがほとんどです。もちろん、計画的に学習を進めることができ、早い段階で主要科目を固めることができる人は早めに始めるに越したことはありません。

また、日本史が得意な人やセンター試験で学習した人などは4月からでも十分だと思います。何度も伝えているように、まずは主要科目をしっかりと学習していくことが重要になるため、あまり日本史の勉強に時間を取られないように全体の勉強のスケジュールのバランスを見て進めていくようにしましょう。

6.まとめ

日本史の勉強は膨大な試験科目の中のひとつに過ぎず、また出題科目も決して多くはありません。
しかし、最初から捨てようとするのではなく、頻出分野だけやってみるなどし一点でも多く取れるようにしてみましょう。
そして暗記科目であるため移動時間を使用するなど効率的に学習を進めていき、少しでも多く得点できるよう計画立てて勉強を進めていくようにしてください。

世界史の勉強方法については公務員試験の世界史の勉強法と捨てるかどうかの判断についてをご覧ください。

公務員試験合格に必要な正しい過去問の解き方

公務員試験の勉強をしていて今のやり方が正しいのか悩んだことはありませんか?

多くの人は予備校なりテキストでインプットをし、過去問を解くことでアウトプットをするという勉強方法をしているかと思います。

公務員試験のほとんどは5肢択一問題、つまり5択の中から一つ正しいもの、もしくは間違っているものを選ぶというものになっています。そのため、過去問もその形式となっているので、漠然と解きがちになってしまい、いざ新しい問題を解こうとすると解けないということがよくあります。

それは過去問を正しく解いていない証拠であり、身についていない状態といえます。

ここでは、そうならないよう正しい過去問の解き方を身につけ、確実に得点を伸ばす方法について書いていきますので参考にしてみてください。

過去問を制するものは公務員試験を制す

公務員試験の勉強で必須の過去問ですが、公務員試験に合格するためには過去問を繰り返し解くというのはほとんどの人は理解しているかと思います。

過去問は正確には「過去問題集」であり、過去に様々な試験で出題されたものを出題内容ごとにまとめたもので、なおかつ出題傾向の高いものが一冊にまとまっています。そのため過去問を解くことで出題範囲をすべてを網羅でき、本試験に必要なレベルの知識を身につけることができます。

さらに、公務員試験の大半は過去に出題されたものから似たようなかたちで出題されるという傾向があります(違う問題に見えるものでも表現方法が違うだけで内容は同じというものも多々あります)。
そのため、過去問を一冊完璧にやりこめば本試験では似たような(または同じような)問題に複数遭遇することに気づくはずです。

こうしたことから、公務員試験に合格するためには過去問をこなすことが非常に重要であるといえ、逆に過去問を解かずして公務員試験の合格は難しいといえるでしょう。

過去問を解くときは「理解」を重視しよう

過去問の重要性について述べましたが、公務員試験に合格するためにはとにかく過去問を解きまくることが重要です。

過去問を覚えるぐらい繰り返すということが重要ですが、ここで勘違いしてはいけないのは「この問題は答えは4番だ」というように答えを覚えてもまったく意味がないということです。

答えを覚えるのではなく、その問題が一問一答の問題だと思ってそれぞれの選択肢が正しいのか間違っているのかをひとつづつ検証してください。

以下では憲法の三権分立を例に過去問の解き方を見ていきます。

【問い】次の中から正しいものを選べ。

1 三権分立に基づき、裁判官は、国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所の弾劾裁判によって罷免されるほか、内閣の懲戒処分によっても罷免される。

2 三権分立に基づき、裁判官は、国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所の弾劾裁判によって罷免されるほか、内閣の懲戒処分によっても罷免される。

3 三権分立に基づき、裁判官は、国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所の弾劾裁判によって罷免されるほか、内閣の懲戒処分によっても罷免される。

4 三権分立に基づき、裁判官は、国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所の弾劾裁判によって罷免されるほか、内閣の懲戒処分によっても罷免される。

5 三権分立に基づき、裁判官は、国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所の弾劾裁判によって罷免されるほか、内閣の懲戒処分によっても罷免される。

このように五肢択一の問題ですが、実際に解くときは「それぞれが別の問題」つまり一問一答形式と思って解きます。

肢1であれば、この問いについて正しいか間違っているかジャッジします。決して問いが「正しいものを選べ」だからと言って肢1が正しいからこの問題は終了、ではいけません。

ちなみに肢1の場合、行政機関が裁判官の懲戒処分をすることができない、ということと裁判官は懲戒処分によって罷免できない、という点から間違いであるので、「なぜ肢1は間違っているのか」という部分を解説を読んで確認するようにしましょう。

このとき、同時にテキストや参考書でも該当のページを確認することも重要です。そうすることで周辺の知識も確認することができるので、「前後関係」や「なぜそうなのか」という部分の背景を理解することができます。

もし肢1について、内容が正しいと思ったのであればそれは不正解ですので、肢1に「×(バツ)」をつけ(「問い」に×をつけるのではなく肢につけます)、後日必ず復習をするようにしましょう。

同じように肢2〜肢5まで確認し、何がわからなくて間違えたかを常に「理解」しながら解くようにしましょう。

間違えた問題は必ず定期的に復習する

このように一問一答形式のように一肢ごとに検証していき、分からなかった選択肢(問題ではない)については後日(1週間後や1ヶ月後)また解き直し、分からない選択肢がなくなるまで何度も繰り返し解くという方法で行います。

一回目から解けた問題はおそらく今後も解けるでしょうから、一度でも間違えた問題について繰り返しやることが必要です。

有名ですが、エビングハウスの忘却曲線というものがあります。それによると、20分経過で42%忘れ、1時間経過で56%忘れ、1日経過で74%忘れ、1週間経過で77%忘れ、1ヶ月経過で79%忘れる、というデータが出ています。

つまり、次の日には7割も忘れてしまうということがわかります。ですので、ベストな方法としては問題を解いた翌日に間違えた部分についてはもう一度確認をし(解き直さなくてもいいです)、「何がわからなかったのか」について再確認をするようにしましょう。

そして、これを一週間や1ヶ月という感覚で定期的に行い、何度もインプット&アウトプットをすることで嫌でも理解することができます。

もちろん、人によって復習するタイミングは異なるかと思いますが、私は問題集全部を1周したら2周目に入るという方法でやっていました。しかし、翌日復習するという人もいますし、1週間後という人もいますので、これが正しいという方法は特にないので、自分がストレスなく続けられる方法でやっていけば大丈夫でしょう。

何度も言いますが、過去問についてはとにかく大切なのは繰り返し解き、「理解」するということです。解答の暗記や一回解いて終わりということは絶対にやめるようにしましょう。

まとめ

公務員試験に合格するためには過去問をとにかくこなすことが重要です。

しかし、「3周した」など何周したかについてはあまり意味がありません。それよりも一肢ごとに選択肢を吟味し、本当に理解したかをその都度確認することが最も大切なのです。

そして決して解き放しにはせず、繰り返し解くことで体と頭に覚えこませましょう。

公務員試験に出題される科目まとめ(行政・事務系)

これから公務員試験を勉強しようと悩んでいるあなた。公務員試験は膨大な科目が課せられると聞いて尻込みしている人がいるかもしれませんし、そもそもどんな科目があるのかわからない人もいるでしょう。

公務員試験は試験の種類や職種によって試験科目が異なります。なので、ここではどのような科目が出題されるのかを網羅的にまとめているので、自分がどの科目を勉強するべきなのか参考にしてみてください。

1.教養試験

公務員試験のほとんどは教養試験が課せられ、一部の自治体を除きほとんどが五肢択一式(5つの選択肢から正しいまたは間違っているものを選ぶ方法)となっています。

教養試験の出題科目は以下のように一般知能分野と一般知識分野に大別され、一般知識分野はさらに社会科学、人文科学、自然科学と分けられそれぞれに科目が割り当てられています。

【一般知能分野】
・文章理解(現代文・古文・英文)
・判断推理
・数的推理
・資料解釈

【一般知識分野】
・社会科学
政治、経済、社会、法律

・人文科学
日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術

・自然科学
数学、物理、化学、生物、地学

一般知能分野は文章理解は現代文・古文・英文などの長文読解が課せられ、判断推理と数的推理は算数やパズル的な要素がある問題であり、資料解釈は表やグラフを読み取る問題となっています。これらの科目について文章理解以外は公務員試験で初めて学習する人も多く、苦手としている人が多い科目でもあります。

しかし、どの試験でも回答必須としており出題数も多いので早めの対策が必要となります。

また、一般知識分野は社会化学、人文科学、自然科学とあり、これらは高校のときに学習する内容となります。大学受験のときにどれくらい勉強したかが出来不出来に大きく差となって現れてくるでしょう。

後述しますが、受験する試験区分により出題科目や出題数が異なってきます。ですので、これら全てを学習する必要はなく、なるべく出題数の多いものや自分が得点しやすい科目を選択します。

ただし、試験によっては与えられた問題は全問必須の場合もありますので、併願する試験とのバランスを見て選択するようにしましょう。

2.専門試験

専門科目は行政系科目や法律系科目など試験の区分に応じて必要な専門知識を測るための科目であり、大学で学ぶ内容がメインとなっています。

専門試験の出題科目は、行政系科目、法律系科目、経済系科目、商学系科目、その他に分類され、難易度も教養試験に比べ難しい問題が多く、早めの対策が必要となります。

【行政系科目】政治学、行政学、社会学、社会政策(労働経済・社会保障)、国際関係、社会事情など

【法律系科目】憲法、行政法、民法、商法、刑法、労働法、国際法など

【経済系科目】経済原論(ミクロ経済学・マクロ経済学)、経済学、財政学(公共経済)、経済政策、経済学史、経済史、経済事情、統計学、計量経済学、国際経済学など

【商学系科目】会計学、経営学

【その他】英語、教育学、心理学など

専門試験は教養試験と同様、試験区分により出題科目や出題数が異なるため受験する試験に応じて科目を選択するようにしましょう。

なお、ほとんどの試験では択一式ですが、裁判所事務官や国税専門官など一部の試験では記述式の試験が課せられます。

テーマが与えられ、それについて出題範囲は択一式と共通である場合がほとんどですので、しっかりと対策をしておけば問題ありません。

専門試験が課されない自治体もそれなりにあるため、勉強時間がなかなか確保できない人やどうしても専門試験が苦手という人は教養試験のみの試験を受けるという方法もあるということを覚えておくといいでしょう。

3.論文試験

論文試験は高齢化や防災などの社会問題の課題や観光対策、自治体のあり方などについて行政としても役割を論述するものが中心となります。また、ワークライフバランスや女性の社会進出といった近年話題になっているテーマもよく出題されています。

論文試験はこれらの課題に対して一般論を語るのではなく、課題を解決するための「あなたの意見」を述べる必要があります。とは言ってももちろん好き勝手に主張するのではなく、自分がその自治体で働くことをイメージし、職員としてどうすべきか、という視点で解決策を述べていきます。

なので、あまりに大掛かりなものや非現実的なものは適切ではない(施策は税金を投じて行うため)と判断されてしまうので、オリジナリティがあり実現可能なものを述べていく必要があります。

論文試験では課題に対する理解力や文章構成力、表現力、一般常識、そしてその文章から受験生の人物的な側面まで評価されます。

そのため、論文試験は二次試験で課せられることが多く、一次試験で課せられる場合でも評価は二次試験以降に反映されることが多くなっていることから、教養試験や専門試験よりも軽く考えられがちな論文試験ですが、教養試験や専門試験と同等の配点である場合が多いため合否に深く関わってくるので決して手を抜かずしっかりと対策を行うようにしてください。

ちなみに、国家総合職の大卒程度試験では二次試験で「政策論文試験」という試験が課されます。これは政策の企画立案に必要な能力や判断力、思考力を見るものであり英文を含む資料を読み解かなければなりません。

また、同試験の教養区分では「総合論文試験」が課され政策の企画立案の基礎となる教養・哲学的な考えに関するものと具体的な政策課題に関するものの計2題出題されます。

ほかにも、地方公務員試験では、「アピール論文」や「自己PR論文」といった自分自身をアピールする論文課す自治体もあります。

このように論文試験の内容は様々であるため、事前にどのような試験が課されるかを調べておく必要があります。また、前述したとおり論文試験は教養試験や専門試験の同程度の配点であることが多いので、「たかが論文」と高を括るようなことはしないようにしましょう。

4.その他

ここまでは多くの試験区分で課せられる一般的なものでしたが、ここで紹介するものは一部の自治体や試験で課せられるものです。

試験科目とは少し離れますが、試験として課される以上知っておく必要があります。自分が受験する試験に必要なものかどうか事前に確認するようにしてください。

■適正試験(事務適正試験)

適正試験は高卒程度試験でよく課せられる試験で、大卒程度試験では一部の市役所で課せられることがあります。

これは、その名のとおり「事務の適正」を測るものであり、「計算」「分類」「照合」「置換」「図形把握」およびそれらの複合問題の形式の中から、3つの形式が10題づつ交互に出題され、それが4回繰り返し出題され合計で120題になるという形です。

時間は15〜20分しかないため、1問あたりにかけられる時間は7秒〜10秒しかありません。出題内容としては四則計算や異なった図形を見分ける問題などであり難易度としては難しくありませんが、とにかく時間がないため最初は半分も解けないかもしれません。

対策としては過去問や練習問題を多くこなしパターンに慣れておくことが必要になります。

■適正検査(性格検査)

適正検査は地方上級・中級や市役所、特別区など地方公務員試験で多く行われており、面接試験などの人物試験を補完するために行われます。前述の適正試験とは異なりますので注意しましょう。

面接では把握できない考え方や性格の傾向、適応不適応の傾向を表すものであり主に以下のような形式で出題されます。

・クレペリン検査・・・たくさん並んだ1桁の数字を隣り合う数字をその答えの1の位を答えていくというものです。たとえば、「2+7+6=15」となる場合は15の一の位である「5」が答えとなります。これにより作業の能率や正確性を計ります。

・Y−G式性格検査・・・自分の性格や行動に関する120項目の質問に「はい」「いいえ」「わかりません」のいずれかで答えるものです。似たような試験を受けたことも多いかと思いますですが、これにより大まかな性格の特性の分類を行います。

・文章完成テスト・・・与えられた短い文章の後の空欄に文章を補い、意味の通る文章を完成するものです。たとえば、「私は________」や「私の子供の頃は_________」というように空欄があり自由に記述します。これにより受験生の考え方や趣味趣向を計ります。

これらの試験はいずれも特別な対策は必要なく(逆に対策しすぎると正確な結果が測れない)、正直かつ正確に解答することを心がけるようにしましょう。

■体力検査

体力検査はイメージがつくかと思いますが、警察官や消防官などの公安系の職種で行われることがほとんどで、一部の市役所でも行われることもあります。

持久力や柔軟性などを計るものであり、持久走やボール投げ、反復横跳び、腹筋や懸垂などが行われます。

体力に不安のある方や日頃運動不足な人などは試験の前には軽く体を慣らしておくのがいいでしょう。

■身体測定

警察官や消防官、労働基準監督官、航空管制官、気象大学校学生、海上保安大学校生など、職務の性質上一定以上のレベルの視覚や聴覚が必要な職種で実施されます。

身長、体重、胸囲、視力、色覚、聴力などを測定し、一定以上の基準を満たさなければ不合格となってしまいます。

5.まとめ

いかがでしたか?公務員試験の科目は試験によって本当に多種多様だと感じたのではないでしょうか。しかし、科目が多くてもしっかりと効率的に勉強すれば誰でも合格できるのが公務員試験です。

これから勉強を始める人は公務員になりたい人必見!公務員試験の勉強方法について全解説!を参考に学習を始めてみてはいかがでしょうか。

大手予備校講師おすすめ!公務員試験で使える参考書まとめ

公務員試験用の参考書や問題集ってたくさんあってどれを選べばいいかわからないという人は多いのではないでしょうか。

勉強を進めていくうえで自分のレベルに合わない参考書や問題集を選んでしまうと内容を理解するのに時間がかかり、学習に余計な時間がかかってしまいます。

そのため、評判がいいからとか売れているという理由で選ぶことはおすすめしません。大事なことは、あなたに合ったものを選ぶということなのです。

ここでは、これから公務員試験の学習を始める人、またすでに勉強を始めている人で参考書選びに迷っている人に向けて、どのような参考書を選べばいいかを大手予備校講師にヒアリングしてまとめましたので参考にしていただければと思います。

※問題集や参考書は最新版であることを確認し購入するようにしましょう。

1.教養科目の参考書・問題集

教養科目はどの試験でもそれほど難しい問題が出題されないので、基本的な問題を確実に解けることが重要です。

初学者は過去問に入る前に必ず基礎を身につける必要があります。 ここでは定番ですが分かりやすさを重視したものを紹介していきますので、ここで紹介するものは何度も繰り返し、必ずマスターするようにしてください。

1-1.数的処理・判断推理・資料解釈

どの試験でも数的処理・判断推理・資料解釈は必須問題であり問題数も多く、試験を大きく左右する科目となっています。 一般的に数的系の問題集は易問+標準問+難問(奇問)で構成されますが、公務員試験は満点を目指す試験でありませんで、難問(奇問)手をつけずに、易問+標準問で着実に得点して行くだけで上位合格が見えてきます。

■畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス
畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス
畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス

数的系の参考書の定番といえばこの畑中シリーズで、判断推理・資料解釈も同シリーズでおすすめです。

畑中敦子の数的処理系の書籍は受験生に非常に人気があり過大評価ともいえる面もありましたが、本書はそのリニューアル版として2015年に発行されたものであり、さすがの畑中敦子ともいえるような出来になっています。

一つの例題につきその解き方について懇切丁寧に解説が書かれており、基本問題について書籍の中ではこれ以上にない分かりやすさになっています。

基本問題とは別に練習問題もついているため、一通り基本を身につけたら練習問題を解くことで確実に実力アップができます。

判断推理と資料解釈も同じシリーズが出版されているので、まずはこれらをマスターすることから始めるといいでしょう。これだけでは問題数としては少ないので、一通り学習を終えたら過去問を解いていき問題を数多くこなすようにしていきましょう。

ちなみに、本誌は「超わかりやすい」ことがウリのため、解説が長くなっていることから、ある程度わかっている人にとってはまどろっこしいものとなるので、自分のレベルを見極めて使うのがいいでしょう。

■数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱
数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱 改訂第2版 (公務員試験)
数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱

上記の畑中シリーズは定番と言えますが、本書もわかりやすさで言えば群を抜いています。

本書の大きな特徴としては、算数のおさらいから始まっている点です。
足し算や引き算の方法など、「そんなレベルから?!」と目を疑いたくなるような内容が解説されているので算数や数学が本当に苦手な人にとっては最初に手をつける問題集としてはよいかもしれません。

問題ごとの解説も解き方をステップごとに書いており、つまずきそうなポイントも補足として説明されているので「これから数的を始めるけれど算数や数学は苦手」という人にはとてもおすすめできる一冊です。

1-2.英文読解

どの試験でも英文読解は4〜5題出題されます。

単純な長文読解(内容把握)だけでなく、空欄補充や会話文が出題されることもありますが、基本的な勉強方法はまずは基本レベル英単語を理解し、そして英文を読む事に慣れることです。

なお、書店に多く英語問題集がありますが、現在自分レベルにあった問題集をま ず1冊だけ見つけ、それをボロボロになるまで使う事が大事です。ボロボロになったら次レベ ル本を買いましょう。また、TOEIC 用問題集、TOEIC 出題傾向にやや偏っているで、できれば様々な分野文章が読める大学受験用テキスト方がよりおすすめです。

■速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]
速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]
速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]

大学受験では定番の速読英単語ですが、公務員試験でも使えます。 速読英単語の特徴はなんといっても長文の中で英単語を覚えられるため、長文を読む力を身につけると同時に単語も覚えられるという利点があります。

公務員試験の英文読解では基本的に短い時間で文章の大意をつかむことが求められるため、長文読解型の本書は非常によいトレーニングとなりおすすめです。

同様の単語帳として「DUO」がありますが、こちらは短い例文の中で詳しい解説が載っているというものであるため、公務員試験においてはより長文である速読英単語がおすすめです。

使い方としては文章を読んでいきとにかく英文のまま内容を理解できるようにしてくだい。 途中でわからない単語や文章があるかもしれませんが、公務員試験ではとにかく要点さえつかめれば解答できる問題が多いので、一通り読んだ後に単語や構文の確認をする、という方法でやっていけば必ず長文の読解力はついていくでしょう。

本書は英語の初心者〜中級者向きであるので、簡単に感じられるのであれば過去問を解いていくか次に紹介する「リンガメタリカ」を使うことをおすすめします。 英語が苦手で難しいなと思われる人は次で紹介する速読速聴・英単語 Basic 2400がおすすめです。

■速読速聴・英単語 Basic 2400
速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3
速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3

英語が本当に苦手でアレルギーがある方は本書から始めることをおすすめします。

本書も英文中で単語を覚えていく形式ですが、2段落程度短い英文から始まります。しかも、本書は「中学英語」 という分野から始まり、every day や find out など超基礎単語について赤字で示し、同じペ ージ下に単語解説が掲載され、訳右ページに掲載されています。

every day くらい知っ ているよ、という方でも、苦手な人はそのような簡単な単語混じった文章を読む事が難しいことが多いので、英文に慣れるという意味で本書はおすすめです。

■話題別英単語 リンガメタリカ
話題別英単語 リンガメタリカ [改訂版]
話題別英単語 リンガメタリカ [改訂版]

こちらも大学受験で使われる参考書ですが、環境や科学、経済など現代の重要テーマをピックアップしており、他の参考書と異なり各重要テーマの解説が日本語で解説しながら、さらにその文中で英単語を紹介しているので公務員試験で問われる様々な教養英文に対応できます。

ある程度基本ができている人でさらにレベルアップしたい人や、とにかく分量をこなしていき英語を得点源としたい人にはおすすめの参考書といえるでしょう。

1-3.時事

■速攻の時事
公務員試験 速攻の時事 平成27年度試験完全対応
公務員試験 速攻の時事 平成27年度試験完全対応

公務員試験の時事対策の定番ともいえる本書ですが、出題される内容についての基本事項を非常にわかりやすくまとめられています。 時事の勉強を進める上で本書に書いてあることは最低限覚えておくといいでしょう。

しかし、本試験では本書に記載されていない分野も多く出題されるので、これ1冊だけで挑むのは危険です。あくまで基本事項を一通り理解するためのものと心得ておき、模試などと併用することで幅広い知識を身につけるようにしましょう。

2.専門科目の参考書・問題集

行政職の試験では、憲法、民法、行政法、経済原論(ミクロ経済、マクロ経済)のウェイトが重 く主要科目となっています。出題分野には傾向があるので、勉強次第では専門科目全体で8 〜10 割を得点することも可能ですが、問題䛾レベルは決して簡単ではありません。

大学で使用した基本書をもとに過去問集を解いて行けば独学でも合格可能ですが、大学で 履修していない科目(たとえば、法学部・文学部系であれば経済原論)については公務員試験対策用の参考書等で基本的な内容を理解することが必要になります。

以下では知識が全くない状態の方が基本的な知識を身につけるのに適した参考書を紹介します。

2−1.経済原論

■公務員試験 最初でつまずかない経済学(ミクロ/マクロ)
公務員試験 最初でつまずかない経済学 ミクロ編
公務員試験 最初でつまずかない経済学 ミクロ編

公務員試験 最初でつまずかない経済学 マクロ編
公務員試験 最初でつまずかない経済学 マクロ編

大学で経済学を学んでいる人でも経済原論を苦手とする人は多いのが現状です。 経済原論は市販の参考書で分かりやすいものは非常に少ないのですが、中でも初心者にとって最も分かりやすいのは本書ではないでしょうか。

前半が教養レベル、後半が専門レベルという構成になっていて、全くの初学者でも難しい理屈を抜きにした内容から入っていくので理解が進みます。 経済学に出てくるややこしいグラフや論点についてもわかりやすく解説されており欄外のコメントも理解を手助けしてくれるものとなっています。

よっぽど経済原論が得意だという人以外はまずは本書をしっかりと通読し、過去問に取りかかれば本試験に対応できる力を身につけることができるでしょう。

2−2.民法

■郷原豊茂の民法まるごと講義生中継
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈1〉総則・物権編 第6版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈1〉総則・物権編 第6版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)

郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈2〉債権編 第5版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈2〉債権編 第5版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)

民法は事例が複雑であったり専門用語が多かったりするため苦手とする受験生は非常に多く、市販の参考書ではほぼ間違いなく挫折してしまいます。 その中でも本書は初学者でも難しい民法をしっかりと理解できる唯一の参考書ではないでしょうか。

本書は講義口調で書かれている点で読みやすく、民法を理解する上で欠かせない具体例や図も多く掲載されているので入門書としては最適な一冊でしょう。

まずは一通り通読し論点を理解するように努めましょう。ざっと理解したら過去問に取り掛かり、その都度不明な点は本書に立つ戻り理解をしくという流れでいいでしょう。

本書だけではカバーできない判例が多くありますので、基本は本書で理解し過去問を解きながら判例を覚えていくという方法で学習していくことで本試験に必要な学力を身につけることができます。

2−3.行政法

■国家試験受験のためのよくわかる行政法
国家試験受験のためのよくわかる行政法
国家試験受験のためのよくわかる行政法

理解しにくい行政法について、事例を織り交ぜながらわかりやすく説明されており入門書に最適な一冊です。

行政法は民法等と異なり、抽象的な事項が多いのでイメージがしづらく苦手とする受験生が多くいます。本書は行政法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法等、行政法全体について重要ポイントを、事例を織り交ぜながらわかりやすく説明しており、入門書として、また、基本書や過去問集を解く際は補助教材としておすすめの一冊です。

用語索引もついているので迷った時にすぐに調べられるのでとても重宝します。(基本書と異なり予備校等出版のテキストには索引がついていないことが多く不便なこともありますが、索引付きは本書は受験生の勉強に優しい1冊です。)

※行政法は平成26年改正が反映されているか必ず確認しましょう!

2−4.憲法(記述対策)

■公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ
公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ
公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ

なかなか記述対策の良書はないのですが、憲法の記述対策については本書が評判です。
理由としては、
・公務員試験の過去問題を載せている
・覚えるべきポイントや判例が分かりやすく示されている
・過去問題を載せつつ、オリジナル問題も載せている
・おさえるべき論点がもれなく掲載されている
という点です。

本書を読み込み、掲載されている問題をしっかりとこなせば裁判所事務官一般職や国税専門官・財務専門官の問題には対応できるでしょう。

ちなみに、本書の民放・行政法版もありますが、論点が少ないといった声もあるため購入するかどうかは実際に手にとって見て判断したほうが良いかと思われます。

3.過去問集(全科目対応)

■新スーパー過去問ゼミ
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ4 憲法
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ4 憲法

いわゆる「スー過去」のことであり、公務員試験の定番の過去問集です。

問題として良問がセレクトされており、網羅性もありながら問題数もちょうどよく、頻出度の表示もあるので用途に応じて使うといった方法もでき汎用性が高いのが特徴です。

基本的な参考書で一通り学習したあとは本書を繰り返し解くことで本試験に対応できる力を身につけることができます。

しかし、解説がそれほど詳しくないため苦手科目だと理解に苦しむ可能性がありますので、本書に手をつける前に解説が詳しい問題集で基礎力を身につけたほうがよいでしょう。また、解説が後ろにまとめて掲載されているので、1問ずつ答え合わせをするのがやや不便だと感じるかもしれません。

ただ、学習が進んでいる人や得意科目を伸ばしている人にとっては解説の短さは時間の短縮につなげることができるので、自分の科目ごとのレベルに応じて使うことをおすすめします。

■過去問新クイックマスター
公務員試験 過去問新クイックマスター 判断推理・図形 <第5版>
公務員試験 過去問新クイックマスター 判断推理・図形 <第5版>

近年、評判をあげてきた過去問集であり、過去10年の各試験種の出題状況を示した表はとても役立ちます、 また、解説も詳しく、問題と解説が見開き1ページになっているので、上記のスー過去が難しいと感じる人や苦手科目について問題を解くことでしっかりと理解したいという人にはおすすめです。

注意点としては問題数が非常に多く解説も充実しているので1周するのに相当な時間がかかるということです。 頭から解いていくと途中で挫折する可能性もあるので、頻出の分野や重要な部分だけ解くなどポイントポイントで解くという方法から始めるといいでしょう。

時間をかけて一冊すべてマスターすれば相当な力がつきますので、本試験まで時間がある人は取り組んでみてもいいでしょう。

■国立大学法人等職員採用試験攻略ブック (別冊受験ジャーナル)
国立大学法人等 職員採用試験攻略ブック 28年度 (別冊受験ジャーナル)
国立大学法人等 職員採用試験攻略ブック 28年度 (別冊受験ジャーナル)

国立大学法人の過去問が掲載されているだけでなく、試験制度や仕事内容についても掲載されているので、一通り学習し直前期に過去問をざっと確認したい人にはおすすめの一冊です。

本書はあくまで国立大学法人の出題がどのようなものかを確認するものであるため問題数はそれほど多くないので基本を学んだあとは上記のスー過去やクイックマスターなどで別途問題演習をこなしていく必要があります。

4.まとめ

公務員試験の参考書は数多くありますが、初学者でも使えるものは意外と少ないのが現状です。 特に独学者は参考書選びは非常に重要であり、それにより合否が決まると言っても過言ではありません。 この記事を参考に、自分に合った参考書を選び合格を勝ち取りましょう!